武内P「ムラムラ、ですか」 (1000)

アーニャ「ダー♪ ムルァムルァ(以下、ムラムラ)です♪」

武内P「……」

美波「……」

アーニャ「ムーラムラ♪ ムーラムラ~♪」

武内P「新田さん、あの、あまりこういう言葉を教えるのは、その……」

美波「!? わ、私が教えた訳じゃないですよプロデューサーさん!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509540801

武内P「し、失礼しました」

美波「プロデューサーさんって、私の事そういう目で見てたんですね……」

武内P「い、いえ、とんでもありません!」

アーニャ「ムーラムラ~♪ フフッ♪」

武内P「ですがこれは……一体、何があったのでしょうか?」

美波「えっと、私が今日会った時にはもう、む、ムラムラって言うようになってたんです」

アーニャ「シトー? 二人とも、難しい顔をして、どうかしたんですか?」

二人「……」

アーニャ「私、二人が難しい顔をしていると、ムラムラ、出来ません」

二人「……」

美波「えっと、アーニャちゃん?」

アーニャ「? 美波、どうかしましたか?」

美波「その、ムラムラって、どこで覚えてきたのかな?」

アーニャ「シューコとフレデリカが、クローネのプロジェクトルームで、教えてくれました」

美波「そ、そうなんだ~」

アーニャ「ダー」

アーニャ「……私、リンとは違って、クローネではソロで、アー、活動しています」

アーニャ「……クローネの皆と仲良くする事、少なかった、です」

二人「……」

アーニャ「だから、二人が教えてくれた『ムラムラ』は、大切な言葉です♪」

武内P「……これは……」

美波「ど、どうしましょう……」

アーニャ「ふふっ♪ ムーラムラ~♪」

武内P「アナスタシアさん、その、歌は何でしょうか?」

アーニャ「ムラムラ、という言葉、響きがとってもカワイイ、です」

アーニャ「と、言ったらフレデリカが歌ってくれた、です♪」

武内P「……そう、なのですね」

アーニャ「ふふっ、そうしたら、シューコも、ユイも、カナデも、フミカも一緒に歌って、くれました」

美波「ふ、文香ちゃんも!?」

アーニャ「ダー。とても、楽しかった、です」

二人「……」

美波「えっと、アーニャちゃん」

アーニャ「?」

美波「ムラムラって、言葉の意味は知ってるのかな?」

アーニャ「カナデが、教えてくれました」


アーニャ「……その人を見ていると、楽しくなって、もっと一緒にいたくて――」


アーニャ「――シシャースチエ……幸福、になる、と」


武内P「……これは、弱りましたね」

美波「……ですね」

武内P「……正しくはないですが、遠からず、と言った所でしょうか」

美波「……それに、とっても気に入っちゃってますよね」

アーニャ「ムーラムラ♪ ムーラムラ~♪ ふふっ!」

二人「……」

アーニャ「美波も、プロデューサーも、とってもムラムラします♪」

武内P「あ、アナスタシアさん!?」

美波「プロデューサーさん! 意味! 意味がちょっと違いますから!」

武内P「そ、そうでした」


アーニャ「美波も、プロデューサーを見ると、ムラムラ、しますか?」


美波「……」

美波「へっ!?」

アーニャ「ヤー、私、美波も、プロデューサーを見てムラムラすると嬉しい、です」

美波「え、ええと……あ、あはは」

アーニャ「私は、二人でラブライカです。美波を見ると、とってもムラムラします」

美波「……」

アーニャ「だから、美波もプロデューサーを見てムラムラして欲しいのは、ワガママ、ですか?」

美波「……アーニャちゃん」

アーニャ「シンパーチヤ、アー、共感、出来ませんか?」

美波「……」

武内P「……アナスタシアさん、あの――」


美波「……うん、私もプロデューサーさんを見てムラムラするわ!」


武内P「……」

武内P「……!?」

武内P「に、新田さん? あの、おっしゃっている意味がよく……」

アーニャ「ハラショー! やっぱり、美波もムラムラしていた、ですね!」

美波「私とアーニャちゃんは、とっても仲良しだもの、ねっ?」

武内P「お、落ち着いてください新田さん! 意味! 意味が少し違いますから!」

アーニャ「美波は、どんな時にムラムラしますか?」

美波「えっ? そうね……腕の血管が浮き立ってる所とか、かな……?」

アーニャ「私は……違いますね」


アーニャ「プロデューサー、上着を脱いで、腕を見せて欲しい、です」


武内P「!?」

武内P「いえ、それは……」

美波「上着を脱ぐの、お手伝いしますね♪」

武内P「新田さん!?」

美波「しーっ、あんまり大きい声を出すと、アーニャちゃんが変に思っちゃいます」ボソボソ

武内P「……!」

美波「ムラムラの意味をそのまま伝えたら、アーニャちゃん、凄くショックを受けると思うんです」ボソボソ

武内P「……成る程、確かにそれは十分有り得ます」ボソボソ

美波「だから、自然な流れで、ムラムラがちょっとエッチな言葉だと気付いた方が……」ボソボソ

武内P「直接言われるよりショックは少ない、と」ボソボソ

美波「……」コクリ

武内P「――わかりました。出来るだけ事はしてみましょう」ボソボソ

美波「上着はどうしたらいいですか?」

武内P「すみません、椅子にかけておいて貰えると助かります」

美波「はい、わかりました」

武内P「……それで、腕、でしたか」

アーニャ「私はプロデューサーを見ているだけでムラムラします」

アーニャ「でも、美波は腕を見るとする……ンー、難しい、です」

武内P「……そういった事には、その、個人差があると思いますから」

アーニャ「プラスチーチェ……ごめんなさい、迷惑、かけている気がします」

武内P「……」


武内P「アナスタシアさん、貴女も、新田さんも、私の大切な担当アイドルです」

武内P「……この程度の事で、迷惑に思うはずがありません」


アーニャ「!」

アーニャ「……スパシーバ、プラヂューセル! 今のこの気持も、ムラムラ、ですか?」

武内P「……いえ、それは違います」

  ・  ・  ・

武内P「……」

美波「わぁ、プロデューサーさんって、結構鍛えてるんですね……」

アーニャ「アー血管が凄いですね、美波」

美波「……本当、男の人の腕って感じ」

武内P「……」


アーニャ「プロデューサー、触ってみても、大丈夫ですか?」


美波「あ、アーニャちゃん!?」

武内P「それ位でしたら……はい、構いませんよ」

アーニャ「バリショーエスパシーバ……ありがとう、ございます」

ナデナデ……

アーニャ「不思議な感じがします。美波も、触ってみてください」

美波「そ、それじゃあ…・…失礼します」

ナデナデ……

美波「……」


美波「……」ムラムラッ

アーニャ「プロデューサーに触っていると、安心します」

武内P「そう、ですか?」

美波「……」

アーニャ「ダー。パーパはロシア人なので、アー、たくましい腕をしてます」

武内P「成る程……ホームシックには、なったりしていませんか?」

美波「……」

アーニャ「ニェート、少し寂しいですが、美波も、プロデューサーもいますから♪」

武内P「……そうですか。それは、良かったです」

アーニャ「ダー♪」

美波「……」


美波「……」ムラムラムラッ

武内P「それで……あの、新田さん?」

美波「……」

アーニャ「美波? 大丈夫、ですか?」

美波「へっ!? ど、どうしたの!?」

武内P「いえ、先程から様子が少し……」

美波「だ、大丈夫です! 私、これでもシンデレラプロジェクトのリーダーですから!」

武内P「……そう、ですか」


武内P「ですが、無理はなさらないでください」

美波「えっ? ムラムラ?」

武内P「えっ?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

武内P「申し訳ありません、今、何と……?」

美波「それは……あの……」

アーニャ「ムラムラ、です!」

美波「あああ、アーニャちゃん!」

アーニャ「美波、ムラムラしてます♪ 私、とても嬉しい♪」

美波「……///」

武内P「そ、それでは、もう上着を着ても良いでしょうか?」


アーニャ「プロデューサー、私、もっと美波がムラムラしてるのが見たい、です」


二人「!?」

アーニャ「今の美波、とっても、カワイイです♪」

二人「……」

  ・  ・  ・

武内P「……」

アーニャ「ハラショー……! プロデューサーは、とても、鍛えていますね?」

武内P「……会場の設営等で、体を動かす事もありますから、多少は……はい」

美波「すみませんプロデューサーさん……!」

武内P「いえ、アナスタシアさんにムラムラの意味を理解して貰うためでしたら……はい……はい」


アーニャ「? 海では、男の人は、上に何も着ませんよ」

武内P「……しかし……はい、そうですね……確かに、その通りです」

美波「……」


美波「……」ムラムラムラムラッ

アーニャ「触ってみても、良いですか?」

武内P「……はい、どうぞ」

ペタペタ

アーニャ「プロデューサー、肌、とても綺麗です」

武内P「そう、でしょうか? 自分では、よくわからないですが」

アーニャ「美波も、そう思いますよね?」

美波「……」

ペタペタペタペタ!

武内P「!? に、新田さん……!?」

美波「プロデューサーさん、筋肉が凄いし、肌が綺麗だし……」

ペタペタペタペタ!

武内P「新田さん! あの、落ち着いてください新田さん!」


美波「アーニャちゃん、私、とってもムラムラするわ♪」


武内P「!?」

アーニャ「ハラショー♪ さすが美波です♪」

美波「……でもね、アーニャちゃん」

アーニャ「シトー? どうか、しましたか?」

美波「ムラムラって言葉は、あんまり簡単に使っちゃいけない言葉なの」

アーニャ「!? どうして、ですか? ムラムラ、とてもカワイイ言葉です」

アーニャ「卯月も、かな子も、名前の中に『ムラ』あります」

アーニャ「……! ムラムラには、カワイイという意味も……!?」

美波「アーニャちゃん、今のは二人に言ったらメッ、よ?」

アーニャ「? わからないけど、わかりました」

美波「アーニャちゃん、今のプロデューサーさん、どんな顔をしてる?」

アーニャ「……?」

武内P「……」

アーニャ「……困って、いるように見えます」

美波「そうよね。ムラムラって、人によっては言われると困っちゃうものなの」


カチャカチャ!


アーニャ「アー、あまりいい言葉では、ないのですか……?」

美波「時と場合と、人にもよるかな。だから、使う時はちゃんと選ばないと」


シュルッ!


アーニャ「イズヴィニーチェ、すみません、私、二人を困らせてしまいましたか?」

美波「良いのよアーニャちゃん。私とアーニャちゃんの仲じゃない!」


ガッ!

武内P「っ!? いつの間に私のベルトを外したんですか新田さん!?」

美波「残念、もうちょっとだったんですけどね」

武内P「……!?」

武内P「に、新田さん! ズボンから手を離してください!」


美波「今は三人だけで、上半身裸で、プロデューサーさんは多分怒らない……」


武内P「困ります! あの、引っ張らないでください!」

アーニャ「美波? プロデューサー、とても困っています!」

美波「アーニャちゃん、ムラムラって、こういう時には使っても良いのよ」

アーニャ「? 何を……?」

美波「前に、お仕事でやった事あるでしょう? ほら、莉嘉ちゃんとみりあちゃんと四人で」

美波「あの時は私がされる側だったけど、今日は……美波、行きます!」


美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

グイグイッ!


アーニャ「……」

アーニャ「……」ムラムラッ

美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

武内P「落ち着いてください新田さん! よくありません!」

アーニャ「……」

武内P「あ、アナスタシアさん! 新田さんを止めてください!」


アーニャ「美波、とっても楽しそう、です」


武内P「あ、アナスタシアさん……!?」

美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

アーニャ「……」


アーニャ「ム~ラムラ♪ ム~ラムラ♪」


武内P「ぐ、っお!? や、やめてください! 二人共、手を離してください!」

美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

アーニャ「ム~ラムラ♪ ム~ラムラ♪」

武内P「ふっ、ぐ……お……!」


ガチャッ


蘭子「我が友、そして、翼を同じくする者達の声が我をここに召喚せしめん! 一体、何事――……」


武内P「か、神崎さん! た、助けて、助けてください!」

美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

アーニャ「ム~ラムラ♪ ム~ラムラ♪」


蘭子「……」

蘭子「あ……う……あ……!?///」

蘭子「あの……なんで……ぷ、ぷ、プロプロ……!?///」


武内P「事情は、事情は後でご説明します! ですから、今は早く……!」

美波「よいではないか♪ よいではないか♪」

アーニャ「ム~ラムラ♪ ム~ラム――蘭子?」

蘭子「む、むらむ蘭子!?」

アーニャ「? 蘭子も、一緒にムラムラ、しましょう♪」

蘭子「い、一緒に!?///」

武内P「!? いけません、神崎さん!」

アーニャ「こういう時は、アー、ああ、そうでした!」


アーニャ「――闇に呑まれよ!」


蘭子「……」

武内P「……か、神崎さん……?」

武内P「あの、神崎さん……?」


蘭子「――……い~つか~このそ~らの~下~♪」


武内P「!?」


美波「夢をつ~かむ~ため~♪」


武内P「!? どうして、どうして歌い出すんですか!?」


アーニャ「ずっと~♪ 前にむ~かってゆ~く~か~ら~♪」


武内P「いい歌なのに! どうしてこの状況で歌ってしまうんですか皆さん! いい歌なのに!」


武内P「誰か、誰か助けてください!」

武内P「お願いします! 誰か、誰か――!」


コンコン!


武内P「!」

武内P「助かっ――」


楓「……」


三人「あ~した~出会え~るえ~がお~♪」


武内P「いえ、あの、これは……」

楓「大きな声が、聞こえたので……」


三人「信じて~い~る~から~♪」


武内P「高垣さん、これは……誤解です」

楓「後輩達が頑張っていると……」

武内P「……?」


三人「もっと~♪ もっと~♪ 頑張れ~るよ~うに~♪」


楓「後輩達が頑張っていると、私も交配したくなっちゃいます♪」


武内P「……」

武内P「――申し訳ありません、新田さん、アナスタシアさん、神崎さん、少々お待ちいただけますか」

三人「え、あ、はい」

武内P「高垣さん」

楓「? はい」

武内P「高垣さんの魅力は、ルックスと歌唱力も勿論あります」

楓「? ありがとう、ございます」

武内P「ですが……それ以上に、神秘的な雰囲気と、駄洒落を好むという親しみやすさ」

武内P「私は、それが高垣さんの……他には無い、特別な魅力だと思っています」

楓「……」

武内P「しかし、先程の駄洒落は正直……宜しくない類のものです」

楓「……」

武内P「私は貴女の担当プロデューサーではないですが、そう思います」


武内P「――貴女が階段を一緒に登っていきたいという、ファンの一人として」


楓「!」

武内P「……すみません、お待たせしました」

三人「……」

楓「――後輩達が頑張っていると……」

三人「……?」


楓「――後輩達が頑張っていると、こう、ハイになります♪」


武内P「……良い、笑顔です」

三人「……!」コクリ


三人「あの星~にね~がお~う♪」


武内P「……さて、それでは――」


武内P「助けてください千川さ――ん!!」




おわり

HTML化依頼出しておきます

みりあの育成方針について、美嘉とやりとりしてたら盛り上がっちゃって第三者からみたら夫婦の域に見えちゃう話しとか

書いて埋めます
埋め順は、


武内P「大人の魅力、ですか」
武内P「大人の魅力、ですか」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510490903/)

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武内P「便秘、ですか」 - SSまとめ速報
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2018/10/28(日)までは書こうと思います

武内Pに知的アピールをガンガンするアイドル達を。

>>46
書きます


武内P「赤城さんの今後の方針、ですか」

美嘉「うん、どうなってるかちょっと気になってさ」

武内P「そう……ですか」

美嘉「で? そこんトコ、どうなの?」

武内P「当然、赤城さんの要望を聞きつつではあります、が」


武内P「母性を感じる、というファンの方の意見も無視できません」


美嘉「……へえ?」…キランッ


未央「何、あれ?」

凛「私に聞かないで」

美嘉「母性? みりあちゃんに?」

武内P「ええ、その様です」

美嘉「それっておかしくない? みりあちゃん、まだ11歳だよ?」

武内P「はい。ですが、それを差し引いても、です」


武内P「赤城さんに甘えたい、という声が多く寄せられています」


美嘉「……ふーん?」キランッ


未央「何考えてると思う?」

凛「だから、私に聞かないでってば」

美嘉「でも、具体的にはどうするの?」

武内P「現在の、可愛いさを全面に出した路線も継続しては行きます……が」

美嘉「が?」

武内P「それと並行し、そうですね……例えば、悩み相談」


武内P「リスナーの悩みを聞き、励まし応援するラジオなど、どうかと」


美嘉「……最初の相談者は、決まってるの?」キラーンッ!


未央「ねえ、しぶりん」

凛「やめて、振らないで」

美嘉「そういうのって、最初が肝心じゃん?」

武内P「あっ、いえ……まだまだ、企画段階ですので」

美嘉「でもさ、小学生に悩みを解決して貰おうなんて、思う?」

武内P「解決と考えると、難しいと思います」


武内P「ですが、赤城さんには不思議な魅力があります」

武内P「それは、彼女の前で自分を偽る必要は無いと、そう、思える事です」

武内P「……ありのままに、悩みを話すだけで楽になる場合も、ありますから」


美嘉「あるあるあるある!」ブンブンッ!


未央「止める?」

凛「無理だよ」

美嘉「悩みを話してさ、こう、頭をギュッとして貰うんだよね」

武内P「はい?」

美嘉「あっ、これヤバくない!? どう!? この企画!」

武内P「あっ、いえ」


武内P「それは……流石に、どうかと」


美嘉「はっ?」

美嘉「いや、ちょっ、待っ……はっ?」


未央「止めたほうが良いって、しぶりん」

凛「だから、無理。美嘉、今スイッチ入ったし」

美嘉「意味わかんないんだケド? どうかと、って何?」

武内P「えっ?」

美嘉「アンタ、知らないだけでしょ? あの良さを!」

武内P「は、はあ……ですが、その」


武内P「不特定多数の方の頭を抱くというのは、さすがに」


美嘉「じゃあ、さ」

美嘉「――ウチの事務所のアイドルの悩みを聞く、っていうのは?★」キラーンッ!


未央「ほら、やっぱり!」

凛「まあ、そういう風にもっていくよね」

美嘉「アイドルの、プライベートな悩みを聞いて、さ」

武内P「……ふむ」

美嘉「みりあちゃんが、頭をギュッとして、ヨシヨシするの★」

武内P「……なるほど」


武内P「事務所内の、アイドルの仲の良さをアピールしつつ」

武内P「且つ、プライベートの話もし、身近に感じさせる」

武内P「……良い、企画です」


美嘉「でしょ!★ でしょでしょ!?★★★」


未央「絶対、毎回ゲストで来るヤツだよ!」

凛「ゲストのレギュラー? 何、それ」

美嘉「ラジオじゃなくて、テレビにしてさ!★」

武内P「ええ、映像も必要になってきますね」

美嘉「チョー良くない!?★ マジアガるっしょ!★」

武内P「そうですね……正式な企画として検討する余地は、十分にあるかと」


武内P「……城ヶ崎さん」

武内P「その時は、貴女にもレギュラーとして出演をお願いするかもしれません」


美嘉「もち!★ トーゼン、オッケー★」

美嘉「みりあちゃんと二人で、ゲストの悩みを聞い――」

美嘉「……」

美嘉「っ!?」


未央「まあ、そうなるよね」

凛「あれだけ言ってれば、ね」

美嘉「あ、アタシもレギュラー……ってコト?」オロオロ

武内P「えっ? は、はい……そうなりますね」

美嘉「じゃじゃじゃじゃあ……ギュッとして、ヨシヨシは?」オロオロ

武内P「そう、ですね」


武内P「お二人で、悩みを聞いて」

武内P「聞き終わったら、赤城さんか、城ヶ崎さん」

武内P「どちらかを相談者の方が選ぶ……というのは、どうでしょうか?」


美嘉「……」

美嘉「あっ、なるほどー! そういうコトねー!」チラッチラッ!


未央「しぶりん?」

凛「やめて、目が合っちゃうから」

美嘉「みりあちゃんの母性か、アタシのカリスマか、かー!」チラッチラッ!

武内P「はい。相談者の方にとっても、その方が良いかと」

美嘉「どっちもお姉ちゃんだしねー! そうだよねー!」チラッチラッ!

武内P「ええ、そうですね」


武内P「この方向で企画を考えても、よろしいでしょうか?」


美嘉「アタシは良いよー! まあ、アタシはだケドね!」チラチラッ!

美嘉「他の人はどう思うかなー!? ほ・か・の・ひ・と・は!」チラチラチラチラッ!


未央・凛「……」

未央「……まあまあ、ちょっと落ち着こうよ」

凛「……うん、焦る必要、無いと思う」


武内P「本田さん、渋谷さん……?」

美嘉「あっ、ちょっともう、未央に凛ったら!」

美嘉「何々ー!? この話、そんなに気になった!?」

美嘉「もー、しょーがないなー! うん、オッケオッケ!★」

美嘉「皆で考えよっか!★ その方が良いよね、ねっ!★」


未央・凛「……」

未央「……まずだね、レギュラー選びが失敗してるよ」

凛「……うん。美嘉って、甘やかされたいタイプじゃ無いかな、って」

未央「それ。美嘉ねぇって、そう言うんじゃないんだよね」

凛「百歩譲っても、頼れる先輩ポジションが……限界かな」


美嘉「辛辣!」


武内P「……」

武内P「そう、でしょうか?」


美嘉・未央・凛「……」

美嘉・未央・凛「えっ?」

武内P「城ヶ崎さんは、とても頼れる方だと、そう、思います」

武内P「当然、まだ17歳で不安定な部分もあります」

武内P「しかし、それを差し引いても――」

武内P「赤城さんと、レギュラーとして相談者を迎えうるに足り得る」

武内P「素晴らしいカリスマの持ち主だと、私は思います」


美嘉「って言ってるケド!/// 言ってるケドー!?///」


未央「何かもう……何、何かもう、バカ! 城ヶ崎バカ!」

凛「ちょっと未央! がっつり悪口になってるから!」

美嘉「あっ、アンタ的に……アタシって、頼れるカンジ!?///」

武内P「? はい、勿論です」

美嘉「モチロンです!/// ねえ、聞いた!?/// 録音した!?///」


未央「してるわけないよね!?」

凛「ねえ、なんで録音してるって思ったの!?」


武内P「赤城さんのプロデュース方針にも、親身になって頂き……」

美嘉「それは、トーゼンっしょ!★ アンタの担当の子だけどさ?」

美嘉「アタシにとっても、みりあちゃんは大切な子だもん!★」

美嘉「その、二人にとって大切な……」

美嘉「……」

美嘉「こ、コノコノ~!/// 二人の……子っ、子の子の~!///」


未央・凛「どさくさ!」

未央「あのさ、大切なのは、アイドルがどう思うかだよね!?」

凛「プロデューサーがどう思うかは、関係無いから!」

武内P「は、はあ」

美嘉「はあ!? アタシ、チョー頼れるし!★」

未央「今までの流れで、そんな部分ひとっつも無かったよ!?」

凛「うん。ごめん、美嘉……美嘉に、甘えようとは思わない」


美嘉・未央・凛「……」


美嘉「――おいで~? チョー甘やかしてあげる★」


未央「どっちが先に行く?」

凛「私が行く。美嘉に、現実をわかって貰うから」


武内P「……」

  ・  ・  ・

美嘉「……ヨシヨシ、凛は頑張りやさんだね~★」

ナデナデ…

凛「……うん、私……頑張ってる」

…ぎゅうっ


未央「しぶりいいい――んっ!?」

未央「もっと自分をしっかり持って!」


凛「っ! そ、そうだ……これは、違――」

美嘉「良いんだよ~★ 今だけは、アタシに甘えちゃいな~★」

ナデナデ…

凛「ああぁ……良いのかな……悪くないのかな……」

…ぎゅうっ!


武内P「……良い、カリスマです」

  ・  ・  ・

凛「あ、危なかった……! ギリギリ、耐えられたよ……!」

未央「全然だよ!? 最後の方なんか、ママー、って言ってたって!」

凛「言ってない! 言うわけないでしょ!?」

未央「見なさいよ! ほら、動画に撮ってたから! ほら!」

凛「……」

未央「えっ、しぶりん、ちょっと……待っ!」

凛「……」

未央「無言で携帯を奪おうとしないでよ! こら、しぶりん!」

未央・凛「……!」


武内P・美嘉「……」

  ・  ・  ・

美嘉「――どう? あの企画、進んでる?」

武内P「はい、順調に」

美嘉「へへっ、そっかそっか★」

武内P「赤城さんも、とても楽しみにしていらっしゃいます」

武内P「これも……城ヶ崎さんのおかげですね」

美嘉「あ、アタシは別に、思ったコトを言っただけだし///」

武内P「頼りになる、と……そう、思います」


凛「うん」

ぎゅうっ!

美嘉「もー、甘えん坊さんなんだから★」

…ナデナデ


未央「……」

未央「って、いやいやいやいや!」

未央「変な癖ついちゃってるじゃん! 何だそれ!?」


武内P「えっ!? いえ、ですが……本人の希望ですので」

美嘉「アタシもそうは思うケド……でも、まあ良っかなって★」

…ナデナデ

凛「……うん」

…ぎゅうっ!


未央「駄目に決まってるじゃん!」

未央「この際だから、ハッキリ言わせて貰うけどね!?」


未央「甘やかしすぎは、良くないよ!」



おわり

>>51
書きます


武内P「知的な所に憧れる、と」

ありす「はい。文香さんが本を読んでいる姿」

ありす「あれこそ正に、素敵な女性のイメージです」

武内P「なるほど。橘さんは、そう思う……と」

ありす「プロデューサーさんも、素敵だと思いませんか?」

武内P「……はい」


武内P「素敵だと、そう、思います」


アイドル達「!」

凛「――ねえ、プロデューサー」

武内P「? どうかしましたか、渋谷さん」


凛「卯月って、アスパラガスみたいだよね」


武内P「えっ? あ、あの……どういう意味でしょうか?」

凛「あっ、何か勘違いしてるでしょ」

武内P「勘違い、ですか」

凛「うん」


凛「アスパラガスの花言葉は――平凡」

凛「だけど――私は打ち勝つ」

凛「……なんて、そんな花言葉もあるんだ」


武内P「そう……なのですね」


アイドル達「へええ!」

凛「どう? ピッタリだと思うんだけど」

武内P「そう……かも知れませんね」

凛「それでね、もう一つの花言葉があって、さ」

武内P「はい」


凛「――耐える恋」


凛「卯月って、何となくそんな恋愛しそうじゃない?」

凛「普通の自分に悩んで、でも、耐えて、耐えて……」

凛「それで、最後には勝つ」

凛「ね?」


武内P「少し……わかる気がします」


アイドル達「うんうん!」

凛「こんな風に、野菜にも花言葉ってあるんだよ」

凛「知ってた?」

武内P「いえ、知りませんでした」

凛「だと思った。勿論、果物にもね」

凛「ねえ、何か好きな野菜か果物、言ってみてよ」

武内P「でしたら――レモン、でしょうか」

凛「レモンの花言葉は――」


凛「――熱意、誠実な愛」


凛「……」

凛「……何なの!?///」


武内P「えっ!?」

奏「――見てられないわね」

凛「……///」

武内P「? どうかしましたか、速水さん」


奏「ねえ、人はどうしてキスをするか、知ってる?」


武内P「えっ? それは……深く、考えたことはありませんでした」

奏「ふふっ、大体の人は、そうなんじゃないかな」

武内P「そう、だと思います」

奏「キスはね、ロマンチックなだけじゃないの」


奏「人は、キスをする事でバクテリアを交換しているの」

奏「相手が、自分にとって有害なバクテリアを持っていないか」

奏「それと、必要なDNAを持っているかを判定しているのよ」


武内P「そう……なのですね」


アイドル達「へええ!」

奏「ねっ? キスをするのは、本能なの」

武内P「そう……なのですね」

奏「子孫を残すための、前準備」

武内P「……」


奏「――人間も、やっぱり動物なのよ」


奏「キスで、相手を確かめるの」

奏「自分と相手の、生物的な相性を」

奏「だから、特別なようで、とても自然な行為なのよ」

奏「そう思わない?」


武内P「そういう意味でしたら……はい」


アイドル達「うんうん!」

奏「愛を囁いて、本能に従ってキスをする」

奏「唇って、本当に働き者よね」

武内P「……ええ、そうですね」

奏「ふふっ、勉強になったかな?」

武内P「ええ、ありがとうございます」

奏「それじゃあ……ご褒美を貰おうかな」


奏「この流れなら……わかるでしょう?」


武内P「えっ?」


奏「……」

奏「……じょ、冗談よ!///」


武内P「はあ……?」

美波「――もう、しょうがないわね」

凛・奏「……///」

武内P「? どうかしましたか、新田さん」

美波「二人の話をまとめちゃいますね」

武内P「は、はあ」


美波「19世紀のフランス、アスパラガスは――」

美波「――新婚初夜に、花婿が食べる習慣があったんです」

美波「その理由は……あっ、美波、イキます♡」


武内P「っ!?」


凛「ちょっと! 変なまとめ方しないでくれる!?」

奏「本能を重視過ぎよ、美波! やめて!」


アイドル達「……へ、へええ///」

美波「他にも、2世紀に書かれたインドのえっちな本」

美波「『カーマ・スートラ』にも、アスパラガスの事が載ってるんです」

武内P「そ、そうですか」

美波「はい。だから、アスパラガスは昔から――」


美波「――男の人を元気にさせるって言われてたんですよ♪」

美波「んっ、ちょっとイキます♡」

美波「……それが言いたかったのよね?」

美波「凛ちゃん、奏さん♪」


凛・奏「全然!?」


武内P「……」


凛「違うから! そうじゃないから!」

奏「わかるでしょう!? 違うわよ!?」


アイドル達「……///」

アーニャ「――プロデューサー」

武内P「? どうかしましたか、アナスタシアさん」


美波「ええっ!? アスパラガスとキスの話をまとめたら……」

凛「だから、どうしてまとめたの!? おかしいでしょ!」

奏「おかげで、私まで変に思われちゃったじゃないの!」


アーニャ「私は、日本語と、ロシア語と、英語が、話せますね?」

武内P「ええ、そう……ですね」

アーニャ「褒めてくれますか? アーニャは、アー、お利口さん?」

武内P「? はい、そう、思います」

アーニャ「お利口さん、ですね?」


武内P「はい。アナスタシアさんは……その、お利口さん、です」


アーニャ「ウラ――ッ!」グッ!


アイドル達「……」

アーニャ「お利口さんは、頭がいい、ですね?」

武内P「え、ええ、そうですね」

アーニャ「頭がいいは、ンー、知的、ですね?」

武内P「そう、なりますね」

アーニャ「アーニャは……素敵……?」

武内P「? はい」


武内P「アナスタシアさんは、素敵な方だと、そう、思います」


アーニャ「ウラー! ハラショー、素敵、ですか!」

武内P「はい」

アーニャ「う~っ、ウラー♪ 嬉しい、です♪」ニコニコッ!


アイドル達「……」


凛・奏・美波「……」

凛「ねえ、ちょっと! 私も花言葉を披露したんだけど!?」

奏「私も、キスに関しての知識を教えてあげた筈なんだけどな?」

美波「私なんか、その二つをセックスさせましたよ!?」

凛・奏「それは良いから!」

アーニャ「シトー? リンは、褒めて欲しいのですか?」

凛「べ……別に!? そういうんじゃない、そう……ふーん!」

アーニャ「キトー? カナデは、どうなのですか?」

奏「アーニャ? ねえ、今何て? ねえ、ちょっと?」


武内P「あ、あの……落ち着いてください!」


アイドル達「……」

アーニャ「イズヴィニーチェ、間違え、ました」ジッ

奏「ねえ、どうして私の髪を見てるの? アーニャ?」

美波「大丈夫よ、奏さん! 自信をもって!」

奏「何に!? これ、怒っていい場面よね!?」

凛「やめてよ、奏。怒ったりなんかしたら……ぷ、ふふっ!」

奏「……」


奏「ねえ……そんなに変、かな……?」


武内P「えっ? いえ――」

武内P「――素敵だと、思いますが」


奏「……」

奏「……!」ドヤァァ!


凛・美波「……」


アイドル達「……」

凛「……あのさ」

武内P「はい?」

凛「……私は?」

武内P「えっ?」

美波「プロデューサーさん!」

美波「私は、素敵だと思いますか!?」

武内P「ん……んん、はい、そう……ですね」


武内P「新田さんは、素敵だと思います」


美波「こんなの初めてっ!♡」ビクンビクーンッ!


凛「……!」


アイドル達「……」

凛「もう、なんなn」

ありす「――もうっ! プロデューサーさん、困ってるじゃないですか!」

凛「ちょっ、台詞が被っ」

ありす「褒められたいからって、良くないと思います!」

凛「ねえ、あり「橘です!」

ありす「見てください、文香さんの様子を!」


文香「……」

ペラッ…ペラッ…


ありす「この騒ぎでも、知的に本を読み続ける!」

ありす「とってもクールで、素敵です!」


アイドル達「……確かに」

ありす「知的なのと、知識があるのは違います」

ありす「大切なのは、振る舞いです」

ありす「――ですよね、文香さん!」

文香「……えっ?」

ありす「文香さんは、変にアピールをしません!」

ありす「それは、大人の女性らしい、慎ましさがあるからです!」

文香「……えっ? その……」


文香「話に……入っていったら」

文香「その……損をするだけだと、思って……」


ありす「……」

ありす「ほら、知的!」


一同「……」

ありす「褒められたいなら、我先にじゃなく――」

ありす「――ちゃんと、順番を決めるべきだと思います」


武内P「えっ?」


ありす「私達は、理性のある人間です」

ありす「本能のままに行動するのではなく」

ありす「理性でそれを抑える事が、知的さに繋がるんじゃないでしょうか」

ありす「少なくとも、私はそう思います」


武内P「じゅ、順番と言いましても……」


ありす「年齢順でも、何でも良いと――」



楓「――温泉」



一同「!?」

武内P「たっ、高垣さん!?」

楓「温泉の『♨』マークの意味は、ご存知ですか?」

武内P「えっ? 湯気と……浴槽、ですよね?」

楓「はい。そして――」


楓「湯気を表す、三本の線はそれぞれ――」

楓「夕飯前、夕飯後、翌日の朝と……三回入る事を示してるんです」

楓「だから、温泉に行ったら、三回は入るものなんですよ♪」


武内P「……はあ」


楓「……」

楓「……?……?」オロオロオロオロ!


アイドル達「褒めて! 早く、褒めて!」


武内P「えっ!?」

武内P「よ……よく、ご存知ですね」

楓「……」

楓「……?……?」オロオロオロオロ!


アイドル達「もっと! もっと、褒めて!」


武内P「今ので、ですか!?」

武内P「待ってください! それは、あまりに厳しすぎます!」

楓「お……温泉饅頭」


楓「――温泉地で売っていれば……」

楓「温泉で蒸していなくても、温泉饅頭と呼ぶんですよ♪」


アイドル達「……」

アイドル達「…………へえ」


武内P「皆さんも反応に困っているではありませんか!?」

  ・  ・  ・

ちひろ「――成る程、それで」

武内P「……はい」

ちひろ「皆の、知的な所を見つけて、素敵って褒めるなんて事に……」

武内P「……ええ」

ちひろ「スタドリ、いります?」

武内P「……ありがとう、ございます」

ちひろ「ちなみに、次の予定の子は、誰なんですか?」

武内P「それは――」


ガチャッ!

茜「おはようございます!! ボンバ――ッ!!」


武内P「……おはようございます」

ちひろ「お、おはよう、茜ちゃん」

茜「早速ですが、私の知的な所ってどこでしょうか!?」

武内P「そ、そう……ですね」

茜「くーっ! 私にも知的な所があるなんて、楽しみです!!」

武内P「え……ええ」

茜「知りたくて知りたくて、ダッシュで来ました!! ファイヤーッ!!」

武内P「……」


武内P「い……良い、知的好奇心です」


茜「おおっ!! 好奇心が、知的で、良いって事ですか!?」

茜「なるほどー! 私にも、好奇心が知的っていう、素敵があったんですね!!」


武内P「……せっ」

武内P「千川さんは、どう思いますか?」


ちひろ「えっ!? ええと、ええっと……」

ちひろ「知的……うん、その……」


ちひろ「素敵だと思います!」



おわり

アーニャがウラウラ叫んでジェロニモみたいでした(知的)

>>98
「ウラー」は「やったー!」という意味があるようです
「がんばったね!」と褒める時は「マラジェッツ!」らしいです、ワクワクすっぞ!
おやすみなさい

書きます


武内P「私の自宅、ですか」

未央「うん、どのへんなの?」

武内P「あの……何故、そんな事を?」

卯月「えっ!? ええと……えへへ♪」

武内P「……」


武内P「申し訳ありません」

武内P「お教えする事は、出来ません」


未央・卯月「……」

凛「まあ、そう言うと思ってたけど」

未央「プロデューサー、不公平だと思わない?」

武内P「えっ?」

卯月「プロデューサーさんは、私達の家がどこか知ってるじゃないですか」

武内P「そう……ですね」


武内P「ですが、申し訳ありません」

武内P「私の自宅の場所は、お教え出来ません」


未央・卯月「……」

凛「ねえ、諦めなってば」

未央「良いじゃん、ちょっと位!」

武内P「……」

卯月「せめて、最寄り駅だけでも駄目ですか!?」

武内P「……」


武内P「……すみません」


未央・卯月「……」

凛「もう、あんまり困らせちゃ悪いでしょ」

  ・  ・  ・
一週間後

未央「いやー! プロデューサーの家って、あの辺なんだね!」

武内P「あの、本田さん……声が」

卯月「そうですよ、未央ちゃん! しーっ、です!」

武内P「本田さん、島村さん……どうか、内密にお願いします」

未央・卯月「はいっ!」


凛「何なの――っ!?」


武内P・未央・卯月「っ!?」

凛「ねえ、どういう事!?」

武内P「えっ!? いえ……何でもありません」

凛「はあっ!? ふざけないでよ!」

武内P「っ!?」


凛「未央と卯月は、わかったんでしょ!?」

凛「なのに、どうして私だけ!? 納得行かない!」


未央「まあ、そう言うと思ってたけど」

卯月「り、凛ちゃん! た、偶々知っただけですから!」

武内P「……」

凛「納得の行く説明を聞かせて!」

武内P「その、お二人と車でお送りした時に……」

未央「そ、そう! やけに道に詳しいな―、と思ってさ!」

卯月「そ、そうなんです! それで、もしかしたら、って!」


凛「そんな事聞いてない!」

凛「どうして! 私だけ! 知らないの!?」


武内P「そ、その時は、ですね!」

武内P「北条さん、神谷さんと寄り道をして帰ると――」


凛「ふうううぅぅぅん!」ジタバタ!


武内P・未央・卯月「……」

凛「何!? 私が悪いっていうの!?」

武内P「いっ、いえ! そんな事は、決して!」

凛「じゃあ、何が!? 加蓮!? 奈緒!? シェイク!?」

未央「しぶりん落ち着いて! シェイクは飲み物だよ!」

卯月「あっ、もしかして新作ですか? 凛ちゃん、美味しかった?」

凛「うん。まあ、悪くなかったよ」


凛「――じゃなくて!」

凛「プロデューサーの家、何処なの!?」


武内P・未央・卯月「……」

未央「……ねえ、プロデューサー」

武内P「……」

卯月「あの……凛ちゃんにも教えちゃ、駄目ですか?」

武内P「……それは」

凛「……」ジッ

武内P「……」


武内P「……わかり、ました」

武内P「お二人と同じく、正確な場所はお教えできませんが」

武内P「……それで、よろしければ」


未央・卯月・凛「!」パアッ!

未央・卯月・凛「はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・
三日後

未央「プロデューサー! 話が違うじゃんか!」

卯月「ひどいです! 私達を騙したんんですか!?」

凛「ねえ! アンタ、私達を騙して楽しいの!?」


武内P「えっ!?」


未央「おかしいと思ったんだよ、妙に素直だし!」

卯月「プロデューサーさんは、プロデューサーさんでも――」

凛「――まゆのプロデューサーの自宅の近くでしょ、あの辺!」


武内P「……」

未央「同期で仲良いもんね! 家に遊びに行ったりするよね!」

卯月「道理で、道に詳しいはずです! でも、話が違います!」

凛「聞いてたのは、アンタの家の場所でしょ!? ふざけないでよ!」


武内P「あの……」

武内P「何故、それがわかったのでしょうか?」


未央「そんなの、決まってるじゃん!」

卯月「偶々、まゆちゃんに会ったからです!」

凛「何言ってんだコイツら、みたいな目で見られたんだからね!?」


武内P「……」

武内P「佐久間さんには……何処で、お会いしたのですか?」


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛「そ……その辺?」

武内P「……」


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛「た、タイム!」

未央「やばいよ、どうする!? どうする!?」ヒソヒソ!

卯月「お家の場所を探そうとしたって、バレてますよね!?」ヒソヒソ!

凛「偶然だって言い張るのは……駄目、無理! 微妙に遠いし!」ヒソヒソ!


武内P「……」

武内P「3……2……1……」


未央・卯月・凛「!?」

未央「とっ、とにかくごまかそう!」ヒソヒソ!

卯月・凛「……!」コクコク!

武内P「それでは、質問をしてよろしいでしょうか?」


未央「いっ、良いよ!?」

卯月「はっ、はいっ!」

凛「なっ、何!?」


武内P「周辺まで行って家を探そうと、最初に言い出したのは誰ですか?」

武内P「正直に答えて頂けた方には、10ポイント加算されます」


卯月・凛「!」バッ!

未央「はい! 私です!」スッ!


武内P「……ありがとうございます」

武内P「では、全員に10ポイントずつ加算します」


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛「何のポイント!?」

武内P「それでは、次の質問に」


未央「まずいよ! ポイントに釣られて、正直に答えちゃったよ!」

卯月「何のポイントなんですか!? あの、プロデューサーさん!」

凛「落ち着いて! 兎に角、もうポイントに釣られちゃ駄目!」


武内P「何故、私の自宅の位置を探るのですか?」

武内P「10秒以内に、三人で協力して答えてください」

武内P「成功したら、得点が二倍になります」


未央「えっ!? えっと、プロデューサーの家がわかったら! はい!」

卯月「えっ!? お休みが被ったら、遊びに行ったり! はい!」

凛「えっ!? 色々と、その、えっと……ふうぅぅ……ん……」


武内P「……残念、失敗です」

武内P「得点は、そのままになります」


未央・卯月・凛「ああ~っ!」

凛「ごっ、ごめん! 急だったから、混乱しちゃって!」

未央「どんまい、しぶりん! 次取り返そう、次!」

卯月「大丈夫ですよ、凛ちゃん! 元々、得点はゼロでしたし!」

未央「そうだよ! 私達がゲットしてたの、ポイントだしね!」

卯月「はい♪ だから、ある意味ラッキーです! ぶいっ!」

凛「未央、卯月……うん、ありがと。次は、ちゃんと――」


未央・卯月・凛「……」


武内P「……」


未央・卯月・凛「……」

未央「よっ、良くない!? 自宅の位置くらいさ!」

武内P「駄目です」

卯月「どっ、どうしてですか!?」

武内P「来る気が満々だと、そう、言われましたので」

凛「何なの!? 納得出来ない!」

武内P「納得、してください」


未央・卯月・凛「……!」


武内P「……」

武内P「……わかりました」

武内P「自宅の住所を教えようと、そう、思います」

未央・卯月・凛「えっ!?」

武内P「ですが……皆さんは、アイドルです」

未央・卯月・凛「……」

武内P「決して来ないと……約束して、いただけますか?」

未央・卯月・凛「……!」コクコクコクコク!

武内P「そして、誰にも言わないと……約束して、いただけますか?」

未央・卯月・凛「……!」コクコクコクコク!


武内P「本当に、教えるだけですよ?」


未央・卯月・凛「はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・
一週間後

未央「プロデューサー! ねえ、プロデューサー!」

卯月「自宅は自宅でも、プロデューサーさんの自宅じゃなかったです!」

凛「ねえ! 教えてくれた住所――今西部長の自宅だったんだけど!?」


武内P「はい」


美波「もうっ! せっかく、勝負下着を着けて行ったんですよ!?」

アーニャ「プロデューサーは、ひどい、です! ションボリ、です!」

蘭子「我が友よ! 嘘偽りがあっては、魂の絆は途絶えてしまう!」

かな子「お菓子もいっぱい作って行ったんですよ! 美味しかったです!」

智絵里「プロデューサー……わたし、見捨てられちゃったんですか?」

杏「杏もさ、やっとの思いでたどり着いたら部長の家で、さすがに驚いたよ」

みりあ「ねえねえ! どうして!? ねえ、プロデューサー!」

莉嘉「Pくんの家だー! って、楽しみにしてたのに、ひどいじゃん!」

きらり「えっとねぇ~、きらりん、こう言うの良くないと思うにぃ!」

李衣菜「プロデューサー! ちゃんと言わないなんて、ロックじゃないですよ!」

みく「Pチャン! みく、カンッカンに怒ってるにゃ! わかる!?」


武内P「これはひどい」

未央「美嘉ねぇも、滅茶苦茶怒ってたからね!?」

武内P「……」


武内P「皆さん」


CPアイドル達「……!」ムスッ!


武内P「なんと言いますか……この際、色々と置いておきましょう」

武内P「ですが、この際ハッキリと申し上げます」

武内P「私の自宅の位置は、お教えする事は出来ません」


CPアイドル達「何で!?」


武内P「来るから、です」


CPアイドル達「……!」ムスッ!

