【モバマス安価】ちひろ「大変ですプロデューサーさん!」 (425)

P「ちひろさん、そんなに慌ててどうしたんですか?」

ちひろ「大変なんですよ! 幸子ちゃんが……!」

P「幸子がどうしたんですか!?」ガタッ

ちひろ「↓2」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512309029

ちひろ「ありすちゃんと入れ替わってしまったみたいなんです!」

P「……」

ちひろ「何言ってんだこいつ、って目ですね。仕方ない反応です」

ちひろ「でもこれは本当の話なんですよ!」

P「ありえないでしょ」

ちひろ「いいから来てください、一大事なんですよっ!」グイグイ

P「ちょっ、ちょっと!?」

――――

ありす「あ、プロデューサーさん! 来るの遅いですよ!」

幸子「……」ズーン

P(2人共らしからぬ言動をしている!!)

P「あの……ちひろさんから聞いたんだけど」

P「なんか入れ替わったんだって?」

ありす「そうなんですよぉ! 曲がり角でありすちゃんとぶつかっちゃって」

ありす「前を見たら、カワイイボクが……!!」

幸子「こんなこと……ありえません……非現実的です……」ブツブツ

ちひろ(すごい落ち込んでる)

P「言っておくけど、みんなでドッキリ仕掛けてるとかだったら…」

ありす「違います!! 見てください、人差し指をほっぺに当てて」

ありす「えへっ」ニコッ

P(可愛い!!)

ありす「こんなことありすちゃんがすると思いますか!?」

P「た、確かに……」

ありす「信じてくれますよね?」ウルウル

P「うーん、そっちの幸子……いや、ありす? の意見も聞きたいんだけど」

幸子「……そうですね。これは夢じゃないみたいです」

幸子「受け入れます。私は幸子さんと入れ替わってしまったみたいです」

P(あの幸子がクールな佇まいをしてる!!)

ちひろ「どうですか? 私の言ったこと本当だったでしょう」

P「正直まだ信じきれてないですけど……でも、何でこんなことが……」

ちひろ「さっきありすちゃ……じゃなくて、幸子ちゃんが言ってましたよね」

ちひろ「曲がり角でぶつかって、起き上がったら入れ替わってたらしいです」

P「ドラマみたいですね」

幸子「プロデューサーさん、どうすればいいでしょうか」

幸子「こんな体験始めてで……これからお仕事もありますし」

P「俺も目の当たりにしたの始めてだよ」

P(2人は困惑してる。無理もない)

P(ここはプロデューサーの俺が何とかしてやらないと!)


↓2 これからどうするか

P「2人共まだ混乱してるとは思う。でも、これからの仕事をキャンセルするわけにもいかない」

P「俺とちひろさんで解決策を探しておくから、2人はお互いの仕事に行って何とか乗り越えてくれ」

ありす「うえぇぇ!? 簡単に言わないでくださいよ!」

幸子「そ、そうです! そんなの無理に決まってます!」

P「休みたい気持ちは分かるけど代わりがいないんだよ……」

P「2人なら絶対にやれるから!」

ありす「うー、でも……」

幸子「……」


幸子「分かりました」

ありす「!?」


幸子「これも一つの経験です。今日一日幸子さんになりきって」

幸子「アイドルとしてひと皮剥けます!」

ありす「!!」

ありす(なるほど! これは演技力を磨く良い機会!)

ありす「ふふーん、仕方ないですね! ボクもありすちゃんになりきって」

ありす「むしろありすちゃんより、ありすちゃんっぽくなってみせますよ!」

幸子「意味が分かりません……」

P「ありがとう! じゃあ送っていくから、頼んだぞ!」

ちひろ(本当に大丈夫かしら)

――――

カメラマン「ありすちゃん、いつもみたいに頼むよ」

ありす「は、はい……よろしくお願いします」

カメラマン「じゃ、自然に動いてみてー」

ありす(自然に?)

ありす「……」クルクル

ありす「……」ニコッ

カメラマン「んー、ちょっと笑顔があざといかな」パシャッ パシャッ

ありす(笑顔があざとい!?)ガーン

カメラマン「ポーズも可愛すぎるかな。もうちょっと自然な感じで」

ありす「!」

ありす(ポーズが可愛い……ふふっ、ボクの可愛さがにじみ出てしまったみたいですねぇ)ニヤニヤ

カメラマン「!?」

カメラマン「あ、ありすちゃん、どうしたのかな? 調子悪い?」

ありす「はっ! すみません!」

カメラマン「ちょっと休憩する?」

ありす「いえ大丈夫です! やらせてください!」

カメラマン「そう……」

カメラマン(なんかいつもより活発だな)パシャッ パシャッ

――――

司会「さて、今日はアイドルの幸子ちゃんに」

司会「超怖いと評判の絶叫マシーンに乗ってもらいます!」

司会「生中継です! 幸子ちゃーん!」


幸子「……」ガタガタ

司会「あれ? いつにも増して青ざめてるね、大丈夫かな?」

幸子(はっ!)

幸子「ど、どうもー! アイドルの輿水幸子でーす!」

幸子「今からこのカワイイボクが……絶叫マシーンに……の、乗り込んでみたいと思いまーす……」ブルブル

司会「今にも倒れそうですね。でも、幸子ちゃんなら良いリアクションしてくれるでしょう」

会場「アハハハハ」

司会「じゃ、行ってみようか!」

幸子「……」ドキドキ

ガタンゴトン ガタンゴトン

幸子(動き出した……!)

幸子(ど、どうすれば……普通に乗ってればいいのかな……)

ガタンゴトン ガタンゴトン

幸子(もうすぐ落下する……!)

幸子「あ……ああ……」

司会「この世の終わりみたいな顔してますね」

司会「さあそろそろ来ますよ!」

幸子「……!!」


カチッ

ゴォォォォォ

幸子「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

司会「おお!? 幸子ちゃん可愛い悲鳴を習得したんでしょうか!」

会場「アハハハハ」

司会「止まりました、また上がっていきます」

幸子「も、もう……嫌……」

幸子「誰か助け…」

幸子「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

幸子「」ブクブク

司会「幸子ちゃん!? ちょっと、白目で泡吹いてるよ!!」

――――

P「さて、どうしましょうか」

ちひろ(今頃2人共、苦労してるんだろうなぁ)

P「ちひろさん?」

ちひろ「え……ああ、はい」

ちひろ「解決策を探るって言っても、私たちの力でどうこうできるものなんですか?」

P「んー……作り話だったら、もう一度ぶつかってみたりすれば元に戻るんですけど」

P「どうするかな……」


↓2 元に戻す方法

P「……やっぱり、頼んでみるか」

ちひろ「?」

P「志希か昌葉のどちらかに事情を説明すれば、どうにかなるかもしれません」

ちひろ「ああ……ですね。やっぱりこういうことは、その2人にお任せですね」

P「問題を起こすのも大抵その2人なんですけど、今回は助けてもらいましょう」

P「まずは志希のところへ」

――――

志希「ふむふむ、なるほどー」

P「どうにかできないかな」

志希「できるよ」

ちひろ(できちゃうんだ)

P「本当か!?」

志希「うん。入れ替わりのきっかけになる薬は作れると思う」

志希「それを飲んで、あることをすれば元通りだよー♪」

P「あること?」


志希「そう。そのあることっていうのは……」

――――

ガチャ

ありす・幸子「お疲れ様です」ゲッソリ

P「お、帰ってきたか! って……すごい顔だな」

ありす「はは……撮影であれこれ要求されて、それに必死に応えるのが……キツかった」

幸子「もう乗りたくないです……あんな悪魔の機械……」

P「大変だったな。本当によく頑張ってくれた。元に戻ったら美味い調理を食べに行こう」

幸子「え?」

ありす「元に戻る方法が分かったんですか!?」

ちひろ「はい、志希ちゃんが薬を作ってくれました」

ありす「え”」

P「嫌な予感はするだろうが、これくらいしか方法は無いんだよ」

ちひろ「これで失敗したら、あとは昌葉ちゃんにお願いするしかないですね」

幸子「どちらも不安ですね……」

幸子「だけど」

ありす「元に戻れるなら何でも来いですね!」

P「うん。じゃあ早速飲んでくれ」スッ

P「あと、それを飲むだけじゃ元には戻らないんだ」

ありす「というと?」

ちひろ「飲んでから1分間、ずっと抱き合ってないといけないんです」

ありす「なんだ、そんなことですか」

幸子「問題ないですね」

P「いいか? チャンスは1回きり。もしちょっとでも離れたら失敗だ」

P「これを作る材料が手元に無いらしいからな」

ありす・幸子「……」ゴクリ

ちひろ「誰にも邪魔されないよう部屋に鍵をかけておきます」カチャリ

P「いくぞ、準備はいいな」

ありす・幸子「はい!」

ちひろ「タイマーをセットします。用意してください」

ありす「ありすちゃん、いきますよ」ギュッ

幸子「絶対に放さないように」ギュッ

ありす・幸子「いただきます!」

ゴクゴク

ありす・幸子(苦いっ!)

ちひろ「飲みましたね? スタート!」ピッ

幸子「……」

ありす「……」

P「いいか、絶対に放すなよ。絶対だぞ」

ありす「フリみたいなのやめてください! 放したくなっちゃいます!」

ちひろ(染みついてますね)

幸子「さ、幸子さん……」

ありす「あ……だ、大丈夫ですよ。冗談です冗談」アハハ

幸子「……」

ありす「……ん」ピクッ

ありす「あれ? なんか、体が……熱い……」

ちひろ「!!」

幸子「わ、私も……体の奥が……」

ちひろ「どういうことですかプロデューサーさん!」

P「大丈夫ですよ。これは順調にいってる証拠です」

P「志希が言ってましたから。体が熱くなった後に」

ちひろ「後に?」

P「発光するらしいです」

ちひろ「光るんですか!?」

ありす・幸子「」カッ

ちひろ「光った! 本当に!」

ありす「何ですか! 今私どうなってるんですか!」アワワ

P「落ち着け、大丈夫だから」

幸子「眩しくて何も見えません」

ちひろ(光ってますからね……)



――1分後――


ちひろ「はい! 一分経ちました!」

P「光も収まったな」

ちひろ「ええ。後は……」

ありす・幸子「……」

ちひろ「2人がどうなったか」

P「どうだ幸子、ありす」

ありす「……」

ありす「……橘って呼んでください」

P・ちひろ「!!」

P「ということは……」

幸子「……橘は私です」

ちひろ「え!?」

P「ありすが増えた!?」

幸子「ぷっ……くくく……!」

幸子「冗談ですよ! ボクはボクです!」

P「お前な……」

ちひろ「ビックリさせないでください……」

幸子「ふふーん、ボクの演技は見事だったようですね!」

ありす「私はそんな喋り方じゃありません」

幸子「そうですか? カメラマンさんは違和感に気づいてなかったですよ!」

ありす「それは姿が私だったからです!」

P「こらこら、喧嘩をするな」

幸子「……ふふ」

ありす「ふふっ」

幸子「あー良かったです! 元に戻って!」ギュッ

ありす「もう絶叫マシーンに乗らなくて済むんですね!」ギュッ

P(と思ったらハグ)

ちひろ「喜びを噛み締めてますね」

P「そりゃあそうですよ。誰かと体が入れ替わるなんて、絶望しかないですし」

P「もし俺がちひろさんと入れ替わったらどうなるか、考えてみてください」

ちひろ「……変態」ススス

P「何で距離を置くんですか!? 例をあげただけなのに!」

ちひろ「プロデューサーさんは男ですから、私の体を弄ぶに決まってます」

P「そんなことしません」

P(多分)

幸子「さあプロデューサーさん! 早く連れて行ってください!」

P「え?」

ありす「美味しい料理を食べさせてくれるんですよね?」

ちひろ「あ、私もお供します」

P「……はぁ。よーし、俺について来い! 何でも奢ってやるぞ!」

幸子・ありす・ちひろ「わーい!」


第一話 おわり

こんな感じで幸子の話を、安価を適度に入れつつ全12話分やります
お付き合いいただけると嬉しいです

おっつ、今夜は終わり?

>>29
終わりです
また明日始めます


ガチャ

ちひろ「プロデューサーさん、大変です!」

P「うわ!? ノックも無しにドア開けないでくださいよ!」

ちひろ「すみません。にしてもすごい焦りようですね」

ちひろ「ひょっとしてエッチな動画でも見てたんですか?」ジトー

P「飯食ってリラックスしてるところに、今みたいな登場されたら誰でも驚きますよ……」

P「で、何が大変なんです?」

ちひろ「あ、そうですよ! 幸子ちゃんが大変なんです!」

P「また幸子ですか……誰かと入れ替わったとか?」

ちひろ「違います! ↓2です!」


↓2 幸子に何が起きたか

ちひろ「幸子ちゃんが廚二病になったんです!」

P「廚二病って……つまり、飛鳥や蘭子みたいな感じに?」

ちひろ「ええ。ですがタイプが2人とまた違って、ええっと」

ちひろ「とにかく来てください! 見れば一発で分かりますから!」グイグイ

P「ちょっ、待って! せめて飯だけ食わせてください!」

――――

幸子「……」

P「ベンチに座って棒付きアメ舐めてますね」

ちひろ「ペロちゃんのやつですね」

P「でもそれだけですよ。どこが廚二病なんですか?」

ちひろ「まあ見ててください」

幸子「……はぁ……」

幸子「社会のルールなんてくだらないですね。みんな従順になりすぎなんですよ」

幸子「ルールは破るためにあるっていうのに、分かってない」ヤレヤレ

P「……」

ちひろ「ね?」

P「なるほど……でもあれ飛鳥に似たタイプじゃないですか?」

ちひろ「そうでしょうか」

P「語彙に違いがあるだけで根っこは変わらない、ような気がしますけど……」

P「ってか何でああなったんですか」

ちひろ「分かりません。さっき話しかけたらやたらオラオラしてて、変だなって思ったんです」

P「……本人に直接聞いてみるしかなさそうですね」


スタスタ

P「幸子?」

幸子「ん、プロデューサーさんとちひろさんですか。大人2人でボクに何の用です?」

ちひろ(呼称はボクのままなんですね)

P「うん……あのな…」

幸子「あー待ってください。はいはい、考えてること分かりました」

幸子「当ててみせましょうか?」ニヤッ

P「……うん」

幸子「いいでしょう。あなた方はこう思ってるはずです」

幸子「あんなに自分をカワイイカワイイ言ってた幸子が、どうしてこんな不良になってしまっているのか」

幸子「Jackpot?」

P「……うん」

ちひろ(うわぁ)

幸子「ふふん、やっぱり。言っておきますけど」

幸子「ボクを元に戻そうとしたって無駄ですからね」

幸子「なんせ本当のボクは今こうしてここにいるんですから」

P「……」

幸子「もし無理にでも手をつけようなら」

幸子「やっちゃいますよ?」パン パン

ちひろ(拳を手のひらにぶつけて俺強いぜアピールしてる!)

P「は、はは……ごめん幸子、ちょっとちひろさんと話をさせてくれ」

幸子「どうぞお好きに」

P「ははは……」

P「ちひろさん、思ってた以上ですね」ヒソヒソ

ちひろ「ですね、私も表面上のものだと思ってました」

ちひろ「どうするんですかプロデューサーさん

P「……」


↓2 どうするか

P「俺には解決の仕方が分かりません」

P「もしこれが幸子自身の成長の一部だったとしたら、それを無理に押し込んでしまうのはダメだと思います」

P「だから、ある人物に相談します」

ちひろ「ある人物?」

――――

蘭子「……」

P「こういう時どうしたらいいと思う?」

P「やっぱり路線を変更した方がいいのかな」

蘭子「心が闇に覆われている」

P「え?」

蘭子「まずは堕天使自らが覆った心の闇に、真実の光を照らさねばなるまい」

蘭子「我に導きを求めるのは、それからでも遅くはない」

ちひろ「プロデューサーさん、何て言ったんですか?」

P「えっと……幸子がそうなった意図が分からないから、まずはそれをハッキリさせないと」

P「蘭子に助言を求めるのはそれからでいいじゃないか、だって。多分」

ちひろ「あー、確かに」

ちひろ「意識してやってるのと無意識にやってるのじゃかなり違いますもんね」

P「わざとああして俺たちを困らせてる可能性もありますからね」

P「だとしたら、何でそんなことしたんだって話ですけど」

ちひろ(っていうか、それ聞いて濁されなかったっけ)

P「ありがとう蘭子! 幸子に聞いてくるよ」

蘭子「……ま、待ってください!」

P「!」

蘭子「あの……私もついて行っていいですか? 気になるので」

P「もちろんだ」

ちひろ「蘭子ちゃんがいれば、幸子ちゃんの廚二病の真意をハッキリと見抜けるかもしれないですね」

――――

幸子「ん? また来たんですか2人共。それに蘭子さんまで」

蘭子「むむ……闇の波動を感じる」

P「なあ幸子、もう一度聞くけど」

P「何でそんな態度をとるんだ? 前までのお前はあんなに…」

幸子「言いましたよねプロデューサーさん。無理に深入りするなら」

幸子「やっちゃいますってね?」パン パン

P「……蘭子、頼む」

ちひろ「お願いします」

蘭子「え?」

幸子「何ですか蘭子さん。あなたも私に文句が?」パン パン

蘭子「え、えっと……堕天使よ! 我が言の葉に耳を傾けるがいい!」

幸子「なっ……誰が堕天使ですか!!」

P・ちひろ・蘭子(えっ)

幸子「あ」

幸子「な、なーんて! 堕天使、結構良い響きですね。気に入りましたよ」

蘭子(……今)

ちひろ(素に戻った?)

