城ヶ崎美嘉「本番開始前、駄弁り場」 (13)

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P「それでは皆さん。本日のステージもどうぞよろしくお願いします」

美嘉「任せといてよプロデューサー。ドーンと大船に乗った気でいなってば!」

P「ありがとうございます。城ヶ崎さんはいつも頼もしく……助かりますね」

P「出番が近づけば呼びに来ますので、自分はこれからスタッフとの打ち合わせに――」

美嘉「うん、行ってらっしゃい! そっちも頑張ってね」

P「では、後ほど」


美嘉「じゃーね★」

ガチャ、バタン。スタスタスタ……。

美嘉「……さてと!」

美嘉「それじゃあみんな、今日のライブもプロデューサーの期待に応えられるよう頑張ろう!!」

奏「うふ」

志希「にゃは♪」

周子「はっは~ん?」

フレデリカ「トレビアーン?」


美嘉「――って、み、みんなして何なのその顔はさ」

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周子「何だかんだと訊かれれば――」

志希「見たぞ聞いたぞ冷やかすぞっ♪」

フレデリカ「まるで新婚みたいな美嘉ちゃんに、乗ってらっしゃい見てらっしゃい!」

周子「お代は見てのお帰りねー♪」

美嘉「ちょ、ちょっと! 別にさっきのはそーゆーヤツじゃなくて!!」

奏「やれやれ、とんだ泥船じゃなければいいけれど」

美嘉「奏まで!!」

美嘉「だ、大体その泥船の横にはでっかくさ、"LiPPS"って文字があるんだけど――」


奏「そう、奥様は女子高生だったのです! ……なんてね」

美嘉「聞いて! アタシの話をさ!!」

フレデリカ「初々しいよね」

志希「初物だもん」

美嘉「はつっ!?」

周子「まぁまぁ皆まで言わないの。美嘉ちゃんは派手さの割に乙女なんだし傷ついちゃう」


フレデリカ「そうだそうだ、周子ちゃんの言う通りひげ剃りなんだし傷つけちゃう!」

志希「あっ、イチ抜けするのはズルくなーい?」

奏「それにひげ剃りじゃなくてカミソリでしょ?」

美嘉「……どっちも違う、カリスマだよ」

フレデリカ「やだもー、そんなの」

奏「分かってるわ」ニコッ

美嘉「知ってた! こうなることは知ってたのに……!」


周子「まっ、そんな恋愛大先輩の美嘉ちゃんをね、業界の後輩として私らは立ててかなきゃイカンと思うワケ」

フレデリカ「そうだね先輩、教えてよー」

奏「年上彼氏を物にする方法」

志希「私たち興味ありまくり~……にゃははっ♪」

美嘉「みんなね、そうやってバカにするけど変わんないぞ? アタシと芸歴、変わんないぞ!?」

美嘉「それにカリスマだって言うんなら、もう少し敬意を持ってよね!」


周子「そかそかそか」

フレデリカ「なるほど、つまり――」

志希「美嘉ちゃんは肩書き勝負を所望すると」

美嘉「いや別に、勝負を望んでるワケじゃなくて……」

志希「はいはいはーい! あたし海外留学飛び級生!」

奏「モデルにドラマに引っ張りだこの人気女優」

周子「実家は老舗の和菓子屋で、小さい頃から客商売♪」

フレデリカ「おまけに外国人とのハーフだよ?」

美嘉「待って、後半に行くほどズレてない?」

美嘉「てか、最後のヤツは完璧にタダの出自だし!」



奏「あらまぁ、美嘉ったらそれを言っちゃう?」

周子「あたしたちに聞いちゃう? 言わせちゃう?」

志希「しょーがないなー。それじゃ、フレちゃん先生お願いします」

フレデリカ「任されよう! ……美嘉ちゃんがデビューする前にモデルしてた。黙ってるだけで通行人が振り向く程の美貌持ちー♪」

奏「ホント、"黙ってられる"間だけね」

フレデリカ「なぁーにさー! 喋ってたって人目は惹くよ?」

周子「そりゃアンタが騒がしすぎるからだ」

志希「言えてるー♪」指差し

フレデリカ「冴えてるー♪」指差し返し

四人「Oh! LiPPSー♪」チャッチャッ♪(指鳴らし)


美嘉「言っとっけど、絶対流行んないからソレ!!」


フレデリカ「――さてと、美嘉ちゃん弄るのももう飽きたねー」

奏「一応、出番までは大人しく待機しましょうか」

美嘉「はぁっ!? あ、アタシのやり切れないこの気持ちは――」

周子「おっ、そういや志希ちゃん香水変えたー?」

志希「変えたー。流石鼻敏いねぇ」

美嘉(聞いてっ!)


