妹「兄と一緒に日本一周の旅!」兄「……無理やり着いてきたけどね」(82)

兄「日本一周行ってくる」妹「私も行きたい」兄「……え?」
兄「日本一周行ってくる」妹「私も行きたい」兄「……え?」 - SSまとめ速報
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の続き。
sage進行で

ブロロ……トコトコトコ……

妹「あー!やっぱり山道とかは走ってて気持ちが良いわねー!天気も良いし最高よ!」

兄「信号ないのが良いよね。……あ、妹。次曲がるよ、右ね」

妹「はーい!……ウィンカー!巻き込み確認よし!」

兄「前、後ろ共に車両無し」

妹「曲がるわよー!――なんかねー、最近橋の上走ってるのも好きかも?……って思えるのよ!」

兄「分かるよ、高原とかもね。普段建物の周り走る事多いもんね。視界が開けると気持ち良いね」

妹「あぁ!なるほど!目の前に何にも無いから気持ち良いのねー!……あ、見てみてー!川も凄い綺麗じゃない?透き通ってて、淡い水色!」

兄「……どうでも良いけどちゃんと前は見て運転してね?」

期待してまーす

立ておつおつ

今更だけど実際はサイドカーって会話できるモノなの?
SSだから気にはしないけどね

道具なしで速度出てると聞き取りにくいor聞き取れない
道具使えば余裕
LINEをBluetoothで飛ばす方法なら距離関係なくて快適らしい

おつ

滋賀県
◆◆信楽焼 たぬき村◆◆
妹「可愛いー!見てみて、狸がこんなにたくさん!……あ!この子はちょっと笑って見えない?」

兄「そうか?どれも同じに見えるけど?……まぁ、同じモノでもこれだけ有れば凄いよなぁ」

妹「ねー!……そうねー、例えるならオクターブユニゾンかしら?同じ旋律をたくさんの楽器でやるの!ショスタコービッチの5番みたいな?ね?あに?」

兄「…………まぁそうなのかな」

妹「もう!……気の無い返事ね!」

兄「なんでお前の望むリアクションをとらなきゃいけないんだよ?俺には俺の感情、感想があるんだよ」

妹「じゃあ兄はこの子達見てなにを思ったのよ?」

兄「……狸鍋って上手いのかなぁと」

妹「日本一の狸だって!……誰かさんに食べられたら大変ね」

兄「俺がなに思っても、俺の勝手だろ」

妹「はいはい、そうですねー。…………でもなんで狸なのかしらね?猫とか犬じゃなくて?」

兄「『他を抜く』から狸だって。商売事は同業者に負けないように。スポーツとか勝負の世界でも験担ぎで好まれてるらしいよ」

妹「ふーん、他を抜くかー。こんな愛らしい顔見て闘争心が起こるかしらね?」

兄「だじゃれだよ。神頼みの下位互換みたいなもんだと解釈してるよ。どうしても勝ちたくて、自分の努力以上に何か欲しがったらそんなのに頼みたくなるんじゃない?」

妹「兄はそういうことある?誰かに負けたくないとか?」

兄「…………お前がそれを言うか」ボソッ

妹「え?なーに?」

兄「別に何でもないよ」

~~~~~~
ブロロ……トコトコトコ……
兄「やっぱり少し暑くなってきたね。ジャケット代えようかな?」

妹「日が当たってる所はそうねー。木陰とかは逆に肌寒かったりするし、難しいわねー」

兄「そうそう。バイクから降りた時はジャケット着たままだと暑いし、乗ると少し寒いし、服装ややこしくなるね。……くれぐれも薄着して風邪引くなよ?」

妹「大丈夫!今のところ問題ナッシング!」

兄「前科があるから信用できないんだよなぁ……」

妹「大丈夫だって!ホント、私の事子どもだと思ってるでしょ?バカにし過ぎ!兄と同じ大学生よ?」

兄「でもなぁ……」

妹「大丈夫ですー!ほら余計な事考えて無いで運転運転!」

兄「なら良いけどさ。体調管理頼むよ?」

妹「はーい!……あ!見てみて!公園がある!しかもジャングルジムがあるわよ!ねー、兄!ちょっと遊ばない?」

兄「…………大人ねぇ」

◆◆立木観音◆◆
妹「出た。階段地獄」

兄「……一応聞くけど、下で待ってていいんだよ?」

妹「行くわよー!……でもお寺って何でこんなに階段ばっかりなの?もっと下に作れなかったのかしら?」

兄「文句言わない。……ほら、あんなおばあちゃんでも登ったみたいだよ?俺ら若いのは頑張らないと」

妹「ぶー。若くても体力なんてひとそれぞれじゃない?運動するのが苦手な若いのもいるのよ!」

兄「まぁ、そうだけどさ。……ホラ、今日もまだまだあるんだからキリキリ行くよ」

妹「鬼ー!兄ー!」

妹「……あと何段?」

兄「んー?全部で800だっけ?そしたらあと、600段くらいじゃない?」

妹「うへー。きゅーけい!」

兄「はいはい。なんかもう慣れたよ」

妹「この旅終わったら、太もも倍になりそう。可憐な私のイメージが台無しになっちゃう」

兄「元々そんなイメージ無いから大丈夫。……痛い痛い」

妹「バカバカバカ!どう見ても可憐じゃない私?フルートやって、華奢で……」

兄「少し抜けてて、ワガママで、人のは無しは聞かったり?」

妹「そんな事ないもん!ちゃんと兄が行きたい所に付き合ってるでしょ?文句言いっこなしの約束守ってるじゃない?」

兄「文句言ってるじゃん」

妹「文句じゃなくて愚痴ですー!受け入れるけど、不満が無いわけじゃないもの。言うだけは良いでしょ?」

兄「はいはい。……そしたら行くよー」

妹「いやー!あとちょっとーきゅーけい!!」

妹「とうちゃく。きゅーけいしたいー!」

兄「着いたらまずお参りしようよ」

妹「むーりー!休むー」

兄「全く……あそこの休憩出来そうな所で休むかー」

妹「やったー!……あ!お茶あるわよ!ご自由にどうぞだって!」

兄「そしたら頂こうか。……まぁ妹じゃ無いけど、これだけ登ると暑いね。汗けっこうかいたよ」

妹「私も喉カラカラ!ほうじ茶美味しいー!……はい、兄もどーぞ!」

兄「サンキュー」

「おやおや恋人かい?登って疲れたろう、休んで行きなね」

妹「はーい!おばーちゃんありがとー!…………兄?どうしたの。」

兄「……いや、あのお婆さんも登ってきたんだよなーと」

妹「…………そう言えば」

兄「…………」

兄「凄いね」
妹「凄いね」

