【安価】愛玩奴隷を買うことにした (746)

 奴隷市場、と聞いて君たちは何を想像するだろうか。
 鎖で一繋ぎにされた、逞しい異邦人? 檻の中で涙を流す、全裸の女騎士?
 それらは、一部正しい。ただ、同時に最低な存在と言わざるをえない。奴隷たちが? いや、それを扱う商人どもが、だ。

 奴隷とて、大事な商品である。客の手に渡されるその時まで、大切に扱わねばならない。

 この辺りの事情に疎い私であるが、人伝に聞いた『良い』市場に足を踏み入れてみて、おおよそ理解することができた。柵の向こうで筋肉を披露する人足、通りに出て愛想を振りまく執事、給仕。彼らの体に不必要な傷は無く、疲弊した様子も見られない。
 あちこちで交わされる商談をすり抜け、私は一番奥にある大きなテントに向かった。紫色の分厚い布をめくると、中は間仕切りで区切られた小さな部屋になっていた。
 隅にある、商談用と思しき机に向かって書き物をしていた初老の男が、来客に気付いて立ち上がった。天井からぶら下がったランプに照らされた私の姿を見て、彼は少し意外そうな顔をした。



↓1 『私』について(職業、年齢など)

「いらっしゃいませ。貴方は…」

「ああ、どうも」

 私はおずおずと頭を下げた。なにしろ、この場にそぐわない人間だという自覚があるのだ。
 お辞儀姿勢のまま、そっと男の方を伺う。にこにこと愛想のいい、白髪交じりの男だ。目元、口元の皺が深い。普段からこの表情に慣れているのだろう。本当に人柄が良いか、或いはとんだ食わせ者か。
 ……おっと、悪い癖だ。

「去年の和平交渉、お見事でしたよ。お陰でウチも潤った」

「よくご存知で。いやはやお恥ずかしい…」

「何をおっしゃいます。貴方様のお陰で、戦争も予想以上に早く終わりました。それに何より、戦いや略奪の中で命を落とすはずだった方々が、こうして未来を得た」

「私は、陛下の御心を偽り無くお伝えしたまで…」

 言いながら、私は内心苦笑した。相手が相手なら、己も己だ。美辞麗句、虚言、慇懃。それと多少の真実。全て、私の商売道具だ。
 私は、交渉人。衝突が煮詰まった時、最前線に出て言葉で最後の戦いを行う。

「そうですか。……いやしかし、命懸けのお仕事でしょう。ここにいらしたのは、やはり…『癒やし』を求めて?」

「ええ…」



↓1 愛玩奴隷を買う理由

①癒やし

②秘書、助手

③弟子

④その他、要記述

 私は頭を掻いた。

「…その。恥ずかしながら、子供が欲しくて」

 子供、という言葉に、男がすっと目を細めた。

「失礼ですが……奥様は」



↓1

①独身

②いるが子無し

③いて子供もいる

「いるのですが、どういうわけか子供ができず…ええ、このままでは寂しいと思い、相談して、後腐れの無いようこちらで1人、頂けたらと」

「なるほど。奥様はご一緒で?」

「いえ、あまり体が強くないので、家で待ってます。選択に関しては、私に一任してくれました」

「そうですか」

 男はようやく頷いた。そうして、机の上から分厚い書類を取り上げた。

「子供も扱っておりますよ。『そういう』嗜好の方もおられますからね。ですが、それよりも良い門出となるでしょう。選ばれた子は、幸運な子です」

 それから、私の方を見た。

「では、好みについてお聞きして、それに当てはまりそうな子を数人…そうですね、3人ほど連れてまいりましょう」

「はい。では…」



↓ 0:00まで、求める要素(性別、年齢、髪の色など)を一人一つ

 出てきた安価を元にキャラクターを作成します

そして今夜はここまで





……奴隷ちゃんとイチャイチャしたり酷いことしたり好き放題するスレの筈だったのに

締め切り

 私は求める要素を片っ端から挙げていった。特に重要なのは、女の子であること、それと髪が黒いことだ。
 女の子は妻の希望、髪の色は、妻と同じが良い。私たちの子となるのだから、多少は似ていたほうが愛着も湧くというものである。

 さて、要望を聞いた男は一度間仕切りの向こうに引っ込むと、やがて3人の少女たちを連れてきた。その内、一番左端の少女を指して、男は説明した。



「この娘は、元はさる血筋の生まれでしてね。12歳と、養子にするには少し年長ではありますが、物腰は大人しく、礼儀は十分に弁えております。
 美しい髪でしょう。こういうのを東洋では、烏の濡羽色、と言うそうな。貴方のお仕事に同行させても少しも恥ずかしくない、品行方正、容姿端麗な娘です」



 促されるまま、少女は軽く頭を下げた。
 12歳の少女らしい、子供と大人の間くらいの、すらりとした体をしている。浅黒い肌に切れ長の目からして、東洋人の血が入っているのだろうか。何れにせよ、品のある顔をしていた。

 次に、真ん中の少女を紹介する。



「先程とはうって変わって、農民の子です。生憎、髪の色はご期待に添えませんでしたが…
 ですが、犬のように人懐っこい性格でして。彼女を通して、ご夫婦の仲も深まるでしょう。
 何と言っても、齢10にしてこの体。大きな声では言えませんが…」



 本人に聞こえないよう、私の耳元で囁く。

「…奥様に隠れて、『楽しむ』ことも」

「結構です」

「おっと、これは失礼」

 件の少女は、興味津々に私の方を見ている。身長は前の娘より低いが、確かに胸が大きい。幼い顔にはそばかすがあって、いかにも人懐こい田舎娘といった風情だ。残念ながら、髪は茶色で緩く波打っている。

「そして、最後が……ほら、隠れてないで出てきなさい」

 足元に隠れていたのを引っ張り出された少女は、いやいやと体を揺すった。



「ああ、すみません。ご覧の通り、人見知りなもので…
 まだ3歳なんですよ。養子になさるには一番良いかもしれませんね。
 今はこの通り、礼儀も何も無い幼子ですが、きっと成長する頃には実の子のように懐いてくれるでしょう」



 観念したのかその少女は、男の脚にしがみついたままじっと私を睨んでいる。幼子らしく膨らんだ頬に、ぱっちりと開いた目をしている。きっと、歳を取れば美しい娘に成長するのだろう。

「私どもの方からご提案できるのは、こちらになります。質問がございましたら、なんなりとどうぞ。できる範囲でお答えいたします」

「皆、魅力的な娘たちです。そうですね。私からは…」



↓ 10:00まで、奴隷商人への質問(娘達の素性、好きなものなど。相手を指定してください)

 私は言いよどむふりをしながら、ゆっくりと3人を見回し、目を細めた。
 男は頷くと、3人を奥へ引っ込めた。
 改めて2人きりになると、私は口を開いた。

「率直にお聞きしますが……どうして、あの娘らは奴隷になったのです?」

「全てはお答えしかねますが…

 一人目は、さる貴族の長男が使用人との間に作った子でしてね。ええ、珍しい顔立ちでしょう。お察しの通り、母親は極東の生まれだそうです。妾腹の子だし、女子だし、世継ぎにするわけにもいかず、母親共々、私どもの元へ売却と相成りました。ああ、ご心配無く。母親はもう随分前に、使用人として他の方が購入されました。

 二人目は、よくいる農家の娘でした。ほら、3年前、戦争に悪天候が重なって、国中で飢饉が起きたでしょう。都市部も散々でしたが、農村部はもっと酷い有様でした。餓死する者はもちろんですが、食い扶持を確保するための『口減らし』が横行しておりまして。これはいかんと私どもが急行し、養えない子供たちを買い取りました。ええ、終戦してから彼らは、良い人足として飛ぶように売れましたとも。ただ、彼女は人足や給仕にするには勿体無いと思い、今日まで確保しておりました。

 三人目は……実は、あの娘を救ったのは、貴方なのですよ」

「私が?」

「ええ。あの娘は、前の戦争で敵対していた領主の娘です。家族全員が捕らえられ、抵抗を続ける勢力に対して、見せしめに年長から順に一人ずつ首を刎ねられておりました。父が殺され、母が殺され、兄や姉たちが殺され、いよいよ彼女の番となったその日、貴方の交渉が実を結び、これ以上の侵攻はしないという約束になったのです。まあ命拾いしたとは言え、領地は没収され、そもそも彼女に管理能力は無いということで、捕虜の身から巡り巡ってこちらに来たというわけでございます」

「なるほど…」

 私は少し考えて、次の質問に移った。

「ちょっと直接は聞きづらいので、分かる範囲で良いのですが…実際、養子になることについて、彼女らはどう思っているのでしょうか?」

「ふむ。…これは、私から訊いたほうが良さそうですね。少々お待ちを」

 そう言うと彼は間仕切りの向こうに消えた。

 十数分後、戻ってきた彼は、ゆっくりと答えた。

「まず一人目。単刀直入に言って、貴方がたの子となることに抵抗は無いそうです。母親に未練は無いか一応訊いてみましたが、全く無いと。寧ろ、あれを母親と認めたくないような雰囲気でした。

 二人目ですが、まあ大丈夫でしょう。ここを離れることは少し寂しいと言っていましたが、同時期に引き取った子供たちは殆ど皆捌けてしまいましたから。ただ、ひもじい思いはもうしたくないとのことでした。

 三人目は……ええ、もうお分かりでしょう。何を訊いても『いや』の一点張りです。幼子のわがままと言ってしまえばそれまでですが、なにぶん、あの娘は親の死を理解しているようでしたから。……利発な子です」

 最後の一言は、とても寂しげに聞こえた。もしかすると、彼もまた彼女に親心めいたものを感じているのかもしれない。

「ありがとうございます。最後に、一人ひとりにそれぞれ訊いておきたいのですが」

「ええ、構いませんよ」

 男は頷くと、また間仕切りの向こうに引っ込み、すぐに一人目の少女を連れてきた。

「…こんにちは」

「ごきげんよう」

 質素なワンピースの裾をつまみ、優美に挨拶する。そうして向き直った彼女の目には、その年頃の少女らしからぬ光が燃えていた。

「こうして直接話すのは初めてだね。一つ、訊いても良いかい」

「はい。何でも答えます」

「答えられたらで良いんだけど。君は、どこの国の生まれかな」

「シァンガンです」

「!?」

 あまりに躊躇いなく答えるものだから、私の方が面食らってしまった。

「ま、まさか、君のお父さんは」

「植民地総督の長男に当たるそうです。ですが、父親とは思っていません。母親も。使用人として雇った現地人だそうですが、わたしに対しては『何故女に生まれたんだ』の一点張りです。男だったら、家督を継がせて自分も成り上がることができると思ったんでしょう」

 ここで、美しい顔を歪め、吐き捨てる。

「…馬鹿馬鹿しい。お陰でわたしは慰み者です」

「…そ、そうか。分かったよ」

 目配せすると、男は彼女を引っ込め、二人目の少女を連れてきた。

「こ、こんにちは。あなたがあたしのパパになるかもしれない人ね」

「まだ決まってないがね」

 言っておいて、私は尋ねた。

「君は、農村の生まれだそうだね」

「ええ。だから、ここから畑仕事か、針仕事にでも就けたらって思ってたんだけど」

「得意なのかい?」

「少し、ね。ちっちゃい頃からお裁縫はママから教わってたから」

「他に、得意なことはあるかい?」

「うーん……あ、ここに来てから、スコーンの焼き方は覚えたわ」

「料理が好きなようですよ」

 横から、男が口を挟んだ。

「なるほど。ありがとう」

 二人目が帰ると、三人目がやって来た。
 奴隷になった経緯から、彼女の身の上はおおよそ察してしまった。ならば聞くことは、一つしか無い。

「…君、好きなものは?」

「…」

 相変わらずだんまりである。私は苦笑した。

「嫌いなものは?」

「…」

「大丈夫、取って食ったりはしないよ。君とお話がしたいんだ」

「や」

「や?」

「いや!」

 一言叫ぶと、彼女は大声で泣き出してしまった。
 私は肩をすくめた。男は申し訳なさそうに微笑むと、彼女を抱き上げて間仕切りの向こうに消えていってしまった。



「いやぁ申し訳ない。参考になりましたか」

「ええ、十分です」

「…では、お決まりに?」

 私は頷いた。応答を通して、大体のことは分かった。それから先は、より親密になってからでも良いだろう。

「引き取るのは…」



↓ 0:00まで 誰を養子にするか 一人一票で多数決

そして今夜はここまで。

一応舞台としては、WW1前のイギリス帝国のような何かといった感じです

義娘ロリハーレムルート決定ですね(白目)



 数時間後。私たち4人を乗せた馬車は、市街をゆっくりと自宅へ向かっていた。
 そう、『4人』である。

「ねえお父様、お家には後どのくらいで着くのかしら?」

 隣に座った一人目の娘が、期待に満ちた顔で私に尋ねる。向かいには二人目の少女がぐったりと疲れた様子で座り、更にその隣には一番幼い三人目の娘がもたれかかるようにして眠っていた。

 そう。結局、三人とも引き取ることにしたのだ。何も一人に決める必要は無い。大仕事の直後で懐は暖かかったし、身の上を聞いてしまった以上、このまま彼女らが誰かの慰み者になるのが忍びなかったのもある。妻の驚く顔が目に浮かぶようだ。

 一人目の彼女は、選ばれたことがよほど嬉しかったようだ。商談がまとまるやすぐに私を『お父様』と呼んで抱きついてきた。二人目の娘も、奴隷の身を脱することを喜んでいた。それでも、人足や給仕として売られた友達のことを思い出して複雑な顔をしていた。三人目は……もう大騒ぎだ。奴隷商人のもとを離れるのが嫌でたまらないらしく、わんわん泣いて離れなかった。どうにか馬車に乗せた後も、一人目の娘に何度窘められても泣き止まず、結局泣き疲れて眠ってしまった。

「…」

 それにしても、見知って間もない娘たちとの沈黙は、何と重苦しいものか。私は、話題を探った。



↓1〜3 何か話題を

「……そう言えば、名前をまだ聞いていなかったね」

「奴隷として売り物になった時点で、わたしたちに名前はありません」

「それはそうだが、その前は何と呼ばれていたんだい」

 すると、彼女は美しい顔を曇らせた。

「…ナー、と。ですが名前ではありません。向こうの言葉で、『それ』という意味です」

「ああ、なるほど…」

「あたしは、ステファニーで通ってたわ。あそこでもそう呼ばれてたし、そのままにしてくれると嬉しいかも」

「分かった。で、この娘は…」

 眠りこけている幼女に視線を移すと、残りの二人が困ったように首を傾げた。

「あんまりこの娘と話したこと、無いのよね」

「いつも旦那様にべったりでしたから。何と呼んでいたのやら」

「…イーフェ」

「えっ?」

 ぎょっとして私の方を見る二人。私は、細く溜め息を吐いた。

「スカアの処刑には、間に合わなかったようだ」

「では、この娘は」

 言いかけた少女を制止して、私は強く言った。

「君たちの、妹だ。それ以上でも、それ以下でもない」

 静まり返る車内。私は、努めて明るく言った。

「……さて、これから私は君たちの親父になるわけだが。何か、言っておきたいことはあるかね? 出来る限りのことはしよう。特に、食べ物の好みとか」

「多くは求めません」

 ナー…一人目の少女が即答した。

「誰かの愛妾にでもなれれば良かったはずが、こうして人の子としての暮らしを取り戻せた。これだけで、わたしには十分な幸せです」

「そうか…」

 過去と決別したいという意志は伝わってくる。ただしそのために、彼女は自分を抑えているように思える。もう少し仲良くなってからなら、砕けた話もできるだろうか。
 そこで、私はふと思いついた。彼女が特に疎んでいるのは、東洋人の母らしい。なら、そこから引き離してはどうだろうか。具体的には…

「…そうだ。君をヴィクトリアと名付けよう。大英帝国を創った女王様だ」

「! …そんな、勿体無い」

「勿体無いものか。君はもう、堂々たる英国民だ。胸を張って生きることだよ」

「! あ、ありがとうございます…」

 彼女は…ヴィクトリアは、おずおずと頭を下げた。

「……水を差してごめんなさいね。あたしも特に言うことは無いけど。お料理とかお裁縫とかさせてもらえれば、頑張るわ。ご飯も、食べられるだけありがたいし」

 と、ここで顔をしかめて一言。

「あ、でもお勉強とかは勘弁ね。読み書きとか、別に要らないし」

「分かった、良い家庭教師を付けよう」

「うへぇー。 …あら」

 いつの間にか、イーフェが目を覚ましていた。相変わらず不機嫌そうな顔だが、もう泣いたりはせずに黙り込んでいる。

「…イーフェ」

「!!」

 私が名前を呼ぶのに驚いて、彼女はこちらを向いた。

「何か、言いたいことはあるかい?」

「…」

 彼女はしばし、膨れっ面で私の顔を見ていたが、やがてぼそっと呟いた。

「…おっぱい」

「えっ?」

 きょとんとする私とヴィクトリア。ステファニーだけが「ああ」と頷いた。

「家が貧しかったのね。この歳でも乳離れしてない子、ざらにいたもの」

「だが、妻は無理だし、ばあやもそんな歳じゃないし…」

「普通にご飯があるなら、そっちで良いでしょ。もう歯も生えてるし」

「そう、だな」

 そうこうしているうちに、馬車は我が家に辿り着いた。

↓1

①「おかえりなさい」

②「だ、旦那様!!」

今夜はここまで

 馬車から降りると、ばあやに付き添われて妻が玄関先で待っていた。

「おかえりなさい」

「ステラ! 体は大丈夫なのかい?」

 頬にキスをすると、彼女は笑顔で頷いた。

「何だか今日は、とても調子が良いの」

「わたくしは止めたのですが…」

「そうかそうか。…」

 いつの間にかヴィクトリアが、馬車から降りて私の隣に立っていた。彼女は妻を認めると、丁寧にお辞儀した。

「初めまして、お母様。今日からお世話になります、ヴィクトリアと申します」

「その娘が、貰ってきた子なのね」

 妻がヴィクトリアに向かって何か言いかけたその時、彼女の視線が馬車の方に釘付けになった。ちょうど、ステファニーがイーフェを抱っこして、よたよたと降りてくるところであった。

「…あ、あの娘たちは」

「ああ、それなんだが」

 私は済まなそうに笑った。それから、ばあやに向かって言った。

「ちょっと悪いが、この子達と一緒に着替えとかを買ってきてくれないか。迎える準備をすっかり忘れていてね。帰ってくる頃には夕食もできているだろう」



「まさか、3人も買ってくるなんて」

「驚いたかい」

 笑いながら言うと、妻は顔をしかめた。

「そんな余裕はあるの? うちにはばあやと、料理人が一人しかいないのに」

「大丈夫さ。それに…」



↓1

①この家には活気が必要だ

②この子達には愛が必要だ

③この子達には親が必要だ

④その他、要記述

 私は妻を真っ直ぐに見て、続けた。

「商人からあの子達の経歴を聞いて、思ったんだ。あの子達には、愛が必要だって」

「!」

 私の言葉に、妻は一瞬、目を見開いた。が、すぐにふっと息を吐くと、静かに目を瞑った。

「…そう」

「ステラ?」

 彼女の物言いに、言い様のない不安に駆られて、私は思わず身を乗り出した。

「どうした? やっぱり、具合が悪いんじゃ」

「いいえ。私は大丈夫よ」

 彼女はティーカップを置くと、立ち上がった。そうして去り際、静かに言った。

「…愛してあげてね」






 ___翌朝、妻はベッドの上で冷たくなっていた。



今夜はここまで

次でバラすけど、妻の自殺を止めるのは結構難しかった
仕方ない

『突然このようなことをしてしまい、申し訳ありません。ですが、私は神に背くこの行為が、貴方と、貴方が選んだ子供たちにとって最も良い選択であると信じています。

 貴方と結婚して7年の間、私は貴方の妻としての役目を、何一つ果たせませんでした。交渉に出向く貴方に付き添うことも、留守の家を守ることも、___貴方の子供を産むことも。

 貴方が選んだ子供たち…まさか、3人も連れてくるとは思いませんでしたが…それぞれに、貴方や私と似ている部分を見つけました。きっと貴方は、夫婦の実の子のように彼女らを愛せるよう、意識して選んだのですね。妻として完全に失格であった私を、最後まで疎まず妻として愛してくれたことに感謝します。

 本当は、貴方が選んだ娘を、貴方の次の妻にするつもりでいました。だからこそ、女の子にこだわったのです。
 思っていたのとは少し違いましたが……彼女らに、愛が必要であるのなら。愛してあげてください。そして、彼女らに注ぐための愛が減らないよう、非力な私はこの世を去ります。

 最期まで、敬愛する貴方へ。 ステラ』

………

……



 真新しい墓石の前に花束を置くと、私はそのままがっくりと膝を突いた。

「何が…何が、いけなかったんだい…ステラ…」

 震える声で呟いた。
 一人で考え込んでも、夜通し泣いても、ナイトテーブルに遺された手紙を読んでも。
 どうして、彼女が死を選んだのか。これから、家族として暮らすはずだった、3人の子供たちを置いて…

「お父様…」

 ヴィクトリアが隣に佇んでいる。少し後ろには、ステファニーとイーフェも。3人とも、どういう顔をすべきか困っているだろう。何しろ、自分たちに母親だったとは言え、たった一日しか暮らしていないのだ。彼女らにとっては、ほとんど赤の他人に等しい。

「お母様のことは、とても残念に思います…」

「…」

 横目に彼女の方を見ると、彼女は不安げな顔で私を見ていた。

「…どうかしたかい」

「その…こんな時に、言うべきでないというのは分かっているのですが」

「言ってご覧」

 私が促すと、彼女はちらりと後ろの二人を覗き見、それから言った。

「わたしたち…このまま、ここにいても良いのでしょうか?」

「!」

 はっとなった。二親で育てるつもりが、片親になってしまった。だから最初の約束が消えて、自分たちはまた奴隷に逆戻りするのではないか。そう、彼女は言っているのだ。

「心配ない」

「!!」

「もう、君たちは私の娘だ。手放したりはしないよ」

「良かった…」

 安堵する彼女に、初めて12歳相応の少女らしい表情を見た。

「ステフ、イーフェ。おいで」

「あ、うん。…ほら、あんたも」

「…」

 末っ子の手を引いて、ステファニーが近寄ってくる。イーフェは、いつものように嫌がるでもなく、ただ黙って俯いていた。

「不安かも知れないが、私はもう、君たちを棄てはしないよ」

「…うん。ありがと」

「…」

 黙り込んでいたイーフェの唇が、小さく動いた。

「何だい?」

「…しな、ないで」

 消え入りそうな声で、呟く少女。

「おとさまも、おかさまも、ねえさまも、にいさまも…もう、ひとりぼっちに、しないで…」

「…約束するよ」

 私は、彼女を抱き締めた。他人だった男の腕の中で、彼女は泣いていた。



 葬儀を終え、部屋に帰ってきた。3人とも、今は着替えている頃だろう。まさか、初めての晴れ着が喪服になるなんて。
 私は書斎で一人、ふさぎ込んでいた。考える気力が起きない。確かに、妻は病弱だった。いつ死んでもおかしくないといつも言っていた。だが、それは私も同じだ。いつ殺されたっておかしくない自生を歩んできたし、これからも歩んでいくのだ。彼女はそんな生活に、安らぎを与えてくれる存在だと、私は思っていた。

「…ああ」

 ふと、思う。
 そう言えば、遺書の内容を娘たちには伝えていない。まさか、彼女らに期待された役割が、養子ではなく妻だったなんて。本当なら、伝えるべきではないのだろう。だが…



↓1 遺書の内容を

①一人だけに伝える(相手を指定)

②全員に伝える

③黙っておく

じゃあこうしよう

↓ 20:00まで多数決

「…いや、私は何を考えているんだ…」

 首を横に振り、遺書を引き出しに仕舞って鍵を掛けた。
 あの子達は、私の娘だ。それは今でも変わらない。亡き妻がどう考えていたとしても…父親として、彼女らを愛すると決めたのだ。だから、このことは私一人の胸に仕舞っておこう。



「君の奥さんのことを聞いたよ。気の毒だった」

「…はい、閣下」

 私は今、外務大臣に呼び出されて外務省に来ている。

「こんな時期に、非常に心苦しいことではあるのだが」

「新たな仕事ですか」

 大臣は頷いた。私は寧ろ、ほっとしたように応えた。

「いえ、大丈夫です。今は逆に、仕事に没頭したい」

「そうか。何、この間のような大きなものではないから安心したまえ。…時に」

「はい?」

「君は最近、養子を貰ったそうだね」

「お聞きになりましたか。いやはや」

「連れて行ってはどうだね」

「…はい?」

「こう言っては何だが、君の奥さんは体が弱く、ロンドンから出せなかったろう。だが、子供はそうではないのだろう?」

「はあ、そうですが」

「何、社会勉強だよ。色々見せてやると良い」

 そう言って大臣は、下手くそなウインクをしてみせた。



「ポーツマス、か…」

 日露戦争が終結しつつある。何と、ロシアが降参するのだそうだ。そこでアメリカが仲介役を引き受け、近々ポーツマスで講和会議を行うらしい。
 私の役目は、同盟国である日本の国益を確保するとともに、アメリカが余計なことをしないよう目を光らせるという、何とも具体性に欠けるものであった。

「まあ、命の危険は少ないか」

 これなら、娘を連れて行っても良さそうだ。ただ、アメリカまでは長旅だ。全員は厳しいだろう。連れて行って一人、といったところか…



↓5まで多数決 誰を連れて行くかor一人で行くか



「酔ってないかい」

「…ん」

 蒸気船の客室はお世辞にも快適とは言い難い。ベッドに腰掛けて足をぶらぶらさせるイーフェに声をかけると、彼女は小さく頷いた。
 彼女は、未だに私を親と認めていない。ヴィクトリアはあの通りだし、ステファニーも数日の間どうにかパパと呼ぼうと意識している様子であったが、イーフェだけは私と会話すらままならなかった。だから、こうして連れてきた。私としては、できるだけ早めに仲良くなりたかったのだ。
 ポーツマスまでは船で一週間強。それまでに、どうにか会話ができると良いのだが。

↓3まで 船内での会話や行動

「イーフェ」

「…」

 名前を呼ぶと、彼女は黙ってこちらを向いた。

「初めての船旅はどうだい? こんな大きな船、見たことないだろう」

「こわい」

「はは、怖いか」

 思い返すと、自分も幼い頃は、大きいものは何でも怖かったものだ。それが、唸りを上げて大西洋を突き進む巨大な鉄の船ならば、尚更だろう。

「…じゃあ、気分転換に一緒に遊ぼうか。何をするのが好きだった?」

「…」

 少し考えて、彼女はおもむろに立ち上がった。

「みんな、こうして」

 その場で、足踏みしてみせる。

「がたがたって、おどってた」

「! シャン・ノースか…あんまり人前でやっちゃ駄目だよ」

「なんで?」

「その…まだ、パパたちの国では流行ってないんだ」

 去年までの戦争は、ある種こういった文化への弾圧に対する反抗がきっかけであったと言える。誇り高きアイルランドの民は…未だ、魔術の類を実用として扱っていた。少し前まではイングランドでも広く行われていたそうだが、今となってはおまじないか、呪い程度しか使われない。
 境界近くにあった領地の主を捕らえて、見せしめに処刑するなどという前時代的な行為が行われたのは、彼らに対する恐怖心の裏返しに他ならない。
 最も、だからと言って許されるものではない。言葉、ダンスの禁止は、既に解かれた。しかし、それでも殆どのイングランド人はそれを受け入れようとしない。

「…じゃ、いい」

 幸い、彼女はあっさり引き下がった。

 私は、話題を変えることにした。

「…お姉ちゃんたちは好きかい?」

「?」

 彼女は、きょとんとした顔で私を見返した。

「その…トリアと、ステフとは、仲良くできてるかい?」

 するとイーフェは、一瞬顔をしかめて、それからぱっと明るい顔になって言った。

「ステフがいい」

「ステフは好きなのかい。トリアは?」

 と、しかめっ面に逆戻り。

「すぐおこる」

 思わず私は吹き出した。確かに、駄々をこねるイーフェを叱るのは、いつもヴィクトリアだ。それに対して、「まあまあ」と間に入るのがステファニーの役目だった。

「まあ、トリアもお前のことを思って言ってるんだ…」

「あと、おっぱい」

「…ん?」

「ステフ、おっぱいくれる」

「!? 出るのか、おっぱいが?」

「でないけど」

「あ、ああ…」

 ヒヤッとした。なるほど、最初の時以来、イーフェが食事についてわがままを言うことは殆どなくなったのだが、こういうことだったのか。ステファニーは歳の割に膨らんだ乳房を、イーフェに吸わせてやっていたらしい。

「だが、いつまでもそうしてるわけにはいかないよ。ご飯はちゃんと食べてるだろう」

「…」

 また、だんまり。私は彼女の頭を撫でると、鞄の中からトランプの箱を出した。

「時間はたっぷりある。どれ、神経衰弱でも教えてあげようか」

今夜はここまで

殆ど史実っぽいですが、平行世界です
この世界では、まだ魔法がちょっと残ってます
あと、アイルランドがやったら強くて北部を巡ってちょいちょいイングランドと衝突してます
主人公が終結させたのはその一つで、同時期にイギリスは南アでも戦ってたので相当疲弊してます
同時に倒れられると困るので、同盟国の日本には結構気を遣ってます



 7月のポーツマスは暖かく、しとしとと雨が降っていた。秘書官の案内で、私たちはホテルに入った。両国の代表者は、まだ来ていないらしい。取り敢えず日本の代表者とは話しておく必要があるが、その前に会場でも見ておこうか。

「イーフェ、一緒に来るかい」

「…ん」

 意外にも、彼女はコクンと頷いた。

「よし分かった。…君、一応目を離さないようにしてくれるかい」

「かしこまりました」

 荷物を置くと、連れ立ってホテルを出た。
 道中、偶然通った店の軒先で新聞を売っているのに気付いた。一部買って、歩きながら読んでみた。

「先生、何か気になることが?」

「ああ、ちょうど今度の講話について書かれているよ。どうやら、双方の代表者はワシントンにいるらしい…」

 言いながら、ふと私は足を止めた。

「先生?」

「…これはマズい。すぐにワシントンへ行くぞ!」



 私が危惧したのは、日本人の新聞記者への対応だ。日本人は誠実だが、とかく口下手だ。新聞を読んで、すぐに記者連中がロシア贔屓になっていることに気付いた。間違いなく、記者対応がまずかったのだ。加えて、ロシア側はその辺りを心得ている。
 どうやら日本は、予想以上に戦ったらしい。だが、最後の最後で世論を敵に回しては、お終いだ。

「クソッ、鉄道でも半日はかかる…」

「ワシントンまで行きたいのかい?」

「!」

 駅前で、突然声を掛けられた。
 見ると、一人の青年がにこにことこちらを見ていた。

「何だね、君は?」

「もっと速い乗り物があるよ。今なら、実験も兼ねて乗せてあげてもいい」

「…?」

「君。先生は急いでおられるんだ。邪魔をしないでくれ」

 割り込んできた秘書官に、青年は慌てて手を振った。

「待って待って、僕は真剣だ。…ほら、こないだライト兄弟がニュースになったろう。あれ、実は僕も、同じことを考えてたんだ」

「何を言ってるのか…」

「…そら」

 突然、退屈そうに私の手を握っていたイーフェが、口を開いた。

「おそら、びゅーんって」

「そうそう、それ! 飛行機だ! 計算が合ってれば、ワシントンまで2時間だよ」

「…それは本当か?」

「せ、先生?」

「もちろんだ! 約束するよ。生憎、僕以外には一人しか乗れないけど」

 私は秘書官に向き直ると、言った。

「電話か電報で、アポイントを頼む。私は…」

 イーフェの前にかがみ込み、私は尋ねた。

「飛んでみたいかい、鳥さんみたいに?」

「うん!」



 この未知の体験は、予想以上の結果をもたらした。
 まず、本題の仕事としては、少ない額ではあるものの日本が賠償金を勝ち取ることに成功した。これは、私の助言で世論を半分ほど取り戻せたことと、こちらの要求を呑まなければ戦争を継続すると脅しをかけさせたのが理由だ。
 無論、継戦能力で言えばロシアに軍配が上がるのは明白だ。最初、ロシアが降参したと聞いたが、どうやらそれは内紛の激化を懸念してのことだったらしい。ならば、こちらにも付け入る隙があるというものだ。
 まあ、それはそれとして。私にとって最も大きかったのは…

「おそら! おそら、びゅーんっ! もういっかい!」

「また今度な。ほら、もう帰るぞ」

 イーフェは飛行機をいたく気に入って、青年に何度も乗せるようねだった。青年も、スポンサー集めに役に立つからと、快く私たちを乗せて飛んでくれた。正直、地面を離れている間は気が気でなかったのだが、膝の上に抱えた彼女はご機嫌で、それ以来彼女は、絶えて久しい笑顔を見せてくれるようになった。

「先生、どうもありがとうございました」

「いやいや、それはこっちの台詞だ。娘も大いに気に入ってくれたようだし」

「おにいちゃん、またのりたい!」

「ああ、また会った時にね。……僕は、ケイン・マクフライと言います。お帰りになってからも、覚えていてくれると嬉しいです」

「ああ。また会おう」

「ばいばーい!」



 さて、実に一ヶ月ぶりの我が家だ。イーフェと一緒にドアをくぐると、ヴィクトリアが待っていた。

「おかえりなさい、お父様」

「ああ、ただいま」

「イーフェ、ちゃんといい子にしてた?」

「うん」

「ああ、してたとも」

 笑顔で頷くイーフェに、ヴィクトリアは少し驚いた様子だった。
 そこへ、ばあやがやって来た。

「あらっ、旦那様。おかえりなさいませ。旦那様へお手紙が届いてましたので、書斎の机に置いておきましたよ」

「分かった。後で読んでおくよ」



 結局、私がその手紙に目を通したのは夜になってからだった。上の二人に、アメリカでの土産話をせがまれたからだ。
 ほっと一息ついた私は、ウイスキーで唇を湿しながら、薄く埃の載った封筒を取り上げた。

「…誰だ、この宛名?」

 ペーパーナイフで、封を切った。便箋を取り出したその時、書斎のドアが鳴った。



↓ 22:00まで多数決 誰が来た?

