新しいデバイスを買いました (17)

最近、新しいデバイスを買ったので、自慢したいと思います。
なぜここに投下するのかと言いますと、実はこのデバイス、ある伝説がありまして、発売後にちょっとした話題になってたんですよ。
何でも「悪魔の人形」という伝説らしいです。
あ、もちろん「あ、熊の人形!」とか、そういうオチじゃないですよ。

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まあ、伝説とは言っても、都内のとあるマンションに住む男子高校生と、その隣に住む同級生の女子の話なんですけどね。
ごく普通の生活を送っていましたし、特殊能力とかもなかったです。

幼い頃、女の子の方が人形を拾ってきたんですよ。
とある姫騎士の人形なんですけど、実はオリキャラらしくて、河川敷に落ちてたものを拾ってきたんですよ。
で、洋服も落ちてた時に着てたやつしかなかったので、女の子が自分で作って、着せ替えしてました。

ところで、隣に住む男の子は、普通に外でサッカーなり野球なりして近所の公園とかで遊んでたんですけど、問題は人形が男の子をどう思っていたかです。
実は、後で詳しく述べる通り、この人形は、動くことはできないのですが、心を持ってたんですよ。
ついでに言うと性別もあって、見た目通り女性なんです。
普通小学生くらいの男の子がこういう人形を目にすると、例えばプロレスごっこか何かをして、自分で作ったプラモか何かと戦わせたりするじゃないですか。
ところが彼は人形に対してそういうことはせず、普通に着せ替えをして遊んだり、時折自分で洋服を作ったりすることもありました。
そんな心優しい男の子に、人形はだんだん心惹かれるようになっていったんですよ。

そうこうするうちに月日は流れて、2人とも高校生になりました。
ちょうどその頃、男の子の方に、ある現象が起こるようになりました。
夜寝ている時に、枕元に謎の美少女が現れるようになったんですよ。
年代は男の子と同じくらいで、衣装はなぜかあの人形を拾ってきた時と同じだったんです。
夜中によく姫騎士コスをした美少女(以下「王女」と表記)に起こされる。最初は戸惑ってたんですけど、次第に打ち解けていきました。
そうした不思議な夜を過ごしていくうちに、最初は3日おきくらいだったのが毎日来るようになって、心優しい王女に、男の子は次第に心惹かれるようになりました。
そうした夜を過ごしながらも、高校生活は順調でした。男女ともに友達も増え、幼馴染の女の子とも仲が良く、夜は謎の王女と楽しいひと時を過ごす、という生活を送ってました。

順調に生活している男の子ですが、実は王女にはある悩みがあったんですよ。
王女のブーツは鋼鉄製なんですけど、それなりに露出があるとはいえ、全身鎧で包まれているため、それなりに汗をかいているんですけど、ブーツは通気性がない上に、ブーツの中は何も履いてないため、汗と熱気がこもってものすごい匂いがするんですよ。
どこかで「女の子の足が汗で蒸れていると男の子がドキドキする」っていう話を聞いたことがあって、王女はよくブーツを脱いでは男の子の鼻を足の親指と人差し指の間に挟んで指をむにゅむにゅ動かして遊んだりしてました。
男の子はドキドキしてましたし、それを見て王女も楽しそうにしてました。

そんなある日、男の子は王女に、ブーツを舐めさせてほしい、と頼んだんですよ。
そしたら、王女は残念ながらそれはできない、と答えました。
ブーツに顔を突っ込んで匂いを嗅ぐのはいいけど、舐めることだけは残念ながらできない、とのことです。
王女は、私のブーツには実は呪いがかかっていて、舐めることはできない、と言いました。そして、なぜ呪いをかけたかについて説明しました。

実は王女、数百年前のヨーロッパのとある小国の王女だったんですけど、辺境の山に住む水竜をも魅了する絶世の美少女と言われて、多くの騎士や貴族がブーツを舐めていたんですけど、あまりに多くの人が舐めるものだからブーツが汚れるため、悪魔と契約して呪いをかけてもらったため、それからというもの誰も舐めなくなったんですよ。
そうだったのか、と男の子が言うと、王女は自分の出自について話し始めました。

王女は、実は知略と剛勇を非常に高いレベルで両立させたハイスペックな人だったんですよ。で、しょっちゅう周りの貴族やら賢者やらが求婚に来たわけです。でも、国王はまだ王女は結婚するには若すぎる、と言って、保留にしておいたんです。
その頃、王女はよく城下町に遊びに行っていたのですが、そこである若い商人と出会いました。
とても真面目で、腕の立つ人だったんですけど、実は彼、王女が来ても、他の人と変わらないように、とても親しく接していたんですよ。
普通王女とかが来たら、みんなまず引き下がって跪いたりするじゃないですか。でも彼は王女だからといって特別扱いしたりせずに、一人の人間として見てたんですよ。今まで周りから姫様姫様言われ続けていた自分が、この人と一緒にいるとそういった負荷から解放されるんです。いつしか、その商人は王女にとって心のよりどころ的な存在になっていました。

