未央「クリスマスだよプロデューサー!」武内P「ですね」 (71)

前置き省略。



未央「プロデューサー!今日は何の日?」武内P「今日は……」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52215111.html

これ読んでおくと気持ち甘くなるかもしれません。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514034568



~事務所~




みく「よーしみんな集まったにゃ―?」

全員『はーい!』

みく「よっしゃ!それじゃあみんなー寮にレッツゴーにゃ!」

全員『はーい!』

杏「でもまさか寮でクリスマスパーティーできるとは思わなかったよ」

智絵里「それに、みんなのスケジュールが合わせられたのも……」

未央「プロデューサー!ありがと♪」

武内P「いえ、ダメ元でしたがたまたま合わせることができただけですので……」

莉嘉「Pくんありがと☆」

みりあ「お泊りお泊り~!」

かな子「でも、ほんとにお邪魔していいのかな?寮って部外者入っちゃ駄目じゃ……」

武内P「管理人にはすでに連絡済みですし、多田さんが泊まったこともあるのでそのあたりも大丈夫ですよ」

美波「みりあちゃん達も私が面倒見るってことでお母さんたちから許可もらってるしね」

きらり「美嘉ちゃんもお仕事終わったら来るって言ってたから大丈夫にぃ~」

凛「ていうか、そこまでしてくれるのにプロデューサー来ないの?」

卯月「せっかくのパーティーなんですから一緒に……」

みりあ「いっしょに行こー!!」

武内P「いえ、それは……」

未央「ほら、あんまりワガママ言わないで。早く行こ?」

莉嘉・みりあ「「はーい」」

未央「それじゃあプロデューサー、またね?」

武内P「はい、楽しんできてください」

全員『はーい!』













未央「……」チラッ

李衣菜「……」コクリ

~女子寮~






ザワザワザワ

みく「よっし!全員揃ったにゃ?それじゃあ未央ちゃん、乾杯の音頭を―――あれ?未央チャンは?」

凛「え、いないの?」

卯月「どこいったんでしょうか?」

美波「誰か聞いてない?」

李衣菜「あ、なんか事務所を出るときに忘れ物したから取ってから来るって言ってたよ?」

凛「え、そうなの?」

卯月「それじゃあ私達も待ってたほうが……」

李衣菜「い、いや!そんなに遅くはならないから先に始めててって言ってたよ!?」

凛「……でも、もうだいぶ暗くなってきたし一人で来るのは危ないんじゃ」

李衣菜「うっ!?……えっと、そ、そうだ!なつきちももうすぐ仕事終わってこっちに来るらしいから、バイクに乗っけてってもらうって言ってたよ!?」

卯月「そうなんですか?」

凛「それなら、大丈夫かな?」

李衣菜(未央ちゃん、誤魔化すのも限界があるからねッ……)







