女「リストカットしようとしたら手首丸ごと切り落としちゃった」ブシュウウウウウ (22)

女「今日はあたしの手料理を食べてね~」

女「はいっ、ご飯とお味噌汁!」コトッ

男「お、いただきま~す!」

男「……」モグッ

男「……ん」

男「なんだこのご飯、やけにベタベタしてて、とても食えたもんじゃない!」

男「味噌汁はやたら味が薄いし……どういう舌してんだよ!」

女「え……」

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女「ひどい……一生懸命作ったのに!」

男「んなこといったって、まずいもんはまずいんだからしょうがないだろ!」

女「こうなったら……死んでやる!」

女「手首切って死んでやるんだから!」

男「はいはい(また始まった……)」

女「ホントにやるからね!」

男「やれば?」

男(どうせいつものように、血も出ないくらいにしか切らないくせに)

女「今日は本気なんだからね!」

男(どうせできないくせに)

女「えーいっ!」ザクッ

女「あ……」

女「リストカットしようとしたら手首丸ごと切り落としちゃった」ブシュウウウウウ…





男「何ィィィィィッ!?」

男「どっちの手? 左手か!」

女「どうしよう~!?」ブシュウウウウウ…

男「落ち着け! 落ち着くんだ!」

男「とりあえず、手首を拾って……」ヒョイッ

男「ああ、この手首……まるでモナリザの手のようだ……フゥ~……」スリスリ

女「吉良吉影のモノマネしてる場合じゃないでしょ~!」

男「ごめん、こんな機会めったにないし……」

女「気持ちは分かるけど!」

男「まず……そうだな、血を止めないと! ハンカチかなにかで傷口を押さえるんだ!」

女「う、うん!」ブシュウウウウウ…

女「ダメ~! あ~ん、血がどんどん出てくる! 止まらな~い!」ジワァァァァァ…

男「そりゃそうだ……」

女「自分でいったのに、そりゃそうだはないでしょうが!」

男「ハ、ハハハ……」

女「何が可笑しい!!!」

男「う~ん……」

男「あ、思い出した!」

男「名探偵コナンで読んだことあるんだけど、脇にテニスボールを挟むと止血できる! はず!」

男「脇には太い動脈があるから、とかで……」

女「うちにテニスボールなんかないよ! テニスやらないし!」

男「テニスボールじゃなくてもいいよ! たとえば野球ボールとか、ソフトボールとか……」

女「サッカーボールならあるけど……」

男「それだ!」

女「サッカーボールを右脇に……」ガシッ

女「止まらな~い!」ブシュウウウウウ…

男「逆! 逆! 左手を切ったんだから、左脇に挟まないと!」

女「あ、そっか!」

女「こっちに……」ガシッ

ピタッ

女「止まった……」

男「ほっ……」

男「とりあえず、これで失血死することはなくなったね」

女「うん、だけど左手なくなっちゃった……」

男(ここは彼氏として、俺が励まさないと!)

男「なくなったもんは仕方ない。コブラみたいにサイコガンでもつければいいじゃない!」

女「どうやって?」

男「俺がお医者さんに頼んでつけさせてやるよ! 最高のサイコガンを!」

女「やめとけ、給料安いんだろ?」

男「ヒューッ!」

女「やだやだ~! あたし、あんなにウィットに富んだジョーク飛ばせない~!」

男「うーん、だったら……」

男「ロックマンになればいいじゃん!」

女「8ボス倒しに行くのやだ~!」

男「彼岸島の明さん!」

女「丸太武器にするのやだ~!」

男「フック船長!」

女「ピーターパンと戦うのやだ~!」

男「ん~……他に手首のない奴っていたっけ」

女「くそガキがァァァ!」

女「いつまでも調子に乗ってんじゃねェ! このコエダメがァァァ!!!」

男「うわ、ビックリした!」

女「お前なかなかいい声で鳴くじゃねえか、あ~ん?」

女「感じてきちまったぜ、ひひ」

男「幽白に出てくる仙水のカズヤか! こりゃまた微妙な奴を」

女「うっ、うっ……」

男「えーと……この切れちゃった左手……モミジみたいでキレイだよ」

女「そんな励ましの言葉なんかいらない!」

男「……」

女「ねえ、どうにかくっつけられないかな?」

男「くっつけるっていったって……」

男「強力な接着剤でもなきゃ……う~ん……」

男「そうだ!」

男「これだ!」

男「このベタベタしたご飯をのりにすれば、手首をくっつけられるかもしれない!」

女「ホントぉ~? ワクワクさぁ~ん」

男「誰がワクワクさんだ! とにかくやってみよう!」

男「ご飯をこねて、練って……」コネコネ…ネリネリ…

男「できた!」

男「くっつくかな……」

ペタッ

女「くっついたー! ちゃんと指も動く!」グッパグッパ

男「ふぅ~、よかった」

男「二、三日安静にしてればちゃんと治ると思うよ」

女「ありがとう~!」チュッチュッ

男「おいおい、よせよ」

女「でも……」

女「元はといえば、あんたが悪い!」

男「な……!」

女「あんたがあたしのご飯を酷評しなきゃ、こんなことにはならなかったのよ!」

男「お前、助けられておいてなんて言い草だ! これだから女は……!」

女「ふん!」

男「ええい、だったら――」

男「死んでやるよ!」

男「ベランダから飛び降りてやるからな!」

女「はいはい(また始まった……)」

男「ホントにやるぞ!」

女「やれば?」

女(どうせいつもみたいに、飛び降りるフリするだけでしょ!)

男「今日は本気なんだからな!」

女(どうせできないくせに)

男「本当に落ちるからな!」

ズルッ

男「わぁぁぁぁぁっ!」

グシャッ





女「えぇぇぇぇぇ!?」

男「っつぅ~、頭から落ちた……」

女「ちょっとぉ、大丈夫!?」

男「いてて……脳みそ出ちゃった」デロン

男「どうしよう……もったいない! これ、なにかに使えないかな!?」

女「あ、そうだ! 味噌汁に入れれば、味が濃くなってちょうどよくなるんじゃない!?」

男「なるほどぉ! 入れてみるか!」

女「どう?」

男「お~……うまい! ベタベタしたご飯や薄い味噌汁ってのも捨てたもんじゃないんだな!」








おわり

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