ヴィーネ「ガヴ、大丈夫?」 (27)

プルルルル

ガヴリール「んぁ、朝……電話……?」ピッ

ヴィーネ『おはようガヴ、そろそろ出る準備出来た?』

ガヴリール「あー……」

ガヴリール(今日って確か体育が……この寒い中でなんて冗談じゃないぞ)

ガヴリール「??ゴホッゴホッ! 悪い゛……風邪引い゛だ……!」

ヴィーネ『えっ、ちょ……ガヴ、大丈夫!?』

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ガヴリール「大丈夫じゃないかも……というわけで今日は休……」

ヴィーネ「ガヴ!?」ガチャ

ガヴリール「えっ」

ヴィーネ「……」ハアハア

ヴィーネ「心配して急いで来たのに、ぴんぴんしてるじゃない! 声色変えて小賢しい!」

ヴィーネ「ほら、はやく着替える!」バサア

ガヴリール「うわああああ! 生命の毛布が!!」

……

ガヴリール「くううう……! 寒っ……!」

ガヴリール「こ、これが下界での試練ってやつか……? 滅ぼしてやろうか」ガタガタ

ヴィーネ「ガヴ、大丈夫? 私のマフラー貸してあげ……」

ガヴリール「いや、いい……それだとヴィーネが辛いでしょ」

ヴィーネ「でも連れ出した手前……あっ」

ヴィーネ「ガヴ、ちょっと首ごめんね」マキマキ

ガヴリール「なんだなんだ、私は大丈夫だって……」

ヴィーネ「これ、編んでたら楽しくなって結構長くなっちゃったんだけど」

ヴィーネ「うん、二人でも十分巻けるわね!」

ガヴリール「近すぎて歩きにくい……暖かいけど」

ヴィーネ「本当に風邪引くよりは良いでしょ?」

ガヴリール(ヴィーネの体温が残ってて……なんか落ち着く……)

……

ヴィーネ「教室まで来れば一安心ね、暖房付いてるみたいだし」パッ

ガヴリール「あっ……」(マフラー……)

ヴィーネ「?」

ガヴリール「な、なんでもない……」

ガヴリール「しかし暖かいな、生き返る……」ウトウト

ヴィーネ「ガヴ、大丈夫? 寝てるの見つかったら怒られるわよ」

ガヴリール「ぐ……また新たな試練が」

……

グラサン「……」カリカリ

ガヴリール「……」カックンカックン

ヴィーネ(うー……見るからにダメそう)ソワソワ

ガヴリール「」カクン

ガヴリール「」スピ-

ヴィーネ(ああぁぁ……)

グラサン「じゃあこの問題を……」

ヴィーネ(まずい、見つかる……!)

グラサン「月乃瀬」

ヴィーネ(えっ……あれ?)

ヴィーネ(そうか、ガヴが小さいから上手く前の人に隠れて……)

ヴィーネ(当てられたのが月乃瀬さんで良かったわね、ガヴ)

ヴィーネ(……あれ、月乃瀬?)

