【モバマス×地獄少女】橘ありす「たちばな」 (102)

こんにちは、橘ありす改め妖怪のタチバナです

私はかつてアイドルをしていた女の子だったのですが、諸事情により命を落とし、妖怪へと転生してしまいました

行き場がなくなった所を地獄少女、閻魔あいさんに拾われ、彼女の仕事である「地獄流し」を手伝うことになりました

そんな日々が、これからも続いていく・・・

そう思ってたんですが・・・

それは、ある昼下がり・・・

特に依頼もなかったので、私はあい・・・お嬢さんの隠れ家で本を読んでいました、しかし・・・

タチバナ「・・・・・」ペラ

あい「・・・・・」ジー

強い視線を感じます・・・

タチバナ「・・・あの、お嬢さん?」

あい「何?」

タチバナ「そうやって見つめられると気になるのですが」

あい「・・・気にしないで」

タチバナ「無理です」

やっぱり、この間の蘭子さんの件・・・

私が勝手なことして死にかけたから心配してるんでしょうか

タチバナ「・・・・・」スタッ

あい「どこ行くの?」

タチバナ「ちょっと散歩ですよ」

スタスタ・・・

そう言って、私は家を出ました

あい「・・・・・」

きくり「やーい!あいふられたー!」

骨女「お嬢・・・」

一目連「そろそろ・・・なのか」

輪入道「アイツを拾った日から、お嬢は決めてたんだろうよ・・・」

~現世~

タチバナ「~♪」スタスタ

私は街の中を歩いていました

タチバナ「街は変わりませんね、でも、この沢山の人々の中にも誰かを恨んでいる人がいる・・・」

タチバナ「お嬢さん、あなたはそんな人達といままでも、これからも向き合っていくんですね・・・」

~USAMIN17前~

タチバナ「・・・・・」

気が付くと、いつもの店の前に立っていました

ガチャ

菜々「いらっしゃいま・・・おや、今日も来てくれたんですね、ありすちゃん」

タチバナ「・・・タチバナです、その名前は今はあの人に預けています」

こんなやりとりも、もう何度目でしょうね・・・」

菜々「お好きな席へどうぞ~」

タチバナ「わかりました・・・お?」

小梅「・・・久しぶり」

どうやら今日は、珍しいお客さんもいるようです


タチバナ「久しぶりですね、本当に」

菜々「聞きましたよ、小梅ちゃんもあの事故で・・・」

小梅「・・・うん」

そう、小梅さんも、私の運命を劇的に変えたあの事故で「人ならざるモノ」となり

それ以降は日本中を気ままに旅しているとのことです

まぁ、たまに人を脅かすこともあるそうですけど

タチバナ「隣、いいですか?」

小梅「どうぞ」

タチバナ「それでは・・・」スッ

菜々「ご注文は?」

タチバナ「いちごソフトとミルクで」

菜々「かしこまりました~」

小梅「あれからどう?」

タチバナ「別に、いつも通りですよ」

小梅「・・・聞いたよ、蘭子ちゃんのこと、残念だったね・・・」

タチバナ「仕方ないんです、これも運命ですか・・・」

小梅「そう・・・だよね・・・」

タチバナ「・・・・・」

あい「タチバナ」ヌッ

タチバナ「え・・・ってうわっ!驚かさないでくださいよお嬢さん!」

あい「そんなつもりはなかったのだけれど」

小梅「・・・お嬢さん?」

タチバナ「あ、いえこの人は・・・」

小梅「やはりあなたが・・・地獄少女」

あい「あなたは・・・?」

小梅「あ、はじめまして、ありすちゃんの友達だった・・・白坂小梅です」

タチバナ(だった・・・ですか)

