【モバマス】ほたる(23)「雪美ちゃん、起きてください」 (14)

同棲している白菊ほたるさん(23)と佐城雪美ちゃん(20)のある一日を描いたお話です。
4000文字ぐらいの短いお話です。
よろしくお願いします。

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―――――午前7時

ほたる「朝ですよ」

雪美「朝……違う…………。夜………」

ほたる「夜がこんなに暗いわけないでしょ」

雪美「私………信じて…………」

ほたる「今だけは信じられません」バサッ

雪美「凍死………した…………」

ほたる「それぐらいでは死にません」

雪美「ん………ん……」

ほたる「えっ、なに?」

雪美「抱っこ…して………。起こして………………」

ほたる「仕方ないですね」ギュッ

雪美「ありがとう…………」

ほたる「今日は二人で瑞樹さんラジオ番組に出演なんですから、しっかりしてください…」

雪美「うん……すぐ…準備する………」

――――――午前10時

瑞樹「それで、ほたるちゃんがいつも雪美ちゃんを起こしてるのね」

ほたる「そうなんです、なんだか手のかかる子どもみたいで」

雪美「ふふっ…………」

瑞樹「わかるわ。私も毎朝楓ちゃんを起こすの大変だもの」

ほたる「あぁ…なんだか想像できます」

瑞樹「それにあの子、お酒もよく飲むから大人と子どもの質の悪さのあわせ技よ」

雪美「流石……楓…………」

瑞樹「雪美ちゃんもあんまりほたるちゃんに迷惑かけちゃだめよ」

雪美「大丈夫………お酒……あんまり飲まない……」

瑞樹「朝もちゃんと起きなきゃだめよ」

雪美「…………ふふっ……」

瑞樹「こういうとこちょっと楓ちゃんに似てるわよね」

ほたる「瑞樹さんも、苦労してるんですね…」

瑞樹「そうなのよ。そう聞いて、この前楓ちゃんが酔って帰ってきたんだけどね」

瑞樹「あの子、風呂に入るなりボディーソープで頭を洗い始めたの」

ほたる「えっ………」

瑞樹「もうほんとびっくりして急いで洗い流してリンスとかトリートメントとかしてなんとかなったんだけど」

瑞樹「あとで聞いたら3日に一回ぐらいはボディーソープで頭を洗ってるって言っててなんていうかすごく損した気持ちになったわ」

ほたる「楓さん、本当に自由奔放なんですね…」

雪美「私……大丈夫……。ちゃんと……髪……洗ってる……」

瑞樹「ほんと、雪美ちゃんは髪の毛がツヤツヤで羨ましいわ」

ほたる「不思議ですよね。私と同じシャンプー使ってるのに…お風呂上がりの香り方が違うというか…。少し、羨ましいです」

瑞樹「そうかしら、ほたるちゃんも髪の毛つやつやよ」

ほたる「あっ、ありがとうございます」

瑞樹「それにしても二人とも10年経ってもあんまり変わってないわよね」

ほたる「瑞樹さんもあんまり変わってないと思いますよ…」

雪美「うん………変わってない………アンチ…エイジング………?」

瑞樹「大事よねアンチエイジング、この歳になると特に思うわ」

ほたる「私もアンチエイジングしようかな…」

瑞樹「ほたるちゃんまだ23歳でしょ?まだ大丈夫よ、まだ若さで乗り切れるわ」

瑞樹「私なんかもうちょっとずつラブリーミズキに限界を感じてるもの」

ほたる(ちょっとだけなんですね…)