~~~~~~
妹「…………あれ?」

兄「どしたー?」

妹「弘法大師って和歌山の高野山で見なかった?」

兄「見たよ、本山だからね」

妹「ここも弘法大師?」

兄「空海ってけっこういろんな所行ってるよ。四国のお遍路もそうだし、九州に空海縁のお寺あるらしいよ。……昔、それこそバイクも無い時代で全国歩いて旅したんだから凄いよね」

妹「ふーん?」

兄「凄くない?」

妹「……いや凄いとは思うのよ?でもそれ以上に昔も今も多分変わらないんだろーなと思って」

兄「何が?」

妹「独身の男の人って今も昔も、いろいろ放浪するものなのね。元々兄も私を置いて一人で旅しようとしてたし」

兄「…………比べる畑が違うと思うけどなぁ?」

~~~~~~
ブロロ……トコトコトコ……

妹「あー気持ち良い!階段で汗かいたから、風が爽やか!車の冷房の風とはまた別よね!!」

兄「分かる。俺、冷房の風苦手なんだよ。……しかも今、川沿い走ってるから余計に清涼感あるよね」

妹「マイナスイオン?」

兄「そんなものはない」

妹「えー!でも私ドライヤー、マイナスイオン付に変えたら髪の毛サラサラになったわよ?」

兄「そんな気がするだけ」

妹「そんな事ないもん!」

兄「非科学的なもん信じるなよ。オカルトオカルト」

妹「ホントだって!もー!体感してるんだから嘘な訳ないじゃない!」

兄「はいはい」

妹「もー!ホントだってば!」

兄「はいはい」

◆◆南郷洗堰◆◆
兄「…………」

妹「ゴメン!お待たせー!」

兄「お、やっと来た。……デッカイの?」

妹「バカ!レディになんて事聞くのよ!お化粧ちょっと直してたの!」

兄「お前化粧してたの?」

妹「そーよ?身嗜みよ、身嗜み」

兄「そのわりに…………痛い痛い」

妹「バカ!兄だって可愛い妹がもっと可愛くなる方がいいでしょ?どうせ旅をするなら」

兄「変わらんけどなぁ?女性ってみんな化粧するけど、男はそこまで見てないよ?結局自己満足だって」

妹「そんな事ないですー!ホラ、目元とかちょっと見てよ?違うでしょ?」

兄「うーん?」ジー……

妹「ね?」

兄「…………そう、だね?」

妹「もー!ホント男の人って鈍感!」

~~~~~~
妹「この上流が琵琶湖なのねー!凄いわよねー。これで琵琶湖の水が止められるんでしょ?日本で一番大きい湖よね?」

兄「ホントはというか、止められるけど止める事無かったんだって。でも何年か前に大雨で作ってから初めて止めたとか」

妹「へー!自然の力も凄いけど、人間の力も凄いわよね」

兄「ホントにね。凄い人達のお陰だよね。道路だってそうだし、バイクだってさ」

妹「ねー!私なんかきっと人の為になる仕事とか出来ないんだろうなー」

兄「俺だってそうだよ。凡人は凄い人達の凄いものを有り難く使わせて貰うだけ。その代わり税金とか、実際にお金払ってその人達に感謝するんだよ」

妹「そうよねー。ホントありがとーございます!お陰で旅出来て感謝してまーす!」

兄「…………誰に言ってるんだか」

◆◆石山寺◆◆
妹「またお寺ー?ホントに好きよねー兄は」

兄「良いじゃん。てか前も言ったかもだけど、日本の観光名所なんて寺、神社が多いんだって」

妹「まぁ、そうかもしれないけど、もうちょいなんかねー」

兄「じゃあお前はバイクの所で待ってて良いよ?」

妹「それは嫌」

兄「……なんだかなぁ?」

妹「んー!木漏れ日が気持ちいいー!穏やかで雰囲気も良いわねー!」

兄「さっきと言ってることが違うじゃん。全く、都合が良い頭してるよ」

妹「あらそう?ごめんごめんって!……あ!聞いた?ウグイスよ!青い紅葉とウグイスの鳴き声!良いじゃない!」

兄「まぁそうだね。日本っぽいというか風流というかさ。……知ってる?紫式部はここで源氏物語の構想得たとか」

妹「へー!源氏物語私好きよ!……なんか昼ドラみたいよね?」

兄「あ、そうなの?俺中身までは知らないんだよね。図書館かなにか?」

妹「ううん、少女マンガ。あさきゆめみしって知らない?絵が凄くキレイで良いなぁと思って読んでたの!」

兄「なんだマンガか」

妹「なによー?マンガだって文学よ?それに内容も多分間違ってないし」

兄「ちなみにどんな内容なの?源氏物語って」

妹「うーん、一言で言うと光源氏はグズ!」

兄「光源氏がグズってもっと良い表現あるだろ?」

妹「だっていろんな女の子に手を出すのよ?最初読んだのが小学校なんだけど、その頃は『紫の上と光源氏の恋路を邪魔して!』って他の女の子がホントに嫌いだったのね」

兄「ほうほう。それで?」

妹「最近ちょっとまた読んだんだけどね。本ッ当に最低な男よ!可愛い子はもちろん、自分の地位の為に見境無しだもん!」

兄「へー。それは知らなかった」

妹「っていうか男の人って何で浮気するのかしら?だったら本命なんか作らなければいいのに!自分勝手で本当に信じられない!」

兄「……お、おう」

妹「それに私が聞きたくもない自慢話とか延々したり……愛想で頷いてるだけって何で分からないのかしら?得意気に、楽しそうに話してたけどもー本当に嫌だって分からないのかしら?」