あい「そう・・・あなたも人というしがらみから外れた存在なのね」

小梅「まさか本物の地獄少女に会えるなんて・・・サインもらえます?」

あい「そういうのは受け付けてないわ」

あい「それよりタチバナ・・・仕事よ」

タチバナ「ええ・・・今食事中ですので他の方に・・・」

あい「いいから来なさい」ガシ

ズルズルズル・・・

タチバナ「ちょ、ちょっとおお~~~!!!」

小梅「頑張ってね・・・」フリフリ

タチバナ「こんな事頑張りたくありませんよ・・・」





菜々「ご注文の品お待たせしました・・・あれ?」

こうして私はお嬢さんに引きずられ地獄流しに駆り出されるのでした

タチバナ「全く・・・人の優雅な時間を・・・で、依頼人は?」

あい「・・・あれを見て」スッ

??「さぁさぁお姉さん方!見て行ってください!」

タチバナ「あれは・・・路上販売?ってあの人は・・・」

私は路上でなにやら飲み物を売っている緑色の服を着た女の人に見覚えがありました

ちひろ「今巷で話題のウルトラエナジードリンク!美容健康老化防止にもってこいですよー!」


タチバナ「あれは・・・ちひ・・・いえ千川さん・・・」

あい「知り合い?」

タチバナ「ええ・・・まぁ・・・」

彼女・・・千川ちひろさんは私がまだアイドル「橘ありす」だった頃に事務所のアシスタントとして働いていた人です

「あの事故」には居合わせず、そのまま姿をくらましたと聞いていますが・・・

タチバナ「まさかこんなところで商売をしているとは・・・」


ちひろ「さぁそこの奥さん!一本いかがですか?」

主婦「ええ~怪しいわね」

ちひろ「何を隠そう私もこれをのんでこんなになったんですから」キラン

タチバナ(いやあんた元からスタイルいいでしょうが・・・)

ちひろ「さぁさぁ一本どうです?」

主婦「う~ん・・・」

ちひろ「更に飲めば胸も大きく・・・」



あい「!」ピク

タチバナ「いやそこで反応しないでください」

あい「でも本物かどうか確かめないと・・・タチバナ、買ってきて」

タチバナ「嫌ですよあんな胡散臭いの」

あい「・・・いいから買ってきて」ギロ

タチバナ「そんな睨まないでくださいよ・・・それに」スッ

そう言って、私はタブレットを取り出しました

タチバナ「買わなくても手に入りますよ」

タチバナ「・・・いきます」スッ

ズボッ!

そして私はもう片方の手を自分の体内に突っ込みました

タチバナ「うぐっ・・・ぐぐぐ・・・」ゴソゴソ

あい「・・・!!!」

スポッ

タチバナ「ハァハァ・・・」

体から引き抜かれた私の手には、1枚のカードが握られていました

あい「それは・・・」

そう、このカードは蘭子さんから受け継いだ皆の怨念・・・いや、魂です

タチバナ「あやめさん・・・力借ります」スッ

わたしはあやめさんが描かれたカードをタブレットに挿入しました

タチバナ「忍法・・・隠れ身の術」フッ

あい「姿が消えた・・・」

タチバナ(透明)「いえ、ここにいますよ」

あい「私ですら関知できない迷彩化・・・それがあなたの新たな力なのね」

タチバナ「いいえ」

あい「?」

タチバナ「皆の力ですよ、では行ってきます」

タタタ・・・

ちひろ「これが1ダースたったの3000円!」

タチバナ(高いですよ・・・さて、これですか)

私はちひろさんの傍らにあるクーラーボックスからドリンクを2本抜き取りました

タチバナ(それではいただきますよ・・・)