ガチャ



武内P「……皆さんはもう寮についた頃でしょうか――――――ん?」







箱「……」






武内P「これは何故こんなものが……ん?」









『良い子の貴方にプレゼント♪』







武内P「開けて、良いということでしょうか?」パカッ

未央「あ……」

武内P「……本田さん?」

未央「え、っと……プレゼントはワ・タ・シ♪なんてね!」

武内P「あの、その、これは一体……」

未央「とりあえずさ、手貸してくれない?」

武内P「え?」

未央「この箱、思ったより深くて……その、はまっちゃったの。たっけて」






未央「ふー、助かった」

武内P「本田さん、何故ここに?皆さんと寮に行ったのでは……」

未央「それはちゃんと後で行くよ。でもその前に、良い子にクリスマスプレゼントを届けにきたのだよ」

武内P「プレゼントですか?」

未央「そうそう♪というわけではい!未央ちゃんを受け取ってください♪」

武内P「いや、あの、それは、その……」

未央「……冗談だよ。ほら、これがホントのプレゼント」

武内P「え、あ、ありがとうございます」

未央「ほら?あけてあけて」

武内P「はい――――これは、マフラーですか?」

未央「うん。プロデューサー背高いし人より風当たりそうだなって。だから、暖かいの選んだんだよ?」

武内P「ありがとうございます。……ありがとうございます」

未央「なんで2回?」

武内P「い、いえ。特に意味は……」

未央「まぁ、喜んでくれて嬉しいよ。さっちーに箱借りた甲斐があったってものだよ」

武内P「そうだったのですか」

未央「サプライズ成功ってとこかな。……ちょっと出だし躊躇しちゃったけど」

武内P「……充分驚きましたよ」

未央「なら苦労が報われて何よりだよ」

武内P「……しかし、何故ここまで」

未央「何が?」

武内P「プレゼントもそうですが、本田さんは皆さんとのクリスマスパーティーを楽しみしてたじゃないですか」

未央「……誕生日のこと覚えててくれたんだね」

武内P「もちろんです」

未央「そっか。なら、話してあげる……でもその前に」











未央「プロデューサー、電気消して?」









短いけど今日はここまでで……

明日には終わらせたい。なんとか。

明日の18時位から再開予定です。

~女子寮~




ありす「クリスマスに一喜一憂するだなんてなんだか子供みたいで嫌です」

みりあ「ありすちゃん、来てくれてありがと!!」

莉嘉「文香ちゃんもありすちゃん連れてきてくれてありがと☆」

文香「ふふっ、ありすちゃんが私を連れてきてくれたんですよ」

みりあ「どういうこと?」

ありす「いいですからっ!!……ほら」スッ

みりあ「?……あっ!」スッ

莉香「うんうん!」スッ

文香「ふふっ」スッ


ありす・みりあ・莉嘉・文香「「「「かんぱーい!」」」」


凛「……ねぇ、未央遅くない?」

卯月「そう、ですね」

李衣菜「あ、アレー?なつきち遅いなぁ?み、道が混んでるのかも??」

夏樹「お、だりーメリークリスマス!」

卯月「あ、夏樹さん」

李衣菜「ちょっとなつきち遅いよ―!!」ダダダダッ

夏樹「は?いや、むしろ早く付きすぎたかなってぐらいだったんだけど……」

李衣菜「あ、アレー未央ちゃんは?え?うんうん、あっ、そっかー!なかなか探しものが見つからないから見つけてから来るんだね!!」

夏樹「え?いや、何言って……」

李衣菜「それはともかくほら、なつきち!ジュースだけどさ、ほら、かんぱーい!!」

夏樹「え?あ、か、かんぱーい」

李衣菜「ふふふ、なつきちとクリスマスを過ごせるだなんて嬉しいなぁ」

夏樹「おいおい、どうしたんだ?」

凛「ねぇ、李衣菜。未央まだ遅くなるってどういう……」

李衣菜「未央ちゃんはもうちょっと時間かかるって!」バッ

卯月「で、でももう外も暗いし大人の人がいないと危ないんじゃ……」

李衣菜「えっと、えっと……な、菜々ちゃんが一緒に来るって……」

凛「なら、大丈夫かな」

卯月「え?でも菜々ちゃんも子供ですし……」

凛「……卯月」ポン

卯月「凛ちゃん?」

凛「大丈夫だから。あまり考えちゃだめ」

卯月「????はい」








李衣菜(未央ちゃん本当にこれ以上は難しいから早くこっちきてーーーーーー!!)