「どうぞ?」

「…こんばんは」

 恐る恐る入ってきたのは、ヴィクトリア。

「どうしたんだい? こんな夜に」

「あの、いえ、特に用事は無いんですけど…」

「…まあ、ベッドにでも座りなさい」

 言われた通りベッドに腰掛ける彼女を尻目に、便箋に目を通した。

「ちょっと待っててくれ、今手紙を読んでるから…」



『お客様へ

 いつも商会をご贔屓にしていただき、誠にありがとうございます。
 このお手紙は、初めて私どもの商会から愛玩奴隷を購入された全ての方にお送りしております。
 お気に入りの奴隷で、お楽しみの頃と思われます。しかし、快楽とは慣れるもの。新たな刺激がほしいと思われる方も多いのでは?

 そこで、私どもからの提案です。
 現在、愛玩奴隷所有者様による互助会を開催いたしております。
 他のお客様が、どのような楽しみ方をされているのか。また、どのような奴隷がいるのか。そういった、表立って言えないような事情を互いに共有する場となっております。
 つきましては、同封の招待券に詳細を___』

 ここまで読んで、私は手紙を握り潰した。

「…ふざけるな…!」

 唸るように言った私の声に、びくりとヴィクトリアが竦み上がった。

「お…お父様…?」

「あっ、ああ…済まない。こっちの話だ」

 繕うように笑いながら、私はその手紙を…



↓1

①抽斗に仕舞った

②ゴミ箱に捨てた

③火を付けて燃やした

 繕うように笑いながら、私はその手紙を抽斗に突っ込んだ。彼女らには、絶対に見られるわけにはいかない…
 私は溜め息を吐いた。それから、ヴィクトリアに言った。

「…何か飲むかい?」

「いえ、結構です」

「そうか…」

 沈黙が流れる。私は困ったように頭を掻いた。
 取り敢えず何か喋ろう。そう思い、口を開こうとしたその時、ヴィクトリアが小さく呟いた。

「…わたしじゃ、駄目だったんですか」

「えっ?」

「お仕事に…わたしでは、不足でしたか」

 思わず、椅子から立ち上がった。

「そんなことはないよ。君はとても良い子だ。だから、留守も任せられると思って」

「イーフェが、お仕事に役立ちましたか」

 私は、ぎょっとした。

「ま、待ってくれ。別に、仕事を手伝わせようとして連れて行ったんじゃない。ただ、仲良くなる良い機会だと思ったんだ」

「…」

 ヴィクトリアは黙り込んだまま、じっと私の方を見つめている。その頬を、一筋の涙が伝った。

「…わたし…もう、棄てられたくない…」

「トリア…」

「生まれた時から要らない子って言われて…頑張って、この国の作法や礼儀を覚えたのに、結局は奴隷として売られて…折角、ここに来れたのに、また置いてけぼりなんて、もう…」

 私は、彼女を抱き締めた。

「棄てはしない。何度でも言うよ。3人とも、愛しているから。もちろん、お前も」

「お父様…」

「さあ、トリア…」

↓5まで多数決

①「もう、部屋に戻りなさい」

②「今夜は、一緒に寝てあげよう」

今夜はここまで

 私はデスクの灯りを消すと、ベッドに歩み寄った。

「おいで。今夜は、一緒に寝てあげよう」

「! …はい、お父様」

 シーツの隙間に体を入れると、ヴィクトリアも一緒に入ってきた。

「おやすみ、トリア」

「おやすみなさい」

 娘にキスをして、私は目を閉じた。







「…」

 眠れない。
 すっかり油断していた。12歳の少女が、これほどまでに『女』であったなんて。細い両腕を私の体に絡めて寝息を立てるこの少女が、これほどまでに妻に似ていたなんて。腕に纏わる柔らかい熱と、寄せられた首筋から漂う芳香が、眠りを妨げる。

「…はぁっ」

 思わず、息が漏れた。思えば、妻との営みは数えるほどしか無かった。元から体が弱かったのが、結婚してすぐに悪くなったからだ。加えて私は仕事があれば、月単位で家を空ける。神に誓って私は妻以外と関係を持ったことは無かったし、それを苦に感じたことも無かったから、私の『男』はとうに枯れたと思い込んでいた。いたのだが…

「…」

 私は、唾を呑んだ。性欲というものは、錆び付くということが無いのか。パジャマのズボンの中の『それ』が、熱く張っているのが分かる。微かに痛いくらいだ。それ以上に、心臓が痛い。

 ___もう、耐えきれない。私は



↓1〜5まで多数決

①ベッドを抜け出した

②ヴィクトリアの体に手を伸ばした

この先ぶっ続けで安価取ることになるので小休止

日付が変わる頃に再開します

今の内に無駄話をば

女冒険者メイカーはごめんなさい、エタりました
展開は思いつくんだけど、どうあがいても面白くなる未来が見えなかった
文章力とテンポは永遠の課題ですね

このスレ、本当は完全にファンタジーの世界にする予定だったのですが、元々主人公はある程度の社会的地位のある人物と決めていた(医者、騎士団長など)ので、交渉人と来た時に国の全権大使が思い浮かんで、そこから広げていった結果、そういう案件が多そうな近代のイギリス帝国となりました。無教養な人間がウィキとにらめっこしながら書いてます、はい

それにしても次女の名前をステファニーにしたのは失敗でしたね。ステフと書く度にフルハウスのテーマが脳内再生されます

ちょっと早いけど23:00から再開します

私は、そっと彼女の手を掴んで、自分の身体から引き剥がした。それから、慎重にベッドから体を抜き取ると、部屋を出た。



「…ふぅ」

 テムズ川のように重たい煙を吐き出すと、私はまたパイプを一口吸った。
 これは、実に良くない。親として、娘と添い寝をするのは、何もおかしなことではない。しかし、その度に今のような気分になるのであれば話は別だ。年相応の体をしたヴィクトリアでさえこうなのだから、早熟なステファニーを相手にした日には…

「っ、いかん…」

 頭を振ると、深く煙を吸った。
 私は、彼女らの父親だ。彼女らを愛するのが私の務めなのだ。傷付けるなど、以ての外だ。
 ……ああ、それにしてもヴィクトリア。愛玩奴隷として目をつけられただけのことはある。12歳にして、何という色気だろう。あの甘い香りは、どこから漂ってくるのだろう。あの、浅黒くも柔らかな肌は…

「…くそっ!」

 思わず、手にしたパイプを床に叩きつけた。そうして飛び散った煙草から絨毯に火が点きそうになって、慌てて踏み消した。
 もう、戻ろう。少なくとも体の疼きは収まった。床に転がったパイプを拾い上げ、首が折れていないことに安堵しながら、部屋に戻った。
 また速くなる心臓を抑え、ヴィクトリアの隣に横たわる。そうして深呼吸すると、私は目を閉じ

「…お父様」

「っ!!?」

 突然、眠っていると思っていたヴィクトリアが、口を開いた。

「どこに行かれてたのですか?」

「ああ…ちょっと、一服しに」

「眠れないのですか? ……わたしが隣りにいると、眠れませんか」

「っ、そ、そういうわけじゃ」

「…」

 言葉を濁していると…ヴィクトリアは、不意に私の胸に手を触れた。

「とっ、トリア、何を」

「お父様…愛してくださるのなら…わたしは、『娘』でなくても構いません」

「!!」

 はっと、彼女の方を見た。
 カーテンの隙間から、月明かりが差している。しかし、彼女の顔は影になっていて見えない。

「お父様の…『貴方』の、思うままに…」



↓ 今から20分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  ヴィクトリアにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言かつ無抵抗とみなします

 私は、その手を掴んだ。そしてそのまま引き寄せて、彼女の体を優しく抱き締めた。

「お父様…」

「トリア。私は、そんなことのためにお前をこの家に迎えたんじゃない。一人の少女として、お前には幸せになる権利がある。私の娘として、お前には幸せに育ってほしいんだ」

「…」

 肩越しに、ヴィクトリアはどんな顔をしているのだろう。貼り付いた肌からは、木綿の布地さえ素通りするかのように、生々しい熱が伝わってくる。理性に靄がかかりそうになるのを必死に抑えながら、私は彼女の返答を待った。
 そして、待った末に彼女が返したのは

「…そうして、また我慢するんですか」

 押し隠した本能を抉らんとする、言葉の刃であった。

「ばあやから聞きました。お母様…奥さんとは、ほとんど関係を持てなかったと。それでも貴方は、貞節を守り続けたと」

「そんなこと、当然だろう…」

「でも、貴方は今、我慢しています。我慢して、我慢しきれなくなって、部屋を出て、煙草を吸って…」

 耳元で、囁く。

「…我慢、しないで良いんですよ。貴方に買われた瞬間から、この身体は、貴方だけのものだから」



↓ 今から15分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  ヴィクトリアにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言かつ無抵抗とみなします

「トリア。ああ、トリア」

 私は彼女の体を離し、代わりにその肩に両手を置いた。その時初めて、彼女の顔が見えた。

「そんなことを言うんじゃない。お前はモノなんかじゃないんだ」

 月明かりに照らされた彼女の表情は……今までに見たことが無いくらい、追い詰められたものだった。
 そうだ。この顔を見ろ。向こう100年分の戦時負債を押し付けられそうになったって、こんな顔はできまい。___私は、間違っていない!

「お前は、私の娘だ。娘として愛したいんだ。……愛させて、くれないか」

「分かりません」

 即答。

「わたしには、生みの親がいます。短い間でしたが、一緒に暮らしたこともあります。だから、人の娘としての経験があります」

 硬い声。唇を震わすように、彼女は言う。

「……娘は、親のためなら何でもするものです。そう、教わりました」



↓ 今から10分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  ヴィクトリアにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言かつ無抵抗とみなします

人少ないんで連投有りにします
安価下

「それも、一つの答えかもしれない」

 私は、静かに言った。

「えっ」

「お前の過去を、否定することはできない。そう考える人だって、この世界にはいるんだろう。だが…私は、家族というのは、お互い助け合って行きていくものだと思ってるし、今までも妻と助け合って生きてきたつもりだ」

 静かに、それでいて強く、言い聞かせる。
 何も言わず聞いているヴィクトリアの、目元が震えてきた。

「そして……君と、本当の家族になりたいんだ」

「…っ」

 ___10秒。20秒。沈黙が流れる。静まり返ったベッドの中に、時計のチクタクだけが無遠慮に割り込んでくる。
 やがて…ヴィクトリアの目から、涙が零れた。

「…ごめんなさい」

「良いんだよ、トリア」

 私は、もう一度彼女を抱き締めた。既に欲情など、どこかに吹き飛んでいた。

「ごめんなさい。…わたしは、棄てられるのが嫌で…嫌われたくなくて…ずっと、貴方に媚びていました」

「…」

 私は何も言わず、その背中をさすった。

「気に入られるように…離さずにいてくれるように…何でもしようって。身体だって捧げようって」

「もう、良いんだ」

「わたしには! ……貴方を、『お父様』と呼ぶ資格が無い…だって、これまで一度だって、貴方を父親だと思ったことなんて無かったから」

「トリア」

「自分の保身のために、わたしは貴方を利用しようとした! わたしは…っ!?」

 最後まで言わせず、私は息が詰まるほどに、抱く腕に力を込めた。

「っ、トリア…もう、いいじゃないか。大事なのは、これからだ。これからゆっくりでも、本当の家族になろうじゃないか」

「……はい。…」

「いつか…君が心から、私を父親と認めてくれるのを待ってるよ」

ヴィクトリア

(購入時)
親愛度
服従度☆☆☆☆☆



(現在)
親愛度☆☆
服従度☆☆☆

そして今夜はここまで



 妻の遺書を読み返そうとして、抽斗に入れた手が別の紙に触れた。引っ張り出してみると、前に届いた奴隷商人からの手紙だった。
 思えば、彼は私の目的を理解していた筈だ。きっとこの手紙は、何かの手違いで届いたのだろう。
 ヴィクトリアに見られるわけにはいかず咄嗟に抽斗に突っ込んだが、このまま取っておいても良いことはない。私はくしゃくしゃになったその手紙を



↓1

①ゴミ箱に捨てた

②火を付けて燃やした

私はくしゃくしゃになったその手紙をゴミ箱に放り捨てようとして、ふと手を止めた。
 もしかすると、書斎に誰か入ってこないとも限らない……
 私はマッチを一本擦ると、手紙の端に火を付けた。乾いた紙はたちまちに燃え上がり、書かれた文字をも舐め取ってしまった。炎が指に辿り着く直前、私は燃え上がるその紙くずを窓から放り投げた。丁度吹いた弱い風のなかで、小さな炎は灰になって消えていった。

「これで良し、と」

 誰にともなく、私は呟いた。



 先日の仕事の報酬が入ったので、ステファニーの服を買いに行くことにした。一緒に暮らして分かったが、彼女は今がまさに成長真っ盛りの時期で、この間買った服がもう小さくなってしまったのだ。

「ステフだけ、ずるい!」

「イーフェが大きくなったら、今までのはあげるから」

「お下がり、やだ!」

「わがままを言うんじゃない。…ステフ、行こうか」

「いってらっしゃい。ステフと…お、父様」

 はにかんだように言うヴィクトリアに手を振って、二人で馬車に乗り込んだ。彼女とイーフェアは、ばあやと家でお留守番だ。



「イーフェに、お土産を買ってあげないとね」

「ああ、そうだな」

 馬車に揺られながら、取り留めのない話をした。思えば、ステファニーと一対一で向き合ったのは初めてな気がする。



↓1〜3 話題や行動

「…今まで、こうして話したことは無かったかな」

「確かにそうね。会ってから今まで、半分くらい出張だったし」

「それは悪かった。……留守の間、どうだった?」

「んー…」

 考えながら、人差し指で頬を掻く。それから、へらっと笑った。

「別に、普通。……あ、でも家のことしようとしたら、ばあやが『お嬢様がそんなことするんじゃありません』って言ってくるんだもの。おちおちパイも焼けないわ」

「ははは、それは困ったな。まあ余所行きの時は仕方ないが、家にいる時ぐらいは大目に見るよう言っておくよ。…今度、お前の焼いたパイが食べたいな」

「ええ、任せて!」

 豊満な胸を張るステファニー。私はほっと息をつくと、話題を切り替えた。

「…トリアや、イーフェとは仲良くしてるかい」

 すると、彼女はわざとらしく顔をしかめた。

「イーフェ! あの娘はほんっと甘えん坊よね。どっかで機嫌悪くしたら、すーぐあたしの所に来て、『おっぱい』って。ちょっと人より大きいからってさぁ…」

 両手で、自分の乳房を持ち上げて見せる。それから、不意にいたずらっぽく言った。

「…パパも、吸ってみる?」

「え、遠慮しておくよ。…で、トリアは?」

「あー、トリア。まあ頑張ってるんじゃない?」

 素っ気なく言ってから、ふと私の方をじっと見た。

「…パパ、最近彼女と何かあった?」

「! …何か、とは?」

「だって今までトリア、お父様お父様ーってパパにべったりだったじゃない。それが、最近自重したのか、あんまりくっつかなくなったし、お父様って呼ぶのもいちいちつっかえるし」

「ああ、それか…」

 私は、少し考えて…

「…認識を改めたんだよ。大丈夫、良い方向に働くさ」

「そうだ。服の好みについて聞いておかないとな。どんなのが好きかい?」

「ウエスト締めないやつ」

 即答するステファニー。

「ははは…最近はもう、あんまりきついコルセットは流行らないよ。それよりも、色とか、模様とかの好みが聞きたいな」

「うーん、そう言われると迷うわね…」

 また、人差し指で頬を引っ掻いている。どうやら彼女には、考える時にそばかすをなぞる癖があるようだ。

「正直、服なんて実用品だし、丈夫ならそれで良かったし…あ、そうだ」

 ここで、向かいに座る私の膝を軽く叩いた。

「パパにお任せするわ。似合うのを選んでね」



 衝立の向こうで、ステファニーは採寸を受けている。
 まさか、布地の指定からデザインまで、一切合切任されるとは思わなかった。まあデザインと言っても、この頃の少女らしい可愛らしいドレスにしかならないのだが、彼女が気に入ってくれるかどうか…
 数分後。仮合わせが終わったようだ。衝立の向こうからステファニーが出てきた。彼女を包む、新たな装いは…



↓ 0:00まででコンマが最大のもの
  ステファニーの服について、色、柄、デザインの特徴など

そして今夜はここまで

流石に今日は休みます

質問なんですけど、どうなるまでこの話続けます?
このままある程度山越したらそれこそフルハウスルートですぜ

「これ、面白い格好ね」

 上は白い綿織物から切り出したシャツに、上から深緑色の上着を。下はそれより少し明るい緑のスカートだ。僅かに浮いた裾からは、ついでに取り寄せた茶色い革の靴が覗いている。

「ホウレン草の妖精にでもなった気分」

「緑は嫌いだったかな?」

「いいえ、好きよ。家はジャガイモ農家だったけど」

「そうか…」

 何となく、彼女には緑が合う気がしていた。そして実際に合わせてみると、その直感は当たっていた。デザインはあまり豪奢過ぎない、上品過ぎないように意識してみたが、どうだろうか。スカートの裾が浮いているのは、やはりマズいだろうか…

「…ありがとね、パパ」

 ……いや、これで良かったようだ。
 店に仕立てをお願いして、私たちは服屋を出た。



↓1〜3でコンマ最大 この後どうする

①真っ直ぐ帰る

②寄り道する(場所明記)

今はまだ午前中です

安価下



 丁度いい時間なので、昼食がてら喫茶店に寄ることにした。
 それにしても、仕事柄外国を飛び回るので思うのだが、この国は食に対して関心が無さすぎる。外で食事できる店が少なすぎるのもそうだし、やっと見つけて入っても、紅茶以外にはパサパサのビスケットか、ニシンの酢漬けのサンドくらいしか無いのだ。
 で、私とステファニーはそのサンドを齧っていた。

「今度海外に行くときは、お前やトリアも連れて行きたいな。何しろ食べ物が美味いんだ」

「へえ。それは楽しみね。田舎も対して変わりは無かったけど、ロンドンの食事ってほんっとに甘いか辛いか味がしないかだもの。舌がなめし革でできてるのかしら」

「違いない」

 大真面目に頷いて、紅茶を一口。これだって、本場インドの人々は牛乳や砂糖だけでなく貴重なスパイスまで上手く使って、美味しく飲んでいるというのに。

「そう言えば、イーフェにお土産買っていかないと」

「そうだった。だが、良いのはあるかな…」

 その時、別の客が入ってきた。彼はここから離れた席に腰掛けると、大声で注文した。

「ホットチョコ、チリペッパー入りのやつ頼むよ。ああ、午後からもまた仕事だ」



 相変わらず煙る空に太陽が傾きかけてきた頃、ココアパウダーのぎっしり詰まった缶を抱えて家に帰ると、玄関で待っていたのかヴィクトリアが飛びついてきた。

「おかえりなさい! ちょっと、大変なんです!」

「ど、どうしたんだ」

「イーフェがぐずっていて…」

 その言葉を聞いて、ステファニーがすぐに駆けていった。

「ばあやは?」

「抱き上げてあやそうとしたら、蹴られて、腰を痛めてしまい…」

「分かった…」

 私はステファニーの後を追おうとして、ふと立ち止まった。

「…そうだ、トリア」

「はい?」

 ステファニーが放り投げてしまった缶を拾い上げ、ヴィクトリアに渡す。

「昼食は作ってもらったかな? 料理人がまだいるだろう。こいつを渡して、人数分用意させてくれ」

 階段を上ると、イーフェの部屋から声が聞こえてきた。何度かノックをしたが、気付いてくれない。
 思い切ってドアを開けると、やっと気付いてステファニーがこっちを向いた。

「あっ、パパ! この子おかしいのよ」

「ちょっ、ステフ!?」

 床に座り込むイーフェを指すステファニー。何と、ドレスの胸元をはだけて豊かな乳房が露わだ。

「胸、胸が」

「そう、おっぱい! ぐずってるのに、全然おっぱい欲しがらないのよ」

「そうかもしれないが、その、君の、おっぱいを隠すんだ」

「へっ?」

 ここでようやく自分の格好に気付いたのか、顔を真赤にして胸を両腕で押さえた。
 私は、イーフェのもとへ歩み寄った。

「イーフェ、どうしたんだい」

「…」

「イーフェ」

 彼女はそっぽを向いたまま、何も言わない。

「やっぱり、半日空けたのはまずかったんじゃないかしら」

 ステファニーがこっそり囁いた。私は黙ってふっと息を吐いた。

「ここは…」



↓1

①私に任せてくれ

②お前に任せていいか?

「ここは、私に任せてくれ。お前は下に降りて待ってなさい。早速、ココアを淹れてもらってるから」

「うん、分かった」

 服を直しながら部屋から出ていくステファニーを見送ると、私はイーフェを抱き上げた。

「うぅ、やっ!」

 じたばたするイーフェに、言葉をかける。

「イーフェ、留守にして悪かったよ。…だから、機嫌を直しておくれよ」

「…ない」

「イーフェ?」

「いない…おとさま、いない! おかさま、いない!」

「…」



↓ 今から20分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  イーフェにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言とみなします

「…ごめんな、イーフェ」

 私は小さな体を抱き締めると、呟くように言った。

「君の、本当のお父様やお母様は、もういないんだ…。私が、間に合わなかったばかりに」

 フランスのある離島で続いた交渉。毎朝読んだ新聞の一面に載った、一つずつ増えていく生首の写真。

「…本当に、ごめん」

 その言葉を理解してか否か……イーフェは、いよいよ声を上げて泣き出した。



↓ 今から15分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  イーフェにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言とみなします

「イーフェ…ああ、イーフェ…!」

 訴えるように、言葉を紡ぐ。

「私は…お前のパパには、なれないのかい…トリアやステフは、お前のお姉ちゃんにはなれないのかい…!!」

 いつの間にか、声が大きくなっていたらしい。泣いていたイーフェが、喘ぎながらこちらを見つめている。




↓ 今から10分以内の書き込みで最もコンマが高かったもの
  イーフェにかける言葉もしくは行動
  書き込みがない場合は無言とみなします

「…」

 私は何も言わず、ただ彼女を抱き締めた。
 やがて、泣き声が止んで…細い息が聞こえて…やがて、小さな声が耳に届いた。

「……ぱぱ?」

「!!」

 今、何と言った?

「…パパ」

「あ、あぁ…」

 今度は、私が泣く番だった。パパ、パパと呼ぶ娘を抱いたまま、私は何度も頷いた。そうして、少し前の彼女と同じくらい、涙を流した。



「…あっ、お父様」

 一時間強経って、ようやく私たちは台所まで降りてきた。イーフェは私の腕に抱えられたままだ。

「パパ、もうココアが冷めちゃったわ」

「済まなかったね。まあ、吹いて冷ます手間が省けたと考えよう。…ほら、もう降りて」

「お父様、目が…」

 イーフェを床に降ろしていると、ヴィクトリアが目敏く指摘した。

「何、目にゴミが入っただけさ。……さあ、イーフェ」

 椅子に座る前に、私はイーフェの肩に手を置いた。

「二人に、言うことがあるだろう」

 促されて、イーフェは……細く、呟いた。

「…トリア、おねえちゃん」

「えっ」

「ステフ、おねえちゃん」

「!! …イーフェ、あんた…」

 ああ、二人ともなんて顔だ。そんな有様では、敵国にとって付け入り放題じゃないか。ほら、お姉ちゃんなんだろう? もっと、しっかりした…

「…パパ」

「…あぁぁ」

 ___済まない。きっと私が一番、今ひどい顔をしているに違いない。

ステファニー
(購入時)
親愛度☆
服従度☆☆

(現在)
親愛度☆☆
服従度☆☆



イーフェ
(購入時)
親愛度
服従度

(現在)
親愛度☆☆☆
服従度☆

今夜はここまで

今日は休ませて(泥酔)



 この2年間は比較的平和で、本国絡みで大きな戦争もなく、私の出番も少なかった。
 個人的な出来事としては、今年の春に、以前アメリカで出会った飛行機パイロットのケインがこの国にやって来たこと、国防省に話を通して、軍用の飛行機開発が始まったこと。それと、私と娘たちが2歳ずつ年を取ったことだ。
 ヴィクトリアは身長も伸びて随分頼もしくなった。見た目以上に大人びた雰囲気で、表舞台に出る時に幾度となく同行してもらっている。
 ステファニーが一番変わらない。どうやら成長の山場は越してしまったようだ。ただ、少しずつ都会の暮らしに慣れつつある様子だ。
 イーフェはこの2年でとても大きくなった。体も、そして精神も。抱っこするには重たくなったし、彼女も自分の足で歩くのを好んだ。

 そんなある日、私は急に外務大臣に呼び出された。そこはかとない不安を抱えながら出向くと、彼は私を大臣室に呼び、秘書さえも退出させた上で切り出した。

「バルカン半島の情勢は聞いているかね」

 私は頷いた。ロシア帝国、オスマン・トルコ帝国、東欧の国々……あの地域は、様々な勢力が静かに火花を散らす、今最もきな臭い地域だ。

「そこで仕事ですか」

「いや、そうならないように今頑張っているところだ。本題はそこじゃない。まぁ、まだ前置きの段階なのだが…」

 妙に焦らすように言っておいて、不意に彼は机越しに身を乗り出してきた。

「……最近、ボリシェヴィキの動きが活発化している」

「共産主義者ですか」

「そうだ。日露戦争で賠償金を取られたのがよほど堪えたらしく、皇帝が乱心だそうで、その隙に、と言ったところだろう」

「革命が起きるやも」

「ああ。だが、問題はそこではない。奴ら、一端の諜報機関めいたことをしておってな。この間は日本で新聞社を使って民衆を扇動し、危うく総理大臣が嬲り殺しにされるところだった。フランスでもだ。…そしてこれは、他人事ではない」

「まさか、アイリッシュを扇動して…?」

 肯定も否定もせず、彼は言った。

「奴らの最終目標が、自国の革命だというのは分かっている。一連の行為が、他国の邪魔を防ぐためだということも。しかし、それまでに何が起きるか分からない。……で、本題だ」

 と、ここで彼は表情を崩した。

「なに、肩の力を抜いて聞いてくれ。…しばらく、田舎に引っ込んでくれないか」

「えっ?」

 私はぎょっとした。それは、左遷ということなのか…?
 そんな様子を見て、大臣が笑った。

「だから、肩の力を抜けと言ったろう。ただ、しばらくロンドンから避難してくれと言っているのだ」

「はあ…?」

「だって君、ロシア人からは殺されても仕方ないほどの恨みを買ってるだろう」

「…ああ」

 言われてみればそうである。ロシア優位に運んでいたポーツマスでの会議に密かに介入し、日本側に利をもたらしたのは他ならぬ私だ。

「少しの間…と言っても、1年はかかろうが…まあ、田舎の空気でも吸ってくると良い」



「荷物はこれで全部かな?」

「飛行機、持っていく!」

「イーフェ、模型は1つまでにしなさいね」

 数台分の馬車に、荷物を積み込んでいく。家の前は、殆ど引っ越しの様相を呈している。
 と言うのも、大臣から家族はもちろん、使用人から何から全て連れて行くように厳命されたからだ。

