高垣楓は汗を流したい (17)


これはモバマスssです



「……あったかいですね、プロデューサー」

「……最近とても寒いですからね」

 カポーン、と効果音が鳴りそうな間が開く。

 隣には鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌に、目を細めてお風呂を堪能する楓さん。
 水滴の浮かぶ真っさらな肌から目をそらすべく、俺は顔を反対に向けて壁と見つめ合う。
 いかんせん我が家のバスタブは二人以上で入る事は想定されておらず、そこまで広くはない。
 肩や足が肌同士で直接触れてしまっているが、なんとか心に般若心経を流して気持ちを抑え込んだ。

「もう。目を背けちゃメッ、ですよ……ふふっ」

 両手で顔を無理やり楓さん側に向けられた。
 そんな楓さんの頬も、ほんのり紅く染まっている。
 お風呂だから少し身体が熱いのか、それとも内心はやっぱり恥ずかしいのか。
 そんな表情に昂ぶる心を、般若心経のサビでなんとか紛らわした。

 ……なんで、こんな事態になっているんだろう。

 事の始まりは、俺の家で一緒にお酒を飲んでいるところからだった筈だ。



「あら、もうビールなくなってますよ」

「いやいやまだ半分残ってますから。あと俺はもうちょいゆっくりのむんで」

 仕事が忙しい日々が続き、久しぶりに楓さんと二人きりでビールを飲む金曜の夜。
 既に500mlの缶は6本ほど空になっており、テーブルのおつまみも残るは枝豆だけとなっていた。
 しかし、楓さんのペースが落ちる事はない。
 こちらはもう結構満足しているというのに、本当に良く楽しそうに飲む人だ。

「楓さんのペースに合わせると酔い過ぎちゃいますから」

「……やり直し、です」

「……楓のペースに合わせると、酔い過ぎちゃいますから」

「ふふ、あら……ビール足りてませんよ?」

 これは会話がループするやつだ。
 仕方ないしもう少しはペースを合わせるとしよう。
 それで楓さんが上機嫌になってくれるなら、それで良いか。
 どうせ明日は休みだし、二日酔いで困るわけじゃない。

 こうしてテーブルを挟んで、一緒にダラダラと飲む。
 幸せな事じゃないか。
 なんてったって、お相手はあの高垣楓なのだから。
 それが恋人と言う関係で同じ部屋に居てくれているのだから。

 紆余曲折あって、楓さんは俺の恋人と言うことになっている。
 大変な事をしでかしている自覚はあるし、お酒の力を借りた側面もあるが。
 ちなみにアシスタントの千川ちひろさんは、『……まぁ、楓さんの事ですから……プロデューサーさんがしっかりお願いしますよ?』と若干諦めていた。
 それもあって、そしてそもそもお互い働いている以上四六時中一緒という訳にはいかず、こうして時たま二人で俺の家で飲むのが関の山程度に落ち着いている。
 おかげで未だに、楓と呼び捨てで呼ぶことに慣れていないままだ。



 それにしても……

「……可愛いよな……」

「模擬試験ですか?プロデューサーはまた大学受験を……?」

「いや河合は関係ありませんから」

 そう気付かないフリをする楓さんの頬は、ビールのせいではなく紅く染まっていて。自分からはグイグイ来るくせに、此方からの直接的な好意に少し逸らしたり誤魔化そうとしたりしてしまう。
 そんな一面が、本当に可愛らしい。
 拗ねられると困るから口にはしないが。

「ふぅ……少し暑いですね。汗かきそうです」

「ですねー、流石に暖房付けて炬燵で飲むと体暑くなってきます」

「では、シャワー浴びましょうか」

「はーい、勝手にバスタオルとか畳んであるのから使っちゃって大丈夫ですから」

 いってらっしゃーい、と手を振る。
 楓さんも可愛らしく首を横に振る。
 ……ん?どう言うことだ?
 シャワーを浴びて来るんじゃなかったのだろうか。

「……入ってこないんですか?」

「……プロデューサーは入らないんですか?」

「いや、楓さ……楓があがったら入るつもりでしたけど」

 お互いに首を傾ける。
 なにか認識の齟齬が起きてやいないだろうか。



「一緒に入った方が、お湯が無駄になりずらいと思いませんか?」

「……いやいやいやいや、そんなちひろさんみたいな事言わなくても……それに俺の家のお風呂はそんな広くないですから」

「むっ……ダメですよ。その……恋人と二人きりの時に他の女性の名前を出すのは……」

 恋人、と口にした楓さんの表情は照れとしょげた感じが混ざって物凄い破壊力になっていた。
 一瞬一緒に入りましょうと頷き掛けたが、それでもこう……一緒にお風呂はこう……気恥ずかしい。
 