ちひろ「プロデューサーさん、もう良いじゃないですか」

武内P「? 千川さん?」

ちひろ「自宅の場所位、教えてあげたらどうですか?」

武内P「えっ!?」

ちひろ「大勢だったら、変なことにもならないでしょう?」

武内P「いえ……ですが」

ちひろ「遊びに来たら、迎え入れて上げれば良いじゃないですか」

ちひろ「そのくらいのコミュニケーション、とっても良いと思うんです」

ちひろ「そう、思いませんか?」

武内P「……」

CPアイドル達「うんうん!」コクコク!

武内P「そう……でしょうか?」

ちひろ「はい! 私は、そう思いますよ!」

ちひろ「ふふっ♪ ドーンと、パーティーでもしたらどうですか?」

武内P「……パーティー、ですか」

CPアイドル達「……」ジッ!

武内P「……わかりました」

CPアイドル達「!」パアッ!


武内P「次の会場が、千川さんのお宅でしたら、お教えします」


ちひろ「……」

ちひろ「えっ!?」

ちひろ「わ、私の家……ですか!?」

武内P「はい」

ちひろ「こっ、この人数を!?」

CPアイドル達「……」ジッ!

武内P「ええ」

ちひろ「……」


ちひろ「…………」


武内P「私の自宅の住所が、千川さんの口から漏れた場合」

武内P「部署の垣根を超えて、人数を集めようと、そう、思います」


ちひろ「……!?」


武内P「千川さん」

武内P「千川さんの自宅の住所を――先に、教えてあげて、頂けますか?」


ちひろ「……」

ちひろ「――ねえ、皆」

CPアイドル達「……」ジッ

ちひろ「お仕事とプライベートは分けるべきです」

CPアイドル達「……」ジイッ

ちひろ「だから、お家にお邪魔するなんて、駄目よ?」

CPアイドル達「……」ジイイッ

ちひろ「……プロデューサーさぁん!」


武内P「……」

武内P「仕方、ありませんね」

武内P「皆さん、先程、千川さんが仰った通りです」

武内P「私達は、貴女達を自宅には招く訳にはいきません」

CPアイドル達「……」ムスッ!

武内P「城も、文春砲には耐えられないのです」

CPアイドル達「……」ムスッ!

武内P「ですが、いつか……必ず」

CPアイドル達「!」


武内P「皆さんを自宅に招待すると――約束します」


CPアイドル達「はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・

未央「いやー、楽しみだねぇ!」

卯月「はいっ♪ プロデューサーさんのお家に行くの♪」

凛「ふーん。まあ、私は……そこまでじゃないかな」

未央「またまた! そんな事言っちゃって、しぶりんったら!」

凛「ちょっと、もう……まあ、楽しみ、かな」

卯月「ふふっ♪ 凛ちゃん、可愛いです♪」

凛「やめてよ、卯月まで」


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛「ふふっ!」ニコッ!


武内P「……」

ちひろ「……」

  ・  ・  ・

ちひろ「……プロデューサーさん」

武内P「はい」

ちひろ「どう……するんですか?」

武内P「現在、企画中です」

ちひろ「いつか……決まってるんですか?」

武内P「今の所、未定です」

ちひろ「自宅に招く気……ありませんね?」

武内P「笑顔です」

ちひろ「はいっ?」

武内P「……皆さん、とても良い笑顔をしています」


武内P「あの笑顔をいつまでも見続けていたい、と」

武内P「……そう、思います」

武内P「千川さん。ご協力、お願いできますか?」


ちひろ「……そういう事なら、仕方ありませんね!」

ちひろ「あの子達を笑顔にするのが、私達のお仕事ですもんね!」



おわり

まゆP「家の住所がバレてしまった…」
武内P「………」
ってなると思うと草

書きます


まゆP「鍋やろうぜ、鍋」武内P「鍋、ですか」

武内P「この時期に、ですか?」


まゆP「この時期だからこそ、だよ」

まゆP「暑い時に冷たいもんを食う、そんなのァ当たり前だろ」

まゆP「男だったら、暑い時にこそ熱いもんを食うべきだろ」

まゆP「お前知らないの?」

まゆP「クーラーのきいた部屋でバーゲンダッシュを食う快感を」

まゆP「本当の贅沢ってのは、ああいうのを言うんだよ」


武内P「何か、特別な理由あるのでは?」


まゆP「はっ、はあっ!? 何!? お前、俺を疑ってんの!?」

まゆP「あーあー、悲しいねぇ! 悲しくて、鍋がしょっぱくなっちまわぁな!」


武内P「では、失礼します」


まゆP「あっ、ちょっとストップぅ! オイ、待てってコラ!」

まゆP「わーったわーった! 言う! 理由を言うからァァァ!!」

武内P「……」


まゆP「ったく、そんな目で見るなって」

まゆP「お前アレだよ? 俺じゃなかったら大変な事になってたよ?」

まゆP「お前の凶悪なツラで睨まれたら、赤ちゃんも一瞬でおじいちゃんだよ?」


武内P「……」


まゆP「はいはい、わかったっての!」

まゆP「まゆが、珍しい肉を手に入れてな」


武内P「珍しい肉……ですか?」


まゆP「おう。それも、滅多に手に入らない代物らしくてな」

まゆP「――今度ぉ、一緒に二人で食べましょうねぇ、うっふぅん」

まゆP「な~んて言って、事務所の冷蔵庫で保管してあるんだよ」


武内P「あの……今のは?」


まゆP「まゆ」


武内P「……」

武内P「あの……まさか」


まゆP「は~っはっはっは! そのまさかよ!」

まゆP「その保管してる肉を先に食っちまおう、ってお誘いだ!」

まゆP「肉が無けりゃ、まゆも俺を鍋に誘う口実が無くなる」

まゆP「一緒に鍋をつついて、色んな所をつつかれる心配もなくなる」

まゆP「どうでぇ! 名案だろ!」


武内P「その……よろしいのですか?」


まゆP「あぁん!? お前は、俺がまゆにグツグツやられても良いってのか!?」

まゆP「っかー! 俺ァ、お前がそんっなに冷たいヤツだとは思わなかった!」

まゆP「皆さーん! ここに、冷酷な男がいまーす!」

まゆP「命乞いをしても、笑顔です、って言いながら引き金を引く男がいまーす!」


武内P「待ってください」

武内P「あの……一人で、食べてしまえば良いのでは?」


まゆP「ば、馬鹿、お前……一人で鍋とか、お前」

まゆP「ま、まあ!? 俺なら一人鍋とか余裕だしィ!?」

まゆP「観覧車だって、コーヒーカップだって一人で乗れちゃうしィィィ!?」


武内P・まゆP「……」


まゆP「……頼むよ」


武内P「……」

武内P「……」


まゆP「まあ、この暑いのに鍋が嫌ってのも、わかる」

まゆP「だから、鍋の間は、扇風機の風向きは半々にしといてやるから」

まゆP「これで文句ねえだろ? なっ?」


武内P「……」


まゆP「……おいおい、冗談だって」

まゆP「首振りで、ちょっとお前の方が風が当たる時間長くしてやるって」

まゆP「ここまで譲ったんだ、当然オッケーだよな? なっ?」


武内P「……」


まゆP「はっははは! オイオイ、ウソウソ、冗談だって!」

まゆP「扇風機の独占権はお前のもんだ! もってけドロボー!」


武内P「……」


まゆP「オイ、何か言えって」

まゆP「あっ、そっかぁ! 感激しすぎて、言葉も出なくなっちゃったかー!」

まゆP「悪ィな、それじゃあ今後困るだろうから、やっぱり扇風機は俺が使う」


武内P「佐久間さんに……悪いと、思わないのですか?」


まゆP「う~ん……」

ブッ!


武内P「待ってください。放屁で返事をしないでください」

まゆP「確かに、悪いなと少しは思うぜ?」


武内P「でしたら」


まゆP「でもな、アイツ絶対何か企んでるもの」

まゆP「鍋をきっかけに、何か仕掛けてくる気満々だもの」

まゆP「だってお前アレだよ? 肉を見て、うふうふ笑ってるんだよ?」

まゆP「食べる気満々なんだよ! 色んな意味でェェェェェ!」


武内P「……」


まゆP「このお肉は、二人で食べないと駄目ですよ、とか言ってるんだぞ!?」

まゆP「だからよ、お前と食ったら何となくセーフだろ!?」

まゆP「あっ、ゴッメーン☆ アイツと二人で鍋パしちゃった☆」

まゆP「とか言ったらギリセーフ! サヨナラ2ランスクイズだって!」

まゆP「だから頼む! なっ!? お願いしますゥゥゥゥゥ!!」


武内P「……わかりました」

武内P「佐久間さんに謝る時は、私も同席します」


まゆP「マジでかァァァァァ!!」

まゆP「責任は、俺が4、お前が6で良いか!?」


武内P「お先に、失礼します」


まゆP「あっ、待って! 待ってェェェェェ!」

まゆP「俺が10! 全部俺の責任で良いから!」

まゆP「だからお願い! 俺と一緒に鍋をしてェェェェェ!!」

  ・  ・  ・
まゆP宅


…グツグツグツグツ…!


まゆP「おっ、お~し! 大分煮えてきたみたいだな!」

まゆP(オイオイ、何だコレ……何なんだよ、コレはよぉ!?)

まゆP(えっ!? 何!? 本当に、何なのコレ!?)

まゆP(今の、ちょっと噛んだけど自然だったよな!?)

まゆP(……ヤベえって……何なんだよ、オイ)


武内P「ええ、良い感じですね」ムッワァァァ!


まゆP「……」

まゆP(どう見ても色っぺェェェェェ!!)

まゆP(ムッワァァァって何だよオイィィィィィ!?)


武内P「? どうか、しましたか?」ムッワァァァ!


まゆP「っ!?///」ドキンッ☆

まゆP「うっ、ううん!/// 何でもない!///」

まゆP(あっ、ヤダ! 顔熱い! ウソウソ、何これ!)

まゆP(……本当に何なのコレェェェェェ!?)


…グツグツグツグツ…!

…グツグツグツグツ…!


武内P「顔が……赤いようですが?」ムッワァァァ!


まゆP「えっ、赤い!?///」

まゆP「赤いのはホラ、お前、アレだよ!/// アレ!///」

まゆP「シャアだから!/// 俺、シャア専用だから!///」


武内P「は……はあ」ムッワァァァ!


まゆP「シャア専用って事はアレだよ、三倍だよ!?///」

まゆP「普段の三倍、ドキドキっつーか、ムラムラっつーか?///」

まゆP「ええい、やってみるさ!///」


武内P「えっ?」ムッワァァァ!


まゆP「ふんぬっ!」

ガゴンッ!


武内P「っ!? な、何故頭を机の角に!?」ムッワァァァ!


まゆP「あぁ、ちょっとシャア専用には赤みが足りないかと思ってな」

まゆP「お前知ってるか? 赤塗料が足りないから、ピンク塗料を使ったんだぜ」

まゆP「おかげで、テリーマンもシャア専用ザクカラーなんだよ、なっ?」


武内P「は……はあ」ムッワァァァ!


…グツグツグツグツ…!

…グツグツグツグツ…!


まゆP「……」

まゆP(ヤベエェェェェェ! どうなってんだよオイィィィィィ!)

まゆP(咄嗟に頭に上った血を抜いたから冷静になれたが……!)


武内P「あの……血は、拭かないのですか?」ムッワァァァ!


まゆP「えっ!?///」ドキンッ☆

まゆP「べっ、別にサザビーじゃないんだからね!///」

まゆP「ナイチンゲールなんだから、勘違いしないでよね!///」

まゆP(何を言ってんだ俺はァァァァァ!!?)

まゆP(ツンデレ!? ツンデレなの!? 何に対してツンしてるわけ!?)

まゆP(兎に角……兎に角、何とか誤魔化さねぇとマズい!)


まゆP「こっ、こんなのすぐ乾くっての!///」

まゆP「って事で、悪ぃが扇風機の向き、ちょっとこっちにするぜ」

―カコンッ


まゆP「……」

まゆP(ああ……なんだか、心が落ち着いてきた)

まゆP(アイツが色っぽいなんて有るはずねえだろ、有り得ねえだろ)

まゆP(一番はかな子! 愛してるぜ、かな子ォォォォォ!)


武内P「……///」モジモジッ


まゆP「……」

まゆP(イヤァァァァァ!! 助けてかな子ォォォォォォ!!)


…グツグツグツグツ…!

まゆP「お……おい、どうした?」

まゆP「何か、お前……顔が赤いぞ?」


武内P「えっ?///」モジモジッ

武内P「いっ、いえ……その……///」モジモジッ


まゆP「おっ、おいおい、俺がシャア専用で、お前がジョニー・ライデン専用か?」

まゆP「アッハハ! 言ってみて思ったが、見た目もちょっとジョニーっぽいな!」

まゆ「アハ、アハハハハハ……!」


武内P「……良い、素敵な笑顔です……///」モジモジッ


まゆP「素敵な笑顔って、お前……はぁっ!?」

まゆP「顔赤いのは、熱でもあるからか!?」

まゆP「ガキじゃあるめえし、まだ大して飲んじゃいねえだろ!?」


武内P「心配……して、くださるのですか?///」モジモジッ

…もっこり!


まゆP「……あ、うん」

まゆP(イヤァァァァァ!!……イヤァァァァァ!!)

まゆP(バズーカ構えちゃってるんですけどォォォォォ!?)

まゆP(コロニー内で、戦闘を始めそうなんですけどォォォォォ!?)


…グツグツグツグツ…!

…グツグツグツグツ…!


まゆP「ちょっ、ちょっと待ってろ!」

まゆP「とっとと、トイレ! トイレ行ってくっから!」


武内P「え、ええ……どうぞ///」


まゆP「行ってくらぁ!」

…ガチャッ!

…ガチャッ! バタンッ!

まゆP「っ……!っ……!」


『――はい、もしもし』

『こんな時間に電話なんて……うふ』

『まゆの声が、聞きたくなっちゃったんですか?』


まゆP「まゆううううう!!」

まゆP「お前、一緒に食おうって言ってた肉に、何か仕込んでたのか!?」


『仕込むだなんて……何もしてませんよ?』


まゆP「だったら、何なんだよアレはよぉ!?」


『……うふ』

『――ラッコのお肉ですよ♪』


まゆP「ラッコの肉……?」

まゆP「ラッコの肉ってのは……食うとどうなるんだ?」


『ラッコのお肉は、ですね』

『一緒に、お鍋を囲うだけ……匂いだけで良いんです』

『二人で、ラッコのお肉を煮込んだ匂いを嗅ぐと……』


まゆP「かっ……嗅ぐと……!?」


『……うふ♪』

『今よりも、もっと、もーっと、強い絆で結ばれるようになるんです』

『プロデューサーさん……まゆ、頑張りますね? うふふふ♪』


まゆP「……悪いな、まゆ」

まゆP「俺ぁ、もう……お前の成長する姿を見てられなくなっちまう」


『……えっ?』


まゆP「電話越しだけど、聞こえるか?」

まゆP「この――」


コンコン、コンコン、コンコン、コンコンッ


まゆP「――でけえラッコが、貝殻を叩いてる音が」

まゆP「アイツのパワーで本気で来られたら、抵抗なんて出来やしねえだろう」

まゆP「ホタテみたいに、パクッといかれちまわぁな」


『……!?』

『あの……まさか!?』

『シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさんですかぁ!?』


まゆP「今のアイツは、一匹の獣だ」

まゆP「公国かと思いきや、帝国だった」

まゆP「モビルスーツじゃなくて、ゾイドだった」

まゆP「デスザウラーの荷電粒子砲で、サヨナラだ、まゆ」


『何を言ってるんですか!?』


コンコン、コンコン、コンコン、コンコンッ


まゆP「おっしっせっまーる! とーきをこーえてー!」

まゆP「ふんふんふんふんふふーん!」


ドンドン、ドンドン、ドンドン、ドンドンッ


『……大丈夫です、プロデューサーさん』


まゆP「……何が?」


『どんなに汚れても――』

『まゆは、プロデューサーさんを見捨てたりしませんよ♪』


まゆP「……」

まゆP「見捨ててるじゃねえかァァァァァ!?」

まゆP「おい! 何とか……切りやがった!?」


ドンドンドンドンッ!


まゆP「……!?」

まゆP「ど、どうした……!?」


「――いえ、私も、トイレに行きたいと……そう、思いまして」


まゆP「だ、だからってお前、アレだよ!」

まゆP「あーっ、出てる出てる! 今、モリモリ出てる!」

まゆP「出口から出てるわー! これ、入り口じゃねーわー!」

まゆP「そっ、外にトイレあるから、そっち使えって! なっ!?」

まゆP「すぐ近くの公園! でっかい滑り台がある所ー!」


「いえ、もう……限界が、近いので」


まゆP「馬鹿野郎! 自分で、自分の限界を決めるんじゃねえ!」

まゆP「眼の前に壁があるからって、諦めたりするな!」

まゆP「お母さんね、やれば出来る子だって信じてるから!」


「はい」

ドンドンッ!


まゆP「ドアを叩くなってェェェェェ!! マジでやめろってェェェェェ!!」

まゆP「お前がいくら頑張ったって、やっても出来ないからね!!」

まゆP「あっ、かな子! かな子くれるなら……やっぱり嫌ァァァァァ!」

…カチャリ


まゆP「……」

まゆP「えっ?」


…ガチャッ


武内P「……もう、済んでいるようですね」


まゆP「お、お前……どうやって鍵を!?」


武内P「笑顔です」

武内P「10円玉で……笑顔で、開けました」


まゆP「笑顔関係なくない!? 全然関係ないよねそれ!?」

まゆP「ちょっ、ちょっと待て! 来るな! 来ないで!」

まゆP「お願いだから! 10円と言わず、300円あげるからァァァ!!」


武内P「……」


まゆP「……い……い……!」


まゆP「イヤアアアァァァァァ!!」

  ・  ・  ・

まゆP「いやー! 昨日は危なかったな、マジで!」


武内P「……ええ」


まゆP「だーから、悪かったって!」

まゆP「って言うか、危なかったのは俺の方だからね!?」

まゆP「危うく、男同士でローカルルールの壁を超える所だったからね!?」


武内P「トイレは……換気扇があって、助かりました」


まゆP「ああ、換気扇が無かったらやばかったな」

まゆP「あれのおかげで、ログイン棒ナスを受け取らずに済んだ」


武内P「……もう、忘れたいです」

まゆP「……俺だって忘れてえよ」

まゆP「でもま、悪いことばっかりじゃなかったな」

まゆP「今日のまゆは、優しい目をしてた」


武内P「待ってください」

武内P「あの……誤解をといていないのですか!?」


まゆP「ちょっとでもヤバい気配を感じたらな?」

まゆP「こう、尻に手を当てて痛がるフリをすると、空気が和らぐんだよ」

まゆP「しばらくは、これで何とか乗り切れると思う」


武内P「佐久間さんの誤解をといてきます」

まゆP「まあ、待てって」

ガシッ!

武内P「離してください」

まゆP「一緒のトイレにこもった仲じゃねえか! なっ!?」

武内P「あれは、仕方なくです」

まゆP「無理やり入ってきたのは、そっちだろうが!」

まゆP「壊れるかと思ったんだぞ!? あんなに激しく叩いてよぉ!」

武内P「大丈夫だと、そう、判断しました」

まゆP「兎に角、行かさねえぞ!」

武内P「……離してください」

…グイグイッ!


アイドル達「……しゅ……しゅ――」


アイドル達「修羅場……!?」



おわり

書きます


武内P「腕相撲、ですか」

拓海「おう、勝負しようぜ」

武内P「あの……何故、でしょうか?」

拓海「あ? 逃げんのか?」

武内P「いえ、理由が……気になりまして」

拓海「そんなの決まってんだろうが」


拓海「アンタが怪力だって聞いたからだよ」


武内P「……」

武内P「……はあ」

拓海「っつーわけで、やんぞ!」

武内P「いえ、しかし……男性と女性の差もありますし」

拓海「……チッ、ゴチャゴチャうっせーな」

武内P「……」

拓海「んだよ、やりたくない理由でもあんのか?」


武内P「はい」

武内P「その、腕相撲をしたら……手を繋ぐことになります」

武内P「私は、それが恥ずかしいと、そう、思います」


拓海「……」

拓海「はあ!?」

拓海「待て待て待て! なんだそりゃ!?」

武内P「? そのままの意味ですが……?」

拓海「テメエ! アタシを女と思ってナメてんのか! あぁ!?」

武内P「っ!? 待ってください、誤解です!」


武内P「女性と手を握るのが、恥ずかしい」

武内P「……これは、私自身の問題です」


拓海「……」

拓海「お、おう!?」

拓海「……まあ、そういう事なら、しょうがねえか」

武内P「申し訳、ありません」

拓海「悪ぃ、邪魔したな」

武内P「いえ……お仕事、頑張ってください」

拓海「おう」


拓海「――って、やっぱりナメてんだろ!?」

拓海「女と手を握るのが恥ずかしいだぁ!?」

拓海「いくらなんでも、そんなんで騙されるかよ!」


武内P「っ!?」

拓海「テメエは、プロデューサーをやってンだろうが!」

武内P「は、はい! ですが、接触する必要もなく!」

拓海「アイドルと関わってて、んな筈あるかよ!」

武内P「いえ、ですが!」

拓海「手を握る位なんだっつーんだよ!」


拓海「オラ! こうしてだな――」

スッ―

武内P「っ!?」

―スカッ


拓海「……テメエ、避けやがったな?」

武内P「……はい」

拓海「オイ……何で避けた?」

武内P「いえ、ですから……恥ずかしいので」

拓海「おうおう、そうかそうか」

武内P「はい」


拓海「それならしょうがね――」

スッ―

武内P「っ!?」

―スカッ


拓海「クソが! 不意をついても無理か!」

武内P「向井さん、やめてください!」

武内P「何故、このような真似を!?」

拓海「あぁ? 面白そうだからに決まってんだろ」

武内P「お願いします! どうか、やめてください!」

拓海「アイドルは、握手会もするだろ? だから――」


拓海「オラオラァ!」

スッ、スッ!

武内P「っ!?」

トンッ……スタッ!


拓海「バックステップで距離を取ってんじゃねえ!」

武内P「すみません! ですが、考え直してください!」

拓海「お前……アタシを本気にさせたな?」

武内P「そんなつもりは、決して!」

拓海「こうなったら、意地でも手を握ってやんよ!」

武内P「どうしてそうなるのですか!?」

拓海「特攻隊長、向井拓海! 行くぞオラァ!」


拓海「――らっ、羅武璃~♪」

拓海「たくみんと、握手しよー!」

スッ…


武内P「……」

拓海「……」

武内P「……」

拓海「……」


拓海「ふっざけんじゃねえぞコラァァ!/// オラァァ!///」


武内P「自爆なのに! 待ってください……自爆なのに!」

拓海「ぜってぇ潰す! 手を握り潰す!」

武内P「すみません! この通りですので、どうか!」

拓海「うるせえ!」

武内P「っ!?」


拓海「ぜってえ逃さねえ!」

拓海「まずは、テメエの手を握る!」

拓海「じゃねえと、アタシのプライドが許さねえ!」


武内P「助けてください!」

武内P「誰か、助けてくださ――いっ!」


拓海「ソッコーで助けを呼んでんじゃねえええ!!」

拓海「でけえ図体して、プライドっつーもんがねえのか!?」

拓海「恥ずかしいとは思わねえのかよ、アァン!?」

武内P「それは……重々、承知しています」

武内P「……ですが」


武内P「女性と手を繋ぐ方が、恥ずかしい」

武内P「……私は、そう思います」


拓海「オラァ!」

スッ!

武内P「っ!?」

サッ!


拓海「チッ! 惜しい!」

武内P「話を! どうか、話をきいてください!」

拓海「っつーか、そんなんでやってけてンのか?」

武内P「ええ、それに関しては、問題ないかと」

拓海「テメエんトコのアイドルと触れる時もあんだろ」

武内P「そう、ですね」

拓海「……そん時はどうしてんだよ?」


武内P「こう……逃げないよう、丹田に力を込めて、ですね」

武内P「自分と、相手の間に見えない壁がある、と」

武内P「……そう、イメージして乗り切っています」


拓海「……お前、それぜってぇ担当に言うんじゃねえぞ!?」

武内P「はい。私も、お伝えするつもりはありません」

拓海「……まあ、ショックを受けるだろうしな」

武内P「そう、でしょうか?」

拓海「あぁ? そうに決まってンだろ」

武内P「……私の考えでは、ですね」


武内P「面白がって、過剰なスキンシップを取ろうとする、と」

武内P「……そう、なると思っています」


拓海「……」

拓海「なるな、間違いなく」

拓海「恥ずかしがるの、治そうとすんだろ」

武内P「……ええ」

拓海「はっは! そうなったら大変だな、えぇ?」

武内P「はい」

拓海「……で、だ」

武内P「? はい」


拓海「アタシは、その秘密を知ったんだが」

拓海「……アンタ、どう思う?」


武内P「……」

武内P「っ!?」

武内P「ま、待ってください! あのっ!?」

拓海「なーに、別に言いふらそうなんて言っちゃいねえよ?」

拓海「でもなぁ、黙っててやる義理もねえよなぁ~?」

武内P「っ……!」

武内P「では……どうしたら、内密にしていただけるのですか?」


拓海「決まってんだろ」

拓海「――腕相撲だよ」


武内P「……」

武内P「……わかり、ました」

武内P「向井さんとの腕相撲……お受けいたします」

拓海「ははっ! そうこなくちゃな!」

武内P「一回だけで、構いませんか?」

拓海「おう! 一回やりゃ、力がわかるってもんだぜ!」

武内P「精神集中するので……少し、お待ちいただけますか?」

拓海「ああ、良いぜ! 全力じゃねえと、面白くねえからなぁ!」


武内P「……恥ずかしくない、恥ずかしくない」ブツブツ

武内P「手を握っても、恥ずかしくない……笑顔です」ブツブツ


拓海「そっちかよ」

武内P「……お待たせしました」

拓海「おう。手を抜いたら、承知しねえぞ」

武内P「はい、わかっています」


拓海「開始の合図は、テメエがやりな」


武内P「いえ、それは、向井さんにお任せして良いでしょうか?」

武内P「恥ずかしくて、声が裏返ってしまうかも……知れませんから」


拓海「お前、ホント何だそれ」


拓海「まあ良い……来いやぁ!」

スッ―

武内P「……」

―ガシッ!

拓海「……!」

拓海(わかっちゃいたが、でけえ手だ!)

拓海(それに、握ってるだけで威圧感が半端じゃねえ!)

拓海(アタシは、勝てるのか?)

拓海(……違う、そうじゃねえだろ!)

拓海(やるからには勝つ! 弱気んなってんじゃねえぞ!)


武内P「恥ずかしイ(↑)ので、早く!」


拓海「……」

拓海(何より、これに負けたらアタシが恥ずかしい!)


拓海「――オラ、行くぜ!」

拓海「レディー……!」

武内P「……!」

拓海「ゴー!」


拓海「オラアアアァァァッ!!」


武内P「プロデュウウ――スッ!」


ぐぐぐぐっ、ぺたんっ


拓海「……」

武内P「……これで、秘密にしていただけますね?」


拓海「もう一回! もう一回だ! 今の無し!」


武内P「えっ!?」

武内P「あのっ、今、私が勝ちましたよね!?」

拓海「テメエ、手加減しやがっただろ!? オイ、コラ!」

武内P「えっ?」

拓海「あんなんじゃ納得出来ねえ! 本気だせっつっただろ!」

武内P「いっ、いえ! ですが!」


拓海「アタシが怪我すると思って、手を抜いたよなぁ!?」


武内P「待ってください! それは、違います!」

武内P「本気でやったら、机が壊れてしまう、と!」

武内P「千川さんに、物凄く怒られると、そう、考えた結果です!」


拓海「それはそれでクッソ腹立つわ!」

武内P「ですので、その……手を離してくだサ(↑)い!」

拓海「だったら約束しろや!」

武内P「えっ!?」


拓海「今度は、テメエが本気を出せる場所で、再戦だ!」


武内P「わっ、わかりました! わかりマ(↑)したから! 早く!」

拓海「……ふん」

…パッ

武内P「……と、とりあえず、秘密の方は……?」

拓海「保留だ、保留」

武内P「……」

拓海「良いか!? 再戦、忘れんじゃねえぞ!?」

武内P「……で、ですが……向井さんの手も、破壊してしまいます」

拓海「あぁ!? 鍛え直してくるに決まってンだろうが!」

拓海「次はこうはいかねえぞ、コラァ!」


武内P「……では、私も」

武内P「革の手袋と、衝撃吸収素材を用意しておこう、と」

武内P「……そう、思います」


拓海「へっ、面白ぇ! 覚悟しとけよ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


拓海「ハッ! アタシは、特攻隊長、向井拓海だぞ!」

拓海「……」


拓海「って、お前! その準備、ナメてんだろ!?」



おわり

第二期シンデレラプロジェクトの話ってどうなったんや?

>>211
完全に忘れてました
確認してきます

確認しました
気が向いたら書きます


武内P「正直、動物は苦手です」

みく「えっ!? そうなの!?」

武内P「はい」

みく「苦手って、どうして?」

武内P「何故か、とても警戒されてしまいまして」

みく「じゃあ、ネコチャンは!?」

武内P「……」


武内P「……申し訳、ありません」


みく「……!?」

  ・  ・  ・

みく「――っていう事があったにゃ!」

アーニャ「ミク。声が、大きいです」

のあ「そうなのね」

みく「反応が薄い!」

みく「ネコチャン系アイドルとして、自覚が足りないよ!」

アーニャ・のあ「はあ」


みく「Pチャンの、動物への苦手意識!」

みく「一刻も早く、これを何とかする必要があるにゃ!」


アーニャ・のあ「……はあ」

みく「まず、ネコちゃんを好きになって貰う!」

みく「そうじゃないと、色々と困るにゃ!」

アーニャ「イズヴィニーチェ、すみません……あの」

アーニャ「困る、とは? 何が、困るのですか?」

みく「あーにゃん、落ち着いて聞いて」

アーニャ「ダー」


みく「あーにゃん、ネコっぽいでしょー?」

みく「つまり、ネコが苦手って事は――」

みく「Pチャンは! あーにゃんが苦手って事になるにゃ!」


アーニャ「シトシトシトシト――!?」


のあ「落ち着いて」

みく「あーにゃんは、それでも良いの!?」

アーニャ「ニェニェニェニェ――ット!!」

アーニャ「嫌、です!! 駄目、です!!」

アーニャ「アーニャ、ネコミミを捨てます!」

みく「そんな事しても無駄だよ、あーにゃん!」

アーニャ「シトー!? どうして、ですか!?」


みく「ネコミミは、一度つけたら外れないにゃ!」

みく「人は誰しも……心にネコミミを着けてるんだから!」


アーニャ「……ニェート……アー、そんな……!」


のあ「そんな事は無いと思うわ」

みく「だから、方法は一つしか無いにゃ」

アーニャ「ミク……?」

みく「Pチャンに、動物――ネコチャンを好きになって貰うの!」

みく「そうしたら……むしろ!」

アーニャ「プロデューサーに……好きになって、貰えますね!?」

みく「その通りにゃ! あーにゃん、頑張ろう!」

アーニャ「ダーダーダー! ミク、頑張りましょう!」


みく「――と言う訳で、のあにゃん」

アーニャ「――良い方法、ありますか?」


のあ「あるわ。それも、とても簡単な方法が」


みく・アーニャ「!」

みく「サクッとあるって言ったにゃ!」

アーニャ「ノア、教えてください!」


のあ「彼が、動物が苦手なのは、動物が彼を警戒するから」

のあ「なら、彼を警戒しない動物と触れ合わせれば良い」

のあ「それにより、苦手意識の排除を図る」

のあ「今回の場合は、彼を警戒しない猫、と言った所かしら」


みく「……でも」

アーニャ「……それは、難しいですね?」


のあ「――いいえ、とても簡単よ」


のあ「……」ポコジャガポコジャガ!


みく「の……のあにゃん?」

アーニャ「そのダンスは……何ですか?」

のあ「……」ポコジャガポコジャガ!


みく・アーニャ「……」


のあ「……」ポコジャガポコジャガ…

のあ「!」ポン!

のあ「……これで、準備は整ったわ」

のあ「みく、アナスタシア。後は……貴女達次第」


みく・アーニャ「な、何が!?」


のあ「今、彼の瞳に介入したわ」

のあ「彼の瞳は、アイドルは全て猫に見えるようになっている」

のあ「偽りの姿、偽りの声、けれど……彼は、それに気づけない」

のあ「気づけなければ、それは真実と認識されるわ」


みく・アーニャ「!」

ガチャッ、バタンッ!


のあ「……頑張りなさい、みく、アナスタシア」

  ・  ・  ・

みく「はぁ……はぁ……! 急ぐにゃ、あーにゃん!」

アーニャ「ミク! 遅れているのは、ミク、です!」

みく「とにかく! これで、Pチャンにネコを好きになって貰えるね!」

アーニャ「ダー! アーニャを好きになって貰えます!」

みく「思いっきり愛想を振りまいて、メロメロにしちゃうにゃ!」

アーニャ「ダダッダー! 今日のアーニャは、甘えん坊、ですね!」


ガチャッ!


みく「Pチャン!」

アーニャ「プロデューサー!」


武内P「……! 撫でても、逃げない……!」ジーン…!

凛「にゃ……にゃ~ん///」


みく・アーニャ「!?」

武内P「何故、事務所に猫がと、思いましたが……」

ナデナデ…

凛「あっ、あっ……にゃにゃ~ん///」

武内P「逃げない……! 撫でても、逃げない……!」ジーン…!

武内P「毛並みもツヤツヤで……キミは、誰かの飼い猫だろうか」

ナデナデ…

凛「あっ、あっ、あっ……アンタが私のプロデューにゃ~ん……///」


みく・アーニャ「……」

みく「凛チャン?」

アーニャ「リン?」


凛「ふにゃ~ん/// 悪くにゃい……」


みく・アーニャ「……」


凛「……」

凛「違うの――っ! これは違うの――っ!」

武内P「っ!? きゅ、急に……何が!?」

凛「なんか! プロデューサーが! 私を猫って! 猫ってー!」ジタバタ!

武内P「こ、こういう時は、どうすれば……!?」

凛「犬派だけど! 犬派だけど、最近猫もアリだって! そんな感じで!」ジタバタ!

武内P「! 確か、喉を……!」

コチョコチョッ!

凛「っふっ、やっ、ちょっとプロデューサー! くすぐったいってば!」

武内P「! も、もう少し……こう、ですか?」

凛「あっ、やめ、やめ……やめやめ……!///」

武内P「笑顔です……笑顔です……」

凛「やめっ、や、や、にゃ……にゃああ……///」


みく・アーニャ「……」

武内P「……落ち着いた、ようですね」

ナデナデ…

凛「……///」

武内P「動物は、苦手だと思っていましたが……」

武内P「猫は……はい、可愛いですね」ホッコリ

ナデナデ…

凛「はあぁぁ……!/// これはやばいにゃあ……///」


みく「……と、途中はどうあれ!」

みく「Pチャン、猫を好きになったみたいだね、あーにゃん!」


アーニャ「ニャ――ンッ!」

アーニャ「ニャニャニャニャ――ンッ!」


みく「!?」


武内P「猫が……もう一匹、いや、二匹……?」

武内P「っ!? お、怒っている……!?」


アーニャ「リンだけ、ズルい、です! ニャン!」

アーニャ「アーニャも、撫でて欲しいです! ニャン!」


武内P「っ……!? ど、どうしたら……!?」

凛「ちょっと、アーニャ! プロデューサー、困ってるでしょ!?」

凛「困って、私を撫でる手が止まってるから! 静かにして!」


アーニャ「ニャ――ンッ! アーニャも!」

アーニャ「アーニャも、撫でて欲しい、です!」

アーニャ「ニャン! ニャン! ニャ――ンッ!」

スリスリッ!


武内P「これは……撫でろと、そういう事……でしょうか?」


アーニャ「ハラショ――ッ! その通り、です! ニャン!」


みく「あ、あの……あーにゃん!?」

武内P「……しかし……引っ掻かれは、しないでしょうか……?」

そーっ…

アーニャ「ンー! ンー! プロデューサー!」

スリスリッ!

武内P「! この白猫は――」

ナデナデナデナデ

アーニャ「オー♪ アー♪ ニャン♪ ニャニャニャーン♪」

武内P「――人懐っこい……!」

ナデナデナデナデッ

アーニャ「アー、フフッ/// ンフフッ/// ニャンニャーン///」

武内P「こ……これは、とても可愛いですね……!」ジーン…!


みく「目的は達成してるけど!」

みく「達成してるけど、どう見てもやっべー状況にゃあああ!!」

みく「凛チャン、あーにゃん!」

みく「もう良いでしょ!? さっさと逃げるにゃ!」


凛「みく、何馬鹿な事言ってるの?」

アーニャ「ミク、逃げるのは、アー、バカのする事ですね?」

武内P「! 両手で……二匹の猫を同時に撫でれば――」

武内P「――とても、幸せな気分になれるのでは……!?」

ナデナデナデナデッ

凛・アーニャ「にゃああああ///」

武内P「凄い……! 何という事だろう……!」ジーン…!


みく「二人がバカにゃ!」

武内P「しかし……もう一匹の猫は、寄ってきませんね」


みく「っ!? よ、寄らないよ!?」

みく「もう、十分ネコチャンを好きになったでしょー!?」


武内P「撫でるには……手が足りませんが」


みく「だっ、だよね! みくの出番は無いにゃ!」


武内P「――膝」ポツリ


みく「へっ?」


武内P「両手で、猫を一匹ずつ撫でつつ……」

武内P「……膝の上に猫を乗せられたら」

武内P「きっと……今よりも、猫を好きになれると、そう、思うのですが」


みく「……!?」

凛「……みく」

アーニャ「……ミク」


みく「凛チャン……あーにゃん……?」


凛「プロデューサーの膝の上、乗ってあげて」

アーニャ「ダー。リンの、言う通り、です」


みく「で、でも……///」


凛「プロデューサー、そっちを気にして撫でるの止まってるんだよね」

アーニャ「ミク。ネコは、膝の上に乗るもの、ですね?」

凛「うん。ねえ、みくのネコキャラへの思いって、そんなものだったの?」

アーニャ「恥ずかしがっては、いけませんね?」


みく「う……う~っ!」

みく「みくは、自分を曲げないよっ!」

  ・  ・  ・

みく「はああぁぁぁ……膝の上、落ち着くにゃああ……」

凛「ね、ねえ……ちょっと、後で交代してよ」

みく「無理にゃあああ……みく、ここから動けないにゃああ……」

アーニャ「プロデューサー、ミクだけずるい、です!」

武内P「? もっと、撫でろと……?」

ナデナデナデナデ…

みく・アーニャ・凛「にゃあああ……///」



ちひろ「なっ……何をしてるんですか……!?」



みく・アーニャ・凛「……」

みく・アーニャ・凛「あっ」

みく「こっ、これには事情があって!」

アーニャ「だっ、ダー! 事情、あります!」

凛「プロデューサーは、私達が猫に見えてて!」


ちひろ「えっ!?」


みく「そうなの! Pチャンは、ネコチャンと戯れてると思ってるにゃ!」

アーニャ「プロデューサーは、動物が、猫が苦手と聞きました!」

凛「なんかそんな感じで! それを治すためで……他意は無いから!」

武内P「……」

ナデナデナデナデ…

みく・アーニャ・凛「ふにゃああああ……///」


ちひろ「わっ、わからないけど……わかりました!」

武内P「何処かから、迷い込んできたようで――」


ちひろ「にゃん♪ にゃんにゃん♪」

ちひろ「プロデューサーさーん、猫ちゃんだにゃ~ん♪」

ちひろ「可愛いにゃ~ん♪ ほらほら~♪」

ちひろ「にゃにゃにゃにゃ~ん♪」


武内P「えっ?」


ちひろ「……えっ?」


みく「あっ、いやあの、その……ちひろさん」

アーニャ「プラスチーチェ、ごめんなさい……アー、ごめんなさい」

凛「その……猫に見えるの……アイドルだけ、らしいんだよね」


武内P「……」


ちひろ「……」

ちひろ「えっ?」

武内P「……」

ちひろ「……」


みく「あっ! み、みく達、もう行くね!?」

アーニャ「ダー! レッスンまで、あと二時間しかない、です!」

凛「そっ、そうだね! 遅刻しちゃまずいから!」

みく・アーニャ・凛「――それじゃっ!」

ガチャッ! バタンッ!


武内P「……」

ちひろ「……」

武内P「……あの」

ちひろ「何ですか?」

武内P「……千川さん」

ちひろ「何ですか?」

武内P「……今のは」

ちひろ「何ですか?」

ちひろ「何なんですか?」

ちひろ「にゃんにゃがにゃーん!?」

武内P「っ!?」

武内P「す、すみません……何でも、ありません」

ちひろ「はい」

武内P「……」

ちひろ「黙ってないで、何か言ってください」

武内P「えっ!?」

ちひろ「良いですか? 私、ちょっと限界ですよ?」プルプル!

武内P「っ!?」

武内P「そ、その……ですね、ええ、と……はい……!」

ちひろ「……」プルプル!

武内P「ど、動物は、どちらかと言えば、苦手だったのですが……!」

ちひろ「はい、それで?」プルプル!

武内P「……ねっ――」


武内P「猫は、可愛いですね」



おわり

書きます


武内P「……離してください、城ヶ崎さん」

莉嘉「ブッブー! 違いまーす!」

武内P「いえ、この声は間違いありません!」

莉嘉「……すごーい! さっすがPくん!」

ぎゅうっ!

武内P「あの、私の頭ごと抱えて――だーれだ――をしないでください!」


みりあ「すごーい! プロデューサー、すぐわかったね!」

美嘉「いやいやいや、莉嘉!? 莉嘉!?」

未央「あれは……無邪気なのか、小悪魔なのか」

莉嘉「え~っ? イイじゃん、サービスだよん☆」

ぎゅうっ!

武内P「お願いします! あの、お願いしますから!」

莉嘉「イヤーン☆ Pくん、頭で胸をグリグリしないで~☆」

ぎゅうっ!

武内P「すっ、すみません! すみません!」


みりあ「あはははっ! プロデューサー、すっごく焦ってるね!」

美嘉「莉嘉! りっりりり莉嘉! やめな! やめなってぇ!」

未央「ありゃあ悪魔だよ! カリスマ大悪魔だよ!」

莉嘉「あんっ☆」

ぎゅうっ!

武内P「っ!?」

莉嘉「……エッヘヘヘ! な~んちゃって☆」

…ぱっ!

莉嘉「どう? どう? Pくん、ドキドキした?」

武内P「……心臓が……止まるかと思いました」


みりあ「やったね、莉嘉ちゃん! 大成功ー!」

美嘉「りっ、莉嘉ー! ちょっとこっち来なさい! 莉嘉、コラ!」

未央「……そうだねぇ、さすがに今のは、ねぇ?」

莉嘉「イエーイ☆」

みりあ「イエーイ♪」

パンッ!

美嘉「じゃ、ないでしょうが! アンタ、何考えてんの!?」

莉嘉「えっ? 何が?」

美嘉「うっ、後ろから抱きつくなんて! だきっ、抱きつくなんて!」

みりあ「えっ? でも、前に美嘉ちゃんにした時は、喜んでくれたよね?」

美嘉「えっ!? い、いや、それとコレとは話が……!」

未央「美嘉ねぇ! 負けちゃ駄目だよ! ファイト!」


武内P「……」

莉嘉「えっ!? そーなの!?」

みりあ「うん。美嘉ちゃんにした時は、前からだったよね?」

美嘉「そっ、そうだケド! でも、違うからね!?」

莉嘉「あっ、そうだよね! だって、前からじゃ誰かわかっちゃうし!」

みりあ「ホントだ! ねえねえ、美嘉ちゃんだったらどうするの?」

美嘉「へっ!? どうするの、って……な、何が?」


莉嘉・みりあ「だーれだっ?」

莉嘉・みりあ「……って!」


美嘉「えっ、ええっ!?」

未央「チャンスだよ、美嘉ねぇ! 普通の、お手本を見せれば良いんだよ!」

美嘉「う……うん」


武内P「……」

莉嘉「きっと、お姉ちゃんだったら凄いの見せてくれるよ!」

みりあ「うんうん! だって、美嘉ちゃんだもん!」

莉嘉「そう! アタシの憧れの、カリスマJKアイドル☆」

みりあ「きっと、見たこと無いのを見せてくれるよ!」

莉嘉・みりあ「ねーっ♪」


美嘉「未央……未央?」

未央「悪気の無い、あの期待に満ちた目……!」


莉嘉・みりあ「わくわく♪ わくわく♪」キラキラッ!


未央「美嘉ねぇ……ガンバ!」グッ!

美嘉「未央、アンタ……他人事だと思ってぇ!」


武内P「……」

美嘉「じゃ、じゃあ……アタシが、お手本を見せるから!」

未央「み、美嘉ねぇ……無理はしないでね?」

美嘉「わ、わかってるケド……でも……!?」

莉嘉・みりあ「わくわく♪ わくわく♪」

美嘉「……こうなったら、やるしかない、よね」


美嘉「良い? よーく見とくんだよ★」

美嘉「カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉の――」

美嘉「――だーれだっ★」

美嘉「……をね!」ビシッ!