「ステフ、忘れ物は無いかい?」

「…」

「ステフ?」

「…! あ、うん」

「どうしたんだい、今日はうわの空だね」

「ううん、何でもない」

「そうか…?」



 馬車の中で居眠りから覚めると、窓の外の風景は大きく様変わりしていた。高い建物や石畳の道路は消え、木や畑や、小さな家がぽつぽつと建っている。

「…ああ、遠くまで来たなあ」

「そうですね。…」

 隣りに座るヴィクトリアが相槌を打つ。その後に何か言いたげにしていたが、結局言葉は続かなかった。最近、どうも彼女はそういったことが多い。それに、『お父様』と呼んでくれることが減った気がする。難しい年頃なのだろうか…

 向かいのステファニーに話を振ろうとして、私は首をひねった。
 彼女は、窓に貼り付いてじっと外の風景を見ていた。見ているなどという段ではない。殆ど睨みつけるようにして、外の様子を伺っていた。

「ステフ? どうしたんだ」

「! あ、えっと、その」

 彼女はしばし、しどろもどろに唸っていたが、やがて気恥ずかしそうに言った。

「…ごめん、馬車止めてもらっていい? おしっこしたくなっちゃった」

「それなら、ばあやを呼ぼうか…?」

「いいのいいの、その辺で済ましちゃうから」

 そう言うと彼女は、止まった馬車から逃げるように降りて、草陰へと行ってしまった。



 パイプを吹かしながら待っていると、ステファニーが戻ってきた。

「ごめんごめん、遅くなっちゃった」

 そう言うと彼女の顔は、安堵したような、どこか寂しそうな表情をしていた。

安価無かったけど今夜はここまで



「…」

 ロンドンを離れて数ヶ月経つ。季節は秋で、ここでの住処の近くに広がる麦畑も、黄金色に染まっていた。
 滞在先はノーフォークという農村地帯で、人と煙と鉄に塗れたロンドンとは打って変わって、見渡す限りの畑と、忘れた頃に見つかる小さな家々しかない静かなところであった。

「いつまで、私は…」

「お父様」

 ベランダで黄昏れていると、ヴィクトリアがやって来た。何だかいつにも増して、表情が硬い。

「お茶にしませんか」

「ああ…今日の勉強は終わったのかな?」

「もちろんです」

「そうか。…じゃあ、行こうか」

「…っ、はい」

 台所では、既にステファニーとイーフェが座って待っていた。皿の上には、熱々のスコーン。ステファニーが焼いたのだろう。
 雑談しながら紅茶を飲んでいると、ヴィクトリアがふと訊いてきた。

「ここには、いつまでいれば良いんでしょうか?」

「分からない」

 私は溜め息を吐いた。

「世の中が、もう少し静かになったら、かな」

「ここ、とっても静か」

 イーフェの言葉に、私は苦笑した。

「確かに、そうだな。…ステフは? この村にはもう慣れたかい」

「慣れるも何も…」

 そこまで言って、彼女ははっと両手で口を覆った。それから、小さく言った。

「…ええ、慣れたわ。元々田舎の出身だし」

「そうか、それは良かった」

 私は、気付いている。実はここが、彼女の生まれ故郷であると。そして、かつての家に、彼女の実の両親は、既に住んでいないことを。ただ、わざわざをそれを掘り返そうとは思わなかった。
 どんな経緯があろうと、ステファニーはもう、私の娘だ。



「…さて、と。散歩にでも行こうかしら。イーフェも」

「え? あたし、お人形と飛行機で遊ぶ」

「外でね! …」

 イーフェの手を引いて、彼女はずんずんと台所を去ってしまった。
 去り際、彼女はヴィクトリアをちらりと見た。

「…」

 彼女は、僅かに顔を赤らめて頷いた。



「二人とも、元気だなぁ。…トリア、一緒に行かなくて良かったのかい」

「はい」

 短く答えるヴィクトリア。
 私は、密かに目を細めた。やはり、どこかよそよそしい。

「…なあ、トリア」

 何気なく話しかけてみると、彼女の肩がビクリと跳ねた。しまった、声に不快感が現れていたか。

「や、その、別に怒ってるわけじゃないんだ。その…」

 言い訳しておいて、私は溜め息を吐いた。もう、率直に言ってしまおう。

「…そういう年頃なのかもしれないが」

「…はい?」

「最近、お前との間に距離を感じるんだ。…何か、お前の気に障るようなことでもしてしまっただろうか…?」

「!! ちがっ」

 弾かれたように、ヴィクトリアは椅子から立ち上がった。

「違います! そんなこと、あ…貴方に、そんなことは、決して」

 涙まで浮かべて必死に否定する彼女に、私は面食らった。こんなに必死な顔は今まで…
 …いや、一度だけ。ベッドの中で私に迫った、あの時以来だ。

「わ、分かった分かった。疑ったりして済まなかったよ。ただ、最近私を父と呼んでくれることが減ったように思えて」

 すると、にわかに彼女が口をつぐんだ。じっと俯くその顔が、じわりと朱く染まるのが見えた。
 やがて…ヴィクトリアは、潤んだ瞳を私に向けた。

「…あの夜、貴方はわたしに、いつか心から父親と思ってほしいとおっしゃいましたね。おかげでわたしは、服従するでも、身を売るでもなく、家族として愛することを覚えました」

 黒い瞳が揺れている。震える唇から、か細い言葉が零れ落ちるように紡がれる。

「ええ…貴方を、本当の父親だと認めたかった。それなのに」

「なのに? 私に、何か足りないことが…?」

 すると彼女は、首を横に振った。そうして、ふっと息を吐くと…穏やかな微笑みを浮かべた。

「いいえ。貴方は素晴らしい人。ステフやイーフェにとって、理想の父親。わたしは、そんな貴方を……」

「…まさか」

 ___にっこりと笑うその頬を、一筋の涙が伝った。





「……『女』として、愛したい」



今夜はここまで

次回は安価あります

22:00くらいから再開します

それまでに、ヴィクトリアに訊きたいことを一人一つまで書いてください。できるだけ拾います。



質問への回答を踏まえた上で、彼女の意志に応えるか決めてください。

奥さんの遺書を見たのか

「一つ…」

 どうしても、訊いておかねばならない。

「お前は…『見た』のかい」

「見た? 何を」

「ステラの、遺書を」

「ステラさんの……っ!?」

 ヴィクトリアの顔色が変わった。

「自殺だったのですか!?」

「! それは…」

 しまった。妻の死因については、子供らには伏せていたのだった。元々病弱であったことは周知の事実だし、彼女もまた、継母は病死したと思っていたはずだ。
 こうなっては仕方ない。私は頷いた。

「お前たちに、不必要に気を揉ませるわけにはいかなかった。…隠していて、済まなかった」

「…」

 じっとこちらを見つめるヴィクトリアに、私は言った。

「…座りなさい」

「…はい」

 隣の椅子に腰掛けるヴィクトリア。私は彼女と向かい合わせに座りなおすと、目を合わせた。

「…いつから、そう思うようになったんだい」

「分かりません。でも、最初はきっと、あの夜…」

「一緒に寝た、あの?」

 頷くヴィクトリア。

「今でこそ正直に話せますが…あの頃は、貴方に対する情なんて無かった。ただ、自分の居場所を守りたかっただけでした。ですがあの日を境に、わたしは自分に正直に、貴方に向き合うと決めました」

 目を閉じる。深呼吸して、続ける。

「貴方に近づこうと、わたしは心から努力して、貴方はそれに応えてくださった。妾腹の子に生まれ、親からさえも疎まれてきたわたしが、初めて親の愛に触れました。…ですが」

 ここで、ふっと笑った。

「思ったんです。『何か違う』って。ステフやイーフェへの愛情とは、また別のものが欲しいと、思ってしまったんです」

「だが…君はまだ、子供だ」

「子供じゃありません」

「子供だよ。…どうして、そんなに…その、早まるんだ。まだ14歳なのに、どうして」

 すると彼女は、きっと私を睨んだ。

「シャンガンで9年、奴隷市場で3年。これが貴方と出会うまでの、わたしの人生です。シャンガンでは母親に礼儀作法を叩き込まれました。植民地総督…わたしにとって、祖父に当たる人に取り入るために。実の父親とは、話したこともありません。そして貴方はお忘れかもしれませんが、わたしたちは元は愛玩奴隷です。『そういった』知識くらい、イーフェでも知っている」

「そうかもしれないが…」

 返答に詰まっていると、にわかに彼女の顔が曇った。

「…わたしだって。血の繋がりは無いとは言え、自分の父親に恋するなんて、おかしいとは分かっています。どうしようか決め兼ねて、ステフには打ち明けてしまいました」

「! じゃあ、さっきのは」

 彼女は頷いた。

「…ステフは何と」

「あの娘は、市場にいた頃からの知り合いですから、わたしの想いは理解してくれました。その上で、『貴女の人生だから、貴女の思うようにしなさい』と」

「だが…仮に君の思うとおりになったとして…その後、どうなる? ステフやイーフェとは、どう接すればいい?」

「それは…」

 彼女は口を開けたまま、しばし考え込んだ。考えて、やがて首を横に振った。

「…ごめんなさい。その時にならないと、分かりません」

「…ああ、そうだろうな」

 私は溜め息を吐いた。

「最後に一つ、聞かせてくれ。…もう今までのように、親子のままではいられないのかい」

 するとヴィクトリアは、意外にも首を横に振った。

「貴女が望まないなら、このままでも構いません。どんな形であれ、愛してくださるのなら…私は、幸せです」

 そこまで言って、彼女はふと、私の目を見た。

「…遺書」

「…」

 やはり、来たか。私はうなだれた。

「何と書いてあったのですか。このことと、どんな関係が」

 黒い瞳が、射抜くように私を見ている。私は、観念して立ち上がった。

「…ついてきなさい」



 書斎にて。大切に保管していた妻の遺書を読んだヴィクトリアは、硬い表情のままその場に立ち尽くしていた。

「…妻が生前どう思っていたのか…私としても思うところがある。だが、私はお前たちを、自分の娘として引き取った。それは変わらない」

「…お母様が亡くなったのは、わたしたちのせいなんですね」

「!! 違う、断じてそんなことはない!!」

 私は駆け寄り、彼女の肩を掴んだ。

「こうなると分かっていたら、ステラを引き留めていた! 私たち夫婦の子だ、二人で一緒に愛していこう、お前が必要なんだと…それなのに、私は何も気付いてやれず…目を覚ました時には」

「どうして一人で抱え込んでいたんですか!? お母様は、貴方を託すためにわたしたちを引き取らせた。それなら貴方は、わたしたちに…少なくとも一人には、この遺書の内容を伝えるべきだった。隠し立てなんてしないで…」

「トリア…」

「…いいえ、隠すなら…最後まで隠していて欲しかった。そうしたら、まだ、親子でいられたのに」

「! もう、駄目なのか」

「だって…『全部』読んだから…お母様が死を選んだ理由まで、知ってしまったから…」

 彼女は、肩に置かれた私の手に、自らの手を重ねた。

「…今からでも遅くありません。お母様の遺志を果たしましょう」

 その手を、そっと私の首筋に滑らせる。

「……わたしが、貴方の妻になります」

 ___最後の投票の前に、何か言い残したことは? やり残したことはありませんか?



↓ 23:00まで

>>1が妻の死因伏せてたって明記しなかったんだから>>250を叩くのはやめないか

 では、いきます

↓ 0:00まで
  ヴィクトリアの告白を

①受ける

②受けない

同数につき0:10まで延長

じゃあこうしよう

0:00〜0:10に投票した人は次回までに適当にレスしてください
IDが確認できた人の票のみ有効とします

今夜はここまで
延長してなお同数とは恐れ入った

あ、これ終わったらこの話は閉じて次の主人公に移ります

締め切り

間もなく再開します

………

……



「…それで? いえ、特に何も。彼は父親としての役割を全うしましたとも。3人の娘たちがそれぞれの道に進むのを見届け、そうして交通事故で命を落とすまでね。

 長女は、父の仕事を間近に見ていたことを活かし、当時としては珍しい女性の議員になりました。生涯独身を貫いて仕事に打ち込み……父親が死んだ翌日、ゼンマイの切れた人形のように、ふっと息を引き取りました。

 次女は、3人の中で一番早くに結婚しました。相手は何と、例の飛行機パイロットの青年です。つくづく空に縁のある一家ですね。英国で得た資産を持って一緒にアメリカに移り住んで、それなりに豊かな暮らしを送ったそうです。

 三女は…アイルランド独立派に旗印として担ぎ上げられそうになって、日本に逃げました。大戦直後の時期で、あそこは戦場になることを免れましたからね。その後は、一体どうしたことやら」

「…これは、極端な例です。奴隷が自由を手にし、逆に飼い主が彼女らの奴隷となった、稀な出来事。最も、たまにこういったことがあるからこそ、ここの『商品』たちも、希望を持って日々を過ごせるというものです。

 何、『黙って聞いていれば、英国だのアメリカだの、訳の分からない言葉がたくさん出てきたぞ』? これは失礼。私ども、こちらにきて日が浅いもので。

 ともかく。私どものモットーは、買う方も売る方も、買われる方も幸福な取引です。とは言え一番は、何と言ってもお客様です。お客様の望むものを買い、望むように扱ってくださることが、私どもの本望でございます。

 そのために…お客様が、私どもとの取引に相応しいか、失礼ながら判断させていただきたく。まずは、ご職業をお聞かせ願います」



↓1 主人公の職業

ごめん、偽装屋って何

「私立探偵、みたいなもんかね」

 俺は面倒くさそうに答えた。

「ほう、私立探偵。具体的には」

「何でもやるぜ。身辺調査、浮気の証拠取り、ハッキング」

 本当は他にもあるのだが、全部答えてやる義理はない。

「なるほど。失礼ですが、それでは暮らしも中々安定しないのでは? 私どものところへ来られた目的は」



↓1〜3でコンマ最大 愛玩奴隷を買う目的

①愛妾

②助手

③その他、要記述(家族は無し)

「マジで失礼な奴だな。……助手が欲しいんだよ。役目柄、人と話す機会は多いんだが、俺はこのツラだろ? カタギへの聞き込みには不利だ。その点、あんたの所の奴隷ちゃんなら、容姿は担保されてるからな」

「なるほど、心得ました」

 そう言って男は頷くと、机の上のノートを手に取り、開いた。掛けた眼鏡のレンズに、うっすらと中身が反射している。どうやらただの名簿表のようだ。

「では、ご希望の条件を一つずつ願います。それを踏まえて、できるだけ条件に合うものを3人程連れてまいりましょう」



↓ 22:00まで 奴隷に求める要素(人間以外の可能性もあります)



 数分後、男は3人の女を連れて衝立の裏から出てきた。向かって左端の女を指すと、男は説明を始めた。

「この娘は見ての通り、ワーウルフの亜種です。とにかく鼻が良い。言うことは良く聞くし、口も固い。貴方のお仕事にはぴったりでしょう。やや幼い見た目ですが、ワーウルフですからね。これでも20は越えています」

 頭を下げる女。こめかみに垂れた茶色い癖っ毛の向こうに耳は無く、代わりに頭の天辺から尖った耳が伸びている。濡れた大きな黒い目は、見つめるとあっという間に絆されてしまいそうになる。胸は中くらいか。耳もあるし、変装には向かなそうだ。

 次に、真ん中の女…

「…女?」

 思わず、声が漏れた。真ん中に立っていたのは、全身青い肌をした、奇っ怪な生き物だったのだ。体のシルエットから、どうやら全裸の女らしいというのが分かる。

「驚いたでしょう。これは国も存在を確認できていない、珍しい種族なのです」

「だが、こんなのが街を歩いたら目立ってしょうがねえ」

「ええ、その通り。しかし、彼女らが人の目に触れる時は…」

 青肌に向かって合図すると、そいつは頷いて…

「!?」

 次の瞬間、そこには一人目のワーウルフが立っていた。いや、本物は元の場所から動いていない。そいつの体が、その女のものに変化したのだ。

「このように、自在に見た目を変化させることができます。かつては誰かに仕えていたらしく、細かい仕事もやってのけます」

 一通り説明し終えると、女の体がまた元の青肌に戻った。もしこいつを買うなら、事務所では別の女の格好をさせよう。

 最後に、右端の女…

「…女? って、それはもうやったよ」

 今度は普通の人間だ。しかし、白い質素なワンピースに女らしい起伏は少ないし、髪も短い。目は細く唇は薄い、のっぺりした顔をしている。ぱっと見、男か女か分からない。

「初めに断っておきますが、これはちょっと訳ありです。人格等内面については、まだ私どもも把握しきれておりません。その上で…この娘は、変装が得意です」

「それなら2人目の方が向いてるだろ」

「残念ながら、外見だけです。この娘は、内面までも完璧に模写します。故に、誰も彼女の本性を知りません」

「ふうん…」

 のっぺらぼうみたいなその女は、何を考えているのか分からない顔でこちらを見ている。どうにも気味が悪いな…

「こちらからは以上です。お客様からご質問がありましたら、出来る限りお答えしましょう」



↓ 23:00まで、奴隷商人への質問

一人一つな

あと、奴隷の扱いについてはここで決めることじゃないです

 俺は3人(?)を見回すと、おもむろに口を開いた。

「…よし、じゃあ個人面接といこう。一人目、来い。後の二人は向こう行ってろ」

 男が促すと、二人は衝立の向こうに消えた。

「…よう」

 軽く片手を上げると、ワーウルフの女はビクリと肩を震わせた。黒い目が不安げにこちらをみつめている。

「こ…こんにちは」

「名前は?」

「えっ? あっ…テスト、で通ってます」

「そうか」

 どうやら、会話はできそうだ。緊張しているようだが、慣れれば問題ないだろう。

「…何でここに来た?」

「っ!」

 はっと息を呑むテスト。その目に、じわりと涙が浮かんでくる。

「ここから出たいなら、隠し立てはナシだ」

「…はい」

 彼女は鼻をすすると、ぽつりぽつりと話し始めた。

「生まれは、山岳の小さな村です。ワーウルフだけの…そこでは、男たちは『狩り』に出て、私たちは家を守っていました。が…」

「…ああ」

 少し前に話題になったか。人里に降りてきては略奪を繰り返すということで、王国軍が掃討に向かったとか。その時に捕まったのだろう。

「大体分かった。じゃあ、一番大事な話だ。俺の手伝いは、ノータリンにはできねえ。試しに…」

 俺は懐から立方体のパズルを取り出すと、9面揃った絵柄をぐちゃぐちゃに回してテストに渡した。

「1面でも揃えてみろ」

「! …」

 おずおずと、ピースを回し始める。
 実際のところ、これで知能は測れない。こんなものはパターンだ。パターンを覚えてやり込めばどんな馬鹿でも9面揃うし、逆に頭が切れる奴でも、初見では1面も揃わない。要は、こいつに取り組む姿勢を評価しようというわけだ。
 テストは、それなりに知っていたらしい。あっという間に2面揃えてみせた。

「上出来だ。…最後に。見ず知らずの俺のために、どこまでできる?」

「…もう、身寄りはいません。それに、私がどんな役回りを期待されているのか、知っています。…出来る限り、期待には応えます」

「良いだろう、下がれ」

 深く頭を下げると、テストは引っ込んでいった。

 と思ったら、また出てきた。いや、こいつは…

「正体を見せろ」

「…」

 テストの輪郭が歪み、代わりに青肌の全裸の女が現れた。

「名前は」

「…ミラ」

 衣擦れのようなか細い声で、女は答えた。

「ミラ、か。お前、どこで捕まった」

「…」

 無言のミラ。薄暗いテントの中で、青い輪郭は溶けてしまっているようだ。その中にぽっかりと浮かんだ黄色い双眸が、じっと俺を向いている。

「おい、隠し立てするなら、候補から外すぜ」

「…さる御方にお仕えしていました。しかしその方は捕らえられ、処刑された。私は処刑を免れた代わりに、人権を剥奪され、ここに売られた」

「…あ、そう」

 会話はできるが、見るからにヤバそうなやつだ。何がヤバいって、俺がそれらしい話を聞いたことが無いってのが何よりヤバい。

「じゃあ…」

 先程のパズルを、ミラに渡す。

「一面でも、揃えてみろ」

「…」

 ミラは渡されたそれをじっと見ていたが、やがてかちゃかちゃと回し始めた。

「…もういい」

 正解パターンからは程遠い。おまけに、それに気付いてすらいない。頭のキレは期待しないほうが良さそうか。

「最後に。俺のためにどのくらい働ける?」

「私の心は、あの方に」

「…下がれ」

 衝立の向こうに消えるミラの背中を見て、俺は溜め息を吐いた。

 最後にやって来たのは、俺だった。

「…面白い冗談だな」

「気に入ってもらえて何よりだ」

 平然と言い放つ。声色まで、俺とそっくりだ。

「名前は」

「名前? 名前…ああ、まだお前の名前を聞いてなかったな」

「ふざけるな、お前の名前だよ」

 くっくっ、とそいつは喉を鳴らした。

「…クラリスだ。だが、好きに呼んでくれて構わんよ」

「クラリス。大した変装だな。何でこんなところに来た」

 すると、クラリスは俺の顔でにたっと嗤った。

「俺は、元々けちな劇団員だった。だが退屈でね。周りは大根ばっかだし、どいつもこいつも俺の才能に嫉妬してた。だから『抜けた』」

「自分でここに来たってのか」

「ああ、そうさ。ごろつきから金貨を2000枚ほど借りてね。奴らの目の前で川に投げ棄ててやった。貧乏劇団で稼げる額じゃないからな。あっという間に俺は借金のカタ、奴隷の出来上がりさ」

「なるほどな。面白い」

「そう言ってもらえて何よりだ」

 俺は、例のパズルを差し出した。

「じゃあ、ちょいと頭の体操だ。そいつを揃えてみろ。一面でもいい」

 するとクラリスは、迷うこと無くパズルを回し始めた。
 そうして出来上がったのは、テストが作った2面揃え。

「悪いな、俺が『見て』たのは、ここまでだ」

「…! じゃあ」

 つまりこいつは、ミラが適当に回した軌跡を、そっくり逆に辿ってみせたということだ。

「ああ、察しが良くて助かるぜ」

「…お前、俺のために働けるか」

 思わず、重い口調で問うた。
 クラリスは、俺と同じ目を見開いた。

「…退屈させるなよ」



「お決まりですか?」

「ああ」

 俺は頷いた。3人の中から、俺が選んだのは…



↓ 0:30まで 一人一票
  誰を選ぶか 同数の場合は決選投票

そして今夜はここまで

(3人いっぺんは)ないです

ミラが人気だったのは意外。まんまX-MENのミスティークなのに

これ選んでたらあの方ことマグニートーまで出てきてたかも



「お邪魔します…」

 俺の後に続いて、事務所兼住宅に入ってきたのは、ワーウルフの女、テスト。
 まあ、普通に考えてこうなるだろう。後の二人は役には立つだろうが、いかんせん尖り過ぎた。こいつなら忠実に働いてくれるだろうし、一番求めていたカタギへの聞き込みもこなしてくれる筈だ。

「その辺に適当に座れ」

「は、はい…」

 恐る恐る、来客用の椅子に腰掛けるテスト。俺はデスクに腰を下ろすと、引き出しから一冊のノートを取り出した。

「俺のところは、それこそ何でもやってる。当然、汚い仕事もだ」

 ノートをぱらぱらと捲り、適当なページで止める。

「このノートはもう済んだ案件だ。暇な時に読んどけ。参考になる」

 閉じて、テストに向かって放り投げる。あのノートは、比較的平和な案件でもある。本当にヤバいのは、引き出しの二重底の中にある。これはまだ彼女に見せるべきではないだろう。

テスト

親愛度
服従度☆☆

※服従度☆☆☆☆以上で『裏案件』に協力させることができます

「気が乗らねえ時は外を歩け。愛想良くして、近所の連中に顔を売っておくことだ。そうすりゃ、いざって時に助けになる。俺もやったことだ」

「分かりました」

「俺のことは『所長』と呼べ。…今まで一人でやってきたが、一応この事務所のトップだからな」

「はい、所長」

 素直に呼ぶテスト。思わず頬が緩みそうになるのを抑え、俺はデスクから立ち上がった。

「細かい仕事はおいおい教えていくとしよう。住む部屋を案内する前に、言っておくことがある」

 つかつかと歩み寄ると、テストが弾かれたように立ち上がった。怯えた目でこちらを見る。俺は顔を近付けると、唸るように言った。

「…俺たちは、言ってみればヒトの秘密を捌いて食ってるんだ。場合によっちゃ、命に関わる秘密も手に入れなきゃならねえ。そのためには、やっぱり『対価』ってのが要るんだよ」

「!」

「口先や金で済めば良いが、当然血を見ることもあるし」

 おもむろに手を差し上げると、地味な服の上から彼女の胸を鷲掴みにした。

「ひっ…!?」

「身体を使うこともある。…お前、男に抱かれたことはあるかよ」

「な、無いです…」

「じゃあ、ここで『済ま』しとくか」

「! …」

 テストは黙って俯いた。尖った耳がぺたんと寝ている。
 そんな彼女を、俺は…



↓2

①優しく犯す

②激しく犯す

③止めておく



 さて、我が探偵事務所が助手を迎えて2週間になる。その間の案件と言えば、迷子の子供探しだとか、嫁の不倫現場を押さえるとか、地味だが世知辛いやつが多かった。
 そんな中、俺たちは一件の仕事を引き受けた。

「失踪人探しですか」

 依頼書を読みながら、テストが呟く。
 今の彼女はと言うと、白いブラウスに茶色のズボンをサスペンダーで吊り、目立つ犬の耳を茶色いキャスケットで隠している。もう一端の探偵助手気取りだ。

「嫁とガキ置いて消えた旦那、ねえ」

 腕組みして考える。こういうのは、簡単そうで案外根が深かったりする。どうしてそいつが姿を消したのかが分からないからだ。もしかしたら、背後に何かが隠れているのかも知れない。

「酔っ払って寝てるところを保護された、とかなら良いんだが」

「いつもどのルートを通っているんでしょうか?」

「どれどれ…」

 本棚から街の地図を引っ張り出すと、ローテーブルの上に広げた。

「勤め先が王立銀行だから、ここか。で、家がここで…」

「中央橋を通るルートなら、広い道を通っていけますね」

「だが、距離的にはこの南橋を通ったほうが早いぜ」

「どちらを通ったのでしょうか…?」

「ま、今は二人いるからな。手分けして聞き込みと行くか。お前は…」



↓2 テストに任せる方

①中央橋ルート

②南橋ルート

③やっぱり二人で一緒に

明日から早いので今夜はここまで



 中央橋を通る道沿いに聞き込みを進めたところ、面白いことが分かった。

「あの人かい? いつもはこの店の前を通ってくんだけどねえ。会う度に挨拶してくれる、今時珍しい、出来た殿方さね」

「その日は通らなかったんですか?」

 テストの問いかけに、花屋の老婆は首を振った。

「うんにゃ、見かけるには見かけたけどね、何だか急いだ感じであっちに行っちゃったよ」

 そう言って指差したのは、南橋に向かう道。

「ありがとうございました」

 ぺこりと頭を下げるテストに、老婆はにっこり笑って

「良いのさ。お仕事頑張ってね。これ、余り物だから持ってきなさいな」

 と、マフィンケーキを包んで持たせてくれた。
 テストが戻ってくるのを認めて、俺は立木の陰から出てきた。

「…大漁らしいな」

「はい、その人はいなくなった日、急いだ様子で南に向かったそうです。それと、こんなのを頂いて…」

「お前が食えよ」

「えっ、良いんですか?」

「俺が行ったら、塩か冷水でもせしめただろうな。顔によ」

 鼻を鳴らすと、南橋の方へ歩き出した。

「あっ、ちょっと所長! …ひょっとして、悔しいんですか」

 などとほざきながら、テストは俺の後をひょこひょことついてきた。



「…あーあ」

 やっぱりな。俺は溜め息を吐いた。
 目の前には、鼻や額からスパイクを生やしたアフロ、モヒカン、リーゼント。革の妙ちきりんな服を着て、ナイフやら棍棒を引っさげている。

「何の用かな、青少年。俺たちゃ、河原を散歩したかっただけなんだけどよ」

「オレたちの許可なく、南橋の下を通るんじゃねえ」

 真ん中のモヒカンが凄む。

「ここはワシらの縄張りじゃ」

「やぁだなあ、俺たちゃただの犬コロよ。ほれこの通り」

「やっ!?」

 テストの帽子を剥ぎ取ると、ピンとたった犬耳が露わになる。

「だからよ、猿の縄張りになんざ興味ねえんだよ」

「誰が猿じゃボケェっ!!」

「止めとけ」

 喚くアフロを、モヒカンが窘める。今まで黙っていたリーゼントも、口を開いた。

「そうだよ、それでこないだ面倒くさいことに」

「おい馬鹿、黙っとけって」

「…こないだ?」

 思わず、テストが呟いた。俺はニヤッと嗤うと、つかつかと3人組に歩み寄った。

「な…何だよ」

「実際のところな」

 リーダー格と思しきモヒカンの顔に、顔を近付ける。

「俺たちは、4日前にここを通ったある男の行方が知りたいだけなんだよ。な、この辺詳しいんだろ? 教えてくれたら、礼は弾むぜ?」

 『礼』という単語に、モヒカンの眉がピクリと動いた。すぐに手下の二人を呼び寄せて、何やら談合を始めた。
 やがて…モヒカンが、問うた。

「そいつって、ひょっとして銀行の?」

 頷くと、不意にそいつはへらっと顔を崩した。

「ああ…そいつな…可哀想に」

「何だよ」

「うんうん。ワシらの前に、金貨の詰まった財布を落としたんが運の尽きじゃ」

「ま、まさか…」

 青褪めるテストを無視して、俺は肩をすくめた。

「道理で新しい血の臭いがすると思ったぜ。で? どこに沈めたよ。くたばったんなら、その証拠を依頼人に出さなきゃ給料が入んねえんだよ」

「しょ、所長!?」

「黙ってろ。…ほら、言えよ。俺は警察兵でも何でもねえんだ」

「そいつは言えねえ」

「何で」

「お前がチクらねえって根拠がどこにある。初めて会ったお前を信用するくらいなら…」

 ずい、と3人が武器を構えた。

 俺は、また溜め息を吐いた。おい、どうしてくれる。溜め息と一緒に幸せって奴が逃げてくんだぞ。

「ここで、ぶちのめすのが良いに決まってる!」

 モヒカンが、棍棒を振り回しながら襲い掛かってきた。テストが悲鳴を上げる。
 俺は黙って、その向う脛をつま先で蹴り上げた。

「あ゛っ!?」

 うずくまるそのうなじに肘。モヒカンは何も言えず、砂利の上に倒れ伏した。
 落ちた棍棒を拾い上げ、二人を見る。

「だから、言うこと聞いてとけって」

「こ、この野郎〜〜〜!!」

 ナイフを構えて、リーゼントが突進してくる。斬らずに刺そうとするだけマシ。だが姿勢が高い。
 軽く棍棒で手首を打ち下ろすと、前かがみに姿勢を崩した。そのまま、返す刀で顎を打ち上げる。今度は仰向けにひっくり返った。

