提督「安価で阿武隈と距離を縮めたい」 (38)

提督「うちの秘書艦、阿武隈と俺は仲が良い方だと思う」

提督「仕事の合間には軽口や冗談を言い合い、アイコンタクトだけで仕事のやり取りが出来ることも増えてきた」

提督「しかしながら、信頼関係を醸成しつつも、あくまで“良き上司・良き部下”の域から先に進めない」

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提督「仲の良い上司と部下という安定した信頼関係が、逆に足枷となっているのだ」


提督「今のこの関係を壊してしまうのではないかと考えてしまい、どうにも物怖じして距離を縮められずにいる」


提督「正直、俺は阿武隈のことが好きだ」


提督「なんとか、彼女の本心を知って距離を縮めていきたいと考えている」


提督「さて、どうしたものやら…。手始めに>>3に相談でもしてみるか?」

初霜

提督(よし、偶然通りかかった初霜に相談してみるか)


提督(初霜は一水戦所属が長かったこともあり、阿武隈と今でも親交が深いようだ)


提督「よう初霜。いきなりなんだが、今ちょっと時間あるか?」


初霜「こんにちは提督。時間は空いてますけど、何か用事ですか?」


提督「ああ、少し初霜に相談したいことがあってだな」

~~事情説明中~~


初霜「なるほど、そういうことだったんですね。すごく素敵だと思います!」


提督「ありがとう。そう言ってくれると少し照れるな」


提督「さてさて、それじゃ具体的な相談なんだが、まずはあいつにどう思われてるかを知っていきたいと思ってるんだ」


提督「今は上司と部下としての付き合いがメインだが、一人の男としてどんな風に阿武隈の目には映っているのか。それを知らずにアプローチなんて掛けられないからな」


初霜「確かにそうですね…。お二人の信頼関係の強さは側から見ててわかるんですけど、阿武隈さんが提督をどう思ってるのか、直接お聞きしたことはないですからね」


初霜「うーん、私自身恋愛についてあまり詳しくはないんですけど、>>6とかどうでしょうか?」

食事に誘う

提督「食事に誘う?」


初霜「ええ。ご飯を食べながらお話しすれば、自然に阿武隈さんの気持ちも聞き出せるんじゃないかと思うんです」


提督「確かに一理あるな。最近は忙しくて仕事終わりに阿武隈と食道に向かう機会もめっきり減っちまったし、いい機会かもしれない」


初霜「私は逆に阿武隈さんとご一緒させてもらう機会が増えてるんですけど、いつも提督のお話で盛り上がっちゃいます」


提督「ん?俺の話なんてしてんのかお前たち?」


初霜「はい。今日は提督にまた“阿武隈”の漢字間違われた~とか、いつも阿武隈さんぷりぷり怒ってます!」


提督「ええ~。他所でも怒られてるんならやめた方が良いのかね」

初霜「うふふ、そこも含めて阿武隈さんにお聞きすればいいと思いますよ」


提督「そうするか。まああいつも本気で嫌がっては無いのはなんとなくわかるし、からかいがてら聞いてみるさ」


初霜「そうやってすぐからかうから良い雰囲気にならないのでは…」


提督「うぐっ、正論過ぎてぐうの音も出ない」


初霜「まあ、阿武隈さんがからかわれやすいのも、なんとなくわかっちゃいますけどね。提督とか北上さんとか」


提督「ああ、北上か。あいつもしょっちゅう阿武隈に絡んでるもんな」


提督「まあ、全てはあいつがいじりやすいのが悪い。いちいち反応が可愛すぎるんだよ!」

初霜「鎮守府内で大声で可愛いと言える提督、流石だと思います!」


提督「おっと、ついうっかり…」


初霜「可愛い、好きだ、ってのを直接阿武隈さんにお伝えしちゃえば解決だと思いました」


提督「それが出来るくらいの距離感だったら最初から悩んでないさ。いきなり言うのも不自然だろ」


初霜「そうですね」


初霜(阿武隈さんだったら勢いで押し切れちゃうんじゃないか、と思ったけど黙っておきます)