カチッ

武内P「これでいいでしょうか?」

未央「ありがと、それじゃあこっちこっち」チョイチョイ

武内P「はい」

未央「ほら、外見てよ」

武内P「……」

未央「空には星があるのに、街の明かりも綺麗で星みたい」

武内P「ええ……そうですね」

未央「街にも空にもたくさん星があるけど、私はその中の一つになれるかな」

武内P「もうなっていますよ。空に輝く星のように、本田さんも輝いています」

未央「ありがと♪でもさ、たまに思うんだ。大勢の人が見てくれるたくさんの輝きの中で、大切なたった一人に見つけてもらえるように輝けたらって」

武内P「それは、どういう……」

未央「たくさんの輝きの中で自分を見つけてほしい。そのために誰よりも輝きたい……ねぇ、プロデューサー」

武内P「はい」

未央「私に出会ってくれてありがとう」

武内P「……」

未央「貴方が見つけてくれたから私は、今ここにいるから」

武内P「最初の一歩を踏み出したのはあなたです」

未央「それでも。貴方に見つけてもらえたことが嬉しいんだ。……プロデューサー」

武内P「はい」

未央「私が、パーティーを抜け出してでもプレゼントを渡したかったのはね」

武内P「……はい」

未央「貴方のことが好きだからです」

武内P「……それは」

未央「男性として。異性として。私本田未央は―――――貴方に恋しています」

武内P「……」

未央「突然でごめんね。でも、誕生日のときにあんだけやらかしたんだからなんとなくわかってたでしょ?」

武内P「……自分の勘違いだと、その場の勢いで深い意味は無いと思うことにしていました」

未央「なら、勘違いじゃないしその場の勢いでもなかったよ」

武内P「……なぜ」

未央「理由をあげてたら朝になっちゃうよ?まぁ、しいていうなら………………運命、かな?」

武内P「運命、ですか」

未央「うん。我ながら少女趣味って思うけど、いつ好きになったって聞かれるとほんとに気づいたらとしかいいようがなくてね

   でもさ、運命なんてきっかけに過ぎなくて、貴女を好きだって思ったのは、想ったのは間違いなく私の意志だよ」

武内P「……はい」

未央「それで?」

武内P「はい?」

未央「どうする?こちとら一世一代の告白をしたんだから、それなりの対応をしてもらいたいんだけど?」

武内P「……本田さん」

未央「はい」

武内P「貴女はアイドルで、私はプロデューサーです。……その意味がわかっていますか?」

未央「……うん」

武内P「……なら、私の答えは」

未央「……」

武内P「―――――待っててください」

未央「……」

武内P「男としてみっともない事を言っているのはわかっています。それでも、私は今貴女の気持ちに答えを出すことはできません」

未央「……どうして?」

武内P「私にはまだ貴女の未来を決める勇気が無いからです」

未央「私が自分で決めたんだよ」

武内P「それでも、今ここで、十代の貴女の未来を決めるのは私にとって決して簡単に決めていいことではないのです」

未央「……うん、そうだね。きっとそれはプロデューサーの事も」

武内P「だから、私にはまだ貴女の想いを受け取ることはできません。だから、待っててほしいです」

未央「……どのくらい?」

武内P「貴女が、大人になるまで」

未央「曖昧。何を持って大人っていうの?」

武内P「今できることを、全力で楽しめることだと思います」

未央「……」

武内P「やりたいこと、見つけたいことがあったからアイドルを目指したのですよね」

未央「……うん」

武内P「なら、まだ好きなことをしてください」

未央「……私は」

武内P「私も、そんな貴女の姿を誇りに思っています」

未央「……うん」

武内P「すみません。貴女に真正面から向き合えなくて」

未央「ううん、そんなことない。貴方はちゃんと私の告白を受け取ってくれたんだから。そのぐらいの妥協はするよ」

武内P「……ありがとうございます」

未央「まぁ、プロデューサーのことだから断るか、私が大人になるまでーとかなんとかいって保留するの二択だろうなって思ってたよ」

武内P「……そんなにわかりやすかったですか?」

未央「好きな人のことだからねぇ。元より今すぐ付き合え、結婚しろだなんて言うつもりはなかったしさ。言質が取れただけで充分」

武内P「そう、ですか」

未央「プロデューサー」

武内P「はい」

未央「私が大人になるまであと5,6年かな?―――――その時になったら私を貰ってください」

武内P「……はい」

未央「あ、別に途中で我慢できなくなったらプロデューサーから迫ってきても良いよ?」

武内P「……気をつけます」

未央「ふふっ、ああ楽しみだな。プロデューサー、私貴方のこと絶対に手に入れてみせるから♪……あ、一つだけ」

