藤居朋・本田未央・橘ありすの苦労人シャッフル逆回転 (97)



前作
藤居朋・本田未央・橘ありすの苦労人シャッフル
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渋谷凛「みんなの運勢を」藤居朋「占いたい?」



~事務所・部屋~


ガチャ

藤居朋「お疲れさま~」

渋谷凛「朋、待ってたよ」

朋「あ、凛ちゃん。待ってたって……?」

凛「さて問題です」デデン

朋「え?」

凛「朋の趣味はなんでしょう?」

朋「……」

凛「……」

朋「えっあたしにあたしの問題出したの!? 正気!?」

凛「なぜ角を取らない!」

朋「それ1問目で聞くやつじゃないでしょ!?」

凛「いいから早くさ、ね?」

朋「いや、占いだけど……」

凛「正解!」

朋「当たり前でしょ! なんならいきなり『サーフィン!』とか答えてもそれが正解になるわよあたしが言ってるんだから」

凛「滋賀に海ないよね?」

朋「び、琵琶湖でウインドサーフィンとかウェイクサーフィンとかできるし!」


凛「まあいいよ。この前、街で手相占いをしてる人を見かけたんだ」

朋「ああ、よくいるわよね……でも、それがどうかしたの?」

凛「もうネタは上がってるんだよ!」

朋「凛ちゃんどうしたの!? 情緒が不安定すぎない!?」

凛「儲かるんでしょ?」

朋「へ?」

凛「占いの料金、1回で10000円くらいだったんだよ? これは絶対儲かるって!」

朋「それ占い趣味の人に言う?」

凛「あれでしょ? とりあえずお前は地獄に落ちるって言えばいいんでしょ?」

朋「何も占ってないじゃない」


凛「だから、占いを教えてほしいんだ」

朋「今の流れで教えると思う!?」

凛「お願い! お金儲けにしか使わないから!」

朋「お金儲けだけには使ってほしくないんだけど!」

凛「先っちょだけでも!」

朋「占いにおける先っちょってどこ!?」

凛「あ!」

朋「え?」

凛「なるほどね……」

朋「な、何に気がついたの……?」

凛「いくら欲しい?」

朋「凛ちゃんお金ばっかりね!?」


凛「ふふ、冗談だよ」

朋「どこからよ……」

凛「でも、占いに興味があるのは本当なんだ。ほら、渋谷凛万能アイドル化計画の第一歩としてさ」

朋「びっくりするほど初耳なんだけどその計画」

凛「あとほら、手相占いとか習えばさ……? その……」

朋「またお金?」

凛「……未央とか卯月の手……握れるし」モジモジ

朋「乙女か!!!!!!」


朋「ちょっとキュンとしちゃったわよ!!! そもそもニュージェネ仲良しなんだから手ぐらい普通に握れるでしょ!?」

凛「キャラじゃないし……」

朋「占いを口実にする方がキャラじゃないでしょ……」

凛「まあまあ、ほら、例えばテレビに出たらちゃんと『同じ事務所の藤居朋さんに教わって~』って話すし」

朋「いや、そんな悪用なんてしないだろうし、別にメリットとか提示しなくても教えてあげるけど……」

凛「ありがと。きっと朋は天国に行けるよ」

朋「地獄に落ちるを反対にしても褒め言葉になるとは限らないからね」


朋「じゃあ、どの占いを教えたげよっか?」

凛「そうだね……うん、まずはタロットとか聞きたいな」

朋「おー、いいわね! もちろんマイタロットがあるからね!」ゴソゴソ

凛「さすが占い好きだね(笑)」

朋「今なんで笑ったの」


朋「じゃ、最初はタロットカードの種類から……」

凛「あ、その前に、いいかな?」

朋「へ?」

凛「1回、実際に占ってほしいんだけど……」

朋「ああ、確かに、一度やって見せた方がわかりやすいものね」

凛「ありがと」

朋「何か占ってほしいこととかある?」

凛「そうだね……来年のサンマの漁獲量を」

朋「本当に? 本当にそれ知りたい?」


凛「無難に、アイドルとしての今後についてとかかな」

朋「まあ、その辺が妥当ね……ちょっと待ってて」

凛「あ、電気消す?」

朋「え? いや、このままで大丈夫よ?」

凛「そっか。あ、ロウソク立てる?」

朋「だから別にいらないけど……」

凛「あ、生贄持ってきてないや、その辺でカラス捕まえようか」

朋「黒魔術か何かと勘違いしてない?」

凛「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」

朋「本格的に詠唱を始めた」


~占い中~


朋「これは……『悪魔』のカードね!」ペラッ

凛「あ、悪魔!?」ガーン

朋「うん、えっと、このカードは……って、どうしたの?」

凛「だ、だって悪魔だよ……!? ああ、もう私は終わりだ……」ガタガタ

朋「り、凛ちゃん、落ち着いて? ね?」

凛「きっと黄緑色の悪魔がやってきて、私の財布が空きましておめでとう状態になるんだ……」ガタガタ

朋「ちょっとユーモアが滲み出てるのは何?」

凛「そのままアイドルを辞めざるを得なくなって、イケメンと結婚し子宝に恵まれ微笑みながら余生を過ごすんだ……」ガタガタ

朋「途中から理想の人生歩んでる」


凛「……覚悟は決まったよ。解説をお願い」

朋「だから落ち着いてってば! 確かにこのカードは悪い意味なんだけど」

凛「せ、せめて余生だけは」

朋「うるさいな!」

凛「ウィッス」

朋「これ、確かに悪い意味のカードだけど、逆さまでしょ?」

凛「お前も逆さ吊りにしてやるぞという……」

朋「どんだけネガティブなの!?」

朋(まあ『吊るされた男』ってカードもあるけど……)


