晴絵「決着を…付ける」 (38)

ーー小鍛治健夜ーー




国内無敗、永世八冠。




最後に跳ね満以上を直撃されたのは、高校生のインターハイ。




付いた異名は、「グランドマスター」………

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えり「はじまりました、日本プロ麻雀界最大の権威、大沼杯戦!」




えり「今年は四十年目にあたります」




うた「今回の目玉は、ついにプロリーグ復帰を果たした小鍛治プロじゃね?しらんけど」








衣「手合わせ願おう」




咲「よろしくねっ」




照「よろしく」








健夜「…よろしくね」ゴゴゴゴゴ




衣「!? 」ゾワッ




咲(この威圧感…一体…)




照(この人…)

健夜「ごめんね。私、契約の問題でこれに出ざるを得なかったの」






健夜「もう…誰も毀さない予定だったんだけど…ごめんね」






衣「…っ、大丈夫だ。衣も、…っき、貴様のような猛者と…っわ、渡り合えることを楽しみにしていたッッ!」ゼエハア




健夜(すごいメンタル…それに、この威圧、将来大物になる)




健夜(こんな子達を毀すなんて…気が引けるけど)




照「どうし…た?グランドマスター」フウ




咲「あたしたちが、…っひ、引くとでも思ってるの?」ニヤリ

健夜(…ごめんね。)カラカラカラ




健夜(せめて…安らかに…)チャッ




バリイイイイイイイイイイイイイイイイイイ




衣咲照「!?」












健夜(……眠れ!!!)ゴッ






健夜「天和字一色大三元四暗刻単騎。80000オール、終了だね」ドゴォ



衣「うぐはぁぁっっ…」ゴフッ




咲「あっ………」ドサッ




照「うっ…うごぉっ…」ビシャビシャ




   健夜「…おしまいだね。おじさん、救急車呼んであげて。じゃ」ツカツカツカ




   えり「…しゅ、終了です」




   うた「…こりゃ酷いねぃ」




   救急隊員「ほら!どいたどいた!」ガラガラガラ



      ピーポーピーポー

ー阿知賀女子麻雀部部室ー


  『第四十回・大沼杯戦』




晴絵「…」ピラッ




『小鍛治、東一局で三飛び』




晴絵「っ…」ピラッ




『天江衣、宮永姉妹は重症。命の危険あり』






晴絵「っ……」ギリッ

晴絵(あのときから、彼女は変わってしまった)




晴絵(あのとき、彼女は私を毀すことに全力を注いだ…そして、私は毀されかけた)




晴絵(それから、彼女は『毀す麻雀』を打つようになった)




晴絵(私の…責任だ。私が、彼女に力をだせさせなければ…こんなことには)