兄「……あれ?源氏物語の感想だったのにいつの間に男性批判に?」

~~~~~~
兄「……ん?」

妹「どーしたの?」

兄「いや、ホラこれさ」

妹「え?あー!なにこれ?落書き?信じられない!」

兄「凄いよね、学校の机でもあり得ないのに。これなんか彫ってるよ?」

妹「ホントに頭おかしいわよね!せっかくこんなに風情のある良い場所なのに……『たーくんlove』だって!勝手に二人でやってろ!…っての!」

兄「言葉が悪いよ。……でも同意かな。ホントに何考えてるんだろうね。けっこうさお寺とか神社とかで騒いでる若い人いるけど」

妹「ねー!遊園地とかなら良いのよ?ただ騒いで楽しむところとそうじゃない所と分けて欲しいわよね!」

兄「全くもって同意見。なんか騒がないと楽しめないみたいなの良くないよね。物静かな楽しみ方だってあるのに」

妹「ホントに!きっとフォルテで大きな音が必要な場面。ピアニシモで微かな音を聞かせる所とか絶対分からないのよ!」

兄「ロック、メタルでズンズんな曲しか聞かなかったりね?嗜好の幅が狭いんだろうなー」

妹「こんな風になりたくないわね!」

兄「同感です」

~~~~~~
ブロロ……トコトコトコ……
妹「今日は琵琶湖でキャンプ?」

兄「そうかな?明日、明後日で琵琶湖一周が出来れば理想?」

妹「まだ琵琶湖の下の端っこだもんねー。いまいち大きいってのがピンと来ないのよ」

兄「走って見れば分かるかもね。まぁ先ずは宿確保が最優先。暗くなる前にキャンプ場目指そう」

妹「りょーかい!アクセス全開ー!レッツゴー!!」

兄「あ、こら。法定速度守れって」

◆◆キャンプ場◆◆
妹「洗濯物終わったよー!干すのにタープのロープ使っていい?」

兄「んー、余ってたかな?使えたら使って構わないし、無かったらバイクの右横の箱の中にビニール紐入ってるよ」

妹「りょーかい!――あ!後ね、なんかおばちゃんと少し喋ってて、びわ貰っちゃった!それで、良かったら一緒に夕食しない?って!どうする?」

兄「本当に?そりゃいいや。せっかくだしご一緒しようか?向こうはご夫婦で二人?」

妹「なんか、その辺にいたキャンプしてる人何人かで集まるみたいよ?みんな初めて会った人だって!」

兄「おっけ。使えそうな食材とガスストーブ。クッカーと調味料まとめておくかな?」

妹「私は何すればいい?」

兄「洗濯物干したら適当にしてて。俺が荷物まとめ終わったら案内してもらうよ」

妹「はーい!なるべく早くねー!」

~~~~~~
妹「おばちゃーん!来たわよー!二人お邪魔してもいい?」

兄「すいません。混ぜて頂いてありがとうございます」

「おや、来た来た!待ってたのよ!こっちへおいで!」
「お兄さんも!その辺、空いてるところ適当に座っていいからね!」

兄「だって。とりあえずそこら辺座ろうか?」

妹「かな?すいませーん!お邪魔しまーす!皆さん近くから?それとも旅行で?」

「私達夫婦は和歌山からよ。琵琶湖でキャンプしたいってこの人が言うから」
「ウチと彼は広島から!旅行というか旅しながらね!」

兄「けっこういろんな人が集まってるんだね」

妹「ホントに!なんか楽しそうじゃない?ワクワクしてきちゃった!」

「さぁ!準備出来たよ!皆で食べようじゃないか!」

妹「わーい!頂きまーす!――いやー!美味しー!外でバーベキューなんていつ以来かしら?」

「普段は何食べてるの?袋ラーメンとか?」

兄「基本は主食米で、後は適当に野菜とか炒めたり焼いたりで。野菜は余ったらバイクに干してドライベジタブルにして保存が効くようにしてます」

「へー!なるほどね!天日に干して、走って風を常に送れば水分も飛ぶか!考えたなー?」

妹「でもお肉とか全くなのよ?『保存出来ないし高い!』って。大豆とか油揚げとかばっかりなの!全然キャンプしてる感じしなくて!」

兄「……悪かったな。しょうがないじゃん、二人で冷蔵庫とかないと肉は割高なんだよ」

「ははは!じゃあ今日はたくさん食べてくれよ!そうやってたくさん買うと安くて財布には優しいけど、私達も二人だと食べきれなくてね!こうして皆で食べてくれると私達も助かるし、何よりも楽しいし!」

妹「ホントに?ありがとー!なんか悪いけど遠慮なく!」

兄「ばか、ちょっとは配慮しろよ?」

妹「遠慮しなくていいって!」

兄「それは持て成すほうの言葉。受ける方はちゃんとしないとダメだろ?」

妹「口煩いのはきらわれるわよー!」

兄「俺は本当の事言ってるの」

兄「いや、でも本当に美味しいです。何度も言いますけどありがとうございます」

「大丈夫、いいって事よ!さっき言った通りだし、お兄ちゃんにはこんな良い酒も貰えたからな!一緒に呑もうよ!たくさん食べな!」

妹「……あのお酒どうしたの?そんなに良いお酒?」

兄「『而今』って酒だよ、純米大吟醸」

妹「ふーん?いつ買ったの?全く知らなかった」

兄「伊勢だかで会った人がレアだからって進めてくれたの。値が張ったけど買って良かったよ。めちゃめちゃ旨いよ」

妹「普段人には無駄遣いするなって言ってるのに自分は良いのね?」

兄「俺は何処でも買える駄菓子の箱買いなんてしません。そう言うのが無駄遣いなんだよ」

妹「無駄じゃないわよ!少なくとも私はその場でそれが食べたかったんだから!」

「はっはっは!若いこの子言い争いは可愛いらしくて見てて楽しいね!おじさんも若い頃、思い出すよ!」
「あら?それは私と出会う前の事かしら?あ な た ?」
「え?えーと…………」

兄「なにー?」
妹「なによー!」

