わたしとヒトとアライさん (100) 【現行スレ】

落ち葉と枯れ葉が散らばる地面を踏みしめる度、がさ、がさ、ぎゅっぎゅと音がする。

小枝がへし折れ、ぱき、と音がする。

風の音、葉が擦れる音が聞こえてくる。

それ以外のものはこの森からは何も聞こえてこない。

息を潜め、ゆっくりと、男は地面を踏みしめる。

畑を荒らす何かがこの森に入って行ったのを近隣の住人が見つけてから二日後

男はそれの駆除をこの職の初仕事として引き受けた。

息を潜め、ゆっくりと、男は地面を踏みしめる。

風の音、葉が擦れる音が聞こえてくる。

今はそれ以外のものは、何も聞こえてこない。

だが、聴覚ではない、男の嗅覚が異常を検知した。

悪臭。こんな森の中では決して発生しないはずの、悪臭。

木の周囲に落ちている悪臭の発生源を見て男は顔をしかめる。

人間の糞便のようなものが木の根っ子に固められていた。

まるで砕石場に詰まれた石のように、恐ろしい量の糞便がそこに溜まっていた。

男「うっ…まさかあれ、溜め糞か?」

溜め糞があったという事は、恐らくは。

そう考えて男は腰に手を伸ばし、拳銃を掴んだ。

男は初めて実戦で掴む拳銃の重さを手首で感じ取り息を飲む。

ある時を境に、日本の治安は急激に悪化した。その結果、日本での拳銃の所持が認められるようになった。

とは言ってもそれまでの風潮もあり、よほどの事がなければ日本人は銃を使わない。

だが今は、そのよほどの事が起きている。彼は今から銃刀法の改法を余儀なくした存在の一つと戦うのだ。

拳銃の重さから、彼はそれを感じ取っていた。

「たぁ~~~~!!!!」

甲高い奇声に気を惹かれ男が上を見上げると、性器を丸出しにした何かが尻からこちらに落ちてくるのが見えた。

心臓が跳ね上がる。女性器を見た事による性的興奮ではなく、命の危機を感じ取った。

脚に力を入れ地面を蹴り、その場から離れる。

ザクッ

男がさっきまでいた場所に棒状の何かが深く突き刺さった。奇声の主が持っていた棒状の何かが。

逃げた獲物の姿を捉えようと、奇声の主が男を視界に収める。

男も奇襲をしかけてきた奇声の主を視界に収める。

灰色の髪が見える。視覚から入ってきたその情報が、一瞬目の前のそれが人間だと誤認させる。

頭から生えた二つの大きな耳。灰と黒の縞模様の尻尾。

きちがいのように吊りあがった二つの目と、ぶよんと飛び出した頬。

ねずみ色の毛皮が首に付いた、青がかった紫の服。

一見人間のように見えるが、二つの耳と尻尾と気狂いのような顔がそれを否定させる。

目の前のそれ、彼女は生物学的にも人間ではない。

動物がサンドスターと呼ばれる未知の粒子によって突然変異を起こした姿。

フレンズ。その一種。

男「あ、アライさん…!!」

特定有害駆除対象フレンズ、アライグマ。

この、人の知恵を身に付けた害獣は手に持った槍で男を刺し殺そうとして失敗した。

「たぁ~~~~!!!!」

呆気に取られ、銃口を向けるのを忘れていた男の頭上からまた別の奇声が聞こえた。

男「あづっ!!」ザクッ

今度は避けそこない、槍が右腕を抉る。落ち葉の上に赤い血と拳銃が落ちた。

男は痛みに悶絶する暇もなく、頭をよぎった嫌な予感によって動きを止める。

男は周囲を見渡す。周囲の木々から、何かが這い出てきているのが見えた。

アライちゃんA「のだー」ニュウッ

アライちゃんB「だー」ニュウッ

アライちゃんC「なのだー」ニュウッ

アライちゃんD「のだー」ニュウッ

アライちゃんE「のだー」ニュウッ

アライちゃんF「のじゃー」ニュウッ

アライちゃんG「ふははははー」ニュウッ

「「「「「「「わっちぇ、わっちぇ、わっちぇ、わっちぇ」」」」」」」

ヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジ
ヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジ
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ヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジ
ヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジヨジ

手の平に乗る位の大きさのアライさんが木々の内側から這い出て、木を降りていく。

この小さいアライさんはアライさんの幼獣、アライちゃんだ。

今アライちゃん達が這い出てきた木々の内側は、既にアライさんに侵食され巣とされていたのだろう。

だが、これはおかしい。

アライさんがアライグマと同じように木を巣として生活するのは知っていたが、この数は明らかにおかしい。

この一帯が危険地帯、アライさんのコロニーになっているなんて話を男は聞いていなかった。

特定有害駆除対象フレンズ、つまり害獣であるアライさんの危険性は他の害獣の比ではない。

これの祖先のアライグマが子供やペットを襲い、殺すように、アライさんも人を襲うのだ。

平均140cm程の、人間サイズの成獣(アライさん)によって人間が殺害され、捕食された事例もある。

つまり、この目の前の群れは人食いの群れなのだ。しかも、祖先よりも思考が進化している。

下手に過疎地に攻め込まれれば、そこに住む人間を皆殺しにして乗っ取る事くらいはやってのける。

それ程までに危険な害獣、それがアライさんだ。

それ故に、日本での拳銃の所持が認められ、駆除屋・ハンターの数も増えた。

その群れがコロニーを形成しているとなればすぐにわかるし、その森一帯近隣含め危険地帯として認定されるはずだ。

だが、そんな情報は男に一切入ってきていない。

彼も新米とは言え、一人のハンターだ。アライさんコロニーの情報は真っ先に彼らの耳に入る。

誰かが、隠していなければの話だが。

まずい、殺される。男は命の危機を感じて逃げ出した。

拳銃を拾うという選択肢は捨てた。

利き腕を負傷した事と、拾っている間にまた上から奇襲をかけられたら心臓をやられると考えたからだ。

徐々に胸を締め付ける息苦しさに耐えながらも、全力で落ち葉を踏み、地面を蹴る。

逃げろ、逃げろ、逃げろ。ただそれだけを考えて男は全力で走った。

後ろからアライさんの群れが男を追いかけている。

聞いていた数と違いすぎる。コロニーができているなんて聞いていない。

一人で何とかなる場所ではない。逃げるしかない。

男は全力で走り続ける。止まれば、あの群れが男を殺すだろう。

だがそれは突然の、予想外のものによって阻まれた。

土と植物、有機体に囲まれた空間に似つかわしくない無機物が擦れる音がしたと同時に彼の左足に痛みが走る。

その痛みと、左足を固定した何かに引っ張られ、彼は落ち葉の溜まった地面に倒れこんだ。

左足を見ると半円型の何かが二枚、彼の左足を挟み込んでいた。

淵に付いた刃が彼の服と肉に刺さり食い込む。

トラバサミだ。人間が獣を捕らえる為に開発した、古くから伝わる罠。

彼は、それに引っかかってしまった。

嘘だろ、と彼は思わず口走った。

自分が仕掛けたものではないし、自分以外のハンターの姿は無い。

誰かが仕掛けたまま置いて行ったか、そうでなければアライさんが仕掛けたかだ。

前者なら仕掛けた奴をぶん殴ってやる。

後者はありえるのか?あのガイジがそんな事をできるのか?

