少年「ぼくのいじめられ方がいくらなんでもゴージャスすぎる」 (33)

少年「……あれ」

少年(下駄箱に上履きがない……)


お嬢様「オーッホッホ、上履きをお探し?」


少年「!」

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お嬢様「あなたの上履きは、あの小型ロケットの中にあるわ!」

少年「え!?」



シュゴゴゴゴゴ…

シュボォォォォォォォォォ…!!!



少年「ああ……飛んでっちゃった……」

お嬢様「あなたの上履きは晴れて宇宙に追放されたのよ! オーッホッホッホ!」

少年「……」

少年「ぼくはどうすればいいんだ?」

お嬢様「代わりにこれを履きなさい」

お嬢様「純金製の上履き! あなたにはこれがお似合いだわ!」

少年「……」スッ

少年「重い……」

お嬢様「ざまあないわね! オーッホッホッホ!」

少年「あれ!? 机の中に教科書がない!?」

お嬢様「あなたの教科書も、全て処分させてもらったわ」

少年「なんだって!? じゃあぼくはどうやって勉強すればいいんだ!」

お嬢様「これを差し上げるわ」サッ

少年「この端末は……」

お嬢様「教科書の全てのデータをその中に移し替えたのよ。一言でいうなら電子化したわけ」

お嬢様「簡単にどの科目の教科書も引き出せるし」

お嬢様「マーカーを引くのも消すのも自由自在!」

お嬢様「水に強く、ロケット弾でも壊せないし、失くしてもすぐ呼び戻せる機能もあるわ」

お嬢様「しかも、落書きに対する評価機能もついてるの!」

少年「なんてことを……!」

少年(試しに落書きしてみるか……この備えつけのペンで……)サササッ

端末『偉人の写真にヒゲを描く時はもっと思い切りよくした方がよいでしょう』

少年(なるほど……)

先生「じゃあ、この問題は……君に解いてもらおう!」

少年「またぼくですか。これで五回目ですよ」

先生「君に解いてもらおう!」

少年「分かりました」

少年(先生の頭に小さなチップがついてる)

少年(きっと、あれをつけるだけでたやすく人を意のままに操れるに違いない)

少年(あの小さなチップに一体どれだけの金がかかってることやら……)

お嬢様「ホホホ……」

少年「ぼくの給食よそいでよ」

給食係「……」

少年「ねえったら」

給食係「あのお嬢様の命令だ。お前によそう給食はねえ!」

少年(彼女はぼくに給食を食べさせないつもりか……!)

シェフ「その代わり、私があなたのランチを作りまショウ!」

シェフ「どうぞ、世界中の美食家を唸らせた最高級料理をお楽しみ下サーイ!」

少年「……」モグモグ

お嬢様「どう? お味は?」

少年「おいしい! 舌がとろけてほっぺたが落ちそうだよ!」

お嬢様「それはそうよ!」

お嬢様「シェフは世界中で修行を重ねた、伝説の十ツ星シェフなのだから!」

少年(十ツ星……! これだけ星が多いと逆にチャチな肩書きに見えてくる……!)

少年「ぼくに給食を食べさせないいじめをするためだけに、呼んだのか……」

お嬢様「その通りよ! オーッホッホッホッホ!」

少年「みんな、昼休みだし校庭でドッジボールしようよ!」

児童A「……」

児童B「……」

児童C「……」

シーン…

少年「なんでみんなぼくを無視するのさ!」

シーン…

少年(これもぼくに対するいじめというわけか!)

少年(いや、無視どころか……)

児童A「……」

児童B「……」

児童C「……」

シーン…

少年「みんな、蝋人形みたいになって動かない! どうしちゃったんだよぉ!」



お嬢様「ミュージックスタート!」パチンッ

児童A「無視は~た~のし~いな~♪」

児童B「声かけられても無視♪ 肩叩かれても無視♪」

児童C「無視♪ 無視♪ 無視♪ 無視♪ 無視♪」

デュ~ワ~……

少年「いきなりクラス総出のミュージカルが始まった……」

少年「これも君の仕業か!」

お嬢様「ええ、パントマイムやミュージカルの達人を高額で雇って」

お嬢様「一夜漬けでクラスの皆さんを特訓させましたのよ」

それは普通に恐い

先生「では、今日の帰りの時間は学級委員長を決めたいと思います」

少年(きっと、ぼくがやらされることになるんだろうな)

児童A「はいっ! 少年君がいいと思います!」

児童B「同じく!」

児童C「異議なし!」

少年(やっぱり……ムリヤリ委員長にさせるのもお決まりのいじめだもんな)

お嬢様「いいえ!」

少年(お?)

