女殺し屋「さて、今宵は誰を殺そうか」 (119)

「…ここか」

(治安が悪い街のはずれにひっそりと佇む廃墟のビル…)

(そこの最上階、階段から四つ目、左の部屋…)

(…こんなところに本当にいるのか?)

コンコン

「…どうぞ」

「っ!」

(い、いた…!)

ガチャッ!

「あ、あんたが例の殺し屋か!?」

「……」

「頼む、殺してほしいやつが」

「その前に一つ」

「!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510686532

「殺しを頼むということは、それ相応の念があるのでしょうね」

「…軽々しい気持ちで、来たわけではありませんね?」

「噂を確かめてやろうという思いでいるのではないのですね?」

「考えて考えて…最終手段としてここに来たのですね?」

「…ああ、そうだ」

「…よろしい」

女殺し屋「お話、お聞かせください」ニコッ

ケース1 妻を強姦された男の場合

※本SSはフィクションです
実在の人物、出来事、その他etcとの関わりは一切ありません

女殺し屋「お名前をお聞きしてもよろしいですか」

夫「…夫」

女殺し屋「夫さんですね」

女殺し屋「夫さん、今回はどなたを殺してほしくてここにいらっしゃったのですか?」

夫「…こいつだ」ペラッ

女殺し屋「ふむ…」

夫(…スーツ、ショートヘア、清潔感を感じさせる雰囲気)

夫(こいつが本当に噂の殺し屋…?キャリアウーマンかなにかじゃないのか?)

夫(脚も細いし美人だし…モデルとかもありそうだな)

女殺し屋「なぜ彼を殺したいのか、理由をお聞かせください」

夫「…あいつは妻をレイプしたんだ」

夫「そのせいで妻は精神を…」

夫「…あの光景を思い出すだけで腹が煮えくり返る」

女殺し屋「今回の依頼は奥様のことの復讐、ということですか?」

夫「ああ」

女殺し屋「…わかりました」

女殺し屋「では依頼達成時の報酬についてですが」

夫「……」ゴクリ

女殺し屋「…あなたの全て」

夫「!?」

女殺し屋「あなたが所有しているもの全てを売り払ったとして、どのくらいのお金が入ると思いますか?」

夫「ま、まさか根こそぎ奪うつもりか!?」

女殺し屋「そうは言っておりません」

女殺し屋「言うだけで構いませんので」

夫「…三千万、くらいか」

女殺し屋「三千万…では五万円ほどでいかがでしょう」

夫「は!?」

女殺し屋「あ、でも経費が別ですからね…もう少し安くしたいのならそれでも」

夫「おい待て!」

女殺し屋「?」

夫「人を殺すのにたった十万で引き受けるなんて、そんなの嘘に決まってる!」

夫「ど、どうせお前は噂を利用しようとした詐欺師なんだろ!それともドッキリか!?」

女殺し屋「夫さん、落ち着いてください」

夫「それともなんだ、俺も殺してその後全部手に入れるつもりなのか!?」

女殺し屋「夫さん!」

夫「ひっ!?」

女殺し屋「…落ち着いてください」

女殺し屋「コストとパフォーマンスが合っていない、そうお思いになるのもわかります」

女殺し屋「しかし、この『仕事』は私の趣味…いわゆる娯楽でもあります」

女殺し屋「私は自分の趣味を楽しむついでに、小遣い稼ぎをしているに過ぎない」

女殺し屋「だからこそ多額の報酬は望まないし、時間もいただきます」

夫「…時間?」

女殺し屋「はい、調査の時間です」

女殺し屋「この仕事はあくまで趣味。事態が切迫しているのなら話は別ですが、基本的には私のペースでやらせていただきます」

女殺し屋「対象の動向、心理、犯した罪、あらゆる情報を検討したうえで殺害するのかどうかを決定するのです」

女殺し屋「もちろん殺さないと決めた場合、お金はいただきません」

女殺し屋「…どうしても疑うのであれば、退出されても構いませんよ」

女殺し屋「私は夫さんがいらっしゃったことを口外しませんし、再度いらっしゃった時も快く歓迎いたします」

夫「…ッ!」ダッ!

