李衣菜「あれ? 智絵里ちゃん、先に帰ってたはずじゃ……」 (28)

【モバマス・デレステSS】です


――――ラジオ局、ロビー

李衣菜「変だな……ねぇ智絵里ちゃん、一体どうして残ってるの?」

智絵里「あっ、お疲れ様李衣菜ちゃん。もうラジオのお仕事は終わったんですか……?」

李衣菜「うん、次回の収録の打ち合わせも済んでこれから帰るとこだよ。それで、智絵里ちゃんはどうしてここに?」

智絵里「……実は、李衣菜ちゃんを待っていたんです……って言ったら、信じてくれますか?」

李衣菜「え、ええっ!? そんな、今日急にゲストに来てくれただけじゃなくて帰りを待ってくれただなんて私迷惑かけて――」

智絵里「ふふっ、冗談ですよー」ニコニコ

李衣菜「がくっ……もぅ! 智絵里ちゃんが待ってるならもっと早く打ち合わせ済ませれば良かったって反省してたのにっ!」

智絵里「えへへ……ごめんなさい李衣菜ちゃん。でも今日李衣菜ちゃんのラジオ番組に呼ばれて、本当に楽しかったからつい……」

李衣菜「そっか。今日はいつも一緒にラジオを放送してる未央ちゃんが、別のお仕事でいなかったからさ」ポリポリ

李衣菜「上手く番組進行やれてた自信なくて……だから智絵里ちゃんが楽しんでくれたのは、私も嬉しいし勇気を貰えるよ」

智絵里「そうですか……? 李衣菜ちゃんが喜んでくれたなら、私も良かったです♪」


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※多田李衣菜
http://i.imgur.com/3K29Rfy.jpg