莉嘉・みりあ「はーいっ!」

未央「絶対に! 絶対に、無理はしないでね!?」

未央「私、嫌だからね!? フォローしないからね!?」


武内P「……」

美嘉「それじゃあ……行くよ★」

スウッ―…


未央「っ!? はっ!? 美嘉ねぇが消え――」


美嘉「……」

武内P「……」


未央「――たと思ったら、プロデューサーの背後に!?」

莉嘉「出たっ! お姉ちゃんの、カリスマウォークっ☆」

みりあ「うんうん! 闇ある所、光あり! 悪ある所、正義ありー!」

莉嘉「芸能界の闇に染まらない、輝く光の魔法のウォーキング☆」

みりあ「でも、大事な誰かにだけは、気付いて欲しいのかもしれないね!」

莉嘉・みりあ「ねーっ!」

未央「何それ!?」


未央「ねえ、何それ!!?」

莉嘉「後ろをとって、お姉ちゃんはどうするんだろ!」

みりあ「きっと、すっごい事をするに違いないよ、莉嘉ちゃん!」


美嘉「……」

…ススッ


未央「えっ? 美嘉ねぇ?」

未央「ねえ……どうして、シャツと上着をまくって――」


美嘉「――!」

ズボッ!

武内P「っ!?」


未央「――その中にプロデューサーの頭を入れた!?」

莉嘉・みりあ「すっ……すご――い!!」

未央「いや、凄いけど! 確かに凄いけれども!?」

美嘉「……!……!」

ぎゅううっ!

武内P「んーっ!?んんーっ!?」ジタバタ!


莉嘉「凄い凄い! アレなら、誰かわかんないよ!」

みりあ「うんうん! さっすが美嘉ちゃんだね!」

未央「美嘉ねぇ――っ! 何してんの!? 美嘉ねぇってば!」


美嘉「んあああああ誰ああああああっ!?///」

ぎゅううっ!

武内P「んんーっ! んんんーっ!」


未央「恥ずかしいならやめなさいって!」

未央「期待に応えようと無理しすぎだってぇ!」

美嘉「ああああ素肌にうわああああっ!?///」

ぎゅううっ!

武内P「んんーっ! んんーっ!」ジタバタ!


莉嘉「どうしたの、お姉ちゃん!? 素肌に!?」

みりあ「あっ! 髪の毛が、チクチクするのかな!?」

未央「そういう細かい事じゃないと思うよ!?」


美嘉「だだっだだだ誰ああああ誰ええええっ!?///」

ぎゅううっ!

武内P「んーんんんっ!? んーんんんんーっ!?」


未央「プロデューサーも話聞いてたから!」

未央「やってるの美嘉ねぇだってバレてるってぇ!」

美嘉「……!……!……!……!」パクパク!

ぎゅううっ!

武内P「んーんんんんっ! んーんんんんーっ!?」ジタバタ!


莉嘉「! お姉ちゃん、何か言ってる!」

みりあ「口パクなのは……何か、理由があるのかな!?」

未央「あれは……」


美嘉「……!……!……!……!」パクパク!

ぎゅううっ!

武内P「んーんんん! んんー! んんー!」


タ……ス……ケ……テ……!


未央「どうやって!? ねえ、どうやって!?」

美嘉「……!……!」パクパク!

ぎゅううっ!

武内P「んーんんんっ! んんんんっ!」ジタバタ!


ミ……オ……!


莉嘉「未央ちゃん! お姉ちゃんの言ってるコト、わかるの!?」

みりあ「ねえねえ! 美嘉ちゃん、何て言ってるの!?」

未央「わ、私の名前を呼んでる……!」


美嘉「……!……!……!」パクパク!


コ……ン……ド……!


未央「う……ううっ……!?」


美嘉「……!……!……!……!……!」パクパク!


オ……ゴ……ル……カ……ラ……!


未央「わかんない……わかんないよ!」

未央「何を奢ってもらえば割に合うのか、わかんないよ!」

美嘉「んみっ、未央ーっ!/// はやく!/// はや――くっ!///」

ぎゅううっ!

武内P「んっ!? んんんんんっ!? んんっ!?」ジタバタ!


莉嘉「もう、さっきの口パクで作戦は伝わってるんだよね!?」

みりあ「早くしてあげて! もう、美嘉ちゃん限界みたい!」

未央「無理だって! 何も作戦なんて無いって!」

未央「頭から手を離して、開放するしか無いんじゃないの!?」


美嘉「無理――っ!/// そんなの無理――っ!///」

ぎゅううっ!

武内P「んんんんっ! んんん――っ!?」ジタバタ!


未央「だったらどうすりゃ良いのさ!?」

美嘉「あああああっ!///んんあああっ!///」

ぎゅううっ!

武内P「……」

…ピタッ


莉嘉「! Pくんの……動きが止まった!?」

みりあ「プロデューサー……どうしたのかな!?」

未央「なっ、何かする気!? でも、この状況で……」


武内P「!」

グァシィッ!


未央「じっ、自分の首を締めて――」


武内P「」

…だらんっ


未央「――自分で気絶した!?」

美嘉「えっ? えっ、あっ、えっ!?」

…スポッ!

武内P「」

…ドサッ!


未央「ぷっ、ぷ……プロデューサ――っ!?」


莉嘉・みりあ「……すっ――」

莉嘉・みりあ「――すっごーい! すごいすごい!」

莉嘉「お姉ちゃん位のカリスマになると、相手が気絶するんだ!」

みりあ「うんうん! TOKIMEKIがエスカレートしすぎちゃうんだね!」


美嘉「えっ!?……ま……まあ――」

美嘉「――この位余裕っしょ★」ビシッ!


未央「言ってる場合!?」

武内P「」

未央「プロデューサー! しっかり! おーい!」

ペチペチッ!

武内P「……ん」

未央「! 気がついた! 大丈夫、プロデューサー!?」

武内P「……本田さん?」


武内P「先程のは……まさか、本田さんが?」


未央「へっ?」

未央「……」

未央「いやいやいやいや!? 違うよ!? 私じゃないよ!?」

武内P「……いえ、ですが」

未央「やったのは、私じゃなくて――」バッ!


……シーン…


武内P「本田さん以外……誰も、居ませんので」


未央「……!?」

未央「こっ、声! 声、私のじゃなかったよね!?」


武内P「ほとんど聞こえない状態で、抱えられていたので……」


未央「……!?」

武内P「……本田さんは、少し、スキンシップが過剰な所があります」

未央「待って! お説教モードに入らないで!」

武内P「……わかりました」

未央「わかってくれた!? 誤解、とけた!?」

武内P「しかし……今後、このような事の無いよう、お願いします」

未央「だから、私じゃないんだって!」


未央「犯人は――……」

未央(あっ、でも……私がここで話したら……)

未央(……美嘉ねぇ、絶対困るよね)

未央(逃げ出すくらいだもん……きっと、すっごく困る)


武内P「……話してください、本田さん」


未央(でも、まあ――)


未央「うん! 美嘉ねぇだよ!」グッ!


未央(知ったこっちゃないよね)



おわり

一行消えてました
>>263の最後の行に、


未央「ねえ、記憶もちょっと飛んでるの!?」


を追加で

えプロデューサーなるもの、担当アイドルの香水の銘柄とかわかるものではないの?
利きアイドルみたいな

>>274
書きます


武内P「利きアイドル、ですか」

未央「そう! プロデューサーなら、わかって当然!」

未央「見た目や声に頼らずに、誰か当ててもらうよん!」

武内P「……なるほど」

武内P「これは……皆さんが、そう望んだ事なのでしょうか?」

CPアイドル達「はいっ!」


武内P「私が、椅子に鎖で縛り付けられたのは――」

ガチャガシャガチャガシャッ!

武内P「――そのためですか?」


CPアイドル達「はいっ!」


武内P「……」

武内P「本田さん」

未央「えっ、何?」

武内P「何故、鎖なのでしょうか?」

ガチャガシャッ!

未央「えっ? だって、縄だったら引きちぎって逃げそうじゃん?」

CPアイドル達「うんうん!」


武内P「……」

ガシャンッ!

武内P「……わかりました」

武内P「誰か判別出来るよう、努力します」


CPアイドル達「いえーい!」


武内P「……」

未央「さあさあ、それじゃあ目隠しをするよ!」

武内P「……はあ、わかりました」

未央「あ、ちなみにだけど」

武内P「?」

未央「わかんないのが、普通なんだけどさ?」

未央「外れたら外れたで、結構ショックだと思うんだよね」

武内P「えっ?」


CPアイドル達「プロデューサー! ファイトォォォ~……」

CPアイドル達「おーっ!!」


武内P「……」

武内P「……!?」

武内P「あの、ショックと言われましても……!」


……シン…


武内P「……」

武内P(返事がない……もう、利きアイドルは始まっているのか)

武内P(確か、皆さんは5m以上離れた位置に並んでいた)

武内P(恐らく、その位置からこちらに歩いてきて……)

武内P(何かをし、私に判別させよう、と)

武内P(……そういう事でしょうね)


サファッ、サファッ


武内P「――諸星さんです」


「にょわっ!?」

「どっ、どうしてきらりんだってわかったのぉ!?」


武内P「スカートの、衣擦れの音です」

武内P「諸星さんは、他の方よりも身長が高い分、スカート丈も長いです」

武内P「加えて、今日の服装も、生地の多いロングスカート」

武内P「必然的に、歩く時の衣擦れの音も、その特徴が出ます」

武内P「なので……諸星さんだと、そう、判断しました」

武内P「正解で、間違いないと……そう、思います」


「……あ……はい、合ってるゆ」


武内P「……」


「……!?」

ザワザワッ……!

「う、うっきゃ~っ!/// Pちゃん、凄いにぃ!///」

「きらりんの事、歩く音だけでわかっちゃうなんて!///」


武内P「当然の結果です」


「きっ、きらりん! プロデューサーの耳を塞いで!」

「そうにゃ! 歩くだけで当てられちゃ、面白くないにゃ!」

「うんうん! 前に立つまで、お願いきらりちゃん!」

「わ、わかったゆ! きらりんに、お任せ~! えいっ!」


武内P「……」

武内P(何も……聞こえない)

武内P「……」


武内P「……」

武内P(前に立つまで、という事は……何かをする、と言う意味だろうか)

武内P(鎖で縛りつけ、これ以上、何をしようと言うのだろう)

武内P(……)

武内P(可能な限り……遠くで、当てなければ)

武内P(……何をされるか、わかりませんから)


…フワッ


武内P「――緒方さんです」


「えうっ!?」

「あ、あの……なんで、わかったんですか……!?」


武内P「匂いです」

武内P「緒方さんは、今日、三村さんとお茶をしましたね?」


「は、はい……しました、けど……」

「あっ! その時の、ケーキの匂いですか!?」


武内P「それもあります」

武内P「ですが、それに加えて、青葉の香りが混じっています」

武内P「これは、緒方さんがお茶の時に、四葉のクローバーを探していたため」

武内P「青葉の香りが割合多めに感じたので……」

武内P「緒方さんだと、そう、判断しました」


「あっ……えっと、その……合ってます」


武内P「……」


「……!?」

ザワザワッ……!

「ぷ、プロデューサー……そんな事まで、わかっちゃうんですね……///」

「え、えへへ……照れくさいけど、な、なんだか……嬉しいです///」


武内P「当然の結果です」


「にょ、にょわっ!? び、ビックリして手を離しちゃってたにぃ!」

「いや~、さすがにあれは驚くでしょ。でも、中々やるじゃんか」

「でもさー、Pくん、次も匂いで当てちゃいそうじゃない?」

「じゃあ……わたしも当てられたから、プロデューサーの……は、鼻をつまむね///」


武内P「……」

武内P(目も、耳も、鼻も……きかない)

武内P「……」


武内P「……」

武内P(皆さんは……この状態で、私にどうしろと?)

武内P(……だが、諦めてはいけない)

武内P(皆さんは、私の……大切な、アイドルなのだ)

武内P(その、笑顔のためならば――!)


…つんっ!


武内P「――新田さんです」


「違います」


武内P「鎖の上からも、正確に乳首をつついてくる」

武内P「これは、新田さんにしか出来ない芸当です」

「違います」

つんつんつんつんっ!


武内P「やめてください、新田さん」

武内P「そして――」


「……」

つんつんつんつんっ!


武内P「――アナスタシアさん」


「ニェッ、ニェート! 違い、ます!」

つんつんつんつんっ!

「アーニャは、そんな事しない、です!」

つんつんつんつんっ!


武内P「今、私の耳は聞こえていませんが」

武内P「お二人とも、否定しながら乳首をつつき続けていますね?」


「……!?」

ザワザワッ……!

「あっ、アーニャちゃん! ひるんじゃ駄目!」

「ですが、美波! バレバレ、です!」

つんつんつんつんっ!


武内P「これ以上、続けるつもりでしたら」

武内P「……検討します」


「「……何を?」」

…ピタッ!


武内P「検討させて頂きます」


「「……」」


武内P「やめていただけて、何よりです」


「……!?」

ザワザワ…!

武内P「諸星さん、耳を聞こえるようにして頂けますか?」

武内P「……はい、ありがとうございます」

武内P「緒方さん、あの、鼻をつまむのも……はい」

武内P「……はい、ありがとうございます」


武内P「皆さん、もう、十分ではないでしょうか?」

武内P「利きアイドル……成功という事で」


「……」


武内P「……」

武内P「……ちなみに、ですが」

武内P「人数が、増えていますね?」


「……増えてないけど?」


武内P「諸星さん、緒方さん」

武内P「どちらでも良いので……目隠しを取って頂けますか?」

武内P「……はい、ありがとうございます」


CPアイドル達「……」

クローネ達「……」


武内P「……」

武内P「……ちなみに、ですが」

武内P「次は、速水さんの番でしたね?」


奏「えっ!?」


武内P「宮本さん、少し前の、速水さんの物真似をお願いします」


フレデリカ「はいはーい♪」

フレデリカ「――あら、ちょうどいい所が空いてるじゃない」クネッ

フレデリカ「――ふふっ、どんな表情をするのか……」クネッ

フレデリカ「――隠れてて、見られないのは、残念だけど……ね」クネクネッ


アイドル達「似てる!」


武内P「……良い、物真似です」


奏「ちょっと!? そういうのやめてくれる!?」

武内P「皆さん」

武内P「私は、皆さんがアイドルとして輝く姿を見たいと、そう、思います」

武内P「そして、貴女の声を聞けないのは、残念でなりません」


アイドル達「……」


武内P「なので、利きアイドルは終わりで……宜しいですね?」


アイドル達「……はい」


武内P「ありがとう、ございます」

武内P「わかって頂けたようで、幸いです」

武内P「……ですので、あの」

ガチャガシャガチャガシャッ!


アイドル達「……」


武内P「この拘束を解いて頂けますか?」

武内P「皆さん」

武内P「私はプロデューサーで、貴女達は、アイドルです」

武内P「ですので、今の私の姿を見て、ですね」


アイドル達「……」ジィッ


武内P「――あれ? 色々するチャンスなのでは?」

武内P「という、顔を……しないで頂けますか?」


アイドル達「……」


武内P「待ってください」

武内P「アイコンタクトで会話しないでください」

武内P「……待ってください」

ガチャガシャガチャガシャッ!


アイドル達「……」ジィィッ


武内P「……」

武内P「皆さん」

武内P「すぐにでも私の拘束を解かないと、後悔する事になります」

武内P「それでも……良いのですか?」


アイドル達「はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「ですが……それだけに、残念でなりません」


アイドル達「?」


武内P「時間切れです」


ガチャッ!

ちひろ「おはようござ――」


アイドル達「あっ」


ちひろ「――い……ます」


武内P「千川さん……良い、タイミングです」

ガチャガシャガチャガシャッ!

  ・  ・  ・

武内P「千川さん、ありがとうございます」

武内P「おかげで、助かりました」

ちひろ「鎖で縛られて、何事かと思いましたよ!?」

武内P「ええ……ですが、大丈夫だと思っていました」

ちひろ「えっ?」


武内P「千川さんが……必ず来てくれる、と」

武内P「……そう、信じていたので」


ちひろ「……」

ちひろ「……囚われのヒロインみたいな台詞、言わないでください」

武内P「彼女たちを刺激しないよう、大声を出さず」

武内P「且つ、千川さんが来るまで保たせよう、と」

武内P「……そう、必死でした」

ちひろ「鎖で縛られてたら……逃げられませんもんね」

武内P「……はい」


武内P「引きちぎった鎖の破片が、ですね」

武内P「万が一、皆さんに当たらないとも……限りませんから」


ちひろ「……」

ちひろ「あ、はい」

ちひろ「でっ、でも! よくわかりましたね!」

ちひろ「私が入室してくるタイミングが!」

武内P「それは……はい」

武内P「千川さんのログイn……出勤時間は、正確ですし」

武内P「何より、それを頼みに時間を稼いでいましたから」

武内P「ドアの外の気配を探るのに、全神経を集中していました」

ちひろ「もし……私が遅刻してたら?」

武内P「……すみません」


武内P「何故、そんな恐ろしいことを言うのですか?」


ちひろ「……」

ちひろ「えっと……その、すみません」

武内P「あっ、いえ……こちらこそ」

武内P・ちひろ「……」

ちひろ「まっ、まあ! これで、皆もわかってくれましたよ!」

ちひろ「利きアイドルの結果――」


ちひろ「プロデューサーさんが、腕利きだ、って♪」


武内P「……そう、でしょうか」

武内P「本当にそうならば、今回のような事に、ならなかったのでは、と」

武内P「……そう、思います」


ちひろ「もう、何言ってるんですか!」

ちひろ「そういう時のために、アシスタントの私がいるんです!」


ちひろ「口利きは、任せてください♪」



おわり

何故かIDが変わってました
これは初なのと、書き込みエラーも大分増えてきたので板やばいかもですね
おやすみなさい


「……」


 チィン、と、エレベーターの到着を告げる音が鳴った。
 もしも中に誰か居た場合、ドアが開いた瞬間、憂鬱な顔を向けられても迷惑だろう。
 私個人のやり場のない負の感情に、少しの間だけでも付き合わせる訳にはいかない。
 そう思い、姿勢を正すと、



「っ……お疲れ……様です」



 開いたドアの向こうには、大柄で、無表情の、見慣れたスーツ姿の男性が。
 シンデレラプロジェクトのプロデューサーさんが、鞄を片手に立っていた。


「はい、お疲れ様です」


 どうしてこのタイミングで……と、思わずには居られない。
 家に帰って、お風呂にゆっくり入って、ご飯を食べて、ぐっすり眠る。
 それだけで普段の私に戻れる、何てことの無い一幕だったのに。
 よりによって一番会いたくない……ううん――


 ――このタイミングでだけは、会いたくなかったのに!


「……」


 早くこの状況から開放されたい。
 その一心で、閉ボタンを押した時、


「あの、千川さん」


 背中から、声をかけられた。
 低い声は、狭いエレベーターの中を跳ね回り、私の鼓膜を震わせる。


「はい、何ですか?」


 微笑みを浮かべながら、後ろを振り返って見る。
 いつもと変わらない、無表情で、怖がられる事の多い、見慣れた顔。
 この人は、私に何を言おうとしているのだろうか。


「あれから、考えてみたのですが……」


 右手を首筋にやって、一呼吸、置いた後、



「嬉しい、と……そう、思います」



 プロデューサーさんは、そう言った。


「……」


 急いで……だけど、焦らず、ゆっくりとプロデューサーさんに背を向ける。
 初めて見る、プロデューサーさんの照れた顔を少しでも長く見るために。
 今の私の、一言では言い表せない感情が入り混じった顔を見られないように。


「……へえ」


 なんて、何てことの無い様に、返事をする。
 後ろで手を組んで、可能な限り、自然体を装う。
 でも、表情は作れない。
 まるで予想していなかった言葉に、頬が嫌でも釣り上がる。


「……私と付き合えたら、嬉しいんですか?」


 いけない……声が、少し弾んじゃった。
 もう退勤したとは言え、まだ、ここは社内なんだから。


「はい」


 即答。
 その、あまりの迷いのなさに、私は惑わされそうになる。
 プロデューサーさんの人柄の様な、真っ直ぐな言葉。
 偽りでないと断言出来る、本心。


「千川さんは、素敵な女性ですから」


 だから、私は振り返らない……振り返れない。
 振り返ってしまったら、きっと、侮られてしまうから。
 好意を伝えられた訳でも無い、言うなれば、大げさな社交辞令。


「まあ、ありがとうございます♪」


 ――それで、こんなにも喜んでしまう女だ、って!


 チィン、と、目的の階に到着した事を告げる音が響いた。
 エレベーターの開ボタンを押して、プロデューサーさんが降りるのを待つ。
 それを察したプロデューサーさんが、足早に外に出た。
 私も、それを追ってエレベーターを出て、すぐ、隣に並ぶ。


「でも、今のは……皆には、内緒ですよ?」


 歩きながら、人差し指を顔の間に持っていき、横を見上げる。
 身長差があるので、プロデューサーさんと話す時は、どうしてもこうなる。
 傍から見たら、私達が並んで歩く姿は、とてもバランスが悪く見えるのだろう。


 ……でも、


「……ええ、そうですね」


 この人はプロデューサーで、


「はい、だって――」


 私は、アシスタント。



「社内恋愛は、禁止ですから♪」



 これ以上無い、絶妙なバランスなの。




おわり

書きます


武内P「あの」華子「は?」オリヴィア「え?」香純「うぅ……!?」

武内P「アイドルに、興味はありませんか?」


華子・オリヴィア「……」

華子「ちょ、ちょっと!? 何、あれ!」

オリヴィア「アイドルオタクが、仲間を求めてるとか?」

華子「いやいやいやいや!」


武内P「……」


華子「どこからどう見ても、それよりヤバイやつじゃん!」

オリヴィア「確かに」ウンウン

華子「ねえ、香純さんはどう思う?」


香純「お、男……ぎぼぢわるい゙……!」カヒューッ! カヒューッ!


華子「かっ、香純さん!? しっかりして!」

オリヴィア「香純! 香純――っ!」 


https://www.youtube.com/watch?v=lyB3eWB5Txk

武内P「っ! あの、大丈夫ですか!?」ヌゥゥン!


香純「うっ!? おっ、おぼぼぼぼ……!」カヒューッ!カヒューッ!


華子「頑張って! 頑張って耐えて、香純さん!」

オリヴィア「そうだよ、香純! もう少し頑張って!」


香純「どっ……どうしてもう少しなんですか……!?」カヒューッ!カヒューッ!



華子「よし、オッケーだよ香純さん! 十分離れたから!」

オリヴィア「その大男に、ゲロンとやっちゃって!」


香純「……」カヒューッ!カヒューッ!


華子「? どうしたの? もう、私達は避難したよ?」

オリヴィア「私達の心配はいらないから! ごーごー!」


香純「……!」カヒューッ!カヒューッ!

ダダダダダッ!


華子「えっ!? なんでこっち来るの!?」

オリヴィア「違うって、香純! 敵はあっち! あっちだってば!」

それからどしたの


華子・オリヴィア・香純「はぁ……はぁ……!」


華子「な……なんとか逃げ切れたみたいだね」

オリヴィア「……うん、明らかに危ないヤツだったもん」

華子「だけど、私達ってば良い走りを見せたよね!」

オリヴィア「もう、さすがに追ってきてないでしょ!」


香純「……華子さん、オリヴィアさん」


華子「なっ、何ー? どうしたの香純すわぁ~ん?」

オリヴィア「も、もー香純ったら! 目がこわいぞ☆」


香純「そうですか?」

香純「でも、貴女達ほどじゃないと思いますけどね」

香純「まさか、あの状況で鉄砲玉にしようとするとは思いませんでしたよ」


華子「まっ、まあ良いじゃん! 結果オーライだよ、香純さん!」グッ!

オリヴィア「はっ、華子の言う通り! 良かったね、香純!」グッ!


香純「……はあ、もう良いです」

華子「でもさ、アイツ一体何だったんだろう?」

オリヴィア「ぜーったい、アイドルオタク!」

華子「もうそのネタは良いってば」

オリヴィア「ぶーっ!……じゃあさ、華子は何だと思うの?」

華子「んー、多分だけど……」

香純「確か……アイドルとか、何とか言ってましたよね」


華子「その……さ。アレじゃない?」

華子「ホラ……お小遣いをあげるから……アレしよう、的な?」

華子「みたいな!? みたいな!?」


香純「いや、私の話聞いてました?」

香純「それに、どうしてちょっと嬉しそうなんですか」

華子「いやー! だって、そう言うのなんかリア充っぽくない!?」

オリヴィア「前から思ってたけど、華子のリア充のイメージっておかしいよね」



武内P「あの」



華子・オリヴィア・香純「……」

華子・オリヴィア・香純「ひぎゃあああああ!? 出たああああああ!!」

華子「どっ、どうする!? また逃げる!?」

オリヴィア「華子、駄目! 香純が!」

香純「あっばばばあびぶぶぶぶ!」ガタガタガタガタ!

華子「香純さん!?」

香純「ばんぶるぶびひひっ、ひひひひひっ!」ガタガタガタガタ!

華子「戻ってきて、香純さん! 香純さーん!」

華子「怖いのかも知れないけど、今の香純さんも相当怖いから!」

オリヴィア「どうする華子! 写真撮っとく!?」

華子「――それだ、オリヴィア! 私は動画を!」


香純「んんひっひひっひ、ひひっひひひひひ!」ガタガタガタガタ!


華子「良いよー、香純さん。躍動感溢れまくってるよー」

オリヴィア「はーい、笑って……って、ずっと笑ってるか」

パシャッ!

華子・オリヴィア「……――じゃなくて!」

華子「香純さんが焦りまくってるから、こっちが冷静になりすぎちゃったじゃんか!」

オリヴィア「そんな事言ってる場合じゃないよ! どうするの!?」


武内P「……あの」

武内P「皆さん……鞄を忘れていたので、はい」



華子・オリヴィア「……あ」

香純「あははははっ! あははっははひっひひ!」ガタガタガタガタ!

それからどしたの


華子「えっ、と……鞄、ありがとうございました」

武内P「あっ、いえ……それは、良いのですが」

武内P「彼女は……大丈夫でしょうか?」

華子「ああ」


オリヴィア「香純ー、ちょっと英語の勉強しようかー♪」

香純「えっ……英語の……?」ピクッ

オリヴィア「これだけ覚えれば、間違いないって単語があるの!」

香純「そ、それは……本当ですか?」

オリヴィア「もっちろん! 良い? ぷりーず、りぴーと、あふたみー!」

香純「えっ? えっと、それは……どういう意味でしょうか?」

オリヴィア「へっ? ええ……と」

香純「……」

オリヴィア「――そう! 今のが、間違いない単語だよ!」グッ!

香純「今の、単語じゃなくて文章でしたよね」

香純「それに、どういう意味かという質問に答えて貰ってないのですが」

オリヴィア「へっ!? だ、だから、ええと……!」


華子「いつも駄目なので、問題ありません!」

武内P「……はあ」

華子「っていうか、一体何の用だったんですか?」

華子「用があるから、鞄を届けてくれたんですよね?」

香純「男の人が触った鞄……もう、捨てなきゃ」

オリヴィア「香純! そういう事は、聞こえないように言う!」


武内P「……皆さん」

武内P「アイドルに、興味はありませんか?」


華子・オリヴィア・香純「……は?」


武内P「私……こういう者です」

…スッ


華子・オリヴィア・香純「……名刺?」

華子・オリヴィア・香純「……」

華子「ねえ、どう思う? これ、本物だと思う?」

オリヴィア「本物だったら、太陽に向けたら絵が浮かび上がるんじゃない?」

香純「あの、それは……お札の透かしでは無いでしょうか」


武内P「……あの、本物です」

華子「……いや、でも……ねえ?」

オリヴィア「346プロダクションって、かなり有名な所だよね」

香純「それに、シンデレラプロジェクトって……」

華子・オリヴィア・香純「……」ジッ


武内P「……?」


華子・オリヴィア・香純「……」

華子・オリヴィア・香純(胡散臭ええ~~っ!)

華子「オリヴィア、騙されちゃ駄目だよ」

オリヴィア「香純じゃないんだし、大丈夫よ」

香純「華子さんじゃありませんし、大丈夫です」


武内P「いえ、あの」

武内P「……全て、聞こえているのですが」


華子「……はい! ぶっちゃけ、信用出来ません!」

オリヴィア「プロデューサーって言われても、よくわからないし!」

華子「試しに、アイドルっぽい事してみてくれますぅ~!?」

オリヴィア「それが出来たら、ちょびっとだけ信用しまーす!」

香純「えっと、プロデューサーとアイドルは別物では……?」


武内P「……」

華子「ん~? 香純さん、あの人の味方をするの?」

オリヴィア「もしかして、あの人は怖くないとか?」

香純「いえ、そういう訳じゃありませんよ」

香純「あまりにも怖い顔なので、恐怖が一周しただけです」

華子・オリヴィア「……あ、うん」


武内P「……すぐに、返事を貰おうとは思っていません」

武内P「……ですが――」


武内P「皆さんは、今、楽しいですか?」


華子・オリヴィア・香純「そこそこ」


武内P「……」

武内P「アイドルに興味がありましたら、ご連絡ください」


オリヴィア「えっ!? あれっ!? さっきの質問の意味は!?」

香純「……きっと、あの質問からいい感じに話を繋げるつもりだったんですよ」

華子「連絡したら、どうなるっていうんですか?」


武内P「皆さんを――アイドルに」

武内P「夜空に輝く星々――シンデレラになって頂こう、と」

武内P「……そう、考えています」


華子・オリヴィア・香純「……スカウトだったの!?」


武内P「……あ、はい」

あそびあそばせ

  ・  ・  ・

喫茶店


武内P「……」


オリヴィア「ちょっと! どうしてこうなったの!?」

華子「まあまあ良いじゃん! 話だけでも聞いてみようよ~!」

華子「それにさ、もしも本当だったら私達アイドルになるんだよ!?」

華子「アイドルになったら、リア充100人分だよ!?」

香純「それ、どういう計算なんですか……?」


武内P「リア充、かどうかは……私の見た限りですが」

武内P「アイドルの皆さんは、とても、輝いて見えます」


華子「ほらー! ほらああああ!」

オリヴィア「香純、こういう時は、私達がしっかりしなきゃ」

香純「……はあ、こんな事なら、真っ直ぐ帰って英語の勉強をするんだった」


武内P「英語、ですか?」

武内P「中学校程度の問題でしたら……はい、教えられるかと」


香純「っ!? ど、どうしましょう!? どうしたら良いんですか!?」

華子「香純さん……ほうら、楽になっちゃいなよ。カモ~ン」

香純「ああ……英語、ああ……!」

オリヴィア「二人共ちょろすぎじゃない!?」

オリヴィア「華子はともかく、香純は冷静になって!」

オリヴィア「さすがに二人の面倒は見きれないから!」

華子「ねえ、オリヴィア? 華子はともかくってどういう意味?」

香純「……オリヴィアさんに……面倒を見られる……!?」ガーン!

オリヴィア「ねえ、その部分にショックを受けないでくれない?」


武内P「……」


オリヴィア「香純、落ち着いて考えてみて」

オリヴィア「アイドルになったら、水着になったりするんだよ?」

香純「っ!?/// た、確かに……!」

オリヴィア「香純の胸に、男の視線が突き刺さるよ? 良いの?」

オリヴィア「もう串刺しみたいになって、香純危機一髪! ってなるよ?」

香純「それは……考えただけでも、恐ろしいです……!」

華子「……」

華子(なってみたいよ、串刺しに)



武内P「いえ、それは有りません」

武内P「皆さんは、まだ中学生でいらっしゃいます」

武内P「なので、露出の多い衣装は控えます」


華子・オリヴィア・香純「……」

オリヴィア「で、でも……多少の露出はあるんでしょ!?」


武内P「それは……はい、多少は、ですが」

武内P「そう、ですね……ノースリーブ程度、でしょうか」


華子・香純「ノースリーブ……!?」

オリヴィア「……何よ」

華子「いっ、いやいやオリヴィア! 何でも無いよ!?」

香純「はっ、はい! ノースリーブか~、って思っただけです!」

オリヴィア「華子~、香純~♪」

華子・香純「は、は~い~?」

オリヴィア「……」

華子・香純「……ご、ごめんなさい」


武内P「? あの……ノースリーブに、何か問題が?」


華子・香純「っ!?」

オリヴィア「……」

華子「っ……!」

華子(こっ、コヤツ! 地雷原に、近所のコンビニに行くような気軽さで!)

華子(なっ、ななな、何とか! 何とか、フォローしないと!)

華子「……あっ、いや~――」


華子「ねっ、オリヴィア♪」


オリヴィア「……」


香純「……」

香純(……華子さん)

香純(そのパス……現状、一番最悪のパスです)


武内P「? オリヴィアさんに、何か問題が……?」


華子・香純「っ――!?」

華子(何なんだ……何者なんだ、コイツは!)

華子(ここまで丁寧に地雷を踏み抜くなんて、バカなんじゃないの!?)

香純(これだから! これだから、現実の男ってやつは!)


オリヴィア「……!」プルプル!

オリヴィア「べ……別に……!?」プルプル!


華子・香純(ああああ強がってるううううう!)

オリヴィア「きっ……基準値は下回ってるしぃ!?」プルプル!


武内P「? すみません、意味が……よく」


華子「香純さんもうダメ! 私、耐えられない!」

香純「そんな事、私に言われても!」


オリヴィア「わ……わき……!」プルプル!


武内P「わき? 腋が……何か?」


華子「おぼおおおああああ!?」

香純「あわあわわわわあわ!?」


オリヴィア「っ……!///」プルプル


武内P「……」

武内P「何の問題もありません」


華子・オリヴィア・香純「……えっ?」


武内P「確かに、多少、スパイシーな所はあるかも知れません」

武内P「ですが、人生にスパイスはつきものだ、と」

武内P「……そう、思います」


オリヴィア「スパイシーって言った! スパイシーって言ったー!」ピー!

華子・香純「……」

それからどしたの


武内P「……」


オリヴィア「華子ぉ~! 香純ぃ~!」ピー!

華子「おーよしよし」

華子「……まあ、こういう空気になっちゃったし」

香純「お話は……以上ということで」


武内P「っ!? 待ってください!」


華子「じゃあ、貴方にオリヴィアの腋の臭いを嗅ぐ勇気がありますか!?」

華子「何の問題も無い? はっ!」

華子「口だけならねぇ、何とでも言えるのよ!」

華子「問題はね! 鼻なの! はーな!」


香純「私達も……慣れるまで、かなり苦労しましたし」

香純「きっと、アイドルになったら、絶対問題になると思うんです」

香純「オリヴィアさんは、友達ですから」

香純「友達が、新聞沙汰になるのは、見過ごせないです」


オリヴィア「華子? 香純?」


武内P「……わかりました」

武内P「私が、オリヴィアさんの腋のニオイを嗅いで、平静を保てたら」

武内P「お話を……続けさせて頂けますか?」


オリヴィア「はっ!? なんでそうなるの!?」

華子「面白いじゃん! オリヴィア、やっておしまい!」

オリヴィア「嫌よ! なんでそんな事しなきゃいけないわけ!?」

香純「……まあ、普通に考えればそうですよね」


武内P「笑顔です」


華子・オリヴィア・香純「はっ?」


武内P「皆さんは、それぞれ素晴らしい個性を持っています」

武内P「それは、アイドルにとって必要なものです」

武内P「そんな皆さんの――笑顔」

武内P「アイドルとしての、皆さんの笑顔を見たい、と」

武内P「……そう、思います」


華子・オリヴィア・香純「……」

華子(……いや、なんかちょっと良い事言ってる風だけどさ)

香純(……女子中学生の腋のニオイを嗅ぐ、って話ですよね、これ)


オリヴィア「……そ」

オリヴィア「そこまで言われたら……断りにくいじゃないの」

オリヴィア「……ちょっ、ちょっとだけ!/// ちょっとだけだからね!?///」


武内P「……はい」

武内P「ありがとう、ございます」


華子・香純(……うわぁ)

それからどしたの


オリヴィア「……う~!///」

武内P「……」クンクン

オリヴィア「……!///」

武内P「……」クンクン


華子・香純「……!?」

華子(ばっ――馬鹿なっ!? 表情一つ変えないだと!?)

華子(有り得ない! あの至近距離で!? 何故、平静でいられる!?)

香純(ニオイを嗅いでいるように、演技しているだけ……?)

香純(いや、でも……あの距離なら、そんな余裕は無いはず……!)


オリヴィア「……ど、どう?///」

武内P「……はい」クンクン

オリヴィア「……に、におう?///」

武内P「多少は……ですが」クンクン


武内P「――何の問題もありません」クンクン


華子「……香純さん、ちょっと真面目な話するけど、良い?」

香純「……はい、良いですよ」

華子「多分、あの人……ううん、ヤツは人じゃないよ、似た生き物だと思う」

香純「華子さん、どうしてそれが真面目な話だと思ったんですか?」

華子「だって、そうじゃなかったら説明が――」

…コトンッ!

華子「――あっ、携帯落としちった」

香純「焦る気持ちはわかりますけど……」

華子「画面に傷がついてないと良いけど――」


―ズブリ


華子「……」

香純「? どうしたんですか、華子さん」

香純「もしかして、携帯の画面にヒビでも入ってました?」

華子「……いや、香純さん香純さん」チョイチョイ

香純「? 下? テーブルの下に、何かあったんですか?」

華子「……いいから、ちょっと見てみてよ」

香純「はあ……?」


―ズブリ


香純「……」

華子「……ね?」

香純「……はい」


オリヴィア「ほっ、本当に!? 本当に、問題無い!?」

武内P「はい、問題ありません」

―ズブリ


華子・香純(足にボールペン突き刺してるううううう!!)

申し訳ない、眠いので続きは明日書きます
おやすみなさい

それからどしたの


武内P「……」


オリヴィア「華子ぉ! 香純ぃ! あの人、絶対いい人だよ!」

華子「そ、それはどうかわからないけど、只者じゃない事は確かだね」

香純「そうですね……真剣さは、正に痛いほど伝わってきましたね」

華子「ねっ、ねえ香純さん。あれ、まだ刺さってるのかな?」ヒソヒソ

香純「どうなんでしょうか。この角度からじゃ、確認出来ませんし」ヒソヒソ

オリヴィア「なになに? 何の話してるの?」

華子・香純「ううん、別に」フルフル!

オリヴィア「?」


武内P「具体的な話は、後でするとして」

武内P「少し、質問をしても宜しいですか?」

…スッ


華子・香純「あっ」

オリヴィア「あっ、ボールペンからインク出てるよ、赤いのが」


武内P「っ、これは……すみません、失礼しました」

フキフキフキフキ!


オリヴィア「ううん、おっけーおっけー!」

華子・香純「……」

香純「でも、質問って……?」

オリヴィア「こういう時の質問って言ったら、アレに決まってるじゃない」

香純「決まってるものなんですか?」

華子「そうだよ、香純さん」

華子「ねえ、香純さん? 香純さんって、スリーサイズどんなもんなの?」

香純「はいっ!?///」

華子「隠さないで、正直に教えてご覧よ……怒らないからさ」

香純「絶対怒る感じですよね!? 正当性の無い怒りの矛先を向ける気ですよね!?」

華子「も~、怒らないってば!」

華子「仮に怒ったとしても、それは嫉妬という正当性がある怒りだよ」

オリヴィア「はいはいストップストップ! 話が進まないでしょ!」

オリヴィア「ちなみに、私のスリーサイズはぁ――」


武内P「あ……いえ」

武内P「まずは、皆さん全員のお名前だけでなく、名字も確認しておきたい、と」

武内P「……そう、言おうとしたのですが」


華子・香純・オリヴィア「あ、はい」

あそびあそばせ

  ・  ・  ・

武内P「――私からの説明は、以上になります」

武内P「何か、質問はありますか?」


華子「やばいやばいやばいよ! 私達、本当にアイドルになりそうだよ!?」

オリヴィア「それにしたって華子、テンションあげすぎ」

香純「でも、英語も教えて貰えるって考えると、華子さんの気持ちもわかります!」ムフー!

華子「ごめん、香純さん……それ、全然わかってないと思う」

オリヴィア「んー……でも、質問って言われてもねぇ」

華子「うーん……あ、そうだ! はーい、質問!」


武内P「はい、何でしょうか?」


華子「アイドルになったら、どれくらい……も、モテますかいねぇ?」ニチャア

オリヴィア「少なくとも、そんな表情をしてたら絶対無理!」

香純「ま、まあ、どこにでも特殊な嗜好の方はいますから!」

華子「いやあの、それは香純さんに言われたくは――」

香純「何ですか?」

華子「……あ、何でも無いっす、サーセンした」


武内P「そう、ですね……努力次第ではありますが」

武内P「皆さんならば、ドーム一個分はいけるかと」


華子・オリヴィア・香純「ドーム一個分!?」

華子「聞いた!? ドーム一個分だってよ!?」

華子「ドーム一個分って、ドーム……うわああオリヴィアー! 香純さーん!」

オリヴィア「ちょっ、ちょっと華子! 叫びすぎ!」

華子「アイドルになったら、私にも春が来るんだよ!」

華子「しかも、ドーム一個分の春が! ドーム一個分だよ!?」

華子「そんなの、溢れ過ぎちゃって困っちゃうよ! むしろ、売る!?」

華子「溢れた春、販売しちゃう!? 春を売っちゃう!?」

香純「はっ、華子さん! その表現はちょっと!」


武内P「……他に、質問はありますか?」


オリヴィア「あ、はいはーい!」

オリヴィア「私達、三人でユニットを組むことになるの?」


武内P「ええ、そのつもりでいます」

武内P「皆さん、『スパイス・ガールズ』とし……んんっ!」

武内P「ユニット名等、具体的な事はまだ未定ですが、はい」


華子「ちょっと! 私達までスパイシーにしないでくれる!?」

香純「未定って言いましたけど、心の中ではそう呼んでるって事ですよね!?」

オリヴィア「……!///」プルプル!


武内P「その……すみません」

武内P「他に……質問はありますか?」


香純「え、えっと……じゃあ」スッ

華子「おおっ!? 香純さんが、自ら男の人に話しかけるなんて!」

オリヴィア「凄いじゃん香純! それで、どんな質問をするの?」

香純「ほっ、本当に! 英語を教えて貰えるんですよね!?」

香純「後で、実は嘘でしたなんて言ったら――」

香純「――本気で訴えますよ?」

華子・オリヴィア「……ですよねー」


武内P「はい、それは間違いなく」

武内P「学習に関しては、通常の方式だけでなく――」

武内P「――特殊な薬品や装置を用いる事も可能です」

武内P「その場合は、東大合格間違いなし……ですね」


香純「すっ……凄い……!」キラキラッ!

華子「かっすみすわぁーん!? 目ぇキラキラさせてる場合じゃないよ!?」

オリヴィア「最悪、改造手術みたいな事するって言ったんだよ!?」

香純「それでも……それでも、英語の成績が上がるなら!」


香純「びっ……美少女戦士にだって、プリキュアにだってなる覚悟はありますっ!///」


華子「大した覚悟じゃないよそれ! ちょっと希望入ってるじゃん!」

香純「じゃ、じゃあ……ま、魔法少女?///」

オリヴィア「そういう希望を言ってる場合じゃないでしょ、香純!」

オリヴィア(香純って……普段は真面目なのに、急にこういう事言いだすよね)


武内P「魔法……そう、ですね」

武内P「そういう意味では、皆さんは、魔法を使います」

武内P「ファンの方を笑顔にする……輝く世界の魔法を」


華子「そういう話をしてるんじゃないでしょーが!」

華子「あのさ、香純さん頭良さそうに見えるけど、英語は本当にひどいんだよ?」

華子「英語の勉強してるの見ると……」

香純「?」

華子「……賽の河原で小石を積み上げるのを見てる気分だもん」

オリヴィア「あ、なんかそれわかるー!」

香純「オリヴィアさんがそれを言うのはどうかと思うんですけどねぇ?」

香純「……わ、私だって……努力してはいるんですよ……!」プルプル!

華子・オリヴィア「……」


武内P「野村さん。貴女の努力は……きっと、いつか報われます」

武内P「私は、アイドルの貴女が、英語のテストで100点を取っている姿を見たい、と」

武内P「……そう、思います」


香純「!……はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


オリヴィア「ねえ、今のさ……アイドル関係なくない?」

華子「でもまあ、香純さん喜んでるみたいだし……放っておこうか」

香純「華子さん、オリヴィアさん……アイドル、頑張りましょうね!」

華子「そうだね、香純さん! 一緒に、スーパーリア充になろうね!」

オリヴィア「んー……二人はそれで良いかも知れないけど、私は――」


武内P「治ります」


オリヴィア「はっ?……治るって?」


武内P「346プロダクションは、大手芸能プロダクションです」

武内P「その、総力を結集して事にあたる、と」

武内P「……約束させていただきます」


オリヴィア「……」

オリヴィア「ねえ、あれってどういう意味?」

華子「アイドルになったら、腋のニオイを何とかしてくれるって事だよ!」

オリヴィア「っ!? えっ!? 香純、どういう事!?」

香純「外国籍の方も居ますし、対応策があるのではないかと……」

オリヴィア「……」


オリヴィア「はーい♪ アイドル、やりまーす♪」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


華子「だけど……治ったら治ったで、複雑だよね」

香純「それは、今まで耐えてきたのは何だったんだろう、って意味でですよね」

華子「うん」

オリヴィア「華子、香純……私、普通の金髪美少女アイドルになるね!」

華子「おーい、自分で美少女って言うのは普通じゃないよー」

香純「でも、これで全員がやる気になりましたね!」

華子「……そうだね!」


華子「香純さんは、英語ペラペラのクールな巨乳アイドル!」


香純「きょ、巨乳って……華子さん!///」

香純「まあ、でも……英語、ペラペラ? 私が英語を……うへへっ///」

香純「英語ペラペラ……ひひ、うひひひっ!」ニマァ~ッ!