晴絵「私が…蹴りを…」グッ




灼「ハルちゃん、ハルちゃん!」




晴絵「!…おう、灼。どうした」




灼「…それ、小鍛治プロの記事だよね?」




晴絵「!」




灼「『私が蹴りをつける』って思ってるでしょ」




晴絵「…」




晴絵「はぁ。ああ、その通りだ…よくわかったな」ピラリ




灼「だめだよ!あんな化け物と戦っちゃダメだ!」

晴絵「灼…」




灼「あんなっ…あんな奴と戦ったら、ハルちゃん……毀されちゃうっ…」ボロボロ



灼「もうすでに、一回危うくなってるでしょ?…二度目は、ほんとに死んじゃうかも・・・!」




晴絵「…灼。いいか?」




晴絵「お前にはまだわかんないかも知れないが」








晴絵「…女には、やらなきゃいけないときがあるんだ」




灼「…でもっ…!!」




晴絵「安心しろ。な?」

晴絵「私は…私は、必ず勝って帰ってくるッッ…!!!」ゴッ




灼「…うん。わかった、わかったよ」




晴絵「みんなには、戦いが始まってから教えてやってくれ。明日のあさ九時から、国立麻雀競技場にてだ」




灼「わかった。…勝ってね、絶対」




晴絵「もちろん。じゃ、またな。…またな」ツカツカツカ




バタム




灼「…」




灼「…朝九時、国立麻雀競技場か」チャッ



灼「……」カリカリカリ



改行しすぎ
それに咲の誰それ感

ー近所のマックー




トシ「やめといたほうがいいよ。あいつぁ化け物だ」




大沼「ああ。やめておけ」




晴絵「いえ。やめません」




晴絵「どうか…どうか、脇を努めてください!よろしくお願いします!」ドゲザッ




トシ「…本当にやるのかい?覚悟はあるのかい?」




トシ「…命を惜しむようなら、戦っちゃいけない」






晴絵「あは…あははは!そんなわけないじゃないですか!」

トシ「…!」


晴絵「…ハナっから相殺のつもりですよ」ニヤリ


晴絵「決着を…つける」ゴゴゴゴゴ


トシ「ふむ、なら…」


大沼「はっはっはっは! 」


トシ晴絵「!?」


大沼「ふむ、おもしろい。慶んで脇を勤めよう」


晴絵「!ありがとうございます!」


大沼「…グランドマスターに、ザ・ガンパウダーの力を見せてくれる」ゴッ


トシ「ふぅ。なら決まりだね。…国立までは遠い、でるよ」スクッ

大沼「朝九時、ジャストだな」


晴絵「この中に…小鍛治が…」






『~~~~』




大沼「まて!…中から声がするぞ」




『~~ポンッ…』




トシ「ポン!?」


晴絵「…まさか…この声は…」ダッ


晴絵「灼ぁ!」バタム



健夜「ロン、18000…飛びだね」


灼「うがぁぁぁぁああぁああああぁ!!!!!!」ドシャグシャァァ


晴絵「灼っ!大丈夫か!?」


灼「っ…は、っ…はるちゃ…っん…」ゼェハァ


健夜「…赤土さん」


晴絵「おまえっ…」




晴絵「おまえ、灼に何をしたっ!!」グワシッ


健夜「なにって、麻雀を打っただけだけど」




灼「はるっ…ちゃん、っ…私がかっ……てに、ここに来ただけっ…だか、ら」ゼェハァ


晴絵「灼…なんでここにきた!」


灼「ハルちゃんの…まえっ…に、小鍛治をっ…、たおしてお…こうとっ、思って……でも、だめだっ…た、みたい」アハハ


健夜「…その子はとても強かった。私から5200を直撃させた」


晴絵「だからって…こんな…」


晴絵「ここまで毀す必要はないだろっ!!!」


健夜「…この子は私を殺しに来てた。私も、手を抜けば殺されていたかもしれない」


健夜「殺される前に毀した、ただそれだけのこと」


晴絵「っ…!」

灼「は…っるちゃん」


晴絵「灼、…どうした?」


灼「ぜっ…ったい、かって…ね」


晴絵「ああ!もちろんだ、絶対に勝つ!しっかり見ておいてくれよ!」


灼「それと……最後に…」





灼「………愛してる」ニコッ


晴絵「あっ…あらた…」


灼「ーーーーーーーーー」


晴絵「あらた?おい、あらた…」




晴絵「あらたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

トシ「…」


晴絵「あらたぁぁぁ!目を覚ませぇぇ!あらたぁぁぁぁぁ!!!」


晴絵「うわぁぁぁぁぁぁ!!」ボロボロ




大沼「…小鍛治」


健夜「なんですか?」




大沼「…貴様の無敗記録は、今日で終わりだ」ゴッ


健夜「…大沼秋一郎。東京時代に築いた、守備率五年連続一位は日本記録。アテネ大会では銅メダルを受賞。永世五冠は記録二位。玩弄杯を十連覇し、いまや最大の権威である大沼杯の由来」




健夜「……昔の私の憧れだった。でも、今は言える」




健夜「あなたは、私に勝てない」ゴッ


大沼「おもしろい」ゴッ

トシ「…ふう。じゃぁ始めるかい」


晴絵「仇…とってやる!」


対局、開始ー!!





健夜「私が親…」


健夜(また天和…二局で飛び終了かな)チャッ


健夜「!?」


健夜(聴牌ですらない…これは…)


健夜(十四無靠…!?)



大沼「どうした、天和ではないのか?」ニヤリ


健夜「っ…!!」イラッ


健夜「うるさい!」バスッ


大沼「今だ!トシさん!」


トシ「はいよっ!」


トシ「ロン!16000!!!」ドゴォ

健夜「!?」


トシ「『ランニングベアー』を舐めるなよ」ニヤリ


健夜「…」


健夜(大沼がいなければ何もできないくせに図にのって…何て愚かな)


トシ「さて、たたみかけますかな」タン


健夜「ロン、8000」パタタタタ


トシ「っ!?」


トシ(私より速いなんて…)


健夜(寧ろ貴女より遅い方が想像できない)


健夜(やはりこいつはこの程度…問題は大沼)


大沼「…」チャッ


大沼「ダブルリーチ!」バスッ


晴絵(一巡目の倍満、満貫、ダブルリーチ…)


晴絵(私とは格が違うのか?…私じゃ太刀打ち出来ないのか?)