ガチャッ!

バタンッ!

女殺し屋(…あれは、『来る』感じかな)

夫(…嘘、だよな?)

夫(そうだ、嘘に決まってる)

夫(たった五万で…人を、殺すなんて)

夫(はは、いっそあいつのことは忘れて妻と幸せに生きたほうが)

「親方!こっち終わりました!」

夫「!」

「いやあ男くん!今日も精が出るねえ!」

男「ありがとうございます!」

夫「あいつは…!」ギリッ

~数日後~

ガチャ

女殺し屋「おはようございます、夫さん」

夫「…あいつを殺してくれ」

女殺し屋「承りました」

女殺し屋「では対象について調査いたしますので、そうですね…」

女殺し屋「三週間ほどお時間をいただいてもよろしいですか?」

夫「構わない」

夫「どれだけ時間がかかってもいい…あいつを…!」

女殺し屋「…わかりました」

女殺し屋「では調査が終了しましたらご連絡させていただきますので」

女殺し屋「電話番号をこちらにお願いします」

夫「……」サラサラ

女殺し屋「ありがとうございます」

女殺し屋「では三週間後、改めてご連絡させていただきますね」

夫「…ああ」

…バタン

女殺し屋「…さてと」

女殺し屋「んー…今回はこいつにするか」ピポパピポ

プルル…プルル…ガチャ

??『お久だねえ殺し屋ちゃん!』

女殺し屋「久しぶり、催眠術師」

女殺し屋「早速だけど仕事を頼んでもいいかな」

女殺し屋「報酬は駅前のパンケーキ店で食べ放題」

催眠術師『わかってるじゃん!』

女殺し屋「ターゲットの情報はメールで送らせてもらうよ」

催眠術師『オッケー、待ってるね☆』

ガチャ!

女殺し屋「これでよしと…」

女殺し屋「さて、次は…」

~翌日~

部長「OLちゃん、朝から頑張るねえ」

OL「実は買いたいものがあって…早く退社しないと売り切れちゃうんですよ~」

部長「へえ、なにを買うんだい?」

OL「キッチングッズです、最近人気で」

OL「卵の殻むきが楽になる優れものなんですよね」

部長「なるほど、同棲に備えてということかな」ニヤニヤ

OL「もう、そんな予定ありませんてば」クショウ

部長「はっはっは!冗談だよ!」

OL「それより部長、そろそろ会議のお時間では?」

部長「おっと、そうだった。では失礼するよ」

OL「はい、お疲れ様です」

OL(…はあ、愛想笑いも大変だな)

OL(女殺し屋)(さて、ターゲットの写真をデータベースに照合してと)

女殺し屋(…お、ヒット)

女殺し屋(まあ自分で言うのもなんだがうちは大手のセキュリティ会社だし)

女殺し屋(コンピュータ技術が発展したこの時代、信用する会社になら簡単に個人情報を渡す人が多い世の中だ)

女殺し屋(まさかその中に殺し屋がいて、社員の特権として個人情報を調べているとは誰も思うまい)

女殺し屋(よし、住所と電話番号と勤め先は掴んだ)

女殺し屋(あとは犯罪の詳細だが…さすがに会社のパソコンのスペックじゃ警察のハッキングは厳しいし、あとは家でやろう)