グラサン「どうした月乃瀬」

ヴィーネ「ひゃい!?」ガタッ

ガヴリール「んぉっ」パチッ

……

ガヴリール「起こしてくれたのはありがたいけど、奇声を上げるのはどうかと思うぞ」

ヴィーネ「上げたくて上げたわけじゃないわよ!」

ガヴリール「冗談だって」

ヴィーネ「まったく……」

ヴィーネ「で、次はお待ちかねの体育だけど……ガヴ、大丈夫?」

ガヴリール「だいじょばない。って言っても出るしかないんでしょ」

ガヴリール「ここまで来たらなんとかしてみせるさ」

ヴィーネ「その意気よ、身体は教室から一歩も出ようとしてないけど」

……

ヴィーネ「背中押すわよー……って固っ」

ガヴリール「」ガチガチ

ヴィーネ「いくら寒いからって強張りすぎでしょ……どこにこんな力隠してるのよ」

ガヴリール「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから羽出して温まっていいか……?」ガチガチ

ヴィーネ「皆見てるでしょ、ダメよ」

ヴィーネ「さっさと始めましょ、走れば身体も温まるはずだから」

ガヴリール「それはそれで疲れるから嫌なのに……」ガチガチ

ヴィーネ「ほら、あと少し」タタタ

ガヴリール「ぷはぁっ! はぁっ……! 脇腹と……脚が……」ゼ-ハ-

ヴィーネ「お疲れ様。ガヴ、大丈夫?」

ガヴリール「大丈夫に見えるか……?」ハアハア

ヴィーネ「見えないけど……これに懲りたら少しは運動しなさいよね」

ヴィーネ「ほら、肩貸してあげるから早く戻りましょ? 汗かいてるしまたすぐに冷えてきちゃうわよ」

ガヴリール「ここは背負っていってくれる流れじゃないのか……」ハアハア

ヴィーネ「甘えないの」

……

ガヴリール「」グタ-

ヴィーネ「ガヴ、大丈夫? お昼は?」

ガヴリール「購買、何も残ってなかった……」

ヴィーネ「あー……戻ってくるの結構遅かったしね」

ヴィーネ「学食はどう?」

ガヴリール「この疲れてるのに人の多い場所は無理……」

ヴィーネ「がさつなんだか繊細なんだか……」

ヴィーネ「仕方ないわね、はい」パカッ

ヴィーネ「全部とは言えないけど、私のお弁当食べていいから」

ガヴリール「ああ……ヴィーネに後光が差して見える……」

ヴィーネ「調子が良いんだから……というか私悪魔なんだけど」

ヴィーネ「ほら」ア-ン

ガヴリール(相変わらず悪魔らしからぬ行為ばかりしてるのは言わないでおこう)

ガヴリール「あむ」パクッ

ガヴリール「ん、前と味変えた?」モグモグ

ヴィーネ「あ、気付いた? 口に合ってたらいいけど」

ガヴリール「私はヴィーネの味付けならなんでも好きだよ」

ガヴリール「じゃ、次お願い」ア-ン

ヴィーネ「今ので少しは充電出来たでしょ、あとは自分で食べなさい」

ガヴリール「そんなぁ……」

……

ガヴリール「げっ、雨降ってるじゃん……」

ヴィーネ「あれ、ガヴ置き傘してなかったんだ」

ガヴリール「この頃出番無かったから持って帰ったんだけど……裏目に出たな」

ガヴリール「まあいいや、じゃあ私は神足通で帰るから」

ヴィーネ「やめなさいよ……次もパンツだけで済む保証は無いわよ」

ガヴリール「……そんな事もあったっけ、出来れば思い出したくなかったぞ」

ヴィーネ「ガヴちっちゃいし、ちょっと狭いけど私の傘に入れるんじゃない?」

ガヴリール「ちっちゃい言うな、助かるけど」

ガヴリール(雨は嫌いだ。気が滅入る)

ガヴリール(規則的な雨音に包まれて、考えたくないことまで考えさせられる)

ヴィーネ「ガヴ、大丈夫? 肩濡れてたりしない?」

ガヴリール(大丈夫、か)

ガヴリール(すっかり聞き慣れちゃったな、この言葉も)

ガヴリール(今日だけで、今までで何回聞いてきたんだろうか)

ヴィーネ「ガヴ……?」


ガヴリール「……いつもありがと、ヴィーネ」

ヴィーネ「ど、どうしたのよ改まって」

ガヴリール「いやさ、なんだか心配掛けてばっかりだなって」

ガヴリール「どうにかして借りを返していかないとって思ったりもして」

ヴィーネ「もしかしてそんなことで悩んでたの? 変なところで律儀なんだから」

ヴィーネ「大体貸し借りなんかに囚われて行動するものでもないでしょ」

ヴィーネ「もしも貸し借りが一切無いとして、私が困っていたとしたらあなたはどうするの?」

ヴィーネ「私だけじゃないわね、それがサターニャだったとして、ラフィだったとして」

ガヴリール「……面倒事は御免なんだけどな」

ガヴリール「そうだな、それもそうか……」

ヴィーネ「中々言葉にはしてくれないけど、あなたがどういう子かってことはわかってるつもりだから」

ヴィーネ「あなたが昔から何も変わらない、優しいあなたであり続ける限り」

ヴィーネ「私はいつだって、何度だって力になるつもりよ」


ガヴリール(優しい私である限り、ね)

ガヴリール「……だったら私が天使を名乗るのも烏滸がましい、救いようのない存在にまで堕ちたとしたら?」

ヴィーネ「そうね……その時は残念だけど」

ガヴリール「っ……」

ヴィーネ「ちょーっとだけ厳しく、躾け直しちゃうかもね?」ニコッ


ガヴリール「……ははっ、私はペットかっての……どれだけ恐ろしい目に遭わせられることやら」

ヴィーネ「ふふっ、そもそもそんな目に遭わないようにしなさいよね」


ガヴリール(恐れ入ったよ)

ガヴリール(こいつはどんな私に対しても、見捨てるって選択肢を選ぼうとはしないんだな)

ガヴリール(……さすがに自分を見直そうと思ったことは何度もあった)

ガヴリール(でも、私が自立出来るようになったらヴィーネは私に興味を失くしてしまうかもしれない)

ガヴリール(その僅かな不安が躊躇いを生んで、行動に繋げさせてはくれなかった)

ガヴリール(だからといって、もし本当にそうだったとして)

ガヴリール(そのヴィーネに心配を掛け続けてまでも駄目な天使であり続けるべきなのか? なんてさ)

ガヴリール(生意気にもわりと深刻に悩んでたっていうのにな……馬鹿みたいじゃん私)

ガヴリール(いや、馬鹿みたいじゃない……馬鹿そのものだった)

ガヴリール(こいつが、その程度で離れてしまうわけもなかったのに)

ヴィーネ「だから貸し借りだとか変に難しく考えないでいいの」

ヴィーネ「誰かの助けになるにあたって義務感なんていらない、やりたいようにやればいいわ」

ヴィーネ「今のあなたなら、思うままに行動したとしても悪い結果になるとは思えないもの」

ガヴリール「……ほんと悪魔の台詞とは思えないよね」

ガヴリール「ついでに悪魔ってわりと貸し借りというか、契約とかきっちりしてるイメージなんだけどな」

ヴィーネ「ま、まあ個人差があるし? たぶん……」

ガヴリール「とはいってもこれだけ世話になって、じゃあこれでチャラですっていうのはさすがにね……一応天使として」

ヴィーネ「もう、そういうのはいらないって散々言ったのに!」

ガヴリール「そう怒るなって……」

ガヴリール「ヴィーネはどんな私とでも一緒に居てくれるってことがよくわかったからさ」

ガヴリール「時間に困ることはないし……少しずつでもじっくりと返させてよ」

ガヴリール「義務感からなんかじゃない……私が助けてもらって掴んだ数々の幸せを、お前にも味わって貰えるように」

ガヴリール「ま、返し終わるにはそれこそ一生掛かるかもしれないけどね」

ヴィーネ「……」ポカ-ン

ガヴリール「……なんだよ、大口開けて」

ヴィーネ「いや、まさかガヴからそんなこと言われるとは思わなかったから……」

ヴィーネ「一生一緒だなんて……ちょっと驚いたのと、照れ臭くて」

ガヴリール「っっ!!」プイッ

ヴィーネ「急にどうしたのガヴ、大丈夫?」ニヤニヤ

ガヴリール「うっさい覗き込むな!! 大丈夫だから!!」カアア


ガヴリール(もう心配はいらないよ、ヴィーネ)

ガヴリール(お前と一緒なら、何があったとしても大丈夫だからさ)


おわり

短いですが以上です
ただいちゃいちゃさせたかった

おつ
そのまま付き合え

いいね👍

マフラーは伏線だと思ったが違ったか

神定期

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