で、国王(つまり父)にそのことを話したら、たいそう喜んで、国王も彼のことを気に入っていました。
でも、噂が城下町から城内に入って、何しろ数百年前の話ですから、一介の商人が王女と仲良くするのを好ましく思わない人も多く、求婚の声は増す一方でした。
噂を嗅ぎつけた国王は、この国の辺境の山に水竜が住んでいるから、彼を倒した者に娘をやろう、と言いました。というのもこの水竜、本気を出せばこの国よりちょっと大きめの国を滅ぼすほど強くて、みんなを諦めさせるためにこんな口約束を交わしていたんです。でも、実はこれ、悲劇の引き金だったんです。

実はこの水竜、商人および王女と非常に仲が良く、2人で山に遊びに行っては水遊びするような仲でした。
最初に水竜のもとを訪れたのは、とある名門の貴族ですが、彼が水竜にあなたを倒して姫様と結婚する、と言うと、事情を知らない水竜は、彼女には好きな人がいるから、身を引いてください、と言いました。
すると、水竜と彼らの仲を知らない貴族は、あなたは姫様の何を知っている、と言いました。すると水竜は、これまで彼らと過ごした思い出をいろいろ話しました。
これで彼らと水竜の仲を確信した貴族は、今度は商人に対して憎悪を感じるようになりました。何せ商人のクセに王女や水竜と仲良しなんですよ?とんだリア充じゃないですか。
それが噂となり、首都中に広まって、みんなが思ったんですよ、あの商人さえいなくなれば、と。

で、ついに事件が起こるわけです。
商人が貿易のため国外に出張している時に、野外のテント内にある騎士が忍び込んで、寝ている商人の背中を包丁で刺し殺してしまったんです。
その噂はあっという間に首都中に広まって、仲良しの商人が死んで、国王も王女も当然悲しみました。
しかし、悲しんだ国王がまず真っ先に誰に相談したのかと言いますと、実は水竜に話したのです。国王は商人&王女と水竜が仲良しなことを知らずに相談したのですが、まだ商人の死を知らない水竜に軽はずみに相談してしまった結果、水竜は精神が不安定になり、能力を暴走させた結果、全精力を使い果たし、その生命の灯火を国ごと消滅させました。王女はその魂を凝固させて人形になり、それが数百年後に日本の河川敷で女の子に発見されて、大事にされてきた、というわけです。悪魔と契約してブーツに呪いをかけてもらった王女の魂が具現化した人形だから「悪魔の人形」です。重ねて言いますが、「あ、熊の人形!」ではありません。

以上のような王女の出自を聞いて、男の子は辛いことがあったんだね、と言いました。すると王女は、実はあの人形は普通の人には見えない、と言いました。
実は男の子は商人が転生した姿で、女の子は水竜が転生した姿なんです。だからこの2人にしか見えなかったんです。それでも水竜の魔翌力によって、最初には特殊能力がないと言ったんですけど、潜在能力みたいなものはあったんですけど、「あの2人は見えない人形で遊んでる」っていう噂は一切立たなかったんです。

で、実はこの呪い、解く方法があって、呪いが解ければ王女も具現化して、全部解決するらしいんですけど、その呪いを解く方法というのが、商人の転生体と水竜の転生体と王女が3人揃っている所で、王女のブーツにかけられているものと同じ呪いがかかったカートリッジを差し込んで遊ぶ、僕が最近買ったデバイスが正常に作動していることを見せる、というもので、幼馴染の女の子、すなわち水竜の転生体を男の子の部屋に呼んで、3人いる所でデバイスを起動したんですよ。
そしたら、そのデバイスで遊べる「魔界戦記ディスガイア5」っていうゲームに登場する「ゼロッケン」っていうキャラクターの「日本一ソフトウェアプレゼンツ」っていう声を聞いた瞬間に、王女の全身が光って、光が消えた後もブーツが光り続けて、呪いが解けたと同時に王女も具現化して、ブーツの光が消えた後、良かったね、と言って3人で抱き合いました。
それから王女は2人の通っている高校に編入して同じクラスになって、男の子と王女は同棲&交際を始めた、という伝説です。(完)

なぜカートリッジに呪いがかかっていたのかと言いますと、実はこのデバイス、子供も遊ぶものなので、誤飲を防ぐためにかけられました。奇しくも幼い女の子もまた、この呪いのおかげで人形のブーツを誤飲せずに済みました。
実はこのデバイス、「Nintendo switch」っていうゲームハードなんですけど、カートリッジには「デナトリウムベンゾエイト」っていう呪いがかかっています。
実は舐めると苦いらしいのですが、なかなか勇気がなく、現在では「そもそも舐める必要ないんじゃない?」っていう結論が出ています。

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