~~~~~~
「へー!日本一周してるの!やるわねー!ウチもしてみたかったなぁー!大変じゃない?いろいろさ。洗濯とか料理とか。……後はお風呂かな?」

妹「洗濯とかは苦じゃ無いけど、お風呂かな?特に備え付けのドライヤーが風邪弱いと髪痛みやすくなるから、ちょっと嫌かもって」

~~~~~~
兄「サイドカーだとコーナーがけっこうシビアですね。後は舗装の荒い直線なんかも実は大変だったり」

「なるほどねー。僕はダートとか走る分には良いけど、その後の洗車が億劫かな?泥汚れとかもちゃんと洗おうと思うと苦労するよ」

~~~~~~
「ところで二人は学生?付き合ってるの?」
「そうに決まってるじゃない!友達同士で長期間旅なんか出来ないわよね?」

兄「いえ、僕らは兄妹でして」

妹「そうよー、私が妹!こっちは兄!」

「兄妹で旅!それもまた珍しい!」
「歳が近く見えるけど?年子かしらねぇ?それとも二卵性の双子?」

妹「ううん一応同じ歳、同級生よ!兄が4月生まれで、私は3月!」

兄「けっこう珍しいって言われます」

「へぇ~!それは驚いた!そんな事があるのか!……確かに考えれば、おじさんも年子の弟いるけど、おじさんが9月で弟が8月だから少しずれてたらそうなってたのか!」
「小説より奇なりとはこの事ねぇ。人生知らない事がまだまだあるわ」

「あっはっは!ホント、実に楽しい!……しかし何かBGMが有れば良かったんだけどなぁ」
「そうねー。ウチらもラジオはカーステレオだし」

妹「音楽?そしたら任せて!ちょっと待ってて取りに行ってくる!」

兄「…………」

「お、携帯ラジオとかかな?」
「あなた、今の子はもっとハイカラな物ですよ?ねぇ?お兄さん?」

兄「……いや、多分そういうのじゃないかと」

「え?MP3プレーヤーとかでしょ?スピーカー付きで?」

妹「じゃーん!お待たせー!」

「おや、随分大きいね?なんだろう?」

妹「ふふふー!当ててみてー!」

「アンプ!大音量で音楽を流す!」
「ひょっとして、テレビかしら?」
「ラジオとかにしては大きいしなぁ?」

妹「正解はこれでしたー!楽器よ楽器!なんかリクエスト有れば弾いてあげるー!」

「こりゃまた驚いた!アコーディオンみたいなものか!旅と音楽と可愛い女の子!……兄さん、なかなか羨ましい事してるじゃないか!」

兄「…………まぁ、そうですかね」

~♪~♪~♪~
「♪かもめ~がとんだ~かもめ~がとんだ~♪」
「懐かしいねー。お嬢ちゃんはいろんな歌を知ってるのかー!それをスラスラ弾けるんだから大したもんだよ!」

妹「あら、おじさま。ありがとーね!」

「次!レベッカのブレンズ聞きたい!弾ける?」

妹「えーと、~♪ど~こで~こ~われ~たの~ブレンズ~♪~……こんなやつかしら?」

「それそれ!ウチの青春の曲だよー!」

妹「下手っピだけど許してね~!」

~♪~♪~♪~

「しかしホントにキミが羨ましいよ!旅に旨い酒。楽しい音楽に可愛い女の子!こんなに充実した旅はないと思うよ!」
「ホントに羨ましい!私も後30年若かったら。。良いなぁ」

兄「……そこまで良いものでも無いかもですよ?」

「ははは!隣の芝は青いだよ!……ホントに今日程良い人たちに出会えたのは久しぶりだよ!良い縁が出来てホントに良かった良かった!」

~~~~~~
「おやすみー!また明日会えたら!」
「良い旅を~!気をつけてねー!」

妹「はーい!おやすみなさーい!――あー楽しかったー!面白い人達だったわね!」

兄「お前は酒も呑まずに良くそんなに賑やかで居られるなぁ。……でもそうだね、いろいろ話も聞けたし良かったよ。滋賀県は琵琶湖一周しか考えて無かったけど、伊吹山とか行ってみるのも面白そうだよ」

妹「良いじゃない!いろいろ行ってみようよ!『旅は準備すればするだけ充実する!』って言ってたわよ!」

兄「『どんなに準備しても後悔は絶対ある』ともね。まぁ、日程的にまだ余裕あると思うし行く方向で考えようか?」

妹「さんせーい!そしたら楽器閉まって来るね!先に寝てて良いわよ!」

兄「分かった。気をつけてね」

妹「はーい!」


兄「…………旅に音楽か。幸せなんだろうけどな」