「…おい、話し合う気になったかよ?」

 空いた手にナイフも拾い、アフロを見る。そいつはわなわなと震えながら俺を睨んでいたが、やがて

「親分に言いつけてやる!!」

 と、その場から走り去ってしまった。



「所長、逃げましょうよ! このままじゃ…」

「まあ、待ってみようぜ」

 涙目で袖を引っ張るテストをあしらいつつ、俺は川面を見ていた。そこまで深くない川だ。4日も死体を隠し通せるような淵でもあるのだろうか。
 事務所を出たのが昼過ぎで、少し空が暮れかかってきたころ、ようやくアフロが戻ってきた。後ろには、やたらガタイの良い男がついてきている。

「…ん? あいつ、肉屋のおっちゃんじゃねえか? ……ああ、そういうことか」

「あんたが、ウチの馬鹿共に喧嘩売った奴かい」

 男が俺を睨んだ。俺は落ち着き払って返答した。

「喧嘩だなんてとんでもない。俺は探しものをしに来ただけさ」

「…」

 男は俺たちを交互に見ながら、手に奇妙な鉄の筒をもてあそんでいる。にしてもデカい。身長は俺の1.5倍はあるし、剥き出しの二の腕なんてテストの尻くらいありそうだ。オーガか、オークとの混血だろうか。

「…どういうことだ」

「簡単な話さ。こいつらに追い剥ぎに遭った、哀れな父親の亡骸を、家族に返してやるのさ」

「どっ、どういうことだ!?」

 すると今度は、アフロに向かって怒鳴りつけた。

「ばっ、バカなこと言うんじゃ」

「うるせえ!」

 男は一喝すると、手にした筒でアフロ頭を殴りつけた。鈍い音がして、アフロが昏倒する。
 俺は懇切丁寧に、事情を説明した。話が終わると、男は青い顔になって念を押した。

「ほ…本当なんだな」

「ああ。依頼人に会わせてやっても良い」

「いや、良い…」

 男は首を振ると、まだノビていたモヒカンとリーゼントを蹴り起こした。

「いっ…あっ、親分!?」

「たっ、助け」

「死体を揚げろ」

「…えっ?」

 阿呆な顔で聞き返したリーゼント。次の瞬間

 ___ガアン!!

 轟音。何かが爆ぜる音とともに、リーゼントの頭の上半分が粉々に吹き飛んだ。

「…えっ」

 呆然と、鼻から上を無くしたリーゼントを見る、モヒカンとテスト。その顔に、脳味噌の破片が降り注いだ。

「ふん」

 男は鼻を鳴らすと、煙を吹く筒をモヒカンに向けた。

「日が暮れる前に死体を引き揚げろ! さもなきゃ、てめえも同じ目に遭わすぞ」



 相方を叩き起こして、深い淵から腐りかかった男の死体を引き上げたモヒカンの頭を、男は容赦なく例の筒で吹き飛ばした。それから逃げようとするアフロを捕まえると、赤熱した筒で文字通り死ぬまで殴り続けた。この間、テストは5回嘔吐した。
 アフロが息絶えたのを確認すると、男は何と、俺の前に手を突いて謝罪した。

「申し訳ねえ、旦那! ウチのボケカス共が、とんだ迷惑を…」

 俺たちなんて纏めて一捻りにできそうなこの大男が、冷や汗に涙まで浮かべている。

「あんたほどの男が、何だってこんな奴らとつるんでる」

「酔っ払いの集団に絡まれてるところを、一度だけ助けてやったんだ。こいつら、それで調子に乗りやがって…しょうもない悪行ばかりしやがるから無視してたんだが、とうとうこんなことになっちまった」

「そうかい」

 俺は男の前に屈み込むと、肩に手を置いた。

「ま、こういうこともあるわな。あんたみたいな良い男に頭を下げさせちゃ、こっちが申し訳ねえ。俺だって綺麗な身とは言えねえしな。お互い助け合っていこうぜ」

 言いながら懐から名前と連絡先を書いた紙切れを取り出し、男の手に握らせた。

「ここで知り合ったのも何かの縁。困った時はいつでも頼ってくれよ」

「旦那…かたじけねえ!」

「よし、クズどものことは忘れちまおう。…テスト、警察兵呼んでこい。その間に俺がこの辺を片付けとく」

「…う゛っ、お゛えっ」

「馬鹿野郎、いつまでゲロってやがる。さっさと行け!」

「うぅ…はい…」

 よろよろと駆けていくテストを見送ると、俺は河原を見回した。頭の欠けた3つの死体。ズルズルに腐って異臭を放つ死体。飛び散った血と脳味噌。それから、胃袋を経て生地まで先祖返りしたマフィンケーキ。
 俺は、また溜め息を吐いた。多分、明日を迎える幸運まで吐いてしまっただろう。

>>399 訂正
×ズルズルに腐って
○カチコチに固まって



「…」

「ほら、飲めよ。俺の奢りだぞ」

 酒場にて。厚切りの塩漬け肉を肴に、特大マグのビールを啜る。そんな俺を、テストは真っ青な顔で見つめている。手元に置かれたビールは、まだ手付かずだ。

「…よく、飲み食いできますね」

「あん?」

「あんなことがあったのに…人が、4人も死んで」

「おい」

 身を乗り出した彼女の口を、片手で塞いだ。

「声がデカい。周りに聞かれたらどうする」

「! っ…」

 落ち着いたのを確認して、手を離す。テストは黙ったまま、椅子に座り直した。

「…慣れたよ。お前もじきに慣れる」

 フォークで肉を一切れ、突き刺して差し出す。

「ほら食え、飲め。折角報酬が入ったんだ。使おうぜ」

「…はい」

 フォークを受け取って、肉を齧る。そのまま、毛虫でも噛み潰したみたいな顔で咀嚼する。何度もえづいた末、ようやくテストは塩漬け肉を飲み込んだ。と思ったら吐き気が襲ってきたのか、慌ててビールを流し込んだ。

「んっ、んぐっ……っぷぁ! はぁ、はぁ…」

「忙しい奴だな」

「誰のせいだと…思って、るんですか…」

「諦めろ。俺がお前を買った時点で運の尽きだったのさ」

「…」

 まだ何か言いたげなテストに、俺は低い声で言った。

「文句があるなら事務所で聞くぜ」

「もう文句は無いです」

「質問もだ」

「…はい」

 硬い顔で頷くと、肉を一口齧った。それから咀嚼している最中に吐き気がぶり返したのか、いきなり立ち上がって便所に駆けていった。



 事務所兼住宅にて。専用デスクの肘掛け椅子にへばりついて、濁った息を吐いている俺の前に、テストは案山子か何かのように突っ立っていた。

「…じゃあ、質問です」

「おう」

「『汚い仕事』って、今日のみたいなやつのことですか?」

 俺は、鼻を鳴らした。

「アレは、たまたまそうなっただけだ。本当ならやましいところのない、クリーンな案件になるはずだった」

「あんなに簡単に人が…そんな仕事も、受けるんですか」

 テストは、目に涙を浮かべている。尖った耳も萎びてしまった。

「流石に殺しはやらねえかな」

 その言葉に、彼女は僅かに安堵の色を見せた。しかし

「だが、手伝いはするかもな」

「っ…」

 ほら、逆戻り。

「どうして、こんなこと」

「奴隷商人の手に渡ったんなら、お前も分かるだろ。…世間には、表と裏がある。お天道様の届かねえ、湿り腐った世界が確かにあるんだ。そこに棲む奴らは、大体は手前の立場を弁えてる。だからこそ、普段は目立つことはしねえし、何ならあのオヤジみたいに表でも暮らしていける」

「でも、あの3人は」

「アレはゴミ屑だ。裏の世界を垣間見ただけでそこの住民気取り、挙句手前の位置を弁えずに表の人間に手を出す。あの哀れな銀行員みたいな奴にな」

 変わり果てた旦那の前で、依頼人の女は泣き崩れた。そうやって死を悼む人間がいるということが、どれほど幸福なことか。

「何事も、中途半端が一番救えねえってこった。分かったなら、さっさと腹括るか、さもなきゃ出てけ」

「…」

 無言。テストは、穴のあくほど俺の顔を見つめている。握り締めた拳が、わなわなと震えている。
 ……出てけは言い過ぎたかな?

「…もう一つ、質問です」

「ほう」

 何だ、意外と肝が据わってるじゃないか。

「あの人、お肉屋さんですよね。何で、あんな力を持ってるんですか?」

「…いい質問だ」

 俺はニヤリと嗤った。
 3人組の死体は、引き揚げた銀行員に代わって淵に沈められた。それだけだ。河原は相変わらず血みどろだし、肉屋のエプロンにまで血飛沫が付いているというのに、彼の顔を見た警察兵は、何も言わず彼の言うことを聞いた。つまり、それだけ奴には力があるということだ。

「だが、そう簡単には言えねえな」

「どうしてですか」

「言ったろ。命に関わる秘密もあるって。これは確かに、あの肉屋の命に関わることだ」

「……つまり、『対価』?」

「察しが良いじゃねえか」

 くっくっ、と喉を鳴らし、両腕を広げてみせる。

「……さあ、『割って』みろ。俺の口を」

今夜はここまで

しばらく安価はナシでいこうかな

「所長…前に、『流されるな』って言いましたよね」

「今は何も言ってねえだろ。お前が知りたいなら、好きにしろってだけだ。何なら、力づくで吐かせてもいいんだぜ」

「そんなの絶対無理でしょ! …」

 テストは数分の間、あっちを見たりこっちを見たり、もじもじと足踏みしたりしていたが、やがて肚を括ったのか、椅子に座る俺の脚の間に膝を突いた。

「わ、分かりましたよ、やれば良いんでしょ…」

 ぶつぶつ呟きながら、震える手でズボンのホックを外す。それから、ごくりと唾を呑むと…ぐいと引きずり下ろした。

「ひっ…!?」

「優しくしてくれよ。大事な『商売道具』だからな」

 ニヤニヤしながら声をかける。テストはおそらく初めて目にする『ソレ』を呆然と見ていたが、やがて恐る恐る両手で握った。

「わっ…うわ…」

 思いの外物怖じしないのは、酒が回っているからか。臨戦態勢にないソレを、握っては緩めたり、引っ張ったり振ったりした。集中しているのか、頭の上の耳も真っ直ぐに俺の股間を向いている。

「そうじゃないだろ。片手で根本を押さえて、もう片方の手で輪っかを作って…」

「む…」

「そうそう。力加減に気をつけろよ。それから上下に、最初はゆっくりと……お前、マジで何にも知らねえのな」

「悪かったですね! …ワーウルフは、身体の大きな雌がモテるんですよ。子供を沢山産めるから」

「ハハッ、じゃあお前は余り物ってわけだだだっっ!?」

 玉袋を抓られて悲鳴を上げた俺を、テストはジトッと睨んでいた。が、不意に大きく口を開けると

「…んむっ」

 勃ちかけていたソレを、口に咥えた。

「んーっ! んーっ!?」

「ったく……度胸は買ってやろう。言う通りにしろよ」

「ん…」

 タコみたく口を窄めたまま、鼻から深呼吸。ようやく落ち着くと、彼女は俺のチンコを咥えたまま頷いた。

「まずは一旦吐き出せ。人によるが、大体先の方が一番感じやすい。そこを舌で軽〜く……そう…お前、舌ザラザラしてんな」

「ん…え…」

「そうやって、ペロペロ舐めてみろよ。得意だろ?」

「…」

 ざらついた舌で、亀頭や雁首を舐め回す。中々悪くない感触だ。手管が揃えば、化けるかもしれない。
 ようやく、俺のムスコは臨戦態勢になった。

「…じゃあ咥えろ。歯ぁ立てたらぶっ殺すからな」

「ふぁ…む」

「舌だけ動かして、竿の辺りを舐めてみろ。巻きつけるようにな……」

 囁くようにアドバイスしながら、見下ろすテストの頭に片手を置いた。そのまま、耳の付け根を撫でる。

「……権力が勝手に集まってくる職種、ってのがある」

「!」

「休むな。手と口を動かしながら、耳だけ傾けろ」

「…」

 上目遣いに俺を見ながら、ちゅぱちゅぱと肉棒をしゃぶるテスト。

「酒屋、金貸し、奴隷商人……人や金が集まる仕事か、国から専売権を得てるのがそれだな」

 静かな事務所内に、粘ついた水音が響く。教えてもいないのに、テストは肉棒を唇で扱くように、優しく吸いながら頭を前後に動かしている。

「…おい、フェラはもう良いぞ。口離せ」

「…っぷぁ」

 すっかり硬くなったイチモツを吐き出すと、テストは俺の前に立った。そうして、ゆっくりとブラウスのボタンを外し始めた。

「一個一個、見せつけるようにな。その色気もクソもないシャツを脱がすために、男は何だって喋っちまうんだぜ」

「…」

 一つ。二つ。三つ。小麦色の肌が露わになっていく。サスペンダーを外すと、ズボンがずるりと落ちた。

「この辺りで、相手を脱がせろ」

「…はい」

 半裸のまま、俺の服に手をかける。既に下半身は裸なので、上着を脱がし、下のシャツに指を這わせた。

「焦るな。焦らせ。ゆっくりだ。そう…」

 焦れったいほどの時間をかけて、俺は丸裸にされた。お世辞にも綺麗とは言い難い身体に、テストが息を呑む。

「二階に上る前に、お前も脱げ。そこが一番肝心だ。乳輪が見え始めたら、さっさと乳首まで出せ。その間は焦らしたってしょうがない」

 ブラウスをはだけようとする手を、掴んで止める。

「待て。何のためにおっぱい2個も付いてると思ってやがる。片方を自分から見せて、もう片方を相手に脱がせるためだろうが」

「はあ…?」

「だから」

 俺は手を伸ばして、ブラウスの片方を捲くった。

「っ!」

 身を竦ませるテスト。露わになった乳房に、指を滑らせた。

「…はぁっ」

 ほんのり顔を上気させながら、彼女はもう片方の乳房を曝け出した。

「…まあ、初めてにしては良いだろう。上に行こうか」

今夜はここまで



「…ふぅーっ…ふぅーっ」

 自室のベッドの上にて。仰向けに寝転がった俺の腰に跨って、テストは深呼吸している。

「お前、毛深いな」

「よ、余計なお世話ですよっ!」

「股の毛は薄い方が受けるぜ。人によるがな」

「…剃っておきます」

 ペースを乱されて逆に緊張が緩んだのか、テストはふっと息を吐くと、上を向いた肉棒にもっさりと茂った自分の股ぐらをあてがった。

「挿れる穴間違えんなよ」

「分かってますよ。じゃあ、いきますよ…」

 くちゅり。亀頭が、ぬるりと濡れたものに触れた。と、いきなり彼女は腰をすとんと落とした。

「い゛っ!?」

「ばっ、急に挿れる奴があるかっ!?」

 処女だった穴に、チンコを突っ込んだまま悶絶するテスト。動揺そのまま中がめちゃめちゃにうねっているのが、地味に気持ちいい。

「ひぐっ…痛ぁい…」

 よろよろと俺の胸に両手を置いて、腰を持ち上げようとする。

「いだっ! おまんこ、裂けちゃいましたぁ…」

 繋がったところを指でなぞり、その指を俺の前に突き出す。

「ほら、血が」

「膜ぶち抜いただけだよ。落ち着いたなら動け」

「はあっ…」

 ゆっくりと腰を上げ…下ろす。肉棒が穴を擦るたび、テストは色気もクソもない呻き声を上げる。

「くうっ…うっ…ふっ…」

「…じゃあ続きだ。腰振りながら聞けよ」

「…んっ、んぅっ…」

「お前、鳥肉は食ったことあるか?」

「へっ? …あ、あんまり」

「休むな、腰を振れ。…牛や豚と違って、鳥は囲っても飼えねえ。かと言って屋根付きの小屋で飛べなくなった鳥の肉は、ふにゃふにゃで食えたもんじゃねえ。だから鳥の肉は貴重だ。あの肉屋は、それを大量に扱ってる」

「…んっ、あんっ」

「良い声が出てきたな。で、どこまで話したか…そう。飛ぶ鳥を捕まえるのは至難の業だ。今までは魔術師の弟子どもが、魔法の訓練で撃ち落としたのを食う、一種の特権になってた。異国ではよくしなる木で空飛ぶ槍が作れるらしいんだが、この辺の木は曲げたってへし折れるのばかりだ。…おい、相槌くらいは打てよ」

「はぁっ、んっ…そ、それでぇ…っ?」

「ところが、最近事情が変わってきた。あのオヤジが持ってた筒。俺も実際に見たのは初めてだが…あれは爆発の力を使って鉄のつぶてを物凄い速さで飛ばす道具だ。はるか空を飛ぶ鳥だって撃ち殺せるぜ」

「! …」

「奴はそれを買うか作るかしたんだろう。そうして、貴重な鳥肉の専売権にも等しい力を手に入れたってわけだ」

 そこまで言うと、俺は相変わらずぎこちなく腰を動かすテストの腕を掴んで引き寄せた。

「わっ」

「いいか、他の奴とする時は、チンコしゃぶった後はすぐ口を洗えよ」

「えっ、まさか所長、私のこと」

「馬鹿か。チンコ咥えた口でキスするなってことだよ」

 そう言うと俺は、首を引き寄せて唇を奪った。そのまま無遠慮に舌を突っ込み、口の中を掻き回す。

「んっ…んんん…ぐ、んっ…♡」

 口を離すころには、すっかり蕩けた顔になっていた。

「情報を聞き出すためにヤッてるのに、手前が感じてちゃ世話ねえ。お前には我慢を覚えてもらおうか」

 彼女の身体を抱え、ぐるりと寝返ると、たちまち上下が入れ替わった。

「…えっ、何を」

 怯えた目のテストに、俺は意地悪い笑みを向けた。

「具体的には、俺以外では感じなくしてやる」

 そう言うと、俺は思い切り肉棒を突き入れた。



「や゛ら゛っ♡ や゛らっ♡ もうイ゛ぎたくないっ♡♡」

「おらっ、もう少しだ、出すぞっ」

「らしてっ♡ はやくっ! もうあたし、しぬ、あっ、あっ…あああっっ♡♡♡」

「出るっ」

 キツく締まった膣内に、精液をぶちまけた。



「…ぐすっ」

「…」

 夜更けの自室にて。行為のままベッドに二人で横たわる。テストが俺に背を向けて、ベッドの縁ギリギリまで遠ざかるので、こちらは遠慮なく真ん中で大の字にシーツを占領した。

「もう、お嫁に行けません…」

「はっ、奴隷が何ほざいてやがる」

 俺は鼻を鳴らした。

「……ええ。私…奴隷、なんですよね」

「ああそうさ。それも社会の裏表で死線を潜る、とんだ貧乏くじさ。どっかの金持ちの家でセックス人形でもやってたほうが、よっぽど幸せだろうよ」

 するとテストは少しの間黙り込み…やがて、ぽつりと言った。

「…いえ、こっちの方が良いです」

「ほざけ。絶対に後悔するぜ」

「本当です。だって…生きてるって、実感できるから」

「…ふん」

 俺は黙って鼻を鳴らすと、こちらを向いた尻に手を伸ばした。毛布に隠れた尻たぶを掴むと、彼女は大袈裟に身じろぎした。まだ火照ったその肉を揉みながら、問う。

「お前、尻尾はどうした」

「…兵士に捕まった時に切り落とされました。『戦利品』の数を数えるためだとか」

「ふぅん…」

 気の抜けた相槌と共に指で腰のラインをなぞると、確かに尻の上に、骨が剥き出しになったところがある。

「ちょっと、そこまだ痛いんですけど」

「変装の手間が省けて便利じゃねえか」

 テストはわざとらしく溜め息を吐いた。

「同情して欲しいのかよ、え?」

「いいえ、ちっとも」

テスト

親愛度☆
服従度☆☆☆

※服従度☆☆☆☆以上で『裏案件』に協力させることができます



今夜はここまで



 俺は、裏案件ノートのあるページを眺めていた。テストは、別の仕事で外に出ている。1ヶ月も経つと、もう一人で軽い案件ならこなせるようになっていた。
 もう、いっそ表の仕事は彼女に任せて、俺はヤバい案件に専念するか…?

 さて、話をノートに戻そう。
 これは、元々表の仕事として請けたものだ。内容は簡単、王国兵団のとある分隊長に引き合わせて欲しいというものだ。団長とか将軍ならともかく、分隊長レベルならそこまで畏れ多い存在でも無いだろうから、直接行ったらどうだと思ったし、実際そう提案したのだが、依頼人はどうしても大っぴらに会いに行くわけにはいかないという。その時点では大した仕事ではないと思い、まあ報酬が貰えるならと引き受けたのだが、何となく依頼人の身元を探ってみた結果、この案件は裏案件ノート行きとなった。
 と言うのもその依頼人、駆け出しの奴隷商人だったのだ。
 この国の奴隷市場は、主にテストのいた所が覇権を握っている。王国兵団から払い下げられた『戦利品』の専売権を持っているからだ。だが当然、その権利を狙うものは多い。そいつはその中の一人というわけだ。つまり、現場の指揮官に顔を売り、『戦利品』を横流ししてもらおうという魂胆なのだ。

 とりあえず前金と報酬金にゼロを1個ずつ足したところで、俺は頭を抱えた。何しろその分隊長、分隊長の癖にやたらガードが堅い。出陣以外で殆ど王城の外に出ないし、会おうとしても毎回変わる秘書で止まってしまう。とりあえずカタギでないことを確信したところで進捗はストップ。以来、既に半年が経とうとしている。

「ただいま戻りましたー」

 丁度そこへ、テストが帰ってきた。

「よう。何か面白いもんでもあったか」

「それほどでも。親御さんは心配されてましたが、娘さんはお友達と、本当に勉強会を開いていただけでしたよ」

「行きと帰りで、本の厚さは変わらなかったか?」

「えっ?」

 首を傾げるテストに、俺はとんとんと鼻を叩いた。

「窓に近寄って匂いは嗅いだか? お前、鼻が利くんだろ?」

「や、その、勉強道具を持って友達の家に入ったところまでしか…」

「奴隷商人に返品するぞ」

「すぐに確かめてきますっ!」

 テストは慌てて事務所を飛び出した。
 やれやれ、あいつもまだまだだな。そう思っていると、また事務所の扉が勢い良く開き、たった今出ていったはずのテストが駆け込んできた。

「郵便受けにお手紙が入ってたので、置いておきますね! では行ってきます!」

 応対用のテーブルに白い封筒を置くと、すぐに飛び出していった。

 彼女が今やっているのは、さる娘の素行調査である。定期的に家に帰ってこない娘の様子に不審を抱いた母親が、俺たちの事務所に調査を依頼したのだ。本人曰く友達と勉強会をしているとこのとだが、その割に勉学が実になった感じがしない。おまけに、面接をした本人の目が虚ろなのが気にかかる。おそらく勉強会というのは嘘で、どこかで隠れてハッパでも吸ってるというのが俺の見立てだ。
 と言うのも、麻薬を練り込んだ紙というのが最近流行っていて……いや、それよりも。

 俺は、テストが置いていった封筒を手に取った。宛名は書いてあるが、差出人が書いてない。匂いを嗅いで毒の類が無さそうなことを確認すると、封を切った。



『お客様へ 

 いつも商会をご贔屓にしていただき、誠にありがとうございます。 
 このお手紙は、初めて私どもの商会から愛玩奴隷を購入された全ての方にお送りしております。 
 お気に入りの奴隷で、お楽しみの頃と思われます。しかし、快楽とは慣れるもの。新たな刺激がほしいと思われる方も多いのでは? 

 そこで、私どもからの提案です。 
 現在、愛玩奴隷所有者様による互助会を開催いたしております。 
 他のお客様が、どのような楽しみ方をされているのか。また、どのような奴隷がいるのか。そういった、表立って言えないような事情を互いに共有する場となっております。 
 つきましては、同封の招待券に詳細を___』 



「…なるほど」

 つまりは乱交パーティか。あの勤勉そうな男がこんな会を主催しているというのは意外だが、確かにビジネスとしては理に適っている。隣の芝生は青い理論で客の射幸心を煽り、更なる購買に繋げようということだろう。寧ろ今まで思いつかなかったのが不思議なくらいだ。
 このところ、件のを除いて面倒な依頼も無いし、気分転換に覗いてみるか…?



↓1〜3で多数決

①行く

②行かない



「…はぁ」

 来客用のソファにへばりついて、テストは溜め息を吐いている。
 見立ては当たっていた。娘は教科書に偽装した紙状の麻薬を友人宅に持ち込んで、窓を閉めた部屋で危ない遊びに耽っていた。友人の中には男もいたから、内容はお察しというものだ。
 当然、結果は親に伝えた。手心を加えられると困るので、この時は俺が行った。帰りがけに娘が橋から投げ棄てた、焼け焦げた紙を見せた時の母親の顔と言ったら。きっと、娘は明日の日を拝むことはできまい。

「何で全部言っちゃったんですか…?」

「何を」

「あの娘さんのこと。お母さんには秘密にした上で、あんなこと止めるように、こちらから言えば良かったと思うんですけど」

「俺たちがやってるのは、慈善事業じゃねえんだよ」

 肘掛け椅子に腰掛け、デスクに足を放り出す。

「依頼人が知りたいのは真実だ。だったら、それに応えるのが仕事だろうが」

「それは、そうですけど…」

「それに」

 顎の無精髭を指で引っ張りながら、続けた。

「お前がそう考えるのは、お前だけが秘密を握っていたからだ。そしてそれは、俺たち探偵にとって一番厄介な宿命だ」

「…?」

 ぷち。抜けた髭を吹き飛ばす。テストは俺の方を見ながら、眉をひそめている。

「…お前はあの母親に先んじて、娘の知られたくない秘密を握った。そしてお前はそいつを使って、娘を更生させようとした。だが、逆に強請ることもできるんだぜ。『母親に黙っている代わりに、自分に代わってあのクソ所長の夜の相手を務めろ』とでもな」

「っ!!? そっ、そんなことしませんよ!」

 顔を真っ赤にして反論するテスト。

「誰だってそう言うし、そう思うんだよ。だが、実際にその立場になったら…例えば、小遣い稼ぎにもならねえマセガキなんかじゃなく、地位も名誉もある金持ちの、それこそ命に関わる秘密を握った時…」

 ジロリ。真顔で見返す。

「……我慢できると、誰が言える?」

「…」

 テストは黙って、俯いてしまった。

「そうシケた面すんな」

 言いながら俺は、抽斗から件の手紙を取り出すと、彼女に向かって投げつけた。

「わっ。…あ、これ、今朝の」

「読んでみろ」

 言われるまま中身を読み始めたテスト。その顔が、にわかに険しくなった。

「奴隷商人…」

「楽しそうだろ」

「…行くんですか」

 俺は、頷いた。
 テストは、静かに目を閉じた。

「…嫌、とは言えないんですよね」

「当然だ。お前は奴隷だからな。……何か知ってるのか?」

「いいえ」

 首を横に振る。

「月に一度、私たちのいたテントで何か催し物をやっていたのは知ってます。ですが、その日だけは愛玩奴隷も別のテントに移されて、何をやっているのかは見られませんでした」

 ただ、と彼女は付け加える。

「テントに入っていく人たちは皆、綺麗な服を着ていました。召使いの代わりに、奴隷を連れて」

「なるほど」

 どうやら、思ったより格調高い集まりなのか。下手な格好で行くと、悪目立ちするどころか追い返されそうだ。身なりには気をつけよう。
 それから、こいつも。

「…」

 硬い顔で手紙と俺を交互に見る、俺の愛玩奴隷。こいつには、どんな格好をさせたものか…



↓ 23:00まででコンマ最大 テストに着せる服について



 じょり

「ひんっ」

 じょり、じょり、じょり

「んっ……ふっ…」

「動くなよ。股の裂け目が一個増えるぞ」

 椅子に座り、大股を広げるテスト。その脚の間にしゃがみこんで、俺は剃刀を動かしていた。

「はっ…早くしてください…恥ずかしい…」

「うるせえ」

 手で油を擦り込み、細く茶色い毛を剃っていく。既に大方剃り終わっていて、白い陰部が殆ど露わになっている。
 テストとはもう何度かセックスしたが、こうして挿れる所をじっくり見るのは初めてだ。

「…こんなもんだな」

「! ではこの辺で」

 椅子から立ち上がろうとするテストの脚を、掴んだ。そのままぐいと持ち上げると、膣だけでなく肛門までおっ広げになった。

「きゃああっ!?」

「まだだよ。お前、ケツの穴まで毛むくじゃらなんだから」

 そう言うと、反論する前に剃刀を尻に当てた。途端にテストが大人しくなる。
 そのまま、肛門の周りを剃毛し始めた。

「毛がはみ出たら嫌だからな。綺麗にしとかないと」

「…」

 テストが涙目を向けたのは、壁に掛かった一着のドレス。『互助会』のために俺が用意した衣装だ。
 色は深い紅色。身体の線が出る細い仕立てで、胸元は開いているし、両太腿のかなり上の方からスリットが入っている。蠱惑的で、あちこちに銀のビーズが縫い付けられた華やかなデザインだ。まさか、これを着ているのが奴隷だとは誰も思うまい。

「よし、これで終わりだ」

 剃刀を置くと、つるつるになった彼女の肛門からクリトリスにかけてをぺろりと舌で舐め上げた。

「んんんんっ…♡」

「エロい声出しやがって。向こうに着いたら、思う存分ヤろうぜ」

「べっ、別に…」

今夜はここまで



「招待券を拝見」

「どうぞ」

 差し出された券に、受付の男が頷く。

「ごゆっくり、お楽しみくださいませ」

「どうも」

 軽く頭を下げ、テントの中に足を踏み入れた。

 緊張した顔で俺の半歩後ろを歩くのは、例のドレスを着たテスト。今日は化粧もしている。俺も髭を剃り、髪を撫で付けて余所行きの礼服を着ている。

 薄暗いテントの中は、前に見た衝立が取り払われて一つの大広間になっていた。広間の中にはグラスの並べられた小さなテーブルや、簡素だがデカい寝台、薄い布に囲まれたあずまやが点々と用意されていた。真ん中には何と、タイル張りのプールまで設置されている。
 既に10人弱の客が来ていて、広間を歩き回ったり談笑したりしていた。主人と思しき男の方は概ね俺と同じような正装をしているが、その隣に控える愛玩奴隷たちは…もう、色々だ。テストのようなドレスもいれば給仕服もいるし、逆に下着姿や、素っ裸までいる。
 俺は、ヒュッと小さく口笛を吹いた。

「凄えな」

「うわ…うわぁ…」

 テストは目を丸くして驚いている。

「あの中に知り合いはいるか?」

「な、何人か」

「他人の振りしてろ」

 そう言うと俺は、会話する集団に向かって歩き始めた。

「あっ、しょ…ご、ご主人様っ」

 慌てて追ってくるテストを無視して、俺は一人の男に話しかけた。連れている女は黒いドレス姿の、おそらく人間。歳は二十前後か。

「恐れながら、初めましてどうも」

 へりくだって挨拶する。この男を選んだのは、奴隷に着せる服からして俺と考えが近く、会話しやすいと踏んだからだ。

「おお、これはどうも」

 男は笑顔で応えた。恰幅の良い、老年の紳士だ。人畜無害そうなシルエットとは裏腹に、目は若々しくぎらついている。

「見かけぬ顔ですな」

「ええ、恥ずかしながら初めてお邪魔しました。何でも、奴隷を買った方々との交流だとか」

「その通り」

 彼は親しげに俺の肩に腕を回した。上等な葉巻の匂いに混じって、古い紙の匂いがした。

「折角の高い買い物だ。自分で愛でるのも良いが、他人と共有する歓びもまた、何者にも代えがたいものだよ。手始めに、私の奴隷を見てくれないか」

 そう言って、黒ドレスの女を指差す。女は黙って頭を下げた。

「本当に、高い買い物だった。だが、その価値はあったよ。この指を見たまえ。美しいだろう」

「ええ、まさに絹のような肌で…」

 適当に相槌を打ちながら、男の奴隷自慢に耳を傾ける。話が一段落したところで、俺は一つ尋ねてみた。

「ご主人、ここには何度も?」

「ああ、年甲斐もなくね。こんなところに来ているとバレたら、私は頭取から引きずり降ろされてしまうだろうな」

 ……おい、この男、今何と言った?

