【艦これ】ローマ「人の艤装に何か用かしら?」【短編】 (43)

清霜「コソコソ」

f○∧○「こら」

清霜「ひっ! ごめんなさい!」

ローマ「人の艤装に何か用かしら?」

清霜「ローマさんのカボチャの砲塔がどうなってるのか気になって...」

ローマ「......。そういうこと。工廠から廃材を貰ってきて」

ローマ「カボチャ型に防護盾を作っただけよ」

ローマ「邪魔だからハロウィン限定だけど」

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清霜「ローマさんって恐そうだけど」

f○∧○「......」

清霜「意外と面白い人なんですね!」

ローマ「たまにこういうの作ってみたくなるだけよ。そういう血筋なの」

清霜「家族に芸術家とかいるんですか?イタリアだけに」

ローマ「叔父が美術学院を出てるわ」

清霜「へー!学院って大学みたいな所ですか?」

ローマ「そうね。まぁ、そんな所よ」

リットリオ「あら、ローマにそんな素敵な叔父様がいたなんて初耳だわ」ヒョコ

f○∧○「!!」

リットリオ「画才のある曽祖父がいる、とは聞いていたけど」

清霜「あれ?姉妹なのに知らない叔父さんがいるんですか?」

ローマ「姉妹と言っても艦としての間柄よ。あなた達もそうでしょう?」

清霜「そう言えばそうか」

清霜「外国人だと皆似て見えちゃうから家族かと思ってました!」

清霜「ひいおじい様も絵が上手だったんですねー」

リットリオ「ひいおじい様の描かれた戦艦の絵が」

リットリオ「今でもローマの実家に飾ってあるらしいわ」

清霜「戦艦!本物を見て描いたのかなぁ」

リットリオ「海の近くの町だから、そうかもしれないわね」

リットリオ「それより私は叔父様の話を聞いてみたいわ」

f○∧○「......」

リットリオ「隠していたあたり、あんまり話したくないのかしら」

ローマ「そういう訳じゃないけど...」

清霜「叔父様は美術家なの?」

ローマ「叔父さんは、ただの靴屋になっちゃったの」

リットリオ「ブーツのデザインなんかを?」

ローマ「no. 町の靴屋のしがない店員よ」

清霜「美術やめちゃったの?」

ローマ「今は趣味で続けている...かも」

リットリオ「無理やり話させちゃってごめんなさいね」

ローマ「んーん。良いの。若い頃は期待されてたんだけどね」

ローマ「叔父さんは母の年の離れた弟で、私とは12才違い」

ローマ「ちょっと大きいお兄さんみたいな感じだったわ」

ローマ「今でも覚えているエピソードがあるの」

ローマ「クリスマスの夜に家族で教会に行って帰って来た後」

ローマ「私の子供部屋が凄い事になってたの。プレゼーピオって分かる?」

清霜「わかんない」

ローマ「クリスマスに用意する飾りで」

ローマ「キリスト誕生のシーンを再現した模型や展示の事よ」

『ローマ 4才』

ローマ「ただいま...」ウトウト

パパ「ローマ疲れただろう。プレゼントは明日あげるから今日はもう寝なさい」

ローマ「うん...。おやすみパパ」テクテク

パパ「」ソワソワ

※ローマはまだ艦娘《ローマ》じゃないけど、以後もローマと表記します

(=_ヾ) ネムネムゥ

   |=ω= )ノ|扉 ガチャ

       ( ゚ Δ ゚ )