~~~~~~
妹「兄。やっぱり楽器見ると楽しくなさそうにしてたなー」

妹「あんなに美味しい食べ物があって、凄く好い人達の前で楽器を演奏するなんて楽しい以外ないと思うんだけどなー」

妹「…………それに景色も綺麗。さっきは全然気が付かなかったけど、湖に街の光がキラキラしてる」

妹「…………」

妹「…………もうちょっと。少しだけフルート吹いてから寝ようかな?」

妹「…………」ゴソゴソ


妹「~♪~♪~♪~」


~~~~~~

~♪~♪~……


兄「…………」

~♪~♪~……

滋賀県一日目終わり

>>3
ありがとーございまーす!
期待しないで下さい!(笑)
>>4
どもども、おまっとさんです!

>>5
道具無しは停車時に大声ならなんとか。
最近はヘルメットにインカム付けるのが主流な気がする
>>6
ケータイもシガーソケットから電源取れるしね。便利になったもんだよ
>>7
さんきゅ!

◆◆◆◆◆◆
妹『え!◯◯ちゃん、家庭教師の先生が好きなの!?それみんな知ってるの!』

『しー!……みんな知らないわよ。…………もう、妹ちゃん。声が大きいんだから』

妹『ゴメンゴメン。…………先生って言ったら凄い年上でしょ?いくつなの?』

『…………21歳だって』

妹『って事は大学生よね。……8歳も年上なんて凄い大人に感じるなー』

『うん、私もそう思う。先生は『何にも考えてなくても勝手に直ぐ俺と同じ歳になるよ!』って言うんだけどね』

妹『なんかそうやって、わざと子どもっぽくするのも大人よねー。……でも知らなかったー』

『…………内緒よ?妹ちゃんだけに話すんだからね?』

『最初は何となくなんだけど、クラスの男子と匂いが違ったの。多分香水なんだけど、初めて嗅ぐのに凄い懐かしいような香りがして。……勉強中も先生がノートに書くたびにその薫りを無意識に追ってたわ…………』

妹『いいなー、そういうのホントに憧れるわ!同学年の男子なんて汗臭いか、変なスプレーで臭いのよね!――ねぇ、例えるならどんな人なの?外見とか雰囲気とか!』

『えー、難しいよー』

妹『ちょっと髪型だけ誰々に似てるとか、雰囲気喋り方とか。何でもいいのよ!』

『うーん。…………強いて言うならよ?』

妹『うんうん!』

『…………くん』

妹『え?だれ? 』

『……兄くんに少し雰囲気が似てるかも』



妹『…………え?』

『…………あのね、妹ちゃん。…………妹ちゃんって兄くんの事好きなの?』

妹『……別に。好きとかじゃないわよ。…………兄妹だし。そういう恋愛とかじゃ――』

『…………ホントに?』

妹『…………』

『……あのね、もし違ったら言ってね?…………私、この前の放課後ね。私も文芸部が終わって教室にノートとか取りに行ったのね。その時、兄くんが廊下でフルート吹いてるの見たの』

妹『…………』

『凄い綺麗な音だなーって思ってて。帰ろうとしたんだけどね。…………妹ちゃんが隣の教室で兄くんを見てるのを偶々見ちゃって。…………もしかしたら?って思ったの』

妹『…………』

『…………妹ちゃんって兄くんの事。――好きなんでしょ?』

妹『…………うん、そうよ。……私、兄の事――』

◆◆◆◆◆◆
トコトコトコ……トコトコトコ……トコトコトコ……
妹「うぅー。……まだ朝はちょっと寒いわねー。私も手、エンジンで暖まりたいー」

兄「いいよ、ホラ。――――水辺の近くだと特に寒いね。日が出て暖かくなるまでは少し厚着してね。で、程よくなったら脱げるように」

妹「はーい。今日は琵琶湖一周よね?」

兄「今日と言うより、今日と明日でね。だいたい200kmぐらいあるみたいなんだよね。東京から会津若松とか諏訪、越後湯沢ぐらい」

妹「へー!思った以上に走るのね?」

兄「そう、高速だと一日余裕だけど、一般道では全部移動みたいな感じ。だから二日に分けて行こうかと」

妹「りょーかい!また、今日も宜しくね、兄!……それとこの子も!」

トコトコトコ…………トコトコトコ…………

兄「だね。そしたらボチボチ行きますか」

◆◆湖岸道路◆◆
妹「すごーい!これ湖なのよね?海みたいじゃない!」

兄「海のわけ無いだろ?地図見なかったの?」

妹「だってホラ!向こうまでずーっと水!何にも見えないのよ!――あ!しかも少し潮の香りしない!?」

兄「…………ホントだ」

妹「ね!海みたいな湖!大きくて広くて!こんな所走れるなんて最高よ!兄、もっと飛ばそうよー!」

兄「道交法が有るからダメ」

妹「もー。…………しょうがない、よいしょっと!!」

兄「ばか、運転中にサイドカーから立ち上がったら危なよ。なにやっ…………て」

妹「…………えい!」アクセル捻リー!!

兄「おわっ!バカ!辞めろって!……おい!アホ!妹!」

妹「ゴーゴーッ!私たちを止められるのは誰も居ないのよー!!」

◆◆鳥丸記念公園◆◆
妹「いったーい。……もう、ヘルメットの上からとはいえ、本気で殴ること無いじゃない!首取れちゃったかと思ったわ!」

兄「誰がどう聞いてもお前が悪いって言うよ。……次、やったらお前だけ強制送還だからな?」

妹「いーやーでーすーッ!だいたい朝早いんだから、誰も通って無かったじゃない?少しぐらいオーバーしても誰も怒らないわよ?」

兄「……目的地、つり橋とか多めに回ろうかな。どうせお前地図読めないから着くまで分かんないだろうし」ボソッ

妹「…………ごめんなさい。私が悪ぅございました」

~~~~~~
妹「それにしても、あれ凄いわね!あんなにたくさん」

兄「あれって?」

妹「ほら!水辺にたくさんある草よ!」

兄「草ってアホか。あれは蓮でしょ?睡蓮だよ」

妹「蓮?へー!トトロの傘みたいね!けっこう大きいのもたくさんあるわよ?」

兄「あーあったね。蓮って凄い水弾くんだよね。どれ……よっと」パシャッ!

妹「…………?兄、なにやっ……え!?ホント!凄い!葉っぱの上で水玉が踊ってるわ!!」

兄「面白いよね。コロコロキレイに玉になるんだよ」

妹「うんうんッ!知らなかったー!これならトトロも傘にしようと思うわね!私も水かけよーッ!えいッ!」パシャッパシャッ!

~~~~~~
兄「…………」ボー

妹「…………」ボー

妹「……なんか、波の音が穏やかで気持ち良いわね。琵琶湖ってホント大きいわ。…………あの橋って対岸まで掛かってるのかしら?」

兄「そうだねー、琵琶湖大橋。今回は渡らないけどね」

妹「ひょっとして日本で一番長い橋?」

兄「いや違うね。日本で一番長い橋は俺らはもう通ったよ」

妹「え!いついつ!?」

兄「アクアブリッジ。千葉から海ほたるまでさアクアラインで行ったじゃん?あれの事だよ」

妹「えー、知らなかったー。教えてくれればもっと感動してたのにー。初めて海の上走ったからそれしか感動しなかったわ」

兄「物知らずなお前が悪い。…………でもさ、日本以外にはもっと長い橋もあるんだよね」

妹「…………なんか凄いわよねー。私達ってホントにちっぽけに思えちゃう」

兄「…………同感」