朋「タロットは、カードの意味が向きによって変わるのよ! だから、悪い意味のカードが逆さまに出たってことは良い意味なの!」

凛「ほ、本当に……?」

朋「そうそう!」

凛「じゃあ、みんなと別れなくて済むの……?」

朋「そもそもあたしの占いにそこまでの信憑性ないからね?」

凛「よかった……」

朋「まったく……未央ちゃんと卯月ちゃんのこと、好きすぎるでしょ」

凛「ううん、もちろん2人もだけど、事務所のみんなは大切な仲間だよ。朋も、ね?」

朋「……」

凛「……?」

朋「えっ普通に照れる」


朋「ま、まあいいわ。一応解説をすると、悪魔が逆位置で出た場合は『困難からの脱出』『執着との決別』を指すの」

凛「……?」

朋「ネガティブに言えば『あなたは、あなた自身の欲望のせいで悪い循環に落ちてしまう』という意味。ポジティブに言えば『その欲望を捨てることで、あなたはより良い環境に身を置くことができる』という意味」

凛「欲望……」

朋「凛ちゃんの大切なものは?」

凛「未央と卯月」

朋「は、はっきり言うのね……」

凛「当然でしょ? もちろん他のみんなも大切だけどさ」

朋「じゃあ、その2人は凛ちゃんの前でいつも笑顔になってる? 楽しそう?」

凛「笑顔に……?」

朋「凛ちゃんが楽しいのはわかるわ。大好きな人と話しているんだもん。でも、その欲のままに関わってると、このままではマズイかもしれない。ってカードは言っているわ」

凛「確かに……未央、いつも大きな声出して……楽しくなさそうな時もあるかも……」

朋(まあ凛ちゃんが自由すぎるからだと思うけど)

凛「未央……嫌がってるのかな……」

朋「それはわからないけど……悪魔のカードは正位置でも逆位置でも『現状維持』を是としないわ。何か変えてみるのも良いかもね」

凛「……ありがと」

朋「えっと……さっきも言ったけど、そこまで深刻に捉えないでね……? 真剣に聞いてくれるのは嬉しいけど」

凛「うん、大丈夫。朋は遊びのつもりでも地獄の果てまで信じるよ」

朋「この場にサソリ座の女はいないからね」


朋「タロット占いの流れはこんな感じね。まずはそれぞれのタロットカードの意味を覚えるのが最優先だと思うわ」

凛「朋は覚えてるんだ……すごいね。学校の勉強はサボってたの?」

朋「なんで煽ったの?」

凛「じゃあ、次は手相占いをしてもらっても良いかな」

朋「まあいいけど……何か知りたいことはある?」

凛「そうだね……来年のカツオの漁獲量を」

朋「本当に? ねえ凛ちゃんそんなに水産業に関心ある?」


朋「えっと、とりあえず基本的な線から見ていくわね。こっちに手を出してみて」

凛「へへ……いいカラダしてるじゃん」

朋「そういう手の出し方じゃなくて」

凛「暴力的な手の出し方?」

朋「手相占いの準備で殴り合いしてるの見たことある?」

凛「まだないね」

朋「これからもないわよ」


朋「いいから手を見せてってば!」バッ

凛「ぁん……っ」

朋「何その反応!?」

凛「優しくしてね……」

朋「手相占いに優しいもなにもないけど!?」


朋「とりあえず、これが生命線」ツツー

凛「ぅん……」ビクン

朋「こっちが知能線で」ツツー

凛「ぅぅん……」ビクン

朋「こっちが感情線」ツツー

凛「ぅぅっん……」ビクン

朋「いちいち喘ぐな!!!!!」


朋「全然集中できないんだけど!」

凛「可愛さって罪だね」

朋「むしろいかがわしさよ」

島村卯月「何してるんですかー!!!」

朋「うわっ!? 卯月ちゃん!?」

卯月「凛ちゃんへのセクハラは私が許しませんよ!」

朋「い、いやいや手相占いだってば!」

卯月「でも凛ちゃんの声が可愛かったので許してあげます!」

朋「基準ガバガバすぎない?」


卯月「私は今後一ヶ月の天気も占えますよ!」

朋「占いどころか人間の範疇を越えてるわよ」

凛「う、卯月!」

卯月「はい!」

凛「て、手相見てあげる」

卯月「え?」

凛「……」ドキドキ

卯月「……わぁ! すごいです凛ちゃん! じゃあ、お願いします!」スッ

凛「う、うん!」

朋(が、頑張れ……!)


凛(えっと……まずは……)