             *゚。+ ヾ(*゚∀゚*)ノ +。゚*

ローマ「パパー!ママー!」タッタッタッ

パパ「んー。どうしたローマ」

ローマ「お部屋がたいへんなの!マリアさまがいるの!」

パパ「どれどれ。一緒に見に行ってみようか」

ローマ「見て!」ガチャ

パパ「おー。凄いなこりゃ。部屋を丸ごとプレゼーピオにしたのか」

ローマ「0時になったらイエスさまが生まれるのよ!」

叔父「どうも、義兄さん。なんとか間に合ったよ」

パパ「zio君凄いなキミ。大がかりな模型くらいに思ってたら原寸とは」

パパ「僕たち家族がミサに行ってた3時間だけでこれを?」

叔父「片付けまでちゃんとやるから安心してよ」

パパ「噂には聞いてたけど、まだ高校の美術科に進んだばかりだろう」

叔父「こういうのは子供が小さい内に見せてあげたくて」

叔父「1年経てばローマちゃんもどんどん世間を知っていくでしょう?」

パパ「それはそうだが、これは見応えも相当なレベルだぞ」

ヾ(ロ´∀`マ)ノ キャッキャ

パパ「ローマ、叔父ちゃんにお礼を..」

叔父「義兄さん、今夜はこのまま楽しませてあげよう」

ヽ(ロ´∀`)ノ

パパ「ふむ。ではそうするか」

f○∧○(原寸プレゼーピオは土や草も実物を使っていたので)

f○∧○(年明けを待たずに片付けることになった)

f○∧○(当時の私は片付けに猛反対したけれど)

f○∧○(叔父さんが一枚の絵をくれたので機嫌を直した)

f○∧○(ヨセフとマリアとイエスと私の絵)

f○∧○(あの部屋で眠る私の絵だった)

ローマ「おじさんありがとう!私大きくなったらおじさんと結婚するわ!」

f○∧○(みたいな事を言った気がするけど、そこまで話す必要は無いわね)

清霜「すごーい!」

リットリオ「素敵な叔父様じゃない」

ローマ「そうね」

清霜「でも今の話聞くと美術家にならなかったの本当に勿体ない気がする」

リットリオ「本当ねぇ」

ローマ「結局その程度の人だったって事よ」

ローマ「さっ、立ち話は終わりにして」

ローマ「カボチャのプリンでも作りましょうか」

清霜「! 私も食べていいの!?」

ローマ「一緒に作るならね」

清霜「やったー!」

【艦これ】ローマ「人の艤装に何か用かしら?」【短編】 (完?)

f○∧○(......)

f○∧○(............)

f○∧○(私は二人に嘘を吐いた)

ローマ『結局その程度の人だったって事よ』

『ローマ 7才』

叔父「」ペタペタ

ローマ「おじさん」

叔父「どうした?ローマちゃん」

ローマ「わたし海はもう少し明るく塗った方が良いと思うの」

ローマ「それからこの女の人の服はもっとかわいくしましょ」

ローマ「お筆貸して。ね?」

パパ「こらこら、ローマ」

パパ「美術学院期待の新入生の絵にケチを付けるんじゃない」

叔父「別に構いませんよ」

叔父「小さな子供の方が世界をそのまま目にしている」

叔父「押さえつけずにやらしてみましょう」

叔父「はいローマちゃん」つ筆

f○∧○(叔父さんは少し離れた町に下宿し始めたから)

f○∧○(この頃とても寂しかったのを覚えている)

f○∧○(それでも年に数回は戻って来てくれるし)

f○∧○(その度に叔父さん家のアトリエ(自称)に会いに行った)

『ローマ 12才』

パパ「色々あったが」

パパ「こうなったからにはもう何も言わん」

パパ「困った事があったら僕を頼りなさい」

叔父「ありがとう...義兄さん。何とかやってみるよ」

(ロ´゚'ω゚` マ)

パパ「ローマもそんな顔してないでこっち来て」

パパ「ちゃんと叔父さんを祝ってあげなさい」

パパ「結婚式に呼んでもらえないぞ」

f○∧○(親戚も友人も誰もが驚いたけど)

f○∧○(叔父さんは美術学院を出る年に結婚し、しがない靴屋に就職した)

f○∧○(ガールフレンドの一人が妊娠したとか言ってた)

f○∧○(私の両親や祖父母は、しばらく面倒を見るから)

f○∧○(腕を活かせる職を探すよう勧めたけど)

f○∧○(就職難な世相と、父親になるテンションで)

f○∧○(叔父さんは誤った判断をした。早計だった。そして馬鹿だった)

f○∧○(あの女、初めから妊娠なんてしていなかったんだから)