タタタ・・・

タチバナ「ただ今帰りましたお嬢さん」

あい「ご苦労様」

タチバナ「はいどうぞ」

そう言って私はくすねたドリンクをお嬢さんに渡しました

あい「じゃああなたから飲んで」

タチバナ「嫌ですよこんな得体の知れないドリンク」

あい「いいから飲みなさい」ギロ

タチバナ「はいはい、わかりましたよ」

タチバナ「では・・・」グイッ

ゴクゴク

あい「・・・どう?」

タチバナ「こ、これは!!!」

あい「・・・・・」





タチバナ「何のこともありません、水とコーラを足して2で割っただけのモノです」

あい「・・・つまり?」

タチバナ「まぁ典型的な詐欺ですよ、引っかかる方も愚かですが」

あい「どうして引っかかるのかしら」

タチバナ「ただの水より味のあるジュース、人間は付加価値を求めるものです」

タチバナ「いえ、味なんてどうでもいい、皆買ってるから自分も買うんです」

タチバナ「アイドルだって同じですよ、別に本気で好きじゃないのに人気だから応援する・・・」

タチバナ「それが・・・人間・・・」

あい「・・・・・」

あい「本当にそう思ってる?」

タチバナ「え?」

あい「じゃあ何であなたはアイドルに・・・」

タチバナ「・・・・・」



P『君が笑ったら、可愛いだろうな』

P『アイドル、やってみないか?』


タチバナ「それは・・・」

タチバナ「って、私の事なんてどうでもいいでしょう!」

タチバナ「問題はあの女が地獄に流されるかどうかですよね?」

あい「・・・そうね」

タチバナ「で、誰なんです?あの女の被害者ですか?」

あい「・・・夜になればわかるわ」

そして、あっという間に夜・・・午前0時になり、私達はいつもの夕暮れの丘にいました

タチバナ「一体誰が・・・」

あい「・・・来たよ」

??「君が地獄少女・・・本当にいたんだ」

どうやら依頼人は男の人のようですが・・・

タチバナ「!」

その顔に、私は見覚えがありました

『アイドル、やってみないか?』

『レッスン、がんばれよ』

『今日のライブ大成功だったな!帰りにジュースおごってやろう!』

『やっぱり君は、笑うと可愛いな』

『じゃあ、旅行楽しんで来いよ!』




タチバナ「プロデューサー・・・さん?」

間違いない・・・かなり痩せ細ってるけどプロデューサーさんです!

P「ん?君は・・・」

タチバナ「わ、私は・・・」

あい「タチバナ」

タチバナ「!」

そうでした、私はもう・・・






タチバナ「ただの地獄少女の使いですよ」

P「そ、そうか・・・」

あい「それじゃ・・・タチバナ」

タチバナ「待ってください」

あい「?」

タチバナ「少し、あの人とお話ししてもいいですか」

あい「・・・手短にね」

タチバナ「ありがとうございます、お嬢さん」

タチバナ「お待たせしました」

P「何だ、すぐに流してくれないのか?」

タチバナ「アクセスできたからって契約が成立するとは限りません」

タチバナ「あなたの恨み・・・本心を確かめるまでは」

P「そういうもんか」

タチバナ「話してください、あなたに何があったのかを・・・プロデューサーさん」

P「プロデューサーか・・・そう呼ばれてた時もあったな・・・」

タチバナ「・・・・・」

P「今の俺は、生きる意味を失った、ただの抜け殻さ」

タチバナ「でしょうね、見る影もありませんから」

P「ハハハ、手厳しいな、あの子そっくりだ・・・」

P「そう、いつもムスっとしてるけど、笑うと超可愛いあの子に・・・」

タチバナ「・・・・・」

P「俺の生きがいはアイドルを育てることだった・・・」

タチバナ「それはご立派で」

P「俺のアイドルが、皆を笑顔にできれば・・・そう思っていた」

P「毎日幸せだった・・・けど、あの日、全てが失われた・・・」

タチバナ「・・・・・」

P「あの事故が、俺やアイドル達から全てを奪った・・・」

タチバナ(そうですね)

P「おまけにバス会社はその後謎の倒産・・・社長も行方不明・・・」

タチバナ(社員は私が皆殺ししましたし社長は地獄に流されましたからね)

P「くそっ!あの女が予算をケチってあんないい加減なバス会社に依頼しなければこんなことには・・・!!!」

タチバナ「!」

タチバナ(あの事故の裏にそんなことが・・・)

タチバナ「でもそれは・・・」

P「ああ、わかってる、それを見過ごした俺も同罪だ」

P「だから俺たちに生きてる資格はない、だがあの女は今でも金に執着して人様に迷惑をかけている」

P「俺が・・・止めなくちゃいけないんだ」

タチバナ「プロデューサーさん・・・」

あい「・・・もういいかしら」

P「!」

タチバナ「ええ、構いませんよ」

あい「じゃあ・・・タチバナ」

タチバナ「はい、お嬢さん」ススッ

パキパキパキ・・・パリン!