アライさんA「ヒトが作った道具にヒトがひっかかったのだ!あいつ馬鹿なのだ!!」

アライちゃんA「やっぱりおとーしゃんのいうとおりらったのらぁ!」

アライちゃんA「ばかなのだ!」

アライちゃんB「がいじなのら!」

アライちゃんA「あらいしゃんをいじめるやつはみんあがいじなのら!!」

アライちゃんC「ガイジなのだ!」

アライちゃんD「ガイジなのだぁ!」

アライちゃんE「がいじなのりゃぁ~!」

アライちゃんF「が!い!じ!が!い!じ!が!い!じ!が!い!じぃ~!」

アライちゃんG「がいじ!がいじ!がいじ!がいじぃ~!のりゃりゃりゃりゃ~!!≧∀≦」

アライちゃんA「が!い!じ!」

アライちゃんB「が!い!じ!」

アライちゃんC「が!い!じ!」

アライちゃんD「が!い!じ!」

アライちゃんE「が!い!じ!」

アライちゃんF「が!い!じ!」

アライちゃんG「が!い!じ!」

身動きが取れなくなった彼にアライさんが近付いていく。

アライちゃんの群れが、まるで古い映画に出てくる肉食の甲虫のように男に近付いていく。

囲まれれば最期、その映画のように殺され、食われ、骨をこの森に晒す事になる。

アライさんは血で汚れた棒を持ち、アライちゃんは涎と小便を垂れ流しながら男に近付いていく。

アライさんB「ガイジは生きている価値なんて無いのだ!」

アライさんA「影川の手先はみんなガイジ!なのだ!!」

アライちゃんD「ガイジなのらあああ~~~~~!!!!!」

男「やめ…やめろ…!!」

アライさんA「巨悪ガイジはみんな死ぬのだ!」

アライさんB「殺すのだー!殺すのだー♪」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃんA「こりょすのだぁ~~~!≧∀≦」コスリコスリコスリコスリ

「「「「「「こりょすのだぁ~~~!!!≧∀≦」」」」」」

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下品な笑みを浮かべながらアライさんの群れが自分の両手をこすりはじめた。

祖先のアライグマから遺伝子レベルで引き継がれてきた動き、通称ハエガイジムーブだ。

この害獣どもはこの動きが癖になっていて、隙あらばハエガイジムーブを行う。

手が寂しい時、暇な時、嬉しい時、不満な時。

ありとあらゆる状況でも隙あらば手をこすり合わせ、人を不快にさせる。

今もアライさんBは、獲物を殺す高揚感が溢れ出したかのように激しくハエガイジムーブを行っている。


アライちゃんG「しぬのらぁ~!あらいしゃんがせいぎのてっちゅいをくだしてやるのらぁ~!!」コスリコスリ

アライちゃんC「でもまずそうなのりゃ!くさそうなのりゃぁ!!アライしゃんのうんちよりくさそうなのりゃあ!!!」

アライちゃんE「おかおもあぶらぎっててくちゃそうなのりゃあ!!」

アライちゃんB「ふかいなのらぁ!ガイジなのらぁ!!おかーしゃんさっさところすのらぁ!!!」

アライさんA「言われなくてもそうするのだ!!」ジャキ

アライさんA「ちびたち!!今日のごちそうが手に入ったのだ!!」

アライちゃんC「いやなのら!くちゃいのりゃあ!くちゃいのいやなのりゃあああ!!!><」ブンブンブンブン

アライさんA「焼いて食えばくさくないのだ!!」

アライちゃんA「おぉ~~~~~~!!!!!」コスコスコスコスコスコスコスリイイイイイイイイイ

アライちゃんB「金玉はあらいしゃんがもらうのらぁ!!ころころ転がしてごりっとかむのらぁ!!」コスコスコスコスコスコスコス

アライちゃんC「なにをいってるのだこのどろぼー!金玉ガムはあらいしゃんのものなのだぁ!!」

アライちゃんB「はっ!?おまえこそなにいってるのだ!おまえこそどろぼーなのだ!かげかわなのだ!!」

アライさんA「金玉は二つあるのだ!分け合えるのだ!」

アライちゃんB「おぉ~~!!さすがおかーしゃぁーん!!」コスコスコスコス

アライちゃんC「てんさいなのらぁ!あらいしゃんはてんさいの子供なのだぁ!!」

アライさんB「ふははははー!そうなのだ!アライさんたちは天才なのだ!!」

アライさんB「アライさんたちは無敵なのだ!だからこんなガイジに負けるはずがないのだぁー!!」コスリコスリコスリコスコスコスコスコスコスコスコス

アライさんAが男の腹を万が一でも逃げられないように踏みつけ、手に持った槍の切っ先を胸に向けた。

アライさんA「お前はアライさんを殺そうとしたのだ!だがそれは大きな間違いだったのだ!!」

アライさんA「アライさんは天才であると同時に、今日まで野生の一匹狼として生き抜いてきた偉大なアライさんなのだ!!」

アライさんA「お前みたいな温室育ちのハエガイジとはわけが違うのだ!」

アライさんA「ざまーみろなのだぁー!!」ケラケラケラケラコスリコスリコスリコスリ

「「「「「ぴぇ~ぴぇっぴぇっぴぇっぴぇっぴぇ~~!!!≧∀≦」」」」」

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ハエガイジムーブによって擦れる音が重なり、森の中に響く。

アライさんの群れの笑い声が重なり、森の中に響く。

勝利を確信したアライさん達は男を嬲りものにしていた。

いつでも殺せるのだから、めいいっぱい馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にしくさった上で殺してやろうと、アライさん達は考えていた。

が、すぐに飽きが来たアライさんAが男を刺し殺す為に槍を握りなおす。

アライさんA「たあ~~~!!!!」

そして手に持った棒を突き刺そうと振りかぶる。

自分達の勝利と今日のごちそうを確信し、気持ちの悪い釣り目をさらに釣りあげた。

男「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

森の中、一人の男の悲鳴が響いた。

その瞬間


パァン


アライさんA「あぼっ!!」

アライさんA「」ドサッ

破裂音と共に、男を刺し殺そうとしていたアライさんの頭から何かが突き抜け地面に刺さった。

アライさんA「ぼぼぽっ…」ビクンビクン

アライさんA「ぼぼっべっぼぼっおんっほぼぼおおべえっ」ビグンッジタッバタタッビッググッバタタタタッ

脳を破壊され倒れこんだアライさんAが痙攣を始めた。

手足をばたつかせ、背筋も使い、身体をびくんびくんと激しく跳ねさせる。

これは通称ゴキガイジムーブと呼ばれ、祖先のアライグマから引き継いだ謎の特徴である。

だがそれも数十秒もすれば止まり、アライさんAは完全に生命活動を停止した。

アライさんB「お、おねーしゃあーん!!」

パァン!

再び破裂音が響く。

アライさんB「あびゃ!」

響く。

アライちゃんA「ぐべ!」

響く。

アライちゃんB「のぎゃっ!」

アライさんB「」ビグンッジタッバタタッビッググッバタタタタッ

アライちゃんA「」ビグンッジタッバタタッビッググッバタタタタッ

アライちゃんB「」ビグンッジタッバタタッビッググッバタタタタッ

そしてゴキガイジムーブの合唱。

破裂音の主、銃を持ったハンターの手際の良さが伺える。

下品でおぞましいコンサートが開かれている、その少し離れた場所に大きな白い塊がいた。

その白い塊、大型犬の飼い主こそが、今4匹ものアライさんを射殺したハンターである。

アライちゃんC「にげゆのりゃ~!ぴいいぃぃぃいいいいええぇえええ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

飼い主「パスカル」

大型犬「グワァオ!!」

飼い主が隣の大型犬に呼びかけると、大型犬は白い残像となって駆け抜けていく。

四つ足でヨチヨチと逃げるアライちゃんCにあっという間に追いつき、喉笛に噛み付いた。

ガブウ!

