マミ「私の、最高の友達」 (45)

本編10話ぐらいまでの記憶で読み進めてください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512055343

~1~

???「全く嫌になるね。感情を持った個体だからってこの扱い」

???「辺境の地に飛ばされて宇宙のエネルギーをなんとかしろって言われても、どうしろって言うんだ! いや、頑張るけどさ。仕事だし…」

???「この星は……地球というらしいね。原住民もいるはずなんだけど……」

この僕…インキュベーターは宇宙人だ
今日も宇宙の延命の為、宇宙中を回って解決策を探していた
最も僕はインキュベーターの中でも異例の感情を持った個体であり、他の個体からは精神疾患を持った腫物扱い
この地球の近くに飛ばされた仲間も似たようなものだ
ちなみにこの当時の僕はほぼ人間と同様の形をしていた
少々特徴的な耳と尻尾をしているが……それ以外は助けようとしている少女と大差ない
感情のない個体は見た目が全て小動物の形をしていたが、それぞれ別の肉体を持つことが感情を持つ個体としての僕達の拘りだ

QB「ん。あれは……何かに追われているようだね」

少女「!!! !!!」

QB「あれは、助けを求めているのか…。まぁこの星の話も聞きたいし、助けておくのも悪くないだろう」

そう考えた僕は光線銃で少女を追いかけている何者かを威嚇射撃した
何者かもしれぬ存在はその攻撃に驚いたのか、すぐに逃げ出した
……まぁ、最悪の事態は避けられた。少女を助けるという行為そのものが、この星の住民にとってどういう影響を与えるのかわからない
相手を殺さずにすんだのは行幸だろう

少女「!?」

QB「怪我はないかい?」

少女「*!WDFS」

あぁ、そうか。翻訳機能を使って……

少女「助けてくれてありがとうございます!」

QB「別に構わないよ」

僕だって何の打算もなく助けたわけではない

QB「出来れば君の家に案内して貰えないか? いろいろ聞きたい事があるんだ」

少女「はい!」

少女は完全に僕を信じ切っているようだ

QB「これを、食べるかい?」

そう言って僕は宇宙食を少女に与えた

少女「……変な味ぃ……」

QB「うん。ごめんね。どんな反応をするのか知りたかったんだ」

確信した。味に対して明確な感情を示している
彼女も僕と同じように感情があるんだ

僕は洞穴へと連れていかれた
そこには少女と同じような感情のある人間が沢山いた
信じられない事に感情のある人間たちが群れを成して生活していたのだ
僕たちの今までの星の調査からいってもこれは異例のことと言っていいだろう


男性「お前! あれだけ勝手に外に出るなといっただろう!」

少女「お父さん! この子すごいんだよ。ビーってでる武器で魔獣をあっというまに追い払っちゃった!」

QB「……魔獣?」

男性「……えぇ、と。あなたは?」

QB「僕はインキュベーター。宇宙人さ」

男性「この子を助けてくれて本当にありがとうございます。何とお礼をいったらいいか……」

QB「僕としては成り行きで助けたようなものだし……気にしなくていいよ」

男性「それにしても……宇宙人? それは一体?」

QB「あー……君たちとは違う世界からやってきたという認識でいいよ」

男性「ビーって出る武器とは……?」

QB「これの事かい?」

僕は光線銃を取り出し、地面に向けて放った。

それを見た男性……と周りの人間達が驚きおののいた
まぁ見たところ精々武器が木の棒といった文明レベルだ
驚くのも無理はない
ある者は神といい、ある者は救世主といい……兎に角すごいもち上げようだった
ただ、僕はこの時別の事に驚いていた。

この人たちは僕が来るまで魔獣の恐怖におびえ絶望していた
それが僕が魔獣をこの光線銃で追い払ったと知って希望へと変わったのだろう
盲点だった
それらのエネルギー…所謂感情エネルギーといったものが予想外に高い事が僕の測定器によって算出されていたのである
絶望から希望への転移。感情を持った生物ならではのものが宇宙を救うエネルギー足りうる……?