~数日後~

「すみません、少しよろしいですか?」

男「俺ですか?」

「はい、実は安眠グッズの一環として眠りやすくなる音波を発生させる装置を販売しているのですが」

「それのモニターをしていただけないでしょうか?」

「あ、もちろん危険はありませんし、お礼もお支払いしますよ」

「商品券一万円分」

男「一万円…わかりました、暇だしやります」

「ありがとうございます!」ニコッ

『…はい、本当に後悔しています』

『あのときの自分はどうかしていた』

『俺の身勝手な都合で、たくさんの人に迷惑をかけてしまった』

『地面に這いつくばって謝罪したいです』

『でも、下手に姿を見せても怯えさせてしまうだけだと思って…』

女殺し屋「…なるほど」

女殺し屋「男が催眠にかかっていなかった可能性は?」

催眠術師「ちょっとお、その言い方はないんじゃない?」

催眠術師「あたしを誰だと思ってるの、天下の催眠術師ちゃんだよ!」

催眠術師「このあたしにかかれば、催眠をかけて本音を引き出すことくらい朝飯前だよ!」

女殺し屋「はは、それもそうだな。悪かった」

催眠術師「まったくだよ!」モグモグ

女殺し屋(ああ…私の財布の中身が空になる未来が見える…)

女殺し屋「こっちも手はずは整ったし、あとはのんびり期日まで待つか」

催眠術師「ほんっと殺し屋ちゃんは悪趣味だなあ」

女殺し屋「失礼だな、ポリシーだよポリシー」

女殺し屋「依頼はあくまで依頼人の意志に沿って…これが仕事上での私のモットーだ」

催眠術師「仕事っていうか趣味じゃん…」

催眠術師「まあ奢ってもらってる以上文句は言わないけど」

女殺し屋「わかってるじゃないか。殺すことになったらまた奢ってあげるよ」

催眠術師「やった♪」

自分の住処と顔おーぷんって三流じゃんか
トップシークレットがバレバレって無理有りすぎんだろ

>>22
舞台は今日より技術が発展した近未来という設定(といってもリニアカーとかはない)
女殺し屋が勤めている会社は個人情報を受け渡す代わりに強固なセキュリティを提供すると評判
個人情報も社員以外には秘匿とするよう徹底的に管理されておりデータにしての社外への持ち出し(USBやらメールやら)は不可能、会社の出入りの際にはボディチェックと荷物検査、更に入社前に本人の同意を得ての抜き打ちスマホチェックなどがある
非常に厳しい職場ではあるが休暇にわりと寛容、給与が高いなどの理由から志望する者も多い
こういう語らない裏設定はまだあるので、もし気になる点があればレスしてほしい

~三週間後~

女殺し屋「結果から言いますと、男さんを殺す算段はつきました」

夫「!」

女殺し屋「しかし、調査中にこのような音声を拾う機会がありましてね」スッ

夫「…これは?」

女殺し屋「男さんの音声が入っています。聞きますか?」

夫「!…ああ」

夫「……」

女殺し屋「いかがでしたか?」

夫「…ふざけるな!」ドンッ!

女殺し屋「……」

夫「なにが姿を見せても怯えさせてしまうだけだ!」

夫「本当に謝りたいのならなぜすぐに来ない!」

夫「だいたいこいつのせいで妻や俺がどれだけ苦しんだと思っている!」

夫「口先だけのクソ野郎が、嘘ばかり吐きやがって!」

女殺し屋「……」

夫「ぜえっ、ぜえっ…!」

女殺し屋「…では、殺害は決定ということでよろしいですね?」

夫「当たり前だ!」

女殺し屋「わかりました」

女殺し屋「それでは一週間後、お仕事が終わりましたらこちらの住所までいらしてください」

夫「ここに…?」

女殺し屋「はい。いらっしゃらなかった場合は契約破棄…つまり殺害を取り消すことになさったと判断いたしますので」

女殺し屋「本当に殺したいのならば、必ずいらしてくださいね」ニコッ

夫「……」

~一週間後~

夫(ここは…海辺の、もう使われていない倉庫群か)

夫(確かに殺しをするにはうってつけだな)

ギィィィ…

夫「ッ!?」

女殺し屋「お待ちしておりました」

男「ーーーッ!ーーッ!」

夫「こ、これは…!?」

夫(あいつが床に磔にされて…?)