アライちゃんC「ぐびゅえええええ!?」

飼い主「パスカル。殺せ」

大型犬「ガウ!ガウ!ガウ!ガウゥ…!!」

アライちゃんC「」ビクンッビクッビクッビクッ

大型犬は何度も何度も顎に力を込める。アライちゃんCは何度か痙攣した後動かなくなった。

飼い主「パスカル。離せ」

飼い主の合図に従い、咥えていたアライちゃんを離す。

首から大量の血をどくどくと流し、白目を剥いたアライちゃんCが動く様子は無い。

大型犬の飼い主は、その汚らしい顔面を靴底で踏み潰した。

アライちゃんC「」グシャ

アライちゃんC「」ビクッビクビクッ、バタバタバタバタッ

幼獣がゴキガイジムーブをする。それが止まるまで、飼い主はその様子をずっと見ていた。

ゴキガイジムーブが止まり、アライちゃんCの生命活動が完全に止まった。

飼い主「よくやったねパスカル。助かったよ」

飼い主は大型犬を労い、身体を手の平で撫でる。大型犬はそれに尻尾を振って答え、飼い主からは笑い声が漏れた。

パートナーの労い兼スキンシップを終えた飼い主が男を視界に収める。

彼の足にはまだトラバサミの刃が食い込んでいるのだ。

飼い主「すみません今外します。そのままにしててください」

罠を外す為に飼い主が男の足元に跪いた。手に持った工具を押し、捻り、力を込めて罠を外す。

工具をポーチに突っ込み、代わりにガーゼと消毒液を取り出す。

飼い主「よし…このまま傷の手当もしておきますね。ちょっと染みますけど我慢してください」スッ

男「あ…あぁ。頼む…ッ!!」ビクッ

飼い主「それにしてもハエガイジどもが罠を使うようになるなんて…」シュルシュル

男「あぁ…」

男「いや、確かお父さんが何とかとか言ってたような」

飼い主「お父さんが言っていた?罠の使い方を?まさかアラ信の人達がここまで来てるんじゃ」

男「…多分」

飼い主「こんなコロニーを今まで隠し通せていたのも、まさか」

そこで会話が途切れた。

飼い主は深刻な事を考えているかのように眉間に皺を寄せながら男の傷の手当をしていく。

それを見た男は、この命の恩人が今自分と同じ事を考えているのだろうと感じ、あえて何も言わずに大人しく手当てを受けた。

誰もが思っている事を、何度も何度も口にする必要も無いだろう。

余計な事をしやがって、と。この場にいる二人とも、そう思っていた。

害獣は死に、人と人の会話が途切れ、森に再びあるべき静寂が訪れる。

だが男の胸から引っかかりが消える事は無かった。

まだ、あのハエガイジどもの生き残りがいるからだ。

だが、それを追いかけるのはもう無理だ。

その思いが、後悔が彼の胸をずっと締め付けていた。




ブロロロロロロロ

男「本当にごめん」

飼い主「気にしないでください。3000円ちょっとと人の命、どっちが大切かなんて明確じゃないですか」

飼い主「それに、あそこにコロニーがあるとわかれば近いうちにハンターが集団で入るでしょう。今日殺し損ねたのもそこで死にますよ」

飼い主「それより本当に運転大丈夫なんですか?まだ足痛いですよね?」

男「大丈夫。痛いのは慣れっこだしな」

飼い主「何かあったら大変です。安全運転で行きましょう?」

男「そうだな。君を事故に巻き込むわけにはいかないし」

飼い主「…わたしの事は別にいいから自分の事心配してくださいよぉ。お母さんから貰った大切な身体なんですよ?」

口を尖らせて不満げな表情とどこか妙な言葉を表す飼い主に男は思わず吹き出した。

不満を表しつつもどこか媚びたその口調と、先程までアライさんを冷酷に殺していたそのギャップが可笑しかった。

飼い主「男さんはこの辺の人なんですか?」

男「あぁ、うん。まぁそうだな」

飼い主「そうなんですか。わたしもそうなんです」

飼い主「またお会いできた時は、一緒にアライさん狩りしましょうね。知っている人と一緒なら安心できます」

男「そうだなぁ。君がいてくれれば心強いな」

飼い主「パスカルもいますよ。三人いれば、油断しなきゃ無敵です」

飼い主「ね。パスカル♪」

大型犬「ワン」

飼い主「あ…」

男「どうした?」

飼い主「あれ…」

飼い主「人の、死体?」

男「?」

飼い主「すいません。ちょっと止めてもらっていいですか」

車のハザードランプを付けて道端に車を寄せて止める。

男は、飼い主がかばんから取り出した双眼鏡を受け取り、覗き込む。

遠くで、人の死体が吊り下げられていた。


この者は影川の手先。アライさんを殺し影川から金を貰った罪で天誅を下した。

この世を暗黒に引き戻そうと画策する影川に死を。

首を吊られた死体に、そう書かれた看板が下げられている。

身体にはおびただしい程の暴行の後が残され、右目の眼球が零れ落ちていた。

露出した下半身から血の混じった糞便が垂れ流され、吐き気を催す臭気を周囲に発していた。

ハンターの惨殺死体。それは今の日本では鳩の死骸よりは見る機会の多いものである。

「影川に天罰を!」

「影川に死を!!」

「影川こそ、この世全ての害悪である!!」

「影川の一族郎党皆殺しにせよ!!」

「影川に関わったもの全ての首を撥ねよ!!」

「臓物を引きずり出し頚椎を踏み潰し豚のように切り刻め!!」

「煮えた油に突き落とし、焼けた鉄板の上で土下座させ、生まれてきた事を後悔させながら殺せ!!」

「影川に死を!!」

「影川に死を!!」

死体を取り囲む集団が各々叫びながら死体に石を投げ付けている。

声を張り上げ、声を裏返し、声を枯らし、それでも尚叫び続けている。

二人はその様子を、車の中から双眼鏡で覗いていた。それほど離れていても、叫び声は彼らの耳まで届いてくる。

男「誰が影川の手先だ」

男「あんなクソ野朗から金貰う位なら死んだ方がマシだ」

男「クソアラ信どもが…あいつらがああいう事をしてっからアライさん被害は一向に収まらねぇんだよ…!」

飼い主「そうですね」

飼い主「男さんも、気をつけてくださいね」

飼い主「わたし達の敵は、アライさんだけじゃないみたいですから」

男「あぁ。君も気を付けろよ。その………」

飼い主「気を付けますよ。男さんと、パスカルがわたしの事を気にかけてくれてますから」

大型犬「ワンッ」

男「そうか」

飼い主「………」

男「…あー、ところで、いつまで見てるのかな?」

飼い主「もうちょっとだけ見てていいですか?」

男「えぇ…あんなの気分悪くなるだけだろ」

飼い主「でも、受け止めなきゃいけない事のような気がするんです」

そこから飼い主は、男の体感時間で少なくとも5分以上はアラ信による処刑を見守っていた。

飼い主「バットか、何かで…顔と、腹を集中して殴って…」ボソッ

イヤホンで耳を塞いでいた男に、そう呟いた言葉は聞こえなかった。




男を別れた飼い主は、愛犬パスカルと共に舗装された道を歩く。

やがて一人と一匹の前に大きな門が目の前に立ち塞がった。

飼い主はポケットから鍵を取り出し、目の前の鍵穴に差し込み、回し、門を開ける。

重い金属がこすれる音、金属がぶつかる音、そして再び鍵が閉まる音が辺りの空気を震わせた。

門の中も、舗装された道が続いている。

飼い主は、愛犬パスカルと共に舗装された道を歩く。

広い空間に、一人と一匹。それ以外は誰もいない、はずだった。

パスカルがうなり声を上げた。まるで近くにアライさんを見つけた時のように。

飼い主は目の前の、焼け跡が目立つ建物から目を逸らし、道の外れにあるカゴを見た。

そのカゴの中には辺り一面に散らばる食べカスと、灰色と青がかった紫で構成された汚物の影。

アライさんC「おまえー!アライさんをここから出すのだー!!」

アライさんが中にいた。

カゴ罠に見事にひっかかり捕まっているアライさんはきちがいのように目を吊り上げ、飼い主を怒鳴りつけた。

アライさんC「アライさんはなぁ!フレンズなんだぞぉ!!ヒトの友達なんだぞぉ!!」