凛「へへ……いいカラダしてるじゃん」

朋「タイム!!!」ガシッ

凛「あ、あれ?」ズルズル

朋「違う!! そっちじゃない!!!」コソコソ

凛「あ、暴力的な方だっけ」コソコソ

朋「そっちでもない!!!」コソコソ


~~~~~

凛「ごめんごめん、緊張しちゃって」

卯月「はい!」

凛「えっと、この線が……」

卯月「この線が?」

凛「……」

朋(あっ、凛ちゃん、線の名前忘れてる! えっと、今凛ちゃんが見てる線は……)チラッ

朋「凛ちゃん、それは生命せ……長っ!?!?」

凛「こ、こっちが……知能せ……」

朋「長っ!?!?」

凛「そ、それで、これが……感情せ……」

朋「長っ!?!?」


卯月「どうかしましたか?」

朋「いやあ……さすが卯月ちゃんというか……」

凛「惚れ直したよ」

朋「惚れてる前提なのどうかと思うけど」

卯月「えへへ……凛ちゃん……」

凛「卯月……」

朋(蚊帳の外ね)

卯月「でも凛ちゃん、占いなら、私が教えてあげられるのに……」

凛「ごめんね……ビックリさせたくて……」

朋(少なくともセクハラを始めた時は死ぬほどビックリしたわよ)

卯月「じゃあ凛ちゃん、一緒に勉強しましょう!」

凛「卯月……ありがと。百人力だね」

卯月「まずは人類の滅亡を占いましょうか!」

朋「すぐ規模が肥大化する!」

凛「卯月なら大丈夫だよ!」

朋「なんか盲目的ね!?」

卯月「大丈夫です! 凛ちゃんと未央ちゃんは守ってみせます!」

朋「そもそも人類滅びるの確定なの!?」


凛「卯月は何か、朋に占ってほしいこととかある?」

朋「いや、あたしが卯月ちゃんを占うとかちょっと怖いんだけど……」

卯月「そうですね……気になっていたサンマの漁獲量は近年減少傾向にありますし……」

朋「ニュージェネって水産業推進ユニットだったの?」

凛「知らなかったの?」

朋「否定してよ」


ガチャ

池袋晶葉「失礼、朋は……ああ、やっぱりここだったか。そろそろ時間だぞ?」

朋「晶葉ちゃん!!!」ダキッ

晶葉「おおう!? な、なんだ!?」

朋「お願い! ニュージェネの頭をマトモにする装置を作って!」

晶葉「目の前にニュージェネいるのにそれ言うのか!?」


卯月「失礼しちゃいます!」

凛「ねえ?」

朋「どの口が言うのよ!!!」

晶葉「よくわからないが落ち着け……」

朋「うう……ごめんね晶葉ちゃん……」

晶葉「そんなことより、そろそろ出発するぞ?」

朋「ウソ! もうそんな時間?」

凛「あれ、どこか行くの?」

晶葉「ああ、ちょっと食事にな」

卯月「私は場所も時間も知ってますよ!」

朋「怖っ!」


朋「じゃ、2人とも、あたしは行くわね」

凛「うん、ありがとね」

朋「あ、凛ちゃん、そのタロットカード、あげるわ! あたしいくつか持ってるし!」

凛「え? いいの?」

朋「もちろんよ! せっかく占いに興味を持ってくれたんだし、いつかあたしも占ってね!」

凛「朋……」

卯月「その優しさが仇とならなければいいんですが……!」

晶葉「お前はちょっと黙っていろ」



おわり



本田未央「三ツ星シェフフレデリカ?」


ほんと好き


~事務所・廊下~


本田未央「~♪」トコトコ

未央「……あれ?」クンクン

未央「なんかいい匂いがする……!」

未央「こっちの……キッチンからかな?」トコトコ

未央「ええと……ん? 何かドアに書いて……」

『フレンチ☆フレデリカ』

未央「……」

未央「……うん、見なかったことに」

宮本フレデリカ「いちめいさまごあんなーい!!!」ガラガラ

未央「そっちから来るんかい!!!!!」


~調理室~


未央「えっと……」

フレデリカ「いらっしゃいませ! """"""1名様""""""ですね!」

未央「合ってるけどそこまで強調されるとイラっとくるね」

フレデリカ「おタバコは何本お吸いになられますか!」

未央「なんで最低1本は吸う前提?」

フレデリカ「当店は2000円札でしかお支払いができませんが、よろしいでしょうか!」

未央「ちっともよろしくないけど!? やる気あるの!?」

フレデリカ「ダメかー」

未央「ってかフランス料理店ならもうちょい落ち着いた接客した方がいいんじゃないの? 完全にノリがファミレスだよ」

フレデリカ「らっしゃーせー!! 1名様ご案内でーす!!!!!」

未央「居酒屋みたいになった! 悪化してる!」


フレデリカ「じゃ、この席に座って?」

未央「そ、そろそろ趣旨を説明してくれると嬉しいんだけど……」

フレデリカ「フレちゃんはね! とうとう料理に目覚めたんだよ!」

未央「あ、そうなんだ? まあ、いいことだと思うけど」

フレデリカ「目指せミシュラン!」

未央「ずいぶん高い目標持ってきたね」

フレデリカ「いつもだったらありすちゃんに味見をお願いするところなんだけど~! 今回はミオちゃんにお願い!」

未央「はあ……」

フレデリカ「なぜなら~! フレちゃんの目標は"三ツ星"シェフだから!」

未央「……」

フレデリカ「……」

未央「じゃ、お疲れ様」トコトコ

フレデリカ「待って~!!!」


未央「くだらないダジャレでいきなり拉致されるこっちの身にもなってよ!」

フレデリカ「あ、味は確かだから!」

未央「ホントに~? "本日のスープです!"とか言いながら味噌汁とか出ない?」

フレデリカ「……」

未央「……」

フレデリカ「……出ないよ?」ボソッ

未央「声ちっちゃ!」

そうか、ありす相手にはできない料理ネタか…


フレデリカ「ま! とにかくお願い! ありすちゃんに"フレデリカさん、見直しました! 大好きです!"って言わせるために!」

未央「よくその流れで告白に持っていけると思ったよね」

フレデリカ「ダメ……かな……?」シュン

未央(あ……もう……)

未央「ま、まったく……そんな不安な顔しないでってば! しょうがない! ミオちゃんにお任せあれ!」

フレデリカ「わーい! ナイス! このお人よし!」

未央「張っ倒すよ!?」


~~~~~

フレデリカ「当店には3つのコースがあるんだよ~」

未央「へー! 本格的だね」

フレデリカ「松・竹・梅のどのコースにする?」

未央「なんで選択肢を和風にしちゃったの?」

フレデリカ「魏・呉・蜀でもよかったんだけど……」

未央「ほんの少しヨーロッパには近づいてるけどね? そもそもその三国じゃ上下がわかんないよ」

フレデリカ「メッシ・スアレス・ネイマールでも」

未央「急にスペインまで来た!? そしてその3人にも優劣はないよ!」


未央「……というかそれも解散してるし!」

フレデリカ「じゃ、どれにする~?」

未央「どれでもいいけどなー……あ! そうだ、値段教えてよ!」

フレデリカ「ワオ! ごめんね! フレちゃんうっかり♪」

未央「もー、値段わかんなきゃ選べないよ?」

フレデリカ「順に、4000万ユーロ、2500万ユーロ、3000万ユーロとなっております!」

未央「メッシとスアレスとネイマールの年俸じゃねえか!!!」


フレデリカ「だって値段がわかんなきゃ選べないって……」

未央「値段を知ったらより一層選べなくなったよ!?」

フレデリカ「えー?」

未央「いいから松竹梅の方を教えてって!」

フレデリカ「松竹芸能の方を教えて!?」

未央「鼓膜が腐ってるの!?」

フレデリカ「ああ! まつたけうめの方ね!」

未央「読めてなかったの!?」

フレデリカ「フランス人だもーん! しゃべれないけど!」

未央「ズルい逃げ方だなあ……!」

フレデリカ「まず、一番安い"梅"が500円!」

未央「え! 安いね!」

フレデリカ「誰でも気軽に食べれる方がいいもんね~」

未央(なんだかんだ、フレちゃんも優しいよね)

フレデリカ「"竹"が24万円」

未央「3秒前の感心を返してよ」


未央「このお店のターゲットはどこ!?」

フレデリカ「画面の前のあなたかもしれません……」

未央「それグラサンの人がよく奇妙な番組で言ってるやつ!」

フレデリカ「最後に"松"!」

未央「もう100万円でも驚かないよ」

フレデリカ「……」

未央「……」

フレデリカ「……」

未央「……?」

フレデリカ「ひゃくまんえんです……」ショボーン

未央(やっちゃった!!!!!)