女殺し屋「確か奥様、アブナイ薬で無理矢理高められたそうですね」

女殺し屋「ですのでこちらも同じ手を…ああ、安心してください」

女殺し屋「『合法』ですよ…今のところは、ね」

女殺し屋「目には目を歯には歯を、というやつです」

夫「……」

女殺し屋「さて夫さん、ここに一つのスイッチがあります」

夫「突然なんだ」

女殺し屋「このスイッチを押せば、男さんは死にます」

女殺し屋「具体的にはさらに強烈な薬物が投与され、あまりの快楽に神経が焼き切れます」

夫「なら早く押してくれ」

女殺し屋「いえ、あなたが押してください」

夫「ッ!?」

女殺し屋「やめるならこれが最後のチャンスです」

女殺し屋「あなたがどうしても押さないと仰るのなら契約は破棄し、男さんも殺しません」

女殺し屋「その代わりお金はいただきませんし、どっちにしろあなたの情報は一切洩らさないとお約束しましょう」

夫「こ、ここに来て俺に人殺しをさせるのか!?」

女殺し屋「お伝えしましたよね、これは私の趣味でもあると」

女殺し屋「私の趣味に乗っ取るなら、ここはあなたに最後の一押しをしてもらわねばならない」

女殺し屋「それと念の為申し上げますが、薬物を投与するのはあなたではなく私です」

女殺し屋「あなたがすることは、その小さなスイッチを押すだけ」

夫「……」

女殺し屋「まあ私にとってはたかが趣味ですから」

女殺し屋「どちらに転んでも構わないのですがね」

夫「……」

夫(あの音声を聞くに、こいつは反省をしているようだった)

夫(だが…)

男『ありがとうございます!』

夫(…許せない)

夫(俺達の心の傷は、決して塞がらない!)

夫(あいつだけが、平凡な生活に戻っていいわけがない!)

夫(こいつにも…!妻と同じ、苦しみを…!)

夫「あああああッ!」

ガチャンッ!

女殺し屋「…承りました」

女殺し屋「もう、取り消すことはできませんからね」ニヤア

夫「はあっ、はあっ、はあっ…!」

男「ーー!んーーーッ!」

女殺し屋「大丈夫、苦しみはないはずですから」

女殺し屋「…おやすみなさい」

女殺し屋「恨み言なら、過去の自分に仰ってくださいね」

…プスっ

~数日後~

『それでは次のニュースです』

『数日前から行方不明となっている男さんですが、未だに捜査は難航しており──』

夫「……」

妻「…あなた?」

夫「あ、ああ!すまない」

妻「…ねえ、大丈夫?」

妻「何日か前帰ってきてから、ぼんやりすることが増えたみたい」

夫「…なに、お前のことを考えてたのさ」

夫「少しずつよくなっていてよかった、と思ってね」

妻「…そう」

夫「また、どこかに出かけないか?」

夫「静かな場所へ」

妻「そうね…〇〇山に行きたいわ」

夫「よし、じゃあ有給が取れ次第行こう!」

妻「もう、せっかちね」クスクス

夫(…頭にこびりついて離れない)

夫(あいつが死ぬ直前の、絶望した表情)

夫(…もしかしたら、俺はあいつは許すべきだったんじゃないか?)

夫(俺のしたことは…あいつの心を踏みにじるようなことだったんじゃ…)

夫(だとしたら、俺は…!)