アライさんC「ヒトはみんなフレンズにメロメロなんだぞぉ!!だから早くアライさんを出すのだ!そして傅くのだぁ~!!」コスリコスリコスコスコスコスコスコスコスコス

それを見た飼い主の顔が笑顔になった。まるで道の横をふと見たときに、ちょこんと生えた四葉のクローバーを見つけた時のように。

笑顔を保ったまま、歩く速度をやや上げて、飼い主は建物の中に入っていく。

アライさんC「おまえ!どこに行くのだ!?アライさんをほおっておく気なのか!?」

アライさんC「アライさんを助けないと教授がお前を許さないのだ!!」

アライさんC「アライさんは尊い命なんだぞぉ!!宇宙船地球号の船員なんだぞぉ!!」

アライさんC「動物愛護法違反なんだぞぉ!鳥獣保護法違反なんだぞぉ!狩猟法違反なんだぞぉ!!」

アライさんC「お前は犯罪者なんだぞぉ!ガイジなんだぞぉ!!ガイジガイジ!影川!!ガイジ!!!影川!!!ガイジ!きちがい!!犯罪者!!影川!!!」

アライさんC「おまわりさーーーーーん!がいじがあああああああ!!!!はんざいしゃがここにいるっのだあああああああああああああああ!!!」

どこかで覚えてきたであろう言葉を並べて騒ぎ立てているアライさんに応えるため、飼い主は再び庭に出てきた。

その手には警棒型のスタンガンが握られていた。そのスタンガンをカゴの中に突き刺し、電流を流す。

アライさんC「びびじぃっ!?」ビリビリビリビリ

アライさんC「」ビクンッビクンッ

短めのゴキガイジムーブのような動きを取った後、アライさんは白目を剥いて動かなくなった。

二・三度スタンガンから電流を流す。その度にアライさんは痙攣を起こすが動く様子は無い。

だが、死んではいない。フレンズ、そして何より害獣としての生命力があるのだ。アライさんがこの程度で死ぬはずがない。

飼い主はカゴ罠の鍵を外し、片手で拳銃を構えながらカゴ罠を開ける。

銃口を至近距離に近づけたまま、アライさんの毒々しい縞模様の尻尾を掴んだ。

尻尾で吊り下げられている形になり、アライさんの身体が真っ逆さまに、宙ぶらりんになる。

起きる気配が無い事を確認して、飼い主は微笑んだ。

そのままアライさんを前後左右にぶらぶらと揺らして遊びながら、建物の中に入って行った。




アライさんC「はっ!!」パチッ

アライさんCが目を覚ますと、そこはコンクリートの壁で覆われた無機質な空間だった。

アライさんC「ここはどこなのだ」

アライさんは周囲を見渡す。今までで見た事がない異様な光景に身構える。

本当に異常なのは自分の身体にある事に気付いたのはその瞬間だった。

アライさんC「のあ?」キョトン

アライさんC「のあぁ!?」

アライさんC「アライさんの手と足が動かないのだ!!」

腕と脚が動かない。力を入れることができない。

手足の代わりに体に四本の重りを付けられたに等しいアライさんは戸惑いながらももう一つ、自身にとって大きな発見をする。

アライさんC「でも尻尾はうごくのだぁ!!」フリフリ

だからどうした。

飼い主「あ、起きた」ヒョコ

アライさんC「おまえー!アライさんのからだに何をしたのだ!?」

飼い主「切ったんだよ。腕と足を。アライさんの両手両脚はもう一生動かないよ」

アライさんC「切ったぁ!?嘘なのだ!アライさんの手も足もちゃんと生えてるのだ!!」

飼い主「そりゃそうだよ。残るように切ったんだから」

飼い主はアライさんが気絶している間に両腕両脚の腱を切っていた。

アライさんの反撃と逃亡を防ぐ為

アライさんのフレンズとしての能力、自己回復能力を防ぐ為

そして

この作品は、一見五体満足に見えなければ意味がないからだ。

アライさんC「お前の言ってる事がわからないのだ!切ったらくっついてるはずがないのだ!」

アライさんC「お前は馬鹿なのだ!やっぱりガイジなのだ!!アライさんの方が格上なのだ!!」

アライさんC「アライさんはなぁ!アライさんなんだぞぉ!ガイジよりよっっっっっっっっぽど偉いんだぞぉ!!!」

飼い主「ぎゃあぎゃあうるさいなぁ。もうそんなもんどうでもよくなるんだよ」ガシッ

飼い主「どうせここで死ぬんだから」

カラン、ジャリジャリジャリジャリ

部屋に入ってきた飼い主の手には、金属バットが握られていた。

力を込め振りぬいた金属バットはアライさんの顔に直撃する。

アライさんC「ぎび!!」ガォオン

アライさんC「痛いのだぁ!」

飼い主「痛いだろぉ」

飼い主「もっと痛がっていいんだよ。最期くらいめいいっぱい騒いでいいんだよ」

飼い主「騒がなくても、殺すけどね!!」ブン

アライさんC「ごげ!!」ゴォン

アライさんC「わ、わがったのだぁ…アライさんは、おまえの友達になってやるのだ!」

飼い主「…え?友達?」ヒクッ

アライさんC「アライさんはなぁ!フレンズなんだぞぉ!友達になればおまえも人生勝ち組なんだぞぉ!!」

アライさんC「馬鹿なお前にはこんなチャンスはもう二度と無いのだ!友達になるなら今なのだ!!!」

飼い主「はっ!人生勝ち組!?そんなわけないじゃん」

飼い主「ゴミみたいな命がいくつくっ付いたってね、ゴミはゴミでしかないんだよ」

飼い主「だから友達なんてね」

飼い主「友達なんてね、いらないんだよ」スウッ

飼い主「ただ、死んでくれればいい!!」ブン

アライさんC「ぶっち!!」ゴォン!

アライさんC「びぃいいい!!わがっだ!わがっだのだ!おまえはアライさんと交尾していいのだぁ!!」

飼い主「え」ピキ

アライさんC「フレンズのアライさんと交尾できるのは凄い事なんだぞぉ!!」

飼い主「………」

アライさんC「ほ、ほら!アライさんのしっぽのダンスなのだ!!特別にただで見せてやるのだ!」

アライさんC「おしーりふーりふーりしっぽーのだーんすー♪」フリフリフリフリ

アライさんC「ずぼってどびゅってアーライーさんー♪なのだぁ!!」ヘコヘコキューン☆

飼い主「………」カツカツ

アライさんC「お!その気になったのだ!?ほら、濡らしてやるからさっさとずっぽしぱんぱんどっぴゅんこっていくのだ!!」チョロッチョロッヘコヘコ

少しでも膣を濡らそうと尿を出し、腰を前後左右に揺らして誘うアライさんに近付き


その股間を爪先で蹴り上げた。

アライさんC「ぎびじい゙い゙いいいーーーーっ!?!?!?!?!」ビグンビグン

アライさんC「お゙ーーーー!!ぼぉおおおおおーーーー!!!!おぉおおおおおーーーーーーー!!!!」ビクンビクンビクンガクガクガク

悶絶して身体をごろごろと転がしながら、膀胱の中身を辺りに撒き散らす。

アンモニアと血液の赤が混ざった汚水が部屋を汚していく。

飼い主「わたしさ、死んでくれればいいって言ったよね」

飼い主「叫んでもいいとは言ったよね」

飼い主「でもそれ以外の事を、誰がやってくれって言った?」

アライさんC「おっおまえ、ホモなのか!?」

飼い主「あ?」

アライさんC「アライさんのマンコは人気者なのだ!オスが群れなしてアライさんを巡って喧嘩もするのだ!!」

アライさんC「メスのフレンズにだってメロメロなのだ。マンコしゅっしゅして気持ちいいのだ!!」

アライさんC「でもお前はアライさんと交尾しないのだ!ホモなのだ!ガイジなのだ!!」

飼い主は

にっこりと笑ながら金属バットを両手で持ち

筋肉を引き絞るかのように頭の後ろまで手を持っていく。

そして思い切り振り下ろした。

アライさんC「ぶじぇぇ!?」ガゴォン!!

金属バットの先端が、アライさんCの口の中に捻じ込まれた

アライさんC「ぶぷっぺっ!」コンコンッ

アライさんCが口から何かを吐き出し、コンクリートの上に黄ばんだ何かが転がる。

黒い穴も見えるそれは、アライさんCの歯だ。今の金属バットの一撃で何本か折れたようだ。

アライさんC「は、はば、おれびゃのだぁ…!」

ブン

アライさんC「ごび!!」ゴォン!!