瑞樹「この前なんか商店街歩いてたら後ろから男子中学生に『おばちゃん』って声かけられちゃって」

瑞樹「思わずムキになって追いかけ回しちゃったわ」

雪美「怖い…………」

瑞樹「大丈夫よ、取って食うわけじゃないもの」

ほたる「やっぱり瑞樹さんはすごいです…。本当にパワフルで…」

瑞樹「大事よ、パワフルに生きるって。ほたるちゃんは儚い感じが素敵だけれど生き方はパワフルになっても良いと思うわ」

ほたる「はい、パワフルに生きてみます…」

雪美「私も……ワッフル食べて……パワッフルに…生きる……。ふふっ……」

瑞樹「あなたそんなに楓ちゃんっ子だったかしら!?」

雪美「私……肩書……ポスト高垣………。ふふっ……」

瑞樹「でもほんと、見た目は完璧なのにどうしようもないところは似てるわよね」

瑞樹「ってなんか結構話し込んじゃったわね、次のお便りいきましょ」

瑞樹「ラジオネームブラックリバーさん。川島さん、白菊さん、雪美さんこんばんは。はいこんにちは」

ほたる「こんにちは」

雪美「こんにちは………」

瑞樹「この前、同棲相手の服を間違えて着てしまったの。サイズが似ていると着てもわからないものね」

瑞樹「白菊さんと雪美さんはこんな経験あるかしら?ってことだけどどうかしら」

ほたる「私の服をわざと雪美ちゃんが着てることはあります」

雪美「ほたる……服……可愛い…………。だから……」

瑞樹「そういえば二人共ゴスロリっていうの? 結構そういうの好きよね」

ほたる「そうですね…特に雪美ちゃんはロリータ系のファッションが多いです…」

雪美「私………こういう服………、好き………」

瑞樹「そういえば二人ともスカートばっかりであんまりパンツははかなそうね、履いてる所みたことないわ」

ほたる「そうですね、パンツは外では履かないです」

雪美「私………パンツ……持ってない………」

瑞樹「結構楽でいいと思うんだけれど、イメージってあるわよね」

ほたる「瑞樹さんはパンツが似合う大人の女性って感じで…素敵です」

瑞樹「ふふっ、褒めても何も出ないわよ」

雪美「黄金糖も………?」

瑞樹「そんなステレオタイプなおばちゃんじゃないわよ私は。まぁ、もってるけど」

ほたる「もってるんですね…」

瑞樹「喉にいいのよ」

雪美「流石………川島相談員………」

瑞樹「懐かしいわねバラエティー生活◯百科」

ほたる「……?」

瑞樹「ほらほたるちゃんぽかんとしちゃったじゃない。ローカルすぎるネタはだめよ」

瑞樹「一応このラジオ全国放送なんだから」

雪美「うん……。わかった…………」

瑞樹「それじゃぁ次のお便り行きましょうか」

―――――午後4時

ほたる「やっぱり瑞樹さんはすごいですね…話を進めるのが上手です…」

雪美「流石……なにわの…キャスター………」

ほたる「それはちょっと違うと思いますけど…」

雪美「お茶……しばいて……帰ろ……」

ほたる「普段そんな言い方しないですよね?」

雪美「ふふっ……………」

ほたる「あっ、CDショップ」

雪美「久しぶり……勝負……する……?」

ほたる「よりCDが売れてるほうがおごるんですよね」

雪美「うん…………」

――――――

ほたる「ギリギリ勝った…、いや、これは負けたんでしょうか…」

ほたる「この勝負はいつも複雑な気持ちになりますね」

ほたる「というわけで雪美ちゃん、ごちそうさまです」

雪美「このCD……欲しかったやつ……」

ほたる「それはずるですよ」

雪美「みなさん……今なら…ほたる……CD……、サイン付き………」

ほたる「そんな勝手なことしたら事務所に怒られます」

雪美「やすいよ……やすいよ………」

ほたる「安売りしないでください」

雪美「………帰る…?」

ほたる「とびきりおしゃれなカフェに行きましょう。こんな幸運、なかなかありませんから」

雪美「………お手柔らかに………」

―――――午後4時半

ほたる「今日こそは注文したものが入ってますように……」

雪美「中身……見えない……。ドキドキ……ね………」

ほたる「…うぇっ…苦い………。これキャラメルマキアートじゃなくてコーヒーです……」

雪美「ほたる…………」

ほたる「…コーヒーとマキアートで迷っていたので丁度よかったです…なんて」

雪美「一口……あげる………………」

ほたる「ありがとう……。雪美ちゃんも一口要りますか?」

雪美「……要らない」

ほたる「そうですか…」

雪美「お店の人……言って……、替えて……もらう…………?」

ほたる「忙しそうだからいいです…。私なんかが邪魔したら迷惑でしょうし……」

雪美「ほたる………………」

ほたる「それに、このコーヒーだって美味しいです。ちょっぴり苦いですけど…」

雪美「ほたる……強くなった………」

ほたる「はい、いつまでも不幸に負けっぱなしじゃ悔しいですから……!」

雪美「うん…………………」

ほたる「雪美ちゃんは昔と変わらなくて、とても強いと思います」

雪美「私………強い…………。ふふっ………佐城…強美………」

ほたる「そういうところです」

雪美「……………?」

ほたる「本当に、あの頃と全然変わらないですね」

雪美「そんなことない………身長……伸びた……」

ほたる「そうですね」

雪美「胸も………………………。…身長……伸びた………」

ほたる「自分から触れなくても……」

―――――午後10時

ほたる「雪美ちゃんはやっぱり可愛いですね」ナデナデ

雪美「ほたる……お酒…くさい………」

ほたる「この長い髪がやっぱり素敵です」もふもふ

雪美「ほたる………………………」

ほたる「本当、私と同じシャンプー使ってるはずなのにこの匂いはずるいです……」クンクン

雪美「ほた…る………」

ほたる「なんだか雪美ちゃんと居ると気持ちがほたほたします」ギュッ

雪美「ほたほた……?」

ほたる「機嫌がよくてうれしそうな様子をほたほたするっていうんです」

雪美「知らなかった…………」

ほたる「そういえば、どうして雪美ちゃんは私と一緒に住もうと思ったんですか?」

雪美「なんとなく………」

ほたる「えっ」

雪美「冗談………だよ……………」

雪美「ほたる………立ち向かう……強さ……ある………」

雪美「私…には………あんまり………ない…………」

ほたる「そうかもしれません、不幸に流されるままでは絶対に生きて行けませんでしたから」

ほたる「でも、雪美ちゃんには流れに身を任せているようでいつの間にか自分が流れを作るような」

ほたる「そういう不思議で、しなやかな強さがあると思います」

ほたる「私にはない強さです」

ほたる「だからこそ、雪美ちゃんと一緒に居たいと思ったのかもしれません」

雪美「……………………」

ほたる「雪美ちゃん?」

雪美「……………………すー……………………」

ほたる「寝ちゃった」

ほたる(幸運の女神様、不幸の神様)

ほたる(どうか、雪美ちゃんといる時は目を瞑っていてください)

ほたる(私が勝ち得た幸せなのですから)

終わり

以上です。

読んで頂きありがとうございました。


前作です。

【モバマスSS】聖「カラオケに」雪美「行って…みたい……」
【モバマスSS】聖「カラオケに」雪美「行って…みたい……」 - SSまとめ速報
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