「だが、それはここにいる歴々にも言えることだ。人は皆、誰にも言えない顔を持っている、ということだよ」

「し、失礼ながら、お仕事は…」

 背中に冷や汗が伝うのを感じながら、質問する。
 男は、事も無げに言った。

「王立銀行の、ね」

 それから、少し離れたところにいる一団を示しながら

「向こうにいる、背が高いのは警察兵団長だな。彼と話しているのは…おや珍しい。何年か前に引退した舞台俳優じゃないか」

 俺は、卒倒しかかった。
 なんてこった。このパーティ…ただの色ボケの集まりじゃない。コネクションの宝庫…いや、巨大なダイヤモンド鉱脈じゃないか!

「い、いやはや…驚きました。それに引き換え、私などはしがない自営業で」

「何、誰も気にするまい。ここでは誰もが、美しいものを愛でる一人の人間だ」

 それから不意に、小声で囁く。

「…だが、あまり仕事の話を聞くのは好まれんよ」

「き、肝に銘じます」

 男から離れると、俺はふらふらと一つのテーブルの近くに寄った。天板にもたれるように立つと、深呼吸する。

「…所長、大丈夫ですか?」

「ご主人様と呼べっつったろ。……死ぬかと思ったぜ。この会場、やべえぞ」

「偉い人がいっぱいいるんですよね」

「ああ。本当なら、今すぐあちこち回ってコネを作っておくんだが…」

 男の忠告を思い起こす。
 ここにいる、その事実自体が、表の人間にとっては恥ずべきことだ。ならば、むやみやたらに表の話をするべきではない。相手の不興を買えば、あっという間にこちらの命が消える。

「…程々に、だな」

 そこへ、給仕服の男がテーブルのグラスに飲み物を注いで回った。見ると、真ん中のプールの前に、この前の奴隷商人が立っていた。

「本日は、当商会の互助会にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。私どものところから購入された奴隷について語り合うもよし、愛で合うもよし。お客様がたにとって、素晴らしい時間となりますことを、私ども一同、心から願っております」

 一通りの挨拶を述べると、酒の入ったグラスを掲げる。
 俺も、近くにあったグラスを掲げた。

「では、乾杯」

 あちこちで、乾いた音が響いた。

「かんぱ〜い」

 とりあえずテストと乾杯して、グラスに口をつける。中身は桃の果実酒のようだ。
 遠巻きに眺めていると、一人の男が奴隷を連れてベッドに上った。それから他の客が見ている前で服を脱ぎ、おっ始めた。

「ひえぇ…」

「ま、こうなるわな」

 だが、思ったほど派手な会では無さそうだ。ちらほらまぐわっている奴もいるが、殆どは会話したり、飲み物や菓子を味わったりしている。
 さて、俺たちはどうしたものか。



↓1〜3でコンマ最大 どこに行く?

①中央のプール周辺

②散在するあずまや

③とりあえずテストを抱く

④その他、要記述

じゃあ今夜はここまで

がっこ忙しくて平日は無理そうです…

うわ、>>378の後が抜けてるのに今気付いた。
これが入ります


 テストは黙って俯いた。尖った耳がぺたんと寝ている。
 俺は、胸から手を離すと……彼女の頭を軽くチョップした。

「あ痛っ」

「…こういう時に流されるなってことだよ」

 そのまま彼女に背を向け、階段を登った。

「えっ…えっ、あっ」

 そんな俺の後を、彼女は慌ててついてきた。

「…」

 おろおろと周囲を見回しているテストの腕を掴むと、近くにあった空きベッドにずいずい歩いた。

「やっ、ちょっ、何を」

 そのまま彼女をベッドの上に放り投げると、俺も靴を脱いでベッドに上った。
 タイを解きながら嗤う。

「ま、本題から入ろうぜ。…思う存分ヤるって約束したしな」

「しょちょ、ご、ご主人様…?」

 きょろきょろと周りを見て、言う。

「あの、ここ、周りから丸見えで」

「いつもより燃えるだろ」

 それだけ言うと、俺はテストの唇を吸った。

「んっ……♡」

 舌で歯列を嬲りながら、ドレスのスリットに指を差し入れる。陰毛と一緒に毛を剃り落とした肌をするするとなぞると、テストの体がビクビクと震えた。

「ふぁっ、あっ、ぁ…」

「すっかり良い声で鳴くじゃねえか…」

 ショーツの紐を解き、スリットから抜き取る。ドレスに合わせて買った、超際どい、白い絹のショーツだ。脱がせて改めて見てみると、殆ど紐だ。

 そいつをポケットに仕舞うと、脚を開かせた。スカートを捲り上げ、剥き出しの股間に顔を寄せる。

「うーん、マン毛剃って見ると、また違った趣だな」

 大陰唇を広げ、膣穴の中を覗く。

「まだ経験の浅い、薄紅色のヒダだな。ああ、このまだ綺麗な穴が、これからここにいる男たちの嬲りものになるとは」

「解説しないでくださいっ! って、男たちの、えっ?」

「どれ、今の内に味を」

 ぱっくり広げた穴に、舌を突っ込む。

「ひゃあぁっ♡♡」

 中のヒダヒダをくすぐり、尿道をつつき、クリトリスに前歯を立てた。

「ふぁあっ♡ んあっ♡ あっ、あっ…ひいぃっっ♡♡」

 顎まで汁が垂れてきたところで、口を離した。
 ベッドの周りには、既に数人のギャラリーができていた。

「おいテスト、見てみろよ」

「ふぇ…? ……っっっ!!?」

 既に紅潮していた顔が、更に真っ赤になる。両手で顔を隠すが、耳がせわしなく動いている。

「失礼。この奴隷、主人を愉しませるより自分が愉しんでばかりですね。私の教育不足です」

 愛想笑いを浮かべながら言うと、ギャラリーの一人が首を横に振った。

「いや…とても『手入れ』が行き届いている」

「ありがとうございます」

 一礼すると、ズボンを下ろしてイチモツを取り出し…

「ほら、自慢の鳴き声を、聞かせろよ…」

 トロトロに蕩けた穴に、ゆっくりずぶずぶと挿し込んだ。

「あっ、あっ、ああぁ…♡♡♡」

 亀頭が膣の壁を擦ると、熱く火照った肉がビクビクと震えた。奥をとんと突くと、テストは肩を強張らせた。

「んあっ♡」

「ほら、顔隠すんじゃねえ。失礼だろうが」

 顔を覆う腕を掴み、ぐいと引っ張った。一緒に引っ張られた腰が、更に俺の肉棒に押し付けられる。

「ひあぁっ…♡」

「ほら、皆さんに」

 腰を引いて

「ご挨拶しろっ!」

 突き出す。

「んあぁっ♡ やらっ、みないれぇ…♡」

「いやぁお恥ずかしい。この通り、礼儀がなってないもので」

「何をおっしゃる。これ程のよがり方は見たことがない。何者にも勝る、主人孝行というものだ」

 いつの間にかギャラリーも増え、ベッドの周囲をぐるりと取り囲んでいた。その中の一人が、奴隷を連れてベッドの横に上がってきた。

「お前もこのワーウルフを見習いなさい」

「は、はい…」

「あんっ、ああっ♡ やあっ♡ もう…」

 抽迭を速めると、膣がだんだんと締まってきた。

「じゃあ、一発目っ」

 どんっ、どんっ、どんっ。強めに奥を突く。

「あああっ♡ ああっ♡♡ あ゛あ゛ぁっっっ♡♡♡」

「イくぞっ」

「イくぅ…っっっ♡♡♡」

 ガクガクと痙攣するテストの膣内に、精液を吐き出した。

「…ふぅ。まずはこんなもんだな」

 呟きながら周りを見ると、ぱらぱらと拍手が起こった。何だか妙な気分だ。隣では、先程の男が自分の奴隷と性交していた。力任せの腰つきに、奴隷はぎこちない嬌声を上げている。
 そこへ、どこからともなく給仕服の青年がやって来て、俺に濡れタオルを渡した。

「こちら、ベッドの下とあずまや、それからプール周辺にご用意致しております。お体を拭き清めるのにご利用くださいませ」

「そりゃどうも」

 短く応えて、それをテストに投げつけた。

「だが、俺にはまだ必要ねえな」

 腰を引くと、どろりと白濁した汁と一緒に萎びたチンコが抜けた。
 ひっくり返ってぐったりしているテストの腕を掴んで引き起こすと、そいつをテストの鼻先に突きつけて、命じる。

「ほら、綺麗にしろ。お前の仕事だろ」

「はぁっ…はぁ…」

 息を切らしながら、テストは舌を伸ばしてソレをペロペロと舐め始めた。

「おお…何と淫らな」

「是非、私も抱いてみたい!」

「いや、ご主人。それよりうちの女を調教してくれないか」

 周りから投げかけられる言葉を聞き流しながら、俺はこれからどうするかぼんやりと考えた。



↓1〜3でコンマ最大 これからどうする

①乱交開始

②2回戦開始

③あずまやに避難

④その他、要記述

「…んっ、れろっ」

「おい、もう良いぞ」

 俺はテストを押し退けると、イチモツを仕舞った。それから彼女の手を引き、ベッドから降りた。

「ああっ、どちらへ」

「いや、新参者が出過ぎた真似をしてしまいました。一度、頭を冷やして参りますよ」

 そう言うと、返事を待たずにずんずん歩き出した。
 目指すは、目についたあずまやだ。



「ご主人様っ、もうっ、また自分勝手に」

「勝手もクソもあるかよ。奴隷の言うこと聞く主人がどこに…」

 藍色の天幕を持ち上げ、中に入る。
 そこには、既に3人の先客がいた。

「おっとしつれ」

 立ち去ろうとして、ふとその中の一人の顔が目に入った。
 そいつが誰なのか理解した瞬間、俺は退去を止めて中に入った。

「…いや、気が変わりました。ご一緒しても?」

「…」

 俺が目をつけた、向かって左端の男は、真ん中に座る青年…と言うよりは、少年? に何やら耳打ちした。少年が頷いたり、首を傾げたりしている。
 その間、俺は残る一人…あずまやの隅に座って、じっと黙り込んでいる女を見ていた。

「綺麗…」

 風流のカケラもなさそうなテストでさえ、思わず溜め息を吐く程に、女は美しかった。木の葉を編んで作った服から覗く肌は白く、細く長い指には小さな竪琴が握られている。白い顔に物憂げな瞳をしていて、その耳は細長く尖っていた。女は、エルフだった。

「お許しが出たぞ」

 密談を終えた男が、低い声で告げた。

「はっ、では失礼して」

 俺はその場に胡座をかくと、男に愛想笑いを向けた。対して、男は仏頂面を返す。

「あちらのエルフは、貴方の奴隷で?」

「この方のだ」

 少年を指す。俺は、いかにも驚いた風に言った。

「何と。では、貴方は御自分の奴隷をお連れでない」

「とぼけるなよ、私立探偵」

 突然、男が凄んだ。しかも、折角伏せておいた俺の職業をピタリと言い当てるときた。俺の後ろに座るテストなんて、もうビクビク震えてるぞ。

「貴様のことは、既に聞いている。城下町でケチな秘密の売り買いをしていると。そして、それを隠れ蓑に」

「おっと。その先は結構だ」

 男の話を遮る。そうして、歯を剥き出して言った。

「…王国兵団第17分隊隊長、オルセル。王城嗅ぎ回っても出てこないと思ったら、こんなところにいやがったのかよ」

 そう。この男こそ、例の新米奴隷商人がコネを作りたがっていた分隊長、その人である。今はゆったりしたローブを着ているが、それでも強靭な体のラインがくっきりと見えた。少なくとも、殴り合いは止したほうが良さそうだ。

「この際、そこにおられる若君の正体については触れないでおこう。それに、あんたが誰だろうが俺には関係ない。俺は単に、気晴らしに自分の奴隷連れて遊びに来ただけだからな」

「…ふん」

 鼻を鳴らすオルセル。こいつが王国兵と聞いて、テストは青い顔をしている。そりゃそうだ。故郷を滅ぼし、自分たちを奴隷として売り飛ばした張本人だからな。
 緊迫する空気を感じてか否か、少年が奴隷のエルフに一言、命じた。

「おい、エマン。余は歌が聞きたいぞ」

「かしこまりました」

 エマンと呼ばれたエルフは頷くと、手にした竪琴を爪弾き、透き通った声で歌い始めた。

「…」

 静まり返るあずまやに、美しい歌声が響く。
 エルフという連中は、どうも絶滅願望でもあるらしいというのが、俺の意見だ。だって、別に住処を侵したわけでもないのに『自然を大切にしろ』とか言って、定期的に喧嘩を吹っかけてくるんだぜ。おまけに何のこだわりか知らないが、鉄の道具は頑なに使わない。木の葉を編んで作った服を身に纏い、石を削った槍や剣で戦いを挑んでくる。で、当然負ける。
 奴らにとって幸いだったのは、エルフは揃いも揃って美男美女で、愛玩奴隷として高い需要があるということだ。だから、出来る限り殺さず生け捕りにするのだが、こいつらの厄介なのは尊厳の危機になると、簡単に自害してしまうところだ。どうも上手い舌の噛み方でも教わっているらしく、猿ぐつわを噛ませないとあっという間に舌を噛み切って死んでしまう。余計に値段が上がるわけだ。
 このエマンというのは、すっかり人生を諦めたのか、或いはエルフには珍しい現実主義者なのか…

今夜はここまで

 歌が終わった。俺は拍手をした。

「素晴らしい歌声だ。主の品性が窺われるというものだな」

「オルセルが余のために見繕ってくれたのだ」

 少年は胸を張った。エマンは黙って頭を下げた。

「貴様のそれは、前の遠征で捕らえたものだな」

 オルセルが、テストを指して言う。てっきり見下した目をするかと思ったが、寧ろ憐れむような目をしているのに、俺は密かに驚いた。

「ああ、その通りだ。こいつについても聞いてるのか?」

「猟犬の真似事をしている、とな」

 俺はくっくっと喉の奥で嗤った。

「よせやい。そんな機敏じゃねえよ。良いとこウチの看板犬ってとこだな」

「物凄い声を上げていたな」

 少年が、さも可笑しそうに口を挟んだ。

「ここまで聞こえてきたぞ」

「うぅ…」

 恥ずかしそうに顔を赤らめ、俯くテスト。そんな彼女に、少年は不意に言った。

「近う寄れ」

「へっ? …あっ、はい」

 慌てて立ち上がると、おずおずと少年の前に歩み寄る。そんな彼女に、少年は続けて命じる。

「座れ」

「は、はい」

「乳を出せ」

「はいっ……はっ?!」

 仰天するテスト。俺はニヤニヤ笑いながら「おい、言う通りにしろ」と野次る。

「はっ…はぁ…」

 彼女は少年を見て、オルセルを見て、エマンを見て、最後に俺を見て……逆らえないと悟ると、ゴクリと唾を呑み、震える手をドレスの肩紐に掛けた。
 しゅるり。片方の肩紐が滑り落ちると、ドレスの胸元が捲れて片方の乳房が露わになった。

「…」

 目の前に座るマセガキは、ガキらしからぬ下卑た笑みを浮かべながら、テストの乳に手を伸ばした。

「もう片方もだ」

 大きくも小さくもない乳房を片手で揉む少年。その空いた手を、テストが両手で掴んだ。そのまま、もう片方の肩紐に導く。彼女の意図を察してか、少年の顔が僅かに上気した。
 少年の手で、もう片方の乳房が晒された。彼は興奮した顔つきで黙りこくったまま、テストの両方の乳を両手で揉み続けた。

「んっ…ふぁ…」

「…」

 静かなあずまやに響く、微かな喘ぎ声。マセガキの鼻息が混じってさえなければ、エマンの歌声に勝るとも劣らないBGMだったんだが。
 ひとしきりテストの胸を堪能した少年は、次の命令を下す。

「女陰を見せろ」

「はぁっ…」

 脚を投げ出して大股を開くと、ゆっくりとスカートをたくし上げた。ショーツはさっき脱がせて俺のポケットの中なので、すぐに剃りたてのつるつるマンコが少年の目の前に供された。

「広げて、中をよく見せろ」

 両手の指を縁に添え、くぱぁと音がしそうなほど穴を広げた。もう顔は茹でダコみたく真っ赤だし、耳は剥製のように固まっている。
 このガキ、年の割に手慣れてるな。そう思いながら横目でヤツの『持ち物』を覗き見ると、女は気まずそうに自分の主から目を逸らしていた。

「おい、中から白いものが零れてきたぞ。どういうことだ」

「身体を拭かせる前にここに避難してきたからな。恐れながら、俺のだ」

「そうか」

 ぶっきらぼうに返しながら、彼は自分の着衣を脱ぎ捨てた。いっちょ前におっ勃ててるが、先っちょまで皮被りの可愛らしいイチモツだ。これなら、テストも余裕で相手できるだろう。

「では、二番目は余が貰うぞ。良いな」

「っ!」

「どうぞどうぞ。私の他に男を知らぬ不束者だが、どうぞ可愛がってくんな」

 息を呑むテストに、愛想笑いでゴーサイン。そんな俺に、少年はふと思いついたように言った。

「…そうだ。代わりにエマンを貸してやろう」

「!!」

 不意に飛んできた流れ弾に、エルフの肩が跳ね上がった。はっと顔を上げ、主を俺を交互に見る。

「良いのかよ?」

「余は寛大だ」

「へへっ、ありがたき幸せ」

 俺は立ち上げると、ガタガタと震え始めたエマンのもとへ近寄った。



↓1

①この場で始める

②場所を変える

今夜はここまで

安価下

「…という訳で、お手を失礼」

 細い手を掴んで立たせる。それからあずまやを出ようとしたところで、ふとオルセルと目が合った。何故か彼は、酷く狼狽した顔をしていた。



 少し離れた別のあずまやに入ると、俺はエマンの手を離した。手が離れると、彼女はすぐにその場に座り込んだ。

「…」

「こんなことになるなんて、って顔だな」

 エマンは、キッと俺を睨んだ。

「私の心と身体は、ソーヤ様のものだ」

「じゃあ、俺が無理矢理お前を抱いたら、お前は舌噛んで死ぬのかよ? 他のエルフみたいに」

「…そうだ」

「あ、そう。好きにしな。だが…」

 女の目の前に、膝を突く。

「その時は、俺も一緒だぜ」

「何を…っっっ!!?」

 言いかけたその口に、噛み付くように唇を付けた。抵抗される前に、深く舌を差し入れる。

「んっ! んーっ!?」

「…」

 『噛め』。喉の奥で、唸る。エマンは華奢な腕で俺の頬を殴り、肩を揺すり、唇を離そうとする。俺は彼女の首に両手を回し、強く引き寄せた。

 やがて…女が抵抗を諦め、両腕を下ろした頃、ようやく俺は口を離した。

「どういう…ことだ」

 顔を真っ赤な怒りに染め、エマンが呟く。

「舌を噛み切るなら、俺の舌を食いちぎってからにしろ」

「正気か…?」

「ああ。あんたと心中できるなら、俺は本望だぜ」

 エルフは、困惑の目でしばらく俺を見ていたが、やがて合点がいったのか、軽蔑したように言った。

「人間には、エルフという種族は美しく見えるらしいな」

「だが、あんたはその中でも格別だ」

「馬鹿を言え。この期に及んで命にしがみつく私など、エルフの風上にも」

「良いじゃねえか。あんたは未来の幸福のために、今の名誉を棄てられる女だ」

「! …」

 未来の幸福、という言葉に、エマンの眉がピクリと動いた。口の中で「ソーヤ様…」と呟いている。

「俺は、あんたに惚れたよ」

 そう言うや、俺は彼女の服に手を伸ばした。

「!」

 身を強張らせるが、エマンは抵抗しない。
 木の葉で編まれた前開きのシャツ。その紐を解くと、形の良い乳房がまろび出た。片手でそれを撫でながら俺は彼女の背中に回ると、後ろから細い体を抱きすくめた。これまた木の葉でできたスカートの中に手を入れると、ショーツの代わりに熱く湿った肌に触れた。エルフには下着の概念が無いのか、或いはあのマセガキの趣味か。
 薄く毛の生えた秘部に、そっと指を挿し込んだ。

「んっ」

 微かな嬌声。指先で粘膜をなぞりながら、もう片方の手で乳房を愛撫する。

「ん…あっ、んっ…」

「あんたのご主人は、今頃俺の奴隷とヨロシクやってるぜ」

「…」

 乳首を指で転がしながら、耳元で囁く。

「いつも、あんななのか? ここには、よく来てるのか?」

「…」

 俯いたまま、黙り込むエマン。

「初めてなんだろう? 主があんたを他人に貸し出すなんて、今まで無かったんだろう?」

「…っ」

 女は、黙って唇を噛んだ。
 俺は、膣に挿れた指で壁を強く擦った。

「んあっ……♡」

「やっと感じてきたか。あの若君は、褥の作法をまだご存知ないと見える。勿体無いことだ…」

「だっ、黙れっ! …あぁっ♡」

 乳首を抓ると、一際大きな声を上げた。

「お、お前の手で、快感など…っ」

「それなら、それでも良いさ。本当に嫌な時でも、女の股ぐらは濡れちまうんだ。こんな風にな」

 膣から抜いた手を、彼女の目の前にかざす。蝋燭の灯りを受けて、愛液がきらきらと糸を落とした。

「…そろそろヤろうぜ」

「…」

 下の衣服を脱ぎ、女の身体をくるりとこちらに向ける。腰を掴んで持ち上げ、上を向いたイチモツの先端をあてがった。
 ゆっくりと、腰を下ろす。

「んっ…あ…あっ…」

 奥まで挿入ると、裸の背中に腕を回した。それにしてもこの女、背が高い。抱き合って座ると、俺の顔が相手の胸の辺りに来る。
 ___まあ、丁度良いや。
 目の前でぷるぷると揺れている桃色の乳首を、唇で挟んだ。

「はぁっ…あぁっ…♡」

 舌先で突っつくと、その度に膣穴が竦むように締まった。
 乳首を離し、その周りを舌でくるくると舐め回しながら、背を抱く手を片方外して、空いた乳房を弄る。

「ん、くっ…んぁっ♡」

 いつの間にかエマンは、両腕を俺の頭に回し、自分の胸に押し付けていた。密着した腰を、物欲しげに揺らす。

 ___おいおい、これが誇り高きエルフかよ? …いや、けなしてるんじゃないぜ。
 折角この世に生まれたんだ。簡単に死んだりしないで、愉しまなくちゃ損だろう。それこそ、こんな風にな。

「はあっ♡ はあっ♡ はっ」

 目と口元を蕩けさせて、エマンは喘ぐ。では、そろそろ期待に応えるとしよう。
 俺は彼女の引き締まった尻を両手で掴むと、ぐいと自分の腰に押し付けた。チンコの先端で、肉穴の奥をぐりぐり穿る。エマンが喉の奥で低い嬌声を上げ、膣壁をうねらせた。
 その腰をおもむろに持ち上げると、すとんと落とした。

「んあぁっっ♡♡」

 がくんと、女の肩が跳ねた。きゅっと締まったマンコの穴に、挿して、抜いて、挿して、抜いて、挿す。

「んあっ、まっ、待ってっ♡」

 切羽詰まった声を出しながら、エマンが俺の肩を掴んだ。引き離そうとするその手を掴まえて、俺は彼女を下に組み敷いた。
 怯えた目と、目が合った。

「や…もう、じゅうぶんあぁっっっ♡♡♡」

 どんと腰を突き出すと、エルフの身体ががくがくと震えた。どうやらイったようだ。
 なだめるようにゆったり腰を動かしながら、話しかけた。

「主より先にイくのは初めてか? ……それとも、男にイかされるのも初めてか?」

「あぁっ♡ んっ♡ んんぅ…」

「いい気持ちだろう。息して動いてる奴らは、みんなこうするために生まれたんだぜ」

「うっ、あぁ…♡ はぁ、んっ…」

「あんたにも、考えがあるんだろう。好きにしろよ。果たすも、迷うも…」

「…っ、ひっ…ぐすっ…ううぅ…」

 いつの間にかエマンは、両手で顔を覆って咽び泣いていた。

「……ああ、好きにしろよ。ほら泣くな。泣く前に質問に答えろ」

「…ふぅーっ…」

 長い息を吐くと、手をどけて俺を見る。

「いい娘だ。…尻の穴でヤったことはあるか?」

「っ!」

 白い顔が、にわかに朱く染まる。経験アリってことだな。

「じゃあ、小便の穴は?」

「えっ?」

 今度はきょとんとする。

「良いだろう。教えてやる」

「教えるって、何を…ま、まさか……! やっ、やめっ、あっ、あ、ああっ!!」



 俯いたままちょこちょこ歩くエマンを連れて、元のあずまやに戻ってきた。

「よう、ただいま帰った」

 入り口の布をめくって、俺は凍りついた。
 そこにいたのは、部屋の隅に疲れ果てた顔で座るオルセルと、真ん中に座してにやにや嗤う若君と、その前に血塗れでうつ伏せに倒れて、動かないテストであった。

 エマンの顔に、先程とは比べ物にならない恐怖が浮かんだ。

「ああ、帰ったか。エマンの肢体はどうだった」

「…」

 俺は何も言わず、テストの側に近寄った。

「…そいつがあまりに可愛らしい声で鳴くのでな。柄にもなく余も滾ってしまった。許せよ」

「おい、生きてるか」

「…ぅ」

 呼びかけに、テストの耳がピクリと動いた。右耳の先端が食いちぎられている。折角買ったドレスはズタズタで、服の体を成していない。
 俺は溜め息を吐くと、ぐったりしている彼女の体を抱き上げた。

「おお? 奴隷相手に、随分と優しいのだな?」

「ウチの犬ころが、粗相をしたようで」

 素っ気なく言うと、俺は若君に背を向けた。すぐ後ろに立っていたエマンは、呆然と自分の主を見ていた。

「では、これにて」

 あずまやから立ち去る俺たちを、オルセルは凄まじい形相で睨んでいた。

今夜はここまで







「そんな…」

 ボロ布に身を包んだ背の高い女が、焼け落ちた建物の前で呆然と立ち尽くしている。中から出てきた数人の警察兵が、指揮官と思しき男に向かって首を振った。

「駄目です。中の方が酷かったです」

「台所に黒焦げの骨が…多分、二人分」

 彼らの会話に耳を傾けながら、密かに手の中の紙切れを広げて見た。もう何度も読んだ、この建物を示す住所だ。この親指ほどの大きさの羊皮紙を、男はあろうことか、細く撚って彼女の尿道にねじこんだ。そうして一人になってから、抜き出して広げて読むように言ったのであった。

「…」

 フードの下に隠された顔は、唇から顎にかけてが赤く染まっている。舌を噛んだわけではない。赤い果物を潰した汁に、指を小さく切って垂らした血を混ぜたものを塗りつけたのだ。その格好でベッドの上に横たわっていたところ、呼びに来た主の部下が仰天して、医者を呼びに走っていった。部屋の鍵を掛けることも忘れて。

 しかし、こうして抜け出してはみたものの、目当ての相手は焼け死んだ。一度脱走した以上、帰っても生きていられるかどうか。『互助会』から帰った後、彼女は狭い部屋に幽閉された。そうして主が求めたときだけ、監視役の兵とともに部屋を出ることを許されたのであった。
 本当なら、自分は既に死んでいるはずだった。エルフとして生きていることを許されないだけの屈辱を、もう数え切れないほど受けた。しかし、こうしてここに忍んできたのは、あの日初めて目にした、主の隠された残忍さに、今までの忠誠への疑問が生まれたのと……そして、どういうわけか、もう一度あの男に会わずにいられない、そんな気がしたからだ。

「まあ、火の不始末だろうなぁ。気の毒に」

 焼け跡に背を向けた。もう、ここにいる意味はない。逃げよう。そうして、誰もいない場所で…

「もしもし」

「っ!?」

 突然、目の前から声が飛んできた。はっと顔を上げると、白いブラウスに茶色いズボンをサスペンダーで吊り、ぶかぶかの帽子を目深に被った小柄な女が、こちらを見ていた。

「あ、あなたは…」

「そろそろ来る頃だと思ってましたよ」

 女は、帽子のつばを小さく持ち上げ、僅かに顔を晒した。

「!」

「さあ、行きましょう。所長が待ってますよ」

 そう言って、女は…ワーウルフのテストは、屈託のない笑みを向けた。



「なあ、本当に仕事を果たしたんだろうな…?」

「うるせえな、静かに待ってろよ」

 広げた羊皮紙に書き物をしながら、俺は悪態をついた。
 ここは、例の肉屋の2階だ。そして向かいに座ってそわそわしているのは、俺にオルセルとのコネを作るよう依頼していた新米奴隷商人だ。
 書き物に一段落つけたところで、下から声が聞こえてきた。

