ペリーヌ(私はバニラが好きですのに…) (15)




フミカネ氏の現代風のエイリーヌの絵と、エイラのTシャツに「サルミアッキないの?」と書かれた絵を参考に。
それと、現代風エイリーヌ画像のまとめにあったコメント「本当はバニラが好き」にピンときたので書きました。

今回も前回同様地の文が入っているので、苦手な方はブラウザバック推奨です。



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「おまたせ。悪いなペリーヌ。時間かかっちゃった。ほら、今日付き合ってくれたお礼だ。私の驕りだぞ」

そう言って、移動式のアイスクリームショップから戻ってきた彼女の手にはアイスが二つ。
両方の手には、ワッフルコーンに鎮座したチョコミント。
それも、ダブル。

「おいしいよな、チョコミント。ほら、溶けちゃう前に、早く食べよう」





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半ば強引に渡されたソレを受け取る。
瞬間、彼女の手に触れる。
私はびくりとカラダを振るわせるが、彼女は不思議がる様子も無い。
私の手に移ったアイスは、ひんやりとしていてとても気持ちがいい。

「ペリーヌ。食べないのか?」

見上げると、彼女は既に2段重ねされたチョコミントを半分食べ終えたところだった。

「いいえ、いただきますわ。…ありがとう、エイラさん」

「いいって。私が買い物に付き合ってくれって言ったんだし。助かったよ。私はこんなTシャツしか持ってないし」

彼女は苦笑いをしながら、自分のTシャツを指差す。
「サルミアッキないの?」という文字と、胸部にはサルミアッキの箱がプリントされた白いTシャツだった。








事の発端は、彼女が好意を寄せている子に、彼女がデートを取り付けたことから始まる。

「頼む!私の服装のセンスじゃ、すぐに帰られちゃう…そこでペリーヌ、お前にコーディネートを頼みたいんだ!」

「どうして私がそんなことを…」

「頼むよぉ!こんなこと頼めるのお前しかいなくてさぁ…服のセンス良いし!なぁ、友達だろぉ!」

私はその、友達という単語に目を少し伏せたが、彼女の次の提案で、私はこの頼みを引き受けた。

「私に出来る範囲で、何でもするからさ!」

「…遊園地」

「え?」

「私、遊園地に行ったことが無くて。エスコートしてくださるなら、その後、コーディネートして差し上げますわよ」

「なんだ、そんなことか!いいぞ!任せとけ。今週の土曜日でどうだ。だから、その後、頼むな!」






そうして今日。約束した土曜日。
遊園地を出てから、駅の近くにあるショッピングモールで彼女の服を見てあげた。

相変わらず、所謂ダサイTシャツを買おうとする彼女を止めると、
彼女に似合う、それでいて手ごろな値段の爽やかな青のデニムシャツ、スキニーパンツ。
そして、どうしても外せないと煩く騒ぐ彼女のためにTシャツを選んだ。
花柄のピンクのTシャツに。

「いつもと変わらない気がするんだけどなぁ」

「変わります!はぁ、これでは先が思いやられますわ…」

「まぁ、また分かんなくなったらペリーヌに聞くからよろしくな」

にこっと笑う彼女に私は耳が赤くなるのを感じてすぐに顔を逸らす。
自分の服を物色しているフリをしてやり過ごした。








それがつい2時間前。
時刻は17時を迎えようとしていた。
電車から降りた私達は、家路に着こうとしていた。
そうして彼女が何かを見つけたと思いきや、少し待ってろと言い、私を置いてけぼりにしたのだ。