華子「……その笑顔は封印しとこうね、香純さん」

華子「ゴホンッ! 気を取り直して!」


華子「オリヴィアは、キュートな魅力溢れる金髪美少女アイドル!」


オリヴィア「きゅ、キュートって!/// ヤダ、もー華子ったらー!///」

オリヴィア「まあ、私が可愛いのはわかってたけど~?」

オリヴィア「んふっ! 改めて言われるのも、悪くないわね!」ドヤァッ!


華子「……あ、うん」

華子(……やっべー)

華子(見た目じゃなくて、馬鹿な子程可愛いって意味ったんだけどなー)

華子「そして私は! うわぁたしはぁっ!」

ガタンッ!

オリヴィア「立ち上がった!? もうっ、恥ずかしいから! 座ってよ!」

香純「……無……心を無にして、語り終わるのを待とう」


華子「パッッ……ションッ!」

華子「情熱的で、燃え上がるような恋をするアイドル!」


華子「えっと……それでね、それでねぇ~」モジモジッ

華子「かっ、彼氏作って~……それからねぇ~」モジモジッ

華子「二人の熱々な姿を……えへへっ///」モジモジッ


オリヴィア・香純「っ……!」

オリヴィア(くそっ! 華子のくせに――)

香純(華子さんなのに――)


華子「皆に見てもらってねぇ~……あーもー、想像しただけで恥ずかしいなぁ!///」モジモジッ

華子「幸せのおすそ分けが出来たら……い、良いなぁ~///」モジモジッ

華子「なんてねっ?/// な~んちゃってねっ?///」モジモジッ


オリヴィア・香純「っ……!///」

オリヴィア・香純(か……可愛い!)


武内P「――えっ?」

武内P「彼氏……ですか?」


華子・オリヴィア・香純「……ん?」

それからどしたの


華子「危なかった! ホント、騙される所だったよ!」

オリヴィア「騙すも何も、アイドルってそういうものじゃないの?」

華子「あのね、オリヴィア!」


華子「いくらモテても、彼氏作っちゃいけないじゃ意味なーいの!」

華子「むしろ、拷問だよ!? ご・う・も・ん!」

華子「アイドルなってやってたら、リア充が遠のくよ!」


香純「……でも、華子さんが冷静になってくれて良かったです」

香純「いくら英語のためとは言え、あ、ああ、握手会……うぷっ!」

オリヴィア「ああもう、香純! 違うこと考えよう、ねっ!」

華子「香純さん! ほら、遠く見て! 遠く!」

香純「はぁ……はぁ……すみません、落ち着きました」

華子「あー……でもさ」

オリヴィア・香純「?」


華子「私と香純さんはともかくとしてだよ?」

華子「オリヴィアは、アイドルになっても良かったんじゃないの?」


オリヴィア「んー、二人がその気じゃないなら、別にいっかなって」


華子「……オリヴィア」

香純「……オリヴィアさん」

華子「でも、馬鹿な金髪美少女になるチャンスだったんだよ?」

オリヴィア「馬鹿は余計よ! っていうか、今は何なわけ!?」

香純「でも……なんだか、申し訳なくなりますね」

オリヴィア「良いのよ、別に。そんな事気にしないで」


オリヴィア「だって、私達、ホラ……友達でしょ?///」


華子「……オリヴィア~ん! 赤くなっちゃって、このこの~!」

オリヴィア「もっ、もう! からかわないでよ!」

オリヴィア「それに、良い香水教えて貰ったし、収穫はあったから!」

華子「へーっ、そうなんだ!」

香純「私も、わかりやすい参考書とか教えて貰いました」

香純「勉強方法を変えてみたらどうか、っていうのは目からウロコでしたね」

華子「そっかー、良かったね香純さん!」

華子「まっ、私もリア充になる秘訣を教えてもらったし!」


華子・オリヴィア・香純「――笑顔です!」


華子・オリヴィア・香純「……ふふっ!」

華子「……それじゃ、アイスでも食べて帰ろっか!」

オリヴィア「さんせー!」

香純「喫茶店でケーキ食べたじゃないですか……」


華子・オリヴィア・香純「……あははははっ!」


二人に比べ、収穫が圧倒的に少ない事に気付かない、華子であった


https://www.youtube.com/watch?v=WHwlBaMO5eQ



おわり

無邪気にPのタイプの女性を聞く莉嘉をください!

>>374
書きます


莉嘉「セクシーなの!」みりあ「キュートなのー!」

莉嘉・みりあ「どっちが好きなの?」

武内P「……えっ?」

莉嘉「もー! Pくんノリ悪ーい!」

みりあ「ねえねえ、どっちが好きなの?」

武内P「あの……何の話、でしょうか?」


莉嘉・みりあ「好きな女の人のタイプ、だよ!」


武内P「……はあ」

莉嘉「やっぱり~、アタシみたいにセクシーなカンジ?☆」

武内P「あ……いえ」

みりあ「可愛い方が良いよね? ねえねえ、プロデューサー!」

武内P「……すみません」

武内P「あまり、意識したことはありませんでした」

莉嘉・みりあ「えーっ!?」

武内P「……」


莉嘉・みりあ「じゃあ、どっちかって言えば?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

莉嘉「セクシーなの?」

みりあ「キュートなの?」

莉嘉・みりあ「どっちどっち? ね~え? どっちー?」

武内P「……」


武内P「どちらも……と言う答えでは、駄目でしょうか?」


莉嘉・みりあ「えーっ!?」

武内P「その……ですね」


武内P「城ヶ崎さんも、赤城さんも……どちらも、魅力的に見えますから」

武内P「どちらかを選ぶと言うのは、その……私には、難しい問題です」


莉嘉・みりあ「……」

莉嘉・みりあ「……えへへっ、そっかー!///」

  ・  ・  ・

ちひろ「――ふふっ、うまく躱しましたね」

武内P「躱す……と、そういう意図は無かったのですが」

ちひろ「でも、あれが正解だったと思いますよ」

ちひろ「どっちかって答えを出したら……ねぇ?」

武内P「……はい、そうですね」

ちひろ「でも、どちらもだったら――」


ちひろ「セクシーで、キュートな女性はどうですか?」ニコッ


武内P「えっ? あの……それは、どういう意味でしょうか?」

ちひろ「……」


ちひろ「もうっ!」

  ・  ・  ・

莉嘉「セクシーなの?」

みりあ「キュートなの?」

莉嘉・みりあ「どっちも好きなのー!」


CPアイドル達「……へ、へえ?」


莉嘉「Pくん、選べない、って言ってたよね!☆」

みりあ「うんうん! でも、どっちかはタイプって事だよね!」

莉嘉・みりあ「ねーっ♪」


CPアイドル達「……」

未央「なるほど……つまり、セクシーな私もタイプ、と!」

卯月「みっ、未央ちゃん?」

未央「へっ? どしたの?」

凛「……未央って、セクシー枠だったの?」

未央「何言ってんの、しぶりん!」


未央「私は、ニュージェネのセクシー枠じゃん!」


凛「……そうなの?」

卯月「あ、あはははは」

未央「それで、しまむーは当然キュート枠ね!」

卯月「えっ、ええっ!?///」

凛「まあ、それはわかるかな」

未央「しまむー、年上なんだけど可愛いって感じだもんね」

凛「うん。ニュージェネのキュート枠は、卯月だと思う」


卯月「きゅ、キュート枠……が、頑張ります!///」


未央「おっ、良いよ! しまむー! 可愛い可愛い!」

凛「未央、その言い方おじさんっぽいよ」

未央「それで、しぶりんは……」

凛「?」

未央「……しまむー、パス!」

卯月「えっ、ええっ!? えっと、えっと……」

卯月「凛ちゃんは……カッコイイです!」

未央「それだ! しぶりんは、カッコイイ枠!」


凛「……」

凛「……カッコイイ枠」

   ・  ・  ・

武内P「……なるほど、そんな事が」


凛「ねえ……アンタ、私のプロデューサーでしょ?」

アーニャ「アーニャは、セクシー? それとも、キュート?」

蘭子「我が友よ! 我、妖艶なる者なり!……ですよね!?」

李衣菜「プロデューサー! ロックはどっちに含まれますか!?」


武内P「……千川さん」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん」ニコッ

武内P「……」

武内P「では、まず……多田さんから」

李衣菜「っ、はい!」

武内P「多田さんは、ご自身はどちらのタイプだと思われますか?」

李衣菜「えっ? 私が……ですか?」

武内P「これは、あくまでも私の考えなのですが……」


武内P「ロックをセクシーか、キュートか、どちらかの枠に定めてしまう」

武内P「その、枠に定めるという行為は――」


李衣菜「……」


武内P「ロックから離れている、と」

武内P「そう……思います」


李衣菜「っ! なるほど……!」

李衣菜「確かに……プロデューサーの言う通りですね!」

武内P「それでは、改めて質問させていただきます」

李衣菜「はいっ!」ニコッ!

武内P「……良い、笑顔です」

武内P「多田さん、貴女はご自分を――」


武内P「セクシーだと思いますか?」

武内P「キュートだと思いますか?」


李衣菜「セクシーです!」グッ!


武内P「えっ?」


李衣菜「? セクシーです!!」グッ!


武内P「……あ……はい」

武内P「そう……ですか」

  ・  ・  ・

武内P「……では、次の方に」


凛「ねえ……李衣菜、元気に走っていったけど、さ」

アーニャ「フフッ♪ とっても、可愛かったですね?」

蘭子「ククク……我が友の言の葉により、愛らしさは増していたわ!」


武内P「……千川さん」

武内P「後で……フォローをお願いできますか?」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん」ニコッ

武内P「……」

武内P「では、次に……神崎さん」

蘭子「我は、妖艶にして深淵なる闇に寄り添う者!」

武内P「神崎さんは、ご自身をセクシーだと思っている、と」

武内P「……そういう事で、宜しいでしょうか?」

蘭子「あ、あの……あまり、ハッキリ言わないでください……///」モジモジッ


武内P「そう、ですね……確かに、神崎さんにはそういった面もあります」

武内P「ですが、今の反応は……可愛らしいに、入るのでは無いかと」


蘭子「ぴっ!?/// かっ、かかかか!?///」


武内P「すっ、すみません」

武内P「気分を害してしまったでしょうか?」


蘭子「そっ……そんな事ありません!///」

蘭子「わ……我が友は、私が……あ、愛らしいと……?///」モジモジッ

武内P「え、ええ……すみません」

蘭子「あっ、いや! 謝らなくて……い、良いです……!///」オロオロ!

武内P「えっ?」

蘭子「……う、ううっ……///」


蘭子「……――ハーッハッハッハ!」

蘭子「秘められし扉は開き、新たなる力に目覚めた!」


武内P「……えっ?」


蘭子「我が友よ、感謝するわ!」

蘭子「……だが! その力を制御する術は、未だこの手には無い!」

蘭子「しかし! いずれこの手に収めてみせるわ!」

蘭子「――汝の言の葉がもたらす、祝福を!」ビシッ!


武内P「……は、はあ」

  ・  ・  ・

武内P「……神崎さんは、何故あんなに機嫌よく……?」


凛「そんなの、可愛いって言われたからでしょ?」

アーニャ「ダー♪ ランコは、可愛いです♪」


武内P「……千川さん」

ちひろ「何ですか?」

武内P「あっ、いえ……何でもありません」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん」ニコッ

武内P「……」

武内P「では……」


凛「ねえ、カッコイイ枠って言われたんだけど」

アーニャ「神秘的、と言われました」

凛「プロデューサーは、どう思う?」

アーニャ「プロデューサーは、どう、思いますか?」


武内P「……あっ、いえ、あの」

武内P「順番で……良いでしょうか?」


凛「うん」

アーニャ「ダー」


武内P「……」

武内P「では……」


凛「カッコイイも、まあ、悪くないんだけど、さ」

アーニャ「ミステェィリヤ、神秘的は、褒めていますね?」

凛「でも……私って、セクシーとキュートなら、どっちかな?」

アーニャ「でも……セクシーかキュートかが、知りたい、です」


武内P「……あっ、いえ、あの」

武内P「渋谷さん、アナスタシアさん……?」

武内P「その、ですね……順番で、お願いします」


凛・アーニャ「……」

凛「別に、同時でも良いんじゃない?」

アーニャ「ダー。もう、待ちきれない、です」


武内P「は……はあ」

武内P「では……ですね」

武内P「お二人は、ご自分では――」


武内P「セクシーだと思いますか?」

武内P「キュートだと思いますか?」


凛・アーニャ「どっちも」


武内P「……」

武内P「ん……んん、そう……ですか」

武内P「……千川さん」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん」ニコッ

武内P「……」


凛「まあ、何て言ったら良いのかな」

凛「どっちか決められないって事は、どっちにも含まれるって事でしょ?」

凛「だから、カッコイイで、セクシーでキュートもアリなのかな、って」

凛「でも……まあ、一応プロデューサーの意見も聞いておこうと思って」


アーニャ「うまく、ンー、説明出来ない、です」

アーニャ「セクシーと、キュート……どちらも、いい意味、です」

アーニャ「プロデューサーは、どっちも好きだと、言ったそうですね?」

アーニャ「なら、アーニャは、どっちもだと……嬉しい、です」


武内P「……なるほど」

武内P「お二人の仰っている意味は、わかりました」

武内P「……はい……そう、ですね」

武内P「お二人とも、キュートで、セクシーだ、と」

武内P「……私も、そう、思います」


凛「そ、そう……?///」

凛「……まあ、悪くないかな///」

アーニャ「す、スパシーバ、ありがとう、ございます///」

アーニャ「どっちも……嬉しい、です///」


武内P「はい」


凛・アーニャ「それで……どこが?///」

凛・アーニャ「どこが、セクシー?///」

凛・アーニャ「どこが、キュート?///」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

武内P「どこが……ですか……?」


凛「ま、まあ……参考までに?」

凛「聞いておくのも、悪くないんじゃないの?」

凛「ほら、プロデューサーの意見だし?」

アーニャ「私は、知りたい、です」

アーニャ「どこが、セクシーで、どこが、キュートかを」

アーニャ「プロデューサーは、どう、考えていますか?」


武内P「あっ……いえ……」

武内P「……せ、千川さん」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん」ニコッ

武内P「……!」

凛・アーニャ「……」ワクワク!

武内P「……え」


武内P「笑顔です」

武内P「お二人の笑顔は、とても……はい、可愛らしい、と」

武内P「……そう、思います」


凛・アーニャ「……!///」

凛・アーニャ「せ……セクシーは?///」


武内P「せ……セクシーですか」


凛・アーニャ「……」ワクワク!


武内P「……」

武内P「その……ですね……」


凛・アーニャ「……」ワクワク!


武内P「セクシーな所は……はい」


凛・アーニャ「……」ワクワク!


武内P「……」


凛・アーニャ「……」


凛「……ねえ、まさかとは思うけど」

アーニャ「プロデューサーは、どっちもと、言いましたね?」

凛「言った。だから、セクシーな所も、答えられるはずでしょ?」

アーニャ「ダー。そうでないと、おかしい、です」


武内P「……!」

凛「もしかして、いい加減な事言った?」

アーニャ「ニェート。そんなはず、無い、です」

凛「じゃあ、何でセクシーな所が言えないの」

アーニャ「それは……わかりません」


武内P「……」


凛「ねえ、セクシーとキュート、どっちも好きなんでしょ?」

アーニャ「アーニャは、キュートな所しか、無いですか?」


武内P「お……お二人の、セクシーな所は……」

武内P「そう……ですね」


凛・アーニャ「……」ジィッ!


武内P「とても……悩ましい所ですね」



おわり

武内Pのデスクに、ゼクシィが置いてあったら
どんな反応するんだろう

>>408
書きます


武内P「ゼクシィ、ですか」

武内P「……何故、私のデスクの上に?」

武内P「……」

武内P「書類に挟まっていたので、手違い……でしょうか」

武内P「……」

…スッ

武内P「……」

ペラッ…ペラッ…

武内P「……」

武内P「……」

ペラッ…ペラッ…

武内P「……」


ガチャッ


ちひろ「……危ない危ない」

ちひろ「あんなに大きい雑誌を忘れるなんて……」

ちひろ「……疲れてるのかな」


武内P「千川さん、お疲れ様です」


ちひろ「あれっ? プロデューサーさん?」

ちひろ「今日は、戻ってくるのが遅くなるはずじゃ――」

ちひろ「――っ!?」


武内P「?」

…ペラッ

ちひろ「あの……その、手に持ってるのは……?」

武内P「ああ、これですか」

武内P「デスクの上に、置かれていたので……」

武内P「せんか」


ちひろ「違います」


武内P「……えっ?」


ちひろ「違いますよ? プロデューサーさん♪」ニコッ


武内P「……は、はあ」

武内P「そう……ですか」

  ・  ・  ・

武内P「……成る程、そういう事でしたか」

ちひろ「はい」


ちひろ「アイドルは、女の子が憧れる存在でもありますよね」

ちひろ「それで、女の子の小さい頃の夢が、お嫁さん」

ちひろ「……なんて、聞いたことありません?」

ちひろ「だから、ゼクシィが、プロデュースの役に立つかなと思いまして」

ちひろ「決して、何か意味があっての事じゃありません」

ちひろ「プロデューサーさん、わかっていただけました?」


武内P「……」

武内P「はい」

武内P「そう、でしたか」

武内P「ありがとうございます、千川さん」


ちひろ「いえいえ、気にしないでください」

ちひろ「最近、ちょっと疲れが溜まってたりとか、関係ありませんから」

ちひろ「あっ、でも、ちょっと中身を確認してみたんですけど……」

ちひろ「……あー、やっぱり良いなぁ、ってなりました」

ちひろ「あっ、今のは、憧れるなっていう意味だけですからね?」

ちひろ「プロデューサーさん、わかっていただけました?」


武内P「……」

武内P「はい」

武内P「私も、先程少し中身を見てみたのですが……」

武内P「……はい、参考になる部分も、ありました」

ちひろ「えっ?」

武内P「特に、キャッチコピーは、素晴らしいですね」

ちひろ「ああ、『プロポーズされたら、ゼクシィ!』ですよね?」

武内P「はい。それに加えて……」


武内P「結婚しなくても幸せになれる、この時代に、私は――」


ちひろ「……っ」


武内P「――あなたと結婚したいのです」


ゼクシィ~ン♪


ちひろ「っ……!」


武内P「……というコピーg」

ちひろ「――はいっ♪」ニコッ!


武内P「……えっ?」

武内P「あの……千川さん?」

ちひろ「買っておいて良かった、ゼクシィ……!」

武内P「千川さん?……あの、千川さん?」


ちひろ「はいっ♪」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「ですが、その……どうか、されたのですか?」

ちひろ「えっ? どうか、って……」

武内P「……」


ちひろ「……すみません、プロデューサーさん」

ちひろ「少し、一人にして貰えますか?」


武内P「……は、はあ」

  ・  ・  ・

武内P「……」

武内P(……何故、千川さんは落ち込んでしまったのだろうか)

武内P(……)

武内P(……少ししたら、戻って仕事をしなければ)


早苗「あら! 珍しい人が居るじゃない!」

瑞樹「確か、さっき戻ってきたのを見かけたわ」

楓「おはようございます」ペコリ


武内P「……片桐さん、川島さん、高垣さん」

武内P「おはよう、ございます」


早苗「おはようございます。で、サボりならタイホするわよ?」

瑞樹「おはようございます。そんなタイプじゃないでしょう?」


武内P「いえ……実は――」

  ・  ・  ・

武内P「――という事が、ありまして」

早苗・瑞樹・楓「ゼクシィの、キャッチコピー」

武内P「……はい」


武内P「コピーを言ったら、千川さんはとても喜んでいる様子で……」

武内P「……そして、すぐに落ち込まれてしまったのです」

武内P「その理由が、私には……よく」


楓「そのコピーは、どういったものだったんですか?」

楓「すみません……私、そういったものに疎くて」


武内P「はい、それは――」


早苗・瑞樹「っ!?」

早苗「まずいわよ! 早く、耳を塞いで!」バッ!

瑞樹「わかってるわ! ほら、楓ちゃんも!」バッ!

早苗・瑞樹「早く!」

楓「? は~い♪」

…そっ

早苗・瑞樹「私達のじゃなく、自分の耳を!」


武内P「結婚しなくても幸せになれる、この時代に、私は――」


楓「……」


武内P「――あなたと結婚したいのです」


ゼクシィ~ン♪


楓「っ!」ビクッ!


武内P「……というコピーd」

楓「……」


楓「……」…ポロッ


武内P「……えっ?」

武内P「あ、あのっ!? た、高垣さん!?」

楓「えっ?……あっ?」ポロポロッ

武内P「どっ、どうか、されましたか!?」


楓「……ふふっ、急な申し出は、もう、仕出かさないでくださいね? うふふっ」ニコッ!

楓「そのお話、お受k」


早苗・瑞樹「ストップストップ! 楓ちゃん、スト――ップ!」

早苗「なんか、こんなノリじゃ駄目でしょ!?」

瑞樹「楓ちゃん! 貴女、今日『こいかぜ』歌ったわね!?」

楓「えっ? はい、レッスンの時に……」

早苗・瑞樹「それだわ!」


武内P「あっ、あの、皆さん……?」


早苗・瑞樹「早く行って!」


武内P「いっ、いえ、ですが……」


早苗・瑞樹「早く!」


武内P「っ!? わ、わかりました!」

  ・  ・  ・

武内P「……はい……ええ、そうですか」

武内P「……さりげなくテンションがマックスだった?」

武内P「は、はぁ……ええ、わかりました」

武内P「埋め合わせ?」

武内P「……えっ!? あの、待ってください! オールは!」

武内P「待ってください! それは、流石に強引すぎます!」

武内P「待ってください、オールは! 待っ……」

武内P「……」


武内P「何故……こんな目に……」

武内P「……」ションボリ

武内P(……戻ったら、千川さんも居なかった)

武内P(ゼクシィのキャッチコピーを言っただけだと言うのに……)


ガチャッ!


未央「おっはよーございまーす!」

卯月「プロデューサーさん、おはようございます♪」

凛「おはよう、プロデューサー」


武内P「……本田さん、島村さん、渋谷さん」ションボリ

武内P「おはよう……ございます」ションボリ


未央・卯月・凛「……?」


武内P「……」ションボリ

  ・  ・  ・

武内P「……と言う事が、ありまして」ションボリ


未央「んー、イマイチわからないかなぁ」

卯月「はい……だって、まだ高校生ですし」

凛「ふふっ、でもさ、卯月は良いお嫁さんになるんじゃない?」

未央「あっ、それわかる! いつまでもラブラブって感じの!」

卯月「もっ、もー!/// からかわないでください!///」


武内P「……」ションボリ


未央「とっ……とりあえずさ!」

卯月「はっ、はい! どんなキャッチコピーだったんですか?」

凛「それがわからないと、理由も予想しようが無いかな」


武内P「……はあ」

未央「ほら、プロデューサー! シャキッとしてって!」

卯月「笑顔です、プロデューサーさん♪」

凛「さすがに、それは難しいんじゃない?」

未央・卯月・凛「――はい、どうぞ」

武内P「……努力、してみます」


武内P「――結婚しなくても幸せになれる、この時代に」キリッ!


未央「っ!///」


武内P「……私は――」キリリッ!


卯月「っ!///」


武内P「――あなたと結婚したいのです」


ゼクシィ~~ンッ♪


凛「っ!?///」


武内P「……という、コピーです」

武内P「確かに、良いコピーだと……そう、思います」

武内P「ですが……一体、何が――」


未央「わっ、私……まだ、15歳だよ!?///」

未央「急にそんな事言われても……こ、困るじゃん///」

未央「で、でも……16歳になったら、その時は……その……///」

卯月「えっと、あ、あははは……うぅっ……!///」

卯月「あの……ですね、その……あうぅっ……///」

卯月「がっ……頑張ります!/// だから、宜しくおねがいします!///」


武内P「――何がですか!?」


凛「ちょっと! 二人共!?」

凛「未央! 卯月!」

未央・卯月「……はっ!?」ビクッ!

未央「やっ、やばかった! 今の、やばかった!」

卯月「キャッチ! キャッチされましたよね!?」

凛「……もう、しっかりしてよ、二人共」

未央・卯月「……すみません」


凛「今、言われたのは私だから」


未央・卯月「えっ?」


凛「……二人っきりじゃないのは、少し残念だったけど」

凛「まあ――悪くないかな♡」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

未央「しっ……しぶりん……?」

凛「何?♡」

卯月「凛ちゃん!? あの、様子が……」

凛「どうしたの?♡」

武内P「しっ、渋谷さん……?」

凛「もう……さっきから何?♡」


凛「変なものでも見るような目で♡」


未央「だって、変なんだもん!」

卯月「凛ちゃん!? あの、大丈夫ですか!?」

凛「えっ?♡ うん、大丈夫だよ♡」


凛「式には、ちゃんと二人も呼ぶから♡」


未央・卯月「何の!?」

武内P「……!?」

未央「戻ってきて! 戻ってきてよ、しぶりん!」

凛「二人共……ごめん♡」

卯月「どうして謝っ……謝ってる感じしませんよ!?」

凛「私……――行くよ♡」


凛「蒼い風♡が、駆け抜けるように♡」


未央「やばいって! 完全にハートキャッチされてるよ、あれ!」

卯月「プロデューサーさん! 凛ちゃんにかけた魔法をといてください!」

武内P「そっ、そう言われましても……!?」


凛「一緒にいる二人がずっと――」

凛「――一緒に居ることを決める♡」

凛「ただ、それだけの……大いなる喜びでした♡」


未央・卯月・武内P「……!?」

  ・  ・  ・

武内P「……」

武内P「……ゼクシィを買ってくる、と」

武内P「そう言って、何とか逃げられました……が」

武内P「……」


武内P「責任を……取る必要が、あるかも知れませんね」


武内P「……」

武内P(アイドルとしての姿を……ずっと見続けていきたい、と)

武内P(……そう、思っていたが)

武内P(まずは……部長に報告すべきだろう)

武内P(そして、最悪の場合は、一からスタートしよう)


武内P「リクルートから」



おわり

書きます


武内P「夏休みの宿題は終わりましたか?」

アーニャ「シトー? 何の、話ですか?」

武内P「夏休みの、宿題です」

アーニャ「夏休みの……オー! 思い出、ですね?」

武内P「……」


武内P「ダマーシニーザダニェ、宿題、です」


アーニャ「……」

アーニャ「……ニェート、まだ、です」

武内P「アナスタシアさん」

アーニャ「プロデューサー、誤解、です」

武内P「? 何が、ですか?」

アーニャ「夏休みは、夏の、休みですね?」

武内P「はい」


アーニャ「勉強するのは、おかしいですね?」


武内P「宿題は、別です」


アーニャ「……」

アーニャ「……ダー、その通り、です」

武内P「少し……いえ、かなり意外でした」

アーニャ「意外、ですか?」

武内P「はい」

武内P「アナスタシアさんは、宿題は真面目にやる方だ、と」

武内P「……そう、思っていたので」


アーニャ「……」シュン


凛「うん、ちょっと意外だよね」


武内P「渋谷さん、貴女もです」

凛「待って、私はちゃんと理由がある」

武内P「理由、ですか」

凛「シンデレラプロジェクトと、クローネ」

凛「その二つで、忙しかっただけだから」

アーニャ「! ダー! 私も、です!」

武内P「……なるほど」


武内P「お二人とも、プライベートでかなり遊んでいた、と」

武内P「……そう、報告を受けています」


凛・アーニャ「!?」

凛「報告って、何それ!?」

アーニャ「誰から、ですか!?」

武内P「誰か一人……という訳ではありません」

凛「どういう事!? 納得のいく説明を聞かせて!」

アーニャ「プロデューサー! 教えて、ください!」

武内P「……いえ」


武内P「皆さんの、遊びに行ったという土産話の中で、ですね」

武内P「毎回、お二人の名前が出る、と」

武内P「……そこから、察しました」


凛・アーニャ「……」

武内P「夏休みの宿題は、終わるでしょうか?」

凛・アーニャ「……」

武内P「……いえ、質問を変えましょうか」

武内P「夏休みの宿題をするつもりは、ありますか?」

凛「……ねえ、少し気になったんだけど」

アーニャ「……プロデューサーは、何故、そんな事を?」


武内P「お二人の、夏休みの宿題が終わらない場合」

武内P「シンデレラプロジェクトの活動を休止」

武内P「クローネに専念して貰う、と」

武内P「……専務から、通達がありました」


凛・アーニャ「!?」

凛「ちょっと待って! 何なの!?」

アーニャ「私達が、夏休みの宿題をしないと!?」

武内P「渋谷さんと、アナスタシアさんのお二人だけ」

武内P「シンデレラプロジェクトで、活動出来なくなります」

凛「どうしてそうなるの!? だって、学校の宿題でしょ!?」

アーニャ「ニェート! おかしい、です! 絶対、変、です!」


武内P「私も、専務にそう直訴しました」

武内P「……が」

武内P「夏休みの宿題をやらない方がおかしい、と」

武内P「……ぐうの音も、出ませんでした」


凛・アーニャ「……」

凛「……待って」

武内P「はい、何でしょうか?」

アーニャ「私達だけ、おかしい、です!」

武内P「? 何が、ですか?」

凛「私達だけ夏休みの宿題をやってないペナルティー、厳しすぎ!」

アーニャ「ダー! 私達にだけ、ンー、意地悪、です!」

武内P「……ハッキリと、申し上げます」


武内P「夏休みの宿題が終わっていないのは……」

武内P「……貴女達、お二人だけなのです」


凛・アーニャ「!?」

凛「……嘘でしょ?」

武内P「いえ、本当です」

アーニャ「イズヴィニーチェ、すみません、わからない、です」

武内P「わかってください」


武内P「……お二人が、シンデレラプロジェクトの仕事の時に」

武内P「クローネで、夏休みの宿題を片付ける会が」

武内P「逆に、クローネの仕事の時に」

武内P「シンデレラプロジェクトで、同様の催しがあったようです」


凛・アーニャ「……!?」

凛「ねえ、ちょっと待って……何、それ?」

アーニャ「聞いてない、です! アー、仲間はずれ、ですか!?」

武内P「いえ、完全にタイミングの問題でしょう」


武内P「……そして、お二人とも、夏休みの宿題に関して」

武内P「なんとかなる」

武内P「……と、そう言っていたそうですね?」


凛「……そんな昔のこと、覚えてない」

武内P「つい先日の話です」

武内P「どうですか? 終わりそうですか?」

アーニャ「……そんな先の事は、わからない、です」

武内P「数日後の問題です」


凛・アーニャ「……」

凛・アーニャ「レッs」

武内P「今日のレッスンの予定は、キャンセルしておきました」

凛・アーニャ「……」

武内P「今日のお二人のスケジュールは、こちらになります」

…ペラッ

凛「……ねえ、何……この時間割」

武内P「お二人に出された宿題に合わせて、予定を立てました」

アーニャ「……ンー、教科の横に、名前が書いてあるのは?」


武内P「その方に、見張ら……見守られながら、進めてください」


凛・アーニャ「……」

  ・  ・  ・

未央「いやー! 二人共宿題終わってなかったんだねぇ!」


凛・アーニャ「……」

カリカリカリカリ…


未央「んー、どれどれ? ほうほう……ほほう」

未央「あ」


凛・アーニャ「……」

…ピタッ


未央「……なんかクシャミ出そう」


凛・アーニャ「チェンジ!」

  ・  ・  ・

茜「二人共!! 頑張ってください!!」


凛「……うん」

アーニャ「……ダー」

カリカリカリカリ…


茜「わからない所があったら、いつでも聞いてくださいね!!」


凛「……うん」

アーニャ「……ダー」

カリカリカリカリ…


茜「いい調子ですよ!! 今の所、全問正解してます!!」

茜「このペースだったら、問題なく終わりそうですね!! ボンバー!!」


凛・アーニャ「チェンジ!」

  ・  ・  ・

拓海「……」


凛・アーニャ「……」

カリカリカリカリ…


拓海「オラ、間違ったぞ」

拓海「面倒だからって途中式を書かないからそうなんだよ」


凛「あ、そっか」

ケシケシ…カリカリカリカリ…


拓海「ん」

拓海「調子ン乗ってんじゃねえか、焦るんじゃねえぞ」


アーニャ「ダー」

カリカリカリカリ…

  ・  ・  ・

凛「……終わった」

アーニャ「……私も、です」

凛「すごくない?」

アーニャ「すごい、です!」


武内P「渋谷さん、アナスタシアさん」

武内P「……お疲れ様でした」


凛「まあ、本気を出せばこれくらい余裕かな!」

アーニャ「ダー! 私達は、アー、やれば出来る子、です!」

凛「これで、シンデレラプロジェクトの活動を――」

アーニャ「――続けて大丈夫、ですね?」

武内P「……はい」

ペラッ…ペラッ…

武内P「これで、問題ないでしょう」

…パタン


凛・アーニャ「……ふふっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

凛「でも、案外終わるものだね」

アーニャ「ニェート、今日があったから、です」

凛「確かに。一人じゃ、終わらなかったと思う」

アーニャ「スパシーバ、ありがとうございます、プロデューサー」

武内P「いえ……当然です」

武内P「お二人の、笑顔のためですから」

凛・アーニャ「……!」ジーン…!


武内P「夏休みも、残り数日です」

武内P「残り数日間ですが……気兼ねすること無く」

武内P「笑顔で、楽しんでください」


凛・アーニャ「――はいっ!」

凛「……でも、来週から学校かぁ」

アーニャ「リンの学校は、夏休みが短い、ですね?」

凛「そうかな? 普通だと思うけど」

アーニャ「ダー。とても、短い」

凛「ふーん」


凛「アーニャの学校は、いつ始まるの?」


アーニャ「? 美波が、言っていました」

アーニャ「夏休みは、九月の、アー、中旬まで、です」


武内P「……」

武内P「待ってください」

武内P「……すみません、確認してもいいでしょうか?」

凛・アーニャ「?」


武内P「渋谷さんの提出された夏休みの日程、ですが……」

凛「? 未央と一緒にしてあるでしょ?」

凛「同じ、高校一年生だし」


武内P「アナスタシアさんの提出された夏休みの日程、ですが……」

アーニャ「美波と一緒にしてありますね?」

アーニャ「二人で、ラブライカ、です」


武内P「……」

武内P「……本田さんの通う高校は、千葉県の学校です」

武内P「渋谷さん……東京都の高校に通う、島村さんは、今日……?」

凛「卯月? 今日は、学校だって言ってたけど?」


武内P「……アナスタシアさん、新田さんが通っているのは、大学です」

武内P「なので、間違いだと思い、始業式が九月頭だと修正していたのですが……」

アーニャ「? 東京の学校は、北海道と、休みの長さが、違うのですよね?」


武内P「……確認、していただけますか?」

武内P「お二人の夏休みが、いつまでなのかを」

  ・  ・  ・

武内P「彼女達の、夏休みの宿題は終わりました」

武内P「シンデレラプロジェクトでの活動を継続する許可をお願いします」


専務「待ちなさい」

専務「もう、学校は始まっていたのだろう?」


武内P「はい」

武内P「始業式翌日の、小テスト」

武内P「それを欠席してしまったようです」


専務「……」

専務「君は、よくそれで許可が降りると思ったな?」

武内P「期日は、設定されていませんでしたから」

専務「……彼女達には、私が直接話をしよう」

武内P「っ!? 待ってください!」

武内P「親御さんには、連絡しておきました!」

武内P「親御さんに加え、専務からも怒られるとなると――」

武内P「――彼女達の、輝きが失われてしまう恐れが!」


専務「……ならば、君に夏休みの宿題を出そう」

専務「そして、冬休みに備えなさい」


武内P「えっ?」

専務「今後、二度とこういう事の無いようにする方法を……だ」

武内P「専務、それは……」


武内P「手のつけられない問題、という事ですか?」


専務「ん?」


武内P「私に、夏休みを取る余裕はありませんから」



おわり

Pからロックって言葉を使えば基本なんでも言うこと聞くだりーをください!

>>483
書きます


武内P「ロックです」

みく「えっ?」

李衣菜「はいっ?」

みく「ねえ……Pチャン?」

李衣菜「あの……プロデューサー?」


みく「可愛いフリフリを着て、ネコミミの衣装だよ!?」

李衣菜「全然、ロックじゃないと思うんですけど!?」


武内P「いえ、ロックです」


みく・李衣菜「……!?」

みく「あの、Pチャン。さすがに、李衣菜ちゃんでも騙せないにゃ」

李衣菜「みくちゃん!? それ、どういう意味!?」

みく「そのままの意味にゃ! ねえ、説得するなら真面目にやって!」

李衣菜「私は、説得されませんからね!? ロックじゃないですもん!」


武内P「多田さんは、ロックではないから……」

武内P「……フリフリの、ネコミミは嫌だ、と」

武内P「……そう、仰るのですね?」


李衣菜「はい! 全然、ロックじゃないです!」

武内P「……成る程、わかりました」

李衣菜「わかってくれました!?」

武内P「はい」


武内P「フリフリの、ネコミミから――」


武内P「――逃げる」


李衣菜「にっ、逃げる!?」


武内P「それが、多田さんの信じるロックなのですね?」


李衣菜「おっ、お……ええっ!?」

李衣菜「にっ、逃げるって……言い方、ずるくないですか!?」

武内P「そう、でしょうか?」

みく「まあ、でも……間違ってはないよね」

李衣菜「みくちゃんまで!?」


武内P「……多田さん」

武内P「逃げるのではなく――立ち向かう」

武内P「それこそが、ロックなのでは、と」

武内P「……そう、思います」


李衣菜「っ――!」

李衣菜「確かに……確かに、その通りです!」

李衣菜「プロデューサー! 私、やります!」

李衣菜「――フリフリの、ネコミミを!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・

夏樹「だりー、お前それ騙されてるぞ」

李衣菜「なつきち!? 何て事言うの!?」

夏樹「上手くのせられてるだけだぞ?」

李衣菜「じゃ、じゃあ……なつきちだったらどうすのさ!?」

夏樹「アタシに、フリフリのネコミミが似合うと思うか?」


李衣菜「逃げるの!?」


夏樹「……おいおい」

夏樹「そういう話じゃなくてだな」

李衣菜「……ショックだよ、なつきち」

夏樹「はぁ?」

李衣菜「なつきちなら、立ち向かうと思ってた!」

夏樹「……おいおい、だりー」


夏樹「アタシが、フリフリのネコミミから逃げる?」


夏樹「――ハッ! 見くびって貰っちゃ困るな!」


李衣菜「……なつきちっ!」パアアッ!

  ・  ・  ・

夏樹「――なあ、待ってくれって!」

李衣菜「プロデューサー! 話が違います!」

みく「みくは賛成! 大賛成にゃ!」


夏樹「みくと同じ喋り方!? アタシ『にゃ』を付けろって!?」

李衣菜「これ、全然ロックじゃないですよね!?」


武内P「いえ、ロックです」


李衣菜・夏樹「……!?」

夏樹「どこがロックなんだ!? なあ!」

李衣菜「納得出来ませんよ、プロデューサー!」

みく「ネコチャンユニットの完成にゃ!」

武内P「……」


武内P「多田さんと、木村さんは……」

武内P「……語尾に『にゃ』をつけるのは嫌だ、と」

武内P「……そう、仰るのですね?」


夏樹「どう考えても、そうだろう!?」

李衣菜「嫌ですよ! 語尾に『にゃ』をつけるなんて!」

武内P「……成る程、わかりました」

李衣菜「良いですか!? やりませんよ!?」

夏樹「フリフリのネコミミで、もうギリギリだっての!」

武内P「そうですか」


武内P「語尾に『にゃ』をつけるだけで――」


武内P「――揺らぐ」


李衣菜「ゆっ……」

夏樹「揺らぐ!?」


武内P「それが、貴女達の信じるロックなのですね?」


李衣菜「ちょっ、はっ……んえっ!?」

夏樹「いや、そん……はあっ!?」

李衣菜「ゆっ、揺らぐって……」

夏樹「……アンタ、その言い方は卑怯じゃないか!?」

武内P「そう、でしょうか?」

みく「……」ジイッ

李衣菜・夏樹「……!?」


武内P「……多田さん、木村さん」

武内P「迷わされずに――己を貫く」

武内P「それこそが、ロックなのでは、と」

武内P「……そう、思います」


李衣菜「っ――!」

李衣菜「やろう……やろうよ、なつきち!」

李衣菜「――ううん! やるにゃ!」ニコッ!

夏樹「だりー……へっ、しょうがないにゃあ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・

菜々「あのっ!? それ、騙されてますよ!?」

李衣菜「菜々ちゃん、そんにゃ事にゃいよ!」

菜々「みくちゃんより上手くやっちゃ駄目ですよ!?」

夏樹「菜々、あんまり大声をだすにゃよ」

菜々「いえあの、ナナが悪い流れですか、これ!?」


李衣菜・夏樹「にゃあ」


菜々「わからないですよ、それじゃ!」

菜々「う~っ……わかりました!」

李衣菜「? にゃにが?」

菜々「ナナが、代わりに話をつけてきます!」

夏樹「にゃぁ?」

菜々「このままじゃ、二人のロックがピンチです!」


李衣菜「ロックがピンチ?……にゅふふ!」

夏樹「……追い詰められても、諦めないのが――」

李衣菜・夏樹「――ロックにゃ!」


菜々「……」

菜々「これは……急がないと!」

  ・  ・  ・

菜々「……」

みく「ナナチャンも参加してくれるなら、百人力にゃ!」

李衣菜「うん! アスタリスクwithなつなな――」

夏樹「再形成、だにゃ!」


菜々「……十代のアイドルだけのイベント、ですか?」


武内P「……はい」


みく・李衣菜・夏樹「?」


菜々「……!?」

菜々「……いやいや、えっ?」

みく「まあ、さすがにそうだよね」

李衣菜「うん、二十代でフリフリのネコミミの……」

夏樹「語尾に『にゃ』は……にゃあ?」

菜々「で……ですよねー」


夏樹「まあ、アタシもギリギリセーフだけどにゃ!」

李衣菜「そんな事ないにゃ! なつきち!」

みく「そうにゃ! カッコイイネコチャンも居るにゃ!」


菜々「……」

菜々「なっ……ナナはウサミン星人なので……その」

菜々「今回は、遠慮した方が良いって電波が!」

菜々「ピピッと! ピリピリドンガラガッシャンきてます!」

菜々「はっ!? これは、やったらまずいです!」

菜々「だからですね、あの――」


みく「大丈夫だよ、ナナチャン!」

李衣菜「ロックの魂……ううん、魂がウサミン星人なら!」

夏樹「フリフリのネコミミ、語尾に『にゃ』をつけたって――」


みく・李衣菜・夏樹「――ウサミン星人にゃ!」グッ!


菜々「っ……!」バッ!

武内P「……」サッ!

菜々「……!?」

みく「Pチャン! Pチャンも説得して!」

李衣菜「お願いにゃ、プロデューサー!」

夏樹「聞かせてやるにゃ、アンタの熱い思いを!」

武内P「……」


武内P「……安部さん」


菜々「はっ、はい!?」


武内P「ロックです」

武内P「時の流れに逆らっている、貴女ならば」

武内P「……何とか、はい、大丈夫だと……ええ、思います」


みく・李衣菜・夏樹「……なんか、最後がふわっと」


菜々「そうですよね! ロックですよね!」

菜々「ぃよぉ~し! ネコミン星人、行きますにゃ~!」

みく「おおっ! すっごいやる気だね、ナナチャン!」

李衣菜「へへっ! 負けれられないよにゃ、なつきち!」

夏樹「にゃあ! そうだにゃ、だりー!」


みく・李衣菜・夏樹・菜々「……にゃはっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・

ちひろ「あの……また、バラエティー方面のお仕事ですか?」

武内P「ええ、そうですね」

武内P「木村さんと、安倍さんもスケジュールを調整してくださいました」

ちひろ「えっ? あの二人も、ですか?」

武内P「おかげで、企画の幅が広がりました」

ちひろ「……そろそろ、怒られるんじゃないですか?」

武内P「問題ありません」


武内P「彼女達――アイドルの皆さん自身の、輝きを引き出す」

武内P「そのためならば、専務の方針と対立しようと……はい」

武内P「何の問題もありません」


ちひろ「……ロックですねぇ」



おわり

>>512
ピピー!安部菜々警察です!!
そっちの名前だとシンデレラガールズ総選挙の時に全く無関係の政治関係の人からクソリプ貰っちゃいますよ!!