「旦那、お嬢さんたちが帰ってきたぜ!」

「おう、こっちに上げてくれ」

 しばらくして2階に上がってきたのは、いつもの服装のテストと

「…!」

 ボロ布を体に巻き付けたこの間のエルフ、エマンだった。

 ___さて、ネタバラシといこうか。
 エマンの主、ソーヤとヤりながら、テストは覚えたての商売魂を発揮してしまった。付け焼き刃の手練手管でもあのがきんちょには効いたようで、彼女はとんでもない秘密を聞き出してしまった。慌てたのはオルセルだ。後で述べるが、聞かれるとマズい秘密を聞かれてしまった奴は、テストの口を封じようとした。だが、すんでのところで思い留まった。何しろ、そこは奴隷市場。そこで人を殺せば、あの奴隷商人が何と言うか分かったものじゃない。そこで、あえて半殺しに留めて、せめてテストから俺に情報が渡らないように図った。
 …ここまでが、帰り道でテストが俺に語ったところ。これを聞いた俺は、すぐに帰宅を止め、代わりにこの前知り合った肉屋に押しかけた。そうして肉屋のオヤジに事の次第を話すと、テストを2階に寝かせて自分はゴミ捨て場から豚の骨を漁り、それを持って一人で事務所に帰った。そこから先はお察しの通り。台所に骨を、できるだけ人間の形っぽく並べ、かまどに油をぶちまけて火を放った。
 多分、早くてあの夜には、暗殺者が事務所に来ていただろう。ただの女なら拷問で十分だろうが、腐っても探偵の助手だ。情報に関する考え方は、素人とは違う。オルセルが俺たちを見逃すとは思えなかった。

 テストはエマンを空いている椅子に座らせると、自分は靴を脱ぎ、部屋の隅のベッドに倒れ込んだ。こうして働いていたが、まだ彼女の怪我は治っていない。すぐに寝息を立て始めた彼女の頭から帽子が外れて、床に落ちた。その下に現れた茶髪の頭には、耳が無かった。齧られた犬の耳なんて目立ってしょうがないと考え、肉屋に頼んで切り落としたのだ。ちなみに、オルセルが勘違いすればいいと思い、耳は骨と一緒に事務所に置いてきた。

「こ、この女は…?」

「先に、金だ」

 俺は、男の前に請求書を置いた。それを見た彼の顔色が変わった。

「ど、どういうことだ!? 桁がまた上がってるじゃないか!」

「良いか。正直に言うが、分隊長とのコネクションは諦めろ」

「なっ!? それじゃあ契約は」

「だが!」

 机をどんと叩くと、男は竦み上がった。

「…それ以上のネタを用意した。上手くやれば、お前は王国から奴隷の専売権を得られるどころか、爵位すら貰えるだろう。しくじれば…」

 男。テスト。エマン。交互に見て、続ける。

「…ここにいる、全員が縛り首だ」

「…っ」

 ごくり、生唾を呑む音。俺は、エマンの肩に手を置いた。

「!」

「この女は、オルセルが奴隷商人から買った奴隷だ」

 そう言って、頭を覆う布を外す。男は息を呑んだ。

「…エマン」

 エルフの蒼い目を、じっと見た。

「ここに来るには、相当骨を折っただろう。だが、それでもあんたは来た。……『そういう』ことで、良いんだな?」

 俺の問いかけに、エマンはしばし逡巡して…やがて、小さく頷いた。

「オルセルは、自分のために奴隷を買ったんじゃない。このエルフは、王国の第9王子ソーヤへの贈り物だ。……近い内に自分が起こす、謀反の旗印を引き受けさせるためのな」

「なっ、なんだと!?」

「よし、これでお前は俺たちと一蓮托生だ。…9番目の子なんて、王位からあまりに遠い。そして一介の分隊長が、荒れてもない国をひっくり返そうったって、誰にも支持される訳がない。だからオルセルは、手前の謀反の大義名分をソーヤに求めたんだ。代わりに王位を約束し、美しい性奴隷まで与えた。お先真っ暗だった齢13のガキは、そりゃもう有頂天だったろうよ」

 ここでエマンを見る。彼女は俯いて、唇を噛み締めていた。

「だが、分からねえ。…エマン。誇り高きエルフが、なぜあんな奴に忠誠を誓っていた?」

 後ろに立って、両手を肩に置く。エマンの身体から震えが引くと、彼女はすっと顔を上げた。

「…人間が、森を拓く時。木を切り倒す時。動物の肌に、鉄の刃を立てる時。我々エルフは、共に痛みを感じていた。全ての生けるものは、みな一つだからだ」

「…」

 胡散臭げにエルフを見る、依頼人。構わずエルフは続ける。

「命を繋ぐためならば仕方ない。だが、明らかにやりすぎだ。だから、我々は反逆するのだ。だが、どれだけ血を流そうと…どれほどの同胞が、土に還っても、人間はそれを理解しない!」

 血糊で汚れた白い肌を、涙が伝った。噛み締めた唇からも、血が流れている。

「…ソーヤ様は。あの方は、それを心から理解された。そうして、人と自然が、真に共存する世界を作ると、そうおっしゃってくださった。だからこそ、一度は奴隷の屈辱に甘んじようと、あの方に尽くして…いずれ妻となり、共に…とも、に……」

 そこまで言って、エマンは泣き崩れた。
 気の毒に。信じた主は、権力が欲しいただの下種野郎だったってわけだ。それも、モノの理屈を呑み込む前の子供の時点でこれだ。よく子供の悪事は大目に見ろ、改心するからと宣うやつがいるが、度が過ぎればそれは生まれながらの悪だ。

「分かったか」

「…」

 おずおずと、男は頷いた。

「これは」

 先程書いた書類を、男の前に差し出した。

「オルセルが奴隷商人から、剣奴を大量に仕入れたことを示す決定的な書類だ」

「えっ? それは今ここで書いた」

「どうせ似たようなのをどっちかが持ってんだよ。誰が書こうが一緒だ。こいつが偽物であることを証明するには、『本物』を出すしかねえんだ」

「む、無茶だ!」

「無茶だと思うかよ?」

 ニヤニヤ笑いながら、俺はその横に一枚の手紙を置いた。
 それは、この間届いた『互助会』の通知であった。比べて読んでいく内に、男の息が荒くなってきた。

「う…嘘だろ…ひ、筆跡が」

「よく似てるだろ。ちゃあんと『研究』してるんだぜ。後は」

 書類の最後に、一つの署名。今度は、泣き止んだエマンが驚く番だった。

「! ソーヤ様の」

「あいつ、相当独占欲が強いんだな。ご丁寧にテストのケツに、ナイフの先で落書きしやがった」

 インクが乾くのを待って、丸めて男に差し出す。

「いいか、告発の対称はソーヤ王子だ。オルセルは口が堅いだろうが、あのガキなら親父にどやされればすぐにゲロる。それまでは王族を告発するお前の命も危なかろうが、首謀者がオルセルと分かれば話は別だ。オルセルは処刑、ソーヤは…いいとこ幽閉だろうな。そしてお前さんは、国を救った英雄として感謝されるって寸法だ」

「だ、だが…何で、俺のために」

「お前のためじゃねえよ」

 俺は、鼻を鳴らした。

「これは、調査の途中でたまたま掴んじまった秘密だ。こいつで商売しようとした時点で、俺は探偵失格なんだよ」

「じゃあ、何で」

「ムカついたからだよ」

 ベッドにうつ伏せに倒れ、死んだように眠るテストに、視線を向ける。

「…何が『滾ってしまった』だ。拷問は拷問だろうが、半分はテメエの趣味じゃねえか。『俺の』女を、キズモノにしやがって」

 溜め息を吐き、視線を戻す。

「だから、これが最後の仕事だ。俺たちは廃業して、今日にも田舎に引っ込むとするぜ」

 ここでふと、エマンの方を見る。

「…ついてくるよな?」



「いやー、面倒事に付き合わせたってのに、何から何まで済まねえな」

「良いってことよ」

 幌馬車の荷台から声をかけると、御者台に座る大男が応えた。

「俺も、旦那には色々世話になってるからな。できるなら力になりてえんだ」

 と、長い息を吐く。

「……本当は、俺は静かに肉屋がやりてえだけなんだ。銃を発明したのも、ガキの頃に食った鳥の味が忘れられなくてよ。だが、遮二無二頑張ってたら、いつの間にかおかしな事になっちまってた。旦那が助けてくれなきゃ、いつ店仕舞いになってもおかしくなかった」

「…」

「ま、旦那が引退しちまうのが寂しいが、しょうがねえわな。美味い肉が食いたくなったら、いつでも言ってくれよ。飛んで行くぜ」

「ああ、ありがとな」

「…所長?」

 隣で小さくなっているテストが、声をかけた。

「もう所長じゃねえよ。…お前も気の毒にな。尻尾の次は、耳までなくしちまった。…おい、聞こえるか?」

「聞こえますよ。と言っても、遠くの音は殆ど聞こえなくなっちゃいましたけど」

「ああ、可哀想なワーウルフ。彼女の真の姿は、もはや彼女の心の中だけ…」

「もう。…命には代えられませんからね。お肉屋さんが上手に切ってくれたお陰で、あんまり痛くないです」

 俺はひゅっと口笛を吹いた。よく考えたら、出会ってまだ数ヶ月しか経っていないというのに、もうすっかり図太くなったものだ。元々の性質なのだろうか。
 反対側で、今にも吐きそうな顔をしているエマンに顔を向ける。

「…大丈夫か」

「だ、大丈夫、だ……ぅぷ」

「あらら、流石に生肉を運ぶ馬車はキツかったですかね」

「もはや、エルフとしては生きていけぬ身…こ、このくらい、耐えねうっ」

「駄目そうだな。おいテスト、何か袋は……無いよな。仕方ねえ」

「どうするつもりですか?」

 不安げに俺を見るテスト。俺は、ニッと口角を吊り上げた。

「もう大体分かってるだろうが、俺はアンダーグラウンド育ちだ。…ドブネズミ流のゲロの始末方法ってのがあってな。そこでは、食い物が貴重で、どんな形であれ粗末にできなかった。だから、人の食い物も…もう『食った』物も…」

「ま、まさか…」

 青褪めるテスト。俺達の会話が聞こえてか否か、エマンはいよいよ息が荒くなる。

「おい、吐くときは言えよ。俺が飲んでやる」

「! 馬鹿か!? そんなこと、させられっ、うっ、あ゛っ…」

 咄嗟に両手で口を押さえる。その手を引き剥がす。固く閉ざされた口を、口で覆う。テストが目を逸らす。そして_____

………

……



 



 オルセルは処刑された。刃物で命を奪われるのは戦士の名誉なので、斬首ではなく溺刑となった。これは縄で身体を縛り、そうして城の前の堀に、首だけがぎりぎり浸かる高さで吊って放置するというものだ。体力のあるうちは身体を曲げて水から逃れられるが、やがて疲れると頭が沈んで溺れ死ぬ。その間、民衆からは石を投げられる。見せしめも兼ねているのだ。
 見立て通り、ソーヤは処刑を免れた。腐っても王族なのと、あくまで看板に過ぎなかったこともある。結局奴は、それまでエマンを閉じ込めていた部屋に死ぬまで監禁されることとなった。

 最も、これはだいぶ後で知ったことだ。ことが進む間、俺達がしていたことと言えば…

「んっ♡ んっ♡ ほらっ、もっと♡ もっと突いてっ♡」

「はっ、おいっ、ちょっ、ちょっとは、休ませろっ」

 半分くらいしか勃っていない肉棒に跨って、テストは激しく腰を揺する。

「もうっ…『ヒトの精子でワーウルフを孕ませられるか試す』って、そっちが言ってたんでしょっ…♡」

「だが、もう2回は出して…っ、サカリのついた犬かよ……犬だったッ!」

 その時、寝室のドアが勢い良く開いた。

「おい、うるさいぞ!」

 顔を真っ赤にしたエマンが、ドスドスと割り込んでくる。

「ああ、丁度良かった。このバカ元犬を何とかして」

「エマンさぁん…」

 突然、テストが媚びるような声を発した。

「な、何だ」

「エルフとヒトって、子供を作れるんですかねぇ…?」

「っ!」

 ビクリと、エマンの肩が震える。俺は、嫌な予感がした。

「…試してみません?」

「……そう、だな」

 重々しく頷くと…エマンは、木の葉でできた服をするすると脱ぎ始めた。
 ……ちくしょう。いつ見ても、素晴らしいおっぱいだぜ…

「…あっ、おっきくなった」

「そ、そうか…疲れていても、私の身体で欲情するか…ふ、ふふ」

「ちぇ、悔しいなぁ。…エマンさん、しっかり濡らしましょうね。今ならこの人の口が空いてますから」

「では遠慮なく。……ったく、尿の穴に物を突っ込みおって。お陰であれ以来、花を摘むたびに、身体がうず…な、何でもないっ!」

 くそっ、これじゃあどっちが奴隷かわかりゃしねえ。

「……でも、ま、いいか」

 危ないが実入りの良かった探偵は辞めて、地味な農業生活になっちまったが。こうして女を抱きながら、呑気に暮らすのも悪くない…
 俺は密かに笑いながら、鼻先に突きつけられたエマンの膣穴をぺろりと舐めた。

今夜はここまで

次の主人公に移るのと、もうしばらくこの世界線で短編を書くの、どっちが良いですかね?



 しばらく一緒に暮らして、分かったことがある。
 まず、これは既に分かっていたことだが、テストはかなり図太い性格をしている。故郷を失い、家族を失い、尻尾に加えて耳まで失ってもなお、コイツはケロッとして生活している。買ってきた時の気弱そうな態度が嘘のようだ。
 そんなテストが、一度だけ豹変したことがある。まあ、聞きたいなら詳しく話そう。

 それから、エマン。初めて抱いた時からやけに聞き分けが良いなとは思っていたが、少し見ていて確信した。コイツはそもそもエルフに向いてない。
 前にも言ったが、エルフと言う生き物は破滅願望でもあるのかってくらい命の扱いが軽い。それよりも遥かに、種族としての誇りを大事にする。ところがコイツは、確かに誇りを大事にしようとは思っているのだろうが、それ以上に快楽に弱い。恐らく、あのガキんちょにケツ穴穿られた上で生きていられるのは、エルフではコイツくらいのものだろう。
 ただ、本人もそれは気にしているようだ。ある日、エマンが何も言わず1日家を空けたことがある。後で聞いた所によると、エルフの住処に戻ろうとしたらしい。


↓ 22:00まで多数決 どっちから見たい?

順番の問題なんで、最終的にはどっちも書きます

 ああ、テストの話からだな。

 それは、丁度今の家に落ち着いた頃のことだ。



「…ん」

 ふかふかのベッドの上で、俺は目を覚ました。いやあ、金があるってのは良いものだ。田舎なら比較的安くで家も買えるから、家具にもこだわれる。特に、寝床は大事だ。折角物騒な仕事から離れて、好きなだけ寝てられるんだ。良い布団でゆっくり過ごしたいからな。
 …それにしても、今朝は冷える。どうやら、寝ている間にシーツを足元まで蹴ってしまったようだ。どれ、布団を掛けなおしてもう一眠り…

「…」

「…うおっ!?」

 いつの間にか、テストが俺の上に跨っていた。布団がどかされていたのはこいつのせいか。と言うか、服着てないし、俺の服まで全部脱がされてるし…

「あ、起きました?」

 ケロッとした顔で宣うテスト。

「大丈夫ですよ、畑の草むしりはやっておきましたから。ていうか、起きるの遅いですよ。もう日が上っちゃいましたよ」

「いや…」

 俺は頭を抱えた。

「どうした? 何か、嫌なことでもあったか?」

 すると、テストの眉がピクリと動いた。口元を歪めて、無理矢理笑顔を作ると、言った。

「…別に。ただ、今日はそういう気分なので。今日一日は、ずっと私を抱いてください」

「ああ……ん?」

 今日一日は、だと?

「…とりあえず、朝飯食ってもいいかん゛っ!?」

 いきなり、テストが俺の口に噛み付いてきた。

「ん゛ーっ! ん゛ーっ?!」

 キスと言うよりは口移しに近い勢いで舌を動かし、唾液を流し込んでくる。
 しばらくして口を離すと、彼女は言った。

「唾とかならありますけど」

「げほっ、げほっ……クソッ、そういうことか。今日は意地でもベッド上から放さねえと…」

「聞き分けが良くて助かります。…」

 そこまで言うと、不意に口を閉ざす。それから目を細めてこちらをじっと見ると、やがてぽつりと言った。

「…それとも、食べたいなら、良いですけど」

 それからいきなり、自分の指を口に咥えた。それから歯を立てて

「っ!!?」

 慌てて、俺はその腕を掴んで引き離した。

「おい馬鹿、やめろ」

「良いんですよ。尻尾も耳も、生きるために捨てたんですから。今更指くらい」

「…」

 そう言うテストの目は、完全に据わっている。俺は、こいつの行動の趣旨を雑に理解した。理解したところで、俺は彼女の肩を掴んでごろりと寝返った。

「きゃっ」

 さっきまでと一転、下に組み敷かれたテスト。その両脚をぐいと広げると、濡れてもいない穴に朝勃ちのイチモツを乱暴に突っ込んだ。

「痛っ…何するんですか」

「こういうのは、質より量だ。いいからさっさと股濡らせ」

 言いながら、ゆっくりと抽迭を始めた。乾いた肉壁が擦れると、テストは呻き声を上げた。

「あ゛っ…いだっ…」

「股を、濡らせ」

 腰を動かしつつ、片手で陰核をつまむ。

「んんんんっ……♡」

「温まってきたな…」

 滑りが良くなって、腰の動きも速くなってきた。朝一なのもあり、俺は早くも一発、出したくなってきた。
 ___いや、やろうと思えば我慢はできるぜ?

「んっ♡ んっ♡ あっ、んんっ」

「おい」

「はっ、んっ♡ んん……なん、ですかっ」

「朝飯まだだろ」

「えっ、ええっ…」

 俺は、腰を引いてイチモツを抜き、テストの鼻先に突きつけた。
 テストは何も言わず、頭を持ち上げてそれを深く咥え込んだ。

「残さず飲めよ……っ」

 起きがけ一発目の精液を、舌でねちゃねちゃとこねくり回しながら飲み込むテスト。全部腹に収めて口を離そうとするのを、両手で押さえつけた。

「んー、んー?」

「ついでに、便所にも行ってねえからな」

「!」

 さっと、女の顔が青褪める。両手で俺の腰を掴んで、もぞもぞと揺する。嫌と言うわけではなさそうだが、どうにも踏ん切りがつかないようだ。
 まあ、そんなことはどうだって良い。

「貴重な水分だぞ。こぼすなよ。……」

「まっへ、まら、ここーおんーいあ……あ゛っ!? お゛っ…ん゛っ…ん゛ぐっ…」

 ようやく解放されたテストは、もういつもの顔に戻っていた。
 やれやれ。どさくさに紛れてベッドから降りようとすると、肩を掴まれた。

「…おい、もう満足したろ」

「何言ってるんですか。今日一日はベッドから出ないって言ったでしょ」

「マジで?」

「マジで」

 じっと目を見る。もうあのキチガイじみた目はしていない。してはいないが…
 俺は、溜め息を吐いた。それからテストの脚の間に体を移し、股ぐらに顔を突っ込んだ。

「こ、今度は何ですか。早く、おちんちんくださいよ」

「馬鹿、お前ばっかり腹満たしてんじゃねえ。俺にも飲ませろ」

 そう言うと、両手でマンコのヒダを広げた。とてつもない昔のことに思えるが、『互助会』なんてつい数日前の話だ。丹念に剃った肌には、まだ少しばかり毛先が覗いているだけだ。

「ええ…おしっこで良いですか?」

「他に何か出せるのかよ」

 それだけ言って、俺はぱっくり開いた穴に口を付けた。さっきのセックスの余韻で、膣穴はまだじとじとに湿っている。その周りを舌先で探ると、ひくひく動く小さな別の穴に当たった。じわり、塩辛い液体が染み出した。

「ほ、ほんとに良いんですね? いきますよ……っ」

 小さく息むと、熱い汁がその穴から勢い良く噴き出した。
 朝一の小便は、味も臭いも濃い。おまけに勢いも強いから、俺は飲み下すだけで精一杯で、とても味わうどころではなかった。

「んっ……んっ♡」

 軽く吸ってやると、テストの口から色っぽい声が漏れた。飲みきれずこぼれたやつの他に、熱い液体が顎に垂れた。

「んっ、あっ……はぁ」

 どうやら、全部出し切ったようだ。放尿が止まると、テストはくたっとベッドに倒れた。

「躊躇なくいきましたね…」

「慣れてるからな」

 テストは、呆れたように喉の奥で笑った。

「どんな人生送ってきたんですか」

「何でも口に入れたよ。ゲロも、小便も、ウンコもな。お陰で飢え死にせずに生きてる」

「はいはい、参りました」

今夜はここまで



「んっ♡ あんっ♡ んっ」

「勝手にトんでんじゃねえっ、ほらっ、出すぞっ!」

「あっ、ああっ、あっ…あぁんっ♡♡」

 3回目の膣内射精。もうテストの子宮はキャパオーバーで、出した側から溢れてくる。それでも、腹の中でヌルく渦巻く液体を、テストは満足げに受け取った。

「はぁ…はぁ」

 流石に疲れ果てて、俺は彼女の上に倒れ込んだ。丁度目の前に来た乳首を咥え、ちゅぱちゅぱとしゃぶってみる。当然、乳なんて出ない。腹が減った…
 テストは、くすぐったそうに笑った。

「吸っても出ませんよ」

「出せよー…腹が減ったよぉ…」

「出ませんってば。赤ちゃんもできてないのに」

「じゃあ孕めよ…」

 何気なく言った瞬間、顎の下でテストの身体が強張った。顔を上げると、彼女はよく分からない顔で俺を見ていた。

「…何だよ」

「ワーウルフは、人間と交われませんよ」

「知ってるよ」

 偉い学者先生によると、人間はサルから進化したらしい。狼から進化したワーウルフ相手では、そりゃ子どもなんてできないだろう。
 テストは、目を細めた。

「…分かってるなら、良いです」

「欲しいのか?」

「…」

 彼女は、黙ったまま少し考えて…やがて、首を横に振った。

「もう、諦めてますよ」

「俺から離れる気は無いんだな」

「それもですけど。ワーウルフの寿命って、長くて50年位なんですよね。おまけに、尻尾を切ったら10年、耳を切ったら5年ずつ、寿命が縮むそうです」

「おいおいおい…」

 俺は身体を起こした。

「じゃあ何だ、あと残りの人生10年無いってのか」

「だから、自分のことで精一杯ですよ」

 そう言ってテストは、淋しげに笑った。

「あ、安心してくださいね。寿命は短いですけど、見た目はあんまり変わらないので。死ぬ時までこの顔のままですよ」

「…」

 相変わらず薄らぼんやりだが…さっきよりは、少しはこいつの行動原理が分かった気がした。今日、いきなりこんな行動に及んだ理由も。

「…そうかい」

 だから、俺はもう何も考えないことにした。
 一息ついて、少し体力が戻った。萎びたチンコをテストの腹にこすりつけると、すぐに硬くなってきた。漏れ出た精液のこびりついた膣口に先端を押し当てると、彼女は身を震わせた。

「んっ、あぁぁ…」

「オボコだったのが、嘘みたいだな」

「所長が、上手なのがいけないんですよぉ……あんっ♡」

 ずるり、根本まで滑り込む。そのまま、ゆっくりと腰を振る。

「ふとくてぇ…かたくて…あっつくてぇ…っ♡」

「お前、俺以外じゃ…あのクソガキの、皮被りしか、知らねえだろ」

「んふ、バレちゃいましたぁ…んっ♡」

 腰の動きが、少しずつ速くなっていく。

「んっ、あっ…わっ、私が、死ぬ時も…こうして、んっ、抱いてて…くださいね…あっ♡」

「何だよ…それっ!」

 強く突き込むと、彼女の腰が跳ねた。

「ふわふわって…んっ…気持ちよくって…そのまま…」

「何だよっ…馬鹿かよっ…」

 熱く火照った肉が、ビクビクと震えてきた。膣内がうねって、俺のモノをしごく。

「ばかだからぁっ! ばかでいいからぁっ♡ あんっ♡ あっ、あっ、いっ」

 ずん。
 突き刺した肉棒に、女の膣内がぎゅっと竦み上がった。

「んああぁっっ…♡♡♡」

「うっ…」

 たまらず、俺も射精した。

 互いに股ぐらが脈打つのを感じながら、俺は溜め息を吐いた。

「馬鹿が…忘れてるだろうが、お前は俺に買われた奴隷だからな…」

「何言ってるんですか」

 テストが、ふふんと不敵に笑んだ。

「『俺の女』って、言ってたくせに」

「! 聞いてやがったのかよ…」

 腰を引くと、臭い精液と一緒にへろへろのイチモツが抜けた。もう向こう1ヶ月は勃つまい。

「…はっ、言っとくがお前と違ってエマンは俺の奴隷じゃねえからな。美人だし、身体も良いし、教え甲斐がある。お前とヤるのも、これで最後かもな」

「それは駄目ですよ…」

 言いながら、テストはむくりと身を起こした。俺の腕を引っ張って仰向けにすると、その上に跨った。締まりきらないマンコから、ぼたぼたと汁が俺の腹に垂れている。
 その入り口を、両手で更に押し広げた。

「少なくとも、私の目が黒いうちは…」

 俺の顔をじっと見下ろしながら、不意にふっと息んだ。

「んっ……あぁ」

 ___ぷしゅっ じょろろろろ……

「はぁ…私の、ものですからね…」

 おっぴろげた股ぐらから、俺の顔めがけて『マーキング』するテスト。熱くて塩辛いそいつを、俺は瞬きもせずに受け止めた。

テスト編はここまで



……

………

「___やれやれ。今回のことは、私どもにとっては手痛い教訓となりました。やはり、良いものは高く仕入れて、より高く売るに限ります。仕入れ値をケチるべきではありませんでしたね。お陰で、折角のエルフの安定供給ルートを逃してしまいました」

「ど…どこから入ってきた、奴隷商人!?」

 不貞寝から起きた姿勢のまま、ソーヤはこの侵入者に向かって叫んだ。
 それを意にも介さず、奴隷商人は独り言のように続けた。

「専売権も失い、一転して私は国賊です。やれやれ、ここも離れなければなりませんね。……その前に」

 ここで、男は初めて気付いたように、ソーヤの方を見た。

「……ええ。私どもの商売は、信用が大事です。お客様の期待に応えることは必要ですが、こちらの立場を守ることも必要です。ええ、有り体に言えば……」

 突然、男の声が低くなった。

「……ナメられちゃ、お終いなんだよ」

「ひっ」

 竦み上がる少年。次の瞬間、その目が、男の背後に釘付けになった。男と同様に、突然この密室に現れたのは

「エ…エマン、帰ってきたのか」

「ソーヤ様…」

 美しいエルフの女は、悲しげな目でかつての主を見つめる。

「あんなに、優しかったのに…私を奴隷扱いせずに、大切にしてくださったのに…」

「私どもの敷地で、私どもの『商品』に傷を付けられては困ります」

「あ、あれはもう、あの私立探偵の」

「一緒だろうがよぉ!!」

 突然、男が大声で怒鳴った。

「ひ…ぁ…」

 ベッドから転げ落ちるソーヤ。そちらへ、男とエマンはゆっくりと近付いていく。

「人のモノを壊しちゃいけません、って、パパから習わなかったのか、えぇ? 王子だろうがなんだろうがルールは守れよ! 他人の奴隷に血を流させてはいけないって、テメエの子守に言っただろうがよぉ!!」

「ゆ…許して」

「ソーヤ様」

 今度はエマンが口を開いた。

「私は…悲しいです。貴方の言葉が嘘であったなら、私はもう、奴隷に戻るしかない。エルフ族の誇りは、とうに取り戻す機会を失った。しかし、もう死ぬ勇気すら残されていない…」

 言いながら、おもむろに懐から鋼の短剣を抜いた。

「な…何を」

「いっそ汚れるなら…貴方の血で」

「や、やめろ!」

 後じさるソーヤに、エマンが迫る。
 やがて、少年は壁際に追い詰められた。

「この部屋で朽ちるばかりの貴方を、今ここで解き放つ罪を…私は、背負おう」

「やめろ! やめろやめろやめろ!」

 立ち上がろうともがくが、腰が抜けてしまったようだ。じたばたと足掻くソーヤは、奴隷商人を見た。

「どっ、奴隷商人! お前の所の女だろうが! 止めさせろ!」

「テスト」

「…?」

「あれは哀れな女でした。故郷で帰りを待っていただけなのに、兵士に捕らえられ、尾を切り落とされて。『互助会』で見かけた時、彼女の目が輝いているのに驚きました。きっと、あの私立探偵が良き主となってくれたのでしょう。……そうと思えば、それが物言わぬ骸のように、彼の腕に抱かれていた」

 短剣を振り上げるエマン。それを、男が静止した。

「…今、ここで謝罪を口にすれば、この国を去る前に、私が彼らにその言葉を伝えましょう」

「!」

 少年の目に、希望の光が灯った。

「す…済まなかったと…今の余には、もはや如何ともしがたいが…心の底から詫びたいと…」

「良かった」

 初めて、奴隷商人が笑った。
 気が抜けたように、ソーヤも笑った。

「その言葉が欲しかった。それさえあれば、私も貴方を許すことができる」

「そ、そうか……ははっ」

 それから…不意に男は目を細めた。



「……では、死ね」

「え?」

 間抜けな顔で聞き返す少年。
 その肩に、刃が突き刺さった。

「あ…」

「来世に活かしてください。貴方の生涯は、今日で終わりですので。……クラリス」

 女が、剣に力を込めた。



「い、あ、あ…ああああああっっっ!!!!」

今夜はここまで

………

……



「……くっ」

 胸に走った鋭い痛みに、エマンは目を覚ました。

「ソーヤ、様…」

 彼女は、直感した。かつての主の絶命を。
 エルフ族の者は、他の生命の機微に敏感だという。人間が木々や獣を害する時、共に痛みを感じるというのは、他ならぬ彼女自身の弁だ。
 今、彼女は自らの主…今は囚われて、幽閉されているはずのソーヤの死を感じていた。
 それと同時に、未だ己に、エルフ族としての力が失われていないことも実感していた。

「私…は」

 高貴でもない男の下で、密かに暮らす日々。それは良い。人間の貴賤など、エルフには関係がない。慎ましい生活も、寧ろ望ましいものだ。
 だが…この、整いすぎた住居は、エルフには贅沢に過ぎる。そして何より、気まぐれに交わされる男との情交。思い出すだけで、生きているのが恥ずかしいほどの屈辱を受けた、はずなのに…

「……やり直せる、だろうか」

 口に出して、呟いた。ベッドから降りると、木の葉を編んだ服を身に纏った。これが、エルフとしての最後の矜持だった。
 別の部屋で眠る、あの男のことを一瞬、思い浮かべる。それから彼女は、そっと家を抜け出した。



「おい、エマンを見なかったか」

 収穫したジャガイモを石臼で挽きながら、俺は尋ねた。挽く前の芋を水とタワシで洗っていたテストは、首をひねった。

「知りませんよ。夕べは『寝て』ないんですか?」

「いんや、独りだった。…」

 朝飯前の、これから日が昇ろうという時間のことだ。当然、台所で顔を合わせることもないが、エマンはいつも、誰より早起きして畑に出ては、雑草を抜いたり虫を追い払ったりしている。