健夜(また手が酷い…六向聴!?)


健夜(安牌も、筋も、何もない…)


健夜「くそっ!」バスッ




大沼「ロンー一発が付いて11600」

健夜「くっ…」


健夜(あの熊ババアは置いておいて、大沼はやはり一筋縄ではいかない)




健夜(本気…だすか)



健夜「…」ゴッ






コオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ




大沼「!?…ダブルリーチっ!」


健夜「…」ヒュン




カッ


健夜「地和大三元。16000・32000」




大沼「…なっ!?」


晴絵「化け物めっ!」


トシ「殺してくれるわ!リーチ!」


健夜「ロン、四暗刻単騎、64000」バタタタタ


トシ「あっ…あがぁっ…」


トシ「ぐばぁだだぁぁぁがぁぁぁあわぁぁぁぁぁぁお!!!!!!!」ドシャァァァ-


大沼「トシ!」


晴絵「トシさん!」


トシ「ははっ…この様だよ…惨めだねぇ」




トシ「…後ぁ、頼んだよ」ニコッ

大沼「…小鍛治っ!」ギリッ


晴絵「くっ…!」


健夜「…貴方達は、私を恨んでいるんでしょ?」


健夜「けれど、冷静に考えてみれば、可笑しいことに気づくはず」


健夜「弱者が肉となり、強者がそれを喰らう。ごく当たり前の自然の摂理」


健夜「…安心して。トシさんの…『ランニングベアー』の速さと火力は、私の血となり肉となり、私のなかで生き続けるから」ニコリ


晴絵「違うっ!お前は、喰ってなんかいない!毀してるだけだ!」


健夜「…それは貴方達の建前。私は毀しているかもしれない、けれど喰っているのも事実」


健夜「証拠もある。貴方達の想像を押し付けないで欲しい」


大沼「想像?へっ……貴様の『自分は喰っている』が想像の産物だろ?」




大沼「鬼畜め……死ねええええええええ!リィィィィィチ!!!!」バスッ






健夜「……証拠を見せてあげる」


健夜「…ロン、18000」


健夜「この速さでこの打点…トシさんと同じなはず」


大沼「ぐぶぅっ!!!」ドシャ




大沼(だめだっ…わたしにはっ…まだ…やらねば…)




健夜「死ね。貴様が強かったのは過去の話、今の貴様は只の雑魚だ」


大沼「あ…ぁ…」


大沼「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」ブシャァァァ


健夜「ふん」




晴絵「…お、」


晴絵「大沼プロおおおおおおお!!!!」




健夜「…さて、これで残ったのは私と貴女、二人だけだ」


健夜「…この際、二人麻雀で勝負をつけない?」


晴絵「…ああ、いいだろう」ゴッ



健夜「…100000持ちで、自摸られた、または振り込んだ場合のみ点数が減る。和了っても点数は増えない。自摸も振り込みも支払いは同じ…これでいい?」


晴絵「ああ、望むところだ」


カラカラカラ


晴絵(この戦い…負けられないっ!)


晴絵「リーチ!」ダム




健夜「…」チャッ


健夜「…」チラッ




健夜(ここかな?)タン


晴絵「ロン!立直一発三暗刻、8000!」


健夜(やっぱりね)


健夜「…はい」チャラ




晴絵(…あれ?小鍛治が一発振り込み?)


晴絵(いつもの小鍛治ならこんなことはないはず…リーチをかわして討ち取るはず)


晴絵(けれど、一発で振り込んだ…これは、奴が疲れているということではないのか?)


晴絵(なら私にもワンチャンあるぞ)

健夜(…とでも思ってるんだろうね。私が手加減していることに気付かないなんて)


晴絵「リーチ!」カッ


健夜(レジェンドなんて、やはり所詮は渾名だったか)


健夜「………ロン」


晴絵「!?」


晴絵(よ、弱ってるはずじゃーーー)




健夜「国士無双十三面。64000」


晴絵「あ゛…」


晴絵「あ゛がばぁぁぁああぁあぁ!!!!!!!」ブシャァァァァァ


健夜「…」


晴絵「あっ…かはっ…」


健夜「…貴女の残り点数は44000。ここで終わりにすべき」



晴絵「…」


晴絵「…誰が…諦めるものかっ…!!」


晴絵「さあ、東三局だ。賽をふれ!」


健夜「…このままだと、貴女…」


健夜「点棒が尽きるより前に、毀れて終わるわよ」


健夜「リーチ」ゴッ!