P「おい幸子」グイッ

幸子「な、何ですか」

P「お前もしかして、意識してそれやってるんじゃないだろうな」

幸子「何の話ですか? ボクはボクですけど」

P「……」


↓2 プロデューサーのとった行動

P「……ちひろさん、蘭子」

ちひろ・蘭子「?」

P「そして幸子」

幸子「はい」

P「俺は今から非道な手段に出る。全ては真実を明らかにするためだ」

P「軽蔑してもらっても構わない」

幸子「え」

ちひろ「な、何をする気ですか?」

P「幸子」

幸子「は、はい」

ガバッ

パシャッ

幸子「!!」

P「スマホでお前のスカートの中の写真を撮った」

P「消して欲しかったら正直に言え!」

幸子「な……なあっ……!?」カァァ

蘭子「なんと邪悪な!」カァァ

ちひろ(最低にもほどがあるけど、幸子ちゃんも幸子ちゃんだし……)

P「さ、さあ言え! お前は俺たちをからかってるんだな!?」

幸子「くっ……うう……!」


幸子「……ボクの負けです……」ガクッ

P「やっぱりそうなのか」

幸子「最初はプロデューサーさんをからかうつもりだったんですけど」

幸子「ちひろさんや蘭子さんまで巻き込んでしまって……すみません」

ちひろ「本当に驚きましたよ。でもよかったです」

蘭子「うむ」

幸子「プロデューサーさんもごめんなさい。こんなことは二度としません」

幸子「だから写真を消してください!」

P「もう消したよ、ほら」スッ


幸子「むー……確かに無いですけど」

幸子「どこかに隠したんじゃないですか?」

P「そんなことしないって……」

幸子「怪しい。っていうか、いくらボクが白状しないからって」

幸子「スカートめくって撮影なんてしますか普通?」

P「……」

蘭子(私もそう思う)

幸子「しかも脅迫とか、思いっきり犯罪行為ですよ」

P「……」

ちひろ(全くもってその通りですね)

P「そ、そうだよな……ごめん。どうかしてたよ」

P「本当にすまなかった、幸子」ペコリ

幸子「反省してるんですか?」ニヤニヤ

ちひろ(形勢逆転してる)

P「反省してる。お詫びと言ってはなんだけど、何でも一つだけ言うことを聞くから……」

幸子・蘭子・ちひろ「え?」

ちひろ「本当ですかプロデューサーさん」

P「え? いや、俺は幸子に言ったんだけど」

蘭子「我が友よ。偽りなくこの思いを打ち明けるが」

蘭子「先刻の行為は全ての乙女を敵に回す非道極まりないもの」

蘭子「見ていた我も酷く傷ついた」

ちひろ「そうですよ。ちゃんと他の人には黙っておきますから」

P(蘭子の言い分は分かるけど、ちひろさんは口止め料よこせって言ってるんだよな……)

P「分かった。じゃあ3人共何でも言ってくれ」

蘭子(やった!)グッ

ちひろ「ありがとうございます」ニコッ

P「あの、俺にできる範囲内でどうか……」

幸子「……」

――――

P(蘭子は買い物に付き合って、アクセサリーをプレゼント)

P(ちひろさんはフレンチを奢った。あとは幸子なんだけど)

幸子「……」ムスッ

P(あれからずっとむくれてる)

P「幸子、お願いは決まった?」

幸子「……何でですか」

P「?」

幸子「何で蘭子さんやちひろさんのお願いも聞いちゃうんですか!?」

幸子「あれはボクに言ってくれたことだったのに!」

P「だって、それだけ酷いことしたんだし」

幸子「はぁ、全く……そういうとこがあるから他の人に言い寄られるんですよ」ブツブツ

幸子「お願い決まりました」

P「! そうか、言ってくれ」


幸子「1つのお願いを3つに増やしてください」

P「へ?」


幸子「いいですよね?」

P「いやいや、それは…」

幸子「ダメとは言わせませんよ! ボクは穴をついたんですから!」フフーン

P「……」

P「分かったよ……でも、これ以上は増やさないぞ」

幸子「はい! じゃあ早速一つ使いますね」

幸子「いえ、やっぱりやめておきましょう。もったいないですからね」フフフ

P「まあ期限は無いけど、忘れないうちに言ってくれよ?」

幸子「心配はいりません、絶対に忘れないので!」

幸子「じゃ、そろそろ行きましょうか」

P「え?」

幸子「これから収録があるじゃないですか。送ってくださいよ」

P「お願いかそれ?」

幸子「違いますっ!」

P「大丈夫だよ、分かってる。もう出ないとな」

幸子「……」

幸子(お願い、どんなのにしようかな)


おわり

>>66
第二話が抜けてた

度重なる誤字脱字、すみません


――――

幸子「プロデューサーさん」

P「ん?」

幸子「この前ボクのパンツを撮影した償いとして、お願いを聞いてもらう約束をしましたよね」

P「3つのやつな。ってかあまり大きな声で言わないでくれ……」

幸子「そのお願いの一番目、使ってもいいですか?」

P「もちろん」

幸子「じゃあ↓2」


↓2 幸子のお願い

P「は?」

幸子「だ、だから……撮ってください」

P「……何で」

幸子「いずれはボクも、セクシーなグラビアとか撮るかもしれないじゃないですか?」

幸子「その練習ですよ! そう、練習!」

P「ダメだ」

幸子「何でですか!?」

P「当たり前だろ。自分が何歳か分かってるのか?」

P「いや、例え大人でも……しかもヌードなんて」

幸子「何でも聞いてくれるって言ったのに」ムスッ

P「むくれてもダメなものはダメだ」

幸子「……じゃあ大人になったら」

幸子「プライベートで撮影してもらえますか?」

P「え」

幸子「仕事じゃなくて個人的なものだったら」

幸子「引き受けてくれますか?」

P「……そもそも、何で俺に? プロに頼んでもらえば…」

幸子「プロデューサーさんがいいんです! これはお願いなんですから、拒否はできませんよ!」

P(俺ができる範囲内でって言ったよな。まあできることではあるけど)

P(まあ、その頃にはさすがに忘れてるかもしれないし)

P「分かった」

幸子「本当ですか? 約束ですよ?」

P「ああ、幸子が覚えてたらな」

幸子「どうせ覚えてるわけないって感じですね。ふふーん、ボクを舐めないでくださいね!」

幸子「プロデューサーさんも、カメラの腕を磨いておいてくださいね」

P「任せてくれ」



――その日の夜――


幸子「……はぁ」

幸子(あの時はああやって言ったけど、大人になる頃には)

幸子(この仕事を続けられてる保証なんてないんですよね)

幸子(もし続けてても、プロデューサーさんと一緒にいるとは限らないし)

幸子(……早く大人になりたい……)

幸子(できれば明日にでも。流れ星にお願いでもしてみましょうか)

幸子(なんて、そんなこと無理に決まって……)

幸子(あ)

幸子「そうだ! もしかしたらなれるかも!」

――――

志希「大人になりたい?」

昌葉「今すぐに?」

幸子「お二人ならと思いましてお話したんです! どうでしょうか?」

晶だよ

>>74
間違っていました…
ご指摘ありがとうございます

志希「あのさー幸子ちゃん」

晶葉「私たちにも限界というものがある」

幸子「そ、そうですよね……ごめんなさい」

晶葉「いくら私が天才とはいえ」

志希「人の成長を操る薬か何かを作ることなんて……」


志希「できたりしてー」ニコッ

幸子「……は?」


幸子「えぇぇぇぇ!? できるんですか!?」

志希「と言っても、晶葉ちゃんと協力してやっと一歩手前まで来れた段階なんだけどねー」

晶葉「あともう少しで完成するから、その時に幸子を呼ぼう」

幸子「だ、大丈夫なんですか? 副作用で死んじゃったりは……」

晶葉「そういうリスクを徹底して潰しているところだ」

志希「リスクがあるものは怖くて使えないしね♪」

幸子(この人たち、アイドルやってていいんですかね)

幸子(でも、もしこの話が本当なら)

幸子(ボクはプロデューサーさんにあんなところやこんなところまで撮られて……その後に……)

幸子「えへへへ」

晶葉「ヨダレ垂れてるぞ」

志希「じゃ、気長に待っててねー」

スタスタ

幸子「ダメですよプロデューサーさん、そこは……」クネクネ

――――

志希・晶葉「できた」よー♪」

幸子「こ、これが……この機械が、ボクを大人に変えてくれるんですね!?」

志希「安全面もバッチリだよ♪ 裸になって入ってね」

幸子「え? 裸になるんですか?」

晶葉「体が成長するんだから、どうせ今身につけてるものも破けるぞ」

幸子「……なるほど」

幸子(恥ずかしいけど仕方ないですね)ヌギヌギ


――――

晶葉「いくぞ、準備はいいな」

幸子「……」コクン

志希「スイッチオン!」ポチッ

ガガガガガ

幸子「!?」

晶葉「大丈夫だ、何も問題はない」

志希「落ち着いてね」

幸子「……」

幸子(待っててくださいプロデューサーさん)

幸子(レンズ越しにボクの体を見せて、誘惑してあげます!)


ガガガガガ

カッ

バシュゥゥゥゥン……

晶葉「よし、成功だ」

志希「幸子ちゃん出てきて」

ガチャ

幸子「……」スタスタ

幸子「……あの」

志希・晶葉「?」

幸子「あんまり変わってないですよね」

晶葉「そうか? 背は伸びてるぞ」

幸子「ちょっとだけですけどね」

志希「おっぱいも大きくなったし」

幸子「ここは……まあ1カップくらい……っていうか見ないでくださいよ!?」

幸子「服が破けるって言ったから脱いだのに、これなら着たままでよかったじゃないですか!」

晶葉「そうだな」

幸子「その顔、知ってたんですね!?」

志希「まあまあ女同士だし、ね?」

幸子「うう……」

幸子「ところで、これ何歳くらいなんですか」

志希「設定は20歳にしたけど、誤差でプラマイ1だから」

晶葉「19~21歳だな」

幸子「その年齢でこの体……もっと牛乳飲んで、くびれも作らないと……」

――――

P「はっくしゅっ!!」

ちひろ「風邪ですか?」

P「すみません。ちょっと悪寒がして」

ちひろ「何かの予兆かもしれませんね」

P「はは……やめてくださいよ」


幸子「プロデューサーさん」

P「ああ幸子、どうした?」

幸子「……」

P「?」

幸子(えぇぇぇ……気づいてくれない)

幸子(志希さんから服を借りて、大人っぽいメイクもしてもらったのに)

P「……あれ」

P「お前、本当に幸子か?」

幸子「!」

ちひろ「本当ですね。なんか大人っぽいです」

P「いや、よく見ると身長も伸びてるし」

幸子(気づいてくれた! やっぱりボクのプロデューサーさんですね!)

幸子(よーし、ここは一つ大人っぽいアピールをして、惑わしてあげましょう)


↓2 幸子のアピール

幸子「ふふーん、プロデューサーさん」スタスタ

ギュッ

P「!?」

幸子「やっぱりボクの変化に気づいたみたいですね」ムニュムニュ

幸子「そうです、ボクは大人になったんですよ。志希さんと晶葉さんのtからを借りて」ムニュムニュ

P(む、胸が……)

ちひろ「大人になったって、そんなことできるんですか!?」

幸子「2人に聞いてみてください」

ちひろ「分かりました」スッ

ちひろ(もしそれが本当なら、逆のことだってできるかもしれない)

スタタタッ

P「……」

幸子「2人っきりですね」

P「幸子、何でこんなこと……」

幸子「大人になったって、信じてくれるんですか?」

P「信じたくないけど、あいつらならできてしまうかもしれないという非常識な思考をしてしまっている」

P「けど何で大人に?」

幸子「この前、大人になったらボクの専属カメラマンになってくれるって約束しましたよね」

P「!!」

幸子「要望通り、大人になってあげました。沢山撮ってくださいね」

P「い、いやいや……こんなのありえない……」

幸子「疑ってますか? ちゃんと体は成長しましたよ」

幸子「さあ! 早くボクのエロカワイイ姿を見てください!」

P「……」

幸子「男に二言は?」

P「……ない」

――――

P「何で俺の家に来たんだ」

幸子「ここが撮影場所ですよ! ボクの中のテーマとしては」

幸子「『日常のエロカワイイ』です。遊びに来た彼女の可愛い姿や」

幸子「ちょっとエッチな姿を、彼氏目線でお送りする写真集を作るんです!」

P「作ってどうするんだ……」

幸子「一つの企画として保管して置いてもらえると嬉しいですね」

幸子「あと、プロデューサーさんにも見てもらいたくて……」

P「……痴女か」

幸子「もう! 何でその発想になるんですか!」

幸子(まあいいです。すぐに欲望を抑えきれなくなるに決まってますから)

幸子「じゃあ始めましょう。初めは玄関から!」

P(約束は約束だからな……問題はヌードだけど。ちょっとエッチどころじゃないだろ)

――――

P「言っておくけど、カメラの腕は良くないからな」パシャッ パシャッ

幸子「はい♪ プロデューサーさんがいいなと思った構図で撮ってください」

P「……」パシャッ パシャッ

P(これ、もったいないな。俺なんかよりプロに頼んだ方がいい)

P(大人幸子の良さをもっと引き出したい。例えばこの角度から……)パシャッ パシャッ

幸子(ふふ、熱心になってきましたね。何と言ったって、カワイイだけでなく)

幸子(セクシーさも手に入れてしまったボクですからねぇ)

途中ですがここまでで
誤字脱字、呼称間違いすみません

このスレが終わったらRで書く…かもしれないです

P「よし、次はリビングで……その次はキッチンかな」

幸子「妄想を膨らませてますね」

P「引き受けた以上は徹底してやりたいから」

幸子(徹底して……つまりボクのヌードも徹底的に……)ドキドキ

――――

P「こんなもんか」

幸子「シャツ一枚のみとは分かってますね」

幸子「見えそうで見えないこの感じが……」

P「ギリギリはいいよな」

P「さて、じゃあ今度は…」

幸子「脱ぎますか?」

P「……あのさ幸子、別に下着や裸は撮らなくてもいいんじゃないか?」

幸子「必要です」

幸子(プロデューサーさんに見せるために)

P「写真集には載せられないだろ」

幸子「そうですね、でも一応撮っておきます」

P「……」

幸子「何でも言うこと聞いてくれるんでしょう?」

P「……脱いで」

幸子「はい」ヌギヌギ

パサッ

幸子「どうすればいいですか?」

P「まずは立ちポーズ。その後ベッドに座ったり寝転んでる姿を撮る」

幸子「分かりました」

――――

P「……」パシャッ パシャッ

幸子(おかしいですね。大胆なポーズなのに飛びかかってきません)

P「さて、じゃあ最後にヌードで撮るぞ」

幸子「! は、はい」

P「後ろ向いてるから、脱いだらバスタオル巻いて準備してくれ」

幸子「はい……」

幸子(きた!! とうとうこの時が)

幸子(プロデューサーさんに私の裸を……)プチッ

パサッ ヌギヌギ

幸子(このあられもない姿を……見てもらうんです)スッ

幸子「準備できました」

P「そうか。じゃあ最初は巻いてるタオルで、前を隠すようにポーズをとってくれ」

幸子「……」ハラリ

P「そう。で、恥ずかしがるような顔で」

幸子「……」カァァ

P「いい演技だな」パシャッ パシャッ

幸子(こ、これは演技じゃなくて素ですよ……)

P「……」パシャッ パシャッ

幸子(プロデューサーさん、今のボクを見てどう思ってるんでしょうか)

P「……」パシャッ パシャッ

P「次はタオルをとって」

幸子「!」

P「どうした?」

幸子「……」ドキドキ

パサッ

幸子「……」ドキドキドキ

幸子(ついに見られてしまいました。ボクのヌード)

幸子(プロデューサーさんの反応は……)

P「体を隠すようにポーズ、できるか?」

幸子「え……あ、はい」スッ

P「オッケー、そんな感じ」パシャッ パシャッ

幸子(あれ? なんか思ってた反応と違う)

P「じゃあ次はベッドに寝転んで」

幸子「!!」

幸子(これは……襲いやすいように準備をしてる!?)

幸子(そういうことですかプロデューサーさん。いいでしょう、ボクも覚悟を決めます)


ゴロン

P「うん、あとはさっきみたいに体を隠すように」

幸子「……」

P「いいぞ幸子」パシャッ パシャッ

幸子「……」

P「今度は唇に手を添えて。そうだ」パシャッ パシャッ

幸子「……」

――――

P「よし、と。こんなもんかな……はいタオル」スッ

幸子「え……あ、どうも」

P「服を着たら飯でも食べに行くか。いや、その前にその体を元に…」

幸子「ちょっと待ってください!」

P「な、何だよ」

幸子「プロデューサーさん、どうしてですか?」

幸子「こんな可愛さとセクシーさを兼ね備えた、極上の女の子が!」

幸子「素っ裸で目の前にいるのに! 何で襲わないんですか!」

P「襲うわけないだろ……幸子はアイドルで14歳だし」

P「それにこれは幸子から頼まれた仕事なんだから」

幸子「今のボクは20歳です!」ガバッ

P「!? こら前を隠せ!」

幸子「ちゃんと見てください、成長したんですから!」

幸子「そりゃボンキュッボンのダイナマイトボディではないですけど……ほら! こんなポーズとかエロいでしょう!?」アッハーン

P「隠せってば!! あとそれ狙いすぎてあんまりエロくない!!」

幸子「じゃあこんなのはどうです!?」ウッフーン

P「いいから隠せって!」

幸子「ええい、面倒です!」ギュッ

P「!?」

幸子「そっちが来ないならこっちが仕掛けます」

幸子「プロデューサーさん。ボク、今とてもドキドキしてるんですよ」

幸子「体も熱いんです」

P「……」

幸子「プロデューサーさん」

P「さ……幸子……お前……」

幸子「……あれ」

幸子「なんか本当に体が熱いです……風邪を引いたんでしょうか」フラッ

P「幸子!? 大丈夫か!!」ギュッ

幸子「頭もクラクラして……」

幸子「体が……体が……!」


幸子「熱い!!」カッ


P「幸子が光った!?」

――――

晶葉「そういえば、そろそろ効果が切れる頃だな」

志希「幸子ちゃんに伝えたっけ?」

晶葉「いや」

――――

プシュゥゥゥゥゥ……

P(光が収まった)

P(ん? 幸子の胸が小さくなってる。ということは……)

P「とりあえずタオルをかけよう」スッ

幸子「うう……何ですか今の……」

P「気がついたか。どうやら元に戻ったみたいだぞ」

幸子「え? 嘘」ムニッ

幸子「小さくなってる!? そんな……時間制限があったなんて……」

P「これでそういうことはできないな」

幸子「くっ……こうなったらもう一度大人になってきます!!」スッ

P「待て待て、その前に服を着ろ」

幸子「そ、そうですね」イソイソ

幸子「待っててくださいねプロデューサーさん、もう一度誘惑して見せますからね」

スタタタッ

P「着るの早すぎるだろ……」

P「……データ確認データ確認……」

ピッピッ

P「我ながらよく撮れたかもしれない」ピッ ピッ

P「……エロい」


おわり


――――

幸子「……」ムスッ

ちひろ「幸子ちゃん、機嫌が悪いみたいですけど、どうしたんですか?」

P「大人になれる機械が壊れてしまったらしんですよ」

P「さらに改造しようとしたら負荷をかけすぎてどうのこうの」

ちひろ(私が若返り機能を求めたせいですね)

P「で、また同じものを作るには部品集めからやらないとダメで」

ちひろ「なるほど」

幸子「……」

P「幸子、何か食べたいものあるか? 奢るぞ」

幸子「何でもいいんですか?」

P「うん」

幸子「じゃあパフェを」

P「よっしゃ、行こう」

P「ということなので、ちょっと外出してきます」

ちひろ「はい」

スタスタ

ちひろ「そっか……時間かかるのか」

ちひろ「ま、私はまだまだそんな年じゃないし、いっか」

――――

幸子「2つ目のお願いが決まりました」パクッ

P「唐突だな」

幸子「もう切り替えたので。言っていいですか?」モグモグ

P「うん」


↓2 幸子のお願い

幸子「明日、ボクもプロデューサーさんもお休みですよね? デートしましょう」

P「デートって……大丈夫かな」

幸子「何がです?」

P「幸子と俺で並んで歩いてたら警察に呼び止められるような」

幸子「仕事の下見とか言い訳すれば大丈夫ですよ」

P「そうかな」

幸子「そうです! ってことで決まりですね、どこに行きますか?」

P「強引だな……幸子は行きたいところあるのか?」

幸子「そうですねぇ」


↓2 幸子の希望

幸子「最近話題の映画を観に行きましょう!」

P「いいな! アクション映画でスカっとしたい」

幸子「アクションもいいですけど、デートなんですから」

幸子「やっぱりラブストーリーですよ! 感動で涙が出るような」

P(ラブストーリー……あまり見たことない)

幸子「あまり見たことないから嫌だって顔ですね」

P「嫌だとは思ってないけど、ってか何で分かったんだ」

幸子「何となくです。まあ何の映画を観るかはプロデューサーさんが決めるとして」

P「俺が!?」

幸子「楽しみにしてますよ♪」フフ

幸子「で、その後どうしますか? どこかで遊びましょう!」

P「映画を観た後……ショッピングは?」

幸子「おお! いいですね、決まりです!」

幸子「その後は夕食で高級レストランに……!」

P「高級は除いて欲しい……」

ワイワイ



――翌日――


P(ふぅ、何とか時間通りに来れたな)

P(幸子は……まだ来てない?)キョロキョロ


幸子「プロデューサーさん」

P「!?」


P「い、いたのか幸子。ビックリした」

幸子「まるでお化けを見たような反応ですね、失礼な!」

P「そんなつもりはないって……ん?」

P「なんかオシャレだな。服も見たことないやつだ」

幸子「ふふーん、この日のために買ってあげたんですよ!」

幸子「いつもよりカワイイボクを、今日一日ずっと間近で見られるなんて、幸せ者ですね!」

P(この日のためって、昨日仕事が終わってから買いに行ったのか?)