「でも。これくらいのエスコートが出来れば、上出来だと思いますわよ」

私は素直に今日の感想を述べる。
今日の彼女は、いつも以上に格好良かった。
初めての遊園地で、そして…。

私は一口チョコミントを舐める。
歯磨き粉の味がして、顔をしかめる。






「もしかして、ペリーヌ。チョコミント、嫌いか?」

「…っ。い、いいえ好きですわ」

「そうか、良かった。チョコミント嫌いって言うヤツが多くてさぁ。ペリーヌは絶対好きだと思ったんだよ」

「勝手に決めつけないでくださいまし…まったく」

けらけら笑う彼女を尻目に、私は街行く人を眺めながらニ口目。
口にミントのフレーバーとチョコの、なんとも言えない味が更に広がる。

本当は、好きではない。
けれどそう言ってしまった手前、これはなんとしても全部食べなくてはいけない。
残すなんて、もってのほか。






「はぁ、おいしかったー」

満足げな表情を浮かべる彼女は、余った紙を手で丸めると、近くのゴミ箱に投げ入れる。
それも、口元をチョコミントだらけにして。

「よしっ」

「お行儀悪いですわよ。あと、口」

「ん?うぁ、べたべたする…」

「どうせハンカチやティッシュなんて持っていないのでしょう?はい、私のですがどうぞ使ってくださいまし」

「おぉ、ありがとなペリーヌ!洗って返すな!」






「結構ですわ」

「わ、悪いな…」

「デートのときはちゃんと持ち歩くこと。いいですわね?」

「おぅ!」

それから私の戦いが始まった。
17時とはいえ、季節は夏にさしかかろうとしている。
どんどん溶ける。
私はダブルで買ってきた彼女を恨めしく思いながら無言で食べる。
彼女はというと、のんきに今日買った服を紙袋の隙間から眺めているのであった。






家路に着く。
話題を提供するのは専ら彼女のほうだった。
今日も、ずっと前からお熱の、デートを取り付けたという子の話になる。

「この間な、放課後に音楽室の前を通ったら、またピアノを弾いてたんだよ。いつか隣で聴けるといいなぁ」

「それは貴女次第ですわよ、エイラさん」

「そうだなぁ〜。えへへ。それでな、それでな、噂によると…ラジオが好きなんだって言うんだよ!私も聴いてみようかなぁって、」

こうなってくると手がつけられない。
私は話半分で対応する。

「おい、ペリーヌってば!ちゃんと聞いてるのかよぉ、ツンツンメガネー」






「聞いてますわよ…」

(まったく。人の気持ちも知らないで…)

「お聞きになればいいんじゃないんですの?好きなラジオの番組を」

「それだと私がラジオ興味ないってバレバレじゃんかよぉ。そうじゃなくて、」

「要するに、背伸びしたいってことですわね」

「ぅ…そ、そのとおりだぁ…」







それから、彼女はこう切り出した。

「話、変わるんだけどさ。好きな食べ物ってなんだろうな」

あぁ、あの子かと合点がいく。
私は機嫌が悪いのを表に出さないようになるべく気にしない素振りを見せつつ返答する。

「甘いものなら、何でも好きなのではないかしら。女の子は、甘いものに弱いものですわよ」

「そうかぁー。チョコミントのアイスが好きだといいなぁー」

「どうして?」

「好きなモノを好きな人と一緒に食べるってことに、憧れるんだ」

「へぇ、エイラさんって意外と乙女なのですわね」






「そ、そうかぁ?」

照れ隠しに後ろ髪を撫でる彼女。
私はそこで彼女より一歩前に出て、彼女に振り返る。

「ここまでで結構ですわ」

「えっ、送るよ。家、近いんだろ?」

「いえ、結構ですわ。それでは」

「? あ、あぁ、またな」

手を振りながら踵を返す彼女の背中を見つめる。
のんきに帰る彼女に、少しでも仕返しをしてやろうと思いつくと、彼女を呼び止める。






「あぁ、そうだ、エイラさん」

「ン?忘れ物か?」

「私、本当はチョコミント嫌いでしたわ」

「え、そうだったのか。悪いことしちゃったな」

「いいえ。でも、今日で好きになりましたわ」

「そうか、それは良かった」

「それでは、また明日」

「あぁ、また明日な」

今度こそ家路に着く彼女を見送る。
ミントとチョコの余韻が、私を苛めながら。






彼女と歩いている際に散々悩んだが、結局、あのハンカチは洗ってしまうことにした。
別に、そんなモノにしがみつくほど、私は落ちぶれてはいない。
私は私のやり方で彼女を振り向かせるんだから。
そう決意すると、私はまず何から始めようか考える。



そうだ、チョコミントをおいしく食べれるようになろう。



私はそのまま家には帰らず、チョコミントを買いに行くのであった。






テテテテンッ デデデンッ!           つづく






オワリナンダナ
読んでくれた人ありがとう。

1にあるように、ピンときてサクッと書きました。

明日の夕方、芳×リーネでスレ立てします。

それでは、また。

ストパン3期アルマデ戦線ヲ維持シツツ別命アルマデ書キ続ケルンダナ



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