百合子「実は、2ヶ月後にロコちゃんのソロライブをやることになったの。」

百合子「そしたらロコちゃん、舞台設定や衣装なんかを、自分で考えたいって言い出して…。」

杏奈「え…それって、すっごく大変なんじゃ…？」

百合子「うん。でも、あのロコちゃんだからね。」

百合子「自分自身を表現する機会は大事にしたいんだと思う。」

杏奈「ロコ…。」

百合子「だから、今だけはそっとしておいてあげて。ね？」

杏奈「……うん…わかった。」

【1週間後】
ロコ「うーん…このソングと合わせるなら、トップスとボトムスのコントラストを…。」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

杏奈「…………。」ｼﾞ---

ロコ「…ん？どうかしましたか、アンナ？」

杏奈「う、ううん…なんでもない、よ…。」

杏奈「杏奈…邪魔しないように…向こう、行ってる…ね。」

ロコ「？」

【1ヶ月後】
ロコ「ようやくソロライブのプランがまとまりました！」

杏奈「お疲れ様…それじゃあ、これから暇…なの？」

ロコ「いえ！プランはエクセキュートするものですので！」

ロコ「レッスンやミーティングなど、これからもっとビジーになりますよ！」

杏奈「そ、そうなんだ…楽しそう、だね…。」

ロコ「当然です！ロコのアイディアが全て詰まったステージですから！」

杏奈「…そう…よかった、ね…。」

ロコ「アンナ？」

杏奈「杏奈…応援してるから…頑張って、ね…。」

ロコ「あ…はい…。」

ロコ「……？」

【ライブ数日前】
百合子「杏奈ちゃんの様子がおかしい？」

ロコ「はい。いつも遠くからロコのことを見ているんです。」

ロコ「それなのに、何でもないって言うんですよ。」

百合子「うーん…多分、寂しいんじゃないかな。」

百合子「ロコちゃん、ここ最近ライブのことで忙しくて、杏奈ちゃんと遊んでいないでしょ？」

ロコ「それは…確かに、そうかも知れません。」

百合子「前に私、杏奈ちゃんに、ロコちゃんの邪魔をしないように言ったの。」

百合子「杏奈ちゃんはそれを守っているんだよ。」

ロコ「アンナ…それならロコ、アンナと遊んできます！」

百合子「駄目だよ！今はライブ前の大事な時期でしょ？」

百合子「今はライブに集中して。でないと、杏奈ちゃんの我慢も無駄になるんだよ？」

ロコ「うう…そうですね…今はマーベラスなステージを作ることにコンセントレイトします。」

百合子「杏奈ちゃんのことは任せてよ。代わりに相手しておくから。」

ロコ「お願いします。」

百合子「杏奈ちゃん。ちょっといいかな？」

杏奈「なぁに…百合子さん…。」

百合子「実は最近格ゲーに興味が出てきたんだ。杏奈ちゃん、教えてくれる？」

杏奈「うん…いいけど…格ゲーなら、美奈子さんやのり子さんの方がいいんじゃ…？」

百合子「杏奈ちゃんがいいの！駄目かな？」

杏奈「ううん。それじゃあ…やろっか…。」

ロコ「（ユリコ…任せましたよ！）」

杏奈「…………」ｶﾁｬｶﾁｬｶﾁｬｶﾁｬ!!

杏奈「…………」ｹ-ｵ-!ﾊﾟ-ﾌｪｸﾄ!!

百合子「…………」

百合子「（何もさせてもらえなかった。）」

杏奈「えと…百合子さん…？」

百合子「もう1回！もう1回お願い！」

杏奈「う、うん…。」

ロコ「（ユリコ…！）」

【ライブ当日のライブ会場】
百合子「杏奈ちゃん、こっちこっち！」

杏奈「関係者席に入れてもらえて…よかった、ね…。」

杏奈「ステージがよく見える…。何だか、ドキドキしてきた…よ。」

百合子「それにしても、今日までよく我慢したよね、杏奈ちゃん。」

杏奈「我慢…？杏奈、我慢なんてしてない…よ？」

百合子「えっ？ロコちゃんと遊べなくて寂しそうにしてたじゃない。」

杏奈「うん…寂しかった…でも、我慢なんて…思ってない、よ…。」

杏奈「杏奈ね…ロコのライブが好きなの…。」

杏奈「ロコの作るステージは…いつも杏奈をびっくりさせて…ワクワクさせてくれるの…。」

杏奈「だから…今回はどんなステージになるのか楽しみで…ロコのこと見てたの…。」

杏奈「だから…我慢なんかじゃないよ…。」

百合子「……そっか。」

百合子「…まあ、私は何度もフルボッコにされて、メンタルが疲弊したけどね。」

杏奈「えっ？」

杏奈「あっ…そろそろ始まる、よ…。」

ロコ「エブリワーーーン！今日はロコのスペシャルライブにウェルカムです！」

ロコ「最高にエキサイティングなステージをプロミスします！それでは早速…スタートです！」

百合子「わっ！？すごい！！ロコちゃんの歌に合わせてステージが変形してる！！こんなステージ初めて見た！！」

杏奈「これがロコだよ…。」

杏奈「いつもどや顔で…色んな物を披露して…杏奈をドキドキさせてくれる…。」

杏奈「そんなロコが、杏奈は大好きなの…。」

百合子「杏奈ちゃん…。」

百合子「それ、本人に言おうよ。」

杏奈「やだ…恥ずかしいもん。」

ロコ「ロコの歌、どうでしたかー！？」

ファンA「さいこーーー！！！」

ファンB「可愛いーーー！！！」

杏奈「……えへへ」ﾄﾞﾔｧ

百合子「どうして杏奈ちゃんがどや顔なの？」

【ライブから1週間後】
ロコ「アンナ！ロコ、今日は一日中フリーですよ！」

杏奈「ほんと…？じゃあ杏奈…ロコにお願いがあるの…。」

杏奈「えと…一緒にゲーム…しよ？」

ロコ「もちろんいいですよ！いくらでも付き合います！」

杏奈「じゃあ…杏奈ね、最初はレースゲームやりたい…。」

百合子「良かったね、杏奈ちゃん。」

ロコ「エルダーのロコが、今日はたくさん遊んであげます！」

【その後】
ロコ「うえーん！！また負けましたー！！」

杏奈「これで100敗目…ロコ…弱すぎ…。」

百合子「少しは手加減してあげなよ！」

杏奈「真剣勝負に…ハンデはない、よ…。」

ロコ「ぐぬぬ…まだです！次は勝ちます！」

杏奈「えー…まだやるの？」

ロコ「やるんです！勝つまでやるんです！」

杏奈「しょうがないなぁ…。」

百合子「逆に遊んでもらっているじゃない！」

百合子「あと、しょうがないとか言いつつ、杏奈ちゃんすっごく楽しそう！」

杏奈「それじゃあ次…どのゲーム、やる…？」

ロコ「ファイティングゲームです！ユリコとプレイしていたあれをやりましょう！」

百合子「自ら死地に飛び込んだ！？絶対勝てないでしょ！？」

ロコ「バトルに絶対はありません！いきますよ！」

ロコ「…あ、あれ？ロコのキャラクターが倒れて…あれ！？立てない！？」

ロコ「うえーん！！また負けましたー！！」

杏奈「（はぁぁぁ…！！ロコ、可愛い…！！）」

ロコ「次です！」

杏奈「うん…あと100ゲーム…やろ？」

百合子「付き合ってられないよ！！」

【終わり】

以上です。ありがとうございました。