※緒方智絵里
http://i.imgur.com/dPXJcfW.jpg


李衣菜「それで改めて聞くけど、智絵里ちゃんどうしてまだラジオ局に残ってるの? 別れたの1時間以上前だよね……?」

智絵里「……ええと、実はプロデューサーさんを待っていて……」

李衣菜「あれ? 智絵里ちゃん今日はプロデューサーさんに迎えに来てもらう予定だったの?」

智絵里「そうなんです……も、もちろんお仕事の都合が良ければって、プロデューサーさんには最初に言ってますよ?」

李衣菜「智絵里ちゃんの頼みだったら、無理してでも聞いちゃいそうだけどなぁプロデューサーさん」

智絵里「そ、そんな……私、プロデューサーさんのお仕事の邪魔はしたくないですし……」

李衣菜「気を利かせ過ぎだって。にしても、その言い方だと迎えに来てもらうのは、智絵里ちゃんからお願いした感じがするけど?」

智絵里「はい……あの、出来れば今日プロデューサーさんと一緒に行きたい場所があって、それで……」

李衣菜「へぇー! 智絵里ちゃんがそういうことをプロデューサーさんに伝えるなんて……」

智絵里「う、うぅ……や、やっぱり駄目だったかな……? 私なんかがそんなワガママ……」

李衣菜「駄目だよ智絵里ちゃん。智絵里ちゃんからお誘いなんてロックなことそうそうないんだから、もっと胸を張るべきだって!」

智絵里「ほ、本当ですか……?」


李衣菜「もちろん! 私が保証するよ! あー……まぁ私の評価がアテになるならだけど……」

智絵里「だったら、大丈夫です……! 李衣菜ちゃんにロックって思われたのなら、絶対……!」

李衣菜「そ、そこまで信頼されると逆に恐縮かも……でも、ありがとね」

智絵里「い、いえ……私の方こそ励ましてもらって……」

李衣菜「智絵里ちゃんは優しいなぁほんと。ところで、プロデューサーさんと行くつもりだったのってどこなの」

智絵里「それは……」

李衣菜「あ、もちろん教えるのが嫌なら無理に言ってくれなくてもいいからね?」

智絵里「そ、そんなことはないです……! え、えと、李衣菜ちゃんは『青の洞窟』って知ってますか……?」

李衣菜「『青の洞窟』……? ……んーと……なんだっけ、どこかのニュースで見たんだけどえーと……」ウムム

李衣菜「あっ、思い出した! 渋谷のほうでやってるなにかだったよね、確か」

智絵里「はい。なんでも、とっても素敵なイルミネーションが見れるイベントだそうで……」


李衣菜「へぇー……けど、なんだか智絵里ちゃんからそういうイベントにプロデューサーさんを誘うのって、ホント意外だよね」

智絵里「じ、実はこのイベントの情報は……学校のお友達が教えてくれて……」

李衣菜「そうなんだ」

智絵里「それで……素敵な思い出になること間違いなしだから、誰かと一緒に行ったほうが絶対に良いってオススメされたんです……」

李衣菜「それでプロデューサーさんを誘ったってわけか……そっか、ふふっ」ニコニコ

智絵里「うぅ……///」

李衣菜「なら、私は邪魔にならない内に帰るよ。プロデューサーさんと素敵な夜が過ごせるといいね智絵里ちゃん!」

智絵里「え、えと…………はい♪」

~~~♪

李衣菜「っとごめん電話……ってあれ、これ私の携帯の音じゃないや」

智絵里「あ、これ私のです……ごめんなさい李衣菜ちゃん、少し電話に出ます……」ピッ

智絵里「はい智絵里で――あっ、プロデューサーさん……!」パァァ


李衣菜(んー、智絵里ちゃんすっごくいい笑顔だぜっ! これは私もさっさと退散しないとな)

智絵里「はい、はい……まだラジオ局で…………え?」

李衣菜(あれ?)

智絵里「……はい……そう、なんです……か…………」

李衣菜(なにか、様子が……)

智絵里「い、いえ……元々、プロデューサーさんに無理を言っていたのは分かっていましたから……」ションボリ

李衣菜(ああ!? 智絵里ちゃんが分かりやすく落ち込んでいってる……!)

智絵里「……そ、そんな……だってプロデューサーさんが悪いわけじゃないですし……だから、大丈夫です……」ションボリ……

李衣菜(いや、どう見ても大丈夫じゃないよ智絵里ちゃん!?)

智絵里「……私なら、ちゃんと帰れますから……それより、プロデューサーさんもお仕事頑張りすぎて、体を壊さないで下さいね」

智絵里「……はい。それじゃあ……プロデューサーさん、迷惑かけて……ごめんなさい……電話、切ります……」ピッ


智絵里「…………」ズーン……

李衣菜「あ、あの……智絵里ちゃん? プロデューサーさんは、なんて……?」

智絵里「……ついさっきL.M.B.Gに大きなお仕事が入って、その調整をする必要が出来たから、こっちには来られないと……」

李衣菜「そうなんだ……うーんプロデューサーさんもロックじゃないなぁ! 智絵里ちゃんがせっかく勇気を出して誘ったのに!」

智絵里「そ、そんな……プロデューサーさんは……私だけが独り占めしちゃだめですし……」

智絵里「それに……プロデューサーさんが忙しいってことは、皆がアイドル活動をいっぱい出来ているってことだから……いいんです」