提督「まあ話は逸れたが、とりあえず食事に誘うところから始めてみようかと思う」

提督「初霜に相談して良かったよ、ありがとう」


初霜「いえいえ。あまりお力になれたような気がしないけれど、提督にそう言っていただけると嬉しいです」


初霜「上手く行くといいですね、提督。成功の暁には輪形陣でお祝いしましょう!」


提督「ハハハ、そうだな。輪形陣楽しみにしてるよ」


初霜「はい!」


初霜(恋愛に疎い私でも、このお二人なら上司と部下のそれを越えて行けるなと思っちゃいます)


初霜(阿武隈さんも、幸せになれるといいですね!)

提督「よし、じゃあ阿武隈を食事に誘うとするか」


提督「善は急げというし、タイミングとしては今日の仕事終わりが良いだろう」


提督「>>12にでも連れてってやるか」

サイゼリヤ

提督「今回はサイゼリヤだサイゼリヤ!」


提督「艦娘だけでの外出はいろいろと面倒事が多く、なかなか外出できていない者が多いのも事実」


提督「阿武隈もファミレス行ったことないとか言ってたし、庶民向けの食事処に関する社会見学にもなるだろう」


提督「デートとしてはかなり微妙な選択だが、いきなり気取った店に連れてくのもあれだしちょうど良いのかもしれん」


提督「レッツサイゼリヤだ」

~~鎮守府執務室~~


提督「時に阿武隈くん、今日の夕餉の予定はどうなっているかね?」


阿武隈「夕餉って晩ご飯の事?だったら特に予定が無いから食堂で鬼怒お姉ちゃんとでも食べようかなーって思ってます」


提督「ほほう、予定が無いということは、私が君の予定を入れてしまっても構わないのだなね?」


提督「だったら私の外出に付き合いたまえ。ディナーくらいは奢ってやろうぞ」


阿武隈「外出?まあご一緒しますけど」


阿武隈「それよりなんですかその話し方!へんなの!」

提督「フハハ、知的話術だよ阿武隈くん。フハハハハ!」


提督(なんか妙に照れて臭くていつもの調子でふざけてしまった、我ながら修行が足りん)


阿武隈「全然知的じゃないっ!ほんと、提督ってふざけてばっかりですね」


阿武隈「それにしても提督と晩ご飯かー。なんだかちょっと久しぶりですね!」


提督「君が以前、興味を示していた所に連れて行ってやろうと思ってな」


提督「たまにはこういうのも悪くは無かろう」

阿武隈「あたしが興味?うーん、どこだろ?」


提督「まあ大した場所ではないが…楽しめる場所ではあることは保証できるだろうな」


阿武隈「楽しめる場所?何だかワクワクしちゃいますね、提督!」


提督「フハハ、そうだな…!恐るべき邪悪な夕餉にしてやるから、楽しみにしておくがいい!」


阿武隈「もう!やっぱりへんなの!」


提督(阿武隈は何やらギャーギャー言ってるが、なんやかんやで誘うことが出来て良かったよ)

~~サイゼリヤ前~~


提督「と言うわけで到着だ」


阿武隈「ここって…ファミレスですよね?」


提督「ああ。前にお前言ってなかったけ、ファミレス行ったことない~とかなんとか」


阿武隈「確かに言ってましたけど…。覚えててくれたの?」


提督「人聞き悪いな。秘書艦の話くらい覚えてられなきゃ提督業なんて務まらんだろ」


阿武隈「提督ありがとう!なんかちょっと嬉しいですねー」


阿武隈「この調子で“阿武隈”の漢字もいい加減覚えてくれるともっと嬉しいんですけど」


提督「すまんが俺は都合の悪いことは覚えない主義なんだ」


阿武隈「むー!提督はやっぱり意地悪!」


提督「冗談だよ、ごめんごめん」

提督「それよりこんなところで騒いでないで、とりあえず中入ってみないか?」


阿武隈「むぅ………入ります!」


~~サイゼ店内~~


阿武隈「うわぁ、なんかすごい絵がいっぱい…」


提督「ルネサンス期の絵だな。サイゼってファミレスにしては内装が特徴的な方だと思うぞ」


阿武隈「るねさんす…?よくわからないけど、なんかすごいですね!」


提督「おいおい、壁やら天井やら見てても料理は来ないぞ。このメニューから食べたい物探して注文しようぜ」


阿武隈「ハッ…!初めて来たからつい…」


提督(サイゼの内装でここまではしゃげる奴を初めて見た)