「…ま、いいか」

 俺は鼻を鳴らすと、細かく挽き潰した芋を枠に張った帆の上に広げた。こいつを天日干しにして更に細かく挽くと、ジャガイモの粉末になる。海に面した三角州に建てられた王都なんかでは農業ができないので、こいつは貴重な栄養源になる。要は、それなりの値で売れるのだ。

「気が向いたら、勝手に帰ってくるだろ」

「なら良いんですけど…」



 その日の夜。欠伸をしながら玄関先に座っていると、背後から声が飛んできた。

「やっぱり起きてたんですね」

「テスト…良いのかよ、寝てなくて」

「ええ、最近は具合が良いので」

 言いながら、テストは俺の隣に腰を下ろした。

「…やっぱり、何だかんだ優しいですよね」

「誰がだよ」

 質問に、彼女がふふっ、と笑う。俺は、溜め息を吐いた。

「知るかよ」

「素直じゃないんだから。……エマンさんのこと、そんなに気になりますか」

「そりゃそうさ。あれだけの上玉だ、粗末にしちゃ罰が当たるぜ」

「そうですね。…一体、どこに行ったんでしょう」

「さあな。ホームシックにでもなったかな」

 そんなことを言いながら、夜通し玄関先で待っていたが、結局エマンは戻らなかった。



「しょうがねえ、文鳥でも逃したと思うしかねえな」

 昨日の芋の乾かしたのをまた石臼で挽いていると、近所に住む農家の子供がこっちに向かって走ってきた。

「あっ、おっ、おじさん!」

「どうしたよ」

 朝っぱらから外で元気よく遊んでいたと見えるその少年は、おどおどと言った。

「う、裏の林のところに、お姉さんが倒れてて…たぶん、おじさんのとこに住んでた人だと」

「!!」

 俺は弾かれたように立ち上がった。

「どこだ。案内しろ」

「う、うんっ」

「テスト! 鳥に食われねえよう見てろ!」

「ええっ!? な、何が」

 向こうで麻袋を用意していたテストを残して、俺は庭を飛び出した。



 木立が丁度切れるところに、エマンは倒れていた。目立った傷は無さそうだが、服はボロボロだし髪の毛には泥が貼り付いている。遠くから走ってきたのだろうか。

「ありがとな、坊主。取り敢えず家に連れて帰るから、礼は後でな」

「う、うん」

 顔を赤くしながら、もぞもぞと答える少年。一体何に照れているのか首をひねっていたが、ぐったりしているエマンを抱き上げて察した。
 木の葉でできた服があまりに傷んでいて、色んな所が見えていた。これは教育上よろしくない。俺は隠れるように、そそくさと家に帰った。



「…んっ」

「気が付いたか」

 ゆっくりと目を開けたエマンは、俺に気付くと瞬時に起き上がった。

「こ、ここは」

「帰ってきたぜ」

「そうか…」

 そう言うと彼女は、深い溜め息を吐いた。震える目の端から、涙が落ちた。

「帰って、きたのか…」

「エマンさん」

 そこへ、盆を持ったテストが入ってきた。載っているのは、芋の粥だ。こっちに越してきてからは、どうにも芋ばっかり食っている気がする。
 エマンはそれを受け取ると、ゆっくり匙を動かして口に入れた。

「一体、どこに行ってたんですか?」

 テストが尋ねた。エマンは、匙を止めると、黙って考え込んで、それからぽつりと言った。

「……故郷に」

「エルフの?」

 エマンは頷いた。

「食ってからでいいからな」

「いや、大丈夫だ。…魔が差したのだ。このまま、ここにいて良いのか…エルフとして、また暮らせないかと。それで、黙って家を抜け出してしまった。……済まなかった」

「薄々そんな気がしてたよ。で、戻れず帰ってきたってか」

「駄目だった。元いた森に辿り着けはしたが…私には既に、肉と、鉄の臭いが染み付いていたそうだ。今ここで命を断つか、立ち去って二度と…エルフの地に、足を踏み入れるなと、言われて…」

 涙の交じる声で、ぽつりぽつりと続ける。

「…ここに、逃げてきた。エルフとして命を断つ…勇気すら、私には無かった…私はもう」

「上出来だ」

 俺は、その肩に腕を回した。

「よく帰ってきた」

「あ…う…」

 とうとうエマンは声を上げて泣き出した。

「すまない…本当に、すまない…」

「…」

 ちらりと後ろを見ると、テストは小さく頷いて部屋を出ようとした。

「あ、ちょっと待て」

「はい?」

「お前の古着、何着か持ってきてくれ。明日は街に行くぞ」

「何をするんです?」

「すぐに分かるよ」

 その日の昼、庭先で火を焚いた。そいつで肉を焼いて例の子供に食わせてやったのだが、それはいい。大事なのは、何を燃やしたか、だ。
 ___最後までエマンが身に着けていた、木の葉を編んで作った服は、跡形もなく灰になった。

ここで一旦次の話に移ろうと思います

「……えっ、私の目的ですか? それはもう、お客様の幸せで…何、御託はいいと? そうですね…正直に申しまして、深く考えたことはありません。私も、食べなければ生きていけませんから。ただ、自分が食べるために他者を積極的に害するというのは、違うように思います。私が特をしたからと言って、貴方が損をするわけではない。

 ___ええ。取引が成れば、私どもは潤います。それでも必ずや、お客様にとっても良い取引になると約束しますよ」



↓1〜3でコンマ最大 主人公の職業

「そうですか」

 私は表面上だけ笑顔で応えた。
 何だ、具体的な話が聞けるかと思ったのに。つまらない。

「ええ、ええ。きっとお客様は、お金に困ってはおられないでしょうが。それでも、やはり手にしたものは良い使い方をしたいものです」

「…」

 別に、興味はない。
 男の言う通り、金はある。あるどころか、資産で言えば国でも五本の指に入るだろう。株の仲買人というのはそういうものだ。ギャンブルは、必ず胴元が勝つようにできているのだから。

「…どうやら世間話はお好きでないと見える。早速本題に入りましょう」

「そうですね」



↓1〜3でコンマ最大 奴隷を買う目的
①愛妾

②その他、要記述

 ここで売られている奴隷は器量が良いらしく、愛玩奴隷でも仕事を任せることができるらしい。だが、奴隷に仕事を任せるほど私は落ちぶれてはいない。単純に、私が愉しむために買うのだ。

「では、お客様の希望をどうぞ。できるだけ当てはまるものを、3人ほど見繕って参りましょう」

「ええ」

 男の言うままに、私は希望する特徴を挙げていった。



↓ 0:00まで 奴隷の特徴を一人一つ

ところで処女にこだわる?



 十数分後。男が3人の女を連れて戻ってきた。

「全て、とはいきませんが、できるだけご希望に添えるよう見繕って参りました」

 そう言うと、男は横に並んだ女たちの内、一番左を指した。

「良い身体でしょう。芸能人にも中々いないレベルの容姿であると思います。

 見た目もですが、彼女は中身も良い。性格は清らかだし、言葉も美しい。そして何より、お客様のためなら、彼女はあらゆる行為に応えるでしょう。ただ従うだけの女ではありません。ユーモアも解しますから、彼女はあらゆる面において、お客様を決して退屈させないでしょう」

 紹介された女が頭を下げた。見たところ、成人はしているようだ。白い質素なワンピースの上からでも、豊満な乳房と尻が分かる。
 男が今度は、真ん中の女を示した。

「こちらも、容姿については申し分ないと思います。胸囲で言えば、彼女が3人の中で一番ですよ。

 彼女は少し気が小さいです。それがまた可愛らしい。駒鳥や栗鼠のように、見ているだけで貴方を癒やしてくれるでしょう。もちろん、貴方には決して逆らいません。また、彼女は料理も得意です。

 唯一欠点があるとすれば、貴方の求めるような知能には、少々足りないかもしれません」

「こ、こんにちは」

 女がおどおどと会釈した。確かに、巨乳だ。顔つきからして一人目と同じ年代か、少し下のようだ。

「最後に、こちらが」

 男は右端の女に歩み寄ると、後ろからその両方を掴んだ。女がくすくすと笑う。

「……こういうのも面白いかな、と連れてきてみました。

 見ての通り、この娘には色々と『足り』ません。足りませんが…」

「兎、兎、兎。んふふふっ」

 引き笑いしながら、女が呟いた。

「…おじさんは、鼠だわ。ルーレットは回すだけ」

「このように、色々と楽しませてくれる。良いでしょう」

 私は眉をひそめた。
 見てくれは一番幼い。体つきも貧相だ。加えて、きょろきょろと落ち着かない目は気狂いのそれだ。一体何を考えているのか…

「以上、私どもからご提案させていただきました。何か質問等ございましたら、どうぞ」



↓ 0:00まで、奴隷商人への質問

「それぞれに訊いておきたいのですが」

 私は、3人を順に眺めた。

「名前と、ここに来た経緯。それから、一応好きなものも訊いておきたい」

「良いでしょう」

 男は頷くと、一人目の後ろに立った。

「お買上げ頂いた後は、名前は自由に変えていただいて構いませんので、あくまで参考までに。

 この娘は涼島恵(すずしま めぐみ)と言いました。生まれは悪くないのですが、不幸にも親が事件に巻き込まれまして。多額の借金を負わされ、返す宛てもないため、泣く泣く娘を下取りに出したというわけでございます」

「どうも、恵です。好きなこと、と言うか……ここに来る前は、ヴァイオリンを弾いていました」

 改めて自己紹介する、涼島恵。何と言うか、何事にも卒がない。愛想笑いにも慣れている様子だ。

「次の娘は、木下さらと言います。

 この娘には父親がおりませんで。娼婦の母親に虐待されながら生きておりましたが、ある日母親が急死し独り身となりました。引き取ったのは親の職場。そこで親と同じ道を辿りそうになったのですが、その直前に色々あって店が潰れ、この娘は宙ぶらりん。警察に保護される寸前に、どさくさに紛れて私どもで引き取ってしまいました」

「な、何でもします。文句も言いません」

 ぷるぷる震えながら訴える、木下さら。
 最後に男は薄く笑うと、最後の一人、気狂い娘を指した。

「この娘には、誰も名前を付けてくれませんでした。

 生まれたのは、都内の駅の女子トイレです。どうやら不本意な出産だったようで、産み捨てるつもりだったのでしょうが、逆子だったことが幸いして溺れ死なずに済みました。母親は死にましたがね。
 偶然居合わせた医師によって救命されたは良いものの、身寄りがいない。孤児院に預けられましたが、成長した彼女には人と違う世界が見えていたようです。忌み嫌った院長が、私どもに売却してこちらに来たわけです。……ほら、挨拶しなさい」

「鼠さんの嫁入りね! 南瓜の馬車にだって、お給料は必要だわ」

 異様なまでに目を輝かせる少女。相変わらず支離滅裂な発言だが、その裏で何か、真実を言い当てているような気がして、私は小さく身震いした。
 恐らく、この娘が一番頭が回る。

 動揺を隠しながら、私は尋ねた。

「ここで私が買わなければ……彼女らはどうなります?」

「どうもなりませんよ?」

 事も無げに、男は答えた。

「また別の方が買われるまで、ここで暮らすだけです。無論、彼女らも承知の上です。

 ___さて、お決まりになりましたか」



↓ 2:00まで多数決 誰を選ぶか

そして今夜はここまで

満を持して、舞台は現代の日本。今より少しだけ未来のつもりです



 白い、花嫁めいたドレスと、造花の冠で『包装』された女が立っている。彼女は何も言わず、用意された椅子に座った。男がリモコンを操作すると、モーター音と共に座面が上がった。それが目線の高さまで達すると、上昇が止まった。
 そこで女は、おもむろに脚を大きく広げ、ドレスの裾を胸元までたくし上げた。

「どうぞ」

 男が差し出した手袋を嵌めると、私は彼女の脚の間に近付いた。下着は付けておらず、陰毛に覆われた秘部が剥き出しだ。

「…」

 ちらりと見上げると、女は無表情にこちらを見下ろしていた。ドレスの裾を握る手が、微かに震えている。
 私は視線を戻すと、手袋をした手でその秘裂に触れた。

「んっ…」

 指で陰唇を広げ、処女膜が破れていないことを確認する。

「いかがでしたか」

「確かに」

 私は男の方に向き直ると、手袋を外した。女が服を直し、脚を閉じると、また椅子が下がってきた。

「では支払いを。現金のみでしたね?」

「恐れながら」

 支払いを済ませると、女が男の側から私の方へ歩いてきた。そうして、音もなく私の背後に立った。どうやら、これで私の『モノ』になったらしい。

「ありがとうございました。またのご愛顧を」

 深々とお辞儀する男を残して、私は店を去った。



 深夜の山道を走る車の中で、私は買ったばかりの女を横目に見た。涼島恵と呼ばれていた女は固く口を結んだまま、じっと前を見ている。
 この女には、戸籍が無い。従って正式な名前も無ければ、人権も無い。私という個人の所有権に縋って生きるしか無い存在だ。
 それでも、生物学的には人間だ。衣食住が必要だし、呼び名が無ければ不便だ。さて、どうしたものか。



↓2 名前について

①涼島恵のまま

②付け直す

「恵」

「! はい、何でしょう」

 呼びかけると、恵は弾かれたようにこちらを向いた。

「名前はそのままで良いな」

「分かりました」

 暗い車内で、彼女の表情はよく見えない。だが、思慮に値するものではないだろう。

「これから、君の住処に連れて行く」

「はい」

 下り坂が終わり、より整備された道路に出た。整列する街路灯の向こうに、光り輝く摩天楼の群れが見えた。



↓2 どこに住ませるか

①自宅

②オフィスの自室

③奴隷用に借りた部屋



 日付が変わる頃、車は都内のとある一軒家に着いた。ガレージに車を停め、玄関を潜る。

「…何をしている?」

「ここは…」

「私の家だが?」

 恵は緊張した顔で、家に入ってきた。さっさと靴を脱ぐ私の後ろでサムターン錠が勝手に回るのに、彼女はビクリと震えた。

「あ、あの、靴はどうしたら」

「その辺に置いておけ」

 リビングの電気を付けると、給湯器の電源を入れた。確か、昨日の湯はまだ捨ててなかった筈だ。
 ワインセラーからロゼのボトルを出すと、テーブルの上に置きっぱなしのグラスの横に置いた。テレビを点け、ソファに沈み、グラスと一緒に放り出されていた栓抜きをワインのコルクに突き立てながら、私はぼんやりと、後ろでじっと私の指示を待つ奴隷をどう扱うか、考え始めた。



↓ 次の更新まで
  奴隷についての基本方針(外出は認めるか、金は持たせるか、仕事場に連れて行くか、など)
  意見を総合して最終的に>>1が判断します

そして今夜はここまで

見た目含めて殆ど全部の要素を前2人で分け合って、見た目以外の全要素を3人目にぶっこむって感じでキャラメイクしてます
3人目が毎回尖ってるのはそのせいですね

選ばれなかったのは>>528みたいにゲスト出演することはあっても選択肢には出てこないです
選べなくても安価次第で抱くことはできるかも。具体的には、毎回恒例の『アレ』で

「私がやります」

「ん…?」

 不意に声をかけられて振り向くと、もう恵は私の隣りにいて、ワインボトルと栓抜きを引ったくって栓を開けようとしていた。
 私はじっとその様子を見ていたが、やがて言った。

「グラスをもう一つ、持ってきなさい」

「! はい」

 ボトルを置いて、戸棚へ走る。それから中身を物色すると、一番古く汚れたものを持ってきた。
 戻ってきた彼女はそれを床に置くと、再びコルクを開けにかかった。

「…」

 自分にもくれると思ったのだろう。その上で、わざわざ扱いの差まで見せつけるのだから、大したものだ。

「何もすることがないのは暇だろう」

「えっ?」

 栓抜きを深々とねじ込んで、引き抜こうともがいていた恵は、きょとんとこちらを見た。

「昼間は家事でもしていると良い。家の物なら勝手に使ってくれて構わんよ。仕事関係は困るが」

「は…はい」

「金は置いておく。外出は許すが、あまり遠出はするな。私が帰る時にいないことは許さない」

「分かりました…」

 恵はボトルを置くと、床に正座して深々と頭を下げた。私はすかさずボトルを手に取ると、コルクを引き抜いた。自分のと、彼女のグラスにワインを注ぐ。

「もちろん」

 グラスを持ち上げる。恵は授かりものか何かのように、汚れたグラスを頂いた。

「私の要求には応えろよ」

「もちろんです。感謝いたします」

 テレビに目を向けグラスに口を付ける。

『お風呂が沸きました』

 給湯器のアナウンス。私はまだ中身の残るグラスを置いて立ち上がった。

「お体を」

 慌てて、女も立ち上がった。

「お洗いいたします」



↓2

①「では、よろしく」

②「結構だ」

「では、よろしく」

 短く言うと、私はシャツに手をかけた。そのまま服を床に脱ぎ散らかしながら、私は浴室に向かった。



 風呂椅子に腰掛けて待っていると、浴室のドアがノックされた。

「どうぞ」

「失礼します…」

 恐る恐る、恵が入ってきた。当然ながら全裸で、タオルで隠すこともしていない。
 改めて見ると、つくづく見事な身体だ。丸い乳房は見たところグレープフルーツほどの大きさで、大きくない乳首もまだ色が薄い。腰はくびれているし、尻も前から見ても分かるくらいには豊満だ。よほど良い暮らしをしていたのだろう。
 まじまじと見ていると、つい勃ってしまった。それを見た恵は小さく竦むと、すぐに手を伸ばしてきた。

「まだいい」

 私は彼女に背を向けた。

「それより、身体を洗ってくれ。スポンジとボディソープはそこにある」

「かしこまりました」

 初めて触る給湯システムであるが、使い方は分かるようだ。洗面器に湯を溜めると、スポンジを浸し、ボディソープを泡立てる。

「では、失礼します」

 一言断ると、背中に柔らかいものが触れた。自分でやるより遥かに優しく、と言うかおっかなびっくり、背中を擦られる。

「腕を…」

 背中の次は、腕と脇腹。右、左と順に洗う。それが終わると、彼女は私の前に現れた。

「では、前を」

「うん」

 脚にもたれるようにして身を乗り出すと、胸を洗い始めた。

「力加減はいかがでしょう」

「もう少し強くても良い」

 胸が終わると、腹へ。さらに、その下へ…
 目の前で主張するソレを、彼女は見ないようにしていた。

「申し訳ありません、少しだけ腰を上げていただけますか」

 尻の間にまで手を突っ込んで洗うと、彼女はスポンジを置いてシャワーを手に取った。

 念入りに温度調節した流水で泡を流し終えると、彼女はおもむろに浴槽に向かって立った。縁に手を突き、膨らんだ尻をこちらに向かって突き出す。

「…お待たせしました」

 震える声で、恵は言った。

「我慢させてしまい、申し訳ありませんでした。お好きなだけ、『お使い』ください」



↓1〜3でコンマ最大 どうする?

①ここでする(具体的な内容も)

②ベッドまで待つ(具体的な内容も)

③今日は止めておく

 少し考えて、言った。

「…いや、まだいい」

「ですが」

「初めてが風呂場は嫌だろう」

 彼女の横を素通りして、湯船に足を入れた。

「そんなこと、私は」

「私は気にするんだよ。ほら、君も体を洗いなさい。もう夜も遅い」

「…はい」



 翌朝。いつものようにアラームで目を覚ますと、ダイニングに向かった。今日も仕事だ。コーヒーを飲んだら、朝食は道中の喫茶店でも…

「! おはようございます」

「…あ、おはよう」

 そうだった。こいつがいた。
 来た時のワンピースを着た彼女は、キッチンで途方に暮れていた。

「酒とつまみしか無いだろう」

「申し訳ありません、朝食をご用意しようと思っていたのですが…」

 私はコーヒーメーカーの電源を入れると、食器棚からマグカップを取り出した。

「お砂糖とミルクは」

「買ってない」

 駆け寄ってきた恵にカップを渡すと、私はいつものソファに腰掛けた。



「お待たせしました」

 コーヒーの注がれたマグカップを持って、恵がやって来た。



↓1〜3でコンマ最大
 自分がいない間の、家事以外での恵への命令(例:家にいる時は全裸で、など)

そして今夜はここまで

折角の愛玩奴隷なので、具体的なプレイ内容とかも安価していきたいと思います

安価下

 無造作に差し出された黒いカードに、恵の顔が青褪めた。

「こ、これは」

「学生の頃に作ったカードだ。大した額は入ってない。身分証にもならないが、本人確認無しで使える」

「そうですか…」

 幾分ほっとした様子の彼女に、今度はじゃらりと重いものを差し出した。

「それと」

「!」

 目を見張る恵。差し出されたのは、革にステンレスで補強された貞操帯だ。

「スカートを上げろ」

「…はい」

 恵は足を開くと、両手でワンピースの裾を大きく持ち上げた。くびれた腰にベルトを巻き付けると、尻を通して股の間を潜らせ、前で留め金を嵌め、小さな南京錠でロックした。
 鍵をキーケースに入れながら、私は言った。

「留守の間はそれを付けていろ。言っておくが、それにはGPSが付いている。お前の居場所は」

 ポケットからスマートフォンを出し、アプリを起動する。自宅周辺を表す地図に、赤い点が光っていた。

「これで分かる」

「はい。ありがとうございます」

 スカートを下ろし、深々と頭を下げる。

「では、行ってくる」

 私は、家を出た。



「社長、お疲れ様です」

「…ん、もうそんな時間か」

 パソコンの画面から顔を上げると、帰り支度を済ませた社員がこちらを見ていた。

「ええ。それに、今日は息子の誕生日で」

「それはおめでたい。早く帰ってあげなさい」

「ありがとうございます。では、失礼します」

 にこやかに挨拶して帰っていく社員。デスクを見ると、他にも鞄を持った社員がぱらぱらと立ち上がっていた。

 証券取引に関わる規制が大きく緩和されて、もう10年以上が経つ。雨後の筍のように乱立した、中小規模の証券会社も粗方整理されたが、私の会社は何とか生き残ることができた。法改正を利用して、徹底的にコンパクトな運営を目指したのが良かったのだろう。その分雇った社員への手当は惜しまないし、彼らもまたよく働いてくれている。

「…社長?」

 ぼうっとデスクを眺めていると、一人の女性社員が近付いてきた。
 見ての通り、社長の机は他の机と仕切られていない。特に高尚な理念があるというわけではなく、単純に起業時のオフィスがそうだったというだけだ。

「どうした?」

「社長もこの後、上がられますか?」

「ん…」

 時計を見る。既に定時を15分ほど過ぎている。

「そうしようかな」

「どうでしょう、この後一緒に」

 人差し指と親指で空をつまみ、手首をクイと傾ける。

「またぞろ飲み代をケチろうと…」

 苦笑しながら腰を上げかけて、ふと思い出した。ポケットから携帯を出し、アプリを開く。
 赤い点は、自宅で点滅している。

「…いや、済まない。今日は都合が悪い」

「そうですか、残念です」

 表情を曇らせながら、彼女は去っていった。
 私はパソコンの電源を落とすと、鞄を掴んで立ち上がった。

 ___さて、帰ったら何をしよう。



↓1〜3 どうする?(帰ってから、または帰るまでにすること)



「ただいま…」

「おかえりなさいませ」

 玄関を開けると、恵が三指を突いて出迎えた。思わずぎょっとした私に、恵はつらつらと言った。

「お食事になさいますか、ご入浴ですか。それとも…」

 顔を赤くして、引き攣った笑みを浮かべて続ける。

「…私に」

「飯にしよう。早速、お前の料理を食べてみようか」

「…はい」



「ほう、ハンバーグか」

「あまり料理は経験が無かったのですが」

 そう言いながら、食卓には中々美味そうな料理が並んでいる。熱々のハンバーグに、付け合せは人参とブロッコリー。レタスとトマトのサラダも付いている。
 席に着くと、恵は傍らに立った。

「食べないのかね」

 テーブルには、一人分の食事しか置かれていない。

「私は後で」

「用意してないのか」

「作ってはおりますが…」

 困惑気味に答える。

「では出しなさい。君も座って食べよう」

「ですが、私は奴隷で」

「そうだが?」

 一層、困った顔になる恵。

「その、あまりに無礼では」

「勘違いしているようだが」

 私の言葉に、彼女の肩がビクリと跳ねた。

「礼儀と言うのは、人間同士に成立するものだろう?」

「…はい」

「奴隷と言うのは、そういう『生き物』だと私は思っているのだが、違うか?」

「…その、通りです」

「では座りなさい。君に人間のルールは通用しない。私の言葉だけが法だよ」

「…かしこまりました」



 慣れない料理にしては、まあまあの出来だったと思う。今日び、ハンバーグの作り方くらい簡単に調べられるだろうが、彼女はそれを存分に活用したものと見える。
 向かい合って、帰り道に買ってきたケーキをつまみながら(彼女にそれを与えるのにかなり骨を折った)、今日一日の感想について尋ねてみた。

「ええと、買い物に行きました」

「だろうな」

 ケーキを仕舞うために冷蔵庫を開けると、ビール缶やチーズなどは隅に追いやられていて、代わりに肉や魚が沢山入っていた。野菜室を開けると、これまた買ってきたばかりの野菜で一杯であった。

「食材だけでなく、その、服も」

「ああ」

 言い忘れていたが、彼女は今までのワンピースではなく、生成りのシャツに黒いスカートを穿き、白いエプロンを身に着けていた。
 イチゴを咀嚼しながら見ていると、ふと彼女が遠い目になった。

「…何か、買いたいものがあるのか」

「! いえ、それは」

「当てようか。ヴァイオリンだな?」

 その言葉に、恵は一瞬目を見開くと、やがて小さく頷いた。

「では今度、買いに行くとしよう。音楽は君のアピールポイントだからな」

 それだけ言ってスポンジにフォークを刺していると、恵がぽつりと言った。

「……ご主人様は」

「んっ、うん?」

 口に入れていた分を飲み込んで顔を上げると、彼女は俯いていた。

「私に…身に余る幸せを、くださいますね」

「そうか?」

「私は奴隷なのに、人並みに扱ってくださって…」

「…」

 無言でケーキを食べ進める。彼女の分は、先程から手付かずだ。

「…食べなさい」

「こうして、ケーキまで…えっ?」

「ケーキ。早く食べなさい。食べたら、風呂にするぞ」



 風呂椅子に座った私の背後で、恵は言った。

「では、失礼します…」

 昨日と同じように、泡立てたスポンジが背中を擦る。昨日よりは少し力が強い。その感触を感じながら、同時に私は、またしても勃起したペニスに視線が向いているのを、背中越しに感じていた。

「…」

 スポンジが離れた。次は腕かな、と思い、右腕を上げようとした時

「…んっ」

 背中に、別のものが触れた。スポンジより弾力があり、それでも柔らかく、それでいて一転だけが硬い、2つのもの。

「んん…んっ…」

 ぬりゅ、ぬりゅ、ぬりゅり。滑らかで温かいそれが、背中を這い回る。引っ掻くように滑る2つの点は、背中に擦れてだんだんと硬くなっていく。

「ぁん……腕を…」

 右腕を上げると、彼女はそれを胸に抱えるようにして、身体で擦った。掌は自分の指で皺の一つまでなぞるように洗い、それから豊かな乳房に挟んで擦る。乳首を指先で弾いてみると、小さな嬌声が上った。左腕も同様に。
 そこまで洗うと、遂に私の前にやって来た。
 泡だらけの乳房。顔はすっかり上気していて、貞操帯を外した秘部から太腿にとろりと蜜が垂れている。

「では、前を…」



↓2

①手を出す

②我慢する

「…」

 私は、無言で手を差し出した。恵ははっと息を呑み、それからゆっくりと私の膝に跨がろうとして…

「…」

 その手が自分の頭に触れたのに、また驚いた顔になった。黙って頭を撫でていると、彼女は気の抜けたような笑みを浮かべ…それから、予定通り自分の乳房で私の身体を洗い始めた。

「んっ、あんっ…ふぅっ…」

 両手を背中に回し、自分の柔らかな肌を押し付ける。官能的な吐息が、更に間近に聞こえる。おまけに、上下に動く太腿が、断続的に私の股間にぶつかって刺激を与えていく。

「脚を、失礼します…」

 胸と腹の次は、脚。傍らに跪いて、乳房を太腿に押し付ける。足の指などは、床に這いつくばって乳首を押し付けた。持ち上げた足を自分の乳房に擦り付けるのも忘れない。
 ようやく全身を洗うと、彼女はよろよろと立ち上がり、シャワーに手を伸ばした。
 私はと言うと、抑えてはいるものの、既にペニスは限界まで膨れ上がっているし、先程から透明な汁がたらたらと垂れて床を汚していた。
 目線の先には、ふらふらと揺れる、大きな尻。



↓1

①押し倒す

②まだ我慢する

「では、お流ししますね」

 温かいシャワーが泡を流していく。水流と掌で泡を落としていくと、その手が股間に当たった。その瞬間

「うっ、あ」

「えっ?」

 自分でも不覚なことであったが…私は、射精してしまった。
 溜めに溜め込んだ精液は自分でも驚くほど勢い良く飛び、立っている彼女の顔にまで届いた。

「はぁ…はぁ…やってしまった…」

「あ…ああ…」

 疲れ果てた私の顔と、暴発の末少しだけ下を向いた肉棒を交互に見て…彼女は、真っ青になった。



「…」

「申し訳ありません…申し訳ありません…」

 ベッドに腰掛けてワインを舐める私の足元で、恵は風呂から上った全裸のまま土下座して、何度も謝罪している。

「何が」

「望まぬ射精をさせてしまい、申し訳ありません。そこまで我慢を強いてしまい、申し訳ありません」

「…」

 私は溜め息を吐いた。

「…随分なご奉仕だったな」

「申し訳ありませんでした」

「どこで覚えた」

「奴隷商にいる時に、他の者から教わりました。申し訳ありませんでした」

「実践は初めてかね」

「男性では初めてです」

「ほう。では女は」

「…自分の身体で練習しろと…その人が…」

 絨毯に額を擦り付け、震えながら、更に謝る。

「申し訳…ありませんでした…」

「…」

 私は、ナイトテーブルにグラスを置いた。

↓1

①「では、やり直そうか」

②「もう寝ろ」

今夜はここまで

このまま手を出さずにいたら、近所の兄ちゃんに寝取られるところでしたぜ

んなもん事前に打ち合わせた日にペンチでぱきーしてそのまま二人でスタコラサッサよ









何が怖いの? ここは欲望を吐き出して意思の無い奴隷にぶつけるスレだよ?