武内P「何でしょうか?」

未央「もしも途中で他の人が好きになったら絶対に教えてね?それ以上に魅力的になってみせるから……絶対に、誰にも渡さないから」

武内P「……は、はい」

未央「あ!?今ちょっと引き攣らなかった!?別に浮気するなとか言ってるんじゃないんだからそんぐらいは受け入れてよ!!」

武内P「わ、わかってます」

未央「だいたいプロデューサーは無口で強面なくせに妙に女の子の扱い上手くない!?やたら滅多に女の子に優しくするのはどうかと思うよ!?」

武内P「い、いえ。決してそんな事は……」

未央「んー……やっぱちょっと心配だし、プロデューサー指切りしよ?」

武内P「え?」

未央「私がおとなになっったらちゃんと貰ってくれるように。約束」

武内P「わ、わかりました」

未央「あ、プロデューサー、ちょっとしゃがんでくれる?指切りってちゃんと目線合わせてやるのが通例らしいからさ」

武内P「そうなのですか?……なら、こうでしょうか」スッ

未央「はい、そのままー…………んっ」チュッ

武内P「んんっ!?」


未央「………んっ、んんっ……はぁっ」

武内P「っ!ほ、本田さん!?今、その」

未央「ふふふ、女の子の大事な青春捧げてあげるんだから、前払い料金ぐらいもらっていいでしょ?」

武内P「で、ですが……」

未央「プロデューサー」

武内P「はい」

未央「隙を見せるほうが悪い」

武内P「……はい」

未央「それに、貴方と結ばれるまで私はこのキスで自分を慰めなきゃいけないんだから」

武内P「……すみません」

未央「むー……やっぱりこれで終わりってのはーせっかくのクリスマスなのに」

武内P「あの、本当にこれ以上は……」

未央「はいはい、わかりました。でもさ、もうちょっと話すぐらいいいでしょ?」

武内P「パーティーはいいのですか?」

未央「だからもうちょっとだけ。もうちょっとだけだからさ」









未央「まだ電気は点けないで」







~女子寮~


みく「みくは来年こそトップに立って猫アイドルとしての地位を確固たるものにするにゃ!!」

アーニャ「ミク、がんばってください」

杏「……みくちゃんお酒飲んでないよね?」

美波「場酔いってやつかな?」

かな子「猫耳演説いつまでやるんだろ……」

杏「気が済むまでやらせとこうよ。どうせみんな好き勝手してるんだから」

智絵里「杏ちゃん、はい。ジュース取ってきたよ」

杏「うむ、くるしゅうない」

かな子「そのぐらい自分でしなよ~」

凛「ねぇ、未央まだ帰ってこないの?」

卯月「もしかして何か事件とかに巻き込まれたんじゃ……」

李衣菜「え!?いやいやそれはないから大丈夫だよ!?」

凛「李衣菜何か知ってるの?」

李衣菜「えっと、えっと……」

凛「菜々が連れてくるって言ってたけど全然来ないし。ねぇ、李衣菜?」

李衣菜「あの、あのそれはね?えっと……」

prrrr   pi!

夏樹「ん?おいおい、急に電話だなんてどうしたんだよ?……え?……あーうん。わかった、わかったからちょっとまってくれ。……だりー」

李衣菜「な、なに?なつきちぃ!!」ダッ!!

凛「ちょっ……」

夏樹「電話、ちょっと変わってくれないか?」

李衣菜「うんうん!いいよ!任せてってば!!はい、もしもし多田です」

菜々『あー!李衣菜ちゃん?ナッナでーす!!メリークリスマス!!キャハッ♪』

李衣菜「な、菜々ちゃん?」

菜々『なんか急になつきちさんとかーみくちゃんとかー李衣菜ちゃんに電話したくなっちゃってー!!』

李衣菜「あ、あの、菜々ちゃんもしかしてお酒……」

菜々『もうっ!!菜々は17歳ですよ?未成年はお酒飲んじゃ駄目なんですから!!』

李衣菜「そ、そうだよね!!」

菜々『あ゛~!お米のジュースと麦のジュース美味しいです!!』

  『お酒を飲むのは避けられないんですよ。ふふっ』

  『わかるわ』

李衣菜「」

菜々『もうっ楓さんたち急に呼ぶなんてひどいですよー!ナナは、JKらしくみんなでパーティーの予定だったのに―!!』

  『ごめんなさい。でも、クリスマスを澄まして済ます訳にはいかないの』

  『わかるわぁー』

菜々『もう、ちゃんとナナの話聞いてくださいよー!!李衣菜ちゃんだから、ナナは行けませーん!!ごめんなさい♪』




pi!

李衣菜「……さーってちょっと外の空気吸ってこようかなー」

凛「ああ、私もついていくよ。李衣菜に聞きたい事があるから」

卯月「私も」

李衣菜「……寒いから二人は止めといたほうが……」

凛「大丈夫だよ。――――――すぐに終わるから」









李衣菜(さよなら、未央ちゃん)