QB「……」

男性「ど、どうしました?」

QB「いや、何でもない」


このエネルギー。うまく使えば宇宙の延命に使えるかもしれない
僕はそう思ったのだ。これが全ての悲劇の始まりになるとも知らずに

~2~

絶望から希望へのエネルギー
これをどうやって宇宙のエネルギーへと変換するか
それが目下の課題であった
それも、人類が魔獣達に滅ぼされる前にだ
仮に地球にいる僕たちを総動員したとしても、この星の魔獣の数には敵わない事がわかった
最も何の理由もなくそんな事をする事を母星の連中が許すとは思えないが
魔獣……謎の存在だが、その正体自体はどうでもいい
問題は2つ
絶望から希望のエネルギーへの変換方法
魔獣への対抗

これらを一度に解決させるものが、僕たちの考えだした『魔法少女システム』だった
ターゲットは思春期の少女。理由は単純に彼女たちがエネルギー効率が一番良かった事によるものである
願いを一つ叶える変わりに魔法少女へと変化させ、魔獣に対抗しうる手段を確保する
希望への転移のエネルギーは個人差があるとはいえ、少女達の願いによるエネルギー消費を大きく上回る事が判明した
魔獣の撃破と宇宙の延命手段。両方を同時に解決する画期的な方法かに思えた
幸い母星には得られるエネルギーの予想データを見せる事で許可が下り、地球の周りにいた僕たちと共同で魔法少女システムの運用を開始した

僕たちと魔法少女達は共同で魔獣の征伐にあたった
僕たちの中にも魔法少女となり、戦いに参加したものもいた
結果として魔獣の数は大きく減少
人類の未来は守られたのだった

QB「……これで僕たちも母星に栄転かな」

少女「キュゥべえ!」

QB「……僕の名前はインキュベーターだよ」

少女「インキュベーターだからキュゥべえ! いい名前じゃない?」

QB「……別にいいけれども」

ただ、この星は母星と比べてとても居心地が良かった
感情のある者達で過ごす日々のなんと素晴らしいことか
もし、母星から戻るように命令があってもそれを蹴ってここにいたい。いつしか僕はそう思うようになった

そう、そこまではうまくいっていたのだ
魔女という存在が現れ始めるまでは

~3~

魔女という存在が現れ始めたのは魔獣が絶滅寸前までいっての事だった
その出現理由は不明。最初は魔獣が進化したものだという推論をしていた
だが、それと同時に魔法少女に人数の減少が起こり始めた。僕は嫌な予感がしていた
もしかしてこの魔法少女システム、致命的なバグがあったのではないか?
そしてその予感は的中する

少女「あ…アァアアアアアア!!!!!」

QB「ど、どうしたんだい!?」

一番最初に魔法少女になった少女
あの時魔獣から助けた少女
それが、少女の姿から異形のものへと姿を変えた

QB「こ、これは……一体……!?」

魔法少女システムは魔獣からグリーフキューブというものを魔法少女が吸収し魔力に変え、吸収し終えたものを僕たちが処分する
そうする事で成り立っていたシステムだった
では魔獣がいなくなったらどうなるか?
僕たちはこの事について楽観視しすぎていた
魔法少女達の魔力がなくなったらどうなるか?
僕たちはそれを普通の少女に戻るぐらいにしか考えていなかったのだ

とにかく対策は打たなくてはならない
僕たちはソウルジェムシステムを考案した
今の現状では魔法少女が魔女となった際肉体が破壊されてしまい修復が不可能になってしまう
魔女から魔法少女へと戻らせるためにはまず肉体が存在している事が重要だ
また、以前から問題視されていた魔法少女へのダメージの直接的影響の軽減
それを考慮し、魂を肉体から引き離すソウルジェムを魔法少女システムに導入した
無論これは魔女から魔法少女への復元への暫定処置にすぎない
だが、ここで、想定外な事が起こった
魔法少女が魔女になった時に得られる希望から絶望の相転移
その圧倒的なエネルギーは願いをかなえた際に発生する希望エネルギーを遥かに凌駕するというものだった
そして母星から、指令が来た
「魔法少女システムについては現状のまま運用せよ」と
魔女を魔法少女に戻す研究については、それに対するコストがかかりすぎる事と未知の事態の想定の為中止となった
そして僕たちの悪夢が始まった

~4~

言えなかった。魔法少女が魔女になるなんて
だが、そうだとしても、気づく魔法少女がいずれ出てくる
僕たちは悪魔と罵られた
悪魔と罵られる事自体は構わなかった。ただ、魔法少女が魔女になってしまう。その事がただただ悲しかった
そしてそれは僕たちにも変異をもたらす
魔法少女として戦っていたインキュベーター。彼女らもまた魔女になったのだ。