~駅前・パンケーキ店~

女殺し屋「──という具合さ」

催眠術師「そりゃあまた酷なことさせたね」モグモグ

女殺し屋「男さんが心から自分のしたことを悔いているのは聞けば明らかだった」

女殺し屋「それを自身の憎しみを優先して殺すと決めたんだ、これくらいの咎を背負わせてもいいだろう?」

催眠術師「ほんとに趣味が悪い…」

女殺し屋「ふふ…目には目を、歯には歯を」

女殺し屋「…罪には罪を、ってね」

ケース1 END

>>23
そこじゃなくて女殺し屋の事だぞ
素人が女殺し屋の住居探し当てられるってのは設定苦しいなと思ってな

酒に酔って勢いで、ならまだわかるが薬飲ませて無理やりって
相当悪意が強いし改心するように思えない

>>37
廃ビルは住居ではなく仕事場みたいなもの
普段はいたって普通のマンションに住んでいて、仕事が終わってからや休みの日は仕事場に出向いて依頼を待つ
情報はときどきインターネットで都市伝説的なものとして流している
警察は何度かやって来たものの、女殺し屋は仕掛けた隠しカメラから来る度に察知して捜査の目を欺いている
何度行ってもガセなので警察ももはや確かめる気になれない

>>38
当時は自暴自棄だったが刑務所の中で反省というフィクションでよくある話

いいねぇ
次は女殺し屋がドン引きする程サイコな奴を頼む

>>41
リクエストどうも
このスレ内では難しいかもしれないが、書き上がったら別スレを立てて新しい話と一緒に公開しようと思う

女殺し屋(今日は緑茶でもいれようかな)

女殺し屋(おやつに羊羹でも買ってきたことだし)

ガチャ

女殺し屋「?」

「…あの…」

女殺し屋「ああ、依頼ですね」

女殺し屋「どうぞおかけください」ニコッ

ケース2 息子を過労死させられた母親の場合

女殺し屋「どうぞ」コト

「あ…いただきます」

「…おいしい」

女殺し屋「ありがとうございます」

女殺し屋「…早速ですが、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

母「…母、と申します」

女殺し屋「母さんですね」

母「…その、殺し屋さんにこんなことを頼むべきではないとわかっているのですが…」

母「…私は、人を殺してほしいわけではないのです」

女殺し屋「といいますと?」

母「……」スッ

女殺し屋「!これは…」

母「ご存知なのですか?」

女殺し屋「はい、??社の社長ですね」

女殺し屋(ご存知もなにもうちのライバル会社だよ)

母「私の息子は、半年前までここで働いていたんです」

女殺し屋「半年前…そういえばその頃、社員が一人自殺しましたね」

母「それが…私の息子です」

女殺し屋「なるほど、息子さんの件でですか」

母「ええ…そう、ではあるんですけど」

女殺し屋「……」

母「…私は彼に死んでほしいわけではないのです」

母「そんなことをしても息子は喜びませんから」

母「ただ…ほんの少しだけでも、息子の苦しみをわかってほしいだけなんです」

母「無茶なお願いだとはわかっています、でもどうか…」

女殺し屋「…いくらお支払いできますか?」

母「五百万ならなんとか」

女殺し屋「では経費を別として、三万円でお引き受けします」

母「え!?」

女殺し屋「殺害よりも難易度は低くなりますからね、当然です」

母「で、でもあまりにも…」

女殺し屋「母さん、私はあなたの心意気に敬意を払っています」

女殺し屋「こんな仕事をしていると、心根が汚れた者とも少なからず出会う」

女殺し屋「しかしあなたは、息子さんの心情や倫理をしっかり考えたうえでこの決断を出した」

女殺し屋「とてもご立派なことだと思います」

女殺し屋「お金をいただくのは大義名分、私が善意で行うものと思ってください」ニコッ

女殺し屋(趣味のついでに潰せるならむしろ得だしな)

母「…ありがとう、ございます」

女殺し屋「では調査に時間をいただきますので、こちらに電話番号を」

女殺し屋「一ヶ月後にご連絡させていただきますね」

母「はい…お願いします」

女殺し屋「お任せ下さい」ニコッ

…パタン

女殺し屋「…まずは身の回りから調べるとするか」

~その夜~

…パタン

女殺し屋(ふう、潜入するのは久しぶりだな…)

女殺し屋(まあ民間企業のセキュリティなら、師匠の修行よりは楽勝だし)