またも顔面で金属バットを受けたアライさんの鼻柱がへし折れ、鼻の穴があらぬ方向を向いて変形する。

アライさんC「んぎ…なぼばぁ…がひびがぁ…がひびがはびゃびざむを…ほほふのばぁ…」

何かを喋っているようだが、飼い主には最早理解できない。

ガンガンガンガンガンガンガンガン

ゴビュッ!ボッ!オンッ!ヂッ!ダヅッ!ビュッ!ギ!ビッ!ヂッ!ヌッ!ウッ!オンッ!

意味不明な悲鳴を上げるしかできないナマモノになったアライさんCを何度も何度も金属バットで殴った。

何発、十何発、何十発と殴るが仕留め切れない。

害獣としての生命力、フレンズとしての力が、アライさんCの命を繋ぎとめているのだ。

飼い主「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

アライさんC「」ピクピク

このままでは殺しきれない。次で決めなければ。

荒い息を吐きながら危機感を感じた飼い主は、軽い痙攣以外の動きを見せなくなったアライさんCの頭を掴み、壁側にもたれかからせる。

これでいい。そう飼い主は感じた。

この位置ならば、頭を狙える。飼い主は勝機を感じ取った。

バットを構え、力を込める。

狙いを定める。

引き絞られた力を、放つ。

ブゥン!!

ゴォオオオオオオオン…

放たれたフルスイングは、アライさんCのこめかみに直撃し、その日で一番響く音を出した。

アライさんC「」ビグンッビクンッビクビクビクッガクンッ

アライさんCが痙攣する。腱を切っているから派手に暴れまわらないが、アライさんCなりの全力で痙攣する。

十数秒後、アライさんCの痙攣が止まった。

今のはゴキガイジムーブだったのだろうか。まだ生きているのではないだろうか。

二択の判断が飼い主の頭をよぎる。だがそれをすぐに強引な論理で殴り飛ばした。

どちらでも問題はない。

どうせこの作品は、首を吊らせて完成するのだから。




チュンチュンチュン

アラ信「…うーん。もう朝かぁー」

アライちゃんH「ヒトしゃんおはようなの、だぁ~!!!」ブリブリブリブリブチュチュブッチッパッ

アラ信「おはようアライちゃん!今日も快便だね!健康の証だよ!」ニコニコ

アラ信「ほぉら、うんち拭くからちょっと大人しくしてねぇ」

アライちゃんH「ヒトしゃんのうんちふきふきしゅきなのらぁ!はやくするのらぁ!」ヒクヒクフリフリプップップー

アラ信「はいはい」ウーンクッサーイ

アラ信「ほーらふきふきふきふき」

アラ信「…おまんこもふきふきふきふきふっきふきー」

アライちゃんH「のっのぁっ///あぁっふぅっ///」

アラ信「あららーアライちゃーん。おまたびしょびしょにしちゃってるよぉー?」

アライちゃんH「そっ///それは、ヒトしゃんがくりちゃんしゅっしゅすりゅからぁ////」

アラ信「かーわいいー事いっちゃってぇ~そーんな子には~?」スルスルボロン

アライちゃんH「そ、そんなかわいいアライしゃんにはぁ…?」ドキドキ

アラ信「こーびするのだぁ~!!」

アライちゃんH「あぁ~ん!こーびなのだぁ~!!!///」

●数十分後!●


アラ信「それじゃあ、行ってきます!!」

アライちゃんH「いってらっしゃいなのだー」プップッー

アライちゃんの声と屁の音を背中で聞き、誇らしい気持ちで扉を閉める。

彼は今幸せの海に浸かっている気分だった。

溜まったものを吐き出してスッキリしているのもあるが、彼が今世界が輝かしく見えていた。

特殊な粒子によって突然変異した動物達、フレンズがこの日本にやって来て早数年。

彼女達の魅力で人間は愛に包まれ、悪意を持つ者たちは愛の名の下に散華する定めとなった。

彼は昨日も、愛を以って悪意を持つ者に裁きを下した。

裁きを下せば下すほど、アライちゃんHと愛のある交尾をすればするほど、この世界が浄化されていくのを彼は感じていた。

今、この地球は友人達によって、争いの無い世界、優しい世界へ昇華され始めているのだと。

フレンズという存在を世に知らしめ、この現状を作り出した巽教授には感謝してもしきれない。

彼がいなければこの世界は、今も悪意が渦巻き邪悪なままだったのだから。

もしかしたら教授は神の遣いなのかもしれない。いや、なのかもしれないではない。教授は神の遣いなのだ。

金や欲にまみれた政府や財閥に支配された地球を哀れんだ神が、教授という遣いを地球に送り込んだのだ。

いや、もしかしたら神そのものなのかもしれない。あの姿、毅然とした言葉、その全てが神々しい。

今、この世界は教授という神によって正しい方向に導かれてようとしているのだ。

今、自分が見ている輝かしい世界こそが、神によってもたらされた新世界の入り口なのだ。

彼は、本気でそう信じていた。

この世界の全てを受け入れ、愛と優しさに満ち溢れていく事が、今の人間には必要なのだ。

それを受け入れられない人間はこの世界には不必要なのだ。

愛を、全てを受け入れるのだ。

教授という神の名の下に。

この世界の全てを。

目の前にある

アライさんの死体も。

死体も。

死体。

死体!?!?!?