QB「こんなことって……」

しかも僕たちの魔女はインキュベーター同士の繋がりからか、魔女同士で結合を始めた
いつしかそれは巨大な魔女となり、魔法少女の手にもおえないものとなっていた
もう猶予はない
これ以上奴を大きくする前に、僕たちの魔女化する原因を断ち切る必要があった
……これ以上現状に耐えられなかったという事もあった
ある仲間がインキュベーターに願った

QB「僕たちインキュベーターから感情を消してくれ」

かくして僕たちは感情を持たない魔法少女となった
もっとも姿形は母星の連中と変わらないもの。実質もう似たような存在だ
こうなってみると今まで何を悩んでいたのかがわからなくなった
魔法少女から魔女になった際の希望から絶望の相転移の力を宇宙の延命に使う
それの何が悪いというのか
そう、僕たちはそれを思考する能力さえ失ってしまったのだ

僕たちの魔女の集合体はワルプルギスの夜と呼ばれ、しばしば現れては魔法少女達を苦しめるようになったという

~5~

僕は潜んでいた
幸か不幸かかつてキュゥべえと名前を付けられた事によって、インキュベーターという括りの願いから逃れられていたのだ
必死に生き延び、そして巴マミという魔法少女に会う
彼女は最初こそひ弱だったが、その素質は莫大なものだった
彼女の力と、彼女を生かせるだけの力が揃えばワルプルギスの夜に勝てる
魔女を魔法少女に戻す方法。それはいまだにわからない
でも、出来るとすればもうそれは僕だけだ。巴マミは立派に成長した
佐倉杏子、…そして僕を襲った暁美ほむら。彼女らが手を結べばワルプルギスの夜の打倒は夢ではない
望みは薄い。でも僕は
かつて諦めた完全なる魔法少女システムの実現。それを決して諦めない

以上、プロローグでした。次回から本編です

誤記 >>2 ×助けようとしている少女 〇人間

泣き声が聞こえる
白い耳と尻尾が生えたその少女はただ闇の中で泣き続けていた

「こんなはずではなかった」

「あの時僕がもっと注意をはらっていれば」

「ごめんね……」

「マミ」

マミ「!?」

目を覚ました
ここは……私の部屋?

QB「目を覚ましたようだね」

マミ「キュゥべえ? 何で? 私はあの時確かに魔女に食べられて」

死んだはずなのに

QB「砕けたソウルジェムを結合して、破損した肉体を再生させたんだ。時間がかかってしまったけどね」

そう……時間がかかりすぎた

マミ「……巨大な魔力を感じる。これはどういう事?」

QB「そうだね。君にはすべてを知る権利がある」

キュゥべえから全てを聞いた。
あの時私がやられた後、美樹さんが契約したこと
そしてその美樹さんが魔女になったこと
そして……佐倉さんが美樹さんと運命を共にしたこと
暁美さんが時間遡行者であること
ワルプルギスの夜が現れ、暁美さんが一人で戦おうとしていること