~~~~~~
「あ、あの子達じゃない?おーい、そこの二人!サイドカーで旅してる子ー!?」

妹「ん?なんか呼ばれてるわよ?」

兄「なんだろうね?」

女性「あ!やっぱりそうだ、良かったー!追い付いて!」

男性「ホントに無駄足にならないですんだよ…………いてッ!」

妹「…………あぁー!昨日キャンプ場で一緒にバーベキューしたお姉さん!?」

女性「そうよー、良かったー!間に合って!」

兄「間に合って……?」

女性「ホラこれ!このキャミソール、貴女のでしょ?昨日、あなた達がテント張ってた所に落ちてたのよ!」

妹「あ!ホントに私の!全部畳んだと思ってたのに!ありがとーございます!」

兄「ドジ、まぬけ。……いてッ」

兄「すいませんでした。…………この為にわざわざ追い掛けてきたんですか?」

女性「もちろん!サイドカーで長いこと旅してるって言ってたから、服一着でも無くなったら困るだろうなーって思ってね!」

妹「ホントにそうなんです!しかもコレ合わせやすくて気に入ってたから……ホントに助かりました!」

女性「良いって良いって!旅人は困ったら助け合うのがマナーよ!ウチもいろんな人に助けてもらったからね!」

妹「でもなかなか出来ないですよ!何処に行ったのかも分からないのに、わざわざ追い掛けてくるなんて!」

女性「あら、そんな事ないわよ?琵琶湖一周って行ったら時計回りか反時計回りかのどちらかでしょう?ウチらもそうだけど、なるべく湖がよく見える反時計回りに進むと思ったのよ!」

妹「すごーい!そんな事も分かってたんですかー!なんか尊敬しちゃうなー」

女性「ふふふ、貴女みたいな可愛い子に尊敬されるなんて光栄だわ。それにウチは貴女ぐらいの歳で旅なんかしてないもの。貴女の方がよっぽど凄いのよ?」

妹「辞めて下さいよー!凄いテレるじゃないですかー!」

兄「(…………完全に蚊帳の外だな、コレ)」

男性「…………ちょっと良いかな?このサイドカーで旅してるんだよね?…………w1か。これってメーカー純正のサイドカー?どこで買ったの?いくらぐらいした?」

兄「……ええと。僕達がバイクで旅をすると決めた時、知り合いのバイク屋さんが譲ってくれました。純正サイドカーです。でも、終わったら返す予定ですよ?」

男性「良いなぁ。こんな状態の良いのは中々お目にかかれないからね。……僕もサイドカーに憧れた時期があってね。君たちみたいな旅がしたいとずっと思ってたんだ」

兄「……方も旅をされてるんですよね?……ひょっとしてあそこに停まってる車って、キューベルワーゲン?」

男性「そう、僕らの旅の相棒さ。ただ、オリジナルじゃなくてレプリカだけどね」

兄「へぇー、初めて見ました。……良いですね。フロントにあるタイヤなんかもそうですけど、今の無駄に滑らかなボディーの車と比べると、武骨さというか、着飾らなさというか」

男性「分かるかい!そうなんだ、今の車は所詮町乗りしかしないのに流線型で、猫も杓子も同じ形!個性がないんだよ!それに比べてコイツは何処に行っても分かる人には分かるロマンというか…………」

兄「造形美なんですかね?わざとらしさの無い、嫌味さの無い感じというか」

男性「そう!そうなんだ!新型プリウスの嫌らしさ、わざとらしい感じ!乗ってる人間も不思議と似た雰囲気なんだよ!」

妹「(……なんか凄い盛り上がってる兄と一緒なのに珍しい)」

女性「ねーあんた!この子達、コレから琵琶湖を彦根に向かって行くんだって!ウチらも一緒に行かないー!?」

男性「えぇ!彦根って…………一昨日行ったばか……ぐふぅッ!」

女性「どうするー二人とも?あ、別に無理にとは言わないからね!」

兄「……だって。どうする?」

妹「良いじゃない!一緒に行こうよ!たまには知らない誰かと道中、共にして。仲良くなるなんて旅の醍醐味なんじゃない!?」

兄「そうかぁ?……いてっ」

妹「行 く で し ょ ?」

兄「はいはい、仰せのままに」

妹「やったー!お姉さーん!私も兄も一緒行くでオッケーよ!」

女性「決まり!そしたら君らの今日の予定教えてちょうだい!基本はそれに沿って、たまに私達の行きたい所も付き合わせるかもだけど」

妹「全然大丈夫ですよッ!ね!なんか楽しくなって来たわね!ね!?」

兄「……そうです、そうです。凄い楽しいです。…………いたい、いたいッ」

◆◆◆◆◆◆
ブロロ……トコトコトコ……
女性「いやー!無理言ってゴメンねー!ウチ、一度で良いからサイドカー乗って見たかったのよ!」

妹「私の運転でごめんなさーい!丁寧ではないので、しっかり捕まってて下さいね?――どうですか?乗り心地は?」

女性「正直、少し怖いかなー?道路に近いから余計速く感じるし、なにより振動がモロ!快適とはお世辞には言えないわねー!」

妹「ですよねー、私もそうでした!エアコンも無いし、日光も遮れないし!『不便な乗り物ねー。軽自動車の方がよっぽどマシよ?』って兄に言ったら『ロマンだよ。不便さとかを楽しむ乗り物なんだよ』ですって。男の人って訳分からないですよねー?」