未央「プロデューサー、送ってくれてありがとう」

武内P「夜道を一人で行かせる訳にはいきませんから」

未央「プロデューサーもパーティー来ない?きっとみんな喜ぶよ」

武内P「ありがたいお誘いですが……これ以上は」

未央「……そっか」

武内P「それに」

未央「ん?」

武内P「……いえ、なんでもありません」

未央「……そう」

武内P「本田さん」

未央「何?」

武内P「また明日」

未央「……うん!また明日」








未央「……行っちゃった」クルッ












凛「……」

卯月「……」

未央「ふ、二人共……」

凛「……」グイッ

李衣菜「わわわっ!?」

未央「リーナ!?」

李衣菜「ごめん未央ちゃん!!誤魔化しきれなかった!!」

凛「……」

卯月「……」

未央「あの……しぶりん、しまむー私っ!!」

凛「未央」

未央「ッ!!」ビクッ

凛「みんなもうとっくに集まってるんだから」

未央「……え?」

凛「早く来て。パーティなんだから」

卯月「未央ちゃん、ケーキ一緒に食べましょ!」

未央「えっ?」

凛「全く、遅いから心配したんだから」

卯月「今日はお泊りなんですから、まだまだ楽しみましょう?」

未央「で、でもっ」

凛「ほら、早く来て」

未央「……リーナ」

李衣菜「私もわかんない。とりあえず言うとおりにしたほうが良いんじゃない?」

未央「そう、だね」

凛「未央ー!李衣菜ー!!さっさと来てってばー!」

卯月「早く来て下さーい!!」






未央「……ん」パチッ

ゴソッ

未央「………あれ?ここ……ああ、そうだ。女子寮に泊まって……あれ?しまむーは?ねぇ、しぶり……」

凛「ん……」スヤァ

未央「……トイレかな?」









卯月「……」

未央「黄昏れるのもいいけど、流石に外は寒いよ?」

卯月「未央ちゃん」

未央「ほら、コートぐらい着ときなって」バサッ

卯月「……ありがとうございます」

未央「……」

卯月「……未央ちゃん」

未央「何?」

卯月「プロデューサーさんに告白したんですか?」

未央「……うん」

卯月「……どうでしたか?」

未央「大人になるまで待ってくれ。だって」

卯月「……」

未央「今できることを全力で楽しんで、そしたらって。予想通りだったけどさ、やっぱり悔しいよ」

卯月「あのプロデューサーさんにそこまで言わせたんです。充分じゃないですか」

未央「私は、今すぐプロデューサーと恋人になりたかった。手を握って、抱き合って、キス……もしたかった」

卯月「……」

未央「今しかできないことを楽しんでくださいって、そんなのズルいよ。私は今、この瞬間プロデューサーの事を好きなのに」

卯月「……わかってあげてください」

未央「わかってるよ。だけど、私はっ!」

ギュッ

卯月「……」

未央「……あったかいね」

卯月「きっとプロデューサーさんもこうしたかったんだと思います」

未央「私も、そうしてほしかった」

卯月「未央ちゃんはちゃんと、想いを受け止めてもらったんですよ」

未央「……しまむーはさ、怒らないの?」

卯月「何をですか?」

未央「抜け駆けしたこと」

卯月「未央ちゃんは、悪いことしたって思ってるんですか?」

未央「全然」

卯月「なら、私も怒ったりしません」

未央「そっか」

卯月「……あ、でも、李衣菜ちゃんにはちゃんと謝ってください。すっごく苦労してましたから」

未央「……うん、そうだね」

卯月「……」

未央「……」

卯月「……未央ちゃんは」

未央「ん?」

卯月「プロデューサーさんのどこを好きになったのですか?」

未央「顔」

卯月「え!?」

未央「あと声。それに背が高いのも良いね。真面目なところも好印象。社会人としてもしっかりとしてるし。あと優しくって、だけど情熱的で、一緒にいると胸が熱くなる」

卯月「そ、そうですか」

未央「でも、不測の事態が起きるとすぐ動揺するのはマイナス。あとたまに優柔不断なところと、考えすぎる時があるところ」

卯月「それは……」

未央「でも、そういうところちょっとかわいいって思っちゃう。私が言えたことじゃないしね。優柔不断なのもいざって時には決めてくれるからギャップ萌え。

   考えすぎなのはまぁ、性格だからね。周りがフォローすればいいでしょ」

卯月「……」

未央「そうなるとマイナスは無いな……あ、一つあった」

卯月「なんですか?」

未央「女の子に声かけすぎ」

卯月「許してあげてください……」

未央「しまむーに言われたらしょうがないなぁ」

卯月「ふふっ……未央ちゃん」