『ローマ 13才』

パパ「ローマ。今日は皆でクリスマスを祝うからな」

ローマ「私は寝てる」

パパ「どうして?」

ローマ「何でも」

パパ「お昼からずーっと寝てるつもりか?太っちゃうぞ」

ローマ「パパ嫌い」

ローマ(叔父さんも)

ローマ(嫌い...)

f○∧○(あの女は叔父さんと結婚するために嘘を吐いた)

f○∧○(でもだからと言って)

f○∧○(叔父さんは引っ込みがつかないから、靴屋で働く生活を続けたし)

f○∧○(結婚から1年経った頃、実際に赤ちゃんも出来た)

f○∧○(あの女だけが得をした)

f○∧○(あの女だけが叔父さんを手に入れた)

f○∧○(ただそれだけの為に皆が引っ掻き回された)

f○∧○(そんな風に思ってた)

『ローマ 14才』

リットリオ「初めまして、私はリットリオ。あなたはどの艦種志望なの?」

ローマ「私は、戦艦」

リットリオ「じゃあ私と一緒ね」

リットリオ「戦艦はカリキュラムも長いし、これから宜しくね!」

f○∧○(実家にいたら時々叔父さんに会わなきゃいけない)

f○∧○(それが嫌だったから、家を出る進路を選んだ)

f○∧○(本当にそれだけの理由。たぶん)

f○∧○(大きくて強いものになりたい気分だったのもあるかもしれない)

『ローマ 19才』

ローマ(久しぶりの実家)

ローマ(パパもママも元気にしてるかな)

ローマ(家にいられるのは1カ月。卒業から進水日までの束の間の休暇)

ローマ「ただいま...!」ガチャ

f○∧○(パパもママもいっぱい喜んでくれた)

f○∧○(それと、いっぱい悲しんだ)

f○∧○(娘を戦場に送るんだもんね)

f○∧○(ママの料理を食べながら、パパは叔父さんの事を話してくれた)

ローマ(このアパートで良いのかしら...)

扉「」トントン

ローマ「叔父さん?いる?」

扉「」ガチャ

叔父「......。あ」

叔父「ローマちゃんかい?」

ローマ「うん」

叔父「あぁ...大きくなったね。入って」

叔父「ごめんねっ。汚い部屋で」

ローマ「部屋も片付けないで叔母様は何をしているのかしら」

叔父「あっ...。あぁ、あのね、ローマちゃん」

ローマ「知ってる。叔母様出て行ったのよね」

ローマ「パパから聞いたの」

叔父「あぁ...」

ローマ「とりあえず部屋片づけちゃうから」

ローマ「ね?」

ローマ「ふぅ。これで一段落かしら」

叔父「ありがとうローマちゃん。ご飯食べに行こうか」

ローマ「んーん。私が作るから。叔父さんは待ってて」

叔父「え、無理しなくて良いよ。お礼も兼ねてさ」

ローマ「ダメよ。叔父さんは家庭の味に飢えてるはずだもの」

ローマ「叔父さんの好きな物作ってあげる」

叔父「済まないローマちゃん。何から何まで...」

ローマ「そのために私が来たんだから」

f○∧○(どうやらあのオバさんは)

f○∧○(稼ぎが上がらない叔父さんに愛想を尽かして出て行ったらしい)

f○∧○(学院を出る時に美術教師の資格も認定されるけど)

f○∧○(上手く転職も出来ずに叔父さんは今に至る)

f○∧○(私はあの女を絶対に許さない)

f○∧○(もしどこかで出会ったら三連装砲でぶん殴ってやる)

f○∧○(でも)

f○∧○(叔父さんと二人でいられるこの時間を喜んでいる自分がいる)