兄『聞こえてるよ。インカムの存在忘れて悪口言いたい放題だな?』

妹「おっと。ゴメンゴメン!」

女性「あははッ!貴女達って良い兄妹ねー!――兄くんだっけ?悪口じゃないわよ?それにサイドカーの良さって言うのも分からない訳じゃないのよ!?」

妹「無理しないでホントの事言って良いんですよ?」

女性「ホンネよ、ホンネ!……こうやって風を切りながら。たまには風に乗りながら移動するってのも悪くわないわよねー。……ただし、快適ではない!」

妹「そうです!快適ではない!それを楽しむ事が普通でもないんです!ちょっとおかしい事を自覚はした方が良いですよねー?」

兄『好き放題言って。後で覚えとけよ?』

女性「良いじゃない!言いたいこと言える関係ってすてきよー?」

~~~~~~
兄「……全く妹のヤツは」

男性「はははッ、良いじゃないか。僕の連れが言ってたように言いたいこと言い合える関係ってのは良いものだよ?」

兄「そうですかね?アイツは妹の癖に生意気でイライラします」

男性「あんなに可愛い妹がいるのに不満を持つなんて贅沢ってものだよ?」

妹『そうよー!兄ー罰が当たるわよー?』

女性『あなたー?私が聞いてるのに他の女性を誉めるなんてどういう事かしら?』

男性「おっと。――褒めるのと愛するのは違うだろー?」

女性『ちゃんとウチの事愛してるー?ちゃんと言葉でも伝えてー?』

男性「もちろん!愛してるよー!」

女性『ならよし!ウチのも愛してるわよー!』

兄「……なんかお二人も凄い関係性ですね」

男性「しかし君は良いね、羨ましいよー。サイドカーで旅なんてホントに憧れだったからさ」

兄「キューベルワーゲンを持ってるのも凄いですよ。しかもちゃんと整備もされてるみたいですし」

男性「分かるかい?そういうこだわりに気付いてくれるのは、オーナー冥利に尽きる」

兄「メーター回りなんか正直好みですし、シートも敢えて変えてませんよね?」

男性「彼女はリクライニング出来ない事に不満気だけどね。こういうのが良いのになぁ……」

女性『次、お金貯まったらシート変えるからね』

男性「いいやッ!これは変えない方が絶対良いんだッ!」

兄「分かりますよ。拘り抜いた方が最終的に良いと。……売るときも純正の方が高値の場合も有りますしね」

妹『打算的じゃない。ロマンはどこ行ったのよロマンは?』

男性「そういうの含めてロマンの塊なんだよ!」

兄「ただの乗り物と考えて欲しくないね」

妹『はいはい』
女性『はいはい』

◆◆八幡掘り◆◆
女性「へぇー、こんな所知らなかったわ!凄く雰囲気の有る所ね?」

兄「そうですね。良く時代劇で撮影されたりしてるらしいですよ」

男性「物知りだねー?旅する前にいろいろ調べたのかい?」

兄「まぁそうですね。全部では無いですけど、出発する前に行きたい所をグーグルマップにメモしてます。その時にどんなところなのかネットで知るぐらいの事は調べたので」

女性「はぁー……几帳面というか、真面目というか。とても日本一周なんて突拍子も無いことやるような性格に見えないわね?ウチなんか、旅に出る前何も調べて無いわよ?」

男性「キミはちょっと無計画というか無鉄砲過ぎる所もあるけどね……いたッ」

女性「悪かったわねー!どーせ気紛れ、考え無しに物事決める単細胞ですよー!……でも考え過ぎも良くないと思うわよ?ねぇ?妹ちゃん?」

妹「…………え?なんですか?すいません!凄く綺麗というか素敵な町並みで見とれてて!」ボー

兄「…………お前なぁ」

女性「あははッ!そうよねー!こんな良いところでしてもしょうがない話だったわ!せっかく来たんだから楽しまないとね?」

女性「ホントに木漏れ日が水路に映って風情あるわよねー。うるさ過ぎないし」

妹「ですよねー。……なんか日本らしい風景なんですけど、日本から無くなってる場所みたいな感じです」

男性「面白い表現だなー。……確かに日本らしいって観光写真に取り上げられる所って、逆に日本から少なくなってるよね。そして新しくそういう景観の場所は作られてないしさ」

女性「味気ないショッピングモールとか、センスの無い都市計画とかねー。……まぁしょうがないのかも知れないけどね。――キミらはいつもこんな感じの所旅で回ってるの?」

兄「観光名所とかが多いですかね?後はバイクで走って楽しい道とかをメインにしてます」

女性「良いわねぇ……そんな旅も。私達もいろいろな所廻れば良かったわねー」

男性「今、思うとね。……まぁコレからもあるし、急ぐ旅でもないからさ。観光とかもちょっと考えようか?」

女性「うん。……ありがとー。」

兄「……お二人は何処から旅をしてるんですか?」

妹「あ、私も思った!長いことこういう生活続けてるんですよね?いつから?どこまで行くんですか?」

女性「んーとね、何処からって言えば沖縄になるのかな?」

男性「元々二人とも名古屋にいたんだけどね。旅をする事になって、彼女が『一番端っこから行きたい!』って言うからフェリーで沖縄にね」

妹「凄ーいッ!沖縄!?……ねぇ!私達も沖縄行くの?」

兄「今の予定だとね。だから無駄遣い禁止だよ?――沖縄から北上して、北海道までですか?」

男性「うーん?……どうかなぁ?そうなるかもしれないし、そうじゃないかも知れないし。……何とも言えないってのが正直かな?」

妹「???」
兄「???」

女性「……ウチらね、次に住む場所を探してるんだ。旅行というより下見になるのかな?」

妹「へぇー!引っ越しでですか!?」

女性「……まぁそんなトコかな?。適当に走って各場所に少し滞在してみて、お互いに良かったらそこに住もうか?って感じ」

兄「珍しいですねー。初めてお会いしました!大抵は旅行だったり、レジャーをメインの旅人が多い印象です」

男性「そうかな?けっこういるよ、俺らみたいな人。……どこでも良いんだけどね。雑誌とかネットの情報だけだと分からないこととかもあるしさ」

女性「ダメだったらまた別の所探せば良いんだけどねー。自分達が納得したところに住みたくてね!仕事の有無とか買い物できる場所とか、考えると決まらないんだわ!んで、いろいろ探してる訳!」

兄「なるほど。だから北海道に行くかもしれないし、行かないかもしれないなんですね!」

妹「あぁ!なるほど!北海道行く前に良いところ見つけて、ソコに決まったら行かないものね!」

女性「そ。そういうこと!」

男性「だから旅もいつ終わるか分からないしねー」

兄「……でも、良いですね。なんかそういう宛もない旅というか、目的地が行ってみないと分からない感じが」

妹「ホントよね!凄いワクワクしそう!良いなぁー羨ましい!」

男性「あはは!ありがとー!」

女性「なんか少しテレるわね?」

◆◆長命寺◆◆
妹「良かったー!こっちはちゃんと建物あるわよー!……さっきの城跡なんて何もなかったから、心配しちゃった」

兄「何もなかったなんて嘘言うなよ?ちゃんと石垣とか礎石もあっただろ?安土城のレプリカもあったし」

男性「兵どもの夢の跡だよねー。ロマンあるよなー。七年だけしか建って無かったって言うのもまた良しだしね」

女性「男の人ってホントによく分からないわよねー?あんな空き地見て、何が良かったんだか」

妹「ですよねー。ホントに思います!」

兄「分からないかなぁ?」

男性「城跡は」

兄「男のロマンだよ!」
男性「男のロマンさ!」

城跡とそこを作った武将の歴史を考えるとワクワクするんだよな

>>60
そうそう、縄張りとかね。
防衛線というか、どう守ろうとしてたのかとか。

当時、どんな武器が脅威でどう対応しようとしてたのかとかいろいろ考えると面白かったりするよね!