未央「なぁに」

卯月「プロデューサーさんのこと好きですか?」

未央「大好き」

卯月「どのくらい?」

未央「……この人と一緒に生きたいって思うほど。全部捧げたいって思えるほど」

卯月「なら、仕方ないですね」

未央「……しまむー。まだ、チャンスはあるよ。私とプロデューサーは恋人じゃないんだから」

卯月「……そうですね、他の人にはあるかもしれません。でも、私にはもうありません」

未央「どうして?」

卯月「私は、諦めたから」

未央「……嘘でしょ」

卯月「はい、嘘です♪……でも、ほんとです」

未央「なにそれ?」

卯月「未練たらたらです。今でも好きです。でも、これ以上は自分を嫌いになっちゃいます」

未央「しまむー……」

卯月「あの時、未央ちゃんの誕生日の時にはもう未央ちゃんの気持ちを知っていました。それでも私は自分に言い訳を重ねて動きませんでした」

未央「……」

卯月「そして今日、未央ちゃんが踏み出したって知って、私は決めたんです―――――諦めようって」

未央「……だから、どうして」

卯月「未央ちゃん。私、未央ちゃんのことが大好きです」

未央「もう、いきなり何?」

卯月「あの日、公園で泣きじゃくる私を抱きしめてくれたこと。その暖かさを、私一生忘れません」

未央「……」


卯月「だから、そんな暖かさを持った未央ちゃんならきっとプロデューサーさんと幸せになれるって、思っています」

未央「……その我慢はきっと、すっごく辛いよ」

卯月「覚悟しています。何度も泣いて、何度も悔やむと」

未央「……」

卯月「……だけど、友達が、皆が一緒にいれば。一人じゃなければ。私の抱いた恋心もきっといつか思い出にできて、私はまた別の誰かを好きになるのだと思います」

未央「……大人だね」

卯月「ふふっ、お姉ちゃんですから――――未央ちゃん。貴女は貴女の大切な人と、幸せになってください」

未央「言われなくても」

卯月「なら、もう何も言うことはありません」

未央「……うん」

卯月「……」

未央「……寒いね。もう戻ろう?」

卯月「……私は、もうちょっとだけ」

未央「……風邪引かないうちに戻ってきてよ」

卯月「はい」






卯月「……………………」








『春に出会った時、私はあなたに選考理由を質問されました』

『笑顔だと答えました』











卯月「……プロデューサーさん、好きです」ウルッ










『今、もう1度同じことを質問されても、やはりそう答えます』

『あなただけの、笑顔だと』













卯月「大好きです」












『あなたの笑顔がなければ、私達はここまで来られなかったからです』












卯月「初恋でした」










『あなたは1人ではありません。私達が、みんながいます』
















卯月「プロデューサーさん。私は貴方のことが」









『あなたは1人ではありません。私達が、みんながいます』
















卯月「プロデューサーさん。私は貴方のことが」
















『私達さ、もっかい友達になろうよ!今から!』


















卯月「大好きでした」














卯月「ぐすっ、うあぁ……ぷろ、でゅーさーさん……」








ガチャ

未央「……」ソロソロ

凛「未央」

未央「うぉっ!?」ビクッ

凛「静かに。寝てる子もいるんだから」

未央「起こしちゃった?」

凛「……未央が出てったあたりでね」

未央「……ごめん」

凛「ほら、寒いんだから布団入りなよ」

未央「……うん」

凛「……」

未央「……」

凛「……卯月とちゃんと話せた?」

未央「やっぱり気づいてたんだね」

凛「当たり前でしょ」

未央「プロデューサーとのこと。ちゃんと話してきたよ」

凛「……そっか」

未央「私さ、全然後悔してないし、撤回するつもりもないよ」

凛「したら卯月は怒るだろうね」

未央「……それでも、辛いね」

凛「……私にはわからないよ」

未央「しぶりんはさ、プロデューサーに恋してないの?」

凛「別に」

未央「即答」

凛「なんていうか、信頼してるし、好きか嫌いかって言われたら好きだけど。そういう対象として見たことは無いよ」

未央「……まぁ、しまむーもそう思ったから私を応援してくれたんだろね」

凛「だろうね。大体、アイドルなのにプロデューサーに恋してどうこうってどうなの?」

未央「今更正論かまされても、こちらはもう後の祭りなんで……」