>>521
うお、書紀ちゃんさん申し訳ない
上の方で安部さんとうって油断してました
何故かたまに出てくる渋谷産にも困ってます

書きます


武内P「悩み、ですか」

卯月「……はい、そうなんです」

智絵里「……プロデューサーに、聞いて欲しくて」

かな子「……悩みのせいで、カップケーキが喉を通りにくいんです」

杏「ってなわけらしいからさ、聞いてあげてよ」


卯月・智絵里・かな子「お願いします!」


武内P「……皆さん」

武内P「はい、私で良ければ」

杏「がんばれ~」ヒラヒラ

武内P「皆さんお揃いで、ということは……」

武内P「全員、揃った状態の方が良いのでしょうか?」

杏「杏はさ、全員の悩みなんて大したことないって言ったんだよ」

杏「だけど、ぜ~んぜん効果が無いんだもん」

武内P「そう……なのですか」

杏「ま、そういうわけだからさ、大した悩みじゃないんだよね」

杏「だから、全員まとめてで良いと思うよ~」


卯月・智絵里・かな子「……」


武内P「……わかりました」

武内P「では、まず……島村さんから」

卯月「……はい」

武内P「島村さんの悩みとは、何なのでしょうか?」

卯月「……私、普通すぎると思うんです」

武内P「えっ?」


卯月「だから……みくちゃんみたいに、キャラを付けた方が良いのかな、って!」

卯月「最近、そんな事ばっかり、ずっと考えちゃうんです!」


武内P「待ってください」

武内P「私は、島村さんは普通ではない、と」

武内P「……そう、思っているのですが」


卯月「えっ!?」

卯月「どっ、どこがですか!?」

武内P「あ、いえ……それは……」チラッ

智絵里・かな子・杏「……」

卯月「……!」ジイッ!

武内P「……」


武内P「アイドルとしては――」

武内P「ルックス、スタイル、歌唱力、ダンス」

武内P「……どれも、高い水準にあります」


卯月「ふえっ!? そ、そうでしょうか……?///」

卯月「そっ、それじゃあ……アイドルとしてじゃなくは!?」

武内P「えっ!? いえ、それは……」チラッ

智絵里・かな子・杏「……」

卯月「……!」ジイッ!

武内P「……」


武内P「島村さん、個人としては――」

武内P「優しい人柄は、言うまでもないですが……」

武内P「とても、周囲の環境に恵まれている方だ、と」

武内P「……そう、考えています」


卯月「周囲に……恵まれてる……?」

武内P「はい。それは、普通とは言い難いです」

卯月「あまり……考えたこと、ありませんでした」

武内P「島村さんは、ご家族や友人など、沢山の方に恵まれています」

武内P「今も、一緒に悩みを相談出来る方と……はい」


卯月「!」チラッ

智絵里・かな子・杏「……えへへっ」


武内P「それは、貴女の人柄によるものです」

武内P「普通と言い切ってしまうのは、勿体無いかと」

武内P「……そう、思います」


卯月「――っ! はいっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

卯月「そっか……そうですよね、プロデューサーさん!」

武内P「悩みは、解決しましたか?」

卯月「はいっ♪」

智絵里「えへへっ、良かったね、卯月ちゃん」

卯月「うん、ありがとう♪ そっかぁ……私、恵まれてたんだ」

かな子「こういうのって、自分じゃどうしようも無い部分もあるけど……」

杏「だから言ったでしょ? 運も実力の内、ってね」

卯月「はいっ! おかげで、スッキリしました!」


卯月「島村卯月、頑張ります♪」


武内P「……」

武内P(……双葉さんの言う通り、些細な事でした)

武内P(ですが……島村さんの心は晴れたようですね)

武内P「では、次に……緒方さん」

智絵里「……はい」

武内P「緒方さんの悩みとは、何なのでしょうか?」

智絵里「……わたし、このまま良いのかな、って」

武内P「えっ?」


智絵里「わたし……自分を変えたくて、アイドル目指して……」

智絵里「一生懸命、頑張って……頑張ってきたんです」


武内P「……緒方さん」


智絵里「わたしが変われば……変わるかなって思って」

智絵里「昔みたいに……家族皆で、笑い合えるって信じて……」


武内P「……」

武内P(重い! 待ってください、あまりに重すぎます!)

智絵里「アイドルになって、少しは変われた気がして……!」

智絵里「なのに……なのに、何も変わらなくて……!」

智絵里「わたしが、いけないんでしょうか……!?」

智絵里「何をしても、もう、駄目なんでしょうか……!?」


武内P「……!?」チラッ

卯月・かな子・杏「……」

武内P「……」


智絵里「プロデューサー……!」

智絵里「わたし……どうしたら良いんですか……!?」


武内P「……」


武内P「――笑顔です」

智絵里「……えっ?」


武内P「緒方さん」

武内P「貴女は、無理に笑顔を作っていませんか?」

武内P「自分一人で何とかしよう、と」

武内P「……そう考え、無理をされていませんか?」


智絵里「で……でもっ! 無理でもしないと――」


武内P「緒方さん、思い出してください」

武内P「キャンディアイランドで……シンデレラプロジェクトで」

武内P「貴女が――笑顔だった、その時」

武内P「緒方さんは……無理をされていたのでしょうか?」


智絵里「っ――!」

智絵里「無理なんか……無理なんか、してないです!」


武内P「それを聞いて、安心しました」

武内P「私には、緒方さん……貴女が」

武内P「楽しんで――心からの笑顔をしている、と」

武内P「……そう、見えていましたから」


智絵里「――はいっ♪」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「その笑顔を忘れずにいれば――」

武内P「――必ず、道は開けます」


智絵里「プロデューサー……これからも、宜しくお願いします!」

智絵里「わたし、これからも一生懸命頑張ります!」

智絵里「だから……」


智絵里「見捨てないで、くださいね……?」


武内P「……ええ、勿論です」

智絵里「……えへへ、お話……聞いてもらって良かった」

武内P「悩みは、解決しましたか?」

智絵里「はいっ♪」

卯月「良かったね、智絵里ちゃん♪」

かな子「これからも、一緒に笑顔で頑張ろうね!」

智絵里「……うんっ♪」

杏「だから言ったでしょ? 笑う門には福来る、ってね」

智絵里「……えへへ、そうだね」


智絵里「幸せの、おまじない♪」ニコッ!


武内P「……」

武内P(……想像以上の、重さでした)

武内P(ですが……緒方さんの心は晴れたようですね)

武内P「では、最後に……三村さん」

かな子「……はい」

武内P「三村さんの悩みとは、何なのでしょうか?」

かな子「……美味しいから、大丈夫だと思ってたんです」

武内P「えっ?」


かな子「……プロデューサーさん」

かな子「私、もしかして……もしかして、なんですけど」


武内P「……」


かな子「……太りました?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

武内P「あの……三村さん?」

かな子「……」

武内P「三村さんの悩みは……それ、でしょうか?」

かな子「……はい」

武内P「あっ、いえ……その、すみません」

武内P「少し……ですね、はい、落差がありまして」


かな子「心の準備は出来てます!」

かな子「プロデューサーさん、私……太りましたか!?」


武内P「あっ、いえ……そうは、見えませんが」


かな子「本当ですか!? 良かったぁ~!」

かな子「昨日体重計に乗ったら3キロ増えてたけど、太ってなかった!」


武内P「三村さん!? あの……三村さん!?」

武内P「3キロと言うのは……本当ですか!?」

かな子「? はいっ♪」ニコッ!

武内P「……良い、笑顔です」

武内P「――ではなく! あのっ、一体何が!?」

かな子「えっ? どっ、どうしたんですか?」

かな子「もう、私の悩みは解決しましたよ?」

武内P「悩みは! 確かに、悩みは解決したかも知れません!」

武内P「ですが……その、問題が!」


かな子「っ!?」

かな子「……なっ、何の問題ですか!?」


武内P「えっ!?」

武内P「いえ、三村さん……3キロ、増えていたんですよね!?」

かな子「そうですけど……えっ、太ってないんですよね?」

武内P「三村さん……少し、質問をしても良いでしょうか?」

かな子「えっ? な、何ですか……?」

…ゴソゴソッ、トンッ


武内P「そのバスケットは、何ですか?」


かな子「バタークリームのケーキですよ~♪」

かな子「最近、すっごくハマちゃってて……えへへ」

かな子「でも、太ってないって聞いて、安心しました!」


武内P「三村さん、待ってください!」

武内P「バタークリームのカロリーは、あまりに高すぎます」


かな子「美味しいから大丈夫ですよー」


武内P「大丈夫では! 大丈夫では、決してありません!」

武内P「皆さん! 三村さんを止めてください!」


卯月・智絵里「はっ、はいっ!」

かな子「今日のバタークリームはね? ふふっ!」

かな子「じゃ~ん♪ 卵黄を入れた濃厚クリームだよ~♪」

卯月・智絵里「えっ、えっ?」

かな子「はい、二人共ど~ぞっ♪」

卯月・智絵里「……あ、ありがとう」

かな子「……お味はどうかな?」


卯月・智絵里「ん~っ! 美味しいっ!」


かな子「ねっ、プロデューサーさん!」

かな子「とっても美味しいんですよ!」


武内P「三村さん、あの……だから何だと言うのでしょうか!?」

かな子「美味しいから、大丈夫なんです」

卯月「はいっ♪ 島村卯月、幸せですっ♪」

智絵里「えへへ……自然と、笑顔になっちゃいます♪」

かな子「ねっ? プロデューサーさん♪」


武内P「待ってください!」

武内P「ですが、3キロ増はあまりにも!」


かな子「……それでも、私はアイドルです」

かな子「ファンの皆さんと、そして……皆の笑顔」

かな子「そのためなら……美味しいから、大丈夫です♪」ニコッ!


卯月・智絵里「かな子ちゃん……!」ジーン…!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「……」

武内P「待ってください! 笑っている場合ではありません!」

  ・  ・  ・

杏「プロデューサー、お疲れ様~」ヒラヒラ

武内P「……」

杏「ねっ? 大したことない悩みだったでしょ?」

武内P「そう、でしょうか?」

杏「そうに決まってるじゃんか」


杏「人に相談して解決する悩みなんだもん」

杏「ましてや、こ~んなすぐにだよ」

杏「ねっ? 大したこと無いっしょ?」ケラケラ


武内P「……」

武内P「そう……ですね、はい」

杏「まっ、かな子ちゃんは抵抗してたけどね~」

武内P「ですが……衣装の問題もありますから」

杏「うんうん」


武内P「まあ、他の二人に関してもさ」

杏「下手に深刻にさせない方が良さそうだったからね~」

杏「これで、杏達にも何かあったら気軽に相談しやすくなったろうしね」


武内P「! 成る程……確かに、そうかも知れません」

武内P「双葉さん……ありがとう、ございます」

杏「お礼なんて良いってば、友達のためだしね~」

武内P「……」


杏「ところでさ、杏の悩みも聞いてくれる?」


武内P「? はい、何でしょうか?」


杏「杏ってさ、働きすぎだと思わない?」



おわり

>>548
誤)>武内P「まあ、他の二人に関してもさ」

正)>杏「まあ、他の二人に関してもさ」




誤字脱字、表記ミスがかなり増えていて本当に申し訳ないです
勢いがつきすぎている感があるので、明日から修正してきます
おやすみなさい

書きます


武内P「お先に失礼します」

早苗「はぁ? はぁ~っ? はあぁ~っ?」

瑞樹「まあまあ、まあまあまあまあ」

楓「ふふっ! お先におさっふふっ!」

武内P「では……これで」


早苗・瑞樹・楓「……」ジィッ


武内P「あの、無言で見るだけは……はい」

早苗「今の、意味わかった?」

瑞樹「わからないわ」

早苗「わかった?」

楓「お酒おっ、ふっふふ! うふふっ!」


早苗・瑞樹・楓「……」ジィッ


武内P「正直に、申し上げます」

武内P「皆さん、とても酔われているので……はい」

武内P「……帰りたいのです」

早苗「あー! そういう事言う!?」

瑞樹「テンション下がるわー!」

楓「テンションの点、ションボリうっふふっ!」

早苗「そんな事より、アレやりなさいよ! アレ!」


早苗・瑞樹・楓「……」ジィッ


武内P「……」

武内P「えっ!?」

武内P「……あの、どれでしょうか!?」

早苗「アレと言ったらアレよ! あーれ!」

瑞樹「見たいわ~。早く見たいわ~」

楓「とても、楽しみです……っふふ!」

武内P「待ってください! どれですか!?」


早苗・瑞樹・楓「笑顔」


武内P「……」

武内P「……!?」

早苗「はやく! はーやく! ハイハイハイハイ!」

瑞樹「スマイル、ハイハイ! 見たいわハイハイ!」

楓「笑顔は、スマイル……あっこれ普通うっふふっ!」

武内P「わ、笑えば……帰って良いのでしょうか?」


早苗・瑞樹・楓「?」


武内P「……なるほど」

武内P「普通に、帰すつもりが無いだけですね!?」

早苗「じゃあ、アレ! アレやんなさいよ!」

瑞樹「わ・か・る・わ~! 私も聞きたかったの!」

楓「ハイボールですよね? 注文しておきました、うふふっ!」

武内P「ありがとうござ……待ってください!」


早苗・瑞樹・楓「ポーエーム♪ ポーエームーっ♪」


武内P「……」

武内P「……!?」

早苗「じゃあねー、お題は、そうねー」

早苗「あたしのスタイルについて! はい、ポエム!」

瑞樹「期待してるわ! ナイスポエムを!」

楓「ふふっ! お題をお大事……ぷっふふっ! うふふっ!」


武内P「えっ!? いえ、あの……」チラッ

早苗「はーっ! 目がエロい! エロ罪でタイホタイホー!」

バッシバッシ!

武内P「痛っ! あの、加減が……片桐さん! 片桐さん!」

瑞樹「それじゃあ次は私ね!」

瑞樹「私の可愛い所をポエって貰うわ!」

早苗「んぐっんぐっ……プハーッ! ポエれポエれーっ!」

楓「瑞樹さんの、水着さ……あっこれ全然関係ないうっふふっ!」


武内P「えっ!? いえ、あの……」チラッ

瑞樹「やーっだ、もうっ! ジロジロ見ないで欲しいわ!」

バッシバッシ!

武内P「うんんっ!? あの、ルールが! ルールが、よく!」

楓「それじゃあ、次は私ですね」

楓「けれど……何をポエって貰おうかしら」

早苗「明日の運勢とか良いんじゃない!?」

瑞樹「それだわ! さあ! さあさあさあ!」


武内P「えっ!? いえ、あの……」オロオロ

楓「……!」

バシバシ!

武内P「えっ!? 何故、叩かれて……あの、高垣さん!?」

早苗「はー! なんか今日楽しいわねー!」

瑞樹「わかるぅ~……わっ! ふふっ! 楓ちゃん、わっ!」

楓「わっ! ふふっ、わっ! わっ! うふふっ!」

早苗・瑞樹・楓「わっ!」


武内P「……えっ?」


早苗・瑞樹・楓「……」ジィッ


武内P「……」

武内P「えっ!?」

早苗「はぁ~……ため息、はぁ~……からの、わっ!」

瑞樹「わかるわわかるわわっわっわっ、わわわの、わっ!」

楓「っ……っふふふふっ! わ、わ……うふふふっ!」

早苗・瑞樹・楓「……はぁ」ジィッ


武内P「っ……!」

武内P「わ……わっ///」


早苗・瑞樹・楓「あははっ! わっ! あはははっ!」


武内P「もう……もう、帰してください!」

武内P「お願いします、帰らせてください!」

早苗「じゃあ、アレ! アレやって! アレ!」

瑞樹「わかるわー。アレやらないと、ねぇ?」

楓「はい。帰ると言う話、お受けできません」

武内P「あの……どれでしょうか!?」


早苗「さーて、ここでクエスチョン!」

瑞樹「私達が言ってるアレとは?」

楓「一体、何でしょう♪」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

早苗「正解したら、帰ってもいいわよ!」

瑞樹「そうね。グラスも空いてるし、丁度いいもの」

楓「お料理も、もう少ないですし」

武内P「! ほ、本当ですか!?」


早苗「当たり前でしょ! あたし達を信じなさいよね!」

瑞樹「そろそろ日本酒でいいわよね。注文しておくわ」

楓「お刺身は……盛り合わせで、二人前」


武内P「待ってください!」

武内P「そもそも、正解を出す気がありませんね!?」

早苗「まあまあ! そんな、困った時は!?」

瑞樹「ほらほら! 右手を首筋にやって!」

武内P「えっ、あ……はい」スッ

早苗「んー……な~んか足りないわね」

瑞樹「あっ、そうだわ。左手も首筋! はやく!」

武内P「えっ!? は……はい」スッ

早苗・瑞樹「からのぉ~、少し仰け反ってぇ~」


武内P「……はあ」キュッ


早苗・瑞樹「セクシーポーズ」

楓「っぷふっ!?……っ!……ふっ! ふっく、ふ、ふふふっ!」


武内P「勘弁していただけますか!?」

早苗「いやぁー、セクシーだったわーギルティーだわー」

瑞樹「急なセクシーずるいわずるいわー、晴れ時々セクシー」

楓「ふふっ! あっ、待ってまだっふふっ! ふうっ、ふっふふっ!」

武内P「……」

早苗「んもー、何よ! ムスッとしちゃってー!」

瑞樹「怒ったなら、右手はそのままで、左手は腰に!」


武内P「……」キュッ


早苗・瑞樹「セクシーポーズ」

楓「ふううっ……!? お腹、お腹いたっ、いたたっくふふっ!」


武内P「あの、本当に帰っていいですか!?」

早苗「まあまあ! セクシーすぎてごめ……あっははっ!」

瑞樹「耐えるのよ早苗ちゃ、ぷっ、うっく……笑うふふぅっ!」

楓「……ふぅ……ふぅ……落ち着いて……あ駄目、うふふっ!」

武内P「……」


武内P「セクシーです」キュッ


早苗・瑞樹・楓「っ、ふうっふ、ふうっくっくっくっく!」


「お待たせしました。ご注文の品、お持ちしました」


武内P「っ!?」ビクッ!

武内P「あっ、いえ、はっ、はい」ワタワタ!


早苗・瑞樹・楓「あはっはははははっ!」

早苗「はー……! はー……! 今の……今のは!」

瑞樹「ふっふふっ! ずるいわー、今のはずるいわー、っくく!」

楓「はー……頬が上がっちゃって、戻りません……ふふっ!」

武内P「……」


武内P「カンパーイ!」


早苗・瑞樹・楓「カンパーイ♪」


武内P「んぐんぐっ……プハーッ!」

武内P「……」

武内P「あの、普通に黒ビールが回ってきたのですが!?」

早苗「でも……キミって、よく付き合ってくれるわよね」

武内P「いえ、あの……帰りt」

瑞樹「ええ、何だかんだ言いながら、最後まで……ね」

武内P「ですから、その……帰しt」

楓「本当に、感謝してるんですよ」

武内P「……」


武内P「皆さん」

武内P「そう仰っていただけるのは、嬉しいのですが……はい」

武内P「そろそろ、帰っt」


早苗・瑞樹・楓「カンパーイ♪」


武内P「……カンパイ」

早苗「……でもま、これ片付けたら出ましょっか」

瑞樹「そうねぇ……あー、今日も笑ったわー!」

楓「プライベートのこういう時間も、大事ですよね」


武内P「っ!」

武内P「お開き、ですか!?」


早苗・瑞樹・楓「えっ?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

早苗「いやいやいや……はぁ? 何言ってるの?」

武内P「えっ!? いえ……店を出る、と」

瑞樹「そうは言ったけど、お開きとは言ってないわ」

武内P「えっ!? あの……店を変えるだけ、ですか!?」

楓「えっ? 帰りたいって……仰ってたじゃないですか」

武内P「えっ!? それは……言いました、が」


早苗・瑞樹・楓「……」


武内P「……」

武内P「待ってください」

早苗「……あ、友紀ちゃん来るって! やったわね!」

武内P「何がですか!?」

瑞樹「エースで四番だもの、わかるわ」

武内P「何がですか!?」

楓「一緒に、笑顔で!」

武内P「何がですか!?」


早苗・瑞樹・楓「宅飲み」


武内P「待ってください」

武内P「……」

武内P「待ってください! 宅とは、一体!?」

早苗「……お、釣れた釣れた! もう三人釣れたわよ!」

武内P「あの、皆さん!?」

瑞樹「ふふっ! 今日のタクシー代は、私が出すわ!」

武内P「待ってください!」

楓「ふふっ! わたくし、は、タクシーに乗って……うふふっ!」

つんつんっ!

武内P「つんつんしないでください!」


武内P「あの! まさかとは思いますが、皆さん!?」


早苗・瑞樹・楓「ピンポーン♪」


武内P「……!?」

武内P「……皆さん、二軒目はどうしますか?」

早苗「やめとくわ。あたし……もう、大分酔ってるし」

武内P「でっ、でしたら! もう、帰った方が!」

瑞樹「そうね。途中、スーパーに寄って帰らないと」

武内P「ご自宅に! ご自宅に、お願いします!」

楓「ふふっ! うふっ、うふふっ! ふふふっ!」

つんつんっ!

武内P「高垣さん!? あの、何故つんつんを!?」


早苗・瑞樹・楓「……」ジイッ


武内P「……!?」


早苗・瑞樹・楓「失礼します」ニコッ!



おわり

書きます


武内P「諸星さんが一番です」

拓海「……あ?」

武内P「346プロダクションで、一番力があるのは諸星さんだ、と」

武内P「……そう、考えています」

拓海「んだとコラ! マジで言ってんのか!?」

武内P「はい」


武内P「諸星さんが一番です」


拓海「……!」

拓海「テメエ、アタシをなめてんのか?」

武内P「いえ、そんなことは、決して」

拓海「……早苗さんは、わかる」

拓海「まあ、他の面子でも……納得はしてねえが、わかる」

拓海「でもなぁ! アタシが、アイツより腕相撲弱いってのか!?」

武内P「……少し、誤解があるようなので訂正を」


武内P「諸星さんが一番です」

武内P「これは、相手がどうこうの話では……はい、ありません」


拓海「っ……!?」

拓海「……面白え、やってやんよ」

武内P「えっ?」

拓海「アタシと、テメエんトコの力自慢とのよぉ!」

拓海「女と女のプライドを賭けた、腕相撲対決だよ!」

武内P「っ!? 待ってください!」

拓海「ははっ! 何だよ、今更ビビってんのか? あぁ?」


武内P「向井さんのプライドが、粉々になってしまいます!」


拓海「……」

拓海「やっぱアタシをナメてんだろ!?」

拓海「オイ、良いから腕相撲させろってんだよ!」

武内P「それは……出来ません」

拓海「ふざけんじゃねえぞ!」

拓海「ああまで言われて、引き下がれるかよ!」

拓海「腕相撲やらせろや! オラァァ!」


武内P「……お願いします、向井さん」

武内P「駄々をこねるのは……やめてください」


拓海「だっ、駄々をこねる!?」

拓海「お前、コラ! 可愛い表現すんじゃねえよ!」

拓海「……チッ! どうしてもやらせないつもりか?」

武内P「申し訳、ありません」

拓海「まあ、それじゃあ仕方ねえか」

武内P「……」

拓海「実際どうかはわからねえしな」

拓海「腕相撲ってのは勝負……やってみなきゃわからねえ」


武内P「いえ、そんな事はありません」

武内P「諸星さんが一番です」


拓海「じゃあ呼べってンだよ!」

拓海「勝負をさせろよ! 勝負をよぉ!」

バンバンッ!

拓海「アイツの力にどんだけ自信があんだよ! あぁ!?」

武内P「笑顔です」

拓海「……あ?」

武内P「諸星さんの、あの、輝くような笑顔」

武内P「私は、それを見続けていきたい、と」

武内P「……そう、思います」

拓海「……チッ! そういう事ならしゃあねえか」


拓海「いや! 騙されねえぞ!?」


武内P「……」


拓海「オイ、テメエ!」

拓海「……弱ったなぁ」

拓海「って顔してんじゃねえぞ、コラァァ!!」

武内P「……向井さんには、話しておく必要がありそうですね」

拓海「んだよ、急に改まって」

武内P「諸星さんは、神に愛されている」

武内P「……そう言って差し支えない程の、身体能力を持っています」

拓海「は?」

武内P「そして、笑顔が源の――きらりんパワー」

武内P「その二つが合わさる事により、有り得ない程の力を発揮します」

武内P「なので――」


武内P「諸星さんが一番なのです」


拓海「……おう」

拓海「後半は何なんだよ! 後半はよぉ!?」

武内P「……ですので」

武内P「向井さんも、たくみんパワーを習得すれば……あるいは」

拓海「あるいは」

拓海「……じゃねえよ! 何だよそりゃあよぉ!?」

武内P「それは、貴女自身が見つけるものです」

拓海「……あん?」


武内P「――これが、たくみんパワーだ」

武内P「……と、私が貴女に伝えたとして、ですね」

武内P「向井さん、貴女はそれで納得出来るでしょうか?」


拓海「……っ!」

拓海「……へっ! 良くわかってんじゃねえか、なぁ!」

拓海「今のアタシじゃ、力が足りてねえっつーんだな?」

武内P「……」


拓海「上等じゃねえか! やってやんよ、オラァ!」

拓海「たくみんパワーを身につけたら、勝負だからな!」

拓海「良いか? 忘れんじゃねえぞ? 夜露士苦ぅ!」


武内P「……はい、わかりました」


拓海「っしゃ!」グッ!

  ・  ・  ・

拓海「オイ、テメエ! コラァァ! オラァァ!」

武内P「? どうか、されましたか?」

拓海「すっとぼけてんじゃねえぞ!」

拓海「何なんだよ! たくみんパワーっつーのはよぉ!」

武内P「それは、貴女自身が見つけるものです」

拓海「それはもう良いんだよ!」


拓海「おかげで夏樹にクッソ笑われたじゃねーか!」


武内P「っ……それは……」

武内P「良い、笑顔でしたか?」


拓海「腹立つくらいの爆笑だったわ!」

拓海「良いから勝負させろっつーんだよ!」

武内P「いえ……ですが」

拓海「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえぞ、オラァ!」

武内P「……わかり、ました」

拓海「お……おぉ!」


武内P「諸星さんは、今……凸レーションでレッスンを受けています」

武内P「それが終了してからで……宜しいですか?」


拓海「上等だぁ! やってやんよ、オラァ!」

  ・  ・  ・

武内P「……如何でしたか?」

拓海「……オイ、何なんだよ、ありゃあ」

武内P「? 何なんだ、とは?」


拓海「にょわっ☆」

拓海「――って言ったと思ったら、負けてんだよ!」

拓海「気付いたら手がついてんだよ! おかしいだろ!?」


武内P「っ! 向井さん!」

武内P「もう一度……にょわっ、と、言って頂けますか?」


拓海「それは置いとけやコラァァ!///」

武内P「……勝負して、おわかり頂けたと思います」

武内P「あれが――きらりんパワー、です」

拓海「……単純な力だけじゃねえって事か」

武内P「ええ、ですが……」

拓海「んだよ、まだ何かあんのか?」

武内P「いえ、そうではありません」


武内P「単純な力に於いても――」

武内P「諸星さんが一番です」


拓海「お前、やっぱアタシを煽って遊んでんだろ!?」

拓海「……きらり、覚えておくぜ」

武内P「向井さん?」

拓海「確かに、アイツは強かった」

拓海「でもなぁ! 負けっぱなしで大人しくしてられるほど!」

拓海「特攻隊長、向井拓海のプライドは安かねーんだよ!」

武内P「……良い、気迫です」

拓海「へっ! 舐めんじゃねぞ、オラァ!」グッ!

武内P「そんな事は、決して」


武内P「ですが、諸星さんが一番です」


拓海「お前ホント何なんだよ!?」

武内P「346プロダクションには、多くのアイドルの方が在籍しています」

武内P「中には……向井さん」

武内P「貴女のように、腕力に自信の有る方も」

拓海「……」

武内P「しかし、やはり諸星さんが一番なのです」

武内P「これは……変えようのない、事実です」


拓海「……面白えじゃねえか」


武内P「……向井さん?」

拓海「……アタシは、忘れたわけじゃねえぞ」

拓海「たくみんパワーっつー言葉をよぉ!」

武内P「……」

拓海「……へっ、わかっちまったぜ」


拓海「――羅武璃ーでフリフリフワフワな衣装!」

拓海「アタシが、そいつを着せられてる意味がなぁっ!」ビシッ!


武内P「……向井さん」

武内P(一体、何を?)

拓海「ハッハァ! どうだ、当たってんだろ!」

武内P「……」


拓海「アイツの――きらりの衣装は、いつも可愛い!」

拓海「それが……きらりんパワーの秘密だろう!」

拓海「へっ! 私服まで可愛いとは、徹底してるじゃねえか!」

拓海「おうおう! 黙ってねーで何とか言ったらどうだ?」

拓海「ビビってんのか? あぁん?」ニヤァッ!


武内P「……」

拓海「きらりに伝えとけや!」

拓海「アタシが、たくみんパワーを身につけたら――」

拓海「――次は、ぜってぇ負けねえってなぁ!」

武内P「……わかりました」

武内P「向井さんの、たくみんパワー」

武内P「……楽しみにしています」


武内P「諸星さんが一番ですが」


拓海「ハッ!……いや、ちげぇな」

拓海「キャハッ☆ エンジン全開で、羅武璃ーにキメるぞ☆」

武内P「しかし……向井さん、忘れないでください」

拓海「あん? 何だよ……じゃねえ」

拓海「え~っ? なぁにぃ?」


武内P「諸星さんに本気を出して頂くには、条件がある事を」

武内P「……今回も、そうです」

武内P「勝てば、凸レーションの皆さんの、買い物に付き合う」

武内P「ええ……私の休日を使わなければ、ならない事を」


拓海「……おう」

武内P「向井さん、それだけは、お忘れなきよう」

武内P「スケジュールの調整が、どうしても必要になりますから」

拓海「……チッ! わかってるよ!」

武内P「ありがとうございます」

拓海「都合がついたら言えよな!」

拓海「それまでに、たくみんパワーをモノにしとくからよ!」

武内P「はい、必ず」


拓海「アタシは……必ず、てっぺん獲ってやる!」

拓海「たくみんパワーで、仏恥義理でなっ☆」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P(しかし、これで――)


武内P(――方針に、従って頂きやすくなりましたね)


武内P「可愛らしい衣装、期待しています」



おわり

書きます


武内P「腰を痛めた!?」

みく「そうなの! リハーサル中に、突然!」

武内P「安部さん、大丈夫ですか!?」

菜々「ぜ、全然問題ないで……アイタタタ!」

みく「ナナチャン! 無理しちゃ駄目だよ!」

菜々「……今が、頑張り時ってやつなんです」


菜々「だって――ファンの人達が、待ってるんですから!」


みく「ナナチャン……!」

武内P「……安部さん」

菜々「だから、ちょっと腰がピリピリ―ンとイッタタタタ!」

みく「~~っ! Pチャン、何とかならないの!?」

武内P「方法が……無いことも、無いのですが」

みく「! 本当に!? でも……代役とかじゃないよね!?」

菜々「イタタ!……な、ナナは、絶対に諦めませんからね!」


武内P「マッサージ、です」


みく・菜々「……マッサージ?」

みく「マッサージって……Pチャンがするの?」

武内P「ええ、ですが……」

みく「もーっ! どうして、そんなに躊躇ってるの!」

武内P「……止められているからです」

みく「えっ?」


武内P「千川さんに、マッサージはするな、と」

武内P「……そう、言われています」


みく「……ちひろさんに?」

菜々「……」

菜々「お願いします……イタタ、やってください……!」

武内P「……安部さん」

菜々「少しでも、痛みが収まるなら! あいっ、大声を出しイタタ!」

みく「みくからもお願いするにゃ! マッサージ、してあげて!」

武内P「……前川さん」


みく「滅茶苦茶痛くても、ナナチャンなら大丈夫にゃ!」


菜々「えっ!?」


武内P「……わかりました」

武内P「マッサージを……させていただきます」


菜々「まっ、待ってください!」

菜々「そこまで痛いなら湿布とかでイイッタタタタ!」

武内P「安部さん、そこにうつ伏せに寝ていただけますか?」

菜々「そんなに痛くないですよね!? ねっ!?」

みく「Pチャン、遠慮はいらないよ! ガツンとやっちゃって!」

武内P「……はい、わかりました」

菜々「ガツンは! ガツンは違……イイイッタタ!」


武内P「……では、行きます」

菜々「まっ……待って待って待ってください! やっぱり――」

武内P「……!」

グッ!

菜々「んうんんっ♡」ビクンッ!


みく「……」

みく「あか――んっ!?」

みく「ナナチャン!? なんか、変な声出てるよ!?」

菜々「ふえっ!? へ、変な声!?」

みく「気付いてないの!?」

菜々「あ、あの……ナナ、声出てました?」

みく「……!?」


武内P「……続けます」

グッ、グッ、グッ、グッ!

菜々「あうっ♡ うあっ♡ あっ♡ ああっ♡」ビクビクンッ!



みく「あかんあかんあか――んっ!」

みく「ストップストップ! ストップにゃPチャン!!」

武内P「前川さん? どうか、されましたか?」

みく「おかしいおかしい! ぜ~ったいおかしい!」

菜々「あ、あの……みくちゃん?」

みく「ナナチャン! なんか色っぽい声出てるよ!?」

菜々「え、ええっ!?///」

みく「Pチャンも聞こえてたでしょー!?」

武内P「あ、いえ……すみません」


武内P「マッサージに、集中していて……」

菜々「ナナも、早く治さなきゃって、そればっかり考えてて……」


みく「……!?」

みく「とっ、とにかく! 二人共、ちょっと気をつけて!?」

武内P「……はあ、わかりました」

菜々「は、はい……みくちゃんが、そこまで言うなら」

みく「お願いだよ!? 本当に、お願いだよ!?」


武内P「……では」

グッ、グッ、グッ、グッ!

菜々「ひっ♡ ひんっ♡ うっふ♡ あうっ♡」ビクビクッ!

武内P「……!」

グウッ…! グウゥッ…!

菜々「あっあぁ――っ♡ んあああ~~っ♡」


みく「止めて止めて!/// スト――ップ!///」

みく「ノー!/// マッサージ、ノー!/// ノォ――ッ!///」

武内P「前川さん? どうか、されましたか?」

みく「どうもこうも無いにゃ!/// 何なん!?///」

菜々「み……みくちゃん……?♡」トロ~ンッ

みく「ナナチャン、正気に戻って! 早く!」

菜々「ええっ……?♡」トロ~ンッ


みく「ナナチャン! 駄目だよ!」

みく「その気だるい感じ、17歳が出しちゃ駄目なやつにゃ!」


菜々「えっ? いや、だって……」

菜々「……」

菜々「っ! そうです! ナナは、17歳ですよね!」

菜々「そうですよね! 17歳ですから!」

菜々「もっと、シャッキリしてないと駄目ですよね!」

みく「そうだよ、ナナチャン! その意気にゃ!」

菜々「腰の痛いのも、どっか吹き飛んじゃいましたよ!」

みく「おおっ! マッサージ……効果、あったんだね!」

菜々「はい! もう、バッチリです! キャハッ☆」


武内P「では……終了で、よろしいですか?」


菜々「続けてください!」


みく「あっれぇ!?」

みく「ナナチャン!? もう、痛いの治ったんでしょ!?」

菜々「みくちゃん?」

みく「だったら、もうマッサージする必要無くない!?」

菜々「ええ、と……ですね? それは、その~……」

みく「……ナナチャン、見損なったよ」

菜々「みっ、みくちゃん!?」


みく「ナナチャンは、やっぱりウサミン星人なんだね!」

みく「いつでも交尾可能な、エッチなウサギさんにゃ!」


菜々「そっ、そんな事ありませんって!」

菜々「ただ、ちょっとマッサージが気持ちいいなー、ってだけですよ!」


みく・菜々「……!」

みく「――Pチャン! みくにも、マッサージして!」

武内P「えっ?」

みく「ナナチャンと同じ様に、腰のマッサージ! 早く! ほら!」

武内P「いえ……ですが」


みく「みくが、証明してみせる!」

みく「マッサージなんかに負けない!」

みく「みくは、自分を曲げないよ!」


武内P「……わかりました」

グッ、グッ!

みく「んひっ!?♡ あっ!♡ うわ駄目コレ駄目コレ!」


菜々「ほーらね! ほーらね!」

武内P「……!」

グッ、グッ、グッ、グッ!

みく「ん゙っ♡ ふゔっ♡ ゔっ♡ お゙っ♡」ビクビクッ!


菜々「どうですか、みくちゃん!」

菜々「我慢しても、ピピッとポイントをついてくるんですから!」

菜々「ほーらほら、変な声出ちゃってますよー!」


武内P「……!」

グウッ…! グウゥッ…!

みく「にゃあああっ♡ ふにい゙い゙い゙い゙っ゙♡」ビクビクーンッ!


菜々「……」

菜々「ヤバヤバヤバヤバ! 止めないと! 止めないと――っ!」

  ・  ・  ・

みく「……ごめんね、ナナチャン」

菜々「……ナナも、謝らないといけませんよ」

みく「あれは……声、出ちゃうにゃ」

菜々「凄かったですよね……本当に」

みく「ナナチャン、腰痛いの……取れた?」

菜々「ええ! それはもう、バッチリですよ!」

みく「……Pチャン、そろそろ戻ってくるかな?」

菜々「スタッフさんの所に行っただけですから、そろそろかと」

みく・菜々「……」

みく「でも、Pチャンのマッサージが禁止な理由、わかったね」

菜々「はい、あれは何ていうか、本当に駄目なやつです」

みく「……ふっ! あ、まだ無理にゃ」

菜々「……んっ! あ、菜々もまだ無理です」

みく「これなら、痛めてただけの方が良かったね」

菜々「そうですね、みくちゃんは完全にとばっちりですもんね」


みく・菜々「――よいしょっ!」


みく・菜々「……あー、まだ無理」


みく・菜々「……」


みく・菜々「腰が砕けてる」



おわり

書きます


武内P「肩揉み、ですか」

美波「はいっ! 是非、やらせてください!」

武内P「いえ……しかし」

文香「こんな事でと……思われるかも、知れませんが……」

武内P「ですが、アイドルの方に肩を揉ませるというのは、ですね」

奏「それ位、良いんじゃないかな?」


美波・文香「……!」ジッ!


武内P「……はあ」

奏「ふふっ、戸惑った顔もチャーミングね」

武内P「しかし、何故……?」

奏「ほら、貴方っていつも首筋を抑えてるでしょう?」

武内P「それは……癖、ですね」

奏「だから、疲れが肩にきてるんじゃないか、って……ね?」

美波「そうなんです。だから、肩を揉んで――」

文香「――少しでも、お世話になった……お礼がしたいのです」


美波・文香「……!」ジッ!


武内P「……わかりました」

武内P「では……少しだけなら」

奏「そうそう、善意は素直に受け取っておくものよ」

美波「あっ、お仕事は続けてて大丈夫ですよ♪」

武内P「良いのですか?」

美波「はいっ。だって、何かチェックしてましたよね?」

武内P「ええ、新曲の音源の確認を」

美波「あっ! だったら、それを聞いててください!」

武内P「えっ?」


美波「素敵な音楽を聞きながら、肩を揉んでリラックスして貰う……」

美波「これなら、バッチリ疲れが取れると思いません?」


武内P「……そう、ですね」

武内P「では……お言葉に甘えて」

…カポッ

武内P「……」

美波「……よーし、それじゃあ」


美波「――プロデューサーさんの肩揉み」

美波「美波、行きますっ!」


文香「私は、本を読んでいますので……」

文香「交代する時は……仰ってください」

奏「私は、説得の手伝いに来ただけだし……どうしようかしら」


美波「――あっ、ヤダっ……!」

美波「えっ、ウソ……凄く硬い……!」

武内P「……」


文香・奏「……」

美波「どうして……えっ、ええっ?」

美波「んっ! んっ! んんっ……凄い、ガチガチ……!」

武内P「……」


奏「……ねえ、文香」

文香「……」

…ペラッ…ペラッ

奏「……」


美波「プロデューサーさん、こんなになって……!」

美波「んっ! うぅんっ! んっ! うんっ!」

美波「はぁっ……はぁっ……硬すぎ……!」


奏「本、逆さまよ」

文香「っ!?///」ワタワタワタワタ!

…トサッ!

奏「……」

美波「んっ! んしょっ! んんっ! んっ!」

美波「プロデューサーさんったら、もう……んっ!」

武内P「……」


奏「……ねえ、文香」

文香「……!///」

ペラッペラッペラッペラッ

奏「……」


美波「はぁ……はぁっ……! まだ、ガチガチ……!」

美波「こんなになっちゃうだなんて……んっ! うぅんっ!」

武内P「……」


奏「さっきの嘘、今が逆よ」

文香「っ!?///」ワタワタワタワタ!

…トサッ!

奏「……」

美波「はぁっ……うんっ! んっ!……はぁっ」

美波「まだこんなに……こんなの初めて……んっ!」

武内P「……」


奏「……ねえ、文香」

文香「っ……!///っ……!///」

ペラペラペラペラペラペラッ!

奏「……」


美波「あっ……もうっ、もう駄目……凄すぎ……!」

美波「まだ全然ガチガチで……んっ! ぅんっ!」

武内P「……」


奏「私、帰って良い?」

文香「っ!?」フルフルフルフル!

ガシッ!

奏「……まあ、そうよね」

美波「もう少し……んっ! もう少し、ぅんっ!」

美波「ああっ、もう……ガチガチで……んっ!」

武内P「……」


奏「帰らないから、此処に居るから」

文香「っ……!///」

ガシッ!

奏「……」


美波「はぁっ、はぁっ、んっ……もう、駄目……!」

美波「……んんっ!」

美波「……はぁ……はぁっ……!」

武内P「……」


奏「……美波は、ギブアップみたいね」

文香「……!///」

美波「……文香さん、交代して貰っても良い?」

武内P「……」


文香「っ……は、はい……///」

奏「文香、頑張って」

文香「あ……ありがとう、ございます……///」


美波「? 文香さん?」

美波「なんだか、顔が赤いけど……どうかしたの?」

武内P「……」


文香「なっ、何でも……ありません……///」

奏「変に態度に出すと、彼に不審に思われちゃうわよ」

文香「っ!」

文香「……気をつけます」

文香「……で……では、次は私が……!」ビクビク!

武内P「……」


奏「ねえ、美波。彼……そんなに肩が凝ってたの?」

美波「もう……本当に凄かったわ」

美波「本当に、ガチガチで……ビックリしちゃった」

奏「……そ、そう」


文香「っ……!……っ……!」オドオド!

武内P「……」


奏「つ、疲れが……溜まってたのね」

美波「ええ……本当、溜まりに溜まってたんでしょうね」

美波「だから……どれだけやっても硬いままだったの」

奏「……そ、そう」

文香「……っ!///」キョドキョド!

…ちょんっ

文香「~~っ!///」オロオロ!

武内P「……」


奏「か、彼……体が大きいから、揉みにくかったんじゃない?」

美波「そうなの! プロデューサーさん、大きいから……」

美波「大きい上に、ガチガチに硬くて……ふふっ、参っちゃったわ!」

奏「……う、うん」


文香「すぅ……はぁ……///」

文香「っ……ふぅ……すぅぅっ……はぁぁっ……!///」

武内P「……?」


奏「そ、それは大変だったわね」

美波「でも、自分で言いだしたことだし……それに――」

美波「プロデューサーさんに、気持ちよくなって貰いたかったから♪」

奏「……う、うん」

武内P「あの……鷺沢さん?」

…カポッ!

文香「っ!?/// は、はいっ……?///」

武内P「どうか、されましたか?」

文香「いっ、いえ……その……///」モジモジ

武内P「……?」


美波「ねえ、奏さん」

奏「な、何?」

美波「文香さん、さっきから顔が赤いけど……どうしたのかしら?」

奏「……さ」


奏「……さあ?」

武内P「あの……無理は、なさらないでください」

文香「いっ、いえ! 無理は……していないのです……///」モジモジッ!

武内P「……?」


美波「あっ! もしかして、緊張してるのかしら?」

奏「そ、そうね……ええ、そうだと思うわ」

美波「う~ん……あっ、そうだわ!」

奏「ど、どうしたの?」


美波「ふふっ! 少しだけ、お手伝いしてくるわね♪」


奏「み……美波……?」

美波「――文香さん」

文香「みっ……美波さん!?」ビクッ!

武内P「新田さん? どうか、されましたか?」


美波「文香さん、ちょっと緊張してるみたいなので……」

美波「だから、私がちょっとだけお手伝いしますね♪」


武内P「は……はあ」

美波「だから、ホラ! プロデューサーさんはお仕事しててください!」

武内P「……わ、わかりました」

…カポッ!


美波「――さっ! 頑張りましょう、文香さん!」

文香「は……はい……」ソワソワ


奏「……」

美波「……さあ、まず手を添えてみて」

文香「わ……わかり、ました」

…そっ

美波「どう? プロデューサーさん、ガチガチでしょ?」

文香「は、はい……とても、硬い……です」

武内P「……」


奏「……」


美波「プロデューサーさん……こんなになっちゃってるの」

美波「私だけじゃ無理だったの……ふふっ、悔しいけどね」

美波「……ねえ、文香さんは……どうしたい?」

文香「……少しでも……楽に……」


文香「この人を気持ちよくして……さしあげたい、です……」


美波「こ~らっ! 言い方がちょっとエッチよ、文香さん♪」


奏「それは理不尽じゃない!?」

美波「さあ、文香さん! 頑張って!」

文香「はい……!」

美波「そう……そうよ、まずはゆっくりで良いの……うん、うん」

文香「ゆっくり……んっ、んっ……ぅんっ……!」

武内P「……」


奏「……」


美波「いい感じ……そう、いい感じよ、文香さん」

文香「……あぁ、本当に……硬いですね……んっ、ふぅっ……!」

美波「でしょう? 凄いわよね、こんなにガチガチになるなんて」

武内P「……」


奏「……」…ソワッ

文香「んっ、んっ……男の人……だからなのでしょうか……んっ!」

美波「んー……きっと、プロデューサーさんだから、かな」

美波「いつも私達の事を思って……ううん」

美波「だからこそ、こんなにガチガチになるまで……我慢してたのかも」

武内P「……」


奏「……」…ソワソワッ


文香「だったら……んっ! 何とか、しないと、んんっ……いけない、ですねっ……!」

美波「ええ……少しでも、楽にしてあげないとね」

文香「でも、ずっと……んっ! 硬い、ままで……! ふぅっ!」

武内P「……」


奏「……」ソワソワソワッ

文香「ふぅ……ふうっ! んっ!……んっ!」

美波「どう、文香さん? まだ、ガチガチのまま? まだ硬い?」

文香「は……いっ! どうして、ずっと……! こんな……んっ!」

武内P「……」


奏「……!」ソワソワソワソワッ!