ローマ「離婚...するの?」

叔父「向こうはそれを望んでる」

ローマ「娘さんもいるんでしょう?」

叔父「実は...」

叔父「再婚の目星をもうつけているみたいなんだ」

叔父「僕なんかよりもずっと立派な人と出会えたようだ」

叔父「裁判所へも申請して正式に別居を進めているんだよ」

ローマ「そう」

ローマ「結婚も離婚も叔母様の言い分が通ってる様に見えるけど」

ローマ「叔父さんはそれで良いの?」

ローマ「いつも叔父さんが損をしてる」

叔父「損はしてないよ」

叔父「可愛い娘だって生まれたし、幸せな生活だった」

ローマ「その娘だって連れていかれるじゃない」

ローマ「叔父さんはもっと叔母様に強く物を言うべきだった!」

叔父「”女の子は花でも打つな”って。昔マンマに教わった」

ローマ「決めたわ」

ローマ「私ここに住む」

叔父「ローマちゃん!?」

ローマ「叔父さんは人がよすぎるの」

叔父「ダメだ、帰るんだ」

ローマ「私が叔父さんを守るわ」

叔父「家にパパとママがいるだろう?」

ローマ「今の私なら誰にも負けない」

叔父「親を心配させちゃいかん!」

ローマ「叔父さんがそれを言うの?」

叔父「ぐぬぬ...」

ローマ「...私相手ならちゃんと声を上げてくれるんだ(フフッ」

f○∧○(結局、叔父さんの言いつけを守ってその日は家に帰った)

f○∧○(でも言い負かされた訳じゃない)

f○∧○(住むんじゃなくて、毎日叔父さんの家に通う事にした)

f○∧○(進水日までの一カ月)

f○∧○(叔父さんは少しずつ活力を取り戻していった)

f○∧○(たぶん愛の力だと思うわ。それと)

f○∧○(私が家事をする分の余力で叔父さんはまた絵を描き始めた)

f○∧○(趣味、だけどね)

f○∧○(イタリア人にとって物理的な距離は心の距離と同義だ)

f○∧○(私と叔父さんは幸せなひと月を過ごした)

f○∧○(毎日を二人で暮らし)

f○∧○(最後の朝は二人で迎えた)

f○∧○(それから時間がたって)

f○∧○(私は日本に派遣される事になった)

f○∧○(1日だけ家に帰れると連絡すると)

f○∧○(叔父さんは実家で待っていてくれた)

叔父「やっぱり罰が当たったのかな」

ローマ「どうして?」

叔父「叔父と姪が二人で暮らしちゃいけなかったんだ」

叔父「だから主が僕たちを引き離す事にした」

ローマ「そうかしら」

ローマ「神は産めよ、増えよ、地に満ちよ、と言っていたはずよ」

ローマ「私たち何か気に障るような事をしたからしら?」

叔父「ふむ...。じゃあ現状をどう見る?」

ローマ「お仕事ついでに下見をしてくるわ」

叔父「下見?」

叔父「何の?」

ローマ「叔父さんの個展を開くのに良さそうな所」

f○∧○(出発の日)

f○∧○(パパとママが港に見送りに来てくれた)

f○∧○(叔父さんはここには来ない)

f○∧○(だって今日はどこかへ戦艦の絵を描きに行くって言っていたから)



【艦これ】ローマ「人の艤装に何か用かしら?」【短編】 (完)

この間このSSの内容を3行くらいに圧縮した短文を艦これ系スレに投下したら
見事に1レスも付かなかったので引き伸ばして来ました
乙1個でも付くと嬉しいです
おやすみなさい

いいねぇ、やっぱイタリア女は情熱的でないとねぇ

おつです、なかなか面白かったw

ローマの顔文字で噴く

艦娘になる前の人間の生活があるパターンの話か、乙


これをどうやって3行で表現したのか…

いやぁ、これは乙ですわ

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