晴絵「!!」


晴絵(凄まじい覇気…だが引けないっ!)バスッ


健夜「ロン、ダブリー一発清一色ドラドラ…36000」





カ ッ




晴絵「うっ…うわぁぁぁぁぁぁ!!」



ドンッ


  グシャブシャドシャァァッ


晴絵「…!?」


健夜(無事…?なんで…!!)

憧「うぐっ…」


穏乃「ぐふぅっ…」


玄「かはっ…」


宥「ふぅ…」



晴絵「…お前たち?…なんでここに…」


憧「灼から…聞いたよ…」


穏乃「あたしたちにできるのは…これくらい…だから…」


玄「心が毀されなければ、…まだ、勝機は…あります!」


宥「諦めないで…下さい」




健夜「…………愚か者め。身代わりになるなんて…」


健夜「死ね」





憧穏玄宥「あがはあまぁぉあわぁぉぉ!!!」ドシャブシャァ






晴絵「…小鍛治健夜。貴女は…」


晴絵「貴女は、この私…『阿知賀のレジェンド』赤土晴絵が、倒す」ゴッ


健夜「やれるものならやってみなさい」ゴッ

晴絵(私の中に…仲間たちを感じる…)


晴絵(衣ちゃん、咲さん、チャンピオン、トシさん、大沼プロ、憧、穏乃、玄、宥、そして…灼)


晴絵(絶対に…勝つ!)ゴゴゴゴゴ


健夜「!?」ゾワッ


健夜(私が…怯えた!?)


健夜(手も一向聴から進まない…)タン


晴絵「カン!」カシャァァァァ


健夜(…ドラ四!?)


晴絵(衣ちゃんの一向聴地獄、玄のドラ爆、そして…)


晴絵「もいっこカン!!!」ガシャアアアアアアア


ガコッ



晴絵「嶺山開花自模ドラ十二!!!32000は32300!!!!!」


晴絵(咲さんの嶺山開花!)


健夜「うぐっ…」


晴絵「…」チャッ


晴絵(さぁ…)




宥『あったかいの、もっときてー』




晴絵「カン!カン!カン!カン!」


健夜(萬子だけで暗槓四回!?)


晴絵「四暗刻四槓子!!!!!!」ドゴォ


健夜「うぐうっ……!!!!!!!」

晴絵(灼…)


晴絵(お前の能力は、ボーリングに例えた筒子の多面張だったな)


晴絵(結局お前が最後までできなかった上がり…あたしが代わりにやるよ)


晴絵「リーチ」


晴絵(それは…1~9全てが残っている状態で1ですべてを倒す…)


健夜「くっ!」バスッ





晴絵「純正九蓮宝燈(ストライク)!!!!!」ドンッ



健夜「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



カッ





ーーーーーーーーーーーーー

晴絵(あれ…?ここは…?)


晴絵(…)


晴絵(そっか…あたし)




晴絵「あたし……勝ったんだ………」



健夜「…やぁ」


晴絵「!?小鍛治!?なぜここに…」


健夜「何故って?死んだからだよ」




晴絵「え…?」






健夜「ここは天国…貴女も私も、死んだの」




晴絵「…まじすか。でも、あなたも倒せたし、いいよね」




健夜「私も…ごめんなさい。…今更言ったところでなにも変わらないけど」


晴絵「ええ…私は、あなたを許さな………」

憧「反省すりゃいいのよ」




晴絵「!?憧…」




穏乃「今度生まれ変わったときは、こんなことしないでくださいよねっ!」


玄「次当たったときは勝ちますからね!」フンッ


宥「次会ったときは、あったかかったらいいですね」




健夜「みなさん…」


健夜「本当に…すみませんでしたっ………!!!」ボロボロ




晴絵「小鍛治…」



ドンッ


晴絵「うおっ!?」ドテッ


灼「ちょっと!なんで忘れてるの!?」プンプン


晴絵「あ、灼!」


灼「もー、ハルちゃんったら!」プンプン


晴絵「ごめんごめん、反省してるよ」アハハ


灼「もうっ!………それと、」


灼「…最後に言ったこと…覚えてる?」オソルオソル


晴絵「ああ」







晴絵・灼「生まれ変わったら、きっと恋人に」








カン!

たまにはかっこいいレジェンゴがいたって良いんじゃないかと思ったからノリで書いてみたがどこかで橋を架け間違えたようだ

またいつか

おつおつ

格闘漫画を文章化したようだったw
よくわからんノリだけど面白かった乙乙

64000食らったら残りは36000なんだよなぁ


シノハユが楽しみだ

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