凛「知ってる。だからさ未央、覚悟しておいて――――貴女の恋は誰かに迷惑をかけることになるかもしれないってことを」

未央「…………………うん」

凛「プロデューサーはもちろん、同じユニットの私や卯月、他の誰かが責任を取ることになるかもしれない。貴女の決断はそういうことなんだよ。理解してる?」

未央「…………………うん」

凛「なら、もういいよ」

未央「もういいの?」

凛「まだ何か言われたいの?}

未央「……正直そうかも。しまむーは私を責めなかったから」

凛「私も別に責めてないよ」

未央「だからだよ……」

凛「大体責める責めないの話になったらまず真っ先にプロデューサーを責めないといけないでしょ」

未央「プロデューサーは」

凛「告白したんでしょ?」

未央「……うん、私が大人になるまで待っててほしいって」

凛「そんな事だろうと思ったよ」

未央「でも、プロデューサーは私の事を考えて……」

凛「大の大人が女子高生に、それも自分が担当するアイドルに告白されてそれを保留にするって時点で大罪だと思う」

未央「それは、それでも……」

凛「私達がどう思おうと、世間はそうは思わないよ。未央とプロデューサーの約束はそういうことなんだよ」

未央「そう、だね」

凛「だからさ、未央。私は……ああ違うそうじゃなくて……なんていうか……もうッ!!」ガバッ

未央「え!?なになに!?」

凛「そっちの布団行くから」グイグイ

未央「ちょっ!?狭いって!?」

凛「いいから!」ピトッ

未央「わわっ!?」

凛「未央、私は責めるつもりもなければ説教するつもりはないよ」

未央「……」

凛「周りの反応も、世間がどうこうも全部無視すればいいよ。誰かにかかる迷惑なんて知らんぷりすればいい」

未央「……それは」

凛「未央」ギュッ

未央「し、しぶりん!?」

凛「……私たちはもう一蓮托生。あの日、あの公園で友達になった時からずっとそう。だから、未央のやりたいようにやって」

未央「しぶりん……」

凛「私も卯月も、アンタの友達なんだから。世界中の皆がアンタを責めるなら、私達が守ってあげる」

未央「……ありがとう」

凛「例えば未央との関係が原因でスキャンダルになってプロデューサーがクビになったとするよ」

未央「うん?」

凛「そしたらプロデューサー1人ぐらいならうちの店で雇ってあげる」

未央「ああ、それは安心――――え?」

凛「そうなると必然的に私との時間が増えて、未央とプロデューサーはすれ違っていき………プロデューサーの名字が変わるかもね?」

未央「あ、婿入りなんだ―――――ってなんでそうなるの!?」

凛「冗談だよ」

未央「ほんとに?ほんとに冗談?」

凛「冗談だよ。今はね。人の心は移ろうものでしょ?それが嫌ならちゃんとスキャンダルにならない程度にプロデューサーを落とすんだね」

未央「……うん」

凛「…………未央」

未央「何?」

凛「私と卯月は、何があっても未央の味方だから」

未央「……ありがと――――私もだよ」

凛「……」

未央「……あのさ、しぶりん。そろそろ離れない?」

凛「……未央あったかいね」

未央「こっちは暑いんだけど」


卯月「確かに未央ちゃんあったかいですね」ギュッ


未央「しまむーいつの間にっ!?」

凛「卯月、おかえり」

卯月「はいっ」

未央「だから、なんで二人は私をサンドしてるの?自分の布団あるでしょ」

凛「……温もりが、ほしい」

卯月「3人一緒に寝るなんて合宿以来ですしね」

未央「くっついて寝るのははじめてだよ……」

凛「なら、これを皮切りにクリスマスの恒例にしようよ」

卯月「そうですね!」

未央「クリスマスに女3人が密着して寝るって……」

凛「いいでしょ?」

卯月「いいですよね?」

未央「……良いけどさ」





未央「……」パチッ

ムクリ

未央「朝……?しまむー?しぶりん?」

李衣菜「あ、起きた?」

未央「リーナ」

李衣菜「二人共先に行っちゃったよ。ほら、早く未央ちゃんも着替えて」

未央「え、朝ごはん……」

李衣菜「……時計」

未央「……はぁっ!?ギリギリじゃん!?」

李衣菜「ぐっすりだったからね」

未央「ちょ、と、とりあえず顔洗って、着替えて……ああもう!」ダッ

李衣菜「朝から騒がしいなぁ」

未央「ああそうだっ!?えっと、どこにしまったっけ……って、あった!!」

李衣菜「何が?」

未央「ん?これ♪」キラッ

李衣菜「それって……」







未央「ねぇ、寝癖ついてない?」

李衣菜「大丈夫だと思うよ?もともと寝癖みたいなハネっ毛だし」

未央「うっさい。……おにぎりありがと」モグモグ