阿武隈「えーと……なんかすごいいっぱい料理があるんですけどっ!?」


提督「ファミレスってのは大衆向けだからメニューが豊富なのさ」


提督「中でもサイゼはイタリアン寄りなのが特色だったりする」


阿武隈「そうなんですね!」


提督「俺は注文するもの大体決まってるから、阿武隈はじっくりいろいろ選んでいいからな」


阿武隈「わかりました!何にしようかな~、ふふ~ん♪」


提督「ハハハ、わくわくしてんなぁ」

~~数分後~~


阿武隈「折角だしイタリアンっぽい料理に決めました!」


提督「おおー、いいな。何にしたんだ?」


阿武隈「このパルマ風スパゲッティにしました。どれも美味しそうで悩んじゃったんですけど」


提督「オッケー。サイドメニューは何か選んだ?」


阿武隈「あっ、考えてなかった…。すみません、提督におまかせしてもいいですか?」


提督「わかったよ。それじゃあ店員さん近くに来たし、俺のおすすめ込みで注文するとしよう」


提督「すみません、注文良いですか?」


店員「はい、お伺いいたします」

提督「パルマ風スパゲッティが1つ、ミラノ風ドリアが1つ、小エビのサラダが1つ、辛味チキンが1つ」


提督「あ、そうだ。あとドリンクバー2つもお願いします」


店員「かしこまりました」


提督「よーし、そんじゃ阿武隈、ドリンクバーを取りに行こう。ジュースとかお茶が好きなの飲み放題なんだぜ?」


阿武隈「はい!何飲もっかな~?」


提督「ちなみに俺のおすすめは全部混ぜた奴だ。高速修復材みたいな味がして美味いぞ」


阿武隈「もう!どこから突っ込めばいいのかわかんないじゃない!」

~~食事到着後~~


提督・阿武隈「いただきまーす!」


阿武隈「もぐもぐ…美味しいです!ファミレスってこんなお料理がいっぱい食べれるんですね、提督!」


提督「お、おう。そこまで良い反応返してくれると俺も嬉しいぞ」


提督「サイゼは創業者がイタリアンを推してたこともあって、パスタとかピザが美味しいんだ」


提督「流石に鳳翔さんや間宮さんのそれとは比べるべくでもないかもしれんが、結構美味いだろ?」


阿武隈「はい!あたしもたまにお料理するんですけど、こういう洋食ってあんまり作ったことないからすごい新鮮です!」


阿武隈「そういえば提督はドリアにされたんですね」


提督「うむ。ミラノ風ドリアってのはサイゼの花形でな、貧乏学生の強い味方だったりする」

提督「俺も久々に来たからな。なんだか懐かしくなって、つい頼んじまった」


提督「学生時代はとにかく金が無かったからコスパしか考えてなかったよ」


阿武隈「なるほど…!」


阿武隈「それにしても提督にも学生時代があったんですね…。きっと悪い学生さんだったんでしょ!」


提督「なんだよいきなり人聞き悪いな」


提督「意外かもしれんが、小学校から士官学院まで俺ずっと真面目キャラで通ってたぞ」


阿武隈「ええ!?嘘でしょ!?」


提督「いやいや、そこまで驚くことかよ。真面目キャラってのは少し盛ったが、この鎮守府に着任するまではそこまでふざけまくるタイプじゃなかったな」


阿武隈「意外過ぎて何も言えない…」

阿武隈「提督って昔から意地悪で変な人なのかなーってあたし思ってました」


提督「根っこの部分はそうだったかもしれないけど、周りが固かったからあんまり出す機会がなかったのさ」


提督「この鎮守府に来てからようやく素の俺になれた気がしてるよ」


阿武隈「なんだか不思議ですね。お仕事はじめてからはっちゃけちゃうだなんて」


提督「お前達艦娘のせいだけどな」


阿武隈「ええ!?」


提督「あまりに皆が個性的すぎるというか、好き放題やってるもんで、俺も真面目ぶるのがアホらしくなっちまったんだよ」


提督「特に阿武隈。お前を秘書官にしたのが一番アレだった」


提督「こんなんいじらずにはいられないでしょ」