私はタブレットを操作し、藁人形に変身しました

あい「受け取りなさい」スッ

P「・・・・・」ギュッ

あい「あなたが本当に恨みを晴らしたいのなら、その赤い糸を解けばいい」

あい「糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる、恨みの相手は即座に地獄に流されるわ」

P「地獄に・・・」ゴク

あい「ただし、契約を交わしたら、あなたにも代償を支払ってもらう」

P「代償?」

あい「人を呪わば穴二つ・・・契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる」

P「な・・・」

あい「死んだ後の話だけどね」

あい「後は、あなたが決めることよ・・・」

フッ

P「・・・・・」

タチバナ(藁人形)(プロデューサーさん・・・)

P「・・・そうだな、ここが馬車の終着点・・・」

P「12時の鐘は、もう鳴り終わったんだ・・・」シュルッ





タチバナ「恨み、聞き届けたり・・・」

ちひろ「くふふふ・・・今日もたんまり儲けましたね~」ルンルン

ちひろ「しかしそろそろバレる頃・・・明日からはエリアを変えて・・・」


フッ

ちひろ「あれ?」

ヒュオオオオオオオオオ・・・・

ちひろ「さむううううううううううう!!!!!」ブルブル

ちひろ「な、何で突然猛吹雪の中に・・・」

ちひろ「と、とにかく何かあったまるもの・・・」ゴソゴソ

ちひろ「ホッ、ライターがありました・・・あ!」

ちひろ「燃やすものがない・・・」

タチバナ(おやおや、お困りのようですねぇ)

ちひろ「の、脳内に直接声が・・・誰!?」

タチバナ(そんなことどうでもいいじゃないですか、このままじゃ無理ゲーなのでヒントをと思いましてね)

ちひろ「ヒント?」

タチバナ「ええ、燃やすものがないと仰いましたが」







タチバナ「札束って燃えますよね?」

ちひろ「え・・・」

タチバナ(その懐に入ってる札束を燃やせば暖かいんじゃないかって言ってるんですよ)

ちひろ「そ、そんなことできるわけないじゃないですか!」

タチバナ(ほほう、命より金が大事ですか・・・)

ちひろ「当たり前でしょ!」


タチバナ(その強がり、いつまで続きますかね・・・)