「それに、私は酔ってますから。お風呂場で一人で倒れてしまったら大変だと思いませんか?」

「……確かにそうですけど……」

 女性相手に『なら明日入ればいいじゃないですか』とは言えないし。
 実際お酒を飲んだ後に一人でお風呂はかなり危険ではあるし。
 そもそも、女性側からここまで言わせてしまって。
 それでも断るなんて、男性としてどうなのだろう。

「シャワーを浴びている時に、うっかりしゃわってしまっても……良いですから……」

「入りましょう、身体を清潔に保つのは大切な事ですから」






 そして今に至る。
 よくよく考えたら俺も合意していた。
 完全に煩悩のままに従った返事だったが、お酒の力という事にしておこう。
 事故が起きたら大変だし。
 結局、緊張のせいで意図的なボディタッチは出来なかった。

「ふぅ……そろそろ上がりましょうか」

「あ、でしたら……上がる前にお互いの身体を流しっこしませんか?」

「構いませんよ。先に流しますから、椅子に座って下さい」

 楓さんに椅子に座ってもらい、背後でシャワーを構えた。
 髪を上げているため露わになっている頸が、こう……くる。
 そのままシャワーで身体を流すが、目線はずっと頸と横乳だった。
 今振り返られるとちょっとアレなため、少し会話を続ける。

「どうですか?」

「気持ちいいです。前の方もお願いしていいでしょうか?」

「了解でーす」

 腕を肩越しに伸ばし、シャワーを彼女の前側に流す。

「……んっ……」

 その時。
 彼女の敏感な部分にシャワーが直撃してしまったのだろう。
 とても女性的な声をあげる楓さん。



 ……もう、我慢の限界だった。

「っ?!あっ、あの……んっ……プロデューサー……んっ!」

 シャワーを止めて、両手を彼女の前に伸ばし下から胸を持ち上げた。
 数値以上に豊満な楓さんの胸は、揉む度に形を変えてその感触を掌に伝えてくる。
 背後から首筋にキスをしつつ、そのまま指を動かす。
 掴んでほぐして、円を描く様に左右に少しずつ刺激を与えてゆく。

「んっ!くすぐったいですっ……ひゃんっ!っんっ……っ!」

 首筋に息を吹きかけられ、もぞもぞと身体を揺らす楓さん。
 真っさらな肌でそんな動きをされると、此方ももう抑えが効かなくなってくる。

「あのっ、貴方のが……っ、当たって……んんっ!っ!」

「実は楓も期待してたんじゃないですか?ほら……」

 片手を彼女の秘部へと伸ばす。
 まだ少ししか胸を弄っていないと言うのに、指で触れた部分から糸をひいていた。

「それはっ……!その……久し振りに二人きりでしたから……っ!」

 そう言われると、此方としてもとても嬉しい。
 優しく太ももと入口の間に指を往復させながら、彼女に準備をさせてゆく。
 もちろん、その間に胸を弄ることも忘れない。
 下から掬い上げつつ、中指と人差し指で先端の出っ張りを摘んだ。



「んっ!んぁっ……あのっ……エッチな女性は……っんぁっ!……嫌いっ、でしたか……?」

「……まさか。大好きですよ、楓」

 その瞬間、楓さんの身体がびくんと震えた。
 そんな愛らしい恋人を見ていると、俺の方もかなり興奮してしまう。
 絶え間なく胸を揉み、乳輪をなぞり、擦る。
 既に下の方もお風呂のせいには出来ないくらい濡れ切っていた。