お嬢様「この方にはもっと相応しい役目がありますわ!」

先生「なんだろう?」

お嬢様「それは……内閣総理大臣!」

政治家A「賛成!」

政治家B「同じく!」

政治家C「異議なし!」

少年(こうきたか……)

パシャッ パシャシャッ パシャッ パシャッ

記者「史上最年少で総理大臣になったご感想は?」

少年「よく分かりません」

記者「今後の抱負は?」

少年「ほうふってなんですか?」

記者「日本をどんな国にしたいですか?」

少年「いい人は褒められて、悪い人は懲らしめられる国にしたいです」

記者「素晴らしい!」

少年「……先生」

先生「なんだ?」

少年「ぼく、あの子にいじめられてるんです。あのお嬢さんです」

先生「ほう」

少年「だから……助けて下さい!」

先生「……それは無理だ」

少年「どうして!? もう洗脳チップも回収されてるのに!」

先生「だって――」

先生「あの子から10億円ももらっちゃったからね」

先生「これだけもらったら、もういじめを黙認するしかないわけだよ」

先生「だから我慢してくれ!」

少年「むむむ……」

少年(先生も既に買収済みだったか……)

少年「お父さん! お母さん! ぼく、学校でいじめに――」

少年「わあっ!?」

少年(ぼくんちが、マンガに出てくるような豪邸になってる……)

父「いやぁ~、葉巻がうまい!」スパー…

母「ミンクのコート買っちゃったわ!」

少年(ダメだ……お父さんとお母さんも買収されてるにちがいない)

お嬢様「オーッホッホッホ!」

少年「!」

お嬢様「どぉう? 私の財力をフルに使ったいじめの数々! 苦しんで頂けた?」

少年「……」

少年「どうして……どうしてこんなことするんだ!」

お嬢様「決まってるでしょ?」

お嬢様「あなたのことが……好きだからよ!」

少年「……」

お嬢様「好きで好きでたまらないからよ!」

少年「よく分からないな。好きだからあえていじめるってやつかい?」

お嬢様「そうじゃないわ! 分からないのなら、一から説明してあげる!」

お嬢様「私はまず、ストレートにあなたに告白したわ!」


お嬢様『好きです! お付き合いして下さい!』


お嬢様「そしたらあなたは――」


少年『真正面から直球勝負ってやつかい? 聞こえはいいが、ようするに無策ってことだよね』

少年『残念だけど工夫の足らない女は嫌いなんだ。ストレートしか投げられない投手はいらない』


お嬢様「……って」

少年「……」

お嬢様「だから今度は、私は可能な限りの笑顔と愛想を作って、あなたにアタックした!」


お嬢様『あなたのような素敵な殿方は初めて……どうかお付き合いして下さいな』ニッコリ…


お嬢様「だけどあなたは――」


少年『男に媚びを売る女ってのは信用ならない。腹の中が見えなくなるからね』

少年『男と女ってのは媚び合うのでなく、対立してこそ健全な関係を築ける。これがぼくの持論だ』


お嬢様「こう突き放したわ」

少年「……」

お嬢様「だったらと、私はあえて男勝りのオラオラな女を演じてみた!」


お嬢様『おうおうおう! アタイと付き合ってくれやぁ! なぁ!?』

お嬢様『一緒にデエトでも行こうやぁ! でねえとブッ倒すぜ!?』


お嬢様「それでもあなたは――」


少年『金持ちがあえて下層階級の人間を演じるってのはヘドが出るね。非常に不愉快だ』

少年『上流階級の人間は上流のままできることがあるはずだ。己を偽るんじゃない』


お嬢様「こう返したの。だから、だから……」

少年「なるほど、なるほど……」

少年「それで君の財力を駆使してぼくをいじめる、という手段に出たわけか」

少年「うんうん、工夫する、対立する、金持ちであることを生かす、全て満たしているねえ」

お嬢様「でしょう!? だったら……!」

少年「悪いけど、ますます君のことが嫌いになってしまったよ」

お嬢様「!!!」

少年「そりゃそうだろ? これほど執拗ないじめを受けて気をよくする人間なんてあると思う?」

少年「人を総理にまでしてくれちゃって」

少年「君はあまりにも浅はかだったんだよ。じゃあね、もう君に好意を向けることはないだろう」

お嬢様「いや……いやぁ……」

お嬢様「待ってぇぇえぇぇええぇ!!!」ガシッ

少年「どうしたんだい? 鼻水まで垂らして、上流階級の人間らしくもない」

お嬢様「気を悪くしたならあやまりばす! ごめんなざい!」

少年「やめてくれよ、謝らないでくれよ。君は君が正しいと思ったことをしただけじゃないか」

お嬢様「いじめのうち、あなたが不快に感じたいじめは全てリセッドじまず!」

お嬢様「もう一度チャンスをぐだざい! お願いじます! お願いじます!」

少年「どうしよっかなぁ~」ニヤニヤ

お嬢様「お願いしますぅぅ……」

少年(ああ……)

少年(ぼくにダメ出しされ、拒絶され、突き放されてもなお、ぼくにすがりつこうとするこの彼女の顔……)

少年(最高だ……!)ゾクゾクッ

少年(ぼくは君のこの顔が見たくて、生きてるようなものだ)

少年(今の君の顔に比べたら、どんな地位も名誉も財産も偉業もゴージャスさも無価値だ……)

お嬢様「嫌いにならないでぇぇぇ……!」

少年「う~ん、難しい注文だなぁ……だけど努力してみるかなぁ……」

少年(ああ……ごめんよ……)

少年(ぼくは君に対するいじめをまだまだやめられそうにない)





おわり

劣悪な家庭環境

いじめって、なんだっけ?

ベッドの上でいじめようか

この程度のいじめならまだ助かる…まだ助かる…マダガスカル!
ソーレッ☆ ここ! マダガスカル!

最近読んだ中でダントツにつまらないSSだった
毎回どんでんがえしのあるSS書いてるみたいだけど正直1つも面白くなかった
センス無いわ

1つもって全部読んだのか?
この人多分3桁は書いてるぞ

どっかのコピペやろ

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