李衣菜「……智絵里ちゃんが納得してるつもりなら、私はこれ以上なにも言えないけど……本当にいいの?」

智絵里「……(コクンッ)」

李衣菜「……参ったなぁもぉ……えっと、ま、でも、そうだよね。今日は駄目でも、また次の機会があるよ! 元気出して!」


智絵里「……次の……機会……」

李衣菜「……どうしたの?」

智絵里「……実は今日以外だと私、年末まで夕方にお仕事がいっぱい入っていて……多分、イルミネーションを見に行く時間が……」

李衣菜「えぇ……そんな、それじゃあ」

智絵里「イベントを教えてくれたお友達には、行けなかったって謝っておきます……きっと許してくれますよね?」

智絵里「どうしてか、私がイルミネーションを見た時の感想を聞きたがっていたので……罪悪感は、ありますけど……」

李衣菜「その、青の洞窟っていうのを1人で見に行くつもりは?」

智絵里「お友達から……そこはとっても人がいて私だと揉みくちゃにされるから、絶対誰かと一緒に行くようにって言われていて……」


李衣菜「プロデューサーさんと行けなくなったから、見に行くのをやめるってこと? でも、せっかくの機会なんだよ智絵里ちゃん」

智絵里「けど……だったら私、どうしたら……」

李衣菜「……青の洞窟って、渋谷のどこでやってるかは覚えてる智絵里ちゃん?」

智絵里「た、確か代々木公園のケヤキ並木ってところだったはずですけど……」

李衣菜「あの辺りか――よし、それじゃあ行こっか」スッ

智絵里「行くって、どこにですか……?」

李衣菜「決まってる……今から私と一緒に青の洞窟を見に行こうぜっ!」ニコッ

智絵里「え……えぇー!?」


――――数十分後、渋谷公園通り

智絵里「あ、あの……李衣菜ちゃん? ホントにいいんですか……? ここまで連れてきてくれただけでも私、もう十分なのに……」

李衣菜「寂しそうにしてた智絵里ちゃんをそのままにするなんてロックじゃない、って、私が勝手に思っただけ。だから気にしないで」

智絵里「で、でも……」

李衣菜「それとも、やっぱり私とイルミネーションを見るのって嫌だったかな……?」

智絵里「そ、そんな! そんなことないです……! 絶対にないです……!」ブンブン

李衣菜「良かったぁ……実の所、ここまで来たのに私とイルミネーションを見るのは嫌ですって言われたらどうしようかと思ってたし」

智絵里「李衣菜ちゃんと一緒にイベントに行くのを嫌がる人なんて……いないと思いますけど――きゃ!?」ドンッ

李衣菜「おわっ!? 智絵里ちゃん!!」ギュッ

智絵里「あ、は、はい……!」ギュッ

李衣菜「……ふぅ、危なかった……大丈夫? 人とぶつかって流されていくから焦ったよ」

智絵里「うぅ……やっぱりこの辺りはたくさん人がいて歩き慣れないです……」


李衣菜「この時間だと仕事終わりの人や学校帰りの人で更に混雑するからねー。あ、思わず手を握っちゃったけど……まずかった?」

智絵里「とっさに手を握ってくれたから……私は流されなかったんですよ? 李衣菜ちゃん、ありがとう」

李衣菜「どういたしまして。じゃあ、もし良かったらなんだけど、このまましばらく手を握っててもいい? なんかさ」チラッ

アハハハ! キャーキャーワーワー!

李衣菜「この先、行けば行くほど人が増えるみたいだし、智絵里ちゃんとはぐれないようにしたいんだけど……」

智絵里「私も、李衣菜ちゃんと手を握っている方が安心出来そうですし……よろしくお願いします」

李衣菜「こっちこそよろしくね! ……にしても本当に人が増えていくなぁ……この先が代々木公園だからなんだろうけど……」

智絵里「この人達が全員、青の洞窟を見に行っている人達ってことですか……?」

李衣菜「多分。こんなに寒いのにすごいよね……智絵里ちゃんは大丈夫? 寒くない?」

智絵里「えっと……李衣菜ちゃんの手が温かいから、大丈夫です♪」

李衣菜「そ、そうかな? そう言われると、手を繋いで良かったよ。じゃ、もうちょっと頑張って歩こう!」ギュッ

智絵里「はいっ♪」ギュッ


――――5分後、代々木公園、ケヤキ並木入り口

ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ

李衣菜「うわぁ……遠目からでもかなり居ると思ってたけど、実際近くに来るとこれは……」

智絵里「こんなに沢山の人が……」

李衣菜「しかもまだ後ろから来てるし……智絵里ちゃん、もうちょっとこっちに寄って」チョイチョイ

智絵里「わ、分かりました」ヒョイ

李衣菜「ありがとう。けど、これだけ人が集まってる場所だから間違いないんだろうけど、青の洞窟って言うにはなんだか……」キョロキョロ

李衣菜「うーん、至って景色が普通なような……?」

智絵里「それはきっと……まだ点灯時間じゃないからだと、思います」

李衣菜「え、そうなの!? うわーっ……しまった……慌てて智絵里ちゃん連れてきたけどそれなら完全に失敗だ……」ガックリ