アライさんC「」ブラーンブラーン

アラ信「あぁああ!!あああああああああああああああああああ!!!!あああああああああああああああああ!!!!」

アラ信は目の前の光景を受け入れられず、絶叫した。

電柱にアライさんCの死体が吊り下げられている。

身体にはおびただしい程の暴行の跡が残され、右目の眼球が零れ落ちていた。

露出した下半身には血の混じった糞便が垂れ流され、吐き気を催す臭気を周囲に発していた。

アライさんの惨殺死体。それは今の日本では鳩の死体よりは見る機会の多いものである。

アラ信「っこれが…!!」

昨日、同じような人間の死体を作り出したアラ信は目の前の光景に震えた。

アライさんCの尻尾はあるべき所から千切り取られていた。

千切られた尻尾は顎を外して無理矢理口の中に突っ込まれており、昨日の人間の死体より凄惨さを増している。

アラ信「これが!!!これがぁ!!!」

アラ信「これが人間のやる事なのかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!!」

その衝撃を、愛するべきフレンズの死の悲しみを、その非道に対する怒りを、悪に対しての殺意を、言葉に乗せて叫んだ。

アラ信「また…罪の無いフレンズが死んだ…」

アラ信「全て…全て貴様のせいだ…」

アラ信「許さん…許さんぞ…!」ワナワナワナワナ

アラ信「影川ぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

この世界の、滅ぼすべき悪魔の名を叫びながら、彼は再び決意した。

影川の一族も、関係者も、アラアンチどもも、全て殺す。ナイフで滅多刺しにして殺す。

アライさんやフェネックをはじめとしたあらゆるフレンズが受けた苦痛を、一億倍にしてぶつけてやる。

殺してやる。

殺してやるのだ。

彼は涙を流しながら、決意を新たに仕事場に向かっていった。

愛する友の為に、信仰する神の為に、この世の害悪は全て殺しつくさなければならない。

我々人類はクルセイダーズ。神の命により神罰を執行する地上代行者。

我らの望みはこの世に蔓延る悪魔を、愚者を、一匹残らず殲滅する事。

神の命により

死ぬがいい。愛と平和を信じぬ愚か者どもよ。

旧人類どもよ。

♪つづく♪

●次回予告●

飼い主「わたしです」

飼い主「害獣による被害も種によって様々です」

飼い主「人間が肉体的に受ける被害」

飼い主「農作物や家畜が受ける被害」

飼い主「景観が受ける被害に糞尿による汚染」

飼い主「ではアライさんによる被害はこれの内どれ?」

飼い主「正解は全部。マジヤバイ。次回はそんなお話です」

次回
「わたしとぼくじょーとアライさん」

全部書き終わり次第投下します。

土と石が敷き詰められた道を一台の車が走る。

石の硬さをタイヤが受け止め、熱を帯びたエンジンがホイールを回転させる。

タイヤに弾き飛ばされた石同士がぶつかり擦れ、ざりざりと音を出す。

石に乗り上げ車体を傾かせながらも前へと進んでいく。

そのまま進んでいくと視界の端に看板が見えてきた。遠目から見ても内容が見える、その看板に男は一瞬視界を移す。

地名と矢印が記された案内に従い、ハンドルを切って道を進む。

やがて見えてきたのは白い建物と大きな柵。

車は、街はずれの牧場に到着した。

飼い主「着きました?」

後部座席に座っていた飼い主が身を乗り出し、男の横顔を見る。

心なしか目がきらきらと輝いているような気がすると男は感じた。

男「着いたよ」

飼い主「うし!」ガチャッ

男の返事を聞いて、飼い主は車のドアを開けて外に飛び出した。

飼い主「…わぁっいい景色!!」

大型犬「ワンッ」ガバッ

飼い主「うぁあっ」

助手席で伏せていた大型犬も、先に飛び出した飼い主に続くように車から飛び出した。

リードが付けられていない大型犬は飼い主をあっさりと追い越した。

大型犬「ワンッワンッ!!」ブンブン

飼い主「んふふっ…パスカルー!あまり離れすぎちゃダメだよー!!」

大型犬「ワンワッ…ガフッ!!」

飼い主「パスカル?」

大型犬「ガフッガフッ」

飼い主「パスカル!?パスカル!!」

飼い主「大丈夫…?」

男「多分、あれのせいだな」

男が指差した先の光景を一言で表すならば、おぞましいもの、だった。

地面に染みこんだ血

つい先日まで命だったであろう肉片と骨片

掘り起こされた畑

散乱する土と植物の欠片

そして溜め糞。

都市部から離れ、自然に囲まれた山間部。

水のせせらぎ、伐採されずに残った森、山肌を撫でる風。

石と鉄と油とコンクリートで構成された都会では存在し得ない自然がそこにはあった。

だが、都会に溢れる二酸化炭素の代わりにそれらの悪臭が今、ここの空気を汚染している。

それを自然の一部と捉え受け入れるべきなのか、それとも悪しきものと捉え排除するべきなのか。

少なくとも、ここの主はそれを悪しきものと捉え、彼らを呼び寄せた。

その悪しきものを排除するために、駆除屋、ハンターと呼ばれる二人組は今ここにいる。

飼い主「酷い」

男「ほんとにな。これが全部アライさんの仕業だっていうからなぁ」

男「畑を荒らし、家畜を殺して喰って、牧草を滅茶苦茶にして、溜め糞して帰る」

男「たった一日でここまでできるなんて、こうやって見ると改めて思うよ」

男「アライグマ…アライさんってのが、どれだけやばい奴かって事を」

飼い主「害獣…」

男「あぁ。だからこその害獣。特定有害駆除対象フレンズなんだろうよ」

飼い主「…」

男「…飼い主ちゃん。仕事がうまくいって、ここが元通りになったらまた来ればいい」

飼い主「え?」

男「アライさんを駆除できればまたここも元通りになるんだ」

男「その為にまず、俺達が頑張らなくちゃいけない」

男「だから、その、そんな悲しい顔しないで。な?」

飼い主「わたし、そんなに顔に出してました?」

男「うん。横から見てもはっきりわかるくらいには」

飼い主「やだ…見られてたんですか?ちょっと恥ずかしいです」

男「ご、ごめん。でも、ほんとに悲しそうだったから」

飼い主「こういう所結構好きだから、アライさんに滅茶苦茶にされたのを見ると…ちょっと、ね」

男「だから、俺達が頑張らなきゃいけないんだろ?」

男「アライさんを駆除できれば、ここだって元通りになるさ」

男「そうしたら、また来ようぜ。その、二人で一緒にさ」

飼い主「一緒に?」

男「だ、駄目かな!?」

飼い主「…」

男「」ソワソワ

飼い主「いいですね!」ニコッ

飼い主「じゃあ約束ですよ。ここが元通りになったら、また一緒に来ましょう」

男「…!!」

飼い主「よし!気合入ってきた!」グッ

飼い主「アライさん駆除頑張りましょうね。男さん!!」

男「お、おう」

飼い主「パスカルも、頑張ろうね!」ナデナデ

大型犬「ワォン!」

男(あっさり承諾されたな。もうちょっと抵抗されるかもって覚悟してたのに)

「ガキ二人で何場違いな青春してやがる」

飼い主「ん」

オヤジ「こんなんで本当に仕事になるのかよ?」

男(何だこのオッサン)

飼い主「仕事にするんです。わたし達三人で」

飼い主「えっと、オヤジさんでしたよね?今日は宜しくお願い致します」スッ

オヤジ「あぁ」ムニ

男「!?」

飼い主「…」

オヤジ「一丁前にサラシなんて巻いてやがるのか」サスサス

飼い主「っ…はい。何も巻いてないよりかは身を守れるかと思いまして」

飼い主「でもこれはアライさんからの攻撃への備えです。だからあまり触られたくないんですけど」

オヤジ「じゃあその小奇麗な顔も全部隠しちまえ。そそられちまうから」

飼い主「じゃあ今度からガスマスク用意します?溜め糞の匂いも防げるかもしれませんし」

オヤジ「生意気なガキだ」

飼い主「…ごめんなさい。でも、ほんとに止めましょう?依頼主さんも不安になりますし」

飼い主「それに仲悪くしててアライさんに足元掬われました、なんてわたし嫌ですよ」

オヤジ「…それもそうだな。じゃあ」

オヤジ「仲良くしようじゃねぇか。飼い主ちゃん」モミ

飼い主「ふっ」ビクン

男「おい!」グイ

オヤジ「おぉっと」

大型犬「グウウウウ…ガウッ!!」

男「大丈夫か?」

飼い主「はいっ。大丈夫です」

男「本当に何なんだよお前」

オヤジ「スキンシップだよスキンシップ。仲良くしようぜ、お互いさ」ヘラヘラ

男「スキンシップ?俺にはセクハラオヤジの言い訳にしか聞こえねぇよ」

オヤジ「言うじゃねぇか。新米の癖に」

男「空気の読めないベテラン気取りってのが大嫌いでな」

オヤジ「ほー、そうかいそうかい」

飼い主「…」

牧場主「…あのー、ちょっとよろしいですか?」

飼い主「はいィッ!!!!!!!!!!」

オヤジ「」ビクッ

男「」ビクッ

牧場主「」ビクッ

飼い主「あっ…もしかしてこちらの牧場主…えぇと依頼主さんですかぁ!?」

牧場主「は…はい。そうです」

飼い主「あっ…えぇと、わたし達が今回依頼を受けて伺いましたハンターです!本じち、本日は宜しくお願いしまちゅ!!」

オヤジ(あ、噛んだ)