幸子「あ、映画が始まるのってもうそろそろですよね? 行きましょう!」ギュッ

P「そうだな……って何故腕を組むんだ……」

幸子「デートだから当然ですよ。早く早く!」グイグイ

P「まだ余裕あるから急がなくてもいいよ」

P(はしゃいでるな)フフ


↓2 Pが選んだ映画のジャンル

幸子「あの」

P「はい」

幸子「これってジャンル的にはどういうものなんです?」

P「モンスターパニック。ホラーだよ」

幸子「ホラーですか……ふふ、考えましたねプロデューサーさん」

幸子「ボクを怖がらせて夜眠れなくする作戦ですね? でも残念!」

幸子「こういうの意外と平気なんですよね! ふふふ!」ブルブル

P(震えてる)

幸子「……手を握ってもいいですか」ギュッ

P「いいよ」

――――

幸子「え、ちょっと……そっちに行っちゃダメですよ……!」

幸子「サメがいますからぁ……!」

ザバァァァ

男『うわあああああ!!』

幸子「ひぃっ……!?」

女『頑張って! 手を伸ばして! さあ!』

幸子「まだ助かります、頑張って……!」ドキドキ

P(かなり入り込んでるな)


――――

幸子「はぁ……」

P「どうだった?」

幸子「ドキドキハラハラしました。サメが夢に出てきそうです」

幸子「でも楽しかったですよ! 最後はとんでもない展開で、ちょっと笑っちゃいましたけど」

P「ふふ、そうだな。まあサメ映画らしいと言えばらしいけど」

幸子「そうなんですか?」

P「色んなサメ作品が出てるんだよ。あまり説明するとややこしいけど」

P「買い物行こうか」

幸子「はい」

幸子(ちょっと気になりますね。調べてみようかな)

――――

P「人が多いなぁ、当然だけど。離れないようにな」

幸子「手を繋いでるから平気ですよ」フフ

P「俺も放さないようにするから」

幸子「はい! ……あっ」

P「?」


↓2 幸子の目にとまった店

幸子「プロデューサーさん、あのラーメン屋って有名なとこですよね」

幸子「アイドルの間でもちょっとした話題になってます」

P「ああ、ニュースでも取り上げられてたな」

P「俺も食べたことあるけど、麺もスープも、チャーシューからメンマまで全部美味いんだよな」

P「卵も半熟とろとろでさ」

幸子「……ゴクリ」

P「昼食、あそこで食べていくか」

幸子「はいっ!」

――――

店員「お待たせしました、チャーシュー麺です」コトッ

P「うわ、チャーシューが多くて麺が見えない。しかも一枚一枚が分厚い」

幸子「すごいですね。食べられるんですか?」

P「もちろん」ドヤ

店員「こちら豚骨ラーメンです」コトッ

幸子「ありがとうございます! 美味しそうですねぇ」ワクワク

P「食べようか! いただきます」

幸子「いただきます! あむっ」ズルズル

幸子「んー! おいひい!」モグモグ

P「幸子は豚骨が好きなのか?」

幸子「好きですけど、特別これに限る! とかではないですよ」

幸子「はー、スープも美味しいです……」

P「幸せそうだな」フフ

幸子「……プロデューサーさん、チャーシュー一口もらえませんか」

P「え?」

幸子「ボクのより肉厚ですし、食べてみたいなぁって」

幸子「お願いします!」

P「まあいいけど。一口と言わず全部あげるよ」

幸子「さすがにそんなに食べれないですよ! 一口だけでいいんです」

P「そうか……じゃあ、はい」スッ

幸子「……」

P「どうした?」

幸子(あーんして欲しかったんですけど、ラーメンじゃ厳しいですよね)

幸子「ありがとうございます! はむっ」

幸子「はふはふっ……んぅー! ジューシーですねぇ!」

P「だよなぁ、スープと合わせて飲むとまた美味いんだよ」

幸子「もらっただけでは悪いので、メンマあげます」ヒョイッ

P「あ、ありがとう」パクッ

P(そんなに『おお!』とはならないけど……でも美味い)モグモグ

――――

P「あー美味かった!」

幸子「また行きたいですねぇ。これでみんなに良いお土産話ができました!」

P「土産話になるくらい話題なんだな」

幸子「ええ。みんなアイドルですから、体型を気にしたり、女の子だけで入ったりするのが恥ずかしくて」

幸子「なかなか入れないんですよね」

幸子「特にこういうラーメン感を全面に押し出してる看板のところは、厳しいです」

P「なるほどな……ラーメン店っぽくないオシャレな店とかだと、女性人気あるもんな」

幸子「まあプロデューサーさんがいれば、みんなも入りやすく…」

幸子(はっ! 危ない危ない、こんなことを言ってしまってはダメです!)

P「俺がどうしたって?」

幸子「何でもないです、あははは……それより買い物を続けましょう!」

P「?」


――2時間後――


P「ふー、結構歩いたな」

幸子「ふふーん、だらしないですねプロデューサーさん!」

幸子「ボクは日頃レッスンをしているので、まだまだ元気ですよ!」

P「見れば分かるよ……凄いな幸子は」

幸子(まあ、せっかくのプロデューサーさんとのデートだからっていうのもありますけど)

幸子「あ! プロデューサーさん、次はあそこに入りましょう!」スタスタ

P(本当に元気だ……)


P「アクセサリーショップか」

幸子「お気に入りの店です! カワイイボクにピッタリのものが売ってるんですよ」

P「確かに、幸子に似合いそうなものが沢山あるな」

P「例えばこのネックレスとか」キラッ

幸子「それいいですよね……でもちょっと高くて買えないんですよね……」

P「プレゼントしようか?」

幸子「えっ」

P「これをつけた幸子を見てみたいし」

幸子「い……いいんですか?」

P「遠慮してるなら別に…」

幸子「ちょっ!? そんなことないです! すごく嬉しいです!」

幸子「ありがとうございます!」ニコッ

P「はは……喜びすぎだろ。すみません」

店員「はい」


――――

P「もう夕方か」

幸子「あっという間でしたね。きっと楽しかったせいです」

幸子「楽しい時間は短く感じるのって、何ででしょうね」

P「不思議だよな」

幸子「全くです。どうせなら……痛っ」ピタッ

P「どうした?」

幸子「な、何でもないです……ちょっと躓いてしまって」

P「……!」

P「靴を脱いで足を見せてくれ」

幸子「大丈夫ですってば」

P「幸子」

幸子「……」スッ

P「……靴擦れか。この靴新品だよな?」

幸子「はい……」

P「ごめん。一緒にいたのに気づいてやれなかった」

幸子「あ、謝らないでください! ボクの演技力の賜物ですから!」

P「痛いなら痛いと言ってくれればよかったのに……」

幸子「そんなこと……言えないですよ」

幸子「プロデューサーさんとのデート、楽しみにしてたんですから」

幸子「言っちゃったら、デートが台無しじゃないですか」

P「……」

スッ

幸子「背中を向けて何してるんです?」

P「おんぶする」

幸子「!」

P「させてくれ。これ以上歩かせられない」

P「タクシーも通りそうにないし、幸子の家までもうすぐだから」

幸子「……分かりました」スッ

ギュッ

P「よっと」

幸子「な、なんか恥ずかしいですね」

P「じゃあお姫様抱っこするか?」

幸子「!!」

幸子「は、はい……してください」

P「……言っておいてなんだけど、俺も恥ずかしい。ごめん」スタスタ

幸子「そ、そうですか……」

幸子「……」

幸子(プロデューサーさんの背中、広くて大きいですね)ドキドキ

P「幸子」

幸子「は、はい」

P「今日のデート、俺も本当に楽しかったよ」

P「また遊ぼうな」

幸子「……はい」ニコッ

幸子(やっぱり子供にしか見られてないんですかね)

幸子(でも、いつかきっと……)ギュッ

P「幸子、首が締まってる……」

幸子「……」ウットリ

P「幸子? ちょっと!!」


第四話 おわり


――――

幸子「……」ニコニコ

ちひろ「幸子ちゃん、一昨日とは打って変わってご機嫌ですね」

ちひろ「聞いた話によると、プロデューサーさんとデートしたとか」

P「はい、楽しかったですよ」

ちひろ「私もお願いする時、デートしてくださいって言えばよかったなぁ」

P「ええ……俺からどんだけ搾取する気ですか」

ちひろ「私はそんなにがめつい女じゃないです!!」

幸子「プロデューサーさん」

P「!」

幸子「ちょっとこっちに来てください」

P「何だ?」スタスタ

ちひろ「全くもう」プンプン

幸子「昨日は楽しかったです。ありがとうございました」

P「喜んでもらえて何よりだよ」

幸子「で、最後のお願いなんですけど」

P「話が変わるの早いな。どんなお願いだ?」


↓2 幸子のお願い

ここまでにします
サメ映画にわかですがディープブルーとシャークネードが好きです

幸子「プロデューサーさんの実家に遊びに行きたいです」

P「俺の実家? 何でまた」

幸子「プロデューサーさんの生まれた所がどんな場所か知りたいんですよ」

P「知っても良いことないぞ。田舎で何もないし」

幸子「行くことに意味があるんです! 次に2人の休みが重なる日に行きましょう」

幸子「これは決定ですからね」

P「いいけど、ガッカリするなよ?」

幸子「しませんよ」

幸子(まあ、とか何とか言ってご両親に会うのが目的なんですけどね)

幸子(きっと子供にしか見られないでしょうけど、今から良い印象を持ってもらえれば)

幸子(数年後のためになります。そう、ボクが結婚できる歳になったら!)フフフ

P(めっちゃ笑顔だな。そんなに楽しみなのか)



――2人の休日――


幸子「結構電車乗り継ぐんですね」

P「退屈だろ?」

幸子「そんなことないですよ。色んな景色が見れますし」

幸子「まるで旅行してるみたいで楽しいです」

P「そうか……俺は何度も往復してるから、この景色に慣れちゃったな」

P「みかん食べる?」

幸子「もらいます! あーん」

P「……?」

幸子「固まってないで食べさせてください」

P「ああ、そういうことか。ほい」スッ

幸子(他にどういうことがあるんですか)パクッ モグモグ

『次は○○駅、○○駅です』

幸子「あ、そろそろ着きますね」

P「もう1回乗り継げば到着するから」

幸子「了解です!」


――――

幸子「わぁ……山がたくさんありますね」

P「これでも開発が進んでるんだけどな。俺が東京に初めてやって来た時はもっと…」

???「Pちゃん! こっちこっち!」

P「あ」

幸子「綺麗な女の人……知り合いですか?」

P「知り合いっていうか、俺の母親だよ」

幸子「!!」

P母「よく来たねぇ。この子が電話で言ってたアイドルさん? めんこい子だね」

P「輿水幸子って名前だよ。知らない?」

P母「ごめんね、私そういうのに疎くて」

幸子「いえいえ! ボ……私がもっと有名になっていないのが悪いんです!」

P(私!?)

幸子「輿水幸子と言います。よろしくお願いいたします」ペコリ

P母「こちらこそよろしくね」


――車内――

P母「へぇーそうなの。まだ14歳なのに、すごいねぇ」

幸子「そんなことないです。私より歳が下の子もアイドルとしてお仕事をしてますから」

幸子「学業との両立は大変ですけど、とても楽しくてやりがいを感じてます」ニコッ

P母「まあ素敵な笑顔! 私も幸子ちゃんのファンになろうかしら」

幸子「わぁ! 嬉しいです!」

P(誰だこれ)

P母「ねえPちゃん、紙と書くものあるかしら? サインもらいたいんだけど」

P「今運転中だから帰ってからにして。あとちゃん付けするのやめてくれ……もう大人なんだから」

P母「いいじゃない別に。私からしたらずっと子供なんだから」

P母「ねえ幸子ちゃん?」

幸子「はいお母様!」

P(お母様!?)


――Pの実家――

P母「じゃあ私、畑仕事があるから」

P母「何もないところだけど、ゆっくりしていってね幸子ちゃん」

幸子「はい! ありごとうございます!」

スタスタ

P「幸子」

幸子「何ですか?」

P「なんか態度がいつもと違うような気がするんだけど」

幸子「そりゃあプロデューサーさんのご両親ですからねぇ」

幸子「プロデューサーさんが見つけたアイドルとして、きっちりしたところを見せないと」

P「ありのままで良かったと思うけどな……」

幸子「ところで、ボクプロデューサーさんの部屋が見たいんですけど」

P「見てどうするんだ。子供の時に使ってた机とかしかないけど」

幸子「いいじゃないですか、お願いします」

P「分かったよ……ついて来て」スタスタ

幸子「お邪魔します!」


幸子「へー、ここが……」

P「この机で勉強したり、オモチャ箱のオモチャで遊んだり」

P「まあ大半は外で遊んでたんだけど」

幸子「ここら辺だと遊ぶ場所たくさんありそうですね」

幸子「アルバムとかないんですか?」

P「卒業アルバムは東京の家に持ってったからなぁ」

P「でも生まれた時の写真とか、学校に入学とか節目の時に撮った写真なら」

P「母さんが持ってるかもしれないな」

幸子「見たいです! っていうか」

幸子「プロデューサーさん、お母様のこと母さんって呼ぶんですね」

P「うん。っていうかお前は、何でお母様って…」

幸子「あ、これ何です?」

P「話を逸らすな!」


P母「Pちゃーん! お父さんが幸子ちゃんに挨拶したいって!」

幸子「!」

幸子(プロデューサーさんのお父様……何としても気に入ってもらわないと)

P「仕事終わってからでいいのに。居間に行くか」

幸子「はい」


――――

P父「へー、めんこい子だなぁ」

幸子「輿水幸子と言います、よろしくお願いいたします」ペコリ

P父「ご丁寧にどうも。Pの父です」ペコリ

P父「で、何でこの子と一緒に、この時期に家に帰ってきたんだ?」

P父「まさかこの子と結婚するってんじゃ……」

幸子「!!」

P「幸子に失礼だって。まだ14だし」

P「ここには遊びに来ただけだよ」

P父「ははは、冗談だよ。ごめんな幸子ちゃん」

幸子「いえそんな」

P母「でも、幸子ちゃんのような子が嫁に来てくれたら」

P母「私も可愛がっちゃうわ」

P「母さん……」

幸子(これは……チャンス?)

幸子(グイグイいけば掴めるかもしれない。いや)

幸子(謙虚に行くべきでしょうか……うーん……)


1、グイグイいく

2、謙虚にいく


↓2

幸子「そ、そんな……結婚なんて考える歳じゃないですし」

幸子「私みたいな子、プロデューサーさんとつり合わないですよ」アハハ…

幸子「プロデューサーさんはとても優しくて、カッコよくて、頼りになる素敵な男性なので」

P父「こいつがかぁ? お世辞にもほどがあるだろ」

P(おい父親。と言いたいけど、確かに俺もそう思う)

P母「でも2人が並んでるところ見ると、お似合いだと思うんだけどねぇ」

幸子「本当ですか? そう言ってもらえると嬉しいです」ニコッ

P「もうこの話はいいから、2人共仕事に戻ったら?」

P父「そうはいかねえぞ。お前が帰ってくるたび言ってんだろ」

P父「早く良い嫁さん見つけて親を安心させろって」

P「俺が40越えてるならまだしも……」

P母「今付き合ってる女の子はいるの?」

幸子「」ピクッ

P「……」

幸子「……」ドキドキ

P「いないけどさ」

幸子(よ、よかった……)ホッ

P父「地元で付き合ってた子いたろ。あの子はどうしたんだ」

P「お互いに離れた場所だったし、なかなか会えないからって別れたよ」

P「てかそれ3年くらい前の話だから」

P母「何でもいいけど、3年後くらいには良い報告してね」

P「分かってる。心配しすぎだって」

幸子(え)

――――

P「ごめんな幸子。説教に付き合わせちゃったな」

幸子「いえ……」

幸子「あの、プロデューサーさん」

P「ん?」

幸子「さっきお母様が、3年後くらいには良い報告してねって仰った時」

幸子「分かってるって返事しましたけど」

幸子「……当てはあるんですか?」

P「当て?」

幸子「返事をしたっていうことは、結婚したいと思う女性がいるってことですよね?」

幸子「今年に付き合って、それから3年したら…」

P「あれはその場凌ぎだよ」

幸子「え?」

P「ああでも言わないと話が長引いちゃうからさ」

P「まあ俺だってそういうことは考えてるし、なるべく早く親を安心させたいって思ってるから」

P「目標として設定はするつもりだけど」

幸子「3年後に、ですか?」

P「うん」

幸子(その頃ボクは17歳……結婚できる年齢ではありますけど)

幸子(そしたらアイドルは当然やめなきゃいけないですよね。ちょっと早いような……)

P「何か食べに行くか?」

幸子「!」

P「甘いものでもさ。ここにいたってすることないし」


1、甘い者を食べに行く

2、P実家付近を散歩する

3、自由安価


↓2

ここまでにします
できれば21時くらいに始めます

幸子「せっかく来たんですしここら辺を散歩したいです」

P「散歩か? まあいいけど」

――――

幸子「ふー、穏やかです。マイナスイオンもたっぷりですね」

P「東京だと人や建物ばかりだもんな」

P「お……あそこの空き地、よく友達と集まって遊んだんだよ」

P「野球とかサッカーとかしたなぁ」

幸子「やっぱりアウトドアなんですね」

P「いや、どちらかというと家でゲームしてる方が楽しかったんだけどな」

P「親が外で遊べとうるさくて。あとは山の中に入って野イチゴ探して食べたり」

幸子「ワイルドですね……」

P「秘密基地も作ったりしたよ。今残ってるか分からないけど」

幸子「男の子って好きですよね。ボクも小学校の時に」

幸子「クラスの男の子が秘密基地の話してるの聞いてましたよ」

P「ロマンがあるからな。マンガやお菓子持ち込んだりして……」

幸子(ふふ、目がキラキラしてますね)

幸子「……」

幸子「……プロデューサーさん」

P「ん?」

幸子「えっと、相談したいことがあるんですけど」

P「珍しいな」

幸子「ボク、これからもカワイイアイドルとして仕事を頑張るつもりなんですけど」

幸子「17歳でやめようかなと思ってるんです」

P「えっ……ど、どうして?」

幸子「理由は伏せさせてください。これについてプロデューサーさんはどう思いますか?」

P「どう思うって、理由が分からないんじゃ……」

P「できれば幸子にはアイドルを続けて欲しいよ。これからもっともっと輝いていけると確信してるから」

幸子「……」

P「決定なのか?」

幸子「いえ、まだ迷ってるんです。そもそも」

幸子「アイドルをやめる場合の理由も、成し遂げられるか分からないので」

P「つまり、幸子の夢か」

幸子「そうですね。ボクの夢です」

幸子(そしてある種女の子の夢でもあります。なんかアイドルみたいですね)

P「そうか……じゃあ引き止めないよ。その夢に向かって突き進んで欲しい」

P「……なあ幸子」

幸子「?」

P「もしその夢を叶えたとして、アイドルに復帰することはできないか?」

P「一時的に休養すると世間で言っておいて…」

幸子「それは無理ですね」

P「……幸子は、アイドルを続けたいと思わないのか」

幸子「え」

P「いや、ごめん。アイドルをやめると決断するほど追いかけたい夢なんだよな」

P「今のは忘れてくれ……余計なことを言った」

幸子「……」

幸子(そりゃあボクだって、アイドルはずっと続けたいと思ってますよ)

幸子(でもプロデューサーさんが……プロデューサーさんが結婚を3年後に設定するなんて言わなければ……)

幸子(あっ)ピーン

幸子(待ってください!? 結婚とまではいかなくても)

幸子(婚約をするというのはどうでしょう!! 何が何でも結婚しますという意思表示をしておけば)

幸子(ご両親に安心してもらえると思いますし、ボクも20歳ちょっとくらいまで……は、欲張りすぎでしょうか)

幸子(ともかく17歳より長い時間アイドルを続けられるかもしれません!)

幸子(フィアンセ……そう、フィアンセですよ! 良い響きですねぇ!)

P「さて、そろそろ家に戻るか」

幸子「プロデューサーさん」

P「?」


幸子「3年後までには、必ず成し遂げてみせますからね」ニコッ

P「!?」ゾクッ


P(な、何だ……! 笑顔なのに威圧感が……まるで蛇に睨まれているような……!)