智絵里「……そ、そんなことないです……! だって、イルミネーションが点灯するのは、17時のはずですから……!」

李衣菜「ってことは……」チラッ

李衣菜「……30秒後だ!? なんか私、タイミングが良いんだか悪いんだか分からない時に、智絵里ちゃん連れて来ちゃったのか……」


智絵里「きっととっても良いタイミングだと思いますよ……? だって、李衣菜ちゃんってそういう巡り合わせがあるそうですし」

李衣菜「巡り合わせね……それ言ったの加蓮ちゃんでしょ?」

智絵里「ふふっ、やっぱり分かっちゃうんですね」

李衣菜「いやー、智絵里ちゃんにそんな変なこと言いそうな人って限られてるからね」

智絵里「……変なことでは、ないと思います。だって、李衣菜ちゃんは――」

――パッ!

ワイワイガヤガヤ

「おぉー!!」「電気点いた……うわぁ……!」「すげーっ! ヤベーッ!!」
「周り全部青くなってるっ!」「景色全然違う……」「動画撮っておかなきゃ」

ワイワイガヤガヤ

智絵里「――」

李衣菜「……」ボーゼン


智絵里「……これ……まるで……おとぎ話みたいな景色……先の方までずっと青色で……」

李衣菜「こ、こんなに光景になるなんてすっごい……これもロックかも……というか本当にすごい……」

二人「「キレイ……」」

李衣菜「……あ」チラッ

智絵里「……ふふっ」ニコニコ

李衣菜「あははっ! そりゃこんな景色見たらハモっちゃうよね! ところで智絵里ちゃん、さっき私に何か言いかけてなかった?」

智絵里「……ううん、なんでもないです。気にしないで下さい」

李衣菜「そう? なら別にいいんだけど――とっ、固まってた人達が動き出したかな?」

智絵里「この青い景色の中って歩いていいんですね……楽しそう……! ゴールは……あの、青色の小屋の辺りでしょうか?」

李衣菜「みたいだね。その辺りから戻ってきてる人達も見えるし……私達も行ってみようよ智絵里ちゃん!」


智絵里「はいっ……! あっ、でもその前に一枚だけ、記念撮影しませんか……?」

李衣菜「私と智絵里ちゃんで?」

智絵里「そうです……この青い景色を背景に撮れば、素敵な写真になると思うんですけど……だめ、ですか……?」

李衣菜「まさか! せっかくここまで来たし……良し、スマホのカメラ起動するからちょっと待っててね! ええと……」ゴソゴソ

李衣菜「……そういえば、ここで待ってる間は別に手を繋いでおく必要なかったような……ごめんね、気が利かなくて」

智絵里「問題ないです……だって、李衣菜ちゃんがはぐれちゃうと困っちゃいますからね♪」

李衣菜「あっ、言ったな智絵里ちゃん! じゃあ私も智絵里ちゃんを寮に帰すまでは離さないからね! ――さて、カメラ良しっと」

智絵里「もっとくっついたほうがいいですか……?」

李衣菜「そうだね……」グイッ


智絵里「ひゃわっ」

李衣菜「よし、これくらい近づけば、ちゃんとお互いの顔が入るかな。じゃあ準備はいい智絵里ちゃん?」

智絵里「い、いつでもいいですよー」

李衣菜「よーしそれじゃあロックに笑ってー……せーのっ!」

智絵里「いぇいっ♪」

パシャ!

――そうして写真を撮り終えた二人は、他愛のない会話を続けながら
楽しそうに青の洞窟の中を散歩し、名残惜しさを感じつつも、
1時間後にはそれぞれ帰るべき場所へと帰っていくのであった。


――――翌日、プロダクション、事務室前

智絵里(昨日は楽しかったな……プロデューサーさんとイルミネーションを見れなかったのは残念だけど……)ゴソゴソ

智絵里(李衣菜ちゃんと思い出が作れたし……良かった……よね? 写真も綺麗なものを撮ってもらえたし……)チラッ

智絵里「……うん、やっぱり素敵な写真です……♪ ……よし、これで今日も張り切って……」

ガチャ

智絵里「おはようございます……!」

卯月「おはようございますぅ……」ズーン

智絵里「うひゃぁ……!? う、卯月ちゃん……? どうしたんですか……!?」

卯月「きまらないんでずぅ……!」シクシク

智絵里「え、え……?」

みく「卯月チャン、いきなりそんなこと言っても来たばっかりの智絵里チャンには意味不明にゃ」

加蓮「ごめんね智絵里。今の卯月、ちょーっと余裕ないから、多めに見てあげて」

※島村卯月
http://i.imgur.com/IjKUkgr.jpg

※前川みく
http://i.imgur.com/rL1xMjV.jpg

※北条加蓮
http://i.imgur.com/SqNGUtF.jpg


智絵里「は、はぁ……あの、なにがあったんですか……?」

みく「いやそれがね、正直みく達としては呆れてるんだけど……」

加蓮「凛と遊びに行く場所が決まらないんだってさ」

智絵里「……はい?」

卯月「私は真剣に悩んでるんですよ~っ!」

加蓮「だからさっきから何度も言ってるでしょ。凛は卯月と一緒ならどこに行ったって絶対喜ぶって」

卯月「そ、それじゃダメなんですってばぁ……いつも凛ちゃんに楽しませて貰ってばかりなんですから、たまには私から……」