女殺し屋(さて、まずはコンピュータにウイルスを仕込んでと)カチャ

女殺し屋(それから盗聴器も貼っつけておこ)ペタン

女殺し屋(よし、下ごしらえは終了だ)

女殺し屋(ふふ、なにが聞けるかなー…)

~一週間後~

女殺し屋(おうふ…出てくる出てくるサービス残業の隠蔽工作)

女殺し屋(おまけに不正の証拠まで…まっくろくろすけだな)

女殺し屋(ま、これで罪状は確定っと)

女殺し屋(…自殺した息子さんはセキュリティのプログラミングを担当してたっけ)

女殺し屋(じゃあ…あいつに頼もうかな)

女殺し屋(音声のほうはと)

カチャ

秘書『社長、やはり社員の労働状況を改善しましょう』

秘書『また半年前のようなことになっては…』

社長『ふん、なにをビクビクしておるのだ』

社長『社員の一人が死んだくらいなんだ、あいつらは自分から望んでこの会社に入ったんだぞ』

社長『雇い主である俺がどう「使おう」と勝手だろうが』

秘書『しかしこのままでは…』

社長『なに、いざという時はお前も身代わりとして「使って」やるよ!』

社長『ガハハハハ!』

秘書『ッ…!』

女殺し屋(あ、救いようのないクズだな)

~数日後~

コンコン

女殺し屋「入るぞー」ガチャ

「か、勝手に入ってこないで…!」

女殺し屋「私に合鍵をくれたのは君だろ、ハッカー」

ハッカー「くそ、渡すんじゃなかった…」

女殺し屋「君の世話をするのに楽なんだよ」

女殺し屋「それがいやなら引きこもりをやめてハローワークに行きたまえ」

ハッカー「やだ…人間怖い…」

女殺し屋「まったく…なぜ私は平気なんだか」

ハッカー「……」

女殺し屋「そうだ、ちょっとしたプログラムを作ってほしいんだが」

ハッカー「プログラムって…僕は専門じゃない…」

女殺し屋「いや、作ってほしいのは────というものなんだ」

ハッカー「…確かにそれくらいなら作れるけど、なんで?」

女殺し屋「決まってるだろ、『趣味』で使うのさ」

女殺し屋「もし完璧に作れたらフルコースを作ってやる」

ハッカー「…世話を続けるだけでいい」

女殺し屋「ありがとう」

~一ヶ月後~

女殺し屋「母さん、最終確認です」

女殺し屋「依頼を取り消すのなら今回が最後のチャンスですよ」

母「…いいえ、お願いします」

女殺し屋「…わかりました」

女殺し屋「成果を確認しましたらもう一度こちらに来ていただき、現金をそのまま置いていってください」

女殺し屋「おそらく私は留守にしていると思いますので」

母「…はい」

~その夜~

社長「…ん?」

女殺し屋『お目覚めかね、社長くん』

社長「ッ!?」ガバッ!