幸子「でも道は険しいですねぇ。ライバルがそこそこいるので」

幸子「まあカワイイボクなら軽ーく蹴散らしちゃいますけどね! ふふーん!」

P「そ、そうか……頑張れ」

幸子「はいっ!」



――翌日――


P母「もう帰っちゃうの」

P父「あと2、3日くらい居りゃいいのに」

P「無茶な。俺も幸子も仕事や学校があるんだから」

幸子「短い間でしたけど、お話できてよかったです!」

P母「また来てね? 歓迎するから」

P父「アイドル頑張れ! うちの家族はみんな幸子ちゃんのファンだ!」

幸子「ありがとうございます!」

P「はは……」

――――

P「騒がしい家族だったろ?」

幸子「というより賑やかでしたね。いずれはボクもあの中に入るんですね」

P「え?」

幸子「あ、見てくださいプロデューサーさん。綺麗な景色です」

P「幸子、今のはどういう…」

幸子「みかん食べますか?」

P「……うん」


おわり


――――

P「んー……」

ちひろ「プロデューサーさん、難しい顔してますけどどうしたんですか?」

P「あ、すみません。気にしないでください」

ちひろ「気になりますよ。悩み事ですか」

P「はい……幸子のことなんですけど」

ちひろ「幸子ちゃんに何かあったんですか?」

P「気づきませんか。様子が変なんです」

ちひろ「様子が……?」


↓2 幸子に何が起きたか

P「留美さん達と結婚情報誌を読むようになったんですよ」

P「最初は大人の女性に感化されて、真似してるのかなと微笑ましく思ってたんですけど」

P「話しかけたら真剣な顔をしてて、俺の声も届いてないみたいなんです」

ちひろ「結婚情報誌ですか……」

P「そういう仕事を意識してるんでしょうか」

P「前にLove YellでWith Loveという曲をやりましたけど、仲間に入りたいとか」

ちひろ「可能性はありますね。曲じゃないにしても、ウエディングドレスを着ることに憧れてるとか」

ちひろ「あとは……」

P「あとは?」

ちひろ(結婚を考えている、ですね。まだ中学生ですからその線はないと思いますけど)

ちひろ「いえ、何でも。こうやって考えていても正解は出ませんし」

ちひろ「直接聞いてみては?」

P「やっぱりそうですよね……はい、行ってきます」スッ

スタスタ


――――

早苗「ねえ、私たちって虚しくない?」

瑞樹「何で?」

早苗「こういう結婚関連の雑誌ばっか読んで何になるんだって話じゃない」

早苗「それより相手を探した方がずっと有意義だと思うわ」

留美「それはそれ、これはこれ。相手を探す時はそれに専念して」

留美「そうでない時はこうして雑誌を読んで、素敵な未来を想像するのも良いと思うわ」

瑞樹「良いこと言うわね留美ちゃん! あ、見てみて! このドレス可愛い!」

早苗(留美ちゃんはまあまだ余裕があるとして、私と瑞樹ちゃんは想像してる場合じゃないような)

早苗(……いや……考えてみればまだ28よね? うん、ものは考えようよ)

早苗(アイドルとして仕事も頑張ってるんだから、そのうち相手は見つかる。うん)

早苗「どれどれ? わー本当ー!」

留美(とは言え没頭するのも、端から見たら悲しく見られると思うけど……)

幸子「……」ジー

留美(ここにも没頭してる子が1人ね)

幸子(はぁ……いいですねぇウエディングドレス)

幸子(こんなの着てバージンロードを歩いてみたい。そしてその先にいるプロデューサーさんの元へ行き)

幸子(神父さんの言葉の後に、プロデューサーさんがボクのベールを持ち上げ……)

幸子(誓いのキスを! えへへへ)ニヤニヤ

留美「幸子ちゃん?」

幸子「はいっ!? なな、何ですか!?」ビクッ

留美「ごめんなさい、やけに真剣だったから」

留美「それを読んでる理由、やっぱり教えてくれないの?」

幸子「い、言ったじゃないですか! ボクにも将来結婚する時がきますから!」

幸子「それに備えて知識を入れておくんですよ!」

幸子(嘘は言ってませんよね?)

留美「そう、まあいいけれど……」


P「幸子!」スタスタ

幸子「プロデューサーさん!?」アタフタ

留美(この慌てようは……)

今日はここまでにします
また明日始めます

早苗「あ、プロデューサー」

瑞樹「どうしたのそんなに慌てて」

P「別に慌ててはいないですよ」

P(やっぱりこの輪の中にいたか)

留美「大事な話?」

P「大事……といえば大事かもしれないですね」

幸子「な、何ですか?」

P「えっとな」

留美・早苗・瑞樹「……」ジー

P(この注目された状況だと話しにくいな)

P「幸子、最近大人に紛れて結婚情報誌を読んでるよな?」

P「どうしてかなと思って」

幸子「……」

留美(偶然。私も知りたかったことだわ)

早苗「幸子ちゃんが言うには、大人になったらいずれ結婚する時が来るから」

早苗「それに備えて知識を入れておきたいらしいわよ」

瑞樹「そう、建前はね」

早苗「え?」

瑞樹「私の勘だけど、幸子ちゃんは嘘をついてるわ」

瑞樹「本当の理由があるはずよ」

早苗「そうなの幸子ちゃん?」

幸子「う……」

P「言えないようなことなのか? なら言わなくてもいいけど」

幸子(ど、どうしましょう)

幸子(プロデューサーさんに本当のことを言った方がいいんでしょうか)

幸子(他の人がいるこの状況で)


↓2 どうするか

幸子(そ、そうですよ。ボクは誓ったんです)

幸子(プロデューサーさんと婚約をするって)

幸子(だからその意思を今から伝えて、宣戦布告を……)

幸子「あ……あの……」

P「?」

幸子「えと、ですね……ぼぼ、ボクは……ぷろ……プロデューサーさんと……」カァァ

P「俺と?」

幸子「こ……こっ……」


幸子「やっぱり無理です!!」スタタタッ

P「幸子!?」


P「何で逃げるんだよ……俺、何か悪いことしたかな……」

早苗「顔を真っ赤にするくらい言いづらいことだったんじゃないの?」

瑞樹「女の子には色々あるのよ」

留美「……」

P「ちょっと追いかけます!」スタタタッ

留美「……」

早苗「ねえ、幸子ちゃんの今の反応さ」

瑞樹「やっぱり気づいた?」

早苗「もしかしてプロデューサーのことを好きなのかな」

留美「ほぼ間違いないと思う。あれは恋をしてる女の子の目だったから」

早苗「ということは……なるほど、繋がったわ」

早苗「幸子ちゃんはプロデューサーと恋愛関係を築きたいと思っている」

早苗「そしてやがて結婚を……と考えて、私たちに紛れてこれを読んでたってことね」スッ

瑞樹「いいわね、若いわ……」

留美「……そうね」

留美「でも幸子ちゃんは若すぎる。どう頑張っても法律という絶対に越えられない壁があるのよ」

早苗「え……急にどうしたの留美ちゃん」

瑞樹「知ってるでしょ? 留美ちゃんはプロデューサーのことを……」ヒソヒソ

早苗「もちろん知ってるけど、幸子ちゃんは14歳なのよ」ヒソヒソ

留美「恋に年齢は関係ないわ」

早苗・瑞樹(聞こえてた)

留美「そう、関係ないの。私はこれからプロデューサー君にアピールして」

留美「幸子ちゃん、あなたに勝ってみせるわ。勝負よ」

スタスタ

早苗「独り言を言いながら行っちゃった」

瑞樹「留美ちゃんのプロデューサー熱もなかなかのものね」

瑞樹「羨ましいわ、それくらい人を好きになれるって」

早苗「でもそんなに良い男かしら? そりゃ仕事にも熱心だし」

早苗「性格も悪くはないし、顔もそこそこ……良いわね……」

瑞樹「収入も安定してる……」

早苗(性格や価値観が合うかも大事だけど)

瑞樹(普段私たちと接してくれてるから理解力もあると思う)

早苗(あれ?)


早苗・瑞樹(もしかしてプロデューサー、優良物件?)


――――

P「幸子、逃げることないだろ?」

幸子「……」

P「分かった、もう追求はしないから安心してくれ」

幸子「……」

幸子「いいですよ。理由教えます」

P「えっ」

幸子(今なら誰もいませんし、この思いを伝えるチャンスです)

幸子(頑張るんですよ幸子! 勇気を出して!)

幸子「あ、あの……ボク、プロデューサーさんのことが……」

幸子「す……す……」


留美「こんなところにいたの」

幸子・P「!?」

幸子(留美さん! プロデューサーさんを追いかけて来たんですか)

P「えっと……何でしょうか。幸子か俺に用が?」

留美「……そうね」


留美「プロデューサー君にあるわ。用事が」ギュッ

幸子・P「!!」


幸子(な、何をして……!)

P「これは……どういう……」

留美「腕に抱きついてるの」

P「それは分かってますよ! どうして抱きつくんですか!」

留美「誘惑よ」

P「誘惑?」

幸子「……」

幸子(そういうことですか。留美さんもプロデューサーさんを狙う1人)

幸子(そしてボクに勝負を挑んでるんですね!?)

留美(察したみたいね)フフ

留美「こうした方がお願いを聞き入れてもらいやすかなと思ったの」

留美「もしよければなんだけど、今から仕事の休憩にケーキを食べに行かない?」

P「ケーキ、ですか」

留美「ええ。駅前に新しいお店が出来たのよ」ニコッ

P「!」ドキッ

P(仕事してるイメージの強い留美さんが、こんな可愛らしいことを言うなんて)

P(この笑顔も、すごく……)

幸子(ま、マズいです! 留美さんに魅了されてます!)

幸子(どうしましょう……何とかしないと……!)


↓2 幸子のとった行動

留美「お願い」ギュー

P「は、はい……いいですけど……」


幸子「プロデューサーさんっ」ギュッ

P「!」


幸子「ボクも気になってたんですよあのお店!」

幸子「ぜひご一緒させてください!」ニコッ

留美「……」

P「そうなのか。留美さん、いいでしょうか?」

留美「ええ、もちろん」ニコッ

留美「じゃあ行きましょうか」スッ

幸子「はい」スッ

P(一斉に腕から離れた!? 何なんだ一体)

留美(この勝負)

幸子(絶対に勝ってみせる)


早苗「……出遅れちゃった」

瑞樹「まあそのうちチャンスはあるわ。行きましょう」

第六話 おわり


――――

幸子「ここのケーキ美味しいですねぇ!」ニコニコ

留美「本当にね」ニコニコ

P「……」

P(おかしい。さっきから2人共笑顔なのに笑ってない気がする)

P(気が張り詰めてるというか……)

幸子「プロデューサーさん、そのチョコレートケーキ美味しそうですね」

幸子「ボクのモンブランと一口交換しませんか?」

P「ああ、いいよ」

幸子「ありがとうございます! じゃ、どうぞ」スッ

P「?」

幸子「食べさせあいっこしましょうよ!」

P「ええ……恥ずかしいな」

幸子「ちょっとくらいいいじゃないですk、さあ」

P「仕方ないな……」パクッ

幸子「美味しいですか?」

P「うん」モグモグ

幸子「次はプロデューサーさんの番ですよ! あーん」

P「……」スッ

パクッ

幸子「美味しいです!」モグモグ

幸子(ふふーん、どうですか留美さん?)

幸子(これはボクとプロデューサーさんの関係だからできることですよ!)

留美「……」

留美「あら、プロデューサー君。口にケーキがついてるわ」

P「え?」

留美「待って、拭いてあげる」フキフキ

幸子・P「!!」

P「す、すみません……」

留美「いいのよ」

幸子(な、なるほど。なかなかやりますね)

幸子(でもボクの方が…)

留美「幸子ちゃん、あなたも」フキフキ

幸子「へ?」

留美「とれたわ。ケーキがついてた」

幸子「あ、ありがとうございます」

幸子(あれ? なんか優しいですね)

P「やっぱり幸子は子供だな」フフ

幸子「!!」

幸子(違う! これは自分を上げつつ相手を下げる巧妙なテクニック!)

幸子(まずプロデューサーさんの口を拭くことで気遣いのできる女性を演出し)

幸子(次にボクの口を拭くことでその効果は膨らみ、さらにボクを子供っぽく見せることもできる!)

幸子(うぅ……やりますね留美さん、さすが大人の女性です……)

留美「プロデューサー君、あなたも人のこと言えないわよ」

P「そうですよね、すみません……」

留美「……でも」

留美「そういう隙があるのは可愛くていいと思うわ」クスッ

P「褒め言葉ですかそれ……」

留美「ええ」

幸子(ちょっと! 良い雰囲気じゃないですか!)

幸子(強烈なカウンターを喰らった後に畳み掛けられた気分です……)

幸子(ボクに勝目はあるんでしょうか)

留美「!」

留美「……ごめんなさい。ちょっとお手洗いに」スッ

P「はい」

幸子(来た! これはチャンスですよ!)

留美(生理現象は避けられないものね……)

スタスタ

P「……」

幸子「……」


↓2 幸子のとった行動

幸子「あ、プロデューサーさん」

P「ん?」

幸子「ネクタイが緩んでますよ。直してあげますね」グイッ

P「唐突すぎる」

幸子「ごめんなさい、すぐですから」クスッ

P「!」ドキッ

P(あ、あれ? 何で今俺……)

幸子「はいっ、できました」

P「……ありがとう」

幸子(ちょっと強引すぎたでしょうか)

幸子(でもプロデューサーさん、今のでボクとの結婚生活を意識してしまったかもしれませんねぇ)

――――

留美「美味しかった。また行きたいわね」

P「そうですね」

留美「今度は2人きりで」ヒソヒソ

P「えっ」

留美「ふふ」

幸子(何ですか!? 今どんな言葉を耳打ちしたんですか!?)

留美「あ……私、もうそろそろ仕事だわ」

幸子「!」

P「送っていきましょうか?」

留美「ううん、大丈夫よ。ありがとう」

留美「じゃあまたね幸子ちゃん」

幸子「はい」

幸子(これはどういうことでしょう。勝負はお預け?)

留美「あ、そうだわ」

留美「プロデューサー君、今日の夜空いてる?」

P「夜ですか? ええ、一応」

留美「美味しいお酒のあるお店があるんだけど、一緒にどうかしら」

幸子「!!」

P「いいですね。他に誰に声をかけますか?」

留美「誰にも声をかけないで。私と君の2人で飲みましょう」

P「2人で……? いいですけど」

幸子「!?」

幸子(そ、そんな……)

留美「決まりね。じゃあ7時にプロダクションの前に集まりましょう」

P「はい」

幸子「……」

留美「ごめんね幸子ちゃん、子供は入れない所だから」

幸子「だ、大丈夫ですよ! 仕方ないですから!」

留美「大人になったら一緒に行きましょう」

スタスタ

留美(これも勝負の一環よ。卑怯だなんて思わないでね)

幸子(卑怯なんて思いません。大人と子供の差は承知の上ですから)

幸子(けど……干渉できない以上、ボクは家で祈ってるしかないです)

P「……」

幸子(プロデューサーさんは、そんなに簡単にコロっといったりしませんよね?)

P「どうした幸子? 不安そうに俺を見て」

幸子「い、いえ……」

P「幸子の仕事はもう少し先だな。ちょっと遊んで行くか?」

幸子「……はい」

幸子(クヨクヨしてられません。今のうちに少しでもアピールしておくんです)

幸子(どこに行きましょうか)


1、ゲームセンター

2、ペットショップ

3、自由安価

↓2です


――――

幸子「プロデューサーさん行きますよー! カワイイサーブ!」ポーン

P「何だその名前……よっと!」ポーン

幸子「カワイイアタック!」バシンッ

P「うわっ!?」

ザパーン

幸子「ふふーん! ボクの可愛さを受けきれませんでしたか」

P「こんな近距離でアタックするか普通!?」

幸子「確かにちょっとやり過ぎましたね……ごめんなさい」

幸子「ところで、ボクの水着姿どうです?」

P「またか。もう4回目だぞ」

幸子「できるなら無限に聞きたいですね。お願いします、もう一度だけ!」

P「すごく可愛いよ」

幸子「ありがとうございます!」ニコッ

P「全く……」ハハ

幸子「プロデューサーさん、最後にあれに乗りましょう」

P「ウォータースライダーか? いいけど、結構怖いって有名だぞ」

幸子「それは困りましたねぇ。うーん、どうしましょうか」

幸子「あ! そうです、一緒に乗ればいいんですよ!」

P(ほぼ棒読み)

幸子「早速二人乗り用のボート借りて来ますね!」ザバザバ

P「決定か!」

――――

幸子「いよいよボクたちの出番ですね」

P「俺が後ろに乗ればいいのか?」

幸子「はい。後ろでボクを抱きしめててください」

P「それは必要ないんじゃないか……周りの目も厳しいし」

幸子「そうしてもらわないと怖くて乗れないんですよ」

幸子「さあ、後ろがつっかえてますよ! 早く!」

P(じゃあ無理して乗らなくてもいいだろ)

P「分かったよ。いくぞ」

ギュッ

幸子「!」

幸子(こ、これは……いいです! いいですよ!)ドキドキ

P(なんか、こうして肌が触れると……ダメだダメだ。何考えてるんだ俺)

幸子「スタートです!」

P「!?」

幸子「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

P「……!!」

P(確かにこれは、結構……!)

幸子「ちょっ、なんか速くないですか!?」

幸子「想像よりも……! ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

幸子「落ちる落ちる落ちますって!! いやあぁぁぁぁぁぁ!!」

――――

P「なかなか怖かったな」

幸子「はぁ……はぁ……」

P「大丈夫か?」

幸子「は、はい……」

幸子(くっ、可愛い悲鳴を維持できませんでした!)

幸子(こんなんじゃプロデューサーさんに良く思われません……)

P「ふふ……それにしても、さすがだな幸子」

幸子「え?」

P「あの声といい動きといい、いいリアクションだったよ」

P「聞いてるうちに恐怖心がどこか飛んでいった」

幸子「なっ!? 失礼じゃないですか!?」

P「ごめんごめん。でもあんなの反則だよ」アハハ

幸子「うう……」

P「落ち込まなくてもいいだろ。あれも幸子らしさなんだから」

P「そういうところ、俺は好きだぞ」

幸子「え?」

P「さて、そろそろ着替えるか」

幸子「……」

幸子(い、今の……どういう意味?)

幸子(確かに好きって……)



――その夜・幸子の部屋――


P『そういうところ、俺は好きだぞ』

幸子「……」

P『俺は好きだぞ』

幸子「……」ニヤニヤ

P『好きだぞ』

幸子「くぅーー! うふふっ!」ジタバタ

幸子(好きって言ってもらえた。恋愛的な意味での好きじゃないにしても)

幸子(ボクに好意を持ってくれてるってことですよね!)