未央「ご、ごめんって!」

フレデリカ「別になんとも思ってないよー……」ショボーン

未央「明らかダメージ負ってるよね!?」

フレデリカ「どうせ全部コースの中身変わらないし……」

未央「じゃあこのコースの流れまるまるいらないじゃん!?」

フレデリカ「ちなみにお金も取らないよ?」

未央「バカじゃないの!?」


フレデリカ「では気を取り直して!」

未央「メンタル強いね」

フレデリカ「ありがと! よく言われる!」

未央「たぶん褒められてないよ」

フレデリカ「ミオちゃん、フレンチのコース、何が出てくるかわかる?」

未央「へ? えーっと……まず前菜だよね? それで、スープが来て……」

フレデリカ「うんうん!」

未央「あれ、もうわかんないや……メイン料理でデザート? でもそれじゃ4品だけになっちゃうし……」

フレデリカ「しょうがないな~! フレちゃんが教えてしんぜよう!」

未央「う……ちょっと納得いかないけど、お願い」

フレデリカ「おっけーぐーぐる!!! フランス料理のコース内容教えて!!!」

未央「堂々と不正を始めた!?」


フレデリカ「まず、前菜とスープはミオちゃんの言った通り!」

未央「と思ったら返答を待たずに喋り始めた!?」

フレデリカ「次に、魚料理なの!」

未央「あー、肉料理と魚料理って分かれてたっけ。じゃあ次が肉料理?」

フレデリカ「の前に、"ソルベ"っていうお口直しが入るんだよ! シャーベットみたいなやつ!」

未央「へー! 知らなかった!」

フレデリカ「そこから、肉料理、デザート、食後のコーヒーって順番でしたー! あ、フルコースなら前菜の前にアミューズが出たり、サラダやチーズの枠があったりするんだけどね!」

未央「ってかちゃんと覚えてるんじゃん。茶化しちゃって~」

フレデリカ「見直した? 見直した?」

未央「フレちゃんすごいぞ~、うりうり~!」ヨシヨシ

フレデリカ「髪型崩れちゃうから」サッ

未央「距離感が全然わかんない」


フレデリカ「ではでは、フレンチ☆フレデリカのコース紹介に移ります!」

未央「ま、待ってました~」パチパチ

フレデリカ「とりあえず乗っかることにしたんだね!」

未央「う、うるさい!」

フレデリカ「まず前菜!」

『フォアグラのポワレ』ババーン

未央「思いの外すごい!!!」


未央「えっ!? フォアグラ!? 本物の!?」

フレデリカ「でも1食ぶんしか用意できなかったから、ありすちゃんのぶんだけだね! ミオちゃんは匂いでも嗅いでて!」

未央「そんな殺生な!!!」

フレデリカ「続いてスープ……は諸事情でパス!」

未央(本当に味噌汁でひと笑い取るつもりだったのか……!?)

フレデリカ「魚料理はこちら!」

『スズキのポワレ』ババーン

未央「おおー、……あれ?」

フレデリカ「どうかした?」

未央「えっと……いや、なんでもない」

フレデリカ「そう? じゃあ次、ソルベ!」

『いちごのシャーベット』ババーン

未央(これ、ありすちゃん『なんでもうデザートなんですか! バカにしてるんですか!』って怒りながら食べそうで絶対可愛いやつじゃん……)


