女「ここにカボチャがあるじゃろ?」(11)

女「でもって、ここにゆであずき缶詰があるじゃろ?」

男「……まて、その組合せは」

女「こうじゃ!」グツグツ

男「どうみても冬至です12月イベントの地味な方のヤツです!!」

女「柚子もあるでよ!」ジャーン!

男「あーもー年賀状出さなきゃな気分になってきた」

女「お、えらいなー。年賀状ちゃんと出すんだ?」ユズヲヨクアライマシテ

男「面倒くさいけど一応」ライネンハイヌドシダネ

女「確かに作るのは面倒だよねー、貰うのは楽しみなんだけど」ユズカワムキマシテ

男「年賀状受け取る前に顔会わせそうな奴とかもいるじゃん、顔合わせるんだから年賀状なんかいらないんじゃないかとか……ん?いい匂い?」クンクン

女「柚子の皮千切りにしてまーす」トトトトトトトトトト

男「あー、いいなあ。でもこれどうすんの?」

女「最低一度は茹でるの。このままだとちょっとエグみがあるからねー」オナベヨウイシマシテ

男「へぇ、そうなんだ?」

女「お吸い物の吸い口なんかで、
皮だけ薄く削いでるの食べると案外苦味あるでしょ」オミズヒタヒタ

男「……すまん、そんなお上品そうなもんご縁がないんだが……」

女「なんと!……では一週間後にもう一度きてください、本物のお吸い物を」キリッ

男「時事ネタは風化するんだぞ」マガオ

女「とか言ってるうちに柚子の皮茹だらさったね」ユキリシマス、ダバァー

男「……ゆだらさった?」

女「うん、茹だらさったよ?」シンナリ

男「女……ゴミは?」

女「なげる」ドウシタキュウニ

男「手袋を」

女「はく?」

男「僕サッカーで」

女「優勝したよ!」

男「お前道民か」

女「」Σ(゚д゚)

女「いやまあ、別に要らない情報なのかなあと思ってさあ。今まで出身地の話とかあまり出なかったしさあ」エヘヘ

男「いやまあ、気にしないけどさあ。たまにイントネーションが変わってるなあとは思ってたんだけどさあ」

女「えー、別に内地の人とそんなに変わりないじゃないさ。ふつう普通」ユズノカジュウシボリマシテ

男「えー、だいぶ違うぞ?」ア、マタイイニオイ

女「そっかなぁ?全然気にならないと思ってたけどなあ……」ユデタカワトカジュウヲナベニイレマシテ

男「まあ、方言萌えってのもあるらしいからいいんじゃないの?」

女「萌え……男は?」サトウモイレテヒニカケマスヨー

男「……ハイ?」

女「え?あ、いや、まあその……気にしない気にしない」アハハ

男「……萌える、かなぁ」

女「!」!

男「方言ってよりはその人の喋り方とか話の中味とか。そこに方言がふっと入ってくるのがいいかなあ……」チラッ

女「……えー、と……そ、そっか……」ドンナカオシタライイカワカラナイヨォ

男「そ。」

女「そ……。あー、えーっと………………。柚子を煮詰めてジャムにします!」

男「唐突な進行っぷりも嫌いじゃないw」

女「ところで例のカボチャとゆであずきですが」ホカァ

男「見事に炊けてますなあ……年末感がビンビンに伝わってきますが」

女「ええ、このままでは12月22日になってしまいます」

男「ああ、元旦着狙うなら25日までに投函しなければ……友達用とその他用のデザインどうするかなあ」ブツブツ

女「え、賀状のデザイン一々分けてたの?」

男「え、分けないの??」

女「無難なデザインで全員分作ってた……」

男「俺は分けるなあ。フォーマルなのだとどうも普段の自分と違う気になっちゃって」

女「そういう気遣いが伝わるからかなあ、男から貰う年賀状って何か嬉しいよねぇ」

男「そういわれちゃうと、なんか照れる……」

女「来年も期待しちゃうよ?」オイウチ!

男「お、おう……んじゃ女んとこには超大作送りつける!!」グッ

女「まあ私は全員おんなじデザインのでおくりますけどねー」カボチャデキタヨー

男「そこは特別扱いしてくれないのかw……で?いとこ煮どうすんの?」

女「んー、半分はこっちに取り分けて晩に家族に試食してもらって」

男「試食?」

女「冬至本番にはおいしいいとこ煮作りたいからねー。練習よ練習」シルワゼンブヨケルヨー

男「わ、わざわざ練習するほどのものなのかいとこ煮……」

女「考えてもみたまえよ。カボチャと小豆のいとこ煮なんて冬至以外にいつ食べるね?」

男「言われてみれば……」

女「でしょ?めったに食べないってことはめったに作らないってこと。で、久しぶりに作ったものが美味しくなかったらがっかりでしょ」

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