P『好きだぞ幸子』

幸子「えへへへ! やめてくださいよー、みんなの居る前で……」ジタバタ

ピタッ

幸子「……でも今」

幸子「プロデューサーさんと留美さんは、一緒のお店で一緒にいるんですよね」

幸子「……不安です、すごく」

幸子「……」

幸子「もし2人が楽しくお酒を飲んで、酔っ払って」

幸子「良い雰囲気になって、ホテルへ……なんてことも……」

幸子「やめです! やめ! こんなこと考えるなんて余計です!」

幸子「今日は早めに寝ましょう。起きてると不安しかないですからね」

幸子「お風呂入ってこよう」スタスタ


――翌朝――


ガチャ

幸子「おはようございます」

P「おはよう幸子」

幸子「……」

P「俺の顔に何かついてるか?」

幸子「い、いえ……」

幸子(聞くのが怖い。でも聞かないと)

幸子「プロデューサーさん」

P「ん?」

幸子「き、昨日のことなんですけど……留美さんと…」

P「ごめん幸子……その話はちょっと」

幸子「え?」

P「あまり思い出したくないというか……はは……」

幸子「な……何でですか? 留美さんと何が…」

ガチャ

留美「おはようございます」

P「あ」

P「留美さん……昨日はすみませんでした!」ペコリ

幸子(え? 何かしたんですかプロデューサーさん)

留美「いいのよ。気にしないで…」

幸子「……」ソワソワ

留美「……ふふ」

留美「そうね。ちょっと傷ついちゃったかも」

幸子「!!」

留美「あんなことやこんなことしたんだから、当然よね」

P「はい……」

留美「責任とってくれる?」

P「必ず」

幸子(あんなことや……こんなこと……)プルプル

幸子(責任とる……? それってもしかして……!)プルプル

留美「じゃあ私はもう仕事だから」ガチャ

幸子「あ」

幸子(怖いだとか言ってられないです! 直接聞かないと! 昨日何があったのか!)スタタタッ

――――

幸子「留美さん!」

留美「幸子ちゃん、どうしたの?」

幸子「……」

留美「まあ、大体分かるんだけど」

留美「昨日あったことを聞きたいんでしょ?」

幸子「はい」

幸子「もしかして、プロデューサーさん……留美さんと……」

留美「何も無かったわ」

幸子「……え」

留美「幸子ちゃんが考えてるようなことは、何もね」

留美「プロデューサー君、お酒を飲み過ぎてへとへとになったのよ」

留美「で、私が介抱してあげたの。タクシーを拾って送り届けて」

幸子「あんなことやこんなことって言ったのは?」

留美「フラフラで私にもたれかかってきたり、肩を貸したりしたから」

幸子「責任とってって言ったのは?」

留美「迷惑をかけた分、お返しをしてねって意味」

幸子「……そうだったんですね」

幸子「ビックリしました……てっきり……」

留美「ごめんなさい、あなたをちょっぴりからかったの」

留美「本当は仲を進展させる気で誘ったんだけど……美味しいお酒を勧めたのがいけなかったわね」

幸子「……」

幸子「でも、そんな姿を見て幻滅しましたよね?」

留美「幻滅とまではいかないけど、ガッカリしたわね。自分の限界を分かってる人だと思ってたから」

幸子「じ、じゃあもうアピールはしないんですか?」

留美「いいえ」

留美「確かにガッカリはしたけど、それ以上に……プロデューサー君の弱点というか」

留美「だらしない部分を知ることができたんだって、喜んでるのよ」フフ

留美「関係は進展しなかったけど、もっと彼を知ることができて嬉しいの」

幸子「……」

留美「責任をとってくれるらしいし、今度は食事に誘ってもらおうかしら」

留美「もっともっと彼を知りたいわ。もちろん私のことも知ってもらいたい」

幸子「留美さん」

留美「?」

幸子「あなたはとても素敵な大人の女性です」

幸子「勝ち目はないのかもしれません……でも」

幸子「ボクだってプロデューサーさんのことが好きなんです! 絶対に負けませんから!」

留美「子供のあなたが大人になるまで、引き止めておけるかしら?」

幸子「ボクは世界一カワイイですからね! セクシーな魅力にも負けませんよ!」

留美「そう、楽しみね」クスクス


早苗「結局出ていけなかったわ……」

瑞樹「まだまだチャンスはあるから待ちましょう。虎視眈々とね」


第七話 おわり

ここまでにします
次は夕方頃に始めます

当初の話と違ってただの幸子中心のラブコメになってきてるのが残念。
タイトル詐欺。

>>208
幸子の話とだけ決めてたので
これもそのうちと考えていただけると…
思ったような展開で無く、すみませんでした

すみません、こんな時間になってしまいました
少しですが始めます


――――

P「……」

ちひろ「プロデューサーさん、なんか元気ないですね」

幸子「お酒の飲み過ぎで留美さんに失礼したらしいですよ」

幸子「ま、ボクはそんなプロデューサーさんも受け入れますけどね!」

ちひろ「? そ、そうですか」

ちひろ(誰かの影響を受けたのかしら)

スタスタ

早苗「プロデューサー! もっと張り切っていきましょう!」バシン

P「痛っ!? 早苗さん、いきなり何するんですか!?」

瑞樹「そうよ、そんなことしたら痛いに決まってるでしょ」

瑞樹「大丈夫だった?」スリスリ

P「あ……ありがとうございます」

幸子「……!」

幸子(早苗さんと瑞樹さん……まさか……)

幸子(いえ、さすがに考えすぎですよね。2人もプロデューサーさんを狙ってるなんて)

早苗「ご、ごめんねプロデューサー」スリスリ

P「いえ……」

瑞樹(いい早苗ちゃん、先に落とした方が勝ちよ)スリスリ

早苗(分かってるわ。恨みっこなしね)スリスリ

P「あの、もう背中大丈夫なんで……」

幸子(な、何ということですか)

幸子(あれは間違いなく獲物を狙う肉食動物の目!!)

幸子(やっぱり2人もプロデューサーさんを……!)

早苗「プロデューサー、このお詫びと言ってはなんだけど」

早苗「今夜食事でもどうかしら?」

P「え? ああ……すみません。しばらくはお酒を控えるつもりなので」

早苗「お酒は抜きでどう?」

P「まあそれなら……いや、お詫びなんていいですよ。このくらい」

早苗「そ、そう」

瑞樹(必死すぎよ早苗ちゃん)

早苗(な、なんですって!?)

瑞樹(今から私が大人の誘い方というものを見せてあげる)

幸子(あの2人、さっきから目をパチパチさせて何してるんでしょうか)

瑞樹「プロデューサー、相談があるんだけど」

P「はい」

瑞樹「私的な相談なの。私弟がいるんだけど、近々誕生日なのね」

瑞樹「それで誕生日プレゼントを買いたいんだけど、どういうものがいいか分からなくて」

瑞樹「もしよかったら意見を聞かせて欲しいの」

P「俺にですか? いいですよ」

瑞樹「ありがとう! 歳はプロデューサーよりちょっと下で…」

早苗「瑞樹ちゃんって弟いないでしょ」

瑞樹「……」

P「いないんですか?」

早苗「うん」

瑞樹「あ、あははは!」

瑞樹(ちょっと! 邪魔するのは無しでしょ!)

早苗(これも恋愛よ!)


――――

早苗「ということで!」スタスタ

瑞樹「楽しみにしてるわね」スタスタ

P「はい」

幸子(結局2人共食事の約束を取り付けていきました)

幸子(最初はちょっとグダグダでしたけど、それからがとてもスマート)

幸子(ボクも見習わなければいけないことばかりで、さすがです)

幸子(……ボクは、このままでいいんでしょうか……)

幸子(留美さんにも言ったとおり、可愛さには自信がありますけど)

幸子(それだけで戦うとなると苦戦を強いられると思います)

幸子(もっと……もっともっと魅力が欲しいです。スキルを上げたいです)


???(心の叫び、しかと聞き届けました)

幸子「!?」


幸子(な、何ですか!? 誰かがボクの脳内に直接……!?)

???(怖がることはないです。ゆっくり後ろを向いてください)

幸子(めちゃくちゃ怖いですよ!?)

幸子(う、後ろにいるんですか?)

???(はい)

幸子(……)ドキドキ

クルッ

幸子「……なんだ、裕子さんでしたか」

裕子「あれ? そんなに驚いてない!」ガーン

幸子「ええ、ボクの予想だと小梅さんが関係してると踏んでて」

幸子「つまり、幽霊的な何かだと思ってたんですけど……裕子さんでホッとしたというか」

幸子「って、えぇぇぇぇ!? 裕子さん本物の超能力者だったんですか!?」

裕子「くぅー! いいですよその反応! それを待ってたんです!」

幸子「少し遅れてやって来ましたよ!! 手品ですか!?」

裕子「本物の力です! ついに私の中に眠っていた力が目覚めたんです!」

裕子(これが証拠です)

幸子(脳内に直接!? すごいです裕子さん!!)

裕子(まあ本当は志希さんの薬の効果なんですけど)

幸子(ああ……って納得してしまうボクもボクですね)

幸子(っていうか、そもそも何で裕子さんがボクの前に?)

裕子(話せば短いんですけど、この力を使って色んな人の心の声を覗いてたら)

幸子(なに恐ろしいことしてるんですか)

裕子(幸子ちゃんの声を聞いて……私に何か力になれないかなと思ったんです)

幸子(本当に短いですね。でも嬉しいです、ありがとうございます)

裕子(いえいえ)

幸子「あの、目の前にいるんですから直接話しましょう」

幸子「端から見ると黙ったまま見つめ合ってる変な2人組ですよ」

裕子「確かに! それで、何をレベルアップさせたいんですか?」

幸子「え?」

裕子「言ってたじゃないですか。魅力やスキルを上げたいって」

裕子「具体的に何を上げたいんです?」

幸子「そ、そうですね……欲を言えば恋愛で有利になるもの全部上げたいですけど」

幸子「一つ挙げるなら……」


↓2 幸子の上げたいもの一つ(魅力、料理力、包容力など)

短いですがここまでにします

幸子「……胸囲」ボソッ

裕子「え?」

幸子「胸囲を大きくしたいです」

裕子「おっぱいですか? 幸子ちゃんはまだまだこれからだと思いますけど」

幸子「今欲しいんです。まあこんなこと言ったって、すぐにどうにかなるものじゃないですけど」

幸子(大人になった時のボクも巨乳とは言えなかったですからね)

幸子(今から牛乳を飲んだりして、地道に頑張るしかないです……)

裕子「牛乳飲まなくても今すぐ大きくできますよ」

幸子「ナチュラルに心読まないでもらえますか!? どういうことですそれ?」

裕子「実は私、心の声を聞く他にもある超能力を持ってるんです」

裕子「簡単に説明すると、自分以外の人の『力』をアップさせることができるんですよ!」

幸子「……」

裕子「ピンと来ないかー。えっと、じゃあ試しに」

裕子「幸子ちゃんが欲しい胸囲……『おっぱい力』をアップさせますね!」

幸子「おっぱい力? 初めて聞きましたけど」

裕子「おっぱい力とは!! 大きさ、形、張り、全てを総合して数値化したもののことです!!」

幸子「声が大きいですよ!! それこそ心の声で話すべきでしょう!!」

裕子「ではいきますよ幸子ちゃん、準備はいいですか?」

幸子「えっ、唐突ですね……ど、どうぞ」

裕子「むむむ! はぁーーー!!」

幸子「!?」ググ

幸子(む、胸が……膨らんでる……!?)グググ

幸子(く、苦しい……!!)ググググ

パンッ パパンッ

裕子「痛ぁっ!? ボタンが弾けて私のおでこに!?」

幸子「……こっ」ワナワナ

幸子「これは……! Gカップはあるんじゃないですか!?」ボイーン

裕子「張りも抜群ですからね。測ってみないとどうにも」

幸子「まあカップ数はどうでもいいです。これを押し当てれば、どんな男性もメロメロですよ」

幸子「すごいです裕子さん! ありがとうございます!」

裕子「あ、でも一つ忠告があります」

裕子「この力、長くは持たないので10分したら戻ってきてくださいね」

幸子「そうなんですか!? うーん……まあいずれはこうなる可能性もあるんですし」

幸子「ボクの未来はこうですよと一言付け足せば……」

幸子「分かりました! 行ってきます!」スタタタッ

裕子「頑張ってください!」

――――

P「ふー、そろそろ休憩しよう」

P「コーヒーぬるくなってるな……仕方ない」ゴクッ

幸子「プロデューサーさん」

P「ん?」


幸子「ふふーん」ボイーン

P「ごふっ!? げほっ、げほっ!!」


幸子「あーあ、ダメじゃないですか。床にこぼれちゃいましたよ」

P「誰のせいだ!! お前、これ……どうしたんだよ!?」

幸子「本物ですよ♪ ボクの未来の姿です」ユサユサ

P「……分かったぞ。志希か晶葉に頼んだんだろ」

幸子「速攻バレましたね。まあ大体そんなところです」

幸子「でも実はこれ、ボクの未来の姿なんですよ」

P「は?」

幸子「ボクが大人になる頃には、このくらい大きくなるんです」

幸子「どうですか? すごいでしょう!」

P「いやいや……この前大人になった時、こんなに大きくなかっただろ」

幸子「その日から牛乳をたくさん飲んで、もう一度やってみたらこれですよ」

幸子「巨乳の素質があるということですねぇ」

幸子(このくらいの嘘ならいいですよね)

P「……」

幸子「あれ、視線が泳いでますよ? ちゃんと見てください」

P「バカなことやってないで早く元に戻せ。仕事に支障が出るだろ」

幸子「なっ!?」ピクッ

幸子(相手にしてくれないなんて……! こうなったら……)スタスタ

ムニュンッ

P「!?」

幸子「ほらほら、背中に当たるこの感触どうですか?」ムニュン ムニュン

P「か、からかうな」

幸子「ほらほら」ムニムニ

P「幸子、やめないと…」

幸子「何なら触ってもいいですよ」

P「え?」

幸子(反応あり)ニヤリ

幸子「プロデューサーさんなら平気ですから」

P「い、いやいや……そんなことするか! いいからやめろ」

P「さもないと絶叫系の仕事をもっと増やすぞ」

幸子「!?」

幸子「い、いいですよ? 体を張ってこそのボクですからね!」

P「白い服を着た女の幽霊が出る廃旅館に一泊する企画もあるんだけど」

幸子「今日のところは撤退します! それじゃ!」

スタタタッ

P「はぁ……ったく」

P「……柔らかかったな……」ボソッ

幸子「くっ、胸じゃ釣れないんですかあの人は!?」

幸子「あと一歩のようにも見えましたけど……あっ」

ググググ…

幸子「元に戻っていく。なんか悲しいですね」

裕子「どうでした?」

幸子「裕子さん! 効果はあったみたいです、ありがとうございます」

幸子「でも10分じゃ厳しいですね。時間が足りないです」

裕子「そうですか……よければ他の力も上げますけど」

幸子「他の力……」

幸子(胸囲以外に何か上げてみましょうか?)


↓2 幸子の上げたいもの一つ

幸子「料理の腕を上げたいです」

裕子「料理の……なるほど! それなら形にも残りますね!」

幸子「はい! プロデューサーさんはいつも近くのコンビニでお弁当を買うんですけど」

幸子「その前にボクがお弁当を作って渡すんです!」

裕子「もうすぐお昼ですから時間もちょうどいいですしね」

裕子「了解です! 料理を作る早さやレパートリーはもちろん、三ツ星シェフ並みの味付けができるように」

裕子「力をアップさせます!」

幸子「ちょっと待ってください」

裕子「?」

幸子「まずは食材を揃えてからにしないと、10分がもったいないですよ」

裕子「おお、そうですね! じゃあ近所のスーパーにレッツゴー!」


――数十分後――


幸子「……」タタタタタッ

スッ パキャッ ジュウウウッ チーン

裕子(すごい速さかつ丁寧な包丁さばき! そして次から次へと手際よく調理を進めていきます!)

裕子(10分でできるかな? と不安でしたけど、これなら……)

幸子(待っててくださいプロデューサーさん! 愛情もたくさん込めますよ!)


――――

P「腹減った……コンビニ行くか……」グー

スタスタ

幸子「プロデューサーさん!」

P「幸子? なんだ、また何か企んで…」

幸子「これどうぞ!」スッ

P「!」

P「これは……弁当?」

幸子「ボクの手作りです! お昼まだなら食べてください!」

P「俺に?」

幸子「プロデューサーさんに」

P「くれるのか」

幸子「感想聞かせてくださいね」ニコッ

P「ありがとう……じゃあ、もらうよ」スッ

パカッ

P「!!」

P(こ、これは……なんて美味そうなんだ!)

P(程よく焦げ目のついた、ハンバーグやウインナーといった王道のおかずに)

P(ふんわり柔らかそうな卵焼き。ちゃんと栄養も考えて野菜たっぷり)

P(米は炊きたてて湯気が立ち、一粒一粒がキラキラと輝いて見える)

P「こんな美味そうな弁当、いいのか?」

幸子「ええ」ニコニコ

P「いただきます」

パクッ

P「!!」

P「何だこれ!? 美味すぎる!」モグモグ

P「おかず一口で米がガツガツ進むぞ! ってか米だけも美味い!」

P「幸子、お前すごいな!!」

幸子「えへへ、それほどでもないですよ」

幸子(喜んでくれたみたいですね。胃袋をガッシリ掴みました)

P「いやぁ、幸子は良い嫁になるな」

幸子「!!」

P「こんな飯毎日食べたいよ」

幸子「!!!!」

幸子(い、今の言葉……ボクに嫁いで欲しいと言ってるも同然ですよね!?)

幸子(いえ、落ち着くんですよ幸子! まだ確信が持てない限りは)

幸子「あのー、プロデューサーさん?」

P「?」

幸子「その……今、気になってる人いますか?」

P「気になってるって?」

幸子「異性として好きな人です」

幸子「プロデューサーが結婚したいと思えるくらい好きな人です」

P「それだとすでに気になってるってレベルじゃないだろ」

P「んー、そうだな……」

幸子「……」ドキドキ

P「……今のところはいない」

幸子「ええ!?」

P「な、何だよ」

幸子「思わず転びそうになりましたよ! いないんですか!?」

幸子「そんなのでいいんですか!? ご両親にああ言ったのに!」

P「その話はいいだろ……いないんだから仕方ないだろ」

幸子「むぅ」

幸子(まあいないってことは、ボク以外のアイドルにも恋愛感情はないってことですよね)

幸子(ポジティブに捉えましょう!)

幸子「じゃあプロデューサーさん、食べ終わったら箱を机に置いておいてください」

幸子「取りにくるので!」

P「悪いから洗って返すよ」

幸子「いえ、ボクが洗いますから」

P「作ってもらったんだから、せめてこれだけはさせてくれ」

幸子「そうですか? 分かりました」

スタスタ

P「……」パクッ

P(気になってる人、か)モグモグ

P(幸子だ、なんて言えないよな……口にしたら色々マズいし)

P(というか、14歳の幸子にそういう気持ちを持ってること自体がマズいような……)

――――

裕子「ダメでしたか」

幸子「そうでもないですよ。お弁当を気に入ってくれたようなので」

幸子「胃袋はちゃんと掴みました!」

裕子「でも私の力でパワーアップした結果ですから」

裕子「幸子ちゃんはパワーアップ状態に追いつけるように、これからもっと料理の勉強をしないとですよ?」

幸子「もちろんしますよ! 胸と同じで、毎日コツコツと上達していきます!」

裕子「おお、やる気に満ち溢れてますね」

裕子「ところで、また違う力をパワーアップさせますか?」

幸子「うーん……」

幸子「……もうやめておきます。薄々気づいてはいたんですけど」

幸子「人頼みじゃなくて、結局自分が頑張らないといけないですから」

裕子「そうですか」フフ

幸子「ありがとうございました」ペコリ

裕子「いえそんな! 私もお節介焼いただけですから」

裕子「ファイト幸子ちゃん! 応援してますよ!」

幸子「はい! プロデューサーさんと結ばれるために!」

幸子「あ、もうすぐ仕事の時間ですね……それじゃあこれで!」スタタタッ

裕子「頑張ってくださーい!」ヒラヒラ

裕子「……」

裕子(実は相思相愛なんだけどなぁ。言った方がよかったのかな)


第八話 おわり


――――

ちひろ「大変ですよプロデューサーさん!」

P「……」ボー

ちひろ「プロデューサーさん、幸子ちゃんが大変なんですよ!」

ちひと「ちょっと聞いてます? プロデューサーさん!」

P「!!」ビクッ

P「はい、何ですか?」

ちひろ「上の空でしたか……幸子ちゃんが大変なんですよ」

P「また幸子ですか。誰かと入れ替わって厨二病にもなって、次は何です?」


↓2 幸子に何が起きたか

すみません、呼び出しだけだと大変さが伝わりづらいので
↓2で再安価をお願いします

ここまでにします
ちなみに安価で早耶が出ても、個人的には進めていきたいと思ってるのですが…
そんなに出されると嫌なキャラなのでしょうか?

予め明記していなかったことについては、すみませんでした
ただやっぱりどうにかならないのかな?と思ったので…
この時間なので投下はまた明日にします

ちひろ「事故を起こしたんです!」

P「事故!? セットが倒れて下敷きになったとか!?」ガタッ

ちひろ「すみません言い方が悪かったです。事故は事故でも放送事故です」

P「なんだ、よかった。ビックリさせないで……って」

P「それはそれで不安ですよ!! 何をやらかしたんですか?」

ちひろ「実は……」


↓2 どんな放送事故を起こしたか

生放送で彼氏います発言

早耶を好きな方には本当に申し訳ないのですが
早耶を出すと荒れてしまうので、早耶の安価が出た場合はその↓1とさせていただきます
承知していただけたら幸いです

>>273の安価で進めていきます

ちひろ「ついさっきまで生放送の番組に出演してたの、見てませんでしたか?」

P「はい……生放送でやらかしたんですか……」

ちひろ「ええ。詳細をお話するとですね」

――――

スタタタッ

P「幸子!」ガチャッ

幸子「あ……プロデューサーさん」

P「ちひろさんから聞いたぞ。生放送で『彼氏います』って言ったらしいな」

幸子「……」

P「そんなこと言ったらどうなるか分かるだろう……」

幸子「すみません。司会の人に恋愛関係のことでいじられて」

幸子「つい口から出まかせを」

P「出まかせなのか?」

幸子「か、彼氏なんていませんよ! ボクは今アイドルのことで精一杯ですから!」

幸子「まあ心に決めた人はいますけど」ボソッ

P「そうか……嘘なんだな。なら事はそんなに大きくならず済むかもしれない」

P「いいか? 次番組に出演した時、他の出演者の方に彼氏のことについて聞かれたら」

P「『ボクの彼氏はお仕事ですよ』って言うんだ。『誤解させてしまってすみませんでした』と」

幸子「ベタですね……でも、そうするしかないですよね」

P「俺もその話を振ってもらえるよう頼んでおくから」

幸子「分かりました!」

幸子「プロデューサーさん、ご迷惑をおかけしてすみません」ペコリ

P「……俺はその放送を見てないから分からないけど」

P「いじられ慣れてるお前が意地を張ったということは、その司会の人の当たりがよっぽどキツかったのか?」

幸子「いえ、完全にボクの落ち度です」

P「そうか……まあミスは誰にでもあるからな。これからは自分の発言に責任を持つんだぞ」

スタスタ

幸子「……何ででしょうねぇ」

幸子「いつものボクなら、もっと上手く返せたのに」

幸子「……やっぱり、プロデューサーさんへの思いが……」

幸子「それで仕事に支障が出るのはマズイですね。気を引き締めないと」

幸子「頬を叩いて」パンッ

幸子「ダメですね、もっと強く!」パンッ


スタスタ

ちひろ「幸子ちゃん、心配だわ。励ましてあげないと」

ちひろ「でもどこにいるのかしら?」

幸子「もっとです! もっと……!」

ちひろ「あ、いたわ! 幸子ちゃ…」


幸子「もっと強く!!」バシンッ

ちひろ「!?」


幸子「痛いっ!? ち、ちょっとやり過ぎました」

ちひろ「幸子ちゃん……」

幸子「ちひろさん! どうしました?」

ちひろ「今、自分のほっぺを叩いてたけど」

幸子「ああ、ちょっと気合いを入れてたんですよ」

ちひろ「気合い?」

幸子「はい。仕事にもっと本気で取り組むために」

ちひろ「そ、そう」

ちひろ(よかった。おかしくなったのかと)

幸子「けど、なかなか気合いが入りませんね」

幸子(というより……思い返せば、ボクは最近腑抜けてませんでしたか?)