みく「正直卯月チャンが今更お姉さんぶっても、もう遅いと思うにゃ」

卯月「そ、そんなことないですよ……! きっと、たぶん……おそらく……ちょっとは……」

智絵里「え、ええと……要するに……いつもは凛ちゃんに誘われて卯月ちゃんは遊びに行っているけれど……」

智絵里「たまには卯月ちゃんから凛ちゃんを誘って遊びに行こうとして……悩んでいるってことですか……?」

加蓮「そういうこと。普段どこに行くにしても凛の方が計画考えてるのを、ちょっと反省したってとこなんだろうけど」


みく「慣れないことはするもんじゃないと思うにゃー」

卯月「だ、だって……凛ちゃんに苦労させてばっかりで……だからたまには純粋に遊ぶことを楽しんで欲しくて……」

加蓮「卯月と遊ぶための計画練ってる時の凛の顔は、どう見たって苦労してる人間の顔じゃないんだけどなー」

みく「あんなに生き生きしてる凛チャンを見れる機会はそうないにゃ」

卯月「……そうなんですか……じゃあやっぱり凛ちゃんはすごくて……私なんか……」ズーン

加蓮「ううん面倒なんだからほんと……ねぇ智絵里」

智絵里「は、はい!?」

加蓮「なにか卯月にアドバイスしてあげてよ。私やみくじゃもう限界」

智絵里「わ、私がアドバイスですか……? 急に言われても……でも昨日こんな話……そうだっ! う、卯月ちゃん?」

卯月「……なんですか……?」

智絵里「卯月ちゃんは……凛ちゃんが本当に喜んでくれそうな場所に、行きたいってことでいいですか……?」


卯月「……そうなんです……でも、考えれば考えるほど、どこに行っても笑ってくれる凛ちゃんしか思い浮かばなくて……」

智絵里「じゃあ……もしかしたら、凛ちゃんはもう1人ででも行った可能性があるんですけど……それでもよければオススメの場所が」

みく「へぇー、智絵里チャンがオススメする場所ってみくも興味あるにゃ」

加蓮「私も。智絵里からちゃんとそういうデートスポットの話題が聞けるなんて貴重だもんね♪」

智絵里「で、デートスポットってそんな……ただ、昨日李衣菜ちゃんと一緒に行った場所ってだけで……」

みく・加蓮「「……え?」」

卯月「そ、それで、そこはどこなんですか智絵里ちゃん!」ウズウズ

智絵里「渋谷公園通りから代々木公園のケヤキ並木までです。そこで、17時から青の洞窟っていうイルミネーションが見れます……♪」

卯月「『蒼』の洞窟……!? た、たしかに凛ちゃんが好きそうな響き……! それになるほど――行き方を聞いてもいいですか!」

智絵里「渋谷駅から降りて、そのまま代々木公園に向かって下さい……17時を過ぎてからなら、道順が分かりやすいですけど」

智絵里「でも、やっぱり17時丁度に公園にいるほうが……素敵な光景をもっと楽しめて……凛ちゃんも喜ぶと思います♪」


卯月「なるほど……ありがとう智絵里ちゃん! とりあえずこの『蒼』の洞窟について詳しく調べてから凛ちゃんを誘ってみます!」

智絵里「えっ……そ、そんな、たしかに私はオススメしましたけど、やっぱり他にだって良い場所は……」

卯月「ううん……きっとこれ以上悩んでも、私じゃ凛ちゃんみたいに素敵な計画は考えられないみたいです」フルフル

卯月「だから、智絵里ちゃんのオススメに従います! だって教えてくれている時の智絵里ちゃんの顔、とても素敵な笑顔でしたから!」

智絵里「私が、ですか?」キョトン

卯月「はい♪ きっとすごく楽しいことがそこであったんですね! 私もそれにあやかりたいです!」キラキラ

みく「…………そうにゃ、なにがあったのにゃ智絵里ちゃん?」ズイッ

加蓮「昨日そこで李衣菜となにしてたの?」ズイッ

智絵里「え、え……? あ、あの、何って言われても……一緒に写真を撮ったり、おしゃべりをしていたぐらいで……」


みく「写真」

加蓮「おしゃべりの内容は?」

智絵里「……例えば、この洞窟はきっと凛ちゃんが好きそうってこととか……だから、卯月ちゃんにオススメしようと思ったんです」

加蓮「そういうこと……分かった、智絵里ありがと! ――みく」

みく「分かってるにゃ。みく達ちょっと用事が出来たから、二人はそのまま凛チャンのために計画考えてね! それじゃにゃ!」

卯月「え!? あ、あのもうちょっと手伝ってくれても……あー」

バタンッ!!

卯月「行っちゃいました……みくちゃんと加蓮ちゃん、なにがあったんでしょうか……?」

智絵里「私もなにがなんだか……でも、李衣菜ちゃんにすごく悪いことをしてしまった気分になるのは、どうしてなのかな……?」

――この後、李衣菜の自由時間はしばらく存在しなくなるのであった。

〈終〉

なんとなく「青の洞窟 SHIBUYA」のイルミネーションを見に行ったらとても綺麗で、
それ以上に側にいた女の子二人組がどうにも智絵里ちゃんと李衣菜っぽい雰囲気だったので思いついたネタ
読んでくださった方ありがとうございました

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