マミ「そう……キュゥべえ。ずっとあなたは私たちを騙していたのね」

QB「そうだよ」

キュゥべえは否定しなかった。
今まで私に魔法少女システムについて何の説明もしなかったこと
まるで……その事が自分だけの責任であるかのように

QB「たとえ、君と暁美ほむらの二人で戦ってもワルプルギスの夜は倒せない。逃げる事をお勧めするよ。今ならまだ間に合う」

マミ「……そうね」

マミ「体は……充分に動く。まだ戦える」

QB「何を考えているんだい? マミ」

マミ「ワルプルギスの夜と戦う」

QB「正気かい? 勝ち目はないと説明したばっかりじゃないか。無駄な事に力を割く必要はない」

マミ「私をよみがえらせたのは無駄な事じゃないの?」

QB「……どうしてだい? 君たち人間の考える事はわけがわからないよ。それに……」

QB「全てを説明されてそれでも、ワルプルギスの夜と戦う選択をする。そこまで君は強くはなかったはずじゃないか」

マミ「……キュゥべえはお見通しね」

マミ「そうね……あの子の泣き声を聞いたから、かしら」

QB「あの子?」

マミ「あの子はもうすべてを諦めている。だからね、それに抗いたくなったの。それに」

マミ「暁美さんも諦めずに戦っているんでしょ? なら、私だけ逃げるなんて事はできない」

あの時、彼女の警告も聞かず、単身魔女に挑んでやられてしまった。その借りは返さないと

QB「もう一度言う。勝ち目はないよ」

マミ「わかってる。……ねぇ、聞いてもいい?」

QB「何だい?」

マミ「あの子の正体……それはあなたなんじゃないの?」

QB「……わけがわからないよ」

マミ「……そう」

状況は絶望的だった。
足が瓦礫に挟まれ、時間停止の能力も使えなくなった。
私は……

ほむら「どうして? ……どうしてなの?何度やっても、アイツに勝てない!」

こうなったらもう一回時間遡行をして……

ほむら「……繰り返せば……それだけまどかの因果が増える。私のやってきたことは、結局……」

マミ「諦めてはダメよ!」

ほむら「!? その声は!?」

マミ「ティロ・ボレー!」

マミのマスケット銃は私の足を挟んでいた瓦礫を破壊した

マミ「ごめんなさい。遅くなったわね」

ほむら「巴マミ……!? 生きていたの……!?」

マミ「説明は後。今はあいつを倒さないと」

ほむら「……そうね」

巴マミは死んでいなかった
どういう理由であの状況から生き残ったのかわからないけれど……それならまだ、望みはある!

マミ「さて、かわいい後輩をいじめてくれた事……後悔させてあげないとね!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

マミの全力の攻撃がワルプルギスの夜にぶつかる。だが、ワルプルギスの夜はそれを物ともしない

マミ「成程……確かに、これは苦戦しそうね」

マミ「私には応急処置程度しかできないけれど……もう動ける?」

ほむら「心配無用よ。巴マミ。……もう避難所が近い。一刻も早く決着をつけなければ」

マミ「そうね。私が前線に立つ。あなたは後方から援護して」

ほむら「わかったわ!」

使い魔たちを薙ぎ払いながら、巴マミはワルプルギスの夜に近づいていく

ほむら「……本当に、流石ね」

せめて、私にも自力でここまで戦える能力があれば……考えても仕方のないことだけれど
銃弾は残り少ない
無駄弾は使わず、巴マミのとらえきれなかった使い魔達のみを倒す事に専念する

そして……

マミ「遠距離から通用しなかったけど……近距離からならどうかしらね」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ワルプルギスの夜にマミの渾身の一撃が命中する。だが……

マミ「……そんな」

ワルプルギスの夜は、それすらも意味がないかのように、あざ笑うかのように

ほむら「マミ! 危ない!」

マミ「く!」

ワルプルギスの夜から突風が吹き荒れる
巴マミは弾き飛ばされた

QB「いっただろう。勝ち目はないって」

ほむら「……インキュベーター!!」

マミ「暁美さん待って! その子は……違うの!」

QB「……君たちの最後を見届けにきた。予想通りだ。君たちの力だけではワルプルギスの夜に勝てない」

マミ「まだ。終わってないわ。最後まで諦めない」

QB「無駄だよ」

マミ「無駄じゃない!!」

マミ「暁美さん。もう一度やるわよ! ワルプルギスの夜が倒せるまで、何度でも!」

ほむら「……でも、もう避難所がすぐ近くに」

マミ「暁美さん!」

???「なら、遠くに弾き飛ばせばいいだろ」

マミ・ほむら・QB「え?」

???「どりゃあああああああ!!!!」

短髪の、剣と槍を持った魔法少女
一気にワルプルギスの夜に接近した彼女は、ワルプルギスの夜に突撃した

ワルプルギスの夜「!?」

ワルプルギスの夜が遥か遠方に飛ばされる。凄い……これほどの力を持った魔法少女がこの街に……? いや、でも彼女は、そんな。いるはずのない彼女は

ほむら「美樹さやか……なの?」

さやか「二人で楽しそうにやってんじゃねぇよ。……あたし達も混ぜろや!」

続く!