フレデリカ「お待ちかね! 肉料理は!」

未央「おおー!?」

フレデリカ「これ!」

『牛肉と完熟トマトのポワレ』バババーン

未央「またポワレ!? さっき言おうか迷ったけど調理法の幅が狭くない!?」

フレデリカ「そしてお待ちかねデザート!」

『いちごのポワレ』ババババーン

未央「だろうね!!!!!」


未央「さっきからポワレばっかりじゃん!!! よくその手札でコース料理に挑んだね!?」

フレデリカ「挑戦は私を強くしてくれる」キリッ

未央「急に意識高そうなこと言いやがって!」

フレデリカ「ふふふ……このポワレを食べても同じことが言えるかな……!?」

未央「どのポワレだよポワレポワレうるさいなあ」


フレデリカ「ほい! いちごのポワレ!」バーン

未央「……いきなりデザートってことは魚も肉もありすちゃんの分しかなかったんだ?」

フレデリカ「……味見って素晴らしいよね!」グッ

未央「シェフの風上にも置けないな」

フレデリカ「料理人の性格と料理の美味しさは別々に考えるべきってフレちゃん思う!」

未央「つまみ食いで客の料理が不足するのはシェフ以前に人として問題があるよ」

フレデリカ「つまみ食いじゃなくて味見ですけど!!!」

未央「うるせえな!!!」


フレデリカ「ほらほら~? 食べさせてあげよっか~?」

未央「じ、自分で食べれるからっ!」

ガチャ

五十嵐響子「こんにちは~……未央ちゃんいますか……あ、いた!」

未央「きょーちゃん!!!」ダキッ

響子「え? え??」

未央「来てくれてありがとう!!! さ、そこに座って!」

響子「ええ? えええ??」

フレデリカ「はい1名様いらっしゃいませー!」

響子「流れるように面倒ごとに巻き込んでませんか!?」


響子「せ、説明があると嬉しいんですけど!」

フレデリカ「メッシとネイマールならどっち派?」

響子「なんの話ですか!?」

未央「三国志ならどの国が好き!?」

響子「質問に一貫性がなさすぎて怖い!」

フレデリカ「そんなあなたにオススメの調理法は~!」

未央デリカ「「ポワレ!!!」」

響子「帰っていいですか!?」


未央「ハッ! ごめんね、ちょっとストレスが……」

響子「どうしてオフなのにストレスを溜めてるんですか……」

フレデリカ「どうかしたの?」

響子「あ、そうでした! 未央ちゃん、そろそろ時間ですよ?」

未央「あれ? もうそんな時間?」

響子「そろそろ出発しましょう?」

フレデリカ「どこか行くのー?」

未央「ちょーっとご飯にね!」

フレデリカ「そっかー……」シュン

未央「……あ! きょーちゃん、ちょっとだけ、お腹に軽く入れていかない?」

響子「へ? ええと……?」

未央「おお! ちょうどいいところにいちごのポアレがある! せっかくだしこれ、食べていーい?」

フレデリカ「ミオちゃん……」

未央「へへ……」

フレデリカ「ポアレじゃなくてポワレなんだけど」

未央「ホント空気読まねえなこのフランス人」

響子「み、未央ちゃん! 口調が!」


~~~~~

未央「え、超美味しかったんだけど!?」

響子「フレデリカさんが作ったんですか? すごいです!」

フレデリカ「フフーン!」

未央(さっちーみたいになってる)

響子「デザートにポワレ……あまり聞きませんが、こんなに美味しくなるんですね」

未央「うんうん! じゃ、そろそろ私たちは行かなきゃ……」

フレデリカ「食い逃げー!!!!!」

未央響子「えーーーっ!?!?!?」


未央「は、話が違うんだけど!?」

フレデリカ「これだからゆとり世代は!!!」

響子「あまり変わらないですよね!?」

フレデリカ「いいから早く~!」プンプン

未央「い、いくらなの?」

フレデリカ「4000万ユーロ」

未央「メッシの年俸じゃねぇか!!!」

響子(なんで一瞬でわかるんだろう……)

フレデリカ「ほれほれ~、払えないなら法的手段も視野デリカ~」ピョンピョン

響子「ときおり現実的な追い詰め方してきますね……」

未央「……はっ!!!」ピーン

響子「え?」

未央「ふっふっふ~♪」

フレデリカ「?」

未央「未央ちゃんは知っているのだよ! こういう時にどう言えばいいのか!」

フレデリカ「ほほーう?」

未央「アド街を見た!!!」

フレデリカ「フランス料理を舐めてるの!?!?!?」

未央「普通に怒られた!!!!!」


フレデリカ「わかった! 今日は見逃してあげる!」

未央「よかった……」

フレデリカ「その代わり、フレちゃんの料理が美味しかったって評判にしといてね~」

響子「まあ、実際美味しかったですし……」

フレデリカ「ありがと! ……ふう~」

未央「あれ? 疲れちゃった?」

フレデリカ「……」

響子「フレデリカさん?」

フレデリカ「……」

フレデリカ「……」

フレデリカ「お米食べたい」

未央響子((えぇ~……))


☆ほぼ日本人だもんーーー



おわり




橘ありす「智絵里おねえさんとほたるおねえさん……?」



~事務所・レッスン室前~

橘ありす(ふう……今日は表現力のレッスン……)

ありす(まだまだ課題は多いですが、考えても仕方がありません)

ありす(しかし、予定表にあった『特別審査員』とはどういうことでしょうか……?)

ありす(新しいトレーナーさんが教えてくださるのだとしたら、無様な姿は見せられませんね)

コンコン

ガチャ

ありす「失礼します。本日はよろしくお願いしま」

緒方智絵里「待ってたよありすちゃんっ」
白菊ほたる「よろしくお願いしますね」

ありす「失礼しました」ガチャ

智絵里ほたる「「ちょっとちょっと!!!」」


~事務所・レッスン室~


智絵里「……」ニコニコ

ほたる「……」ニコニコ

ありす「ええと……今日はこの3人でレッスンなんですか?」

智絵里「違うよ?」

ありす「へ? でも、朋さんもフレデリカさんもレッスンは入ってなかったと思うんですが……あ、トレーナーさんが来るんですか?」

ほたる「それも違いますね……」

智絵里「そもそも、これはレッスンですらないんだよ?」

ありす「……は?」

とても好き


ほたる「今回、ありすちゃんには特別審査員をやってもらいたいんです」

ありす「特別……って、あの予定表の『特別審査員』私のことだったんですか!?」

ほたる「きっかけは、ある日のことでした……」

ホワンホワンホワン……

ありす(ここで回想に入るんですね……)