ヒュオオオオオオオオオ・・・・・

ちひろ「さ、寒い・・・」ガタガタ

ちひろ「って、あっちに光が・・・」

ちひろ「あれは・・・家?」

ちひろ「助かった・・・」ホッ

ちひろ「すみませーん!」

シーン・・・

ちひろ「聞こえてない・・・中に人はいるのに・・・」


骨女「ほら、おでんだよ」

輪入道「ほう・・・」

一目連「こりゃうまそうだな」

きくり「きくり、ウインナー!」


ちひろ「暖かそう・・・」

ビュオオオオオオオオ・・・グウウ

ちひろ「うう・・・空腹と寒気が同時に・・・」

ドンドンドン

ちひろ「お願いします!開けてください!」

ワイワイ

ちひろ「お願いします!金ならいくらでも払いますから開けてください!」

ドンドンドン

タチバナ「おやおや、今度はお金を手放してでも助かりたいですか」

ちひろ「当然です!この世に金で買えないものはありません!」

ちひろ「金とは人類が作りだした絶対たる価値観!」

ちひろ「この世は金が全てなんです!」

タチバナ「・・・だそうですよ、お嬢さん?」

あい「・・・・・」

ちひろ「え?」

あい「闇に惑いし哀れな影よ」

あい「人を傷つけ貶めて」

あい「罪に溺れし業の魂」





あい「いっぺん、死んでみる?」

~三途の川~

あい「・・・・・」ギコギコ

ちひろ「あはははは・・・カネカネカネ・・・」ポケー

タチバナ「金に埋もれて地獄にいけるなんて、あなたらしいですよ・・・」




あい「この恨み、地獄に流します・・・」

その後、私はプロデューサーさんの自宅を訪れました

タチバナ「ここですね・・・失礼します」ガチャ


タチバナ「あ・・・」

P「」

そこで私は彼に会いました


物言わぬ屍となった彼と

タチバナ「これは・・・青酸カリ・・・最初からあなたは・・・」

P「」

タチバナ「今頃、お嬢さんの船の上ですかね・・・」

彼の契約の刻印を見ながら私は呟く

タチバナ「やっぱり、涙のひとつも流れない・・・私は変わってしあったんですね・・・」

あい「・・・大丈夫なようね」

タチバナ「お、お嬢さん!?だからいきなり現れないでくださいよ・・・」

あい「この人、送ってきた」

タチバナ「そうですか・・・」

あい「早速だけど、次の仕事よ」

タチバナ「え?」

タチバナ「いきなりですか・・・ちょっとは休ませ・・・」

あい「いいから来て」ガシ

ズルズルズル・・・

タチバナ「ちょ、ちょっと・・・お嬢さーん・・・」

私はお嬢さんの引きずられながらその場を後にした

そして、とある病院に連れてこられた

あい「ここよ」

タチバナ「ここで地獄流しが・・・」

あい「いいえ、ここにいるのは既に契約を交わした者・・・」

あい「その命の灯が消えようとしている・・・」

タチバナ「え?」

タチバナ「なんでそんな人を・・・」

タタタ・・・

骨女「お嬢、お待たせ」

そんな話をしていると、ナース服着た骨女さんがやってきた

あい「お疲れ様」

骨女「その女の人は確かにこの病院に入院してるよ」

タチバナ「女の人・・・なんですか」

あい「その人は最愛の娘を事故で失い、その原因を作った大本を地獄に流した・・・」

タチバナ「それって、私があの時殺し損ねた・・・」

あい「でも結局夫とは離婚、不治の病に侵されここに・・・」

タチバナ「その人って・・・」

あい「輪入道を入院させておいたから、孫を装って病院に行ってきて」

タチバナ「なんでそんな事を・・・」

あい「いいから行ってきて」ギロ

タチバナ「わ、わかりましたよ・・・」

タタタ・・・

あい「・・・・・」

一目連「こっからだな、お嬢」

あい「・・・ええ」

~病院内~

タチバナ「早くよくなってね、お・じ・い・ちゃ・ん」ニコニコ

輪入道「おいおい、ずいぶんさわやかな笑顔だなぁ」

タチバナ「ま、前職上ね、それより件の人は?」

輪入道「ああ、あそこだ」

輪入道さんが指差す方向には、窓の外を見つめる女の人がいました

タチバナ「あの人が・・・」

女性「・・・あら」クルッ

その女性はこちらに振り向きました、その顔は痩せ細っています

タチバナ「・・・どうも」ペコ

女性「おじいちゃんのお見舞い?偉いわね」

タチバナ「いえ・・・」




輪入道(そっくりじゃねぇか・・・やはり・・・)