武内P「……」

武内P(ん……曲が……終わったか)

武内P(まだ、続けているようだが……そろそろ、終わりにして頂こう)

武内P(肩揉みだけでなく、お二人のお気持ちで……十分、癒やされましたから)

武内P「……」

…カポッ!


奏「……ね、ねえ!」


美波・文香「……?」


武内P「……?」

文香「? どうか……されたのでしょうか……?」

美波「そう言えば、さっきから落ち着かなさそうにしてたけど……」


奏「……あのさ」

奏「ちょっと、触らせて貰って良いかな?」


美波・文香「えっ?」


奏「私、ちょっと興味が出てきちゃって」

奏「チャーミングなこの人が、どんなになってるのかが……ね」

奏「だって、ガチガチに……硬くなってるんでしょう?」

奏「ふふっ! 触ってみたくなるのが、人の心ってものじゃない?」


武内P「……す、すみません」

武内P「そのお話は……お、お断りさせて……ください……!」


奏「……」

奏「えっ?」

奏「ねえ、どうして?」

武内P「どっ……どうして、ですか……!?」

奏「だって貴方、ガチガチに硬くなってるのよね?」

武内P「いっ、いえ! そんな事は、決して!」

奏「隠さなくて良いわよ。溜まってるんでしょう?」

武内P「はいっ!? あ、あの……速水さん!?」


奏「……もうっ、楽にしてあげるって言ってるの」


武内P「待ってください! あの、止まってください!」


奏「じゃあ、選ばせてあげる」

奏「触らせるのと、キスするの……どっちが良い?」


武内P「どちらも肩を叩かれてしまいます!」



おわり

好きな男性のタイプってインタビューされて、迷いなくPって答える年少組をください!

俺が速報で書き出した時には既にTHML化が止まってましたからねー
日に日に書き込みエラーの数が増えていってました


てすと

>>673
亀ですが書きます


武内P「好きな男性のタイプは?」

莉嘉「Pくん!」みりあ「プロデューサー!」

武内P「……」

莉嘉・みりあ「えへへ!」ニコッ!

武内P「……好きな男性のタイプは?」


莉嘉「Pくん!」みりあ「プロデューサー!」


武内P「……そう、答えてはいけない、と」

武内P「どう言えば……理解して頂けますか?」

莉嘉「えーっ! だって、ホントのコトだし☆」

みりあ「うんうん! ウソよくないもんね!」

莉嘉・みりあ「ね~っ♪」

武内P「いえ、ですが……」


美嘉「こ~らっ、アンタ達!」

美嘉「あんまり困らせちゃ、かわいそうでしょ!」


莉嘉・みりあ「えーっ?」


武内P「……」

美嘉「アンタも、もっとしっかりしてよね!」

武内P「……すみません」


莉嘉「でもでも、本当にタイプだったらしょーがなくない?」

みりあ「雑誌のインタビューの練習でも、ウソはダメだよ!」

莉嘉・みりあ「ね~っ♪」


美嘉「……」

武内P「すみません、先程から……この調子で」

美嘉「はぁ……だからアタシを呼んだワケね」

莉嘉「だってぇ、Pくんってクラスの男子よりチョー大人だしぃ!」

みりあ「それに、背も高いし、顔も見慣れたら全然怖くないしね!」

莉嘉「むしろ、ちょっぴりキュートってカンジ☆」

みりあ「うんうん! たまにだけど、笑うと可愛いよね!」

莉嘉・みりあ「ね~っ♪」


美嘉「わかる」


武内P「……あの、城ヶ崎さん?」


美嘉「!?」

美嘉「な、何でもない! ただの独り言だから!」アセアセ!

莉嘉「お姉ちゃんも、そう思うでしょ?」

みりあ「ねえねえ、美嘉ちゃんも思わない?」

美嘉「……」チラッ


武内P「……」


美嘉「……あっ、アタシのタイプじゃなくて!///」

美嘉「今は、雑誌インタビューの練習が先決でしょ!?///」


莉嘉・みりあ「……は~い」

莉嘉「でも~、アタシウソはつきたくないな~……」

みりあ「うん……やっぱり、みりあも……」

美嘉「別に、ウソをつけって言ってるんじゃないってば」

莉嘉・みりあ「えっ?」


美嘉「要は、特定の個人を挙げるんじゃなくてね?」

美嘉「どういう人がいい~、ってちょっとボカすの」

美嘉「そうすれば、ファンの人がヤキモチ焼かなくて済むでしょ?★」


莉嘉・みりあ「……なるほどー!」

美嘉「だから、出来るだけ範囲は広めに」

美嘉「頑張れば出来るようになる、ってのがベターかな★」

莉嘉・みりあ「う~ん……」


莉嘉「……お姉ちゃん、お手本見せてよ!」

みりあ「……うんうん! 美嘉ちゃんのお手本が見たい!」


美嘉「おっ……お手本?」

美嘉「まあ、そういうインタビューは何度もあるから……」

美嘉「……」


美嘉「――よし★ それじゃ、お手本見したげる★」


莉嘉・みりあ「イエーイっ♪」

莉嘉「それじゃあ、お姉ちゃんの好きなタイプは?」

美嘉「う~ん、莉嘉みたいな人かな★」

莉嘉「えっ、ええっ!?///」

美嘉「アハハッ、冗談だよ~★ 驚いた?」

莉嘉「もっ……もー! ビックリするじゃん!」


みりあ「すごいすごい! 小悪魔、っていうやつだよね!」

武内P「そうですね」

武内P「城ヶ崎さんには、参考になる回答かも知れません」

みりあ「はいはーい! それじゃあ、次はみりあね!」

美嘉「オッケー! なんでも聞いて★」

みりあ「プロデューサーの、どんな所がステキだと思う?」


美嘉「そうだねぇ……やっぱり、真面目なトコかな★」

美嘉「その分、融通もきかなかったりするケドさ」

美嘉「でもま、アタシだったらフォロー出来るし★」


莉嘉「お姉ちゃん……カッコイイ~!」

武内P「あ、あの……城ヶ崎さん?」

莉嘉「はーい、次はアタシ! アタシの番ね!」

美嘉「オッケーオッケー! どんどん来なー★」

莉嘉「Pくんをメロメロにするのって、どうすれば良いの?」


美嘉「アタシも、たまーに胸の谷間とかチラッと見せるんだケドさ?」

美嘉「イマイチ反応が無いんだよねぇ……ムカつくケド」

美嘉「だから、やっぱりアイドル活動を頑張るのが一番っしょ★」

美嘉「それで目を離せないようにしちゃう、みたいな★」


みりあ「なるほどー! すっごく参考になる!」

武内P「参考にするのは……ま、待ってください!」

みりあ「はーいっ! それじゃ、またみりあの番ね!」

美嘉「へへっ! まだまだヨユーだよー★」

みりあ「告白は、自分からする? それとも、されたい?」


美嘉「う~ん……アタシとしては、されたいかなぁ」

美嘉「待ってるだけじゃダメだとも思うんだケドさ?」

美嘉「立場も、それに年の差もあるし難しいよねー」

美嘉「まっ、それはお互い様だから、なるようになるって★」


莉嘉「お姉ちゃんだったら、きっと告白される側だよ!」

武内P「待ってください! あの……しませんよ!?」

莉嘉「それじゃあね、それじゃあねー!」

美嘉「おいおーい、慌てなくても逃げないって★」

莉嘉「理想のキスって、どんなの?」


美嘉「理想の、かぁ……そうだなぁ……」

美嘉「皆が帰っちゃって、此処に二人っきりになってさ」

美嘉「それで、不意をついてホッペにキスするじゃん?」

美嘉「そしたら、こう、抱き寄せられて唇に……みたいな?★」


みりあ「うわーっ! それ、すっごくステキだね!」

武内P「城ヶ崎さん!?……城ヶ崎さん!?」

みりあ「はーい! はいはいはーい!」

美嘉「おおっ、チョー元気なインタビュアーさんじゃん★」

みりあ「それでそれで、キスした後は?」


美嘉「それは……アタシにもわかんないかなー」

美嘉「だって、不意をついたと思ったら、反撃されるんだよ?」

美嘉「それで……美嘉……なんて名前で呼ばれたらさ!」

美嘉「その時点で、頭がフットーしちゃうって★」


莉嘉「アハハッ! お姉ちゃんが、メロメロにされちゃうんだ☆」

武内P「……!」

武内P「じょ、城ヶ崎さん!」

美嘉「んー? どうしたの?」


武内P「今は、好きな男性のタイプについて、という質問に対する……」

武内P「練習中……です、よね!?」


美嘉「うん。二人が、ウソつきたくないって言ってるしさ」

美嘉「……って、アンタが呼んだんでしょ?」


武内P「そ、それは……そうですが、しかし……!?」


美嘉「わかってるなら、ホラ! 邪魔しないで!」


武内P「で……ですが、城ヶ崎さん……!?」

美嘉「――お待たせ! さっ、続きをどーぞ★」

莉嘉・みりあ「それじゃあ――」

莉嘉・みりあ「――好きな男性のタイプは?」


美嘉「……困ったコトに、アイツ」

美嘉「ほーんと、鈍すぎてたまにイヤになるケドね」

美嘉「まっ、アタシはカリスマJKアイドル城ヶ崎美嘉★」

美嘉「そのくらいで、へこたれてらんないっしょ★」


武内P「……」


美嘉「……?」

美嘉「……」

美嘉「…………」


美嘉「あっ」

  ・  ・  ・

莉嘉「まっ、アタシはカリスマJCアイドル城ヶ崎莉嘉☆」

莉嘉「ぜーったい、メロメロにしちゃうんだから☆」

みりあ「あのねあのね、みりあ一生懸命頑張るよ!」

みりあ「だから……えへへ♪ ちゃんと見ててね♪」


武内P「……」


美嘉「悪い見本――ッ!///」

美嘉「さっきの、悪い見本だって言ってるでしょ――ッ!?///」


莉嘉・みりあ「え~っ?」


莉嘉・みりあ「やっぱり、ウソは良くないよ♪」



おわり

SS速報VIPが落ちていたので中断していましたが、書いて埋めます
落ちている間に立てたスレ貼り、


武内P「担当Pの浮気に困っている?」
武内P「担当Pの浮気に困っている?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1536074352/)

華子「オリヴィア、ちょっと腋出して」
華子「オリヴィア、ちょっと腋出して」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1535986572/)

ワガハイに代わり、大王にならんか?
ワガハイに代わり、大王にならんか? - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1538193967/)

市原仁奈「ゼブラの気持ちになるでごぜーます!」




再度問題が発生して、このスレで書けなくなった場合、


武内P「渋谷さんのお尻にマイクが!?」
武内P「渋谷さんのお尻にマイクが!?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1538909260/)


このスレで書きます
お手数をおかけして申し訳ない

書きます


「夏色」


「もー! マジでイミわかんないよー!」


 頭の中がこんがらがって、テーブルの上に突っ伏した。
 テーブルはひんやりと冷えていて、ほっぺがちょっと気持ち良い。
 そのまま体を前後に揺らし、ほっぺがムニムニ動くのを楽しむ。
 カリスマJCアイドルのアタシだけど、今は家だから良いよね?


「こーら、行儀悪いよー」


 台所の方から、お姉ちゃんがそれを見咎めて声をかけてきた。
 バタンと、冷蔵庫が閉まった音。
 歩いて来る両手には、麦茶が注がれたコップが二つ。
 氷も、仲良く二つずつ。


「だって~……」


 アタシがこうなるのも、無理無いってカンジ!


 今度発表する、カバー曲――『夏色』。
 ジャカジャカ鳴るギターと、ハーモニカの音色がチョーステキな曲。
 歌詞の内容も、あっつーい昼間だったり、熱い夜だけど風が気持ち良いとか……。
 とにかく! チョー良い曲なの!


「ホラ、お茶飲んで気分転換しな」


 お姉ちゃんが、苦笑しながら麦茶を勧めてきた。
 さっき入れたばっかりなのに、コップにはもう水滴がついてる。
 どんどん増えていく水滴を見続けてると……あっ、垂れた。


「……はーい」


 頬にかかった髪をかきあげながら、体を起こす。
 冷たいテーブルからちょっと離れたくなかったけど、しょうがない。
 氷が溶けて、水っぽくなった麦茶って美味しくないもんね。
 せっかくお姉ちゃんが持ってきてくれたんだから。


「……っぷはー、生き返るぅ~!」


 冷たい麦茶を飲むと、汗をかいて失った水分が一気に補充された気になる。
 ゆだっていた頭も、おかげで、ちょっとスッキリした。
 テーブルの正面で、そんなアタシの様子を見ながらお姉ちゃんがクスリと笑った。
 Tシャツにハーフパンツのラフな格好なのに、
その笑顔がキマってて、妹のアタシ贔屓目を抜きにしてもカッコイイ。


「ねえ、お姉ちゃん」


 だらけていた気持ちを追いやって。



「どうして、ブレーキいっぴ握りしめるの?」



 妹から、姉への相談ではなく。
 後輩アイドルから、先輩アイドルへとアドバイスを求めた。

誤)>「どうして、ブレーキいっぴ握りしめるの?」

正)>「どうして、ブレーキいっぱい握りしめるの?」

  ・  ・  ・

「……んむぅ~っ」


 今日も今日とて、唸り声をあげた。
 ここ数日は、それが癖のようになっていて、全然イケてない。
 気を抜いて、歌詞の意味を考えると、こうなっちゃうの。
 唸り声をあげるなんて、全然カワイクないよー!


「――どうか、されましたか?」


 運転席から、心配そうな低い声が聞こえてきた。
 今日は、お願いして助手席に乗せてもらってるの!
 だってさ、いっつも後部座席に座ってて飽きちゃったんだもん!
 それに、アタシみたいなイケてるJCを隣に乗せてた方が、
Pくんも運転してて気分が良いだろうしね☆


「あっ、ううん! 何でもないよ!」


 ……なんて思ってたのに、これじゃ逆だよ~!
 Pくん、前を向いてるけど心配そうな顔しちゃってるもん。
 ちょっと前までは、何を考えてるかワカンナイって思ってた。
 だけど、実はPくんってすっごい過保護だと最近は思ってる。


「ちょっと、お姉ちゃんのコト考えてて!」


 もー、お姉ちゃんが、ちゃんと答えてくれないから!
 アタシが、真面目に質問したのに、


 ――それは、自分で気付いた方がイイ。


 ……なんて、言うんだもん!
 そんなコト言われたって、わかんないんだよー!


「……そう、ですか」


 Pくんは、それだけ言うと、また運転に集中した。
 家庭の――アタシと、お姉ちゃんの間のコトだと思ったみたい。
 そういう時は、Pくんはあまり踏み込んだ質問をして来ない。
 アタシが言えば、きっと真面目に応えてくれるんだろうケド……。


「……」


 シートベルトの位置を直しながら、チラチラと横を見る。
 いつもとは違う、助手席からの景色。
 座った位置が違うだけなのに、なんだか、ちょっとオトナになったカンジ。
 そう思うと、ちょっとだけ気分が良い。


「……」


 そ・れ・に! 車の中には、アタシとPくんの二人っきりだしね☆
 これってもしかして、ドライブデートってやつ?
 ヤーン、チョーテンション上がるんだけど!
 ……でも、やっぱり気になっちゃう。


「……」


 歌詞の中に、女の子にキレイな景色を見せるために、
自転車の後ろに乗せて長い下り坂をくだっていく、っていうのがあるの。


 でも、速度は……――ゆっくり。


 さえない顔してるんだったら、急ぐべきじゃない?
 それに、二人乗りで坂を下るなんて、スピードを出した方が楽しいじゃん!


「……」


 そうだなぁ、もしもアタシが元気がなかったとしたら。
 それで、Pくんがどこかに連れてってくれるとしたら。


「……」


 って、ダメダメ!
 二人っきりで旅行なんて、さすがに無理だよー!
 嫌って言うわけじゃないけど……心の準備が出来てないもん!
 でも、もしもPくんがゴーインに迫ってきたら……。


「……」


 なーんて、そんなコト有るはず無いよね。
 だって、そういうコトをしないから、PくんはPくんなんだもん。
 そこまでさせる程、まだアタシの魅力は凄くない。
 成長途中、ってやつ!


「……」


 心を落ち着かせるため、助手席の窓から外を見た。
 まだ太陽な落ちきってなくて、夕焼けが街を赤く染め上げている。


「……大きな五時半の夕焼け~♪」


 まあ、今はそれよりも遅い時間なんだケド。
 きっと、歌詞の男の子が見せたい景色って、こういうのだと思うんだよね。


「子供の頃と同じように~♪」


 多分、この子供の頃って……本当に、小さい時のコトだと思う。
 ちっちゃい時に見たものって、物凄く記憶に残ってたりするでしょ?
 そりゃあ、アタシだって今も大きいとは言えないケドさ。
 今よりももっと……もっと、小さかった時の話!


「海も空も雲も~♪」


 ビルも空も雲も~……ってね!
 あー! 海、行きたーいっ!
 セクシーな水着を着て、ドキドキさせちゃうんだから!
 そうして――


「僕らでさ~えも~♪」


 ――……そうして?


 窓に写った、Pくんの横顔。
 いつもは、ホントにわかりにくいのに。



「染~め~て~ゆくから~♪」



 楽しそうに、笑ってる。


「この長い~な~が~い~下り~ざ~かを~♪」


 やった。
 やったやったやった!
 Pくんが、アタシの歌を聞いて笑顔になってる!


「君を自転車の~後ろに~乗~せて~♪」


 でも、見られてるとわかったら、笑顔が引っ込んじゃうカモ!
 あーん! 写真撮りたいよー! すっごい笑ってるのに!
 ……とりあえず、目に焼き付けておこうっと!


 口の端を釣り上げて歌いながら……見る。


 だって、ずっとこうしてられるワケじゃ――



「ブレーキ~いっぱい~握りしめて~♪」



 ――あっ、そっか。



「ゆっくり~ゆっくり~下ってく~♪」



 例えばの話。本当、例えばの話ね。
 もしも、今が自転車の二人乗りで。
 アタシが、Pくんを後ろに乗せてて、長い下り坂があったとしたら。
 きっと、この歌詞の通りにしてる。


 自転車は降りちゃいけない。
 だって、距離が離れちゃうから。
 だから、


 ブレーキいっぱい握りしめて――


「ゆっくり~ゆっくり~下ってく~♪」


 出来るだけ、長い間……一緒に居るために。


「~♪」


 きっと、男の子は、女の子に見せたいものを見せたんだ。
 だから、急ぐ必要なんて無かったんだよね。


「~♪」


 頭の中で、軽快なハーモニカの音が響いた。
 いつもの安全運転が、今は妙に嬉しく思えて。
 だから、


「えへへっ♪」


 窓に映るPくんに、笑いかけた。
 二人乗りだけど、背中越しじゃない。


 えっ? なんで、直接笑いかけないのか、って?


 それは……えっ、と……夕焼けが眩しいから!



おわり

おっぱいに包まれる武内Pをオナシャス!

書きます


武内P「ハロウィンLIVE当日の確認をします」

武内P「木村さんと松永さんは、ピューロランド内でLIVEを」

夏樹「あいよ、任せな」

涼「……まさか、ピューロランドでLIVEとはね」

武内P「藤本さんと大和さんは、園外で野外LIVEを」

里奈「うぃっす☆ 気合いれていくよん♪」

亜季「了解しました!」


武内P「向井さんは、ご自宅の警備をお願いします」


拓海「っしゃあ! 全開バリバリだぜ!」

拓海「……」

拓海「ってオイコラ、ふざけんじゃねえぞ!?」

拓海「おいテメエ! 舐めてんのか!?」

武内P「いえ……そんな事は、決して」

拓海「だったらよぉ! なんでアタシが自宅警備なんだ!?」

武内P「そう、伝えておいて欲しいと言われましたので……」

拓海「っつーかよぉ!? アイツはどこ居んだよ!?」


武内P「絶対怒るから、と」

武内P「……そう言っていたので、はい」


拓海「……!」

涼「落ち着きなよ、この人に文句を言ってもしょうがないだろ?」

拓海「……チッ! そりゃあそうだけどよぉ」

里奈「りょーちゃの言う通り! 怒っちゃダメんぽー☆」

拓海「……すまねえな、アタシが悪かった」

武内P「いえ、お気になさらず」


夏樹「任せな。ピューロランドの平和は、アタシ達が守ってくるさ」

亜季「ゴーストピエロなど、私達の歌で殲滅してみせましょう!」


拓海「お前ら、アタシを煽ってんのか!?」

涼「しかし、ゴーストピエロは小梅も好きそうだな」

拓海「あぁ!? ピューロランドを乗っ取ろうとしてんだぞ!?」

里奈「それをシナモンフレンズが、『ロックパワー』で、だよね☆」

拓海「そうだよ! モカ姉さんのピンチなんだよ! わかんだろ!?」

武内P「それを助けるため、というコラボ企画ですね」


https://www.youtube.com/watch?v=XDJaTZHwRY4

夏樹「へえ、ゴーストピエロってのは結構迫力あるんだな」

亜季「これは、激しい戦いが予想されますな!」


拓海「お前ら、ほんっ、ちょっ……オラァァ!!」

涼「しかし、一人だけ自宅警備ってのもねぇ」

拓海「だろ!? 特攻隊長として、締まらねぇよな!?」

里奈「たくみんは、真っ先にやっつけに行くタイプだよね☆」

拓海「そうだよ! さすが里奈、わかってんじゃねえか!」


武内P「毎年、特攻服を着た女性が……ですね」

武内P「ゴーストピエロのキャストを襲うと言う事件が……」


夏樹・亜季「……」


拓海「……」

涼「ま、まぁ! 今回は、仕事だし!」

拓海「! おおよ! 今年は、アイドルとして行く!」

里奈「おおぅ、気合充分ぢゃん! あげぽよー☆」

拓海「『ロックパワー』で、ゴーストピエロをボコってやんよ!」


夏樹「そういえば、ギターで素振りしてんのを見たな」

亜季「私も、急所の位置を聞かれたりしました」


武内P「向井さんは、自宅警備でお願いします」


拓海「バッ!? あれは、その……気合が! 気合が、なっ!?」

涼「ギターを壊すパフォーマンスも、あるにはあるけど……」

拓海「! それだよ! ロックが溢れちまったんだよ!」

里奈「ぢゃあ、ゴーストピエロなんてチョチョイだねん!」

拓海「トリック・オア・トリートじゃねえ! パンチ・オア・キックよ!」


夏樹「とりあえず、ランド内のLIVEの確認、いいかい?」

亜季「終わりましたら、園外の野外LIVEの確認も頼みます」

武内P「はい、勿論です」


拓海「聞けよオラァ! そこの三人よぉ!?」

拓海「夏樹ィ! テメエだけに良い格好はさせねえぞ!」

夏樹「アタシだけじゃなく、他の三人もだけどな」

拓海「んがっ!? あ、アタシを頭数から抜いてんのか!?」

亜季「当然でありましょう。それが、本作戦ですから」


武内P「松永さんと藤本さんは、衣装の確認はされましたか?」

涼「ああ、ちょっと角が大きいけど、LIVEに支障は無いよ」

里奈「あの角まぢカワイクない? リナリナホーン♪」


拓海「……」

拓海「オイ、衣装なんて確認してねえぞ!?」

夏樹「そりゃあ、自宅警備なんだから衣装なんて無いだろ」

拓海「ふっざけんなよ!? マジで言ってんのか!?」

亜季「拠点防衛も、立派な任務であります!」

拓海「それを仕事にした覚えはねえんだよ!」


武内P「構成は二部」

武内P「前半と後半で、ランド内と園外を交代します」

涼・里奈「うんうん」


拓海「お前らぁ! 仕事してんじゃねえぞコラァァァ!!」

夏樹「それじゃあ、拓海は一階と二階を……だな」

拓海「自宅の!? 誰と交代すんだよ!」

亜季「単独任務……拓海、幸運を祈ります!」ビシッ!

拓海「おい、やめろ! 敬礼すんな! やめろ!」


涼「なあ、終了後に写真撮影とか……出来るかい?」

里奈「あっ、それ良いぢゃん☆ どう? どう?」

武内P「はい、問題ないと思います」


拓海「仕事した後の話をすんじゃねええ!!」

拓海「てめェら、聞け!」


夏樹「なあ、園内を移動中に歌っても良いかい?」

涼「確かに。このコンセプトなら、それも有りだな」

亜季「ゲリラLIVEですな! 私も、望む所です!」

里奈「しんどい系だけど、アタシ達ならいけるぽよぽよー☆」


武内P「……そう、ですね」

武内P「先方と確認して、可能な限り実現しよう、と」

武内P「……そう思える、良い企画です」


拓海「聞けってぇ! 聞けよ、オマエらよぉ!?」

拓海「なぁ、アタシらは五人で炎陣じゃねえのか!?」


涼「まあ……確かに、拓海の言う通りだな」

里奈「うん……四人じゃ全開にならないよねー」


拓海「そうだろ! 全開じゃない? 有り得ねえ!」

拓海「そんなんで倒せる程、ゴーストピエロはヤワじゃねえぞ!」


夏樹「でも、やるしかない。だったら、答えは一つだろ?」

亜季「一人一人が! 四人が、全開以上の力を発揮するでありますな!」


拓海「違うだろ! もっと他に道はあんだろ!?」

拓海「っつーか、アタシの最初の言葉をシカトこいてんじゃねえ!」

拓海「特攻隊長抜きでやれんのか!? あぁ!?」

亜季「今回は防衛戦でありますし、可能かと」

拓海「ピューロランドのピンチに、家で寝てろってか!?」

夏樹「任せな。拓海の分まで、暴れてきてやるさ」


涼「小梅とか……スケジュール、空いてるかな?」

里奈「おおっ! それなら五人になるから、バリバリだねー☆」

武内P「確か、空いていたと思いますが……」


拓海「っだらぁ! テメエらよぉ!?」

拓海「マジでテメエら……テメエらよぉっ!? あぁん!?」

拓海「マジで、アタシ抜きでやるつもりか!?」

涼・里奈・夏樹・亜季「……」コクリ

拓海「……マジでか?」

涼・里奈・夏樹・亜季「……」コクリ

拓海「……!?」


武内P「その……ですね」

武内P「今回、暴力等の問題が起こった場合……」

武内P「連帯責任で、全員出入り禁止にする、と」

武内P「……そう、先方に言われていまして」


拓海「……」

拓海「いや……んな事、しねえって」

夏樹「言い切れるか?」

拓海「んだよ……しねえっつってんだろ」

涼「でも、さっきまでの言動を聞いてると、な」

拓海「あれは……そんだけの気合で臨む、ってだけだよ」


里奈「出禁になったら、アタシはまぢでキレるぽよ」

亜季「私はわかりませんな。自分が、何をするかが」


拓海「……」


武内P「……」

武内P「向井さん」

拓海「……んだよ?」

武内P「向井さんの、この仕事に対する情熱」

武内P「それは、とても素晴らしいものです」

拓海「……お、おぉ」


武内P「ゴーストピエロに、パンチもキックもしない」

武内P「……そう、約束して頂けますか?」


拓海「! オイ、それって……まさか!」

拓海「頭突きだけなら、参加しても良いって事か!?」


武内「違います」

武内P「向井さん」

拓海「何なんだよ! 意味わかんねえぞ!」

武内P「先程の言葉で、わかって頂きたかったです」


武内P「ゴーストピエロに、一切手を触れない」

武内P「……そう、約束して頂けますか?」


拓海「約束したら何だってんだ!?」

拓海「回りくどいんだよ! テメエの話はよぉ!」


武内P「約束して頂けた場合」

武内P「私も一緒に、この仕事への参加を許可するよう掛け合います」


拓海「うん! するぅー! 約束するぅーっ!」

  ・  ・  ・

拓海「――今回は、本当に助かった!」

武内P「いえ、当然の事をしたまでです」

拓海「アンタには……借りが出来ちまったな」

武内P「いえ、お気になさらず」

拓海「いや! アンタには本当に世話になった!」

武内P「問題ありません」


武内P「……無意識に放たれた、向井さんの拳」


武内P「それから、ゴーストピエロの方を守っただけですから」

  ・  ・  ・

拓海『――!』

ヒュッ―

ゴーストピエロ『ひいっ!?』


ガシィッ!

武内P『……待ってください』

拓海『――っ!? アタシの拳が止められた!?』

武内P『念の為、周囲で見守っていましたが――』


拓海『テメエが、ゴーストピエロの親玉かぁ!』


武内P『!? 待ってください!』

武内P『照明が暗いとはいえ、地顔で……向井さん! 向井さん!?』

  ・  ・  ・

拓海「……なんつーか、あん時はすまなかった」

拓海「雷舞がよぉ、仏恥義理に盛り上がってて、つい……な?」

武内P「いえ、大丈夫です。私にも……」

武内P「……ゴーストピエロの方達からの、声援がありましたから」

拓海「おぉ! あれは、盛り上がったなぁ!」


武内P「お蔭で、来年は白坂さんとユニットを組み」

武内P「ゴーストピエロ側で参加して欲しい、と」

武内P「……そう、サンリオさん側からお願いされただけですから」

武内P「一切、気にする必要はありません。はい、一切」


拓海「……すまねえ」

拓海「ま、まぁ! 来年も夜露士苦な!」

拓海「へへっ! それまで、鍛えておくからよ!」

武内P「鍛えておく、ですか?」

拓海「おうよ!」


拓海「来年こそ、ぶっ倒してやるからな!」ニカッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「向井さん……残念ですが――」


武内P「来年は、自宅警備でお願いします」



おわり

>>707
書きます


「あっ、今おっぱい見たでしょー?」


 顔を赤くした早苗さんが、右手のジョッキを掲げながら言った。
 その赤さは、照れているからじゃなく、酔っているから。
 普段だったら、早苗さんもわかっていてもそういう事を言わない。
 何でも、指摘していたらキリがないから、だそう。


「……すみません」


 私の隣に座るこの人もまた、顔を赤くしている。
 彼も、かなりの量を飲んでいるから、酔いが回っているみたい。
 けれど、その顔の赤さは、お酒と……照れのせい。
 申し訳なさそうに、右手を首筋にやってるけれど、


「珍しいわ」


 そう、珍しい。
 彼が、アイドルをそういった目で見る事は、とっても珍しい。
 瑞樹さんも、ちょっと驚いた顔をしながら、ゴボウのフライを口に運んだ。
 一口齧り、咀嚼しながらも、彼のことを見続けてる。


「何よ、もー! エッチねー!」


 大きな胸を揺らしながら、早苗さんはケラケラと笑った。
 言葉とは裏腹に、上機嫌でジョッキを傾け、琥珀色の液体を流し込んでいく。
 ゴクリ、ゴクリと喉が動くその飲みっぷりは、見ていて気持ちよく、
また、同性の私から見ても、いやらしさのない色気がある。


「その……ジョッキに当たって、倒れてしまいそうだ、と」


 低い、消え入りそうな声での弁明。
 早苗さんのおっぱいが当たって、ビールのジョッキを倒してしまいそうだった。
 だから、胸に視線が行ってしまったのは、仕方のない事だ。
 ……そう、言葉にされずとも、わかった。


「早苗ちゃん、たまにやるわよね」


 私も、その光景を何度か目撃している内の一人だ。
 本人としては気をつけてはいるつもりでも、起こってしまうのが、事故。
 この人が、早苗さんのおっぱいを見たのも、そういう類のもの。
 だから……責めるのは、かわいそうだと思います。



「胸は、やっぱり大きい方が?」



 好きなんですか、とは言わない。
 彼としても答えにくくなっちゃうだろうし、何となく、口に出したくない。
 これは別に、責めてる訳じゃ、ありませんよ。
 ただ、聞いてるだけです。


「……えっ?」


 私の隣で、こちらに視線を向ける気配がした。
 正面の席でも、早苗さんと瑞樹さんが、私の事をまじまじと見ている。
 けれど、私は誰とも視線を合わせず、目の前のお猪口の中身をクイと飲み干した。


「……」


 ガヤガヤと、周囲の席の話し声が聞こえてくる。
 さっきまでは気にならなかったのに、今は、それが鮮明に感じられた。
 大きな理由は、私達が囲んでいるテーブルから、音が消えたから。
 私はそれに構わず、お猪口を置き、徳利の中身を注いだ。


「まっ、まあ……人によるんじゃない?」


 静寂を破ったのは、早苗さんのそんな一言だった。
 傍から見て、ちょっと慌てているように見えるのは、気のせいじゃない。
 この静寂の、最初のきっかけが自分の発言だったから、責任を感じている。
 ぎこちない笑みではあるけれど、それでも十分、可愛らしい。


「そっ、そうね……好みってあるもの」


 ねっ、と、瑞樹さんが早苗さんに続いて言った。
 瑞樹さんも、とてもスタイルが良い。
 水着でのグラビア撮影も多く、早苗さんと系統は違うけれど、とってもセクシー。
 今も、体のラインを強調する様な服じゃないのに、胸が目立ってる。


「えっ、ええ……そうですね」


 そうですね?


「……」


 また、お猪口の中身をクイッと一気に飲み干し、テーブルに置いた。
 コトリと、ほんの小さな音が立ち、再び会話が止まった。
 徳利の中身を今度は波々と、お猪口に注いでいく。
 ゆっくり、ゆっくり注いでいる間も、会話は無かった。



「貴方は、どうなんですか?」



 すみません、さっきの聞き方だと、紛らわしいですよね。
 だから、もう一度聞き直します。


「わ、私……ですか」


 隣から、困ってる気配が伝わってくる。
 別に、そのくらい良いじゃありませんか。
 好みの問題、でしょう?
 責めてるわけでも、怒ってるわけでも無いんですから、ねえ?


「はい、貴方です」


 貴方と言いつつ、視線はそちらに向けずに。
 私の視線は、手元のお猪口にずっと固定されてる。
 視界の端で、早苗さんと瑞樹さんがため息をついているのが写った。


「……」


 返答が、無い。
 また、お猪口の中身がスルリと消えてしまった。

  ・  ・  ・

「……」


 注文したお酒が来る間に、お手洗いに。
 据え付けられた大きな鏡に写った私は、驚くほどの無表情。
 誰が見ている訳でも無いけれど……。
 これじゃあ、どこかの誰かさんみたいじゃないの。


「……」


 パタパタと、ハンカチで手を拭く。
 そして、ふと鏡に視線をやると、どうしても目が行ってしまう。


「……」


 小さいわけじゃ、無い。
 けれど、大きいと言うには、不相応。


「……」


 そもそも、彼の周囲の女性陣が、スタイルが良すぎるの。
 そうでない子も居るけれど、それは、それこそ好み。


「……ふぅ」


 考えてても、しょうがないわよね。
 だって、あの人は結局、何一つ答えてくれてないんだから。
 答えがないのに、答え合わせなんて出来ません。
 戻ったら、ちゃんと答えて貰わないと。


「……」


 でも、彼はきっと言葉を濁して、誤魔化してしまう。
 考えたことは無い、意識したことは無い……なんて、そんな言葉で。
 いつもだったら、それに流されて、納得しちゃう。
 けれど、今日は別。


「……」


 ドアを開け、コツリコツリと靴音を立て、席に戻る。
 盛り上がっている楽しそうな声をかき分けて。
 席を立つからと声をかけた時、気まずそうな顔をしていた彼の所へ。


「……」


 席の近くまで戻ると、早苗さんと瑞樹さんが神妙な顔をしてるのが見えた。
 少し、前のめりになりながら、小さな声で彼に何かを言っている。
 彼もまた、寝癖のついた後頭部が見えるくらい、何度か体を前に傾けていた。


 ……また、おっぱい見てるんですか?


「……」


 足音を立てず、気づかれないよう、近付く。
 こっそり……こっそりと。


「……」


 最初に私に気付いたのは、通路側に座ってた、早苗さん。
 それに続いて、その隣に座ってた、瑞樹さん。
 最後に、早苗さんの正面に座ってた、


「す、すぐにどきます」


 この人。
 背が高いけれど、座っている状態だと、さすがに私でも見下ろす形になる。
 私も身長が高いけれど、この人は、それよりもずっと高い。
 だから、この人に見上げられるのは、ちょっと新鮮。


「あ、あの……?」


 私がこっそり近づいて隣に立ったから、スペースが無い。
 スペースが無ければ、彼は立ち上がれない。
 無理やり押しのけるような事をする人じゃないから、結果、止まる。


「……」


 見下ろす私と、見上げる彼。


「……」


 交わる視線から先に逃げ出したのは――彼だった。
 右手を首筋にやって、ゆっくりと、奥側へと移動していく。



「――待ってください」



 私は、それを捕まえた。
 逃さないように、ガッチリと。
 だって、私の腕は細いから。
 力を込めないと、逃げられちゃうわ。


「私だって、ムッとする時くらい、あるんですからね?」


 そう言って、彼を解放した。
 一歩下がって、呆けた顔をする彼に、一旦立って貰うよう促す。
 彼は、無言のまま、フラフラと立ち上がって、道を譲った。


「……もしかして、物凄く酔ってる?」


 席に戻った私に、二人は揃って聞いてきた。


「いえ、酔ってません」


 全然、そんな事ありません。
 貴方も、私が酔ってると思いますか?
 横を見ると、呆然とした顔で見られていた。
 だから、


「えっち」


 そう言って、隣に座る彼の太ももをパシリと叩いた。


 ……ふふっ! 胸に関する旨、聞かせて貰えますか? うふふっ!



おわり

サイズを気にする姿こそ可愛いのだと再確認した
ハロウィン近いし小梅監修のガチ仮装した武内Pとかどうでしょう

>>736
書きます


武内P「私がハロウィンの仮装、ですか?」

小梅「う、うん……ダメ、かな……?」

武内P「駄目というわけでは、ありませんが……」

小梅「ほ……本当に? やってくれる……の?」

武内P「白坂さん監修、との事ですが」

小梅「うん……頑張る、よ?」


武内P「それはゾンビですか?」


小梅「……えへへ///」

小梅「凄く、可愛くなると思ってて……///」

小梅「ず、ずっと……やって、欲しかったの///」

武内P「……そう、なのですか」


小梅「だから……す、凄く……嬉しいっ///」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「……」

武内P「本番前に、試す必要がありますね」

  ・  ・  ・

武内ゾンビ「……これは」

武内ゾンビ「想像以上に……本格的なメイク、ですね」


武内ゾンビ「……」

武内ゾンビ(プロダクション内のメイクの協力まで得ていたとは)

武内ゾンビ(鏡で自分で見ても、恐ろしいと思える仕上がりになっている)

武内ゾンビ(これは……出歩くのは危ない、か)


コンコン


武内ゾンビ「……はい、どうぞ」

ガチャッ

小梅「し、失礼しま――……」


武内ゾンビ「……どう、でしょうか?」


小梅「……ぁ……あぁぁ……!」プルプル!

小梅「ひぃっ、うぅ……あっ、あ……!」ブルブル!


武内ゾンビ「っ!? し、白坂さん、大丈夫ですか!?」

武内ゾンビ「やはり……刺激が強すぎる見た目だったでしょうか!?」


小梅「あぁぁ~っ♡ かっ、かわっ、可愛い~っ♡」ガクガク!


武内ゾンビ「……」

武内ゾンビ「えっ?」

小梅「だっ、ダメぇっ♡ か、可愛いっ……♡」

小梅「可愛すぎる、よぉっ……♡ はあぁぁんぅっ♡」


武内ゾンビ「ま、待ってください、白坂さん!」

武内ゾンビ「その反応は、誤解を招く恐れが!」


小梅「んひぃっ♡ ぞ、ゾンビの大声ぇ♡」

小梅「んあぅっ、ううっ♡ す、凄いぃぃあぁっ♡」


武内ゾンビ「こ、声を! 声を抑えてください」ボソボソ!


小梅「ひうんっ♡ さ、囁きも……もっとぉっ♡」


武内ゾンビ「私は、どうすれば!?」

  ・  ・  ・

武内ゾンビ「……落ち着かれましたか?」

小梅「う……うん、ごめん……ね♡」ウットリ

武内ゾンビ「あの……申し訳ありません」

武内ゾンビ「少し、距離が……ですね」

小梅「ち、近いと……食べたく、なっちゃう……?」コウコツ

武内ゾンビ「いっ、いえ! そうではなく!」


小梅「あああぁっ♡ 可愛いゾンビに、た、食べられちゃうぅっ♡」…ツーッ


武内ゾンビ「っ!? 白坂さん、鼻血が!」

武内ゾンビ「鼻血が出ています、白坂さん!」

  ・  ・  ・

Pヘッド「……落ち着かれましたか?」

小梅「う……うん、ごめん……ね」

Pヘッド「鼻血は、止まったようですね」

小梅「……こ、興奮……しすぎちゃった///」


小梅「その位……えへへ、可愛かったから///」ニコッ!


Pヘッド「……良い、笑顔です」

Pヘッド「……」

Pヘッド「ゾンビの仮装は、今日だけにしておきましょう」

小梅「えっ? ど……どうして……?」

Pヘッド「また、鼻血が出てはいけませんから」


小梅「わ、私……ちゃんと、我慢する……からっ!」

小梅「二人っきりの時だけでも、良い……!」

小梅「もっと……もっと……! お、お願い……!」


Pヘッド「待ってください、白坂さん!」

Pヘッド「その反応も、誤解を招く恐れが!」


小梅「わ、私……! 良い子にする、よ……!」

小梅「だから、お、お願い……! そんな事、言わないでぇ……!」


Pヘッド「白坂さん! 落ち着いてください、白坂さん!」

Pヘッド「わ、わかりました! 善処します!」

Pヘッド「どうか……落ち着いて、話を!」

小梅「……また……してくれる……?」

Pヘッド「……はい、約束します」


小梅「……えへへ……良かったぁ……!」ニコッ!


Pヘッド「……良い、笑顔で――」


卯月・美穂「……」


Pヘッド「――……す」

Pヘッド「し、島村さんに……小日向さん?」

Pヘッド「あの……いつから、そこに?」


卯月・美穂「……」

チョイチョイッ


小梅「? な、何……?」

トテトテトテ…


卯月・美穂「!」

ぎゅっ!

小梅「わぷっ!? ど、どうした……の?」

卯月・美穂「……!」


Pヘッド「……」

Pヘッド「待ってください、話を……聞いてください……」

卯月「が、我慢するって……どうして?」


小梅「えっ? ち、血が……出ちゃって……」


美穂「」

卯月「美穂ちゃん、しっかり!」

美穂「――っ!? ご、ごめんね卯月ちゃん!」

美穂「っ……お、お願いって……何を?」


小梅「そ、それは……す、凄いの……を///」

小梅「……え、えへへ……///」


卯月「」

美穂「卯月ちゃん、頑張って!」

卯月「――っ!? が、頑張ります!」



Pヘッド「待ってください! 私の話を聞いてください!」

卯月「その声、プロデューサーさんですよね!?」

美穂「良い人だと……良い人だと、思ってたのに!」


Pヘッド「待ってください! 島村さん、小日向さん!」

Pヘッド「あまりにも、判断が早すぎます!」


卯月「小梅ちゃん、痛い所はありませんか?」

美穂「もう大丈夫だから、安心してね」

小梅「? い、痛い所は……無い、よ?」


小梅「で……でも、ガブッってされたかった……///」


卯月・美穂「」

卯月・美穂「――っ!? 駄目! それは、駄目!」


Pヘッド「お願いします! まず! 先に! 私の話を!」

小梅「そ、それに……ね?」


小梅「す、凄く……ぁはぁっ……可愛かったから……♡」


卯月・美穂「」

卯月・美穂「――っ!? か、可愛い!?」

卯月「その、えっと……モンスターじゃなく!?」

美穂「うんと、その……パオパオって感じじゃ!?」


Pヘッド「お二人とも、それ以上は!」

Pヘッド「それ以上は、いけません!」

小梅「ふ、二人も……見せて貰うと……良い、かも」


卯月・美穂「えっ!?」


小梅「見たら、きっと……うふふ、可愛くて可愛くて……♡」

小梅「さ、触ったり、頬ずり……したく、なっちゃうよ♡」


卯月・美穂「ええっ!?」


小梅「ね、ねえ……二人にも、見せてあげよう……?」


Pヘッド「……」

Pヘッド「こ、この流れで……ですか……!?」

卯月「……しっ! 島村卯月、頑張ります!///」

美穂「卯月ちゃん!? 頑張るって……えっ!?」

卯月「美穂ちゃんっ!」

がしっ!