女殺し屋『ああ落ち着きたまえ、君を殺すつもりはない』

社長「こ、ここはいったい…!?」

社長「おい!どこから喋っている!お前は誰だ!」

女殺し屋『社長くん、君がここから出る方法はただ一つ』

女殺し屋『そこのコンピュータに入っているプログラムを修正すること、それだけだ』

社長「…なに?」

女殺し屋『ただし、支給される食料は一日二食』

女殺し屋『朝と夜の分のカップラーメン、それに水のボトルが一本』

女殺し屋『睡眠は一日三時間まで』

女殺し屋『それ以上寝ていると君の耳元に取り付けた機械でアラームを鳴らし強制的に叩き起こす』

社長「ふ、ふざけるな!」

女殺し屋『やりたくないのなら拒否しても構わない』

女殺し屋『別に私は君が餓死しても構わないのだからね』

社長「くっ…!」

社長「…いいだろう!素人のプログラムミスくらいすぐに直してやる!」

社長「俺はS大学のコンピュータ学部卒業なんだ!」

社長「このくらい一時間とかからずやり遂げてやる!」

女殺し屋『ほう…期待しているよ』

社長「ふん!俺がこの部屋から出たらすぐにお前を見つけ出して社会的に殺してやるからな!」カタカタ…

女殺し屋『……』ニヤア

~数週間後~

女殺し屋「よっと…こんなもんかな」

ハッカー「…!」キラキラ

女殺し屋「…落ち着きたまえ、ハンバーグは逃げない」

『速報です。行方不明となっていた??社の社長ですが、本日未明郊外のマンションに監禁されていたところを警察が保護しました』

『社長は非常に憔悴しており部屋には大量のカップラーメンのゴミがあったことから、警察は犯人が定期的にマンションを訪れていたとみて捜査を進めています──』

ハッカー「…もしかして、これ?」

女殺し屋「さあ、どうだろうな?」ニコッ

ハッカー「…あ、だから僕に作れって言ったの?」

ハッカー「──プログラムに酷似した数字の羅列を永遠と吐き出すだけのプログラム」

女殺し屋「…さあね」

女殺し屋「ただし、もしその数字の羅列を解こうとしても意味がない行為だろうな」

女殺し屋「しょせんは似ただけの数字なんだから」ニコッ

ハッカー「……」ゾクッ

女殺し屋「それはそうと驚いたな、君から私の家を訪ねてくるとは」

ハッカー「だって…食べたいなら家に来いって…」

女殺し屋「そんなに食べたかったのか?」

ハッカー「……」コクッ

女殺し屋「その根性があればファミレスにでも行きたまえ、私より格段に美味い料理が出るぞ」

ハッカー「女殺し屋の料理だから来た…」

女殺し屋「…ふっ、かわいいところあるじゃないか」

ケース2 END

色々と指摘どうも
確かに調べてみたら色々と間違ってた、以後気をつける
文章のほうもなるべく言い回しとか考えて作るつもりだ
それと、つまらなかったら「どうしてつまらなかったか」とか「どこをどう直したらいいか」とかアドバイスを(できればマイルドな言葉で)くれると嬉しい

女殺し屋(…最近仕事の量が増えたような)カタカタ

部長「あー…疲れた…」

女殺し屋「お疲れ様です部長」

部長「OLちゃんもお疲れ」

部長「ふう…??社が潰れてその仕事がこっちに回ってきたのは嬉しい限りだが」

部長「忙しすぎるってのもなあ」

女殺し屋(あ、そういえば匿名で不正の証拠を送り付けてたんだっけ)

部長「そうだ、今度の県知事選挙の会場の警備もうちが請け負うことになったんだ」

部長「色々と書類作っといてくれ」

女殺し屋「わかりました」

女殺し屋「テレビやら新聞やらだと、現知事と若手議員の一騎打ちとか騒いでますね」

部長「ああ、堅実な現知事と革新的な若手議員」

部長「どっちに転ぶかわからん勝負だ」

女殺し屋「部長もちゃんと選挙に行ってくださいね」

部長「もちろんだとも」

女殺し屋(──というのが、今日の昼の会話だったわけだが)

女殺し屋「ではお話を伺いましょう、現知事さん」

現知事「ああ、くれぐれも内密に頼む」

女殺し屋(まさか、こんなことになるとはな)

ケース3 不正を知る知事の場合

現知事「まず、私は君に殺人ではなく調査を依頼しに来たということを理解してほしい」

女殺し屋「ふむ、調査ですか」

女殺し屋(そういうの殺し屋じゃなくて探偵とかに頼んでほしいんだが)