 くちゅくちゅとイヤラシイ音を立てながら、膣の入口を指で混ぜて。
 人差し指とくすり指とでその輪郭をすーっと撫で、中指で陰核を弾く。
 だんだんと、楓さんの吐息も肩の上下も激しくなってきた。
 それでも入念に、全ての敏感なところを刺激し続ける。

「んっ……っ!そのっ!もう……っ、わたし……んぁっ!っぁんっ!」

「いいですよ。久し振り二人きりなんですから、好きなだけイって」

 唾液の様に糸を引くそこによって、指が自然と膣中に誘われた。
 一本だけ第二関節まで射し込むと、更に愛液を滴らせる。
 そのまま腹の方を刺激するように指を曲げると、楓さんの身体がさらに震えた。
 堪らず楓さんの顔を寄せ、横からキスをする。

 彼女の顔は、もう完全に蕩け切っていた。

「んちゅっ……んっ!んんっ!っちゅう……っ!んぁっ……っ!」

 快感に堪えながらも、それでも激しく口を貪ってくる楓さん。
 それに応えるべく、俺も彼女の口を堪能した。
 舌を絡ませながら唇を触れ合わせ、それぞれの口内を舐め合い。
 それに合わせて膣内を掻き混ぜ乳首を摘んで……

「っっ!んっ!んんんっっ~~っ!!」

 ビクンッ!と楓さんの身体が跳ねて舌の動きが止まる。
 膣が全体で俺の指を強く咥えて離してくれない。
 どうやら絶頂に逹せたようだ。
 そのまましばらくキスをして、ようやく一度唇を離す。



「……っふぅ……えっと……」

 恥ずかしさから、一瞬目をそらす楓さん。
 けれども直ぐに此方に向き直り、妖しく口を開いた。

「……次は、私が貴方を気持ち良くしてあげますから」

 どう言うことだろうか。
 次に楓さんがしてくれることに期待を膨らませながら、俺は言われた通りバスタブの淵に座る。
 するとまぁ当然俺のそそり勃ったモノが晒されるわけだが。
 俺の両足の間に腰を下ろした楓さんは、一瞬驚いた表情をしたもののすぐさまソレを自身の口に咥え込んだ。

「ちょっ、楓っ!っ!」

「……んちゅ……んっ……気持ひいい……でふか?」

 咥えながら喋られると息と舌が当たって更に快感が増す。
 頷いてそうだと伝えると、安心したのか楓さんは舐める作業に没頭した。
 先端と裏筋を舐め上げながら、綺麗な指と唇で竿を刺激してくる。
 俺も一瞬腰が浮きそうになった。

 ちゅぷっ、じゅぷっと水気の多い音が浴槽にこだまする。
 楓さんは精一杯、俺を気持ち良くしてくれようとしていて。
 首を前後上下に動かしながら、全体を口でシゴいてくれている。
 全身を走る生暖かい感触に、俺は堪えることしか出来なかった。

 どんどんと気持ち良さが増幅されてゆく。
 単純に楓さんに咥えて貰っていると言うシチュエーションが、俺の興奮を何倍にも跳ね上げる。
 いやらしい舌使いで男根を攻めつつ此方の表情を伺ってくる楓さん。
 もうかなり、限界に近付いていた。

「楓っ、そろそろでちゃいますっ、から……」

「……ぷはぁ……気持ち良くなってくれたんですね。ふふっ」

 口元から少しヨダレを垂らす、そんな淫靡な表情が更にモノを堅くする。
 そのまま楓さんに壁に手をついて貰い、お互いの秘部を充てがう。
 トロトロに垂れてくる液が俺の性器に絡みついてきて。
 お互いに心も身体も準備は万端だった。



 ぐぐっ、とゆっくり身体を少し前に傾ける。
 彼女の膣はそれに抵抗する事なく、むしろ滑り入れる様に迎えてくれて。

「っっっ~~っ!っふっ……!んんっ~~っ!」

 先端が、楓さんの一番奥へと届いた。
 それだけで彼女は逹し、俺も射精しそうになる。
 なんとか込み上げる射精感を抑えて、少しずつ腰を前後に動かした。

「っんっ!あっ!あのっ、もう少しっ!ゆっくりっ……んんっ!!」

「すみません、我慢出来そうにないですっ」

 快楽に理性を飛ばされて、動きを止められそうになかった。
 ぱんっ、ぱんっとリズミカルに肌を打ち付け、彼女の奥を突く。
 何度も何度も繰り返しているうちに、楓さんももう気持ち良さしか感じられなくなった様だ。
 自分から臀部を此方に押し付け、より奥をついて貰おうとする。