~~~~~


智絵里「ねえねえほたるちゃん、これ見て?」

ほたる「どうかしたんですか……あ、ガールズパワーの3人の特集記事ですね」

智絵里「テーマは"オトナ女子力"だって……! かっこいい……」

ほたる「本当ですね……いつかこんな衣装が似合うようになりたいな……」

智絵里「ほたるちゃんはまだまだ子どもだから、この衣装は早いと思うなっ」

ほたる「でも智絵里さん、私より背が低いですよね……? こういうのは年齢ではなく見た目が大切だと思いますが……」

智絵里「わ、私の方がお姉さんなんだよっ!」

ほたる「智絵里さんも似合うとは思えませんが……」

智絵里「は?」

ほたる「?」

 
~~~~~


智絵里「というわけで、どっちの方がお姉さんなのか、ありすちゃんに審査してもらおうかなって」

ありす「もうその動機の時点でどっちも子供ですよ」



ほたる「ごめんなさい、こんなことに巻き込んでしまって」

ありす「本当ですよ。そう思うなら帰してください」

ほたる「それとこれとは話が別です」

ありす「なぜ???」

智絵里「闇のゲームから出られるのは勝者だけなんだよっ」

ありす「その理屈でいくと審査員の生還不可能じゃないですか?」


ありす「……ちなみにこの会話、どこでしていたんですか? 事務所ですか?」

智絵里「ほたるちゃんの部屋だけど……?」

ありす「仲良しじゃないですか」

智絵里「このケンカがあったから、珍しく別々のお布団で寝たんだよ?」

ありす「誰よりも仲良しじゃないですか」

ほたる「ありすちゃんも来ますか?」

ありす「そういうのを飛んで火に入る夏の虫っていうんですよ」


ほたる「では早速……と言いたいんですが……」

ありす「ですが?」

智絵里「このままではわたしたちの"お姉さんスイッチ"が入らないよほたるちゃん……」

ほたる「はい……」

ありす「え?」

智絵里「"お姉さんスイッチ"をオンにするには……」

ほたる「ありすちゃんに……」

智絵里「"智絵里お姉ちゃん"って呼んでもらわなきゃ……!」チラッ
ほたる「"ほたるお姉ちゃん"って呼んでもらわなきゃ……!」チラッ

ありす「絶対これ打ち合わせとかしてましたよね!?」


智絵里「お願いありすちゃんっ!」

ありす「い、嫌ですよ恥ずかしい!」

智絵里「ちょっと事務所のLINEに流れるだけだから!」

ありす「拒絶の意思がより強くなりましたけど!?」

ほたる「私は明日を生きて過ごせるかもわからない身……最後に"お姉ちゃん"と呼ばれてみたかったです……」ヨロッ

智絵里「ほたるちゃーん!!!」

ありす「茶番やめてください!!!」


ありす「なんなんですか! ほたるさんまで悪ノリして!」

智絵里「作戦失敗だねほたるちゃん……」

ほたる「はい……」

ありす「ちょっとは隠してください!」

智絵里「じゃあ、この勝負に勝った方だけが呼んでもらえるってことでいいかな?」

ほたる「それしかないようですね……」

ありす「だからどうして私の承認を得ずに進めるんですか!!!」


ほたる「では、"どっちのお姉さんショー"スタートです」

ありす(既視感あるタイトルですね……)

智絵里「わ、わたしはお姉さんだから、おこづかいあげるっ」

ありす「いきなりこういうこと言いたくないですけど世間一般では賄賂ですよそれ」

智絵里「600ガバス」

ありす「ガバス」

ほたる「ごめんなさいありすちゃん。智絵里さん、生まれた時に常識をどこかに落としてしまったみたいで……」

ありす「同意してもしなくても地獄しか見えないんですが」

ほたる「私からはこの、お下がりの……」

ありす「洋服ですか?」

ほたる「メリケンサックを」スッ

ありす「何か嫌なことでもあったんですか?」


ありす「姉妹でメリケンサックを受け継ぐ風習なんて聞いたことないですよ……」

智絵里「ほたるちゃんは鳥取出身だもんね?」

ありす「絶対関係ないです。鳥取の人たちにとっては完全な風評被害ですよ」

智絵里「ここまでは互角みたいだね……!」

ほたる「はい……」

ありす「そうですね。ふたりとも0点ですから、互角と呼んで差し支えないです」

智絵里「しょうがないからおこづかいあげるっ」

ありす「金銭以外での人心掌握は最初から選択肢にないんですか?」

智絵里「7000ペリカ」

ありす「いい加減日本で流通しているお金を持って来てください!」


智絵里「じゃあ逆に、ありすちゃんならどんな人をお姉さんにしたい?」

ありす「え? ええと……そうですね……近くにいて安心できる人がいいですね」

智絵里「わたしのことだね……!」

ほたる「私のことですね……!」

ありす「鏡見てください」

ほたる「私の隣にいれば、落下物は全て引き受けますよ」

ありす「普通は落下物なんて考慮しないんですよ」

智絵里「わ、わたしの隣にいれば……」

ありす「いれば?」

智絵里「ええっと……た、楽しいです……?」

ありす(かわいい)

ほたる(かわいい)


ありす「って、そうじゃないです! お姉さんなら、何か頼れる部分がないとダメです!」

智絵里「わたしのことだね……!」

ほたる「私のことですね……!」

ありす「さっきからポジティブすぎて気味が悪いんですが」

智絵里「ありすちゃん、何か困ってることはない?」

ありす「奇遇ですね。ちょうど目の前に悩みのタネがいるところです」

智絵里「だってほたるちゃん」

ほたる「ブーメランが趣味なんですか?」

智絵里「その時は的になってくれる?」

ほたる「キャッチボールもまともにできない弱肩のはずですよね?」

智絵里「奥の手は隠しておくものだからね」

ほたる「奥の手がすぐに破られると哀れですよ」

智絵里「その余裕はいつまでもつのかなぁ」

ほたる「年下にムキになるなんて、余裕がないですね」

ありす「す、ストップ! ストーップ!!!」


ありす「け、ケンカはやめてください……!」

智絵里「普通に話してただけなんだけどね?」

ほたる「このくらいにしておいてあげますね」

ありす「完全に口論でしたよね!?」

ほたる「日常会話ですよ?」

ありす「ずいぶん殺伐とした日常ですね……」


智絵里「ここまでではどっちがリード?」

ありす「拮抗してますね、0点なので」

ほたる「もうひと押し……!」

ありす「どこを?」

智絵里「お姉さんって難しいね……」

ありす「というか、日頃から関わっている朋さんに判断してもらえばいいじゃないですか」

智絵里「それはダメだよ?」

ほたる「はい」

ありす「へ? どうしてですか?」

智絵里「だって朋さんは」
ほたる「だって朋さんは」

智絵里「わたしを選ぶに決まってるからっ」
ほたる「私を選ぶに決まっていますから」

智絵里「は?」

ほたる「?」

ありす「もう!!!」


ありす「なんで険悪になるんですか!」

智絵里「聞き捨てならないよほたるちゃん?」

ほたる「こちらのセリフですよ?」

智絵里「朋さんはわたしを選ぶんだよ?」

ほたる「自意識過剰もここまでくれば清々しいですね」

智絵里「そうやって決めつけるの、陰湿なんじゃない?」

ほたる「またブーメランですか、前世は狩猟をお好みで?」

智絵里「ほたるちゃんの前世はさぞ辛気臭い生き物だったんだろうね」

ほたる「照れます。でも智絵里さんには及びませんよ」

智絵里「ふふっ、相変わらず冗談が上手いね」

ほたる「現実を受け取ることもできませんか」

智絵里「素敵な減らず口だねっ」

ほたる「そうやって批判から目を背けるようではお姉さんは遠いですよ」

智絵里「わたしの方が年上だって何回言えばわかってくれるのかな? ねえありすちゃん?」

ほたる「ありすちゃん、こういう人間になってはいけないですよ?」

ありす「……」

智絵里「……ありすちゃん?」

ありす「……グスッ……なんで……ケンカ……グスッ……するんですかぁ……」グスッ

ほたる「」

智絵里「」

ほたる智絵里((やっちゃった!!!!!))


智絵里(ほ、ほたるちゃんのせいで)

ほたる(い、言ってる場合じゃないです!)

ありす「なかよく……エッグ……しましょう……よ……」グスッ

智絵里「な、なーんちゃって!!!」