阿武隈「むー!なんかひどい!」


提督「いやいや、言い方は悪かったが真面目に感謝してるからな。今まで人をいじったり軽口で会話したりなんてあんまり機会無かったし、お前のおかげでめっちゃ毎日楽しいもん」


提督「俺さ、職場の仲間と必ずしも仲良くする必要はないと思ってるんだ」


提督「それは鎮守府の人間関係にも当てはまってて、嫌でも一緒に命預け合う連中と変に仲良くしようとしてしんどい思いするよりかは、仲悪くても仕事だと割り切って適切な距離感保つ方が良いのかなーとかさ」


提督「ただ、こうやって一緒に仕事に取り組んでいく中で、仕事以外の事まで腹割って話せるくらい楽しい奴に出会えれば、それはそれで素晴らしいことだと思ってたんだよ」


提督「で、まあ何というかこっ恥ずかしい話なんだが、お前とぐだぐだバカみたいなことで騒ぎながら仕事するってのは俺にとって新鮮で他に替えの利かない感覚なんだ。こんなの、はっちゃけちゃっても仕方ないだろ」


阿武隈「うう、なんかすっごい照れます……」

提督「す、すまん。ちょっと勢いでベラベラしゃべり過ぎたな」


提督「まあ要するにあれだ、お前といつも一緒に仕事してて楽しい、たまにはこうしてオフでも遊びたいくらいには、ってことよ」


提督「いつもありがとな、阿武隈」


阿武隈「なんだか余計に恥ずかしいんですけどっ!」


阿武隈「……でもあたしもなんやかんや言ってますけど、提督と騒いでて楽しいですよ」


阿武隈「今日だって、あたしが興味持ってたこと覚えててくれたし、初めてのファミレスもすごい楽しくて、来てよかったなーって思ってます」


阿武隈「それに提督はあたしが本気で嫌がることはしないんだってわかってますから」


阿武隈「提督、あたしの方こそいつもありがとう。今日呼んでくれて、久しぶりに提督とご飯食べれて嬉しかったです」

提督「うむ…そう言ってくれると俺としても嬉しいな、割とマジで」


提督「またこんな風にどこか誘ったら一緒に来てくれるか?仕事もあるし、毎度のようにとはいかんかもしれんが…」


阿武隈「うん!絶対行きます!」


阿武隈「それに、仕事だったらあたしに任せて!これでも提督のお手伝いだったら、大淀さん達にだって負けないんだから!」


提督「ありがとう!頼もしいよ」


提督「ただ大淀に負けないかどうかは……いや、この話はやめておこう」


阿武隈「なによ!せっかくいい話だったのにー!」


阿武隈「提督のばかー!」

提督(そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎていった)


提督(もちろん阿武隈の分まで奢ってやったんだが、妙にあたふたしてたな。こうして当然のように見栄を張っても財布に優しいのもサイゼの良い所なのだが)


提督(本心を聞き出すって流れではなかったが、今日はこうして阿武隈と距離を縮められた気がする。来てよかったなとつくづく思う)


提督(初霜には本当に感謝しかないな)


提督(それにしても…サイゼでもこうして喜んでくれるくらいならもっといろいろ連れ出してあげたくなる)


提督(自由気ままにとまでは行かなくても、もう少し鎮守府外で羽を伸ばしてほしいものだ)

~~翌日 鎮守府~~


提督「さて、距離は少し縮まったが、まだ縮め切れたとは言い難い。次は誰かに相談するか、自力で何かするか…」


提督「よし、>>34をするか!」

金剛に相談

今日はここまで
忙しくてなかなかじっくり更新できないけどまた近々続きを書きます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年12月17日 (日) 08:33:13   ID: Dgj1TBh0

期待してます

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