アレか、犬は飼っても積極的に虐待する人はそういないみたいな

でも考えてご覧よ。貞操帯付けて管理する癖に自分から手は出さないとか、奴隷からしてみれば自分のことが嫌いか、手を出す度胸もないヘタレにしか見えませんぜ
そして外出を許可した以上、奴隷は衆目に晒される。こんな女、ほっとく男はいないよね

ご要望どおり、彼女は病的に尽くすよ。でも、それが主人公以外に向かったらどうなる? 主人公が、別の尽くしたい相手と自分の障害になると判断したら、どうなる?

優しさは最善手じゃない。ルール違反だけど、これだけは伝えておく

ベッドでやるって言ってるのに風呂で射精まで持っていく奴隷の方が問題あるのでは?

そんな難しい話じゃなくて、>>1が言いたいのは、こんなネットの吹き溜まりみたいな板の、吹き溜まりみたいなスレに来て、読者は何を良い人ぶってるのってこと
お涙頂戴の美談が見たいなら全年齢に行けばいい。と言うかもう散々やった。立てた当初から、ここは汚れに汚れた欲望を曝け出す所だ



>>650 そう思うなら、しっかりと『お仕置き』すれば良い。本編再開の前にプレイ内容は募集するし、そういう意見をこそ求めたい

善人の皮を被って、与える者の愉悦に浸る人間も、少し煽ればこの通り。
相手の落ち度を見つけるや、必死になって噛み付いてくる。

その腐った本性を安価にも出せって言ってんだよ

>>1に書きたいものがあるように、見てる人にもそれぞれ見たいものがあると思うんです
ただ、それなのにお互いに『抜け駆け禁止』みたいな雰囲気があって、結果として身を引くような意見しか出せなくなってるとしたら、それは止めてねって言いたいんです

思い切った安価が採用されてスレが多少荒れたとしても、>>1は発言した人を責めないし、ちゃんと書くよ。自分好みの解釈は加えるけどね
だから気にせず、見たいもの、やりたいことを書いて頂戴な

よし、もう黙る

気が向いたらヴィクトリアと結婚した世界線をちょっとだけ書くかもしれない

ちょっとだけやります

「では、やり直そうか」

「!」

 恵は、はっと顔を上げた。

「ベッドに上がれ。今度は、ちゃんと私を満足させろ」

「はい!」

 元気良く返事すると、彼女はいそいそとベッドに上がってきた。



↓1〜3 プレイ内容を一人一つまで

頑張って書きます

という訳で今夜はここまで



「面白半分に買ってみたが、本当に効果あるんだろうか…」

 ぼやきながら、私はガラスの小瓶を傾け、中身を掌に垂らした。何でも、媚薬入りのローションだと言う。

「ほら」

「はい…」

 ベッドの上で、恵は四つん這いになってこちらに尻を向けた。
 今の彼女は全裸ではなく、裸の上にエプロンを着ている。乳も股も丸出しでうろつかれると目に毒だというのが彼女に向けた弁だが、それが本気でないことぐらいは彼女も心得ていよう。何しろ、揺れる乳房に張り付く薄布や、陰毛の毛先が見えそうなくらいの丈しかない前垂れは、ともすれば全裸よりも尚更、扇情的だったからだ。

「あると良いな。それなら少しは、痛みも和らぐだろう」

 ローションを掬った掌で、恵の股間を掴んだ。

「あんっ」

 短い嬌声と共に、ふくよかな尻がぷるんと揺れた。
 そのまま、膣の入り口にローションを擦り込んでいく。

「あっ…っ…」

「どうだ、何か感じるか」

 指で陰唇をつまむように、冷たい液体を塗り込む。爪の先で陰核を弾くと、また尻が跳ねた。

「んぁっ、んっ……少し、痺れるような感じが」

「本当か?」

 人差し指を、膣の中に少しだけ挿し込んだ。

「あ、あぁぁっ…」

 処女膜は破らずに済んだようだ。指の先が、熱い肉のひだで締め付けられる。これから、この穴に私の愚息を収めるわけだ。
 指を抜くと、再び掌にローションを垂らした。それを今度は、肛門の方に塗った。

「えっ、あっ」

「力を抜けよ」

 抜いた指を、今度は肛門に突っ込む。

「あっ、やっ、やめっ」

 指の腹で内側をぐるりとなぞると、ねちゃりと気持ち悪い感触がした。膣よりも強く締め付けてくるのは、肛門の筋肉が随意筋だからだろう。
 無造作に指を引き抜くと、プスンと空気の漏れる音がした。

「や、ぁ…」

「…」

 赤面して縮こまる恵を他所に、抜いた指を眺める。油断していたのか、茶色いものが少しこびりついている。
 枕元のティッシュペーパーでそれを拭いながら視線を移すと、恵はシーツに顔を埋めたまま悶えていた。高く突き上げられた腰からは、透明な汁がたらたらとベッドに垂れている。

「どうだ、効いているか」

「はぁ、はぁっ…」

 くぐもった喘ぎ声が聞こえてくる。

「おい」

 突き上がった股ぐらを鷲掴みにした。

「はあぁっ!?」

 突然、恵が大声を上げた。尻がぴょんと跳ね、股から熱い汁が噴き出して私の手を濡らした。

「…もう良いだろう」

「はぁっ…はぁっ…」

 私はナイトガウンを脱ぎ捨てると、恵の後ろに膝を突いた。

「おい」

 平手で軽く、尻を叩く。

「んあっ…はい…」

 力無く返事しながら、もぞもぞと尻を動かし、私の腰の高さに合わせる。

「どうぞ…思う存分、お愉しみください…」

 愛液でぬらぬらと光る秘部を、指で開く。ひくひく動くその穴は、もう準備万端だ。

「生で挿入れるからな」

「はい」

「膣内に射精すからな」

「もちろんです」

「避妊などしないからな」

「はい。沢山、種付けしてください」

 躊躇なく答えるので、少し心配になった。

「本当に孕んだらどうする?」

「…堕ろします」

 一瞬、黙ってから、恵は答えた。どうやら、思うところが無いでもないようだ。

「それは、私が決めることだ」

 それだけ言うと、いよいよ私は屹立したペニスを掴み、女の入り口にあてがった。亀頭が陰唇に触れると、彼女が酷く震えているのが分かった。

「…」

「…は、早く…」

 風切り音のような激しい呼吸音を聞きながら、私は腰を突き出した。

「い゛っ…」

 何かを突き破る一瞬の感覚。同時に、恵が喉の奥で潰れた声を上げた。
 だが、入ってしまえば後は早い。強い抵抗に逆らい、女の呻きを聞き流して、腰を押し進めると、ペニスを熱と、暴力的なまでの圧力が包み込んだ。
 そう、これだ。これから向こう数回しか味わえない、初物の感覚だ。

「うぅ…っ」

 腰を引くと、膣の肉が異物をひり出さんとうねる。それに逆らって、またねじ込む。

「あぁっ…くっ、うっ…」

 肉棒が破れた処女膜を擦り、女は痛みに呻く。痛みは女の身体を刺激し、ただでさえ狭い肉の穴を更に狭くする。抽迭の度に、ペニスが千切れんばかりの快感が返ってくる。

「あっ…あんっ…っ…」

「はあっ…おい、どうだ…」

 ゆっくりとペニスを抜き差ししながら、私は言葉を投げた。

「初めての、セックスだぞっ…どうだっ」

「きもち、いいですっ…ごしゅじんさまのっ、おちんちん…きもちいいっ…です…」

「正直な、奴だっ」

 背中越しに聞こえてくる苦しげな返答に、私は鼻を鳴らした。
 腰を動かしながら、両手を伸ばした。脇からエプロンの隙間に手を入れると、たわわに実った両の乳房を掴んだ。

「あぁんっ」

 掌に少し余るサイズ、吸い付くような肌、そして何より、乳腺の詰まった若い弾力。最高だ。
 腰を振ることも忘れて、無心で揉んでいたら、恵の呻き声が小さくなってきた。防衛本能めいた締め付けが幾分和らぎ、肉の柔らかさを感じられるようになっていく。

「…はっ、んぅ…」

 大きく、ゆっくりとストロークを加えると、悩ましげな吐息が漏れた。

「んあぁっ…♡」

「落ち着いてきたか」

 乳房を掴んだまま、ピストン運動を再開する。

「んっ…あぁっ…あんっ…」

 もう出そうだ。腰を速めていく。

「ん、んっ、あっ、あっ、ぁ、はっ、あっ…」

 更に速く。

「んあっ、あっ、あっ、あんっ」

「はっ、出すぞ、いいな」

「出してっ、なかに、いっぱいっ」

「出すぞっ…っ!」

 腰を押し付け、膣内に射精した。

「あんっ、出てます…熱いの、いっぱい出て…」

「はぁ…ふぅ…」

 ペニスが脈打つ。女の胎内に精液を吐き出すにつれ、全身を脱力感が包んでいく。

「…ふぅ」

 ペニスを抜き、ベッドに尻餅を突いた。四つん這いのまま震えている恵の股間から、出したばかりの精液がぽとりと落ちた。

「はあっ…いかが、でしたか…」

 どうにか起き上がり、こちらに向き直る。

 汗を吸って、白いエプロンから乳首が透けている。

「…おっぱいを」

「! はい」

 いそいそと肩紐を外し、エプロンをずり下げた。白く丸い乳房が、汗で鈍く輝いている。

「そいつで、これを挟んでみてくれ」

 命じながら、仰向けに寝そべって股間を彼女に向けて突き出した。射精後で萎えかけているペニスは、力を入れると僅かに上を向いた。

「お任せください…」

 恵は這い寄ると、2つの乳房で肉棒を挟んだ。

「!」

「いかが、でしょうか」

 弾力のある2つの果実が、疲れた男性器を優しく包み込む。柔らかすぎない、適度な硬さで刺激されて、ペニスが再び勃ち上がった。

「ご主人様は、疲れ知らずですね」

 両手に掴んだ乳房で肉棒を上下にしごきながら、恵が言う。

「また、私の膣を使われますか?」

「いや、これ以上は明日に響きそうだ。このまま頼む」

「かしこまりました」

 ずり、ずり、ずり。ペニスに柔らかい快感を感じながら、私はいよいよベッドに寝転がった。

「そろそろ寝るから、後はよろしく」

「はい…」

 目を閉じると、より感触が伝わってくる。
 絶え間ない性感に、心拍が速くなっていく。

「んっ…しょっ…とっ」

 健気に乳房で愛撫を続ける恵。
 股間の辺りに、甘い痺れが漂い始める。
 耐えきれず、時折ペニスがビクリと強張る。

「そろそろ出そうだ…」

「はいっ…いつでも、どうぞ」

 ぞくぞくと、陰嚢の裏側が震えた。尿道の根本に、熱いものがせり上がってくるような気がした。

「出すぞ…ベッドを汚すなよ」

「はい…」

 返事から数秒後、ペニスの先端が温かく濡れたものに包まれた。熱い舌に、亀頭を一撫でされて

「…うっ」

 どくん。びゅるるるっ。

「っ…んっ…んっ…」

 尿道から吸い出すように、精液を飲み下す恵。口淫の飲精も初めてのはずなのだが、とにかく躊躇がない。
 尿道をこじ開け、濃い粘液を吐き出す感触は、一回目よりは流石に量も落ちたものの、快感はそれ以上だった。
 心地よい疲労感に浸りながら、私は眠りに落ちた。



「やれやれ…」

 仕事の終わった夕方。車のエンジンを掛けながら、私は溜め息を吐いた。株主というやつは厄介だ。金を持っているという一点で、我々労働者から容赦なく売上を簒奪していく。奴らの前では、私だって恵と同じ奴隷だ…

 駐車場を出ると、雑然した大通りに出た。交差点の真ん中に建てられた広場には、粥を炊くテントがいくつか立っていて、埃に塗れたスーツ姿の男女が群がっている。

 生まれた時から続いていた不景気と言うやつは、実はとっくに終わっていた。少なくとも、日本人の一部は既に貧困を脱していた。
 要は、持つ者と持たざる者の区別がはっきりしたのだ。勝者は富を蓄えて好況に酔い、敗者は生命まで搾取されながら終わらない不況を嘆く。
 だが、区別はあるものの、その境界は薄く脆い。現に私自身、少し前までは向こうの広場で一杯10円の雑穀粥を啜っている身分だった。前の会社を辞めて起業し、運良く金持ちにはなったが、どうにも金の使い方が分からない。家は買ったが、手伝いも、運転手すら雇っていない。独りで何でもやってきたせいで、デスクの脇に座る秘書ですら持て余す始末だ。

「今日の夕飯は何かな…」

 だが、少し事情が変わった。
 恵を買ってから、今まで3食とも外食だったのが、殆ど家で食べるようになった。あれは勉強熱心だから、料理の腕もみるみる上達していった。もう少ししたら、昼の弁当を作らせても良いかもしれない。



↓1〜3 どうする?(帰ってから、または帰るまでにすること)

今夜はここまで

『互助会』をどのタイミングで挟もうかな…

安価下



 思いついたことがあって、私はとある雑居ビルを訪れた。
 薄暗いエレベーターを降りると、辿り着いたのはとあるアダルトショップ。ビデオコーナーを素通りして玩具コーナーに向かうと、目当てのものを見つけた。幾つか手に取ると、私はレジに向かった。



「そろそろお風呂になさいますか?」

 夕食が終わって少し経った頃、書斎にいた私に恵が尋ねてきた。

「そうだ、今日は君に渡すものがあるんだ」

「はい…?」

 首を捻る女の前で、私は帰り道で買ってきた真っ黒なビニール袋を取り上げた。
 中から出てきたのは、大きなガラスシリンジと、プラスチック製のボトル。ラベルには『50%グリセリン』と書かれている。

「!」

「この前は指が汚れたからな。食後だし、『綺麗に』しておこう」



「…」

 ホックを外すと、黒いスカートが床に落ちた。露わになったのは、牛革と金属でできた貞操帯。南京錠を外すと、留め具が外れて貞操帯が落ちた。黒々とした毛に覆われた陰部から、すえた臭いが漂ってきた。

「小便臭いな」

「申し訳ありません」

 付けたまま排泄できるようにはなっているが、いかんせん汚れてしまう。

「明日の朝までに洗っておけよ」

「はい」

 ブラウスを脱ぎ、白い飾り気のないブラ一枚になると、恵は床に手を突いて尻をこちらに向けた。

「では…よろしくお願いします」

 私は、透明な液体で満たされたシリンジを取り上げた。そうして、こちらに向けてひくひく蠢く菊の穴に、注射器の先端を突き刺した。

「あっ」

 そして、シリンジを押す。

「あっ…あっ、あっ」

 小さく身をよじる。透明な浣腸液は、するすると肛門の中へ押し込まれていく。
 500mlほどあった液が、全て入った。注射器を抜くと、恵は尻を引っ込めて小さくなった。

「まだ出すな」

「はっ、い……んくっ」

 よろよろと立ち上がり、一息。ちらりと、壁に掛けられた時計を見た。

「5分くらい必要らしいな」

「はい……うっ」

 前屈みになり、腹を押さえる。と思ったら、今度は仰け反って尻を押さえた。

「あっ、出ちゃっ」

「馬鹿、床に糞をぶち撒ける気か」

「もっ、申し訳ありませっ…」

 息を切らしながら、便所に向かう。

「う、ぐぅっ…はあっ」

 3歩進んで立ち止まり、2歩進んで竦み上がる。そこから片足を踏み出した時

「あ゛っ」

 ぷっ

 ガス漏れの音。恵の顔が青褪めた。

「や、らぁっ…!」

 立ったまま数秒間くねくねと腰をよじっていたが、やがてぴんと伸ばして落ち着いた。見ると、左手の中指を第2関節まで肛門に突っ込んでいる。

「はぁ…はぁっ…」

「あと3分だな」

「はっ…はい……」



「ごっ、ご主人様っ…」

 殆どつま先立ちで、もぞもぞと足踏みしながら恵が言う。額には脂汗が浮かび、尻に突っ込んだ指に黄色い汁が伝って来ている。

「そろそろ」

「もう少し我慢できないのか」

「も、もうっ」

 言いかけたその時、指の隙間から破裂音がした。

「あっ、でっ」

「……仕方ない」

 頷くと、彼女は跳ねるように便所に向かった。震える手でドアを開け放つと、閉めることもせずに便座に座り……

「…ああぁぁ」

 まず聞こえてきたのは、激しい水音。下品な屁の音を挟みながら、断続的に便器に叩きつける音。と、今度はそれにひときわ大きい水の音が聞こえてきた。ひり出した糞の塊が、便器の底に沈む音だ。
 不規則に繰り返される3つの音を聞きながら、私も便所に入った。

「っ、ごっ、ご主人様…」

 赤面する女。だが排泄は止まらない。

「構うなよ。気にせず出せ」

「は…はい…」

 彼女は俯くと、小さく身じろぎした。
 収まりつつあった排便の音に代わって、今度は細い水流の音がした。



 腸の中身を出し終えて、ウォシュレットもさせたところで、私は命じた。

「両脚を持って、尻穴をこちらに向けろ」

「はい…」

 便座に座ったまま、尻を前にずらすと、両腿を手で持ち、大きく持ち上げて広げた。
 私は、持ってきたビニール袋から買ってきたものを出した。先端から順に径の大きくなっていく球体が、数珠状に繋がれた棒。所謂アナルパールだ。それに、これまた買ってきたローションを原液で垂らすと、先端をこちらに向けられた肛門に押し付けた。

「では始めよう」

 ひとつ。

「んっ」

 ふたつ。

「んくっ」

 みっつ。

「っ…ふっ…」

「よっつ……っと」

 浣腸である程度肛門は緩めたが、3つ目がまだ限界のようだ。
 一つ、球を抜く。

「んぁっ」

 抜き出した球に、ローションを垂らすと、再び突っ込んだ。

「あぁっ」

 今度は、そのまま4つ目まで奥へと押し込んでいく。

「い゛っ、いだっ」

「頑張れば行けるだろう。…ほら」

「あ゛っ…」

 4つ目の球が入った。流石にこれ以上は厳しそうだ。
 押し込む代わりに、3つ一気に引き抜く。

「あぁぁぁ…」

 と、今度は一気に突っ込む。

「いっ、ぎっ」

 これを何度か繰り返していると、だんだん動きがスムーズになってきた。肛門を弄られる恵の声からも、苦しさが薄れてきている。
 と、また抜いた時に、恵がふと零した。

「あっ、漏れっ」

「漏れる?」

 恥ずかしげに顔を伏せると、ぽつりと答える。

「お、おしっこが」

「そうか、尻穴を弄られて、おしっこしたくなったか」

「申し訳ありません…」

 アナルパールを最後まで引き抜く。そうして、いそいそと便座に座り直そうとする恵に言う。

「駄目だ」

「えっ」

 固まる女。私は、ビニール袋からまた別のものを取り出した。
 それは、4つ目の球より少しだけ太い、アナルプラグであった。

「尻を出せ」

「……は、はいっ」

 我に返った恵。最初に比べてすっかり開いた肛門に、プラグを押し込んだ。

「あぁっ…はっ」

 奥まで入ると、私は彼女の手を引いて立たせた。

「んっ、くぅ…」

 異物感に耐えながらなんとか立ち上がった彼女に、言う。

「どんな気分だ」

「あ、あのっ…き、気持ち良い、です」

「そうか」

 私はその手を掴んだまま、便所を出た。

「ご主人様…あの、おしっこ」

「折角だ。今日は天気が良いから、このまま散歩に出よう」

「えっ」

 呆然とこちらを見る恵に、私は意地悪く言った。

「何をしている。裸で外に出る気か。一緒にいる私が警察に捕まるぞ」

一身上の都合により続きは少し待って



「最近、やっと暖かくなってきたな」

「…あ、はいっ」

 日の落ちた住宅街を、二人で歩いている。どちらも、着ているのは地味なジャージだ。傍目には、夕食後のウォーキングに勤しむ家族にしか見えないだろう。
 ずいずい進む私の後ろを、恵はぎこちない足取りで付いてくる。何しろ『前』の穴では必死に尿意を堪えているし、『後ろ』の穴には異物が刺さっているのだ。数歩後ろから聞こえてくる足音は、不規則なリズムを刻んでいる。

 近所の公園まで歩いたところで、休憩することにした。
 ベンチに腰掛けると、恵はその前に立って、もじもじと体を揺すりながら何か言いたげな目で私を見た。

「…どうした?」

「あの、も、もう漏れそうです」

「何が?」

「だから、おしっこが…っ!」

 言いかけて彼女は突然、両手で股間を押さえた。忙しない足踏みが固まり、中腰のまま小さく震えている。

「何だ、まだしてなかったのか」

「だってっ…ご主人様が先に進んでしまうので…っ」

 時折体を竦ませながら、必死に決壊を食い止めている。街路灯の薄暗い光に、涙を浮かべる彼女の顔が浮かぶ。

「いつでも出して良かったんだぞ」

「ですが、そうしたら置いて行かれます…」

「別に、歩きながら用を足すくらい、何てことはないだろう」

「!?」

 困惑の色が浮かぶ。私は、畳み掛けるように言った。

「はっきり言おう。『垂れ流せ』」

「!!」

 恵の顔が青褪めた。と思う。

「で、ですが、服が」

「元々君には不要なものだろう」

「ここでは」

「外だから、気にせずおしっこできるんだろうが。流石に床は汚せない」

「っ…」

 両手を腿に挟み、苦しげに息を吐く。

「せ、めて…下を、脱いでも」

「駄目だ。着たまま、漏らせ」

「…は、い」

 とうとう、恵は諦めたように頷いた。
 私の真正面に立つと、数回、深呼吸した。

「すぅ…はぁっ…っ、すぅっ…は、あぁっ」

 恐る恐る脚を開き、挟んだ手を抜く。そして

「んっ…あ、あぁっ」

 息を呑む女。灰色のジャージのズボンに、黒い染みが広がった。
 股間に広がった尿の跡は、すぐに両脚の内側へと伝い、足元へと落ちていった。

「あ、ん、あぁぁっ…出て、あっ…」

 長ズボンなので、失禁の跡がよく見える。今は貞操帯ではなく普通のショーツを穿かせているため、違和感なく尿を衣服に染み込ませている。

「はぁ…あんっ…」

 下着の中に放尿する恵は、涙を浮かべながらも、呆然として、どこか恍惚とした顔で吐息を漏らしていた。
 やがて、ズボンの裾から大きな水溜りを残して、失禁は終わった。
 不意に、恵が呟いた。

「…あっ、抜けちゃっ」

 と、ズボンの裾から何かが落ちてきた。
 それは、先程挿入れたアナルプラグであった。尿道と一緒に、肛門まで開いてしまったようだ。

「も…申し訳、ありません…」



↓1〜3でコンマ最大 どうする?

今夜はここまで

安価下



 公園の男子トイレの個室に、二人で入った。この辺りは高級住宅街で、従って公園のトイレも掃除が行き届いている。

「ほら脱げ。拭いてやろう」

「はい、ありがとうございます…」

 尿を吸ったズボンとショーツを脱がせ、便器を跨ぐように足を開かせた。トイレットペーパーを取ると、濡れた股に押し当てた。

「ん…」

 微かに身じろぎする恵。股ぐらはそこそこに、濡れた紙で太腿を拭った。よほど我慢していたようで、運動靴までじっとりと濡れていた。

「こんなものか」

「ありがとうございました…」

 便座に引っ掛けていた服に手を伸ばす女に、私は命じた。

「そのまま、壁に手を突け」

「! …はい」

 言われた通り壁に手を突くと、こちらに尻を突き出した。
 私はズボンと下着をずり下ろし、男性器を取り出した。まだ柔らかいそれの先端で、恵の『入り口』を擦った。ひくりと動いたのは、期待か、怯えか、ただの反射か。
 温かい粘膜に触れると、私のものが硬く勃ってきた。

「挿れるぞ」

「はい。よろしくお願いします……んっ」

 奥までねじ込む。熱い、まだ硬い膣穴に、抽迭を繰り出した。

「んっ、んっ、んっ…」

 押し殺したような声を上げる恵。時折首を曲げては、個室の外に注意を向けているようだ。

「誰か、来るかな」

「んあっ…わ、分かりません…」

「声は抑えろよ」

「あっ、はっ、はいっ…」

 とは言え、肌と肌のぶつかり合う音も、静かな夜には中々響く。壁の形や熱を味わうように、ゆっくりとストロークを加えてみた。

「っ……っっ…」

 不規則に膣が締まる。どうやら、恵はこの方がお気に入りらしい。

 悩ましげな息を漏らす彼女の乳房を、服の上から鷲掴みにした。

「ひっ…!?」

「声」

 片手で彼女の口を塞いだ。そのまま、乳を揉みつつ、腰を振る。

「んっ…っ、っぐ…」

 指の隙間から、息が溢れた。

「んぅ…んっ…ぅ…」

「…」

 無心に手と腰を動かしていると、ふと挿入ているより上の穴が目に入った。
 時間をかけてほぐした肛門が、閉じきれずにひくひく蠢いている。

「…そうだな」

 私はペニスを抜くと、財布からコンドームを出した。何故持ち歩いているかって? 嗜みだよ。
 それを装着すると

「力を抜けよ」

「えっ? ……いっ」

 射精寸前のものを、肛門に突き入れた。

「くっ……うぅ」

 苦しげに呻く恵。その声とは裏腹に、未貫通だった(筈の)肛門は、するりと私のイチモツを呑み込んだ。

「へえ、悪くないじゃないか」

「あ゛っ…ありがとう、ございま゛っ!?」

 腰を引き、突き出す。ヒキガエルか何かのような、お世辞にも上品とは言い難い声が漏れた。

「お゛っ、あ゛っ、うぅっ…」

 先程突っ込んだローションがまだ残っていて、滑りを良くしている。流石に締め付けは膣より強い。加えて肛門は開け閉めが意のままだから、命じればすぐに応えてくれる。

「もう少し緩めろ」

「はいっ…ぅ…」

 ぷすん。ペニスの隙間から屁が漏れた。恵は恥ずかしげに、顔を伏せた。
 構わずに腰を振り続けた。直腸を抉る感触に、女は呻きを噛み殺して耐えている。

「そろそろ、出すぞ」

「…っ!」

 黙って頷く恵。
 私は抽迭を速め、速め、速め…

「出るっ」

 恵の腰を両腕で抱きながら、その奥に射精した。



「…ちゅ…んっ、れろっ…ちゅ、ぱっ…」

 便器に腰掛けた私の前に跪いて、恵はペニスを舐め回している。どんなに洗浄しても肛門は不潔なので、衛生面からスキンを付けたが、お陰でペニスが精液まみれになってしまった。

「はぁ…む、ぅ…ちゅぅっ…」

「…そうだ」

 熱心に口淫を続ける彼女を見ながら、私はふと思い出した。

「このまま避妊しなければ、いずれお前は孕むんだな」

「…」

 一瞬、彼女の動きが止まった。が、すぐに奉仕を再開した。あくまで私の言う通りにするということか。
 私は彼女の頭に手を置くと、考えた。



↓ 22:00まで多数決

①産ませる

②堕ろさせる

③可逆的に避妊する(低用量ピル、コンドームなど)

④不可逆的に避妊する(パイプカット、卵管結紮など)

何で多数決やると毎回同数になるの(白目)

↓1 1or3

今夜はここまで

「…」

 よく考えたら、恵が孕めばそれは私の子ということになる。遺伝子の半分は私で、もう半分は彼女だ。一体、どんな子供ができるのだろうか。
 そう思うと、その機会を無くすのが何やら勿体無い気がしてきた。

「そうだな。その時は、育てるとしようか」

「!?」

 恵は、寧ろ困惑したように私の顔を見た。

「お前に、私の子を産んでもらおう」

「…っあ、ありがとう、ございます…」

 ペニスから口を離すと、彼女はおずおずと頭を下げた。
 私は衣服を戻しながら、立ち上がった。


「じゃあ帰ろうか。続きは家でだ」



 さて、避妊に対する方針は決まったものの、だからといってすぐに恵が孕むわけでもなく、数週間が過ぎた。

「ふぁ…おはよう」

「お早うございます、ご主人様」

 時刻は9時を10分ほど過ぎたところ。この日は休日だった。
 いつものように食卓に就き、朝食を摂る。この生活サイクルにも、もう随分慣れたものだ。
 向かいに座って、フレンチトーストを切り分ける恵。彼女をちらりと見ながら、私は今日一日をどう過ごすか、考え始めた。



↓3まで 休日にすること

一つ質問

買いに行く新しい服とメイド服って別物だよね?



「お邪魔します」

「いらっしゃい。よろしく頼むよ」

 大きなアタッシュケースを抱えた男が、家に上がり込んできた。
 金持ちには金持ち同士の繋がりのようなものがあって、その間でのみ存在する職業もある。例えば、彼だ。彼は仕立て屋で、客のどんな注文にも応じて品質の良い服を作ってくれる。中世から近代のヨーロッパめいた風情だが、今でも確かに存在している。

 ___知らなかったって? 私もつい最近知った。

 彼はリビングに立っている恵を見つけると、にんまりと笑って頷いた。

「これは良い。精が出そうだ」

「ああ、そうだろう」

 彼は鞄から巻き尺とノートを取り出すと、慣れた手つきで恵の体を測っては、ノートに書き留めていった。
 一通り計測を終えると、彼は私に向かって尋ねた。

「では、どのようなデザインにいたしましょう?」



↓1〜3でコンマ最大 新しい服のデザイン(メイド服ならメイド服と明記)

「そうだな…」

 私は恵をちらりと見ながら、考えた。

「色は……白が良いな。だが全部真っ白じゃなくていい。形はドレス、まあワンピースのような感じかな。それから」

 視線を恵の『ある一点』に向けて、続けた。

「折角だ。この胸が映えるようなデザインにしてくれ」

「かしこまりました」

 仕立て屋は頷くと、鞄を手に取った。

「一週間ほどで仕上がると思います。出来上がったら連絡を差し上げます」

「ああ、よろしく」

「…そうだ」

 立ち去ろうとして、ふと彼は立ち止まった。私の方に向かって、わざとらしく囁くように言う。

「今日、偶然車に良いものを積んでおりまして。既製品でよろしければ、一度ご覧になってみませんか」



 『偶然』持ってきたにしては、それは恵にあまりにもぴったりだった。

「メイド服か」

 コスプレとは違って、スカート丈の長い上品なヴィクトリアンメイド型だ。彼女が着ると、うっかりすると私よりも気品がある。厚い布地で隠しきれない、女の身体の凹凸に目を瞑れば、だが。

「サンプル品ですが、よろしければお売りしますよ」

「買った」

 即答すると、彼は深々と頭を下げた。

「ありがとうございます」

「ありがとうございます、ご主人様」

 続けて恵もお辞儀した。格好が格好だけに、非常に様になる。
 そうだ。折角のメイド服なのだから、何か『奉仕』とやらをさせてみようか。



↓1〜3でコンマ最大 『奉仕』の内容

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom