勇者「勇者は二人もいらない」(12)

女勇者「そうは言われてもねー」

女勇者「なれちゃったものは仕方ない」ニコ

勇者「女って勇者になれるのか…」

女勇者「今は勇者不足みたいだから性別なんて関係ないみたいよ」

勇者「そんな事情知りたくなかった!」

女勇者「まぁまぁ」

女勇者「とりあえず目的は一緒だし、一緒に旅しない?」

勇者「やっぱりお前も竜を倒すのが目的なのか?」

女勇者「勇者の最終目標はそれだしね」

女勇者「それで、どうするの?」

勇者「…俺も仲間がいてくれた方が助かる」

女勇者「ふふ、素直でよろしい!」

女勇者「お互い装備も大したものじゃないし、戦闘は協力して行いましょ」

勇者「そうだな、でもお前は女だし俺が前に出るよ」

勇者「お前は隙を見て攻撃を…」

チャキン

勇者「っ!な、なんの真似だよ?!」

女勇者「私も勇者、貴方とは対等の立場よ」

女勇者「口で言うより見せてあげる、私の強さを」

ーーー
ーー

ゴブリンの森

剣ゴブリン「キシャァァ!!」ヒュン

ガキィン

女勇者「はぁぁぁ!」ビュン

ザシュザシュ

勇者(速い…!動きも速いけど何より剣撃の速度がとてつもない速さだ)

女勇者「…………」タタタッ

剣ゴブリン「ギィィィ!」ブシュ

女勇者「終わりよ!」ドスッ

剣ゴブリン「ガッッ?!」ドサ

女勇者「こんなものね」

勇者「本当に強いんだな」

女勇者「見直した?」クス

勇者「あぁ、お前なら安心して背中を任せられそうだ」

女勇者「それじゃ早速、任せてもらおうかしら」チャキン

斧ゴブリン「ゴァァァ!!」

斧ゴブリン「ゴァァァ!!」ブォン

ドゴォォン

勇者「凄いパワーだな…、だけど」

斧ゴブリン「グォォォォ!!」ブォン

ガキィン

勇者「パワーなら負けないぜ…!!」グググ

女勇者(あの斧ゴブリンの怪力を受け止めるなんて…)

女勇者「『雷の剣』…!」バチバチ

ザシュザシュ バチチチ

斧ゴブリン「ガァァァァ?!!」バチチ

勇者「終わりだ、『炎の剣』!」ゴワッ

ザシュ ゴワァァ

斧ゴブリン「ーーーーーーー」ドサ

女勇者「一刀両断なんて、貴方のパワーも大概ね」

勇者「鍛えてれば誰にだってできるさ」

女勇者(少なくとも私には無理ね)

勇者「お前も『魔法剣』使えるんだな」

女勇者「使えなかったら勇者なんて名乗れないでしょ」

女勇者「私達、勇者に授けられた力」

女勇者「魔法剣を極めた勇者こそ、竜を殺せるのよ」

勇者「『始原の竜』か…」

キャアアアアア

女勇者「っ、悲鳴?!」

勇者「近い、走るぞ!」ダッ

村娘「いや、来ないで…」ガクガク

剣ゴブリン「キシシシ」ジリジリ

村娘(殺されるっ!)

剣ゴブリン「キシャァァ!!」ブン

ザシュ

村娘「………?」

剣ゴブリン「ガフッ…」ポタポタ

ドサ

勇者「大丈夫か?!」

村娘「あ、ありがとうございます騎士様」

勇者「生憎、騎士じゃなくて勇者だ」

村娘「勇者様…?」

槍ゴブリンA「キシャァァ!!」ヒュン

女勇者「遅いわよ!」ヒラ

ズバババ

槍ゴブリンA「ーーーー」ドサ

槍ゴブリンB「ガァァァァ!!」ヒュン

ドス

勇者「………ふぅ」

槍ゴブリンB「ーーーーー」ドサ

勇者「お前、完全に俺に任せてたろ」

女勇者「背中は任せるって言ったしねー」

勇者「間に合わなかったらどうすんだよ…」

村娘「あ、あの…!」

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