幸子(プロデューサーさんのお尻を追っかけすぎて、仕事に集中できてなかったかも)

幸子(これはマズイです。もちろん恋愛も大切ですけど)

幸子(同じくらい仕事も大事ですからね! ここらで精神を統一……いや)

幸子(精神を鍛え上げましょう!!)メラメラ

ちひろ(何か知らないけどすごい燃えてる)

幸子(となれば早速行動です)

幸子「ちひろさん!」

ちひろ「はい!?」ビクッ

幸子「ボク、修行をしたいんですけど」

幸子「もしよければ手伝っていただけないでしょうか!?」ズイッ

ちひろ「修行!? ずいぶん唐突ですね、何の修行ですか?」

幸子「メンタルを鍛え上げる修行です」

幸子「手伝うまでいかなくても、良い案を提示していただけると……!」

ちひろ「……」

ちひろ(何が何だか分からないけど、励ましは必要ないみたいですね)フフ

ちひろ「メンタルを鍛えないなら、良い考えがありますよ」

幸子「何ですか!? 教えてください!」


↓2 メンタルを鍛える方法とは

>>299
下から二段目、

ちひろ「メンタルを鍛えるなら、良い考えがありますよ」

です、すみません

ちひろ「あるアイドルの力を借りましょう」ニコッ

幸子「?」

――――

小梅「じゃあ始めるね……私のオリジナル百物語……」

幸子「ちょっと待ってください! ちひろさん、ってあれ!? ちひろさんは!?」

小梅「部屋から出て行ったよ……」

幸子「置き去りですか!?」

幸子「ち、ちひろさん!! できればもっと違う…」

ガシッ

幸子「!!」

小梅「聞き終えるまで、ここから出さないって約束だから……」

幸子「嫌です!! もっと違う方法があるはずです!!」

小梅「もう遅いよ……? 他のお客さんも、ドアのところに座って待ってるし……」

幸子「……お、お客さんって、誰もいないじゃないですか。あははは……」

小梅「……分かってるくせに……」フフフ

幸子「ひぃぃぃっ!? もう限界です!! 助けてぇぇぇ!!」


――――

幸子「」

ちひろ「魂が抜けてませんか?」

小梅「えい」トンッ

幸子「はっ!? やめてくださいっ! 四つんばい女の話はやめてください!!」

幸子「って、ここは外……?」

ちひろ(頭を叩いたら戻るって……)

ちひろ「どうでした幸子ちゃん。メンタル鍛えられたでしょう」

幸子「ちひろさん!! めちゃくちゃ怖かったですよ! ただそれだけです!」

小梅「えへへ……それほどでも……」

ちひろ「レベルアップしませんでした?」

幸子「してないです、むしろ弱くなった気がします」

ちひろ「そうですか」

ちひろ(それなら別の方法を試してみましょう)


↓2 メンタルを鍛える方法


――――

幸子「……」ポチポチ

ちひろ「どんな感じですか」

幸子「すごくバカにされてます……あとどんどん拡散されて……」

ちひろ「うんうん、いいですね」

幸子「いいんですか!? これ本当にメンタル鍛えられるんですか!?」

ちひろ「炎上してメンタルにきませんか?」

幸子「そりゃきますよ! でもこれで精神強化されるとは思えません!」

ちひろ「相手をし続けていれば、知らない内に強くなってますよ」

ちひろ「絶対に折れないでくださいね」

幸子「うう……」ポチポチ

ちひろ「……」

ちひろ(私も陰ながら協力しましょう)スッ

ちひろ(こいつマジ頭悪い(笑)っと)ポチポチ

幸子「うぐっ!? 何ですかこの人! 文章の最後に(笑)をつけられるとムカッときますね!」

幸子「ちひろさん見てください! この人に一泡吹かせて……ああ!?」

ちひろ「!」ドキッ

幸子「スマホの画面見えましたよ! この返信ちひろさんですね!?」

ちひろ「ごめんなさい……協力しようと思って……」

幸子「どうせならボクを護ってくださいよ!」

ちひろ「私も炎上しちゃうし」

幸子「別名義だからいいじゃないですか、一緒にメンタル強化しましょう」

幸子「さあ!!」ズイッ

ちひろ「わ、分かりました……」ポチポチ

――――

幸子「……」

ちひろ「疲れましたね」

幸子「ええ……精神ボロボロです」

幸子「修行は一休みしてからにしましょう」

ちひろ(まだやるんだ)

ちひろ「もういいんじゃないですか? 充分強くなってると思いますよ」

幸子「いいえ、足りません。あともう一回は必要です」

ちひろ「頑張りますね……」


↓2 メンタルを鍛える方法


――――

幸子「……」

巴「どうした? 遠慮せずどんどん食べてくれ」

幸子「は、はい」

幸子(周りの怖い人たちが気になって箸が進まなかった)

ちひろ(何で私まで……)

幸子「ごちそうさまでした」

巴「何じゃ、もういいんか?」

男A「よければまだおかわりはありやすが」ギロッ

男B「たらふく食ってください!!」クワッ

幸子(ひっ!?)ビクッ

ちひろ「あ、ありがとうございます……」

巴「おい、お客さんを怖がらせんじゃねえ!!」

「「「すいやせん!!」」」

幸子・ちひろ(帰りたい)


カポーン

幸子「お風呂、すごく広いですね」

巴「親父のこだわりじゃ。うちはこんなにいらんと思うんじゃがのう」

ちひろ「慣れって怖いですね……私は一度でいいからこんなお風呂入ってみたいと思ってたので」

巴「それはよかった。ところで」

巴「幸子、なんで湯船にタオル巻いたまま入っとるんじゃ」

幸子「え?」

巴「裸の付き合いをしようとは思わんのか!」

幸子「そ、そういうわけではないんですけど」

幸子(ここに来てから『身を守らないと』という思いがずっと頭から離れないせいでしょうか)

幸子「今とります」スッ

巴「それでええ。……うちと同じような体型じゃな」

幸子「まじまじと見ないでくださいよ……」

巴「ちひろの姉御は……さすが大人じゃ」

ちひろ「姉御はやめてください」

巴「触ってもええか?」

ちひろ「ちょっとだけなら」


――――

幸子「何だかんだ楽しかったですね」

ちひろ「そうですね。手下の人たちも思った以上に優しかったですし」

幸子「精神力もパワーアップした感じがします!」

幸子「これで物事に取り組む時、惑わされないように集中することができますよ」

ちひろ「それが目的だったんですか」

幸子「はい。最近仕事に集中できてなかったので」

幸子「今日からパーフェクト幸子をお見せできると思います!」

スタスタ

P「幸子、ここに居たのか」

幸子「プロデューサーさん! ボクに話が?」

P「ああ、毎週月曜にやってるトーク番組に出演することになったから」

P「例の件、頼むぞ」

幸子「はい。しっかりと伝えます」

P「?」

P(なんか顔つきが変わったな)

P「それと、これからバラエティの仕事だろ? 送っていくよ」

幸子「了解です!」

幸子「ではちひろさん、ボクはこれで。色々とありがとうございました」ペコリ

ちひろ「頑張ってくださいね」ニコッ

幸子「はい!」

スタスタ

P「幸子と何かあったんですか?」

ちひろ「秘密です♪」

P「気になるなぁ……」

ちひろ「ふふ」

ちひろ(よーし。私も仕事、頑張ろっと)


第九話 おわり


――――

P(幸子の彼氏騒動はネットでも話題になり、反響がそこそこあった)

P(トーク番組で『仕事が恋人』だという沈静化を図る発言もしたが、やっぱり簡単には収まってくれない)

P(パパラッチも見かけるようになって、プライベートもずっと監視されてるようなものだ)

P(精神的に辛いはずなんだけど……)


ピンポーン

司会「はい幸子ちゃん! 答えをどうぞ!」

幸子「カツオブシ!」

ブブー

司会「残念!! 罰ゲームで顔面パイ生地です!!」

幸子「そ、そんなっ……!」


P(何もかも全力でやり遂げている)

P(無理をしているようにも見えないし、いつからあんな逞しくなったんだ?)


――――

幸子「ふー……」

P「お疲れ様」

幸子「あ、プロデューサーさん! ボクの仕事っぷりはどうでした?」

P「よかったよ。幸子らしさが出てて、観客も笑ってたし」

幸子「そうでしょう! まあ、もっとカワイイと言ってもらえるような仕事もしたいんですけど」

幸子「体を張った仕事もやりがいがありますし。これからも全力で向き合いますよ!」ニコッ

P「……そうか」

P「よし! じゃあどんどんスケジュール入れるぞ!」

幸子「ふふーん! 望むところですよ!」

P「言ったな? じゃあ早速、こんな仕事がきてるんだけど、どれをやりたい?」

幸子「選んでいいんですか?」

P「うん」


1、アイドルらしいカワイイ仕事

2、リアクション命の体を張る仕事

3、自由安価


↓2

今日はここまでにします
お付き合いありがとうございます

幸子「このハテナマークは何です?」

P「選んでからのお楽しみだよ。ただし、幸子にとってかなりキツイ仕事だと言っておく」

幸子「な、なんか怖いですね……じゃあカワイイ仕事を」

幸子「と思わせてハテナマークを選びます!」

P「いいのか?」

幸子「ええ! キツイ経験は今のうちにしておくに越したことはないですから」

幸子「それに、今のボクならどんな仕事もこなせる気がするんです!」

P「気合い充分だな。じゃあこの仕事の説明をするぞ」

――――

スタッフ「今からお二人に、幽霊が出ると噂されてる心霊スポットに行ってもらいます」

幸子「……」

小梅「何か所ですか……?」

スタッフ「五か所です。それぞれの場所まで車で送り届けるので」

スタッフ「撮影スタッフと一緒に中に入って、一通り回ってきてください」

スタッフ「良いリアクション期待してます!」

幸子「……」

小梅「幸子ちゃん……一緒に仕事できて、嬉しいな……」エヘヘ

幸子(素直にカワイイ仕事にしとけばよかった!!)


――――

小梅「この廃墟はね……夜になると男の人の呻き声が聞こえるんだって……」

幸子「夜に言いますかねそういうこと。はぁ、もう帰りたいです」

小梅「大丈夫だよ……見る限り、幽霊はどこにも……」

小梅「あ」

幸子「え? 何ですか、ボクの後ろを見つめて」

小梅「……気にしないで……」

幸子「無理ですよ!! いるんですかボクの背後に!! ねえ!?」

小梅「言っていいの……?」

幸子「ごめんなさい。言わないでください」

――――

小梅「ここは昔デートスポットだったけど……」

小梅「彼女にふられた男の人が、ショックで崖から落ちて亡くなったんだって……」

小梅「それから飛び降りが絶えず…」

幸子「もう聞きたくないです!! 早く次に行きましょう!!」

小梅「まだ来たばかりだよ……それに、その噂は嘘だから安心して……」

幸子「そ、そうなんですか? 誰かが面白がってデマを広めたってことですか」

小梅「デマじゃないよ……落ちて亡くなったのは女の人だから……」

幸子「」


――――

幸子「ここはどんな噂があるんですか」

小梅「乗り気になったね……」

幸子「これは開き直りってやつですよ! 幽霊でも何でもドンと来いです!」

小梅「そういうこと……あんまり言わない方がいいよ……」

幸子「どうしてですか?」

小梅「寄って来ちゃうから……この人は話を聞いてくれる人だ、って……」

小梅「あ、ほら……早速幸子ちゃんの足にしがみついて…」

幸子「――っ!?」

小梅「ごめん、今のは冗談……あれ? 幸子ちゃん……」

幸子「」

小梅「……立ったまま気絶してる……ほ、本当にごめんね……」

――――

P「聞いたぞ幸子。心霊スポット巡りの評判良いらしいな」

幸子「その話はしないでください」

P(相当堪えたみたいだな)

P「分かった。そういえばこれ、小梅から」スッ

幸子「ケーキ?」

P「あの時冗談で気絶させちゃてごめん、だって。すごい反省してたよ」

幸子「ここまでしなくても。まあ冗談にならないくらい怖かったですけど」

P(確かに、小梅の幽霊系の冗談なんてシャレになりそうにない)

P「それと、また一緒にお仕事しようだって」

幸子「心霊スポット巡り以外ならいいですよ!」

P「こういう系の仕事はNGになった?」

幸子「いえ、振り返ってみれば良い経験になったと思うので」

P「逞しいな」

幸子「しばらくは控えたいですけどね……ところで」

幸子「次の仕事やりたいんですけど、どんなのがあるんですか」

P「もうか? しばらく休憩しても…」

幸子「仕事したいんですよ。お願いします!」

P「やる気が衰えないな。ちょっと待ってくれ」


1、ネットで話題の料理の食レポ

2、穏やかな街ぶらロケ

3、自由安価


↓2

幸子「あ! これ楽しそうですね!」

P「ヒーローショーか」

幸子「やってみたいです。光さんと一緒なんですか?」

P「うん。2人で司会兼アイドル役として出てもらいたい」

幸子「は?」

P「その後にミニライブと握手&サイン会だな」

幸子「ちょ、ちょっと待ってください! 司会は分かりますけどアイドル役って?」

P「そういう脚本なんだ。ヒーローと一緒に悪の怪人と戦うんだよ、アイドルになって」

P「後で台本を渡すから、光とセリフを練習しておいてくれ」

幸子「はあ……」

―――

幸子「ライダー仮面、私たちも手伝うわ」

光「ダメだってそんなんじゃ! もっと気持ちを込めないと伝わらないぞ!」

幸子「まずはセリフを覚えさせてください……っていうか」

幸子「ちびっこたちはヒーローを見に来てるのに、ボクたちアイドルが登場しちゃっていいんですか?」

光「そういう方向のショーだってお知らせしてるから大丈夫!」

光「あー、楽しみだなぁ……まさかこんなお仕事ができるなんて」

光「アイドルとしてヒーローと一緒に戦うなんて、夢みたいだ!」エヘヘ

幸子「光さんは本当にヒーローが好きなんですね」

光「お、幸子ちゃん興味ある? 何なら語るけど!」

幸子「ま、またの機会に」

光「色んなヒーローがいてさぁ、特に好きなのが…」

幸子(聞いてない!?)

幸子(止まりそうにないですね……ところで光さんはセリフ覚えたんでしょうか)

光「でさ! 必殺技もカッコよすぎでさ!」


――当日――


光「みんなー! こんにちはー!」

「「「こんにちはー!」」」

幸子「元気がいいですねー! みんなはライダー仮面好きですかー!」

「「「好きー!」」」

光「うんうん、カッコいいよな! お姉ちゃんも好きだぞ!」

光「今日はそのライダー仮面が、みんなに会うため来てくれてるんだ!」

幸子「楽しみですねぇ!」

「うしろー!」

「お姉ちゃんうしろ!」

幸子「え? 後ろがどうしましたか? ……きゃっ!?」ガシッ

光「うわっ、大変だ!? 幸子お姉ちゃんが悪い奴に捕まった!」

怪人A「ぐへへへへ」

幸子(笑い方が想像してたのより気持ち悪い!?)

幸子「き、きゃー! 誰か助けてー!」

光「このままじゃヤバいぞ! みんなでヒーローを呼ぶんだ!」

光「大きな声で『助けてライダー仮面』って呼べば、きっと助けに来てくれる!」

光「さあいくぞ! せーの……」


「「「助けてライダー仮面ー!!」」」


仮面「その女の子を放すんだ!」

光「あっ、この声は……!」

仮面「君たち! 俺が来たからにはもう大丈夫だ!」ジャーン

光「みんな、やったぞ! ライダー仮面が来てくれた!!」

キャー! ライダーカメーン!

怪人B「うしゃしゃしゃしゃ!」ガシッ

光「わっ!? しまった、アタシも捕まっちゃった!」

幸子(全然大丈夫じゃなかったですね)

仮面「くっ……卑怯なマネを……!」

――――

仮面「ぐはぁっ!?」

ボス怪人「ふふふ、弱いな」

仮面「くそっ……!」

光「ライダー仮面、アタシたちを助けてくれたのに……!」

幸子「それと引き換えに、こんなに傷ついてしまって……」

ガンバレー! マケルナー!

光(さあ、いくよ幸子ちゃん)

幸子(ええ)

幸子「こうなったら!」

光「アタシたちも変身して、ライダー仮面を助けよう!」

ボス怪人「何!?」

光・幸子「マイク・オン!」

バサッ バサッ

光「アイドル・南条光!」シャキーン

幸子「そしてアイドル・輿水幸子!」キラーン

光・幸子「参上!!」

ワーワー! イイゾー!

幸子(よ、よかった。上手く脱げました)

ボス怪人「ふん、驚かせやがる。アイドルに何ができるんだ」

幸子「バカにしないでください! まずはボクの歌声で」

幸子「ライダー仮面さんを元気にします!」

幸子「~♪ ~♪」

仮面「すごい……! 体が癒されていく!」

光「そしてアタシの歌声で、ライダー仮面の力をアップさせる!」

光「~♪ ~♪」

仮面「力がみなぎってきたぞ!」

ボス怪人「何だと……!?」

幸子「さあライダー仮面さん!」

光「アタシたちも、お客さんもついてる! 怪人なんてやっつけてくれ!」

仮面「ああ! いくぞ!」

ボス怪人「おのれ……!」

ワーワー! イケー! ソコダー!

――――

P「2人ともお疲れ様」

光「すっごく楽しかったー!」

幸子「ボクは疲れました……」

光「あのさ、Pから見てアタシたちどうだった!? あとお客さんの盛り上がりとか!」

P「カッコよかったよ。子供たちも夢中になってた」

P「あと大きなお友達も……」

幸子「ボクたちの握手&サイン会もほとんどが大人の方でしたね」

光「応援の言葉ももらえて、嬉しかったなぁ。また出演したい!」

光「いいよな?」

P「機械があればな」

光「よっしゃ! それまでにもっと訓練(レッスン)しとかないと!」ニコッ

スタタタッ

幸子「元気ですね光さん」

P「幸子は幸子で14歳らしからぬ疲労の仕方だぞ」

幸子「そりゃヒーローショーに加えてミニライブに握手会とかしたら疲れますよ」

P「……そうだな。光が元気すぎるのか」

P「でも、楽しかっただろ?」

幸子「もちろんです。可愛さもできる限り出せましたし」

幸子「で、次の仕事は何です?」

P「待て待て、少しは休憩しろ」

幸子「話を聞くだけならいいじゃないですか」

P「熱心だな……」


1、雑誌のインタビュー

2、写真集の撮影

3、自由安価


↓2

ここまでにします
また明日始めます

すみません、開始は明日の夜になります

幸子「写真集の撮影がやりたいです。っていうか」

幸子「全部やりたいですよ、今まで選ばなかった選択肢も全部」

P「ちゃんとこれからの予定に組み込まれてるよ」

P「撮影は明日だから、レッスンはほどほどにしてしっかり休むんだぞ」

幸子「大丈夫ですよ!」ニコッ

――――

カメラマン「良い顔だねー、そのままポーズとって」パシャッ パシャッ

幸子「ふふーん」

パシャッ パシャッ

カメラマン「……はいオッケー! ちょっと休憩入れようか」

幸子「はい!」

幸子(ふふふ、カワイイボクを演出することができました)

幸子(この調子で次の撮影もバンバンいきますよ!)