さやか「ちょっと。あんただけ勝手に喋ってるんじゃないわよ! あたしもいるんだから!」

さやか「いいだろ別に。……たく、肉体が一緒なだけに面倒だな」

QB「これは、一体…どういうことだい!?」

さやか「ん? どうもこうもねぇよ。あの時、さやかを助けたい一心でありったけの魔力をさやかの魔女にぶつけたんだ。そしたら……こうなった」

さやかはソウルジェムを見せた。そのソウルジェムは赤と青が混ざり合っている

QB「そんな…!? さやかのグリーフシードがソウルジェムへと変化し、杏子のソウルジェムと混ざり合ってるとでもいうのかい!? そんな事が起こるはずが……」

さやか(杏子)「そうはいっても……起きたんだからしょうがないだろ」

さやか(さやか)「あの時、あたしは闇の中にいて……。そしたら、杏子が突然現れて手を出してきたの。そしてその手を取ったら……こうなってた」

さやか(杏子)「あたしの肉体は爆発で吹っ飛んじまったからさやかの肉体を使ってるけどな。今のあたし達は二人で一人……ってやつみたいだな」

QB「……」

杏子の希望の力がさやかのグリーフシードに呼応し、絶望から希望への相転移を引き起こしソウルジェムを復活させたということか…!?

QB「嘘だ。そんな事起こりえるはずがない。魔女から魔法少女へは不可逆のはずだ。少なくとも魔法少女の力でそんな事ができるわけがない!」

さやか(杏子)「あんた言ったよな。『魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれ程の不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない』って。……そういう事なんじゃないのか?」

さやか(杏子)「……いや、あんたのお仲間が言ったのかもしれないけどさ」

QB「……」

もし、そんな事が可能だったとするならば……それは……

QB「……本当の、奇跡だ」

さやか(さやか)「さて、さやかちゃんたちも加わったことですし、マミさん、転校生、逆転するよ!」

マミ「えぇ!」

ほむら「そうね。あなた達まで戦いに参加してくれるなら……ひょっとしたらいけるかもしれない!」

QB「待ってくれ!」

マミ・ほむら・さやか「?」

QB「佐倉杏子。美樹さやか。君たちの起こした事は確かに奇跡だった。でもね」

QB「一度起こした奇跡はもう奇跡ではない。他のインキュベーターたちの視認した情報からデータを取った。……ここから先は僕に任せてくれないかい?」

マミ「……どうするつもり?」

QB「絶望から希望への相転移……それを、ワルプルギスの夜にも起こさせる」

ほむら「魔法少女でもないあなたがどうやって」

QB「魔法少女だよ」

そういうと、キュゥべえは人型へと変貌した。特徴的な耳と尻尾。幼さを残した少女

マミ「あなたは……! やっぱり……!」


闇の中にいる
悲しい。辛い。苦しい
そういった感情が渦巻いている

QB「これが魔女の中の世界か」

(キュゥべえ! 頑張って!)

QB「……聞こえているよ。マミ」

やがて僕は無数の僕たちの場所にたどり着いた

QB「みんな。今まで苦しかっただろ? もう終わりにしよう。その為のエネルギーを今日まで、ずっと溜めてきた」

QB「魔法少女システムを……完成させる!」

つづくよ!

ほむら「……何が、起こったの?」

さやか「杏子! あんたの体!」

杏子「お、戻ってるじゃん! やりー!」

さやか「やりーってあんた……」

杏子「まぁ、前のまんまでもそれほど不自由は……」

さやか「きょーうーこー!?」

杏子「冗談だよ冗談」

マミ「……キュゥべえ? キュゥべえはどこ?」

『どうやら成功したみたいだ』

ほむら・さやか・杏子・マミ「キュゥべえ!」

『杏子。君の肉体については再生しておいた。さやかと一緒では何分不自由だろうしね』

『そして、君たちを管理している魔法少女システム……それに大幅な修正を加えた』

マミ「大幅な修正?」

『一つは魔女になるというバグを取り除くことだ。もう、魔法少女はソウルジェムが濁りきっても魔女になる事はない。ただ、魔法は使えなくなるから戦い続けるなら魔力は重要になるけどね』

『それと、現在魔女になっている魔法少女。使い魔から産まれたものについてはどうしようもないが、魔法少女からなったものについては魔法少女に変換した。これについては佐倉杏子。美樹さやか。君たちのお手柄だよ。君たちのおかげでこのシステムの導入に踏み切れた』