~~~~~~
男性「けっこう歩くねー。運動不足には堪えるよ」

女性「そう言えば太った?ウチ、介護するとき毎回重量挙げとか嫌だからね?」

男性「タハハ……ありがとう、努力するよ。――そう言えば妹さんは?」

妹「…………」ゼイ……ゼイ……

兄「いつもの事ですから、先に行ってて大丈夫ですよ。上がった所に休憩するところ有るみたいですし」

女性「そう?……妹ちゃーん!上に休憩出来るところあるってー!頑張れー!」

妹「はーい!……兄ー、おんぶしてー」

兄「お前は要介護の老人か。頑張れ頑張れー」

妹「おにー、はくじょうものー!」

妹「つかえたー」

兄「呂律回ってないよ?」

女性「お疲れ様ー!頑張った妹ちゃんにはお姉さんがお茶を上げよう!」

妹「うわーッ!良いんですかッ!ありがとーございますッ!…………ゴクゴク」

男性「妹さんは細いよね?運動とかやってない人?」

女性「あら?どうせウチは太ってますよー」

妹「そんなに痩せてもないですけどねー。ずーっと楽器しかやってないので、体力は自信ないですねー」

男性「あぁ、昨日何かやってたね?アコーディオン?」

妹「コンサーティーナっていうんです。アコーディオンのちっこいヤツみたいな?でも、ずっとやってたのはフルートですけど」

女性「あ!夕食終わってから吹いてたでしょ!?何処から聞こえるのかな?って気になってたのよ!――良いわよね、楽器が出来る女の子って。憧れちゃうわ!」

妹「いやー!……あはは」

男性「うんうん、楽器出来る子って可憐というか何か品のある感じだよね!」

女性「…………ん?ちょっと話し合いが必要かしら?あ な た?」

男性「え!違うよ!?一般論というか!!……え!ちょっ…………」

兄「…………」

妹「へー!聖徳太子が開基だって!…………前に弘法大師が開山って話してたじゃない?開基って?聖徳太子ってお坊さんなの?」

兄「良く覚えてるな?聖徳太子は普通の人でしょ?開基は筆頭株主みたいな。開山が一番最初の住職、社長だよ」

女性「へー!詳しいのね、兄くん!」

妹「変なことたくさん知ってるんですよー!雑学というか」

兄「変なことで悪かったな?もうお前から聞かれても答えてやらん」

妹「嘘よー、ウソウソッ!」

女性「あははッ!女の子をいじめたらダメよ?ねぇ?あなた?」

男性「そうだねー。……しかし聖徳太子かぁ。凄い建物だよなぁ。。」

女性「何が凄いの?」

男性「さっき行った安土城は織田信長だろ?それよりも古い人なのに、こっちはちゃんと残ってる事がだよ。もちろん再建とかされたんだろうけどさ!なんか――」

女性「……なんか?どうしたの?」

男性「……成し遂げた事が、ちゃんと残ってるって凄いなって。…………やりたいこと、やりたかったことを成し遂げて。尚且つそれが千年以上後世まで伝わってるって羨ましいなと思ってさ」

女性「…………そうねー」

妹「……?良く分からないです?」

兄「そしたらちょっと黙ってようか?」

◆◆◆◆◆◆
妹「……何かゴツゴツしたクルマですねー」

女性「そうよねー?見かけどうり、ハンドル重いし運転しづらいのよー」

妹「でも、彼氏さんはコレが良いんですよねー。。よく分からないなぁー?」

女性「私はminiとかの方が可愛くていいなーと思うんだけどねー」

妹「あ!miniが可愛いって分かりますッ!目とかデザインとか色々!どうせ運転するなら、あぁいう車に将来乗りたいッ!」

兄『mini高いよ?ミラジーノにしとけ。国産だし』

妹「あら?なんだ、聞いてたのー?」

兄『そりゃ聞き覚えのある羽虫の声が耳元でうろちょろされたら気になるでしょ?』

妹「羽虫ーッ!?ちょっとー!兄、どういう事よーッ!!」

女性「……微笑ましいわねー」
男性「……同じくそう思うよ」

~~~~~~
男性「サイドカーに初めて乗ったけど、なかなか良いね。冒険してる感じがあって、ただ乗ってるだけで楽しいよ」

兄「個人的には他にあんまり見ないので、その辺の優越感はけっこうあります」

男性「分かるよ!なんか他の人が乗ってるの嫌というかさ!知人が乗ってると時に!」

兄「あ、分かります。僕も友達と同じゲーム買うのなんか抵抗ありましたし、なんですかねーあれ?」

男性「オリジナリティーというか、自分だけのってのがいいんだろうけどねー」

女性『付き合う女の子も?』

男性「そうそう!処女性肯定する訳じゃないけど『コレは俺のモノ!俺だけのモノだ!』って所に価値を見いだしてるの……か……も」

女性『話し合いが必要かしらねー?あ・な・た?』


兄「女の人って怖い」
妹『男の人って不潔』

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