P「らしさが出てるな」

幸子「あ、プロデューサーさん。いたんですか」

P「その言い方はないだろ……ちょうど今様子を見に来たんだよ」

P「撮影は順調か?」

幸子「もちろんです! さっきボクのみの撮影が終わったので」

幸子「次は142'sでの撮影ですね」

P「残りの2人は?」

幸子「もうそろそろ来るはずですよ」

スタスタ

小梅「幸子ちゃん……こんにちは……」

輝子「プロデューサーもいる……」

幸子「噂をすれば何とやらですね。待ってましたよ!」

小梅「あの……この前はごめんね……」

幸子「謝ることないです! もう復活しましたし」

輝子「そういえば幸子ちゃん、幽霊に足を掴まれたんだっけ……」

幸子「掴まれてないですよ、小梅さんの冗談だったんです。ね?」

小梅「……」

幸子「何で何も言わないんですか?」

小梅「う、うん……そうだよ……私の冗談……」

幸子「何ですかその反応。本当に冗談だったんですよね?」

小梅「うん……」

幸子「で、ですよね。ふぅ、ビックリさせないでください」

輝子「フヒ……幸子ちゃんの驚く顔、私も見たかったな……」

幸子「映像として記録されてますけど、できれば見て欲しくないです」

輝子「楽しみだ……撮影が終わったら、観に行こう……」

小梅「……」

P「小梅。さっきからずっと幸子の後ろを気にしてるよな」ヒソヒソ

P「まさか本当の話だったのか?」ヒソヒソ

小梅「ううん……その時は冗談……だった」

小梅「でもそれから……小さな女の子が、幸子ちゃんの背中にしがみついちゃって……」

P「ま、マジか」

小梅「あとでこっそり、あの子と相談して……何とかするから……」

P「幸子に言わないでくれよ。失神するから」

――――

カメラマン「いいねみんな、可愛いよー」パシャッ パシャッ

幸子「……」ウズウズ

カメラマン「……? どうしたの幸子ちゃん、肩を気にしてるけど」

幸子「だ、大丈夫です!」

小梅(あわわ……肩を掴んでぶら下がってる……)

小梅「ダメだよ……大人しくして……」ボソッ

幸子「え、何ですか?」

小梅「あ……違うの……」

幸子「?」

小梅「え、えっと……独り言だから……」

カメラマン「輝子ちゃん、幸子ちゃんの肩に手を置いてみようか」

輝子「分かりました……」スッ

輝子「!?」ゾワッ

ササッ

カメラマン「どうしたの?」

幸子「どうしてボクから遠ざかるんですか」

輝子「いや、な、なんか……寒気がした」

幸子「酷いですね!!」

輝子「そういう意味じゃなくて……」

小梅(……このままじゃ、ダメだよね……)



――撮影後――


幸子「んー」グルグル

輝子「肩を回して、どうした……?」

幸子「なんか違和感があるんですよね。最近仕事を頑張ってるから」

幸子「疲れが溜まってるみたいです」

P「小梅、何とかできそうか?」ヒソヒソ

小梅「うん……撮影中に説得したら、放れてくれるって……」

小梅「もうちょっとだけ……幸子ちゃんにくっついてたいらしいから……」

幸子「……あれ?」

輝子「どうした?」

幸子「なんか急に軽くなりました」

小梅「……ばいばい……」ヒラヒラ

幸子「何だったんでしょうか?」

P「きっと気のせいだろ」

幸子「気のせいで済ませていいんでしょうか………」ムム


――――

小梅「プロデューサー……ありがとう……」

輝子「美味しいご飯食べさせてくれて……」

P「まあ久々にな」

輝子「それじゃ……私たちはこれで」

小梅「またね……幸子ちゃん……」

幸子「はい! 今度は一緒にステージに上がりたいですね!」

幸子「お願いしますよプロデューサーさん!」

P「そうだな、企画を考えておくよ」

輝子「フヒヒ、やった」

小梅「楽しみにしてるね……」

スタスタ

幸子「じゃ、ボクたちも行きましょうか」

P「どこへ?」

幸子「仕事を頑張ってるアイドルにご褒美、第2弾ですよ」

幸子「カラオケ行きましょう、カラオケ!」

P「それなら小梅と輝子も誘った方が…」

幸子「もちろんその2人とも行きます!」

幸子「ただ、今日はボクとプロデューサーさんの2人だけで行きたいんです」

P「何だそれ……。別にいいけど」

幸子「ありがとうございます!」

幸子「じゃあお菓子とか飲み物買っていきましょう!」

P「食べすぎると太るぞー」

幸子「ふふーん! ちゃんと考えて摂取してるので平気ですよ!」

P「本当か? さっき結構重いもの食べてたよな」

幸子「平気です! さあ行きましょう!」スタスタ

幸子(えへへ、久しぶりにプロデューサーエネルギーを補給です♪)


第十話 おわり


――――

ちひろ「幸子ちゃんがまた大変なことになってます」

P「その割には冷静ですね」

ちひろ「表面はクールですけど中身は大変です」

ちひろ「とにかく大変なんです。どのくらい大変かというと…」

P「分かりましたから話を進めてください……幸子に何が起きたんですか?」


↓2 幸子に何が起きたか


――――

幸子「」

P「ただ寝てるだけじゃないですか?」

ちひろ「白目剥いてヨダレ垂らしてる寝相なんて聞いたことないですよ」

P「幸子ー、おーい」ペチペチ

幸子「」

P「……」コチョコチョ

幸子「」

P「微動だにしませんね。それに寝息もたててないですし」

ちひろ「寝息の確認が先じゃないですか普通は」

P「けど何で幽体離脱だと?」

ちひろ「それは……小梅ちゃんが教えてくれたんです」

ちひろ「幸子ちゃんが幽体離脱してるから、とりあえず体だけ見守ってて欲しいって」

P「じゃあ小梅は幸子の霊体を探しに行ったんですね」

ちひろ「いえ、仕事に行きました」

P「仕事!?」

ちひろ「とても大切な仕事があってキャンセルできないんですって」

ちひろ「なるべく早く戻ってくるからって言い残していきました」

P「大丈夫なんですか……」

ちひろ「小梅ちゃんを信じるしかないです……あと、プロデューサーさん」

ちひろ「今霊体って言いましたけど、幽体と霊体は違いますからね」

P「そうなんですか、すみません。っていうかそれよりも」

P「俺たちで何とかできないんですか? 長く幽体のままでいると戻れなくなるとか聞いたことありますけど」

ちひろ「うーん……何とかと言っても……」


↓2 Pとちひろが考えた何とかする方法

ちひろ「こういう時はやっぱり」

P「?」

――――

芳乃「そろそろ来るころだと思っておりましたー」

P「察知してたのか、さすが芳乃!」

ちひろ「これは期待が持てますね!」

P「聞いてくれ芳乃。実は幸子が――」

芳乃「ふむー、幽体離脱ですかー」

ちひろ「小梅ちゃんが重要なお仕事に行ってしまって、頼れる人がいないんです」

P「何とかできないかな?」

芳乃「できるかできないかで言いましたらー」

P「うん」

芳乃「できますよー」

P「本当か!?」

芳乃「ただし幽体を元に戻すのは並々ならぬことでしてー」

芳乃「まずは幸子さんの霊体を探さねばなりませぬー」

ちひろ「プロデューサーさん」

P「はい。芳乃、俺たちもできることがあったら手伝う」

P「だから力を貸してくれ!」

芳乃「そなたの頼みであればー」

P「ありがとう!」

ちひろ「あの、芳乃ちゃん? 水を差すようで悪いんですけど」

ちひろ「幽体と霊体は違いますよ」

芳乃「存じておりますー。今のはちょっとした『かんなぎじょーく』でしてー」

芳乃「しかし急がねば霊体にもなりかねないのでー」

P「それはマズイ……早く見つけないとな」

ちひろ「でも、どこを探せばいいんですか?」

芳乃「わたくしがアンテナを張りますゆえー、ぴんときた場所におもむきましょー」

芳乃「そなたー」

P「え?」

芳乃「おんぶでわたくしを運んでもらえればー、アンテナも強力になりましてー」

芳乃「移動も楽々なのでしてー」

P「よし、分かった」スッ

ちひろ(単なる芳乃ちゃんの欲では?)

芳乃「その通りですー」ニコッ

ちひろ「!!」

ちひろ(心を読まれた!?)

P「芳乃、頼んだぞ」

芳乃「はいー」

芳乃「むむー……あっちですー」スッ

P「よし!」スタタタッ

ちひろ「あ、待ってください!」スタタタッ


↓2 3人が辿り着いた場所


――――

P「はぁ……はぁ……まさか事務所の外を出てこんなに移動することになるとは」

ちひろ「ここら辺ですか芳乃ちゃん」

芳乃「……」

ちひろ「芳乃ちゃん?」

芳乃「これは大変な状況でしてー」

芳乃「幸子さんはこっちですー」スッ

P「よし、待ってろ幸子!」

ちひろ(嫌な予感が……)

――――

P「……」

ちひろ「芳乃ちゃん」

芳乃「はいー」

ちひろ「ここって……」

芳乃「幸子さんを含めたー、輿水家のご先祖様たちが眠っておられるお墓ー」

芳乃「の近くにある水子供養地蔵尊石仏像の前ですー」

ちひろ「幸子ちゃん供養の対象になっちゃったんですか!?」

P「そんな……幸子……っ!」ガクッ

芳乃「いえー、幸子さんはまだ幽体のままでしてー」

芳乃「すぐそこに浮いてますー」

P「え!?」

ちひろ「本当ですか! 幸子ちゃん!」

P「幸子、この声が聞こえるか!? 何でここにいるんだ!」

P「お前はまだ死ぬには早い歳だろ! 散歩はやめて自分の体に戻れ!」

芳乃「だめですー、幸子さんは今仏像に吸い込まれようとしていますー」

芳乃「このままでは本当に昇天してしまうのでしてー」

P「どうすればいいんだ!? 何とかできないのか!?」

芳乃「むむー……一つだけ方法がありますー」

芳乃「この法螺貝の音色をー、幸子さんの耳に届けることができればー」スッ

芳乃「あっという間に元の体に入れることができるのですがー」

ちひろ(どこから出したんですか!?)

P「それそんな力があったのか。早速やってくれ!」

芳乃「今のままでは無理ですー、仏像にくぎ付けでしてー」

芳乃「少しでもこちらに関心を寄せることができればいいのですがー」

ちひろ「関心を寄せるって、どうすればいいんですか……」

P「……」


↓2 幸子(幽体)にこっちを向かせる方法

P「……芳乃」

芳乃「なんでしょうかー?」


ギュッ


ちひろ・芳乃「!!」

ちひろ「な、何してるんですプロデューサーさん!! こんな時に……!!」

P「好きだ」

ちひろ・芳乃「!?」

P「好きだぞ芳乃ーーー!!」

芳乃「……わたくしもー」ドキドキ

芳乃「そなたに好意を抱いておりますゆえー」ギュー

ちひろ(抱きしめ返した!?)

ちひろ「ちょっと! 幸子ちゃんが死んじゃうかもしれないのに何で告白し合ってるんですか!?」

芳乃「わたくしはそなたの思いに応えただけでしてー」

芳乃「!」ピクッ

ちひろ「?」

芳乃「なるほどー、効果は絶大なのですー」

ちひろ「??」

ちひろ「えっと……言ってる意味が分からないんですけど」

芳乃「幸子さんが興味を示したようなのでしてー」

ちひろ「え?」

芳乃「わたくしとそなたが抱き合った途端ー、鬼のような形相で急接近してきましたー」

芳乃「そしてそなたをポカポカと叩いておりますー、今もなおー」

ちひろ「……」

ちひろ(嫉妬狙いですか)

芳乃「幽体なので当たるどころか見ることもできないのですがー」

芳乃「さてー、幸子さんにはわたくしたち2人のラブロマンスを邪魔しないでいただきたくー」スゥー

芳乃「ぶおおおおおお」

P・ちひろ「!?」

芳乃「事務所にあるご自分の体までひとっ跳びー」

芳乃「木にしがみついても無駄ですよー」

ちひろ(どれだけ必死なんですか)

芳乃「これで無事に戻りましたよー」

P「そうか……ありがとう芳乃」

P「でも吹くなら吹くって言ってくれ……」キーン

ちひろ「本当ですよ、鼓膜が破れます」キーン

芳乃「その心配はありませんのでー」

芳乃「ではそなたー、続きをー」スッ

P「え」

芳乃「今一度2人の愛を確かめ合うのですー」

P「ごめん芳乃……あれは…」

芳乃「分かっているのですー。そなたは幸子さんのために動いたのだということをー」

芳乃「でもそれはそれとして愛を確かめ合いましょうー」

P「いや、だから…」

芳乃「愛は愛でも友愛ですー。そなたはわたくしのことを好きではないのですかー?」

P「そういう意味なら好きだけど」

芳乃「ではー」スッ

P「……」ギュッ

ちひろ(私は何を見せられてるんでしょうか)

芳乃「そなたー」グリグリ

P「擦りつけるな擦りつけるな」

芳乃「まーきんぐですー」


……ぉぉぉぉぉぉ……


ちひろ「……?」

P「何か聞こえる」

芳乃「おおー、これは驚愕の速さなのでしてー」


ぉぉぉぉぉぉおおおお


P「どんどん近づいてくるぞ!?」

ちひろ「待ってください、これって!」


???「ぉぉぉぉぉおおおおおおお!!」ダダダダダ


幸子「ここかぁぁぁぁぁぁ!!」ズザザザー

P・ちひろ「幸子(ちゃん)!?」

ちひろ「事務所からここまで徒歩30分くらいですよ!?」

幸子「ボクの前でよくもあんな……!! あんなことを……!!」プルプル

幸子「許しませんよプロデューサーさん!!」スタスタ

P「いやあれはお前のためにやったことで……!」

幸子「もっと他にあるじゃないですか! ボクの恥ずかしい秘密を喋るとか!」

幸子「何でよりによってハグ&愛の告白なんですか!?」

P「いや、秘密なんて知らないし」

幸子「じゃあ教えてあげますよ! ……っと危ない危ない! 本当に喋るところでした」

ちひろ「落ち着いてください幸子ちゃん。プロデューサーさんと芳乃ちゃんに助けられたんですから」

幸子「……そ、そうですね。ちょっと深呼吸します」スー ハー

幸子「はい、落ち着きました。プロデューサーさん、芳乃さん、ちひろさん」

幸子「ボクを死の間際から救ってくださって本当にありがとうございます」ペコリ

ちひろ(私は何もしてないですけどね)

芳乃「いえー、お気になさらずー」

幸子「そうはいきません。命の恩人ですからね」

幸子「ボクにできる精一杯の恩返しと言ったら……何でしょうか?」

幸子「一発芸100連発とか。いえ命の恩人ですからね、一生分の食事代を提供とか」

芳乃「ではー、その2つを合体させましてー」

芳乃「1日1回、わたくしに一発芸を見せてもらえればー」

幸子「え、そんなのでいいんですか?」

芳乃「わたくしの心身共に尽き果てるまでお願いいたしますー」

幸子「死ぬまでってことですか!? うー……分かりました!」

幸子「じゃあ今日の夕方、事務所で待っていてもらえますか? 見せに行くので」

芳乃「ゆったりとお待ちしておりますー」

P「話がついたところで、幸子。何で幽体離脱したんだ」

幸子「え? ああ、そうですね……休憩室で横になってたら、急にふわっと体が浮かんだんですよ」

幸子「そこから意識がないですね」

ちひろ「つまり、寝てたら勝手に離脱したてことですか」

P「それって癖みたいにならないのか?」

芳乃「この法螺貝の効果でその心配も無いですよー」

ちひろ「万能ですね……」

P「さて、心配事も無くなったところで」

P「今からみんなで飯食いに行くか!」

幸子「おお! 最早お決まりになりつつありますね!」

P「そんなに頻繁には行ってないような……」

芳乃「わたくしお腹がぺこぺこでしてー」

ちひろ「お供します!」

幸子「あ、待ってください。小梅さんも誘っていいですか?」

幸子「ボクのことでご迷惑をおかけしてしまったので」

P「もちろんだ。今からみんなで小梅待ちだな」

幸子「はい! ありがとうございます!」

幸子「……」

幸子(そういえばプロデューサーさん。ボクの嫉妬を狙ったということは)

幸子(少なくともボクがプロデューサーさんに好意を持ってるってこと、知ってるんですよね?)

P「幸子、行くぞ」

幸子「! はい」スタスタ

幸子(知った上で、プロデューサーさんはボクのことをどう思ってるんでしょうか)

幸子(異性として意識してくれてると嬉しいですけどねぇ)


第十一話 おわり

ここまでにします
次で終わる予定です


――――

P「ふぅ……良い天気だ」

P「こんな日はゆっくり平穏に過ごしたいなー」

ガチャ

ちひろ「プロデューサーさん!!」

P「……」

ちひろ「何で残念そうな目をしてるんですか」

P「いや……フラグは立てない方がいいなと思ったんです」

P「また幸子に異変が起きたんですね。分かってますよ」

ちひろ「話が早くて助かります!」

P「この流れ何回やったと思ってるんですか……」

P「それで、幸子の異変って?」


↓2 幸子に何が起きたか

ちひろ「幸子ちゃん、この前幽体離脱したじゃないですか」

P「危うく死にかけたやつですね」

ちひろ「それから、どうやら幽体離脱のコツか何かを掴んだらしくて」

ちひろ「なんか器用に使いこなしてるんですよ! 自分の体の一部みたいに!」

P「その情報だけだと意味がよく……」

P「でも、芳乃が言ってませんでしたか? 幽体離脱の癖がつかないようにしたって」

ちひろ「はい。私も不思議に思って、この件について芳乃ちゃんから話を聞いたんですけど」

ちひろ「『どうやら幸子さんは霊感に目覚めてしまったようですー』」

ちひろ「『しかもこの法螺貝の効果を打ち破るほど強力でしてー』」

ちひろ「『本人が満更でもないのならー、そのままでいいのではー?』」

ちひろ「って言ってました」

P「モノマネ上手いですね」

ちひろ「そんなことどうでもいいんですよ! とにかく何とかしないと」

ちひろ「他のアイドルがポルターガイストだの幽霊だの大騒ぎしてるんです!」

P「なるほど……それは問題ですね」

P「幸子のところへ案内してもらえますか?」

ちひろ「こっちです!」

スタタタッ


――――

幸子「ふー、便利でいいですねぇこれ」トントン

小梅「幸子ちゃん……何してるの……」

幸子「あ、小梅さん。見ての通り、幽体(腕)を使って自分の肩を叩いてるんですよ」

幸子「小梅さんはこういうのできないんですか?」

小梅「う、うん……」

小梅「あのね……それ、他の人がいる前でやらない方がいいと思うよ……」

幸子「でもこれが見えるのって、小梅さんを含めた数人だけですよね?」

小梅「ううん……はっきり見えてる……みんな驚きのあまり硬直したり失神したりしてる……」

幸子「え」

幸子「えぇぇぇ!? そ、そうなんですか!? そういえばやけに皆さんの表情が怖かったですね」

小梅「幸子ちゃんが怖かったからだよ……」

幸子「そうだったんですね……」

スタタタッ

P「幸子!! ……うおっ!?」ビクッ

幸子「プロデューサーさん! もしかしてプロデューサーさんもこれが見えるんですか?」クネクネ

P「見える……ちひろさん、あなたの言ってることが分かりましたよ」

ちひろ「でしょう?」

P「幸子、お前こんなことしたら…」

幸子「はい、今小梅さんに言われました。これ霊感のない人にも見えてるんですね」

幸子「すみません……そうとは知らず思いっきり腕や首を伸ばしたりリモコン取ったりしてました」

P「なんだ、故意じゃなかったのか」

幸子「もちろんです! 皆さんを驚かせて楽しむような酷い人間じゃないですから!」ビュッ!