ほたる「わ、私と智絵里さんは仲良しですよ!」

ありす「……ヒック」グスッ

智絵里「ほーら手を繋いじゃったり!」ガシッ

ほたる「抱きしめたり!」ギューッ

ありす「なかよしですか……?」ウルウル

智絵里「も、もちろんっ!」


ほたる「なんでも言える仲って、とっても仲良しだと思いませんか?」

智絵里「うんうんっ!」

ありす「……」

智絵里(もうひと押し!)

ほたる(はいっ!)

智絵里「ほら! ほっぺにチューしちゃったり!」チュッ

ほたる「ひゃっ!? あ、お尻を触ったり!」ペタペタ

智絵里「きゃっ!?」

ありす「ふふ……もう……セクハラですよ……」クスッ

ほたる智絵里((セーフ!!!!!))


ありす「すみません、取り乱してしまいました……」

ほたる「いえ、こちらの責任なので……」

智絵里「ごめんね……?」

ありす「まあ、泣いてはいませんが」

智絵里「え?」

ほたる「え?」

ありす「何か?」

ほたる「ふふっ(こういう部分で意を汲んでこそ、お姉さんですよね?)」

智絵里「ふふっ(そうだねっ)」

ありす「なんで笑ってるんですか」

智絵里「なんでもないよ? ね?」

ほたる「はいっ」

ありす「納得いきませんが……」


智絵里「じゃあ、今日のところは引き分けにしておいてあげるね」

ほたる「それが平和ですね」

ありす「そもそも、そう簡単に他人のお姉さんになんてなれないんですよ」

ガチャ

神谷奈緒「うーっす。ありすの予定見たらここって書いてあったけど、いるか?」

ありす「奈緒さん!!!」ダキッ

奈緒「うわあっ!?」

ありす「私は奈緒さんの妹になりたいです!」

奈緒「どうした急に!?」

智絵里「い、いきなり現れてありすちゃんを奪っていくなんて……この泥棒猫っ!」

奈緒「いや状況が全然わかんないんだけど!?」

ほたる「……泥棒猫」

奈緒「ほたるが言うとなんか重いぞ!?」

ありす「奈緒さんは私の泥棒猫です!」

奈緒「その泥棒猫の一点張りやめてくれないか!?」


奈緒「と、とりあえず落ち着け? な?」

ありす「お近づきの印に600ガバスあげます」

奈緒「なんで!?」

智絵里「さ、さっきわたしがあげたやつー!?」

奈緒「この部屋の通貨ってガバスなの!?」

ありす「メリケンサックも仕入れてますよ!」

奈緒「ありすの口からメリケンサックとか聞きたくなかった!」

ありす「ああ……このモフモフな髪……落ち着きます……」ギューッ

智絵里「やはりモフモフこそお姉ちゃん……!」

ほたる「ずるいですね……」

奈緒「あたしのお姉さんポイントの大半って髪の毛で稼いでるの?」


ほたる「ところで奈緒さんはどうしてここに?」

奈緒「あ! そうだ、ありす、そろそろ時間だぞ?」

ありす「あ、もうですか、すみません……」

智絵里「どこか行くんですか?」

奈緒「うん、ちょっと食事にな」

ありす「失礼しますね」

智絵里「ありすちゃん、次に会うときはもっとお姉さんになってるからねっ」

ほたる「期待していてくださいね」

ありす「奈緒さんを越えてから言ってください」

智絵里「泥棒猫」キッ

ほたる「泥棒猫」キッ

奈緒「だからなんなんだよ!!!」



おわり





エピローグ



~某所・ファミリーレストラン前~


朋「あ、来た来た!」

未央「こっちこっちー!」

奈緒「あれ、あたしたちが最後か」

ありす「すみません……」

晶葉「いやいや、まだ集合時間前だ。なにも問題ない」

響子「そうですよ、私と未央ちゃんもちょうど今来たばかりですし」

朋「あたしと晶葉ちゃんは寒空の下、ずっと待っていたのに……」シクシク

晶葉「5分も待ってないけどな」

ありす「なんですぐバレるウソついたんですか」

朋「ちょっとしたユーモアよ♪」


未央「じゃ、寒いから早く入ろー!」ゾロゾロ

ありす「これ、忘年会でいいんですよね?」ゾロゾロ

晶葉「いいんじゃないか? 酒は出ないがな」ゾロゾロ

朋「最年長のあたしですら19だからね~」ゾロゾロ

奈緒「ありすが20になるのを待ってたら朋はアラサーだな。なんて」ゾロゾロ

響子「それまで続いているんでしょうか……?」ゾロゾロ


~テーブル~


未央「ではでは! 藤居隊長よりお言葉をいただきます! 心して聞くよーに!」

朋「はい!」

晶葉「元気すぎるだろう……」

ありす「まあ、この場くらいは……」

朋「まずは晶葉ちゃん、響子ちゃん、奈緒ちゃん。この"常識キャリブレーションミーティング年忘れ編~ポロリもあるよ!~"に参加してくれてありがとう!」

奈緒「おそらくポロリはねえよ」

響子「というかそんな仰々しい名前だったんですね……」


朋「日頃のストレスとか、ストレスとか、ストレスとかを忘れて、のんびりとご飯を食べよう!」

響子「ストレス多すぎませんか?」

朋「ここからはコメディじゃなくてほのぼのだからね! 覚えといてね!」ビシッ

晶葉「朋が一番コメディに足を突っ込んでるんだよ」

未央「いい挨拶だったよともとも……」パチパチ

奈緒「基準はどこだ?」

ありす「毎回この2人はテンション高めなので……」

晶葉「働きアリの法則を思い出すな……」


響子「3人はけっこう頻繁に集まってるんですか?」

朋「うーん、どうだろ?」

ありす「まあ、月に一回くらいは集まってますね」

未央「手を組まなきゃ生きていけない世界だからね」

奈緒「3人の職業はアイドルで合ってるよな?」

未央「逆に聞くけどしまむーの職業ってアイドルで合ってる?」

晶葉「ユニットメンバーが聞いたらおしまいだろう……」

響子「……わ、私はユニットメンバーではないので」

ありす「聞く前から逃げるのやめましょう」


朋「じゃ、何頼もっかな~」

ありす「あ、今このお店、フレンチフェアやってるみたいですよ」

奈緒「へえ、そうなのか、どれどれ……」

晶葉「ほう、鰆のポワレの写真が載っているな」

未央「ポワレはもういいよ!!!!!」

奈緒「急にどうした!?」

未央「はっ!? ご、ごめん、ポワレにはちょっとトラウマが……」

ありす「どういう人生歩んだらポワレで心の傷を負うんですか」

響子「未央ちゃん、気持ちはわかりますけど……」

奈緒「わかるのかよ」


未央「ありすちゃん」

ありす「はい?」

未央「ポワレには気をつけてね」

ありす「な、なぜ名指しで私に注意喚起を!?」

響子「ま、まあ、悪いことにはならないと思うので……」

ありす「今まさに感じているこの不安こそが"悪いこと"に他ならないですけど」


ありす「ああそうです、響子さん、ちょっとお聞きしたいのですが」

響子「なんですか?」

未央「ポワレの作り方?」

晶葉「ポワレポワレうるさいな」

未央「はいそれさっき未央ちゃんが言ったツッコミ~」

奈緒「もはや未央のテンションが軽い恐怖だよ」

ありす「響子さん、鳥取出身ですよね?」

響子「はい!」

ありす「……鳥取ってお下がりにメリケンサック渡すんですか?」

響子「はい?」


未央「あーはいはい出ました常識のズレ」

朋「まあこれを直すための会だもんね」

晶葉「反応が慣れすぎだろう」

奈緒「恐ろしい会だな」

ありす「やっぱり違いましたか……」

未央「今回の出どころは?」

ありす「智絵里さんですね」

朋「おっけ、あとで叱っておくから」

響子(今頃くしゃみしてそう……)


朋「え、ってかありすちゃん、今日智絵里ちゃんと一緒だったの!? 大丈夫!?」

ありす「ほたるさんもいましたが」

朋「役満じゃない!」

奈緒「酷い言い草だ」

未央「役満って。ユニットメンバーに役満って」

ありす「……ま、まあ、大丈夫でしたよ」

朋「本当に? 何か酷いこととかされてない?」

未央「一番酷いのはともともの言い方だよ」

ありす「……」

奈緒「……そういえば、あたしが迎えに行った時、ちょっと目が腫れてたような……」

朋「!!!!!」

ありす「な、奈緒さん!」

朋「詳しく聞いてもいいかしら……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ありす「は、はひぃ!」