 風呂場の床に、どちらのものか分からない液が滴り落ちる。
 ぐちゅぐちゅと下品な音と、肌がぶつかり合う音と。
 そして楓さんの喘ぎ声だけが響くなか、俺はもう一心不乱に抽送を繰り返した。
 真っさらな楓さんの背中や首に浮かぶ汗が、彼女の色っぽさと身体の熱を改めて教えてくれる。



「んんっ!んぁっ!もっとっ!お願いしますっ!んんぁっ!っぅあんっ!」

 楓さんの口からそう言われ、より一層動きを速くする。
 もうお互いに気持ち良くなる事しか考えていなかった。
 腰に当てていた両手を楓さんの胸に伸ばし、もう遠慮せず強く揉みしだく。
 その度彼女の膣内は、射精を促すように強く締め付けてきた。

「っっ!んんんっぁぁぁっっ~~~っ!!」

 快楽に堪えられなくなった楓さんが、何度目かの絶頂と共に愛液をまき散らした。
 此方もそろそろ限界を迎えそうで、何とか我慢している状態で。
 一旦膣から抜き取り、俺は椅子に座る。
 そして楓さんに跨ってもらって、対面座位に移した。

「ゆっくり腰を下ろしてください、楓」

「……っ、は、はい……」



 自身の指で秘部を開けさせてゆっくりと腰を下ろさせる。
 まだ触れ合っているだけだが、既に先走り汁と愛液でどちらもぐちょぐちょになっていた。
 そのまま楓さんが、ゆっくりと腰を下ろした。
 さっき以上に深く奥まで届き、締め付けは更に強くなる。

「っぅんぁっ!奥っ、届いてっ!っ!凄いですっ、んんぁっ!」

 ぎゅうぎゅうに収縮して離そうとしてくれないが、膣内はドロドロの為動けなくはない。
 溢れ出る潤滑油で再び滑らせて、彼女の膣壁を縦に掻いた。
 彼女自身もまた、腰を上下に振って強い刺激を求めている。
 入口も最奥も、その道中も全てをゴリゴリと抉って。

「っ!んっ!んぁっ!っぁんっ!イッ!ちゃいますっ!からっ!っっ!」

 何度も何度も、彼女の膣は収縮を繰り返す。
 俺ももう、込み上げる射精感を我慢する気はなかった。



「……可愛いですよ、楓」

「っ?!んっ!ん、ちゅっ……っ!」

 耳元でそう呟き、彼女の顔が真っ赤に染まる前にキスをした。
 そしてそれと同時に。
 一番奥に先端を押し込んで。
 我慢し続けていた精を、一気に吐き出した。

「っっ!!んぅっ!んんぁぁぁっっっ~~~っっっ!!」

 しばらくそのまま、溜まっていた分の全てが出切るまで抱きしめ合う。

 結局、身体をまた洗い流す羽目になってしまった。





「……いや、もう飲みませんからね?」

「そう言って……実はまだ飲み足りないんじゃないですか?」

 お風呂から上がった俺たちは、結局またビールを開けていた。
 まだ飲めるとは言え、流石にそろそろ終わりにしておきたい。
 というか、事後ということもあり若干身体が重いから。
 よくまぁ楓さんはまだ飲めるものだ。

「また汗かいちゃいますよ」

「……でしたら……」

 楓さんが、頬を赤く染めて。
 少し上目遣いに、小さな声で呟いた。

「……また、一緒に汗を流し合いませんか……?」



以上です
お付き合い、ありがとうございました

前作及び以前書いた楓さんssです、よろしければ是非
高垣楓「純情な恋する乙女なんて如何でしょうか?」
高垣楓「純情な恋する乙女なんて如何でしょうか?」 - SSまとめ速報
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