ズイッ

P「ひっ」

小梅「幸子ちゃん……頭だけ伸ばしてプロデューサーさんに迫ったら……すごく怖いと思うよ……」

幸子「あ、すみません! 無意識にやってました」シュルシュル

P(も、漏らしそうになった)

ちひろ「そんなに使いこなしてるんですね。他にどんなことができるんですか?」

幸子「別に超能力じゃないですから。腕や手、頭を伸ばして」

幸子「重いのは持てませんけど、物を持ったり、壁もすり抜けられるので見えない場所も見えたり」

P「充分超能力だと思う」

幸子「すごく便利ですよ。でも皆さんに見えてしまうなら、封印した方がいいですね」

ちひろ「ええ、賢明ですね」

ちひろ「でも芳乃ちゃんの法螺貝を打ち破るほどの力ですし……どうすれば治るんでしょう」

P「治るって病気じゃないんですから。幸子が使わなければいいだけの話ですよ」

小梅「それができればいいけど……さっきみたいに、無意識に使っちゃうなら……何とかしないと……」

小梅「みんなからもっと怖がられちゃうよ……」

P「……確かにそうだな。下手をすればアイドルの活動にも影響が出る」

幸子「それは嫌です!! プロデューサーさん、何とかできないでしょうか!?」ビュッ!

ズイッ

P「と、とりあえずそれやめてくれ。寿命が縮む……」

ちひろ「こういう問題は小梅ちゃんに聞いてみては?」

幸子「小梅さん!」ズイッ

小梅「う……ご、ごめんね……私にも分からない……」

幸子「そうですか……」シュルシュル

ちひろ「どうしましょうね」

P(何とかしてやりたいけどな)


↓2 どうすればいいか

P「あ」

P「そういえば前に加蓮が、幽体離脱した経験の話をしてくれたな」

ちひろ「加蓮ちゃんしたことあるんですか!?」

P「らしいよ。あとネネにも、妹に幽体離脱をしたと相談された話を聞いた」

幸子「そうなんですね。その2人なら何か分かるかもしれませんね!」

幸子「どこにいらっしゃるんです?」

小梅「加蓮さんは……トライアドプリムスの2人とレッスンしてる……」

P「ネネの妹については詳しく聞いてないんだ。無理のない程度に学校に通ってるらしいけど」

幸子「ふむふむ。じゃあ早速聞いてきますね!」ビュッ!

P・ちひろ・小梅「え?」

P「おい幸子、まさか頭を伸ばして……!」

ちひろ「幽体(頭)の状態で聞きに行ったんですか!?」

小梅「ど、どうしよう……加蓮ちゃんもそうだけど……」

小梅「ネネさんの妹さんに頭だけで会いに行ったら……」

ちひろ「驚きすぎて心臓止まりますよ!!」

P「戻ってこい幸子!! 幸子ーー!!」


幸子「ん? 何か聞こえましたね。まあいいでしょう」シュルシュル

幸子「人目につかないように空まで首を伸ばして……まずは加蓮さんのいる場所へ」

幸子「レッスンルームはあの辺りですね! いざ!」ビューン

――――

トレーナー「よし、ここまでだ。3人とも良い動きだな」

トレーナー「あとは各自確認しておくように」

加蓮・凛・奈緒「ありがとうございました」

奈緒「ふー、やっぱ凛も加蓮もすごいなぁ! 動きにキレがあってさ!」

加蓮「何言ってるの、奈緒もキレキレだったじゃん」

凛「うん、すごいよ」

奈緒「そうやって謙遜するんだもんなー……」

凛「奈緒もね」フフ

加蓮「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」

凛「分かった」

奈緒「じゃあそれまで休憩だな」

加蓮(スポドリ飲みすぎちゃったな)スタスタ

加蓮(まあその分動いてるし……)ガチャ

幸子「あ、どうも」フワフワ

加蓮「!?」

幸子「すみません加蓮さん、ちょっとご相談がありまして」

加蓮「」

バタンッ

幸子「!?」

幸子(た、倒れてしまいました……ってそりゃそうですよ!?)

幸子(ボクは何を考えてるんでしょう! 頭だけ宙に浮いてたらそりゃビックリします!)

凛「加蓮、どうしたの?」

奈緒「何か倒したのか? ドジだなー」

スタスタ

ガチャ

幸子(あ)

凛・奈緒「!!」

バタンッ

幸子(凛さんと奈緒さんまで!! ボクはなんてバカなことを……!)

加蓮「う……うーん……」

幸子「!」

幸子(加蓮さんの声! もう起き上がって……)

幸子「!?」

加蓮「あ、れ……アタシ……」フワフワ

幸子(かかか加蓮さんの体が……浮いてる!?)

加蓮「うわ、またやっちゃった。っていうか」

加蓮「幸子ちゃん……それって……」

幸子「え」

――――

加蓮「そっかー、自由に操れるようになっちゃったかー」

幸子「あの……本当にすみません」

加蓮「?」

幸子「ボクのせいで3人にご迷惑をおかけして」

幸子「特に加蓮さんは……トイレを我慢してたせいで……」

加蓮「まあ誰にもバレずに片づけできたし」

加蓮「ファミレスでちょっと贅沢な料理をご馳走してくれたら、許してあげようかな」

幸子「ご馳走させてください! すみませんでした!」

加蓮「ふふ、やった♪ でも、いいの?」

幸子「何がです?」

加蓮「頭伸ばしたままで。プロデューサーに怒られるでしょ」

加蓮「このままトイレで話すのもあれだし、幸子ちゃんのいるところまで行こうか?」

幸子「……そうですね。とても怖いですけど」

――――

P「霊感のない人にも見えるって分かってたよな?」

幸子「はい」シュン

加蓮「まあまあ許してあげてよ。自由に操れると調子に乗っちゃうんだよ」

加蓮「頭だけ伸ばすのなんて、空を飛んでるみたいで気持ちいいんだから」

ちひろ「その言葉……加蓮さん、もしかして」

加蓮「はい。アタシも操れたんですよ、前までは」

P「ということは、今はもう?」

加蓮「気絶した時とか、寝てる時とかたまに離脱するくらいだし、操れないね」

加蓮「何でなんだろ。ある日突然できなくなっちゃったんだ」

加蓮「楽しかったのになー」

P「え? じゃあ元に戻す方法は分からないのか」

加蓮「うん、残念ながら。力になれなくてごめんね」

幸子「そんなことないです。加蓮さんの言うとおりなら」

幸子「ボクもそのうち自然と元に戻るかもしれないですから」

ちひろ「というか、そもそも幸子ちゃんは何で操れるように?」

幸子「ある日、突然目が覚めたと思ったら夜中で」

幸子「二度寝しようと思ったら、幽体離脱してることに気がついたんです」

幸子「その時からすでに自由に動かせたんですよ。で、そのうち起きてる時にもできないかなと試したんです」

幸子「そしたらできました」

ちひろ「なんて簡単な」

加蓮「アタシもそんな感じだったよ。急にできるようになったの」

P「さすが未知の世界だ、よく分からん」

幸子「あれ」

幸子「小梅さんの姿が見当たりませんけど、どうしたんですか?」

P「小梅はネネに、妹のことについて話を聞いてるんだ」

P「いつ戻ってくるかは分からないけど…」

ガチャ

小梅「戻ったよ……」

ちひろ「あら、早かったですね」

小梅「幸子ちゃん……戻ってきてたんだ……」スタスタ

幸子「はい。すみません、言うことも聞かず……」

P「何か分かったか?」

小梅「ううん……ネネさんの妹さん、普通の幽体離脱で……」

小梅「寝てる時に、たまになるだけなんだって……」

小梅「操れるけど……記憶はあんまりないみたい……」

ちひろ(普通の幽体離脱ってなんでしょうね)

P「そうか。じゃあ加蓮の助言通り、元に戻るまで大人しくしてるしかないのか」

小梅「大人しくしてれば、戻るの……?」

加蓮「アタシの実体験だよ。幸子ちゃんもそうなるかは分かんないけど」

幸子「……」

P「どうする幸子? もっと探ってみるか?」

P「それとも元に戻る可能性を信じて待つか?」

幸子「……」


1、探る(その場合、どうするか内容も一緒に)

2、元に戻るまで待つ

↓2です

幸子「果報は寝て待てと言います」

幸子「元に戻るまで頑張って大人しくしてます!」

P「よし。幸子がそう決めたのなら、俺もサポートしよう」

ちひろ「私も力になりますよ」

幸子「あ、ありがとうございます……」ウルウル

加蓮「そうだ! 他のアイドルにもこの事を話して協力してもらったら?」

加蓮「どうせ離脱時の姿を見られてるんだし、いい説明にもなるでしょ」

小梅「気のせいじゃ済まないもんね……」

P「そうするか。見てないアイドルは信じないと思うけど」

――――

幸子(それからボクは、まず混乱を避けるため)

幸子(信じてもらえないアイドルの方にも幽体を見てもらいました)


幸子「はっ!」ブォン

凛「うわ、本当だ」

奈緒「すごいな……」

輝子「これ、マンガで見たことあるぞ……」

ちひろ(スタンドのことでしょうか)

幸子(そしてアイドルの仕事はもちろん、学校生活や)

幸子(休日などのプライベートでも幽体を出さないよう必死に我慢しました)

幸子(初めはちょくちょく出てしまい、ごまかすのに大変でしたけど)

幸子(やがて幽体を操る方法を忘れていき、我慢しなくても幽体でなく自分の手が出るようになり)

幸子(1か月の時が経つ頃には、やろうと思っても操れなくなっていました)

――――

輝子「レッスン、厳しかったな……」

小梅「でも……楽しかった……」

幸子「142'sでステージに立てますからねぇ! それを考えたら楽しいに決まってますよ!」

幸子「もうそろそろ休憩終わりですよ! 頑張りましょう!」

輝子「そ、そうだな……もっと上手くなって……」

小梅「絶対成功させようね……」


P「……」

ちひろ「ここにいたんですか」

P「ちひろさん……はい、3人の様子を見に来たんです」

ちひろ「幸子ちゃん、ちゃんと自分の手でペットボトルを持ってますか?」

P「ええ、もうすっかり大丈夫です」

P「操ることはおろか、幽体離脱も無くなってきたみたいですから」

ちひろ「そうですか。よかったですね」

P「撮影の時に幽体もピースしてて、腕が4本になってるのを見た時は頭を抱えましたけどね」

ちひろ「プロデューサーとして良い思い出じゃないですか」

P「プロデューサーでくくる必要はないでしょう……」


幸子「プロデューサーさん! それにちひろさんも、見に来てくれたんですか!」

P「!」

ちひろ「はい、みんな頑張ってますね」

小梅「もっと上手くなって……お客さんに見てもらいたいから……」

輝子「このキノコを……」スッ

幸子「キノコを見せてどうするんですか!? ボクたちのステージでしょう!」

ちひろ「ふふっ」

P「その調子で頑張れよ」フフ

スタスタ

幸子「あ、待ってください!」

幸子「プロデューサーさん、その……」

幸子「レッスンが終わったら、お話したいことがあるんですけど」

P「いいよ。仕事しながら待ってるよ」

幸子「ありがとうございます!」


――――


―プロダクション屋上――


P「……」

幸子「……」

P「冷えてきたな」

幸子「は、はい」

P「話って何だ?」

幸子「……」

幸子「プロデューサーさん……ボク……」

幸子「えっと……」

幸子「この前ボクがプロデューサーさんの実家に行った時」

幸子「アイドルを17歳でやめるって言ったこと、覚えてますか?」

P「覚えてるよ。ビックリしたから」

幸子「それ、取り消します」

幸子「あれからアイドルのお仕事をやってて思ったんです。これはボクの天職」

幸子「できれば何歳でもやり続けたいです。楽しすぎて、やめるなんて考えられないって」

P「夢はどうしたんだ。やめてでも追いかけたいんだろ?」

幸子「抜け道を見つけたので」

P「は?」

幸子「こ、こっちの話です。とにかく、17歳を過ぎてもアイドルは続けるつもりです」

幸子「まあ続けられたらの話ですけど」

P「弱気だな」

幸子「だって、世の中何が起こるか分からないじゃないですか」

P「幸子なら大丈夫だよ。ずっと続けていける」

幸子「そうでしょうか」

P「うん」

P「だって面白いし」

幸子「なっ!? そこはカワイイと言ってほしいですね!」

P「カワ面白い」

幸子「面白いは余計です!! まあ悪い気はしませんけど」

幸子「見ててくださいね、いずれは可愛すぎると世界中で大騒ぎされるほどのアイドルになりますから!」

P「ふふ、そうだな……頑張れ」

幸子「はい!」

P「うう……本当に寒くなってきたな。中に入ろうか」スタスタ

幸子「あ……」

ギュッ

P「!」

幸子「こ、こうすればあったかいですよ」

P「手だけだろ。このままじゃ風邪ひくぞ」

幸子「待ってください。もう一つお話があるんです」

P「中に入ってからにしよう」

幸子「それじゃダメです! い、今じゃないと……またうやむやにしてしまいそうなんです」

P「……」

幸子「あ、あの……ボク……」

幸子「ぷ、プロデューサーさんのこと……」

幸子「……」

P「……」

幸子「……」

幸子「……何でもないです」

P「えっ?」

幸子「中に入りましょう」スタスタ

P「待て待て、ここまで待たせておいて!」ガシッ

幸子「いつか言いますから! 必ず!」

P「いつかっていつだ。うやむやにしたくないんだろ」

幸子「だ、だって……いざ話すとなると、怖くて……」

P「……」

P「こういう機会だから、俺も幸子に打ち明けておきたいことがある」

幸子「ボクにですか?」

P「俺はたぶん幸子のことが好きだ。異性として」

幸子「……」

P「こんなこと知られるとロリコンだの何だの言われそうだから」

P「もう口には出さないことにする」

幸子「え? ……え!?」

幸子「ちょっと待ってください、水みたいにサーッと流れていったので思考停止しましたけど」

幸子「え!? 今なんて言いました!?」

P「もう口には出さないことにする」

幸子「言ってくださいよっ! 聞き間違いかどうか知りたいんです!」

P「……」

幸子「どうして黙るんですかっ。言ってくださいよ……グスッ」

幸子「な……何で、言ってくれないんですかぁ……ヒック……」

P「泣くほどか!?」

幸子「ち、違います……これは……嬉しいんです……っ」

幸子「だって……ボクもプロデューサーさんが、好きだから……」

幸子「プロデューサーさんのことが好きだったから……だから、この気持ちを伝えて……」

幸子「断られたらどうしようって……ウエッ……ひっぐ……」

幸子「怖くて……でも、でも……!」

P「アイドルがしちゃいけない顔してるぞ。はいハンカチ」スッ

幸子「誰のせいですか……グスン……ずびびびび」

P(思いっきり鼻かんだな)

幸子「ありがとうございます」スッ

P「い、いいよ。あげるよ」

幸子「そうですか……グスッ……」

幸子「ちょっと落ち着きました……」

P「……好きだよ」ボソッ

幸子「!」

P「アイドルとして頑張る幸子も、いつだって自信満々の幸子も」

P「どの幸子も好きだ。こうして涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしてる幸子も」

P「カワイイよ。すごくな」

幸子「ぷっ……ぷろでゅーさーさぁん……!」

ギュッ

P「!?」

幸子「ボクも大好きです……! プロデューサーさんが他のアイドルと話をしてるだけで」

幸子「すごく嫉妬しました……それで、こっちを向いてもらおうと頑張って……」

幸子「ぷろでゅーさーさぁん……!!」グリグリ

P(服が鼻水で……)

P「でも、こんなこと知れたら大変だよな」

P「みんなからロリコンロリコン言われるし。実際ロリコンだし」

幸子「……確かにそうですね」

幸子「ボクが大人になった時も襲いかかってきませんでしたし。真っ裸なのに」

P「あれは仕事だと割り切ってたからだよ。その後写真で……はっ!」

幸子「写真で、何です?」

P「な、何でもない」

幸子「何ですか? 写真で? ねえねえ何ですか?」

P「めっちゃ食いついてくるな!?」

幸子「あれ? もしかして……」

幸子「ふふーん、そういうことですか」ニヤァ

P「いやらしい笑顔だな!」

幸子「いやらしいのは誰ですかねぇ」

P「ぐっ……!」

幸子「そうですか、安心しました。実はあの件で体に自信を無くしてたんですよ」

幸子「でも、ちゃんと反応してくれたんですねぇ」

P「もうその話はやめよう……」

幸子「いいですよ。そのかわり」

幸子「……」スッ

P「何故目を閉じて口をこっちに突き出す?」

幸子「分かってるくせに」

P「それはマズイぞ幸子…プロデューサーとアイドルの関係なんだし……」

幸子「彼氏と彼女の関係でもありますよ。相思相愛なんですから」

幸子「このくらいいいじゃないですか」

P「……あ」

P「そ、そうだ。どこからかパパラッチが撮影してるかも」

幸子「む、なるほど。なら仕方ないですね」

P(実際こういう場面を撮られて、雑誌に載せられでもしたらマズイしな)

P(っていうかいないよな?)キョロキョロ

幸子「そうですよ。ボクは浮かれていました」

幸子「思いが通じたあまりの嬉しさに舞い上がって、現実が見えてませんでした」

幸子「ボクはまだまだこれからアイドルとして頑張っていきたいですから」

幸子「残念ですけど……こういうことは、しばらくおあずけですね」

P(いないみたいだな)ホッ

幸子「プロデューサーさん」

P「?」

幸子「もう言いましたけど、ボクはまだまだアイドルを続けていくつもりです」

幸子「いつになるかは……いえ、さすがに30歳にはならないと思いますけど」

幸子「ボクがアイドルをやめる時まで、待っていてもらえますか?」

P「何を?」

幸子「結婚」

P「!?」

幸子「お母様とお父様にちゃんと報告してくださいね。相手が見つかったって」

幸子「おお、いよいよ冷え込んできましたね……中に入りましょうか」スタスタ

P「……」

P(そうか、幸子のアイドルをやめてまで叶えたい夢って)

P(だからあんなに難しい顔を……。筋が通ったな)

P「幸子、ちょっと待った」スタスタ

幸子「何ですか?」

P「……他のアイドルには、なるべく秘密だからな」

P「バレたら厄介なことになるから」

幸子「2人だけの秘密ですね! 了解です!」

スタスタ



――その頃、向かい側の建物・屋上――


パパラッチ「危ねぇ……見つかるところだった」

パパラッチ「でも、良いネタが撮れたな。これを載せれば……」ニヤニヤ


ちひろ「そこで何をしてるんですか?」

パパラッチ「!!」


パパラッチ「え、えっと……」

ちひろ「その手にもってるの、カメラですよね」

ちひろ「渡してもらえないでしょうか」

パパラッチ「……あんた、知ってるのか」

パパラッチ「残念だがこれを渡すわけにはいかない。俺の生活がかかってるんでね」

ちひろ「それを言ったら、あなたが撮った一人の女の子と男性の生活も」

ちひろ「めちゃくちゃになりますよね?」

パパラッチ「!?」ビクッ

パパラッチ(な、何だこの威圧感は!)

パパラッチ「うるさい! お前には関係ないだろ!」

ちひろ「ありますよ。巴ちゃん」

巴「おう」スッ

パパラッチ「? あんたは確かアイドルの……」

ゾロゾロ

パパラッチ(う、後ろから黒服の男が!?)

巴「お前ら、この男前をちょっと説得してやってくれんかのう」

「「「へい」」」


ウワー! ゴメンナサイ! ユルシテクダサイ!


ちひろ「……」

ちひろ(安心してください幸子ちゃん。私たちが守ってあげますから)

ちひろ「……グスッ」

巴(ちひろの姉御も、乙女じゃのう)


――――

幸子「ふふーん! 今日もボクはカワイイですねぇ!」

輝子「フヒ……キノコみたいに……」

幸子「それは……喜んでいいんでしょうか」

小梅「あそこで手を振ってる女の子みたいに……」

幸子「ひぃっ!?」


ちひろ「今日も元気ですね、幸子ちゃん」

P「そうですね。嫌でも声が届いてきますから」

小梅「でも……なんか最近すごく可愛くなってる……」

輝子「うん、冗談抜きで……」

幸子「そうですか? ふふ、やっぱり恋を…」

P(おい!?)

小梅「こい……?」

幸子「こ……こ、鯉を見ると……心が洗われますよね」

輝子「意味が分からない……」

P(はぁ……)

ちひろ(この様子だと、他のアイドルに気づかれるのも時間の問題ですね)アハハ…

幸子「ま、まあ何にしても」

幸子「ボクはまだまだ可愛くなりますからね! 見ててくださいよ!」


おわり

最後に長々とすみません
142'sの話でもよかったような…
お付き合いありがとうございました

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