牧場主「いえいえ、こちらこそ。宜しくお願い致します」

牧場主「…それにしても、元気ですね」

飼い主「はい!体力勝負の仕事ですから!!バーシバシいきますよ!!!」

牧場主「ははは…では、ここで立ち話というのも何ですから。中にどうぞ」

飼い主「はい!お邪魔させていただきます!!」

飼い主「…」クルッ

飼い主「男さん、オヤジさん。行きましょう」

男「え」

飼い主「いいから!行きましょう!いいから!お仕事ですよお仕事!!」グイグイ

「「お、おう」」



牧場主「数日前にアライさんの群れがこの近辺の森に移住したらしく」

牧場主「この牧場は大きな損害を受けました」

オヤジ「それが、外のあのザマって事か」

牧場主「はい。作物は荒らされ、家畜も殺され、溜め糞を残して土壌までやられてしまいました」

男「それで、すぐに依頼を出されたわけですね。今日も襲撃に来るだろうと予想して」

牧場主「昨日の襲撃で生き残れた家畜も、今日の夜生き残れるかどうか」

男「それだけじゃない。このまま野放しにしていたらここに来る人達まで襲われかねない」

牧場主「はい…牧場体験の授業で来られる小学生も来る所なので」

男はハンターになる前に見たニュース記事を思い返していた。

街中でアライちゃんに襲われ、顔を目に大きな傷を負った女の子のニュース。

アライちゃんの中でも比較的大きい部類だった事も悲劇の原因であるが、

今このコロニーを放置すればあのニュースの再現を何度も何度も繰り返す事になるだろう。

観光牧場としての役割も兼ね備えたこの牧場に来る児童を、殺して喰らうアライさんが出る事は想像に難くない。

しかも子供はアライさんに対しての警戒心が薄い。テレビで見たフレンズと同じだと勘違いしてしまっているからだ。

アライさんの所業はテレビでも報道されているが、自分が負っていない痛みを理解するには子供達は幼すぎる。

アライさんはそれを利用し、近付き、殺すか一生消えない傷を負わせる。

アライさんならやりかねない。奴らにとって他人の命は自分が利用する為だけに存在しているようなものだからだ。

飼い主「それは…このままだと危ないですね」

飼い主「でもまずはここの農作物や家畜を守る事。コロニーの排除はそれからですよね?」

オヤジ「何言ってやがる」

飼い主「え?」

オヤジ「畑や家畜を守るっつーけどよ、アライさん達は皆殺しにしても構わないんだろ?」

オヤジ「だったら来る奴全部皆殺しにしてやりゃいいってだけだ」パンッ

オヤジ「増援なんざ待つ必要もねぇ。全部ブッ殺しちまえばいい」

オヤジ「一匹たりとも逃がさず殺しちまえば、いちいちコロニー排除に出向く必要もねぇ。違うか?」

男「…まぁ、確かに」

オヤジ「俺達はハンターだ。アライさんを殺すのが仕事だ」

オヤジ「数がどうとかは関係無ぇしあんなゴミパンダごときに遅れを取るわけがねぇ」

オヤジ「目に入った奴全部ブッ殺すだけよ」

オヤジ「その辺は、あんたもわかっているよな?」

オヤジ「たまにいるんだよなぁ。『殺す必要は無い、逃がしてやればいい』とか言う頭キラキラな奴が」

牧場主「はい。わかっています」

牧場主「貴方方に依頼したのは害獣の駆除です。アライさんが死ぬという事は、わかっているつもりです」

オヤジ「ならいい」ガタッ

オヤジ「よし行くぞお前ら!まずは罠の設置だ!昼間の内に終わらせるぞ!」

飼い主「はい!」



オヤジ「…よし」

オヤジ「罠の設置はこんなもんか。おい!そっちはできてんのか!?」

男「何なんだあのオヤジ…リーダー気取りやがって」ブツブツ

飼い主「はーい!できてまーす!!」

男「あの子もあの子!何で受け入れられんだよ…!」

大型犬「ガウウウウ…」

男「パスカルもそう思うか?そうだよなぁ…何だかなぁ…」

飼い主「オヤジさん凄いですね。これだけの罠を持って来て、それをこんなに綺麗に設置できるなんて」

オヤジ「あのハエガイジどもを一匹も逃がさずにブッ殺すってなったらこれくらいはしとかねぇとな」

飼い主「今度罠の使い方教えてくれませんか?」

飼い主「わたしどっちかっていうと銃専門だったから罠のちゃんとした使い方も知っておきたいんです」

オヤジ「あぁいいぜ」ニタッ

オヤジ「何なら、一緒にこっちの方も教えてやるか?」スッ

伸びてきたオヤジの手より先回りして飼い主の手が自分の股間を隠すように押さえた。

オヤジの手が飼い主の手の甲にぶつかり、オヤジが手を引っ込めた。

飼い主「…そこは、やめてください」

オヤジ「前は嫌か。なら後ろの方が好みか?」

男「おいアンタいい加減にしろよ!」

オヤジ「何だよ、教えてくれって言ったのはコイツだぞ」

男「それで誰がセクハラしていいっつった」

オヤジ「つーか何でお前が怒るんだよ。コイツお前の女か?」

男「な」

オヤジ「そうかそうかぁ。少なくとも片思いだな」ニヤニヤ

オヤジ「そういうの程、ヤりがいがあって燃えるんだよ俺は」

男「野朗…」

牧場主「あの、みなさん」

牧場主「よろしかったらお昼はいかがですか?」

飼い主「お昼っ!お昼ご飯ですかぁ!?」キラキラ

牧場主「はい。勝手ですが用意させて頂きました」

飼い主「やったぁ!!」

飼い主「あっ。牧場主さん、その料理って…?」

牧場主「安心してください。アライさんの襲撃前に収穫して保管できていたもので作りましたよ」

飼い主「わぁ!それは楽しみです!!ちょうどキリのいいとこまでできたんですぐ行きますぅ!!」キラキラキラキラ

飼い主「行きましょ!早く行きましょう!?牧場産のご飯ですよ!?」

オヤジ「…」

男「…」

「「へっ!!」」プイ

飼い主「えぇ~…」

男「…あれ?」

飼い主「どうしました?早く行きましょうよー」

男「おい…あれ、見てみなよ」クイクイ

オヤジ「はあ?」

オヤジ「…」

オヤジ「…おいおい。マジかよ」

アライさんD「ふははははー!!」コスリコスリ

風の清らかな音が響く牧場に、不協和音が響き渡る。草原の緑の中に、腫瘍のような違和感を醸し出す青紫が蠢いている。

アライさんDが、単身で牧場に忍び込んでいた。

アライさんD「聡明なアライさんは裏をかくのだ!」

アライさんD「ヒトも他のアライさんもまさかこのタイミングでアライさんが来るとは思っていないのだ!」

アライさんD「アライさんが来るのは夜!そう思わせておいて今のうちにアライさんが支配するのだ!!」

アライさんD「夜になるまでにはこのぼくじょーちほーはアライさんの王国になるのだー!ふはははははー!!!」コスコスコスコスコスコスコス

基本アライグマ、アライさんは夜行性だ。ハンター達もそれを想定し、夜の襲撃に備えて今も準備を進めていた。

静まり返った夜、暗闇の中、群れで襲撃を行うのがアライさんの習性だ。

だが、それでは奪った作物も殺した家畜の肉も、満足いくほど手に入らない。

群れであるが故に分け合なければいけない。実際には平等に分け合うわけではないが、独り占めというわけにはいかない。

それが、アライさんDには不満だった。全てを自分のものにしたい。

それは全てのアライさんに共通した価値観であるが、アライさんDはその意志が一際強かった。

他のアライさんが寝ていたり、子供の世話をしている間に一人で牧場に忍び込み。全てを奪って去る。それがアライさんDの計画だ。

アライさん達が来た頃には、全て無くなっているのだ。アライさん達が悔しがる顔がアライさんDの目に浮かぶ。

その妄想を何度も何度も脳内で再生する事でアライさんDの気分は昂ぶっていく。

アライさんD「ふーんふーんふふーんアライさんー♪」フリフリ

昂ぶった気分を表現するかのように、即興で作った歌を歌い始めた。

アライさんD「天才聡明アライさんー♪ガーイジどもをなぎ倒しー♪」

アライさんD「天下無双のジャパリメーン♪」

アライさんD「その名もー♪その名もその名もその名もー♪」

      「ゴーーーミーーーガーーーイーーージーーーー♪」
アライさんD「あーーーらーーーいーーーさーーーんーーーー♪」

アライさんD「…のだ?」

オヤジ「よう」

突然乱入してきたデュエット相手がアルカイックスマイルを浮かべながら拳を握り締めた。

アライさんD「」

オヤジ「ふん!!」

アライさんD「きらっ!!」ブシャァッ

オヤジの正拳突きがアライさんDの顔面に叩き込まれた。

身長差もあり微妙に上から叩き込まれた、鍛えられた拳はアライさんの鼻を横に押し込み、鼻柱を折った。

アライさんD「んごご…あらいさんの…アライさんの鼻がぁ~~~!!!」

アライさんD「何でなのだぁ!アライさんの策は完璧なのだ!お前ごときが破れるはずがないのだぁ!」

アライさんD「チートなのだ!チートなのだ!チートなのだぁ!」

オヤジ「チートなわけねぇだろ」

オヤジ「そのババアの服みてえな毛皮、昼間じゃ目立つってわかんねぇのかよ」

オヤジ「遠目から見てもバレバレだったぞ。緑の中にきったねぇ紫が動いてんの」

アライさんD「うぬー!!アライさんは汚くないのだぁ!!お前こそ汚いのだぁ!!」

オヤジ「汚ねぇよ。汚い上にアホだ」

アライさんD「汚くもアホでもないのだぁ!!自己紹介はそこまでにしておくのだぁ!!このアホめぇ~~~!!!」クアァ!