現知事「初めは興信所にでも調べてもらおうと思ったのだが、場合によっては非合法なこともやむを得んと思ってね」

現知事「荒事に慣れていて、かつ良心的な価格で依頼を受けてくれるという君に頼むことにしたというわけだ」

女殺し屋「私、そんなに有名になっているのでしょうか」

現知事「有名というか、都市伝説のようなものだな」

現知事「私も半信半疑で訪ねてきたのだよ」

女殺し屋「左様ですか…それで、調査対象は」

現知事「彼だ。この時期となると君も顔を見たことはあるだろう」スッ

女殺し屋「これは…若手議員?」

現知事「ああ…彼に不正の疑惑がある」

女殺し屋「その不正の調査、ということですか」

現知事「そういうことだ」

現知事「彼は今回が初めての知事選だからな、熱意のあまり不正に走ってしまっても不思議はない」

女殺し屋(熱意のあまりってどういうことだよ)

現知事「それに、彼はおそらく私を貶めるための準備もしているはずだ」

現知事「投票日まであと一ヶ月…少なくとも一週間前までには決着をつけてほしい」

現知事「報酬は一千万でどうだろうか」

女殺し屋「…わかりました、お引き受けします」

現知事「ありがとう」

現知事「これはあくまで調査だ、くれぐれも若手議員勢に気取られないようにしてくれ」

女殺し屋「お任せ下さい」ニコッ

~その夜~

…ガチャ

女殺し屋(潜入かんりょ~う)

女殺し屋(さすがに厳重な警備だったけど、やっぱり甘いね)

女殺し屋(…いや、師匠の修行のトラップが異常すぎたのかな)

女殺し屋(手榴弾だったり、レーザー光線だったり)

女殺し屋(…思い出したら寒気が)ブルッ

女殺し屋(さて、ハッカーのウイルスをダウンロードして…)カチャ

女殺し屋(盗聴器も、と)ペタリ

女殺し屋(あとは脱出して、あっちにも仕掛けてこよう)

女殺し屋(お金が余ってるとは思えないし、ここまでの警備はさすがに敷けてないだろ)

女殺し屋「さあてと…クロか、シロか」

基本的に今回ここで突っ込まれた事は一般人でも普通に知ってるべき事なの。
調べなくても理解してるべき事なの。

貴方みたいに「調べたら間違ってたと判った」って人の方が少数派なの。
貴方は「自分が一般常識レベルにも達してない」って事を自覚すべきなの。

一応言っとくけど、一般常識から逸脱してるんじゃなくて、単に未熟なだけだからね。
貴方みたいに変なキャラを好む人は「自分の感性は人と違うんだ」みたいな感じで自己陶酔に入りそうだから予め釘指しておくよ。

あと、殺し屋って言うと格好いいけど、社会的には殺人犯だからね。
趣味でやってるんだから殺人鬼とも言える。

で。
社会的には司法側に立つべき知事が「不正調査を殺人鬼に依頼する」って状況はどうなの?
そんな選択をする知事の何処が堅実なの?

それと、殺し屋は警察が来ても捕まらないようにしてるみたいな事を書いてたよね?
何で知事には会うの?
指揮権は無いけど、協力要請出来る立場にいる人間だよ?

多分「知事が殺し屋を捕まえようとしても実力的に無理なんです」みたいなレスが来そうだから補足しとくけど。

今まで存在自体があやふやでガセか都市伝説か判らなかった「殺し屋」が知事に会ってしまってるんだよ。
この時点で都市伝説でもガセでもなく「明確に存在する犯罪者」って事が証明されてしまってる訳だ。

で、知事の目的が不正依頼ではなく「囮調査」だったら、殺し屋はどうするの?
その辺をどう判断したの?
顔を隠すことすらしてないよね?

わかった
自分が一般常識も知らない底辺だということはよくわかった
それならこれから一から社会の常識を勉強し直す
本当は続きも載せようと思っていたが、きっとまた「社会の常識も知らない~」とか言われるだろうし
逃げたと思ってくれて構わない、実際自分でもそう思ってるし
でももう無理だ、載せる気になれない

狂ってるといってもいいくらい(キリッ

何で「狂ってる」じゃなくて「狂ってるといってもいいくらい」って言ったの?
しかも後から「狂ってるから」って言っちゃってるし

どっち?
狂ってるの?
狂ってるといってもいいくらいなの?

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