女性「私にも、娘がいたのよ」

タチバナ「そう・・・ですか」

女性「でもその子は私より先に云ってしまった・・・」

タチバナ「・・・・・」

女性「それが許せなくて、私は・・・」

女性「今にして思えば、馬鹿なことをしたものね、それで娘が返ってくるはずもないのに・・・ゴホッ」

タチバナ「!」

女性「私ももう長くない・・・これは天罰ね、きっとあの子も怒って・・・」



タチバナ「そんなこと、ないと思います」

女性「え?」

タチバナ「どんな形であれ、親が自分の為にしてくれたこと、娘さんは感謝してると思います」

女性「・・・・・」

タチバナ「忘れないでください、娘さんはあなたの事を見守っていますよ」

タチバナ「・・・たとえ地獄にいても」

女性「え?」

~それから数日後~

ピッ・・・ピッ・・・

女性「ゴホッ・・・ついに来たのね」






女性「お母さん、地獄に行くわね、ありす・・・」

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~三途の川~

女性「ここは・・・」

あい「・・・・・」ギコギコ

女性「地獄少女・・・久しぶりね」

あい「・・・ええ」

女性「それに・・・」

タチバナ「・・・・・」

女性「あなた・・・地獄少女の使いだったのね」

タチバナ「・・・はい」

女性「ん~」ジロジロ

タチバナ「な、何ですか・・・」

女性「あなた私の娘に似てる気がするわ」

タチバナ「!」

タチバナ「そ、そうですか・・・」

女性「ねぇ、地獄少女、地獄に着くまでの間、我儘を許してくれない?」

あい「・・・どうぞ」

女性「じゃあ・・・」

ギュッ

タチバナ「!」

気が付くと、私は抱きしめられていた

女性「今だけは、あなたは私の娘・・・」

タチバナ「あ、ああ・・・」

女性「ごめんね、こんな母親で・・・」

女性「ごめんね、ありす・・・」

タチバナ「うう・・・」ススッ

私は彼女を抱きしめかえそうとしたが、耐え抜いた

そして、彼女を送り届けた後、私は夕暮れの丘の上にいました

タチバナ「・・・・・」ポロポロ

タチバナ「あれ、どうしてでしょう・・・」ポロポロ

タチバナ「目から液体が・・・」ポロポロ

タチバナ「こんな感情、もうないはずなのに・・・」ポロポロ

タチバナ「おかあ・・・さん」ポロポロ

あい「・・・よく耐えたわね」

タチバナ「お嬢・・・さん」グスッ

あい「・・・もうそんな風に呼ばなくていいわ」

タチバナ「え・・・」

あい「もう、私の元で働かなくていい」

タチバナ「それって・・・クビ・・・ですか?」

あい「ちょっと違う、まずは・・・」スッ

パアア

お嬢さんが手をかざした瞬間、私は光に包まれた



あい「あなたの名前、返すわ、ありす」

ありす「どうして・・・」

あい「その上で・・・」









あい「大事が話があるの」

~数年後、夕暮れの丘~

男「ここは・・・」

小梅「えへへ・・・来たね」

男「君は・・・」

男の前に前髪の長い少女が立っていた

小梅「こっちこっち」フリフリ

地獄少女「・・・来ましたね」

男「じゃあ君たちが・・・地獄少女・・・」


地獄少女「小梅さん」

小梅「うん」シュルッ

少女は長い袖を首に巻き、藁人形に変身した

地獄少女「この糸を解けば相手は地獄へ流されますが・・・本当にいいんですか?」

男「ああ、息子は私に罪を着せ、会社を乗っ取ったからな」

地獄少女「自分の子供を流す・・・ですか」

男「?」

地獄少女「なんでもありません、契約するなら、私は流すだけ・・・」




地獄少女「それが私、地獄少女・・・橘ありすの仕事ですから」

ありす「いっぺん、死んでみます?」

ワタシハフメツダアアアアアアアアアアア


~三途の川~

ありす「この恨み・・・地獄に流します・・・」ギコギコ



あい「・・・・・」

ミチル「・・・・・」

ミチル「また地獄少女が・・・いつまで続くの?こんなの」

あい「人の恨みが消えるまで・・・そんな日は一生来ないでしょうけど」

ミチル「もう私たちだけじゃ、抑えきれないんだね・・・」

あい「・・・・そうね」

一目連「お嬢」

山童「ミチルさん」

きくり「依頼だよー!!!」

ミチル「ええ」

あい「今行くわ」


小梅「ありすちゃ・・・お嬢、お疲れ様」

タチバナ「別にありすで構わないんですが・・・」








あい・ミチル・ありす「あなたの恨み・・・晴らします」


~完~

これで終わりです
最初は1話完結にしようと思ってたのですが長くなってしまいました・・・

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