アライさんDが歯と爪を剥き出しにして臨戦態勢を取る。

飼い主「アホだよ」バチィッ

その後ろから飼い主がスタンガンを首筋に押し付け、電流を流した。

アライさんD「あぼっ!?」

アライさんD「」ビクッビクンビクン

アライさんDは草原に倒れこみ、僅かに痙攣して動かなくなった。

その隙に飼い主は手に持った縄でアライさんをぐるぐると縛っていく。

オヤジ「やるね」

飼い主「オヤジさんが注意を引き付けてくれてましたから」グルグルグルグル

飼い主「これの処理はご飯食べてからでいいですか?」ギュッギュッ

縄をきつく結んだ後、飼い主はよしと一言呟いてから立ち上がる。

オヤジ「いっそコイツも料理してやればいいんじゃねぇか」

飼い主「嫌ですよ。調理してる間に牧場主さんが用意してくれた料理が冷めちゃうじゃないですか」

オヤジ「あはははは」

アライさんD「はっ!?」ビクッ

オヤジ「うお、もう起きたのか」

飼い主「縛るのが間に合ってよかったですね」

アライさんD「うぬぬー!?何だこれはぁ!?これをほどくのだぁ!!!」

アライさんD「そうしたらアライさんの源氏の爪でズッタズタのめっちょめちょにしてやるのだ!!!」

飼い主「わぁ、それは怖いね」

アライさんD「そうなんだぞぉ!天下無双のアライさんはすっごく怖いんだぞぉ!!」

アライさんD「これをほどいて謝るなら今のうちなのだぁ!そうすれば慈母のようなアライさんはお前達を一ひっかきで許してやるのだ!!」

飼い主「やだよそんなの」

アライさんD「うぬぬぬぬ…だったらアライさんは自力で脱出してやるのだ!こんな縄、アライさんにかかれば…かかればぁ…」

アライさんD「ふんっふんっふんん!!ぬぐぐぐぐぐぅー!!!」

飼い主「…」

オヤジ「…」

アライさんD「お、お前達が油断してる隙にアライさんの爪で縄を切って脱出してやるのだ!!」

アライさんD「真っ先にお前の顔をズタズタにしてブサイクにしてやるのだ!覚悟するのだぁー!!」

飼い主「嫌だって言ってるじゃん」グイ

アライさんD「おぉ?」

飼い主「だから」

飼い主「その爪使えなくするね」

ばき、と音が鳴った気がした。オヤジの目の前で何かが折れた音がした気がした。

飼い主は、今オヤジの目の前でアライさんDの手と指を両手で掴み

その指を、チューペットアイスを折るように、一本へし折った。

アライさんD「お」

アライさんD「おんげええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!?!」

アライさんDの指を、一本一本丁寧に、あらぬ方向にへし折っていく。

へし折るごとに、アライさんDが悲鳴を上げる。

アライさんD「お…おぁあ…アライさんの…お手てがぁ…」

後ろ手に縛られてアライさんDからは見えないが、アライさんDの右手の指の全てがあらぬ方向を向いていた。

紫に変色する指、骨が飛び出した指。素人目から見てももう使い物にならないとわかる骨折の仕方だ。

アライさんDの頭を片手で掴み、もう片手でナイフを掴む。

飼い主「依頼主さんがびっくりするからちょっと黙ってろ」ザクッ

アライさんD「おっ!?」

アライさんDの首にナイフの切っ先を突き刺し、僅かに横に滑らせて引き抜く。

アライさんD「は…はひゅ~?ひゅっひゅ~?」

飼い主のナイフはアライさんDの声帯の一部を切っていた。

これでもう二度と、アライさんDはやかましい大声を出す事はできない。

もう片手の指を全部へし折った後、近くのカゴ罠の中にアライさんDをぶち込む。

アライさんD「ひゅ~…あらいひゅ~…だひゅ~…」

飼い主「よし。これで大丈夫」

飼い主「オヤジさん。ご飯に行きましょう」

オヤジ「お、おう…顔に似合わずすげえ事するな」

飼い主「顔は関係ありません!」

飼い主「わたしだってハンターですから」ニコッ

急用が入ったのでまた後で書きます



男「」モグモグ

オヤジ「」モグモグ

飼い主「♪」モグモグ

飼い主「あぁ美味しい…♪特に、この、たまねぎ…♪噛んだ時のシャキシャキ感とざっと広がる味がぁ…」ホワァー

テレビ「…次のニュースです」

テレビ「昨日、人気アイドルユニットPPP(ペパプ)のメンバーの一人、フンボルトペンギンのフレンズのフルルさんと」

テレビ「フンボルトペンギンのワイン君の初めての結婚記念日を迎え、PPPメンバーや著名人、ファンが集まりパーティライブが開かれました」

オヤジ「PPPか…フルルも何か、人妻になってからエロくなったよなぁ」

男「人妻じゃなくてペンギン妻だけどな」

オヤジ「見ろよ。あんな可愛い顔して、やる事やってんだぜ?どう思うよ飼い主ちゃん」

飼い主「ふ、夫婦ならそういう事もすると思います…夫婦ですし」

オヤジ「アイドルがペンギンと毎日子作りセックスだぜ?」

飼い主「アライさんだってアライグマとセエッチして子供産んでるじゃないですか。フレンズならそういう事もします」

オヤジ「お?今何て言おうとした?セ?セ?」

飼い主「エッチ!エッチですよ!もう!」

男「だからいい加減にしろよセクハラオヤジ。お前の性欲アライさんかよ」

オヤジ「あぁそうだ。飼い主ちゃんは何かのフレンズなのか?」

飼い主「え?」

オヤジ「そこらのサーバル喫茶のサーバルよりよっぽど美人だと思うぜ飼い主ちゃんは」

男「セクハラから口説き落とすのにシフトしたのかエロジジイ」

オヤジ「ジジイだとふざけんじゃねぇよお前!?ダンディなおじさまだろぉ!?」

飼い主「おじさま、ありがとうございます。でもわたしは、ヒトですよ」

飼い主「お母さんも、お父さんも、普通のヒトです」

飼い主「アライさん…達に、殺されましたけど」

その一言で空気が変わった。話を振り出したオヤジでさえも、言葉に詰まった。

飼い主は食器の奥、何も無い空間を見据えながら自分の心を告白していく。

飼い主「お父さんも、お母さんも、いい人でした。少なくともわたしにとっては」

飼い主「だから、わたしはお父さんとお母さんを殺した奴らを殺したいんです」

飼い主「その為に、ハンターになりました」

そこまで言い切ると、飼い主は料理を一気に口の中に入れて飲み込む。

箸が進んでいない二人を置き去りにして、皿の中を綺麗に食べつくした。

目の前で両手を合わせた後、飼い主は席から立った。

飼い主「すみません。先に行ってますね。さっきカゴ罠に入れたアライさんが気になるので」

男「あ…うん」

飼い主がいなくなった部屋の中、料理を食べ終わるまで二人の鼓膜を揺らしていたのはテレビから聞こえる音声だけだった。

テレビ「まるで映画のような運命的な出会い」

テレビ「そして影川財閥というあまりにも大きな障害」

テレビ「卑劣な妨害を受けながらもジャパリパークから大脱出を果たし、結ばれた二人」

テレビ「これからも、末永い幸せが、二人にあり続ける事を祈っています」

テレビに映るアナウンサーがそう言い終わった直後、屋外で銃声が響き渡った。

悲鳴は聞こえない。やかましい大声も、絹を裂くような悲鳴も。

今頃ゴキガイジムーブを晒しているのだろう。そう思いながら男は料理を口に入れた。

♪Aパートおわり♪
♪後半へつづく♪

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