李衣菜「どういたしまして」

未央「……あと、昨日はありがとう。随分迷惑かけちゃったみたいで……その、ごめん」

李衣菜「良いよ。なんだかんだで私も楽しかったし」

未央「何が?」

李衣菜「クリスマスに秘密の逢瀬だなんてロックじゃん?それの手伝いってのも中々できないことだしさ」

未央「……うん。ありがとう」

李衣菜「ズッ友でしょ?」

未央「……うんっ!」

李衣菜「ふふっ……っとほら、着いたよ……ってあ、プロデューサーさん」

未央「んっ!?」

武内P「多田さん、それに本田さん。おはようございます」

李衣菜「おはようございます」

未央「お、おはよーございます!!」

李衣菜「未央ちゃん、上ずってる。……あれ?プロデューサーさんそのマフラーって」

武内P「これですか?」

未央「あっ……」

李衣菜「良いマフラーですね?似合ってますよ。ねぇ?」チラッ

未央「えっ?だ、だよねー!私もそう思う!!」

武内P「これは……そうですね。とてもいいものです」

未央「………素敵な彼女にでもプレゼントされたのかい?」

武内P「彼女、とは違いますが――――――大切な人から貰ったものです」

李衣菜「わぁ……」

未央「……それ、ちゃんと本人に言ってあげたら喜ぶよ?」

武内P「言わなくても、彼女になら伝わる。そう思ってますから」

未央「……ズルい人」

武内P「そう、ですね。我ながらズルいと思います」

未央「わかってるなら良いんじゃない?」キラッ

武内P「あっ……」

未央「ん?どうしたの?」

武内P「その、イヤリング……」

未央「ああこれ?誕生日プレゼント―――――大切な人からのね」

武内P「よく、似合っていますよ」

未央「そう?なら、良かった。大事にしまっておこうかと思ったけど、こうした方が喜んでもらえるかなって。やっと決心がついたから」

武内P「ええ、きっとそのほうが良いと思います」

未央「……今日も仕事頑張るから」

武内P「はい」

未央「私、まだまだやりたいこと一杯あるからさ」

武内P「……はい」

未央「だから、その……これからもよろしくね!」

武内P「はい。こちらこそ、よろしくお願いします…………未央さん」

未央「っ!?今、今なんてっ!?」

武内P「どうしましたか?本田さん」

未央「いやいや、今未央って呼んだでしょ!?」

武内P「……いや、記憶にないですね」

未央「っ~~!!プロデューサーはズルいよ!!意地悪っ!!意地悪!!」

武内P「っふ、ははは」

未央「笑ってないでさぁ!?」















凛「未央、大丈夫かな……」コソッ

卯月「大丈夫だと思いますけど……」コソソッ

李衣菜「二人共そんなところで何してるの?」

凛「ッ!?李衣菜!?」

卯月「李衣菜ちゃん!?」

李衣菜「そんなに驚かなくても……心配しなくても大丈夫だと思うよ?」

凛「わかってるけど……」

卯月「やっぱりどうしても気になって……」

李衣菜「大丈夫だよ。だってあの二人私がいなくなった事に気付いてないんだよ?それに」










未央「ほら、もう一度名前で呼んで!!未央って!M・I・O!!」

武内P「み、み、み、みみみ……」

未央「セミかっ!?」

武内P「はははっ」

未央「……ぷっ、あははっ!」











李衣菜「あんなに笑顔なんだから」

卯月「……そうですね」

凛「……うん」

李衣菜「わかったならほらっ!行こう?」

卯月「え!?で、でも二人の邪魔しちゃ……」

李衣菜「会社の玄関前で二人だけの世界作られてちゃ迷惑極まりないでしょ?」

凛「それは、そうだね」

卯月「でも、私は……」

李衣菜「いいんだよ。あの二人は邪魔しようがしなかろうが勝手に近づいていくんだろうから。私たちは何も気にせず、いつも通りで良いんだよ」

凛「そうだね。なら、行こっか」

卯月「……はいっ!」






未央「プロデューサー、私すっごいクリスマスプレゼントもらったんだよ?」

武内P「プレゼント?なんでしょうか?」

未央「それはね―――――――」















未央「大好きな人との未来だよ♪」









―FIN―


リアルで辛いことがあると、ちゃんみおを笑顔にしたくてしょうがなくなってしまいます。

当初の予定より長くなってしまいましたが、読んでくれた方ありがとうございました。

見直したら>>44ド派手にミスってた……

重複部分は無視してください。

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