『そして、魔法少女から普通の人間に戻る事も出来るようになった。それを選択するかどうかは本人の自由だ。まぁ君たちの判断に任せるよ』

ほむら「……なら、もうまどかが魔法少女にならぬよう、守る理由もなくなったって事?」

杏子「いい事づくめで結構な事だ。……胡散臭いぐらいに」

さやか「……杏子?」

『さて、僕は制裁を受けなければならないからね。これで失礼するよ』

マミ「制裁!? どういう事!?」

『僕の独断で勝手に魔法少女システムを変更したんだ。しかも宇宙の延命に使うはずだったエネルギーまですべて使って。多分僕は処分されるだろうね』

マミ「処分って……そんな……」

『マミ。君と過ごした日々。本当に楽しかった。……元気でね』

マミ「キュゥべえ!!!!」

杏子「なんだそりゃ……あいつが全ての責任を負ったって事かよ」

さやか「そんなの……いや、確かにあいつらにはひどい目にあわされたけど……これは流石に……」

ほむら「……」

マミ「どうする事も……できないの?」

???「その件であなた達に相談があります」

ほむら「!? ……今更ご登場? 随分なご身分ね」

織莉子「初めまして。もっとも初めましてではない方もいるようですが……私の名前は美国織莉子。魔法少女です。あなたたちに力を貸していただきたい」

細かく更新してごめんね。多分明日完結版を書くよ。多分

--QB母星--

裁判長QB「……以上の罪で、インキュベーターNo.27736を処分する」

QB「僕には納得できないね。元々魔法少女システムは希望のエネルギーを宇宙の延命のエネルギーに使うものだったじゃないか。僕はその魔法少女システムを完成させたにすぎない。それに……」

QB「僕の名前はキュゥべえ。No.27736じゃない」

裁判長QB「言いたい事はそれだけか」

QB「……」

裁判長QB「……連れて行け」

QB「あー……明日処分かぁ……まぁ、そうなるよね」

QB「でも、何でわざわざ時間を与えたんだろう。意味が分からないよ」

QB「……しかし、この食事はまずいなぁ。マミの家ではもっと美味しいものが食べられたのに……」

QB「……マミ……」

QB「……また、マミの作ったケーキ……食べたかったな……」

QB「マミ……会いたいよ……」

兵士QB1「本当に何故、いちいち処分に時間を与えたんだろう」

兵士QB2「何でも感情を持った個体には、そうする事がより大きな罰になるらしいよ」

兵士QB1「そうなんだ。まったく感情というものは理解できないね」

???「そう、なら少しは理解できるようにしてあげようかしら」

兵士QB1・2「誰だい!?」

???「ティロ・フィナーレ!!」

QB「マミ……!? どうやってここに……!?」

マミ「肉体の一部から本体付近に瞬間転移が使える魔法少女がいたのよ。それでうちに転がっていたキュゥべえの毛からこうやって飛んできたの」

マミ「私だけじゃないわ。地球の大部分の魔法少女がこうやって飛んできてる」

???「ヴァンパイアファング!」

???「炎扇斬舞!」

???「インフィニットポセイドン!」

???「ストラーダ・フトゥーロ!」

???「リーミティ・エステールニ!」

???「キラ盛りビーム!」

???「ナイトリゾルブ!」

………

……

QB「マミ……また会えて嬉しいよ。僕は……僕は……!!」

マミ「ずっと一人で抱えこんできたのね」

QB「……マミィィィィ!」

マミ「あなたはよくやったわ。あなたは私にとって最高の友達だったのね。だから……後は私たちに任せて」

QB「……でもどうやって彼女たちを集めたんだい? 僕なんて恨んでいる魔法少女も多かっただろうに」

マミ「そ、それはね。なんというか……」

マミ「……これだけ地球で好き放題やっておいて一人で母星に帰って解決なんて結末納得できるかという人たちが……」

QB「あぁ……うん。成程、わかった」

マミ「と、兎に角、一緒に行くわよ」

QB「どこに?」

マミ「もちろん地球まで。ついでにこの星に徹底的に打撃を与えた後でね!」

魔法少女
僕たちが生み出した無限の可能性
彼女たちと僕の物語はまだ終わりではないようだ

--おしまい--

何かそんなに長くならなかったので今日中に完結させました!
いろいろ加筆修正してピクシブあたりに上げるかもしれませんが、取り合えず終了ということで
ありがとうございました!

報告が遅くなりましたが、PIXIVにのせました。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8965392

他の作品としては、主にこんなのがあります。
 QB「メリークリスマス」修正版https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7606197
ほむら「美樹さやかを全力で可愛がるわ」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5349690
さやか「見滝原の悪夢」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=908047
さやか「この世界って守る価値あるの?」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=896159

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