島原エレナの『楽しい』のこと (13)

独自解釈&捏造設定です。

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エレナ「ふふんっ」

思いきり走るのって気持ちいいネっ! 足元のボールと一緒に走ってるみたい!

海美「今度こそ抜かせないよ! えれなん!」

奈緒「ここは通行止めやで!」

前をウミとナオが塞ぐ。 いくら何でも二人相手に強引にドリブルするのは無理、けど大丈夫 サッカーは一人でやるんじゃないんだからっ!

エレナ「ミズキっ!」

瑞希「受けとりました。 島原さん」

興奮して突っ込んできたウミの足元を抜いて逆サイドのミズキにパス。 ワタシに夢中になっててミズキは完全にフリー

海美「あーーーっ! さよちんお願ーい!」

紗代子「止めるよ!」

ミズキがキーパーのサヨコと1対1 サヨコは反射神経はいいし、落ち着いてボールを待てる、けど……

瑞希「行きます。 瑞希のすーぱーしゅーと」

思いきり足を振り上げるミズキ。 サヨコはじっと見つめてシュートコースを予測してる。

ミズキの足は勢いよくボールを蹴る…… 直前にスピードを落として、ボールをそっと蹴って、ボールが宙に浮く。

ループシュート 難しいテクニックなのに教えたら出来ちゃうなんてミズキはスゴいネ!

予測を外したサヨコは動きが鈍って、ボールを追いかけきれずに……

瑞希「ゴール…… ぶい」

海美「すっごーい! 今のどうやってやったのみずきん!」

瑞希「島原さんから教わりました」

エレナ「本番で成功させるミズキがスゴいヨっ!」

瑞希「いえ、それほどでも…… てれっ」

奈緒「も~ エレナチーム強すぎやで、奈緒ちゃんチームボロ負けやん」

エレナ「みんなのお陰だヨー」

奈緒「そっちの美也なんてさっきアクビしとったで~」

美也「あったかくて、つい~」

紬「欠伸…… 私たちのチームが弱すぎて相手にならないということでしょうか……」

美奈子「試合終わったしご飯タイムだね! 沢山作ってきたから食べて食べて!」

エレナ「ふふっ♪」

みんなとサッカー、楽しいナっ♪

海美「えれなんほんとサッカー上手いね~ 一回もボール取れなかったよ~」

エレナ「ウミも上手かったヨ~ ボール取られちゃうかと思ったもん」

海美「そうなの~?」

エレナ「だけど、取られちゃう前にパスしたからね、サッカーはみんなでやるスポーツなんだヨ?」

海美「へぇ~…… えれなんってもしかして昔プロのサッカー選手とか目指してたりした?」

エレナ「あ~……」

昔、か……

エレナ「日本に来たくらいの頃はサッカー大好きで、ずっとやっていたかったけど、中学生のころに、ね……?」

海美「何々? 何かあったの?」

中学生の時はね、サッカー部に入ってたんだよ。

それまでサッカーは好きだったけど本格的に上手くなろうって思ったことは無かったの。

だから一生懸命みんなと練習して、少しずつ上手くなっていくのは楽しかった。

そして、ワタシはどんどん上手くなって、3年生になったらキャプテンを任せられるようになってたんだよ。

その時からかな、サッカーがつまらなくなったの。

ワタシ達のチームの戦い方は、とにかくワタシにボールを回してワタシがドリブルで全員抜いてシュートするようなものになってね。

圧倒的なエース一人を頼った、超ワンマン戦術。 それだけでワタシ達のチームは戦っていたの。

もちろんワタシだけが戦っている訳じゃないのはわかってるよ。 みんな一生懸命ボールを取って、ワタシにボールを繋いでくれた。

勝つために、ワタシ達のチームが一番強い戦い方、それがワタシだけにボールを回す戦い方だったの。

みんなは本気で勝ちたがってたから、ワタシもそれを受け入れたけど…… ワタシはそのやり方がとてもつまらなかった。

サッカーは誰か一人が主役になるんじゃなくて、フィールドに居るみんなで戦うスポーツだと思ってたから。

ワタシの横には誰も居なくて、ワタシは一人きりで相手と戦わなくちゃいけなかったんだよ。

それでも頑張った。 みんながワタシに期待してくれたから、ワタシは勝たなくちゃいけないんだって……

そして、ワタシ達は負けた。 次勝てば大きな大会に出られる 大事な試合で。

相手のチームはワタシ達の戦い方を完全に研究してて、ワタシひとりで抜くことは無理だった。

だからワタシは後半、みんなにボールを回すように戦い方を変えてみた…… だけど

今までずっと攻めをワタシひとりに頼ってたからなのかな、みんなのボールは1度もゴールを揺らすことはなかった。

試合が終わって、思ったの。 みんなはこんなサッカーで楽しかったのかなって。

他のみんながどれだけテクニックを磨いてチームに貢献しても、結局誉められるのは最後に得点を取ったワタシだけだった。

チームのみんなはとっても仲良しで、最後の試合で活躍出来なかったワタシを責めることもしなかったけど、だからこそ辛かった。

大好きなみんなともっと一緒にサッカーを楽しみたかった。 ワタシだけが注目されるようなサッカーなんてしたくなかった……


エレナ「結局、そこからサッカーをやるのも嫌になって、推薦をもらった学校じゃない普通の学校に進んで、今はアイドルになってるんだヨ」

海美「えれなん…… もしかして今日のサッカー……」

エレナ「ううん、今日のサッカーはとっても楽しかったヨっ!」

エレナ「でも、今はアイドルとしてみんなと一緒にステージに立つのが1番楽しいかナ」

エレナ「楽しいだけじゃない、辛い時も苦しい時もあるけど、それでもみんなと一緒だもん」

エレナ「それで、最後は思いっきり笑顔で! 最高のステージ!」

海美「そっか……」

美奈子「海美ちゃーん! エレナちゃーん! ご飯用意出来たよー」

エレナ「ほらっ、ミナコが呼んでるヨっ 行こっ! ウミ!」

海美「うん! 運動してお腹ペコペコだよ~」


おわり

乙だヨー

同等のレベルのエースがいれば違ったんだろうなぁ

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