~~~~~

朋「ほんっっっとうにごめんね!!!!!」

ありす「い、いえ、過ぎたことですし……別に泣いてませんし」

朋「後でこってり絞っておかなきゃ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

奈緒(ご愁傷様……)

ありす「まあ、仲良しなのはわかりましたから……」

朋「人様に迷惑をかけるなってあれほど言っているのに……!」

晶葉「完全に保護者だな」

未央「あれ? ってことはともともはさっきまでは誰といたの?」

朋「え? 凛ちゃんと卯月ちゃんだけど」

未央「役満じゃん!!!」

響子「そのリアクション流行ってるんですか?」


未央「大丈夫だった!?」

奈緒「みんな自分のユニットメンバーを何だと思ってるんだ」

朋「こっちは特に問題ないわよ! あ、未央ちゃん、凛ちゃんがセクハラしてきたら『そっちじゃなくて!』って言ってあげてね」

未央「やけに具体的だけど使い道が全然わからないアドバイスだ……」

ありす「というか、この流れだと未央さんはさっきまで……」

未央「まあ、フレちゃんといたよね」

ありす「やはり。今日は何デリカでしたか?」

奈緒「『今日は何デリカでしたか?』って質問、この場じゃなかったら狂ってると思われるから気をつけてな」

未央「ポワレデリカだったね」

響子「シェフデリカです」


未央「感想としては、ありすちゃん凄いねって」

ありす「私は朋さんの凄さを思い知りましたけど」

朋「いやいや、未央ちゃんの方が凄いと思うわよ?」

未央ありす朋「「「……」」」

未央ありす朋「「「かんぱーい!!!」」」

晶葉「なんだこれ!!!」

奈緒「いつもこれやってんのか!?」


朋「でも人数も増えたし、もっと開催数を増やしてもいいかもね?」

未央「そうだね。全員揃わなくても問題ないし」

ありす「この事務所で生き残るにはマトモな人間で手を組むしかないですからね……!」

奈緒「急に戦国時代みたいな立ち回りが必要になってきてるな」

響子「3人とも、目が真剣ですね……」

晶葉「楽しそうだからまあ、いいんじゃないか?」

未央「じゃ、次は杏ちゃんとか呼ぼっか?」

朋「あとは菜々ちゃんとか?」

ありす「麗奈さんもわりとこちら側ですね」

奈緒「編成会議をするな」

朋「さて! まだまだ夜は長いわよ!」

未央「うんうん! そうだそうだ!」

晶葉「……まあ、こういう場も必要なのかもな」

響子「……ですね」


朋「目指せ胃薬現物支給からの脱出!」

奈緒「そこだけ聞くと奴隷みたいだからやめろ!」

未央「私たちはみんな社会の奴隷なのでは……?」

響子「なんかテーマが難しくなってきちゃいましたよ!?」

ありす「な、何かボケなきゃ……!」グルグル

晶葉「そういうの別にいらないからな!?」

未央「なんだか騒がしくなっちゃったけど!」

朋「とりあえず~!」


「乾杯!!!」




おわり






過去作


橘ありす「総理大臣フレデリカ?」

渋谷凛「宗教を開いて」本田未央「儲けたい?」

【モバマスSS】見舞え!なおかれん!

新田美波「趣味はしかく集めです!」P「死角!?」


などもよろしくお願いします


あと冬コミ出ます。
ご興味がありましたらぜひ。


麗奈次元見てみたい

おつおつ

乙です
やっぱり、ちえりんかわいい

冬コミ信管は楽しみですが、L.M.B.Gはもっと楽しみなので気長に待っております

響子ちゃんにユニットメンバーじゃないって言われてるしまむーに草

乙です。
リトル・マーチング・ファンド・ガールズの時にツッコミ寄りのメンバーは結構出てきた気がしますね。

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