美穂「えっ、な、何!? 手を握って……」


卯月「どうぞ! 見せてください、プロデューサーさん!」


美穂「卯月ちゃん!?」

卯月「美穂ちゃんと一緒なら……大丈夫だと思う♪」

美穂「!? 卯月ちゃんが、見てみたいだけじゃないの!?」

卯月「……え、えへへ///」

美穂「……!?」



Pヘッド「……」

小梅「そ、それじゃあ……見せる、ね……?」

トテトテトテ…

Pヘッド「……」


卯月「はいっ!」

美穂「ノォーッ! あっあっ! 心臓がチュワチュワする!」

卯月「えへへっ!/// 私も、ちょっとドキドキしちゃう///」

美穂「違うの! これは、そういうのじゃないの!」


小梅「――えいっ」

…カポッ


武内ゾンビ「……」


卯月・美穂「……」

  ・  ・  ・

卯月・美穂「――すみませんでしたっ!」


武内ゾンビ「いえ……お気になさらず」


卯月「冷静に考えたら、そんな筈ありませんもんね!」

美穂「うん、卯月ちゃんは後でちょっと話があるからね」


小梅「あぁっ……や、やっぱり可愛い……うぅんっ♡」


卯月・美穂「……あ、あははははは」


武内ゾンビ「……」

卯月「でも……本当に凄いメイクですね~」

美穂「確かに……かなり手間がかかってそう」

卯月「うん、思わずビクッとしちゃったもんね」

美穂「驚いたよね、全然予想出来てなかったし」


武内ゾンビ「あの……一つ、お聞きしたいのですが」


卯月・美穂「はい?」


武内ゾンビ「――大きな悲鳴をあげたり」

武内ゾンビ「――気絶したり、と」

武内ゾンビ「……そう、なりませんでしたね?」



卯月・美穂「えっ?」


武内ゾンビ「……」

卯月「う~ん……そこまで、怖くなかったから、ですかね?」

美穂「驚きはしましたけど、そこまでじゃなかったですよ」


武内ゾンビ「…………なるほど」


卯月「――顔を見て、大きな悲鳴をあげたりなんてしません!」

美穂「――気絶なんて、そうそうするものじゃないです!」


武内ゾンビ「…………そう、ですか」


小梅「で、でも……凄く似合ってて、か、可愛い……♡」


美穂「……う~ん、だけど」

卯月「やっぱり、プロデューサーさんは――」


卯月・美穂「普段通りが、一番ですよ♪」



おわり

混ぜます


武内P「ウインク、ですか」

ありす「はい、ウインクです」

ありす「片目をつぶってする――」パチッ⌒☆

ありす「……この、ウインクです」

武内P「それを見て欲しい、と」

ありす「はい、お願いします」


ありす「――さあ、どうぞ文香さん!」


文香「……! あ、あの……!」アワアワ!

ありす「? どうしたんですか?」

文香「ありすちゃん……えっと、その……」チラッ

武内P「?」

文香「っ……ど、どうして……?」

ありす「?」


ありす「片目をつぶって――」パチッ⌒☆

ありす「……こうですよ?」


文香「えっ、と……やりかたじゃなくて……!」アセアセ!

ありす「? 文香さん……?」

武内P「あの、恐らくですが……」

武内P「何故、私にウインクを見せるのか、と」

武内P「……そう、仰っしゃりたいのですよね?」

文香「は……はい……」


ありす「? だって、文香さ――」


文香「やります!」


武内P「……」

武内P「えっ?」

文香「ありすちゃん、やるから……ねっ?」

文香「それ以上は、その……ねっ?」

武内P「あの、一体何が……?」


ありす「あの時から、文香さ――」


文香「あっ、あり、ありすちゃ……!///」ワタワタ!


武内P「……」

武内P「……?」

文香「とっ、とにかく……やりますから……!///」

武内P「は……はあ」

ありす「頑張ってください、文香さん!」


文香「……すぅ……はぁ……」

文香「――!」


武内P「……」ジィッ


文香「……!///」

文香「……」

…ペラッ…ペラッ…


ありす「文香さん!?」

ありす「文香さん!? 文香さんっ!」

文香「……ありすちゃん」

…パタンッ

ありす「あの、どうして本を読み出したんですか!?」

文香「そ、それは……続きが気になっ」


ありす「文香さん、貴方に――」


文香「ありっ、あああっ、ありすちゃん!///」ワタワタ!


武内P「……」

武内P「……?」

ありす「良いですか、文香さん」

ありす「片目をつぶって――」パチッ⌒☆

ありす「……こうですよ」

文香「はい……それは……はい……///」

ありす「ウインク、出来ますよね?」

文香「……!///……!///」


武内P「……」

武内P「――いえ、ウインクが苦手という人も居ます」


ありす・文香「……えっ?」

ありす「ウインクが……」

文香「苦手……?」

武内P「なので、お気になさらず」

文香「……は、はい……///」

ありす「そんな人、本当に居るんですか?」


武内P「……はい、実は――」

武内「私も、苦手です」クシャッ


ありす・文香「……」

ありす・文香「……本当ですね」

ありす「でっ、でも! 文香さんのウインクは素敵なんです!」

文香「あっ、ありすちゃん?」

ありす「だから、貴方に見て欲しいんです!」

文香「そ、それは……気持ちだけで……!」


武内P「ありす、文香が困っています」クシャッ


ありす「ありすです!」

文香「す、すみません……」


ありす・文香「……」


ありす・文香「!!?」

ありす「えっ……た、橘です! 橘ありすです!」

文香「鷺沢……鷺沢文香と、申します……!」


武内P「ありす? 文香?」クシャッ


ありす「どっ、どういう事ですか!?///」

文香「ほ、本……!/// 書、書、書……!///」ワタワタ!


武内P「……?」パチッ

武内P「橘さん、鷺沢さん……?」

武内P「どうか、されましたか?」


ありす・文香「……」

ありす・文香「あ、えっ!?」

美波「――多分、距離感ね」


美波「ほら、片目だけで物をみると……」

スッ、スッ

美波「両目で見た時と違って、距離感が掴めなくなるでしょ?」

美波「プロデューサーさんの仕事は、アイドルを見ること」

美波「ふふっ! 勿論見てるだけじゃないんだけどね?」

美波「……でも、その目が半分閉じたことによって――」


美波「――アイドルとの距離感も狂った」


美波「……って言う事だと、私は思うわ」


武内P「新田さん?」


ありす・文香「……いつからそこに……!?」

美波「そんな事より、プロデューサーさんっ♪」パチッ⌒☆

武内P「は、はい……?」

美波「ウインク♪ ウインク♪」パチッ⌒☆

武内P「は、はあ……」


武内P「美波?」クシャッ


美波「んあっ♡ これすっごい♡」ビクンッ!


武内P「!? 美波! あの、何がですか!?」クシャッ


美波「ひいいっ♡ いっ、いいっイキますっ♡」ビクーンッ!


武内P「……!?」パチッ


ありす・文香「……」

武内P「新田さん!? あの……何故!?」

美波「……そんな事より! そんな事よりも!」

武内P「待ってください!」

武内P「『そんな事』で片付けるには、あまりにも!」


美波「――今、ウインクしたのは左目ですよね!」

美波「利き目――右目では、ウインクしないんですか!?」


武内P「いえ、あの……新田さん!?」


ありす・文香「……利き目」

ありす・文香「……」

ありす・文香「!」

ありす「――絶対、右目のウインクもするべきです!」

武内P「た、橘さん?」

文香「見えている景色だけが、全てでは……ありませんから」

武内P「さ、鷺沢さん?」


美波「――とった」

…そっ

武内P「っ!?」


ありす「! 一瞬で――」

文香「右目を手で覆い隠した……!?」

美波「……ふふっ、どうですか?」

美波「利き目を塞がれて――距離感は♪」

武内P「……ふぅ」

…そっ


ありす「! 塞いでる手をどけようとしてます!」

文香「いえ、あれは……重ねているだけみたい」


武内P「……美波」

美波「イキ――」


美波「――っ!?」


ありす「? なんだか、美波さんの様子が……?」

文香「戸惑っているのでしょうか……?」

武内P「美波」

美波「いっ……イケない……!?」


ありす・文香「!?」


武内P「美波」

美波「何で……!? どうして……!?」

武内P「美波」

きゅっ

美波「あっ!?/// てっ、手をそんな……握っちゃ……!///」


ありす・文香「……!?」

武内P「美波、わかるね?」

美波「は……はい……!///」

美波「み、美波は……イケない事をしました……!///」

武内P「……」

きゅっ!

美波「っ!///」ビクッ!

美波「……ご、ごめんなさい……もう、しません……!///」


ありす・文香「……!?」

美波「だ、だから……あの……!///」

美波「てっ……手を……うぅっ……!///」

武内P「……」

ぱっ!

美波「っ!///」

ダダダダッ!


美波「はぁ……/// はぁっ……///」


ありす・文香「……!」


美波「みっ、見ないで!/// お願い!///」

美波「こんな、イケない私を見ないで!///」


ありす・文香「……あ、はい」

武内P「――あの……新田さん」

武内P「急に目を隠されると……驚いてしまいますので」


美波「は、はい……すみませんでした……///」

ありす「美波さん、大丈夫ですか!?」

美波「あぁ、顔が熱い……!///」

文香「その……何が、そこまで美波さんを……?」

美波「それは……駄目、思い出すだけで……!///」


ありす・文香「……!?」


武内P「?」

ありす・文香「……あ、あのっ!」

武内P「ど、どうか……されましたか?」


ありす「右の頬を叩かれたら、左の頬を差し出すという言葉があります」

ありす「今回の場合は左右逆ですが、意味は通りますよね」

ありす「左目でウインクをしたら、右目でもウインクをするべきです」

ありす「そうでなければ、右目が可哀想だと思います」

ありす「自分の体を大切にしろ、という言葉もご存知ですよね?」

ありす「体を可哀想な目にあわせない――つまり、右目を大事にしないといけません」

ありす「よって、貴方は右目でウインクをしなければなりません」

ありす「――はい、論破!」


文香「……!……!」コクコク!


武内p「は……はあ……?」

ありす「早く! さあ、早く右目でウインクを!」フンスフンス!

文香「……!……!」ソワソワソワソワ!

文香「……」

…ペラッ…ペラッ…

文香「っ!?」

文香「……!」フルフル!

…パタン

文香「ファンタジーな世界に、逃げてるだけじゃ……!」


武内P「で、ですが……私は……」

武内P「――右目で、ウインクが出来ないのです」…ムギギ!


ありす・文香「……」

ありす・文香「はい?」

ありす「こうですよ! こう――」パチッ⌒☆

ありす「……片目をつぶるだけです!」


武内P「それが……その、難しく……はい」…ムギギッ!


文香「この様に、軽く右目を――」パチッ⌒☆

文香「……力を入れず、閉じるだけで良いのですよ……?」


武内P「……良い、ウインクです」


文香「……」

文香「……!///」テレテレ!

ありす「ふっ、文香さん! それで満足しちゃ駄目です!」

文香「ありすちゃん……で、でも……///」

ありす「多分、今は物凄いチャンスで――」


武内P「橘さんと、鷺沢さん」

武内P「方向性は違いますが……どちらも魅力的なウインクだ、と」

武内P「……そう、思います」


ありす・文香「……」

ありす・文香「……!///」テレテレ!

ありす「……文香さん」

文香「……ありすちゃん」

ありす・文香「……」


ありす・文香「っ♪」パチッ⌒☆


ありす・文香「……ふふっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「橘さんと、鷺沢さんは……とても素晴らしい――」


武内P「アイドルデュオですね」



おわり

明日はウンコ書きます
確か、残り五人だったと思います
おやすみなさい

書きます


武内P「私の部屋は隣です」

凛「わかってる。何度も言わなくて良いから」

武内P「いえ、一応確認ですので」

アーニャ「何かあった時のため、ですね?」

武内P「はい、その通りです」


武内P「それでは、また明日」

武内P「おやすみなさい」


凛・アーニャ「おやすみなさい、プロデューサー」

  ・  ・  ・

凛「……ホント、心配性なんだから」

アーニャ「フフッ! それが、プロデューサーのいい所、です♪」

凛「……まあ、否定はしないけど」

アーニャ「同じ部屋で寝るのは、初めてですね」

凛「二人っきりで、っていうのは……そうかも」


凛・アーニャ「……」チラッ


凛・アーニャ「……」

凛「ねえ、今……何を見たの?」

アーニャ「リンも、どこかを見ていましたね?」

凛「私は……まあ、壁だけど?」

アーニャ「ダー、私も、壁です」

凛・アーニャ「……」


凛・アーニャ「……」チラッ


凛・アーニャ「……」

凛「……とりあえず、シャワー先にどうぞ」

アーニャ「ニェート……いいえ、リンが先に、どうぞ」

凛「私は後で良いって」

アーニャ「アー、遠慮は、しなくても大丈夫、ですよ?」


凛「アーニャ。アーニャが、先にシャワーを」


アーニャ「リン。リンが、先に浴びるべき、です」


凛・アーニャ「……」

凛「……じゃあ、こうしようか」

アーニャ「シトー?」

凛「……ジャンケン」

アーニャ「っ!?」


凛「…………五回勝負」


アーニャ「……それなら」

アーニャ「それなら、アー、受けて立ちます」

アーニャ「……勝負の前に、トイレに行っても?」

凛「良いよ、行ってきて」

アーニャ「スパシーバ、リン」


ガチャッ、バタンッ


凛「……」


凛「……」


凛「……アーニャ?」

凛「……アーニャ?」

コンコン

凛「アーニャ、居るんでしょ?」

コンコン

凛「……ごめん、開けるね」

カチャッ


凛「……――居ない……!?」


凛「――まさか!」バッ!

  ・  ・  ・

武内P「――待ってください、アナスタシアさん!」

アーニャ「ニェート! 待てない、です!」

ぐいぐいっ!

アーニャ「早く、中に! 早ーく! ヴィーストラ!」

ぐいぐいっ!

武内P「だ、駄目です! いけません!」

アーニャ「ヴィーストラ! ヴィーストラ! ヴィーストラ!」

ぐいぐいっ!

武内P「な、何が……何故……!?」

  ・  ・  ・

凛「――ふーん、間取りは同じなんだ」

凛「……って、同じホテルの隣の部屋だし、そうだよね」

アーニャ「……早かった、ですね?」

凛「そうかな」

アーニャ「……」


武内P「あ、あの……!」

武内P「自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」

凛「別に良くない? まだ、九時前だし」

アーニャ「ダー、まだ眠るには早い、ですね?」

武内P「いえ、しかし!」

武内P「アイドルの方が、夜にプロデューサーの部屋に――」


凛・アーニャ「――!」


アーニャ「シトー? シトシトー? アー、ンー?」

凛「ごめん、ちょっとわからないんだけど」


凛・アーニャ「何が、問題?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

武内P「いえ、ですから……!」


凛「何? もしかして、私達の事……そういう風に見てるの?」

アーニャ「ニェート! プロデューサーに限って、有り得ない、です!」


武内P「そ、それは……はい」

武内P「で……ですが!」


凛「私達、ちょっと話でもしようかな、って思っただけなんだけど」

アーニャ「それも駄目、ですか? プロデューサー?」


武内P「……!?」

凛「ねえ、それも駄目なの?」

アーニャ「プロデューサー?」


武内P「あ……あの」

武内P「先程、物凄い剣幕で部屋に押し入ってきたのは……」

武内P「……ただ、話をしたいと思ったからだ、と……?」


凛「うん」

アーニャ「ダー」


武内P「……!?」

武内P「で……でしたら」

武内P「ロビーの方へ……移動しましょう」


凛「私、もう寝る時の格好しちゃってるんだけど」

アーニャ「私も、です。この格好で、ロビーは……」


武内P「な……ならば!」

武内P「寝て、起きたらで……それで、お願いします!」


凛・アーニャ「……」


武内P「……!」

凛「……はぁ……そこまで言うなら、わかった」

アーニャ「……ダー……プロデューサーの言うことは、絶対、です」


武内P「!」パアッ!


凛「――それじゃ、寝ようか」

アーニャ「――おやすみなさい」

もぞもぞっ…


武内P「!?」

武内P「渋谷さん、アナスタシアさん!?」

武内P「何故、この部屋のベッドに潜り込んでいるのですか!?」

凛「一人なのに、ツインの部屋で助かったかな」

アーニャ「ダー、ベッドの取り合いになる所、でした」

凛「あっ、そうだ……シャワー浴びてない」

アーニャ「オー……私も、忘れてました」

凛「パジャマには着替えたけど――」

アーニャ「このまま、だと――」


凛・アーニャ「――ベッドに、匂いがついちゃう」


武内P「……!?」

武内P「お……お二人とも、何を仰っているのですか……!?」


凛「別に、そのままの意味だけど」

アーニャ「特に、おかしな事は言っていませんね?」

凛「別に良いでしょ、寝ろって言ったのはプロデューサーだし」

アーニャ「ダーダーダー! 私も、聞いていました!」


武内P「いえ、あの……!」

武内P「ご自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」

凛「部屋に戻れって……もう、寝る体勢なんだけど」

アーニャ「目を閉じたら、朝までスヤスヤ、です」


武内P「あの……私のベッドが、なくなったのですが」


凛「くっつけば、二人は寝られると思う」

アーニャ「枕は、アー、腕枕で良い、です」


武内P「……」


凛・アーニャ「プロデューサー」

凛・アーニャ「寝るベッドは、どっち?」


武内P「……」

武内P「その……どちらかを決める前に、ですね」

武内P「シャワーを浴びてこよう、と」

武内P「……そう、思います」


凛・アーニャ「えっ?」


武内P「仮に、一緒に眠る場合ですが」

武内P「清潔な方が良い」

武内P「……そう、思いますから」


凛・アーニャ「……!」

凛「せ、清潔な方と……一緒に寝るって事!?」

アーニャ「プロデューサー!?……本当、ですか!?」


武内P「……」


凛「ふざけないでよ!」

凛「――違う、間違えた! 今の、無し!」

凛「……この状況は何なの!?」


アーニャ「――部屋に、戻ります!」

アーニャ「急いで、アー、ンー! ちょ、チョッパヤ!」

アーニャ「チョッパヤで、シャワーを浴びてきます!」


凛・アーニャ「!」バッ!

凛・アーニャ「っ!」

バッ!

凛・アーニャ「……!」

ダダダダダッ!

凛・アーニャ「!」

カチャッ、バタンッ!


凛「――ふざけないでよ! 部屋に戻るんでしょ!?」

アーニャ「――ニェ――ット! リンが、戻ります!」

凛「その間に、私を締め出すつもりでしょ!?」

アーニャ「当然、です! 一緒に寝るのは、アーニャ!」


武内P「……」

「有り得ない! 私、ここでシャワー浴びるから!」

「……ニェニェニェニェ――ット! エッチな下着、です!」

「何それ!? ねえ、パンツすらはいてなかったの!?」

「リンには、見えない下着、です! リンには!」

「はあっ!? 何、バカって言いたいわけ!?」

「シト~ッ? そんな事、言ってませんね? シィットォ~~ッ?」

「ふ――んっ!」

「ニェ――ット! 冷たい! バカ! リン、バカ!」


武内P「……」

「あっ、ごめん! まだ、下着つけてたんだよね!」

「ウラ――ッ!」

「わっ、ぷ!? 何するの!? ビショ濡れになっちゃったでしょ!」

「イズヴィニーチェ、すみません……アー、発情期、ですか?」

「そういう意味じゃないから! 何なの!? はっ、は、発情期!?」

「リン、ボディソープ、取ってくれますか?」

「うん……じゃなくて!」

「ニェ――ット! 即、流さないで、ください!」


武内P「……」

武内P「……」

コンコン

武内P「すみません」


「「ちょっと待って!」」


武内P「……クローゼットの中に、ガウンが入っています」

武内P「着ていた服は濡れてしまっていそうなので……」

武内P「……そちらを着て、この部屋で寝てください」


「「……プロデューサー?」」


武内P「……」

武内P「千川さんに……何かあった時のため、と」

武内P「そう、言われていたのですが……正解でしたね」

武内P「……本当に、残念ですが」


「「プロデューサー!?」」


武内P「お二人とも、シャワーを浴びたら」

武内P「この部屋で、一緒に寝てください」


「「プロデューサーは!?」」


武内P「私の部屋は隣です」

武内P「もう一つ、隣になります」

「……冗談! 冗談だから!」

「……ダー! リンの言う通り、です!」


武内P「渋谷さん、アナスタシアさん」

武内P「明日の朝、お話がありますので」


「「……」」


武内P「それでは、また明日」

武内P「おやすみなさい」


「「……おやすみなさい、プロデューサー」」



おわり


「……」


 息を潜め、気配を殺す。
 自分でさえ、ここに自分が居ない様に錯覚する程に。
 悟られては、いけない。
 気付かれてしまっては、全てが終わってしまう。


「ちょ、ちょ~っとわかんないにぃ!」


 すぐ近くで、私の担当するアイドルの声が聞こえた。
 普段よりも、声の調子が幾分高いのは、気の所為ではない。
 彼女は……耐えているのだ。
 きっと、その額には脂汗が滲み、いつもの陽気な笑顔には、
苦悶という名のラインが引かれている事だろう。


「うん……ごめんに゙ぃっ!」


 だが、今の私には、それを確認する術は無かった。
 すぐ近くに居るとは言っても、表情は全く見えない状況。


「うっ、ううん! 何でも無いゆ!?」


 恐らくだが、今の言葉に合わせて身振りをしたのだろう。
 それにより、彼女の耐久値は削られ、深刻な被害をもたらした。
 被害状況は、確認出来る。



 ――ビニール袋を持った私の手に、彼女のガクガクと震える足が当たっているので。



「にょ……わぁぁ……!」


 此処は、プロジェクトルームの、私のデスクのすぐ近く。
 入り口からは、陰になって見えない場所。
 ただ、状況は――最悪を通り越し、どう表現するのが正しいのか判断がつかない。


「……」


 今、私は、中に居る。


 腹痛に耐えている担当アイドルの、ロングスカートの中に。


「……」


 助けは、呼べない。
 声も、あげられない。


「……」


 この足の震えから察するに、恐らく、一歩も移動出来ないだろう。
 一歩を踏み出し、その足が地に着いた時点で、崩壊する。
 むしろ、一歩を踏み出そうと片足に力を込めた時点で、そうなる可能性が高い。
 今も、ダムが決壊していないのが不思議な位だ。


「うぇへへ……!」


 そうなっていないのは、私がここに……スカートの中に居るから。
 彼女は、私のため――だけではないだろうが――耐えているのだ。
 強靭な意志と、括約筋の大活躍によって。
 そんな私に出来る事は……あまりに、少ない。


「……」


 スカート中から、出る。
 それは、彼女の尊厳を守る一本の細い蜘蛛の糸を切るに等しい行動だ。
 私の存在が防波堤となっている現在、それがなくなった時に迎える未来は――脱糞。
 それも、彼女を慕う仲間達の前での、壮絶な脱糞だ。


「……」


 加えて、確実に誤解される。
 私がスカートの中から出た途端の爆発は、
私が中に何らかの爆弾を仕掛けたようにしか見えないからだ。


 デスクの下の引き出しから、袋を取り出している間に、スカートの中に入れられただけ。


 こう言って、信じてくれる人間が果たしてどれだけ居るだろうか?


「……」


 もう一つの選択肢は、諦める。
 諦めて、この擬似的な密室の中で、至近距離で、レッツゴーハッピーする。
 輝いてぜったい、ははい! だってぜったい、ははい!
 元気百倍の未来へ――


 ――は、無理です! さすがに、それは出来ません! すみません!


「……!」


 どうすれば……!?
 私は……彼女は、一体どうすれば救われるのだ!?



「ハピハピするに゙ぃ!」



 アンハッピーな、この状況。
 止まってしまいそうだった心の車輪が、彼女の声でまた動き出す。


 彼女は、今もまだ戦い続けている。


 ならば、私も諦めるわけにはいかないのだ。


「……!」


 良い、笑顔のために。


「……」


 恐らく、勝負は一瞬。
 チャンスは、一度切り。


「……」


 成功率を高めるため、スカートの中を移動する。
 刺激をしないよう、ゆっくりと。
 気づかれないよう、ひっそりと。


「……」


 暗闇に目が慣れてきたため、位置取りは完璧だ。
 長身でスタイルの良い彼女の、長い脚と丸い臀部の形がハッキリとわかる。
 羨ましい、と、そう思う方も居るかも知れません。
 ですが、今の私には、アームストロング砲と、それを運ぶ車輪にしか見えません。


「……」


 カサリと、可能な限り音を立てずにビニール袋を広げる。
 口の広がったそれを左手で持ち、彼女の尻の少し上の方に位置させた。
 そして、右手を足を迂回するようにして前に回し、待機させた。
 これで、あとは機を待つのみ。


「が……がん゙ばろうに゙ぃ!」


 無謀と言えば、無謀。
 だが、この状況下においては、これが最適だと判断した。
 これは、勇気。
 蛮勇ではなく、紛れもない、勇気ある行動だと言えよう。


「……」


 ……一瞬。


「……」


 一瞬で、前に回した右手を彼女の脚と脚の間に滑り込ませ、


「……」


 後ろにセットした袋を掴んで引き抜いた後、


「……」


 爆発が、全てビニール袋の中に収まるよう、広げて、覆う。


「……」


 この様な、絶望的な選択肢しか選べないのだ。
 もしも、アイドルの神に会う機会があったとしたら。
 私は、己の全てを拳に乗せて、神に叩きつける事だろう。


「う、うん……また、後で……に゙ぃ゙!」


 どうやら、会話の相手が部屋から出ていくようだ。
 勝負の時は、近い。
 ドアが開き、閉まった――その一瞬。
 いくら彼女とは言え、気が緩むのは避けられないだろう。


「……」


 その緩みが――精神が、肉体に影響を及ぼす。
 閉じられた砲門と、耐えるためにピッタリと閉じている脚が、開く。
 タイミングは、そこしかない。
 それを逃せば、死あるのみだ。


 ――ガチャッ。


「……!」


 来る。
 大きなウン命の分かれ道が。


 ――バタンッ。


「!」


 右の手刀を両脚の間に滑り込ませ――


「!?」


 ――手が、脚に当たる感触が無い!?
 いや、今はビニール袋を――


 ――明日を掴め!



「……P……ちゃ、ん……!」



 絞り出すような声。
 それを聞き、私は全てを察した。


 彼女は……私を信じてくれていたのだ。


 だからこそ、決壊の瞬間、両脚をあえてパカリと開いたのだ。
 私が、彼女を救うための、何らかの手立てを講じている、と。


「にょ――」


 ……ああ、何と、


「――わぁっ……!」


 何と反応して良いか、わからない信頼だと、そう、思います。

  ・  ・  ・

「……」


 ナイアガラの滝を皆さんは御存知だろうか。
 世界三大瀑布の一つでありながら、周辺の観光地化の臭いためか、
世界遺産に登録されていない、有名な臭う滝だ。
 しかし、自然の雄大……大……雄大さを! 感じられ、う、むっ!


「……」


 スカートの中に漂う異臭は、尋常では無い。
 可能な限りビニール袋で封印を施しているのだが、
完全にその臭いを閉じ込めるには至っていない。
 おおっ……ぐ、うおおっ……!


「……」


 すぐにでも、ここから出たい。


 が、



「そっ……そうだにぃ!」



 ……居るのだ。


 私と、彼女以外にも、人が!


 事が済み、いざスカートから出ようとした時、ドアが開く音がした。
 そして、入ってきて――会話が、始まってしまった。
 誰かはわからないが……それが、良いだろう。
 私は、誰かを憎いとは思いたくありませんから。


「……」


 だから、今はただ待とう。


「……」


 何故か、目頭が熱くなった。
 きっと、臭いが目にしみたのだ、と。


 ……そういう事に、しておきます。




おわり


「……」


 毎日が、面白くねえ。
 別に、つまらねえって事は無い。
 ただ、面白くねえんだ。


「……」


 聖羅服を着て、ガッコに行って。
 そういう、所謂『当たり前』ってヤツが、どうも性に合わねえ。
 勉強が嫌いなんて、そんなしみったれた理由じゃないぜ?
 むしろ、そっちは割と得意……まあ、柄じゃねえけどな。


「……」


 こうやって、教室の机に大人しく座って、空を見てると。
 あの青空が、太陽が、「なんで大人しくしてんだ?」って言ってる気がすんだよ。
 別に、好きで大人しくしてんじゃねえっての。
 教室で、無意味に暴れるほど、アタシはガキじゃねえってんだ。


「……」


 胸の奥で、何かが燻ってる。
 マジになれるだけの何かを求めて、爆発寸前だ。
 それが毎日続いてるのが、今のアタシだ。
 どうだ? 少しは、アタシの気持ちってもんがわかったか?


「……」


 流行りの何かなんて、興味ねえ。
 そんなもんじゃ、アタシの気合を受け止められねえ。


 ――何か、ねえのかよ。


 ――アタシの全部……ありったけをぶつけられる、何かが。



「――……井! 向井拓海!」



 チッ……うるせえな。
 でけえ声出すんじゃねえよ。



「居るよ。見りゃわかんだろ」



 教壇の上に立つ先公を見て、言う。
 ……別に、睨んじゃいねえし、無視してたわけでもねえっての。


 アタシだって、考え事して上の空になる時もあんだよ。

  ・  ・  ・

「……」


 単車に乗って、走ってる時。
 風の抵抗を受けて、それを切り裂いて。
 まるで、アタシ自身が風になったと思えるくらい、かっとばす。
 アタシは、その瞬間が一番好きだ。


「……」


 頭ん中が空っぽになって、全てを忘れさせてくれる。
 胸の奥で燻ってる何かも、置き去りにして、ぶっちぎれる。
 ずっと走り続けられるとしたら、
それが多分、今のアタシが考えらえる最高の生き方だ。


「……」


 ……けどよ、さすがにそりゃ無理だ。
 事故って死にてえ訳じゃねえしな。



「オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」



 眼の前の、頭の悪ぃ奴らの中から、一際頭の悪そうなのがズイと一歩前に出た。
 目つきは鋭く、真っ直ぐにアタシにガンくれてきやがる。
 それを見て、アタシの周囲の仲間たちが色めきだった。
 オイオイ、慌てんじゃねえよ。



「キャンキャンうるせえんだよ、コラ」



 先陣は、アタシが切る。


「んだとぉ!?」


 相手が、一歩近づいた。


「うるせえって言ってんだろ」


 金の刺繍が入った紫色の特攻服を翻し、アタシも前に出る。
 きつく巻いたサラシが、高ぶる気合と一緒に身を引き締めてくれる。
 ビシッとキメたこの格好が、アタシの勝負服だ。
 あぁ? 何の勝負かって?



「特攻隊長――……向井拓海」



 決まってんだろ。
 喧嘩だよ、喧嘩。


「テメエの名前なんて聞いちゃいねえよ!」


 アタシが名乗っても、目の前の奴はビビらなかった。
 地元じゃ、そこそこ名前が知られてきたと思ってたんだがよ。
 アタシ達みたいな奴の間では、だけどな。


「――はっ! 上等だ!」


 アタシにビビらないってのは、最高だ。
 ビビってる相手に拳を振るうのは、ダセえからな。
 ブリーチした髪の生え際が黒く、プリンになっちまうよりも。
 喧嘩する気の無い相手をボコるのが、一番ダセえ。


「来いよ、プリン頭」


 ニイッと笑って、言い放つ。


「……ブッ殺す!」


 それに、目の前のコイツは応えた。


 相手の、頭の悪ぃ奴らの中の、一番頭の悪ぃ奴。
 そしてアタシは、アタシらの中で、一番頭が悪ぃ。
 先ずは、頭の悪ぃテッペン同士のタイマンだ。


 それがアタシらの流儀ってやつだ。



「――オイ! なんだテメエ!」



 そんな、良い喧嘩に邪魔が入りやがったらしい。
 向こうのチームの背後から、誰かが来たみてえだ。
 ポリじゃあねえみたいだが……チッ!
 これからって時に、邪魔すんじゃ――



「GURUUUUOOOOOOOO!!」



 ――……あ?
 んだよ、今の……叫び声は?
 人間が出すようなもんじゃ……ねえ。


 まるで……獣の咆哮。



「GUUUURUUOOOOOOAAAAA!!」



 また、空気が震えた。
 アタシらは、頭が悪ぃなりに、わかっちまった。
 何かヤベエのが来やがった、ってよ。


「……!」


 人垣が、割れていく。
 得体の知れねえ何かから、遠ざかるように。
 そして、見えた。
 真っ直ぐ、ゆっくりとこっちに向かってくる――



「GURRRRR……!!」



 ――ライオンの……怪物が。


「な……何、あれ……?」


 アタシに背を向けたプリン頭が、素の声を出しやがった。
 さっきまでの気合の入ったもんじゃねえ、可愛いと言っても良い声で。
 って、んな事考えてる場合じゃねえだろ!


 どう見ても、アイツはヤベえ!


「――オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」


 さっき、全く同じ台詞を言われた気がしやがる。
 けどよ、さっきとは状況がまるで違う。
 アタシらがやろうとしてたのは、喧嘩だ。
 アイツが、これからやろうとしてるのは、



「GUUUURROOOOOOOAAAA!!」



 一方的な、狩りだ。


「さっさと逃げるんだよ!」


 アタシのチームの奴らは、アタシが「逃げろ」と言った事の意味。
 特攻隊長、向井拓海がそう言ったことの意味をキッチリわかった。
 バイクに乗れば、逃げ切れると思う。
 停めてある場所までに追いつかれ、襲われたら……終いだ。


「GURRRRR……!!」


 幸か不幸か、チームの皆は標的にされなかった。
 アイツは、もう獲物に狙いを定めていた。
 ライオンの顔をしてやがるのに、その口元が笑っているように見える。
 いや……あれは、笑っていやがるに違いねえ。


「……上等だよ」


 ビビったら、負けだ。
 狙われてんのは――アタシだ。


「かかって来い、オラァ!」


 アタシは、きっとあの怪物……いや、半分人の形をしてるから、怪人だな。
 怪人に、殺されるだろう。


「なっ!? お前!?」


 プリン頭が、驚いた顔でこっちを見てきやがる。
 んな暇があったら、テメエもさっさと逃げろってんだよ。
 まとめて殺される理由なんてねえんだ。
 ビビって逃げらんねえって訳でも無いだろうが。


「アイツは、アタシを狙ってる」


 アイツの細められた目は、楽しそうに笑ってる証拠だ。
 ヤロウ、やっぱり笑ってやがったな。
 ふざけんじゃねえ。
 アタシは、特攻隊長――向井拓海だぞ。


「テメエは逃げろ」


 ライオンの怪人から、目を逸らさずに言った。
 目を逸らした瞬間、アイツは襲いかかってくるだろう。
 何が目的か、全部はわからねえ。
 アタシをやった後……チームの皆を襲わないとも限らねえからな。


「ケツは、アタシが持つ」


 特攻隊長がケツ持ちたぁ、何とも締まらねえな、オイ。


「ふっ……ざけんなよ!」
「!? オイ!」


 プリン頭が叫び声を上げ、アタシの特攻服の袖を掴んだ。
 完全に、予想外の行動。
 この馬鹿は、アタシをこの場から連れ出そうとしやがったんだ。
 そのせいで――



「GUUURUOOOOOOOOAAAA!!」



 ――ライオンの怪人の標的が、アタシから移った。
 無防備に背を向けて、走り出そうとしてる……プリン頭に。


「やめ――」


 止めようと思って声を上げた所で、それは何の壁にもなりやしねえ。
 迫りくる巨体も、鋭い爪も、牙も、何一つ止められねえ。
 ライオンの怪人が右腕を振り下ろすのが、やけにゆっくるに感じる。


 やられる。


 そう、思った時――



『ぴにゃぴっぴ』



 ――そんな、低い、間抜けな鳴き声と共に現れた巨大な黒い塊が、



「GUUUURRROOOOOO!?」



 ライオンの怪人を撥ね飛ばした。


「なっ、何だ!? 何が……」
「早く!」


 強引に腕を引かれ、確認する暇を与えられなかった。
 チラリと見えたが、あの黒い塊は――バイクだった。
 けど、誰も乗っちゃ居なかった。
 誰も乗ってないバイクが……まるで、意志があるみてえに、アタシ達を助けた。


「っ!?」
「うおっ!? オイ、何で急に……」


 立ち止まってんだ、って言葉を飲み込んだ。
 プリン頭が立ち止まった理由が、わかっちまったからよ。
 そいつは、すげえ単純な理由。



「……」



 アタシ達の正面から、一人の野郎が歩いてきたからだ。
 でかくて、無表情で、スーツ姿。
 淀みなく、何の躊躇いもなく、こっちに来やがる。
 特攻服を着た、アタシらに向かって。


「……」


 普通だったら、避けるような格好をしてるのはわかってんだぜ。
 だってのに、あの野郎は、真っ直ぐに。


「っ……!」


 さっきの怪人を見てなきゃ、当たり前に喧嘩を売ってたかもしれねえ。
 ……だけどよ、なんつーか、空気がちげえんだ。


 でなきゃ、こんなにヒリついた感じはしねえ。



「――失礼」



 低い、低い声。
 周りには、誰も居ねえ。
 明らかに、アタシらに向かって放たれた言葉。
 それを聞いて、アタシもプリン頭も身構えた。


「っ……!」
「……」


 そんな、身構えたアタシ達の横を野郎は通り過ぎて行った。
 まるで、何事も無かったみてえに。
 ……って!


「まっ、待てよ! オイ!」


 そっちには……怪人が居んだよ!


「すみません。急いでいるので……」


 男は、チラッとだけこちらを振り返ってそう言うと、
また、ライオンの怪人が居る方へ歩き出した。
 普段だったら、アタシから逃げたと思う所だ。
 でもよ、あれは……そうじゃねえ。


「オイ! もう放っとけって! でなきゃ――」


 プリン頭が、アタシの袖を引いた。
 その時、



「GUUUURRRUOOOOOOO!!」



 聞きたくなかった咆哮が、聞こえやがった。
 アタシの視線の先。
 スーツ姿の野郎の向こうから、ライオンの怪人が走ってきてやがる。
 ……だってのに、


「……」


 あの野郎、ボサッと突っ立ってやがる!
 明らかにヤベエ状況だってのに、どうして何の反応もしねえんだよ!



『ぴにゃ~』



 さっきも聞いた、低い、間抜けな鳴き声。
 鳴き声と共に、巨大な黒いバイクが姿を現した。
 最初の時に比べて、その鳴き声は申し訳なさそうだ。



「ピニャコラッター、彼女達を安全な所へ」



 ぴ、ぴにゃこらったー?


『ぴにゃぴっぴ!』


 任せろと言わんばかりの、気合の入った鳴き声。
 巨大な黒いバイクは、アタシ達の前にピタリと停車し、


『ぴにゃ~』


 また、一声鳴いた。


「の……乗れっつってんのか……?」
『ぴにゃっ!』


 ……オイオイ、マジかよ。


「で、でけえな、オイ……」


 プリン頭が、おずおずと車体に跨った。
 あまりにもでかい車体に、乗るってーか、載せられてやがる。
 いや、まあ……今の場合、その方が合ってんだろうけどよ。


「ホラ! お前も!」
『ぴにゃ~』


 差し出された、手。
 乗れという、鳴き声。



「……アタシは良い、行け」



 ……だけどよ、しょうがねえだろ。



「GUUUUURROOOOOOOOO!!」



 見たくなっちまってんだ。



「……」



 ライオンの怪人の前に立ちはだかる、あの野郎が何をするのか。


「行けっ!」


 それに、人に言われた通りに行動するなんて、まっぴらゴメンだ。
 んな器用な真似が出来るんだったら、ヤンキーなんてやっちゃいねえ。
 胸の奥で燻ってる、何か。
 その何かが、叫んでんだよ!


 ここが、気合の入れ所だってな!


「……お前、とんでもねえ馬鹿だな」


 プリン頭が、信じられないという顔をした。


「うるせえ、ブッ殺すぞ」


 わかってんだよ、んな事ぁよ。


「GUUURRRRR……!!」


 ライオンの怪人が、唸り声を上げている。
 怪人と、アタシの丁度中間の位置に立つ野郎は、
右手を首筋にやって、少しだけ背を丸めた。
 ……んだよ、文句あんなら口で言え、口で!


「仕方……ありませんね」


 野郎は、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻し言った。
 振り返った腰元には、大きな銀色のベルトが輝いていた。


「貴女のお名前を聞いても、よろしいですか?」


 そう言いながら、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 それ……この状況で聞くことか?
 だけど、まあ……聞かれたからには、


「特攻隊長――向井拓海だよ!」


 ビシッと、笑って答えねえとな!
 ハッ! んだよ、その顔?
 怪人には驚かねえのに、目を丸くしやがって!


「……良い、笑顔です」


 野郎はそう言うと、スマートフォンのホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいった。


 ――3――4――6!


『LIVE――』


 スマートフォンから、女の声が聞こえた。
 そして、野郎はそれを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 そう、言った。


『――START!』


 野郎の体を光が包み込んでいく。



「GUURRRROOOOOOO!!」



 ライオンの怪人が、その光に飛びかかった。
 圧倒的な力で振り下ろされただろう右腕は――


「……お待たせしました」


 ――黒い、鋼鉄の手で受け止められていた。


「……」


 さっきまでは、普通のスーツ姿だった。
 今の野郎は、スーツみてえな色合いの鎧に全身を覆われてやがる。
 黒を基調とした鎧には白い箇所もあって、胸元にはピンクとブルー、イエローの宝石が。
 フルフェイスの頭は、さっきの黒いバイクに似ていた。


「GUUURRRRR……!?」
「……」


 腰を入れてもねえ、ただ、手を上げてるだけ。
 だってのに、ライオンの怪人の腕を掴んで離さず、微塵も動かない。


「GURUUUOOOAAA!!」


 ライオンの怪人が、左腕を振りかぶった――が、


「――企画!」


 それよりも早く、野郎のピンク色の光を纏った右の拳が、
軌跡を描きながらライオンの怪人の腹にぶち込まれた。


「GUUUUUOOO……!?」


『Cute!!』


 腹パンに、ライオンの怪人の体が折れ曲がった。
 無防備になったライオンの怪人の頭に、


「――検討中です!」


 ブルーの光を纏った右足による、ハイキック。
 綺麗に決まったそれは、ライオンの怪人の体を吹き飛ばした。
 離れた、距離。
 野郎は、一瞬でその距離を詰め、


「……!」


 再び襲いかかろうと、鋭い牙が並ぶ巨大な口を開けていたライオン怪人の、
その、口の中に左手を差し入れた。


「せめて!」


 イエローの光が、ライオンの怪人の後頭部を貫いて溢れ出した。
 ライオンの怪人の巨体が、光の粒子になって消えていく。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』


 空に登っていく光の粒子を見ながら、アタシは思った。
 やっぱ、気合の入れ所だってのは間違いじゃなかった、ってよ。


「……」


 パキン、と音を立てて、野郎の纏っていた鎧が光の粒子になり、消えた。
 外れていたスーツの上着のボタンを留めるその姿は、
さっきまでの戦いが無かったかのように、落ち着いていやがる。
 野郎は、身だしなみを整えると、アタシに向かって歩いてきた。


「向井、拓海さん……でしたか」


 でけえ。
 目の前に立たれると、身長差で見上げる形になっちまう。
 でもよ、そんなのはゴメンだ。
 顎を引いて、腕を組み、気合を入れて両脚を伸ばして、立つ。


「あぁ、そうだよ」


 さっきのヤツは、何だ?
 テメエは、何者だ?
 全部、聞かせてくれんだろうな。
 じゃなきゃ、承知しねえぞ、オラ!


「私は……こういう者です」


 野郎は、胸ポケットから小さなケースを取り出すと、
中から一枚の紙を抜き取って、両手でそれを差し出してきた。
 ……んだよ、コレ?
 それを右手でむしり取り、見る。


「……名刺?」


 346プロダクション?
 プロデューサー?



「向井さん。貴女は、今、楽しいですか?」



 低い声で、そんな事を言われた。
 楽しくは……無い。
 でも、だから何だってんだよ?
 テメエには、関係ねえだろうが。



「アイドルに、興味はありませんか?」



 ……は? オイ、今何つった?
 ……アイドル?


「っ!?」


 手元の名刺を確認すると、書いてありやがった。
 アイドル事業部……ってお前、まさか!


「アタシをスカウトしてんのか!?」


 何なんだ……何なんだよ、この馬鹿野郎は!


https://www.youtube.com/watch?v=nwdaxlsUPds




おわり

『炎の華』がカッコイイから書きたくなっただけでした
寝ます
おやすみなさい

誤)>>>852
正)>これ

「……」


 さっきまでは、普通のスーツ姿だった。
 今の野郎は、スーツみてえな色合いの鎧に全身を覆われてやがる。
 黒を基調とした鎧には白い箇所もあって、胸元にはピンクとブルー、イエローの宝石が。
 フルフェイスの頭は、さっきの黒いバイクに似ていた。


「GUUURRRRR……!?」
「……」


 腰を入れてもねえ、ただ、手を上げてるだけ。
 だってのに、ライオンの怪人の腕を掴んで離さず、微塵も動かない。


「GURUUUOOOAAA!!」


 ライオンの怪人が、左腕を振りかぶった――が、


「――企画!」


 それよりも早く、野郎のピンク色の光を纏った右の拳が、
軌跡を描きながらライオンの怪人の腹にぶち込まれた。


「GUUUUUOOO……!?」


『Cute!!』


 腹パンに、ライオンの怪人の体が折れ曲がった。
 無防備になったライオンの怪人の頭に、


「――検討中です!」


 ブルーの光を纏った右足による、ハイキック。


『CooL!!』


 綺麗に決まったそれは、ライオンの怪人の体を吹き飛ばした。
 離れた、距離。
 野郎は、一瞬でその距離を詰め、


「……!」


 再び襲いかかろうと、鋭い牙が並ぶ巨大な口を開けていたライオン怪人の、
その、口の中に左手を差し入れた。


「せめて!」


 イエローの光が、ライオンの怪人の後頭部を貫いて溢れ出した。


『Passioooooooon!!』


 ライオンの怪人の巨体が、光の粒子になって消えていく。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』


 空に登っていく光の粒子を見ながら、アタシは思った。
 やっぱ、気合の入れ所だってのは間違いじゃなかった、ってよ。

ひでえ漏れ申し訳ない

サンド伊達ちゃんのゼロカロリー論を説くかな子をください!

>>861
書きます


武内P「ゼロカロリー論、ですか」

かな子「はい♪」ニコニコ!

武内P「それが、何か?」

かな子「私、ゼロカロリー論を知って感動したんです!」ニコニコ!

武内P「あの、何故?」

かな子「えっ? だって、ゼロカロリー論だと――」


かな子「ゼロカロリーだから、食べ放題ですよね♪」ニコニコ!


武内P「……」

武内P「三村さん?」

かな子「本当に、世界が広がりました!」ニコニコ!

武内P「あの、三村さん」

かな子「もっと早く、この理論を知っていればなぁ~!」ニコニコ!

武内P「待ってください」

かな子「でも! これからは安心してください♪」ニコニコ!


かな子「ゼロカロリー論で大丈夫です♪」ニコニコ!


武内P「……」

武内P「三村さん」

かな子「うふふっ、遠慮なくお菓子を作っちゃいますよ♪」ニコニコ!

武内P「ゼロカロリー論と言うのは、ですね」

かな子「あっ! 皆にも、教えてあげないと!」ニコニコ!

武内P「三村さん」

かな子「それで、皆で事務所でお茶会をするんです♪」ニコニコ!


かな子「お菓子たっぷりの……ふふっ! 幸せな毎日です♪」ニコニコ!


武内P「……」

武内P「……三村さん」

かな子「プロデューサーさん、甘い物は大丈夫ですよね?」ニコニコ!

武内P「三村さん、待ってください」

かな子「明日はケーキにしちゃおっと!」ニコニコ!

武内P「三村さん」

かな子「生クリームたっぷりの、あま~いケーキ♪」ニコニコ!


かな子「一人ずつに、ワンホールで!」ニコニコ!


武内P「……」

武内P「三村さん」

かな子「生クリームは、北海道産のを使うのがポイントです♪」ニコニコ!

武内P「本当は、わかっているのでしょう?」

かな子「北海道の雄大な大地に、カロリーが還っていくんです♪」ニコニコ!

武内P「三村さん」


武内P「ゼロカロリー論は、幻です」


かな子「……」

かな子「プロデューサーさん?」

武内P「ドーナツ等の、中心が空洞の食べ物は――」

かな子「ゼロカロリーです!」

武内P「カロリーは、中心に集まる性質がある、でしたか」

かな子「だから、ゼロカロリー! 形も、ゼロを表してます!」

武内P「……」


武内P「それは、間違いです」


かな子「!?」

かなこ「プロデューサーさん!?」

武内P「ドーナツ化現象をご存知ですか?」

かな子「! それは……素敵な響きですね?」

武内P「夜間は、都市郊外や衛星都市の人口が増加」

武内P「結果的に、中心部に空洞が発生するという都市現象です」

かな子「えっと……つまり?」


武内P「夜に食べるドーナツは、物凄く太ります」


かな子「!?」

かな子「プロデューサーさん!?」

かな子「待って……待ってください……!」

武内P「昨晩、ドーナツをいくつ食べましたか?」

かな子「三個! 三個です!」

武内P「本当の事を仰ってください」

かな子「三個! 三個です!」


武内P「三個と三個で、合計六個ということですね?」


かな子「……」

かなこ「美味しかったですよ?」

かな子「でも、理論的に考えてください」

武内P「三村さん」

かな子「ドーナツ化現象とドーナツに、関連性はありません」

武内P「三村さん」

かな子「ううん、もしも関係してるとしたら――」


かな子「ドーナツ化現象の、中心の空洞部分」

かな子「そこは、ゼロカロリー地帯です」

かな子「つまり、そこでは何を食べてもゼロカロリーです」


武内P「……」

武内P「では、都市中心ではカロリーを摂取出来ないのでしょうか?」

かな子「そんな事はないですよ、大丈夫です」

武内P「はい、当然ですね」

かな子「ただ、本気を出せばゼロカロリーです」


かな子「私、本気です」

かな子「だから、ゼロカロリーです♪」ニコッ!


武内P「……」

武内P「……三村さん」

武内P「こちらに、体重計があります」

かな子「はい♪」ニコニコ!

武内P「はい、ではなく」

かな子「いいえ?」ニコニコ!

武内P「違います」


武内P「こちらの体重計に、乗って頂けますか?」


かな子「!?」

かな子「プロデューサーさん!?」

かな子「体重計に乗せて、何をするつもりですか?」

武内P「体重を量ります」

かな子「? 体重を……えっ? 何がですか?」

武内P「三村さん、体重計に乗ってください」

かな子「? カロリーは、ゼロですよ?」


武内P「量るのは、貴女の体重です」


かな子「!?」

かな子「プロデューサーさん!?」 

かな子「どうして、私の体重を量るんですか?」

武内P「説明が、必要ですか?」

かな子「すみません、マシュマロを食べても?」

武内P「何故ですか?」

かな子「ちょっと、理解が追いつかなくて……」


かな子「マシュマロは、白いからカロリーは白紙」

かな子「それに、美味しいから大丈夫です」


武内P「……」

武内P「三村さん」

武内P「体重計に、乗ってください」

かな子「ゼロカロリーです」

武内P「三村さん、体重計に、乗ってください」

かな子「美味しいから大丈夫です」

武内P「三村さん」


武内P「本当に、そう思っていますか?」


かな子「……」

かな子「プロデューサーさん」

かな子「私だって、わかってるんです」

武内P「そう、ですか」

かな子「レッスン前の更衣室で、ですね」

武内P「……」

かな子「皆が、『マジで?』って顔で私を見たんです」


かな子「それで、私は悲しくなりました」

かな子「だから、お菓子を食べて嬉しくなれば――」

かな子「――打ち消し合って、カロリーゼロですね?」


武内P「……」

武内P「三村さん?」

かな子「確かに、ゼロカロリー論は幻かも知れません」

武内P「間違いなく、幻です」

かな子「でも、私はアイドルなんです」

武内P「三村さん?」


かな子「ファンの皆さんに、幻想的で幸せな世界を見て貰いたい」

かな子「そう思うのって、いけない事でしょうか?」

かな子「ゼロカロリー論で、更に、美味しいから大丈夫」

かな子「それじゃ、駄目なんでしょうか?」


武内P「……」

武内P「駄目です」

かな子「甘いものを食べて、美味しいと思った……幸せな気持ち」

武内P「……確かに、貴女が甘い物を食べている時の表情」

武内P「それは、とても幸せそうです」


かな子「その幸せな気持ちにカロリーを乗せて、ファンの人たちへ届ける」


武内P「待ってください」


かな子「それが――私の、ゼロカロリー論です」ニコッ!


武内P「三村さん」

武内P「……良い、迷惑です」

  ・  ・  ・

かな子「――どうしたんですか?」

かな子「また、呼び出しだなんて……」

武内P「三村さん」

武内P「ゼロカロリー論を広めましたね?」

かな子「今日は、チョコチップスコーンを焼いてきました♪」


武内P「私に、苦情が届いています」


かな子「スコーンは、体重がスコーンと落ちるのが語源です」

かな子「だから、ゼロカロリー」

かな子「むしろ、痩せすぎ注意の食べ物です」

武内P「担当アイドルの体重が増えた、と」

武内P「どうしてくれるんだ、と」

武内P「……そう、苦情が届いています」

かな子「怒ってましたか?」

武内P「どう、思われますか?」


かな子「怒ってたなら……大丈夫ですね♪」ニコッ!


武内P「……」

武内P「三村さん?」

かな子「怒ると疲れるのは、カロリーを消費するからです」

かな子「そんな、カロリーを消費する程の、熱意」

かな子「その熱意が、担当アイドルに向いていれば」

かな子「すぐにカロリーは消費されて、体重も減ります♪」ニコッ!


武内P「なるほど」

武内P「怒りの矛先が私だからいけないのだ、と」

武内P「だから、私の体重が減っていくのだ、と」

武内P「……そういう訳ですか」


かな子「……」

かな子「プロデューサーさん?」

かな子「体重、減ってるんですか?」

武内P「はい」

かな子「ずるくないですか?」

武内P「いいえ」


かな子「ゼロカロリー論は幻だって……!」

かな子「……そう、言ったのに!」

かな子「あっ……このクッキー、美味しい~♪」ニコニコ!


武内P「ゼロカロリー論が、本当ならば」

武内P「貴女は、今、物凄い勢いでカロリーを消費している筈です」

武内P「それこそ……ガリッガリになってしまう程」


かな子「美味しいから大丈夫です♪」ニコッ!




おわり

心肺蘇生法を行う武内Pとそれを見て勘違いするアイドルをお願いします!

>>887から思わず熊本弁を捨てる蘭子もお願いします

アイドルをGoogleレンズで見てみたら見てはいけない情報が見えてしまった武内Pお願いします

参考(記事の中盤辺り)
【レビュー】Pixel 3に見るスマホの未来。カメラが“目”に進化、Googleレンズの衝撃-Impress Watch
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.watch.impress.co.jp/docs/review/review/1148/019/amp.index.html%3Fusqp%3Dmq331AQECAEoAQ%253D%253D

>>887>>890
先に書きます


武内P「心肺蘇生法……?」

部長「ああ、そうだ」

武内P「それを習得する必要がある、と?」

部長「勿論だ」

まゆP「部長、なんでいきなりそんな話になったんです?」


部長「これは、重役会議で決まった事だからね」


武内P・まゆP「重役会議で……?」

部長「だから君達には、心肺蘇生法を習得して貰う」

部長「まさかとは思うが、異論はあるまいね?」

武内P「何故、その様な決定が?」

まゆP「プロデューサーの業務とは、ちょいとばかし違うんじゃないですか?」

部長「……ふむ」


部長「では、説明しよう」


武内P・まゆP「はい」

部長「芸能界は、波乱に満ちている」

部長「アイドル達が、いつ何時、その波に飲まれてもおかしくはない」

部長「……そして、呼吸を止めてしまう事も有り得る」

部長「そんな時に、我々には何が出来る?」

部長「……そう」


部長「――心肺蘇生法だ」


武内P・まゆP「……」

まゆP「……いやいやいや、えっ? はい?」

まゆP「やだなぁ、部長! 本題の前の小粋なジョークですか?」

武内P「ですが……心肺蘇生法というのは、ですね」

武内P「人工呼吸も、含まれるのでは?」

まゆP「おいおい、乗るな乗るな! 話が長くなっちゃうでしょうが!」


部長「――ああ、その通りだ」


武内P「っ……しかし、それは……!」


まゆP「……」

まゆP「えっ?」

まゆP「おい、待てって。何、ちょっと、ええっ?」

まゆP「どうして普通に話が進んじゃってるわけ?」

まゆP「お前、アレだよ? 上司の冗談に付き合いすぎるのも考えものだよ?」

まゆP「付き合うなら、専務のポエムだけにしとけってマジで」


部長「――別室に、研修用の人形がある」

部長「……着いてきたまえ」


武内P「……!」

武内P「……わかり、ました」


まゆP「ちょっとォォォォォ!?」

まゆP「……わかり、ました」

まゆP「じゃねえだろ! 何がわかったってんだよ、ええ!?」

  ・  ・  ・

部長「――あれが、今回用意した人形だ」

武内P・まゆP「……」


蘭子「……」

まゆ「……」


まゆP「……部長?」

武内P「あの……」


部長「あれが! 今回用意した! 人形だ!」


武内P・まゆP「……!?」

武内P「待ってください!」

まゆP「そうですよ! あんなん、どう見たって!」

武内P「研修用の人形に、どれだけの予算を!?」

まゆP「そうじゃねえだろ!? よく見てみろよ、アレをよぉ!」


蘭子「……」

まゆ「……」


武内P「……良い、出来です」

まゆP「何言ってんの!?」

まゆP「どっからどう見ても本物だろうが!」

まゆP「何だお前、スタドリでもキメてんのか!?」

まゆP「部長! こりゃ、一体どういう事ですか!?」

部長「私にも、家族が居る……わかるね?」

まゆP「わかるかーい! 何、家族を人質にでも取られてるですか!?」

まゆP「……おい、何しれっと寝転がってんだ!」

まゆP「オイ、お前らも何か言え!」


蘭子「……う、うーん……うーん……!」

まゆ「苦しーい……死にそうですぅ……!」


武内P「っ!? 喋る機能まで!?」

まゆP「ぶっとばすぞ!?」

部長「人工呼吸のやり方は、わかるね?」

武内P「それは……はい、知識だけですが」

まゆP「部長、洒落になりませんよ!?」

まゆP「アイドルと、プロデューサーですよ!?」

部長「君は、何を言っているのかね?」


部長「人間と、人形だよ」

部長「……そういう訳だから、なっ?」


武内P「はあ……?」

まゆP「お前、今度何かあっても絶対助けねえからな」

部長「まずは、気道確保だ」

部長「額に手を当て、反対の手の人差し指と中指を下顎に」

部長「下顎を引き上げるようにし、頭部を後方に傾けなさい」


武内P「――こう、ですか」

クイッ

蘭子「ふぁ……あ、顎クイ……!///」ボソッ!


まゆP「こうですね」

ガシィッ!

まゆ「!?……!……!」ジタバタ!


部長「君! アイアンクローは!」

部長「女の子……の、人形にアイアンクローはやめなさい!」

部長「きっ、気道の確保は出来たね!?」


武内P「はい」

蘭子「……///」ドキドキ!


まゆP「うい~す」

まゆ「っ……!っ……!」ジンジン!


部長「頼むよ? 良いね? 本当に、頼むよ?」

部長「君達のとった行動が、一つの命を救うんだ」

部長「その事を理解して……くれるね? くれるよね?」


武内P「はい、勿論です」

まゆP「そりゃまた、一体誰の命なんすかねぇ~?」

部長「そうしたら、鼻をつまんで、空気が漏れないようにする」


武内P「わかりました」

きゅむ

蘭子「んむっ!///」


まゆP「部長、質問があります」

まゆP「空気が漏れないようにするだけで良いんですよね?」

まゆP「なら、鼻の穴に指を突っ込んでも問題ないですよね?」


まゆ「!?」


部長「!?」


武内P「!? 今、鼻をつまんだ時に、声が!」


まゆP「お前ちょっと黙っててくんない!?」

武内P「……この人形は、まさか本物では!?」

武内P「神崎さんに似せて作られた、精巧な人形ではなく……」

武内P「本物の、神崎さんでは!?」

まゆP「よっし! この流れ! この流れだよ!」

まゆP「良いよー! 大事にしていこう、はい、もう一本!」


蘭子「我は、堕天使の魂を宿す人形」

蘭子「真なる姿、力の解放には未だ至っていない」

蘭子「偽りのこの身なれど、我は求める」

蘭子「命の錬成、蘇りの秘法を!」


武内P「っ!?……本当に、良い出来ですね」

まゆP「俺の話聞いてた!?」

まゆP「……ああもう! 部長!」

部長「何だね?」

まゆP「人工呼吸も大事ですけどね、あっちが先じゃないですか?」

武内P「あっち、とは?」

まゆP「そりゃお前、決まってんだろ。心肺蘇生法なめてんの?」

まゆP「人工呼吸の前にやる事っつったら、アレしかねえだろ」


まゆP「――心臓マッサージだよ」


蘭子・まゆ「……」

蘭子・まゆ「!?」

蘭子「そ、それは……///」ボソッ

まゆ「む、胸を……///」ボソッ

蘭子・まゆ「……!///」モジモジ!


武内P「……確かに、彼の言う通りです」

部長「う、うむ……まあ、そうだね」

まゆP「まあ、適切な心臓マッサージは……」

武内P「ええ」


武内P「肋骨を骨折する可能性もある、と」

武内P「……そう、聞いています」


蘭子・まゆ「……」

蘭子・まゆ「!?」

まゆP「だけど、命にゃあ代えられねえ……だろ?」

武内P「はい、その通りです」


武内P「肋骨が折れても、笑顔は出来ます」


蘭子・まゆ「……!?」

蘭子「……!……!」ソギャンコトイワレテモ!

まゆ「……!……!」ムリデスヨゥ!


部長「ま、待ちたまえ! 落ち着きなさい!」


まゆP「馬鹿野郎、人形が相手なんだ」

まゆP「むしろ、折ってやる、位じゃねえと練習にならねえさ」


蘭子・まゆ「……!?」

武内P「確か……胸が、最低5センチは沈むように押す、と」


蘭子・まゆ「……」

蘭子・まゆ「ごっ……!?」


まゆP「一分間で、大体100~120回のテンポだってな」

武内P「では、練習ですので120回にしましょう」


蘭子「……!……!」ムリッチャモン! ムリ!

まゆ「……!……!」シンジャイマス!


部長「……」

部長「確実性を上げるため、10センチで200回いっておこうか」


蘭子・まゆ「!?」

部長「私にも家族がある……わかるね?」

武内P「はあ……?」

まゆP「わかります」


蘭子・まゆ「……!?」

蘭子・まゆ(こ、殺される……!?)


武内P「――それでは」

まゆP「――やるか」

部長「少し、懲らしめてやりなさい」


蘭子・まゆ「……!」

蘭子・まゆ「あっ……あっ……!?」


武内P・まゆP「……」

カツン、カツン…


蘭子・まゆ「あっ……!」

蘭子・まゆ「――ふうっ」

…カクンッ

蘭子・まゆ「」


武内P「気を失った……ようですね」

まゆP「……何でえ、やっぱり気付いてたんじゃねえか」

部長「これで、今回は一見落着かな」

武内P「いえ、ですが……」

まゆP「このまま、放っておくわけにもいきませんから」


武内P・まゆP「心肺蘇生法の、最初の手順」

武内P「反応があるか――」

まゆP「――確認しないと」


蘭子・まゆ「」


武内P「――神崎さん! 神崎さん!」

まゆP「――起きろ! おーい!」


蘭子・まゆ「……」

蘭子・まゆ「っ!? こ……殺さないで!」



おわり

>>891
書きます


武内P「Googleレンズ、ですか」

未央「そうそう! 起動して、対象に向けてから――」


藍子「えっ、私?」


未央「――画面をタップ!」


『高森藍子』


未央「おー! あーちゃんは、名前が出るね!」

武内P「……はあ」


藍子「ふふっ、なんだかちょっと嬉しいかも」ニコッ!

武内P「それが、一体……?」

未央「えっ、凄くない?」

未央「画面を更にタップすると、詳細情報が――」


サイズ:74
カップ:AAA
感度:B
形:B
柔らかさ:D
色:B
成長性:E


武内P・未央「!?」


藍子「えっ、何々? どうしたの?」

武内P「ほっ……本田さん……?」

未央「違う違う! 変な仕込みなんてしてないって!」

武内P「で、ですが……!?」

未央「待ってよ、これ……ちょっと……!」


藍子「? どんな情報が出たの?」


武内P・未央「……」

武内P・未央「何も!?」

未央「ぷっ、プロフィール! プロフィールだよ!」

武内P「はっ、はい! 公式サイトの、プロフィール画面が!」

未央「えっ!? 公式なの!?」

武内P「違います、本田さん!」

未央「……あっ、そういう事ね!? うん、公式だね!?」


藍子「そういえば、公式にどんな事書いてたっけ」


武内P・未央「……!?」

藍子「ちょっと、私も見せて貰って良い?」


武内P・未央「……」


サイズ:74
カップ:AAA
感度:B
形:B
柔らかさ:D
色:B
成長性:E


武内P「いえ! その必要は、無いと思います!」

未央「うんうん! うん! 見るまでも無いって!」


藍子「……?」

藍子「なんだか、二人共様子が……」


未央「ちょっと待って! これから、大事な打ち合わせが!」

武内P「申し訳ありません! すぐに、済みますので!」


藍子「は……はい」


未央「……まずいよまずいよまずいってぇ!」ボソボソ!

武内P「何故……何故、あんな情報が……!?」ボソボソ!

未央「他の項目は兎も角! 最後!」ボソボソ!

武内P「『成長性:E』……つまり、完成しているという事……!」ボソボソ!


藍子「……?」

武内P「――すみません!」

武内P「確認のための資料を取りに行ってきます!」

未央「――あっ、私も行くよ!」

未央「歩きながらでも、打ち合わせは出来るしね!」


藍子「あっ、それじゃあ私も――」


武内P・未央「行ってきます!」

ガチャッ! バタンッ!


藍子「い……行ってらっしゃい……?」

  ・  ・  ・

未央「――どうしよう!? ねえ、プロデューサー!」

武内P「本田さん! まずは、冷静に!」

未央「『成長性:E』って……あんまりすぎるよ!」

武内P「待ってください!」


武内P「情報が、間違っている可能性も!」


未央「!」

未央「確かに!」

未央「ちょっ、ちょっと! ちょっと試しに!」

武内P「ほ、本田さん?」

未央「私を画面に入れて、タップして……タップ!」


サイズ:84
カップ:D
感度:C
形:A
柔らかさ:D
色:B
成長性:A


武内P・未央「……」


未央「どう反応したら良いかわかんないよ!」

武内P「私に……私に言われても!」

未央「上2つは良いよ、合ってるもん!」

未央「カップは、メーカーによる!」

未央「でも、『感度:C』と『柔らかさ:D』って何!?」


武内P「私に……私に聞かれても!」


未央「あっ! 張り!? 張りがあるってこと!?」

未央「それに、『成長性:A』だから……感度も上がるってこと!?」


武内P「本田さん、待ってください!」

武内P「私に聞かれても! 赤裸々に、言われましても!」

  ・  ・  ・

武内P「……落ち着かれましたか?」

未央「…………すみませんでした///」

武内P「いえ、お気になさらず……」

未央「とっとと、とにかく!/// 当たってるっぽくない!?///」

武内P「いえ……それは、まだ判断するには早いかと」


未央「『形:A』の『成長性:A』だよ?」

未央「当たってた方が……嬉しいんだけど」


武内P「……」

武内P「いえ、まだ本田さんと高森さんだけしか……」

未央「他に、もっと誰か……」



部長「~♪」



未央「……あっ、部長さんだ」

未央「――てりゃっ」

武内P「!?」

武内P「あの……本田さん!?」

未央「まあまあ! まあまあ!」

武内P「……!?」

未央「試しに! 試しに、ねっ?」

武内P「いえ、ですが……!」

未央「どれどれ~?」


サイズ:90
カップ:AA
感度:A
形:A
柔らかさ:C
色:A
成長性:E


未央「何か凄いんだけど!?」

武内P「待ってください!」

武内P「その、不要な情報を……待ってください!」

未央「『柔らかさ:C』なのは、男の人だから良いよ!?」

未央「でも、見て! ほらココ! プロデューサー!」

武内P「結構ですから! あの、本当に!」

未央「『色:A』って、どういう事!? 乳首ピンクって事!?」

未央「感度も形もAだし!」

未央「ねえ! 私のおっぱい、なんか負けてない!?」

武内P「お願いします! 聞かせないでください!」

未央「色……色って、どうすれば良い!?」

未央「成長したら……下がったりしない!?」

武内P「本田さん、落ち着いてください!」

未央「……あっ、ご……ごめん」

武内P「……」

未央「でも……これ、当たってるっぽいよね」



藍子「何が当たってるの?」



武内P・未央「!?」

未央「あ……あーちゃん……!?」

武内P「ど……どうして、此処に……!?」


藍子「戻ってこないから、探しに来たんです」ニコッ!


武内P・未央「……!」ホッ

未央「さっきの話、聞かれて……」ヒソヒソ

武内P「……いなかったようですね」ヒソヒソ


藍子「未央ちゃんのおっぱい、負けてるの?」ニコ~ッ


武内P・未央「!?」

武内P「そ……それは、ですね!?」

未央「上には上が居るなー、ってだけの話でね!?」

藍子「うん、そうだよね♪」


藍子「Googleレンズで、詳細が表示されるもんね?」


武内P・未央「……」


藍子「……」


武内P・未央・藍子「……」

武内P「ですが……正確でない可能性も、十分にあります」

未央「うっ、うん! 気にすること無いって!」


藍子「……」

スッ…


サイズ:74
カップ:AAA
感度:B
形:B
柔らかさ:D
色:B
成長性:E


藍子「うふふっ、私……気にしてるなんて言ってないよ?」ニコ~ッ


武内P・未央「……」

藍子「『成長性:E』だって、うふふっ♪」ニコ~ッ


未央「な、何か……何かフォローを!」

武内P「い……良い、笑顔です」

未央「そうかなぁ!?」


藍子「――成長したら、Eカップになるかも知れないって事よね?」

藍子「だったら、ちょっと位硬くても……ふふふふっ!」ニコニコッ!


武内P・未央「!」

  ・  ・  ・

未央「――いやー! 本当、どうなる事かと!」

武内P「あの表示も、されなくなりましたね」

未央「……本当、何だったんだろうね」

未央「今、こうやってプロデューサーをやってみてもさ」


武内P「……」


未央「おっぱいの詳細は表示――」

未央「――されて……無い……け、ど……」


武内P「……本田さん?」


未央「……あぅあ///」


武内P「あ、あのっ、本田さん!?」

武内P「今度は、何が表示されているのですか!?」




おわり


「……」


 皆の――アイドルの子達の私物が置かれていた、この部屋。
 シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルーム――だった場所。
 今では、もうすっかり片付けがされていて、机やソファーには白いシートが。
 ついこの間まで、此処には笑顔が溢れていたのが、まるで嘘のみたい。


「……」


 けれど、それは本当のこと。
 シンデレラの――夢のような物語。
 女の子達は、お姫様になり、そして……羽ばたいて行った。
 それがとっても嬉しくて、ほんのちょっぴりだけ、寂しい。


「……」


 壁にかけられたホワイトボードは、そのまま残してあった。
 それには、一緒に歩んできた事への感謝。
 そして、未来への想いが、カラフルに、個性的に綴られている。
 名前が書かれていなくても、誰が書いたかわかっちゃう程に、ね。


「……っとと、いけないいけない」


 思い出に浸っている暇は無い。
 だって、思い出話ばっかりしてたら、すぐに時間が過ぎちゃいますから。
 私達は、これからも見守っていくんですもの。
 成長していく、アイドルの子達の姿を。


「……」


 半分地下の、専務――あの時は常務だった――に言われて移動になった、この部屋。
 上階の、設備も新しく、綺麗だった最初のルームと比べると、やっぱりグレードは落ちる。
 でも、私はこの部屋が気に入っていた。
 だって、この部屋はプロデューサーさん専用のルームが無いから。


「……」


 電気を消して、ドアノブに手をかけながら、もう一度部屋を見渡す。
 薄暗く、陽の光もあまり差し込まない、追いやられた場所。
 私だって、最初はムッとしましたよ?
 ダンボールに入った資料も散乱してて、ひどい有様だったんですから!


「……」


 それをプロジェクトの皆で片付けて、掃除して。
 めげずに、前向きに。
 トラブルもあったけど、一丸となって乗り越え、やり遂げた。


 プロデューサーさんとメンバーの14人は。
 シンデレラプロジェクトを成功させたのだ。


「……」


 ドアを閉め、鍵をかけた。

  ・  ・  ・

「――千川さん」


 廊下を歩いて居ると、前から、よく知った人が。
 背が高くて、声が低くて、真面目で。
 無表情……とは言わないまでも、感情をあまり表に出さなくて。
 不器用だったのが、ほんの少しだけ器用になった、


「プロデューサーさん」


 元、シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさん。
 アイドルのプロデュースは続けているから、
こう呼ぶのは、別に不自然な事じゃない。
 それに、今更名前で呼ぶのも、気恥ずかしいものがある。


「あの部屋、少し掃除すれば大丈夫ですよ」


 ニコリと笑いかけながら、確認してきた事を報告する。
 それを聞いて、プロデューサーさんは右手を首筋にやった。
 ほんの少しだけ下がった眉尻と、ほんの少しだけ上がった口角。
 この人の笑顔は、とても優しい。


「そう……ですか」


 その様子が、おかしくって。
 込み上がってくる笑いを左の手の平で隠しつつ、
右の手を上げ、人差し指をピンと立てて、


「ふふっ、先回りです♪」


 してやったり、という表情でプロデューサーさんの顔を見上げた。
 本当の所は、偶然なんですけどね。
 それでも、先んじて行動出来たという事は、喜ばしい。
 だって、アシスタントとして優秀に感じるでしょう?


「一緒に確認を……と」


 そう、思っていたのですが……なんて。
 プロデューサーさんは、右手を首筋にやったまま、言った。
 この人の中では、そういう予定でいたらしい。


 ……もう、それならそうと、先に言っておいてください。


「……」


 プロデューサーさんにクルリと背を向ける。
 そのまま、努めて冷静な口調で、言う。


「ほらっ、行きましょう、プロデューサーさんっ」


 ……つもりだったのに、声が少し跳ねてしまった。
 今の私の表情と心情が、伝わってしまったかと思う程度には。

  ・  ・  ・

「……それで、どちらにするつもりですか?」


 346プロダクションの敷地内にあるカフェの端のテーブル。
 正面に座るプロデューサーさんに、質問を投げかけた。
 どちら、というのは、ルームの事。


 シンデレラプロジェクトの――二期。


 その、二期生のためのプロジェクトルームをどこにするかの選択肢。


「正直、迷っています」


 あまりにも素直なその答えに、少し意表をつかれた。
 前までなら、「迷っている」とは言わず、「検討中」と答えていたから。
 驚きが顔に出てしまったのか、プロデューサーさんと目が合い、止まる。
 そして、数秒間の沈黙の後、



「千川さんは、どちらが良いと思いますか?」



 私に、意見を求めてきた。
 これまでも、事務的な事で意見を求められる場面は、何度もあった。
 けれど、今回の質問は……かなり、重要なもの。


 一年間に渡るプロジェクトの活動場所。


 それをどこで過ごしたいか、聞かれている。


「えっ、と……」


 さすがに、言い淀んだ。
 私は、あくまでもアシスタントだ。
 プロデューサーさんのお仕事をサポートするのが役割であり、
私の意見が直接アイドルの子達に関わってくるとなると、範疇を越えている。


「あくまでも、参考までに……ですので」


 なんて言ってるけど、わかってしまう。
 この人は、私の意見を重要視する……してくれる。


「……」


 だから、考える。
 考えて、考えて、考えて、考えて――結果、



「上階の、一期生の子達が、最初に使っていたルームです」



 そう、答えた。


「……」


 ほんの少しだけ渇いた喉を潤すため、紅茶を一口。
 音を立てないよう、カップをソーサーにそっと置いた。
 紅茶はあまり詳しくないけれど、ここの紅茶は美味しい。
 今後のために、少し勉強してみようかしら。


「私、あのルームも好きなんですけど」


 一拍置き、


「でも、二期生の子達がそう思ってくれるかは……」


 正直、自信がない。
 過ぎ去った時間は、記憶を美化してしまう。
 思い出があるから、あそこは、かけがえの無い場所に感じられるのだ。
 だけど、やっぱり、


「客観的に見たら、広くて綺麗な方が良いんじゃないかな、って」


 ルームを主に使用するのは、二期生の子達。
 私の――私達の思いは、関係が無い。
 だったら、より良い環境を提供するのが、望ましい。
 346プロは――大手プロダクションなんだから。


「……」


 それに、本人には言えないですけど……プロデューサーさん、顔、怖いですから。
 プロジェクト始動時の親密度が低い状態だと、
アイドルの子達もきっと萎縮しちゃうと思うんですよね。
 勿論、私はそんな事ありませんけど。


「ありがとうございます。大変、参考になりました」


 ……ほら、やっぱり!
 気軽に答えちゃ、駄目な質問だったじゃないですか!


「はい、それなら良かったです」


 多分だけど、プロデューサーさんも私と同じ結論だったんだと思うんです。
 それを決定事項と判断するだけの材料が足りなかったんですよね?
 だから、私に――アシスタントに、意見を求めた。
 ですよね、プロデューサーさん?


「ええ、貴女の意見は重要ですから」


 ――アイドルの方達は女性なので、貴女の考えも聞きたかった。
 ――それに、これからも一緒に成長を見守っていくのだから。
 ――私一人で決めるのは、正しいとは思えなかった。


「……」


 ……なんて、そんな事を真剣にプロデューサーさんは語り出した。
 ピカピカに磨かれたカフェの窓ガラスには、
思わず頬を赤く染めた、アシスタントらしからぬ笑顔が映っていた。



 この時の会話があらぬ誤解を招き、その日の午後は仕事にならなかった。
 魔法使いさんも、誤解を解く魔法は使えないらしい。



おわり

正直ジョジョとのクロスを見てみたいような気もする
チープトリックとかしたしぶりん

>>962
書きます


凛「ちゃんと見ててよ」

凛「ねっ!」

ガシィ!

武内P「しっ……渋谷さんッ!?」


凛「目を離したら、承知しないから」

凛「ねっ!」

ガシィ!


武内P「待ってくださいッ!」

武内P「背中にしがみつきながら言われてもッ!?」

凛「ふ――~~んんん~~ッ?」

凛「私が、背中にしがみついちゃあ駄目って事?」

ガシィ!

武内P「その通りですッ!」

凛「……それじゃあさ」


凛「おんぶして」

凛「ねっ!」

ガシィ!


武内P「駄目に決まってるじゃあないですかッ!?」

武内P「渋谷さんッ! 何かあったのでしょうか!?」

凛「何か? 何かって、何?」

凛「何か無かったら、しがみついちゃあ駄目って事?」

武内P「きっと、何か理由がある筈ですッ!」


凛「……無い、って言ったら?」


…ドド…


武内P「……えっ?」


ドドドド


凛「特に理由が無いって言ったら……どうする?」


ドドドドドドドドドド


武内P「……今……今、何と……!?」

凛「……」

ガシィ!

武内P「そんな……そんな馬鹿なッ!?」

武内P「正直に、理由を仰ってくださいッ!」

凛「それじゃあさ……代わりに――」


凛「おんぶして」

凛「ねっ!」

ガシィ!


武内P「理由を話す代わりに、おんぶ……!?」

武内P(渋谷さんは、何を仰っているのだ……!?)

武内P(どう考えても、交換条件としてはこちらが不利!)

武内P(……だと言うのに……!)


凛「ねっ!」

ガシィ!


武内P(まるで、平等であるかのように平然としているッ!)

武内P(むしろ、譲ってあげてるじゃあないのと言わんばかりにだッ!)

武内P「わ……わかりました……!」

凛「何がわかったって?」

武内P「おんぶ……させていただきます……!」

凛「ふ――~~ううううん?」

ガシィ!


凛「言っておくけど、私を騙そうとしたら承知しないから」

凛「そうだね……もしも、おんぶせずに逃げたら――」


武内P「に……逃げたら……!?」


凛「プロデューサーの名前を呼びながら、全裸でジョギングする」

ズギャァァァンン!


武内P「……!?」

武内P(し……渋谷さんは、本当にやるッ!)

武内P(恥も外聞も……未来さえも賭けている凄みがあるッ!)

凛「良い……?」

凛「優しく、花を慈しむようにおんぶして」

凛「ねっ!」

ガシィ!

武内P「は……はい……!」


凛「――行くよ」

凛「蒼い風が、駆け抜けるようにッ!」

ピョインッ!


武内P「……!」


凛「ふうううウウウンンン!」

シャカシャカシャカ!

……ストンッ

凛「手ッ!! 手で足を掴まないと、おんぶにならないでしょォォォォ!?」


武内P「すみません! すみません、渋谷さんッ!」

凛「ふざけないでよッ!?」

凛「アンタ、おんぶって知らないの!? ねえッ!?」

凛「おんぶって言うのは!」

凛「アンタの手が、私の足を掴むのッ! わかるッ!?」

凛「こう、ガシィッと! ガシィッとさああ~~~ッ!?」

ガシィ!

武内P「は……花を慈しむようにと言われたので……!」

武内P「か……勝手がわからず……すみませんッ!」


凛「良い!? ちゃんとおんぶして」

凛「ねっ!」

ガシィ!


武内P「は……はい……!」

凛「――行くよッ!」

凛「蒼い風が、駆け抜けるようにッ!」

ピョインッ!


武内P「くっ……!」

ガシィッ!


凛「! やったッ! おんぶッ!!」

ガシィ!

凛「目を離したら、承知しないから」

凛「ねっ!」

ガシィィ!


武内P「っ……!」

武内P「……し……渋谷さんッ!」

武内P「これで、理由を教えて頂けるのですよね……!?」

凛「ンンン~~ッ! プロデューサー?」

凛「プロデュゥゥゥサァァァ――~~ッ?」

武内P「なッ……何でしょうか……!?」


凛「おんぶをしたらさあ~~」

凛「……おぶっている相手に対してッ!」

凛「優しい言葉ってものをかけるべきじゃあないのッ!?」


武内P「やっ……優しい言葉ッ!?」

武内P(む……無理矢理! 無理矢理に、おんぶさせておいてッ!?)

武内P(そんな相手に、優しい言葉をかけろとッ!?)

武内P「そ……そう、言われましても……!」

凛「優しい言葉ッ! あるでしょーッ!」

凛「アンタッ! 私のプロデューサーでしょ――ッ!?」

武内P「くっ…………い、良い!」


武内P「良い、笑顔ですッ!」


凛「……」

シィ――ン


武内P「なっ……!?」

武内P(今のでは駄目だとッ!?)

武内P(その沈黙は! 何もおっしゃらないと言う事は!)

武内P(納得していただけないと言う事ですかッ!?)

コンコンッ!


武内P「!」

武内P「し……渋谷さんッ」ボソボソッ

武内P「誰か来たようですので、降りてくださいッ」ボソボソッ


凛「……どうして?」

ガシィ!


…ゴゴ…


武内P「えっ?」


ゴゴゴゴ


凛「私、まだ優しい言葉をかけて貰ってない」

凛「なのに……どうして降りなくちゃあいけないの?」

ガシィッ!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


武内P「……!?」

武内P「待ってくださいッ! 渋谷さんッ!」ボソボソッ

凛「ホラ、優しい言葉をかけてよ」

凛「ねっ!」

ガシィ!

武内P「そんな事を言っている場合では……!」ボソボソッ!



「あれェ~~? 誰も居ないのかなァ~~ッ?」

「プロデューサーさんは、此処に居るって話だったじゃあないですか」

「そうだよね、しまむー。おっかしいな~~ッ?」

ガチャガチャッ!

「……鍵がかかってますね」


武内P「……!」

武内P(早くッ!)

武内P(渋谷さんが降りるのでも! お二人が諦めるのでも!)

武内P(どちらでも良いッ! 早く、そのどちらかになってくれッ!)

武内P「……!」

凛「優しい言葉をかけてよ」

凛「ねっ!」

ガシィ!


「ふっふっふ……どジャアアぁぁぁ~~ン!」

「あっ、鍵! 未央ちゃん、鍵を持ってきたんですねッ!」

「しまむーと会う前にさ~~ちひろさんとも会ってたんだよね~~」

カチャカチャッ


武内P「!?」

武内P(な……何てことだッ!)

武内P(このままではマズイ! マズすぎるッ!)

武内P(この、おんぶした状態をお二人に見られてしまうッ!)


カチャッ


武内P「……!」

ガチャッ!


未央「オッハヨーございまァ~~すッ!」

卯月「プロデューサーさん、おはようございますッ♪」


武内P「――本田さん、島村さん」

武内P「おはよう、ございます」


未央「……なァ~んだ! 居たんじゃん!」

卯月「私達の話し声、聞こえませんでしたか?」


武内P「すみません」

武内P「先程まで、音楽データの確認をしていたので……」


未央・卯月「……成る程ォ~~!」


武内P「……」

未央「それだったら、声が聞こえなくてもしょうがないよねェ~~」

卯月「プロデューサーさん、お仕事お疲れ様ですッ♪」


武内P「ありがとうございます」

武内P(……危なかった)

武内P(本田さんと島村さんに気付かれる所だった)

武内P(……だがッ!)


武内P・凛「……」

バ――ン!


武内P(スーツの上着の二着目!)

武内P(渋谷さんの上から、それを更に着用する事で!)

武内P(乗り越えたッ! 二人羽織でッ!!)

武内P・凛「……」

武内P(幸い、渋谷さんも静かにしている……)

武内P(さすがに、お二人に知られるのは恥ずかしいのだろう)

武内P(だが……このままで居ればバレるのは時間の問題……!)

武内P(……何とか、この部屋を脱出しなくてはッ!)


武内P「……すみません」

武内P「少しだけ、席を外します」


卯月「はいっ、わかりました」

未央「行ってらっしゃ~~い」


武内P・凛「……」

武内P(背中を見られないよう……慎重に……!)

武内P(違和感を与えず、自然に移動しなければ……!)

武内P・凛「……」


未央「ところでさァ――ッ!」


武内P「!?」

武内P「ど……どうか……されましたか?」


未央「……何が言いたいか、わかってるんじゃあないの?」


…ズズ


武内P「な……何のこと、でしょうか……?」


未央「言ってたんだよねェ~~『先に行ってる』ってさァ~~ッ」


…ズズ…ズズズ…!


未央「来てるハズなんだよ……しぶりんが」


ズズズズズズズズズズ…!


武内P「……!」

卯月「……プロデューサーさん」


武内P「し……島村さん……!?」


卯月「今日の歩き方……おかしいんじゃあありませんか?」

卯月「その歩き方……まるで……」


卯月「背中を見られたくない」


卯月「……そんな、強い意志を感じますよ」


ズギャァァァン!


武内P「……!」

武内P(う……疑われている……いや、確信を持っているッ!)

武内P(本田さんと島村さんは……!)

武内P(私の背中に、渋谷さんが居ると確信を持っているッ!)

武内P「い……いえ……そんな事は、決して……!」

凛「……」

ガシィッ!


未央・卯月「……」ジィ~ッ


武内P「……!」

ドクン…ドクン…ドクン…


未央「……まっ! どこか寄り道でもしてるのかもねッ!」

卯月「はい♪ きっと、そうに違いありませんッ!」


武内P「……え、ええ……そうですね」

ドクン…ドクン…ドクン…


未央「うんうん! そう言えばさァ~~、プロデューサァ~~」

卯月「……今日は、困ってても右手を首筋にやらないんですね?」


武内P「!」

ドクンッ!!

未央「まるでさァ~~、右手を使えないみたいだよねェ~~ッ?」

卯月「あのクセ、やめちゃったんですか? プロデューサーさん?」


武内P「……!」

武内P(し……しまったッ!)

武内P(右手は、渋谷さんの足を掴んでいるッ!)

凛「……」


武内P「そ……それ、は……!」

武内P(一瞬だけ、手を離して首筋にやるか!?)

武内P(いいや! 渋谷さんの足がプラリとなってしまう可能性が高い!)

武内P(クッ……どうすれば!? どうすれば、誤魔化せるッ!?)


未央「ンンン~~ッ、プロデューサー?」ニコッ!

卯月「困ってるのは、否定しないんですね?」ニコッ!


武内P「!?」

未央「……プロデューサー」

未央「隠し事って、良くないんじゃあないかな?」


武内P「か……隠し事とは……!?」


卯月「……プロデューサーさん」

卯月「おんぶ……してるんじゃあないですか?」


武内P「お……おんぶ、ですか……!?」

武内P(このままでは……このままではッ!)


未央「見えてるんだよおォォォ~~ッ!! 首元にッ、手がッ!!」

卯月「肩の所もッ!! 不自然に盛り上がってますもんッ!!」


武内P「……」

武内P「はい」

  ・  ・  ・

未央・卯月「せ~~のォ~~ッ!」

…コチョコチョコチョコチョコチョッ!

凛「ふうっ、うっ、うっくくくふふふふっ!」

凛「やめっ! 本当、無理ッ! あはは無理無理無理無理ッ!」

パッ!


武内P「! やっと……やっと、離れて頂けたッ!」


ガシィ!


武内P「なっ!? まだ、諦めないと!?」


卯月「次は私をおんぶしてください」


武内P「……えっ?」

卯月「ねっ!」

ガシィ!

武内P「……!?」

武内P「な、何故ッ!? どうしてそうなるのですかッ!?」


未央「しぶりんだけをおんぶってのはさあ……」

未央「……贔屓、だよね?」

未央「贔屓は……良くないんじゃあない?」

未央「未央ちゃん的にはさあ、メチャ許せないんだよねェ~~」


卯月「……だから」

卯月「おんぶしてください」

卯月「ねっ!」

ガシィ!


武内P「……!」

卯月「――島村卯月」

卯月「頑張りますッ♪」

ピョインッ!


武内P「……」


卯月「頑張りッ、頑張ッ、頑張り頑頑頑張りッ!」

シャカシャカシャカシャカッ!

武内P「……」

ガシィッ!

卯月「! やりましたッ! おんぶですッ♪」


未央「やったね、しまむ――ッ!」


武内P「……」

武内P「確かに……贔屓はよくありませんね」

卯月「はいッ♪」

ガシィ!


未央「次は、私をおんぶしてよ」

未央「ねっ!」


武内P「ええ……ですが、どうしたものでしょうか……」


未央「しぶりん、スタンドプレーは良くないよッ!」

凛「……まあ……確かにそうだね、ごめん」


武内P「皆さんの、奇妙な行動に巻き込まれる」

武内P「私は、そういう運命なのだ、と」

武内P「……そう、思うようになってきました」


武内P「徐々に、ですが」



おわり

こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
残り少ないので、サクッと埋めます


次スレ

武内P「また、捕まってしまいました」
武内P「また、捕まってしまいました」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509362547/)

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