奏「また志希のオリジナルブランドなの? この前貰った試作品、現場で好評だったわよ」

美嘉「……えー? 香水変わってる?」

フレデリカ「変わってるよねー。今日の香りはフンフンフフーン♪」

フレデリカ「ズバリ、シャルルとゴーギャンだーっ!!」

周子「知ってる! 画家の名前でしょ?」

志希「ついでに適当なんじゃにゃーい?」

フレデリカ「当ったりー! 奏ちゃん、みんなにキッスくばったげてー」

奏「もう、しょうがないわね。……ちゅっ♪」投げキッス

美嘉「なんでアタシに!?」」


美嘉「ってか、みんな香水の話は……」

フレデリカ「降水? 雨なんて降って無いよー」

奏「変わりに飴ならあるけどね。みんなものど飴食べるかしら?」

周子「食べるっ! いやー、今朝はなにも食べて無くてさぁ」

奏「……お腹は膨れないんじゃないかしら?」

美嘉(しかものど飴なんだよな~)

志希「そうそうそうだ。お腹が膨れるって言ったらさ、こんな話があるんだけど」


志希「便秘だとお腹が張るじゃない? これを上手いこと利用して胃袋の圧迫に使えればさ」

周子「もしかして……食欲が減る?」

フレデリカ「するとあれかな、体重が落ちる?」

志希「そう、名付けて便秘ダイエット! ……って、トンデモ研究が最近ね~」

美嘉「ちょっと-、真面目な顔で何言いだすかと思ったら――」

奏「志希、その話詳しく」

美嘉「掘り下げるのっ!?」


奏「あら気にならない? それだけ溜めるということは、もちろん解消法もあるワケでしょ?」
周子「あっ」

志希「なるほど察し」

フレデリカ「アルミサッシ」

美嘉「え~! ……もしかして奏も今そうなの?」

奏「ううん。私は快調そのものだけど、"奏も"ってことは美嘉アナタ――」

美嘉「う゛っ」

志希「お腹の張り具合からして、今日で二日目程度と見た」

周子「え? あのお腹入ってんの!?」

奏「見えないわよね」

フレデリカ「全然細いよー、羨ましっ」

美嘉「……なんだろう。褒められてるハズなのに嬉しくない」


フレデリカ「お! フレちゃん長年の疑問が急に解けた!」

周子「ほう、一応聞いておきましょうか」

美嘉「……どーせろくでもない話だろうけど」

フレデリカ「アイドルはトイレに行かないってアレさ、原因は多分便秘だよねー」

志希「それか、衣装でするのが面倒だからだ」

奏「案外大衆のイメージが作られる発端ってそんなものかもしれないわね」

周子「それ言っちゃ、シモの話で盛り上がるアイドルってのもイメージ的にはどーなのよ?」

美嘉「それも華の十代がね」

周子「なにおう? 悪かったな~、十八で!」

志希「十八で!」

フレデリカ「十九で!」

美嘉「待って、なんでアタシ急に怒られてんの!?」


周子「とにかく話を戻せばさ、ちょっと小腹が空いてるんだ」

周子「誰か朝ご飯をミーにプリーズ、プリーズ? グッドモーニング!」

フレデリカ「オー、ハウアーユー!」

志希「I'm fine thank you♪」

奏「And you?」

美嘉「り、リピートプリーズ」

周子「アターシ、オ腹、ヘテルネー」

フレデリカ「出前頼むアルか? 何食べるネ?」

志希「あたしたち、超メガトン盛りのエビチリを用意してくれるトコ知ってるよー?」

奏「待った二人とも。それはライブ終わりの打ち上げでね」


美嘉「……あ、そうだ。ガムなら一枚あるけど――」

周子「ガム?」

フレデリカ「美嘉ちゃんカリスマなのに出して来る物が超フツー」

志希「平々凡々」

奏「人並みね」

美嘉「嫌ならあげないっ! アタシが食べる!」

奏「……と、言われても」

志希「元からあたしたち」

フレデリカ「いらないよー?」

周子「ちょいとお姉さん方や、それだとトバッチリがこっち来るんだけど」


コンコン、ガチャ。

P「皆さん、そろそろ出番ですから移動の方をお願いします」

美嘉「あ、了解プロデューサー! ……って、えっ? はっ!? も、もうそんな時間!?」

周子「落ち着きなよ美嘉ちゃん。ガム分はサポートしたげるから」

志希「そうそう志希ちゃんたちもついてるし」

奏「今日のステージ、大船に乗ったつもりでいていいわよ?」

フレデリカ「何てったって、仲間だもんねー!」

P「……だ、そうですよ」

美嘉「みんな……!」


美嘉「……全く毎回毎回みんなはさ、マイペースって言うかなんというか」

美嘉「楽屋で出番を待ってる間、一時も気が休まらないのは困るけど――」

美嘉「でもホント……賑やかにしてくれて、アリガト★」

四人「どーいたしましてっ♪」

美嘉(だって未だにライブの直前って、滅茶苦茶緊張するんだよねー)


フレデリカ「それじゃ、みんなで一緒にぶちかまそー!」

周子「右手出してー」

志希「円陣組んでー」

奏「美嘉も、準備は万端かしら?」

美嘉「と、当然っしょ? カリスマだし!」

フレデリカ「じゃ、いっせーのーでっ!」


美嘉「Oh! LiPPSー♪」チャッチャッ♪


P「……じょ、城ヶ崎さん。お一人で一体何を――」

美嘉「ちっ、違うの! これは、そのっ、なんていうか!!」

奏「……ふふ♪」

志希「にゃは♪」

周子「はっは~ん?」

フレデリカ「美嘉ちゃん、流石にソレは流行んないかなー♪」

美嘉「あ、あ……ア・ン・タ・達・はぁ~っ!!」

美嘉「肝心な時に裏切っちゃって! 絶対許さーんっ!!」


N『しかし美嘉の緊張は完全に吹き飛び、ステージは大成功を収めることになるのだった』


おわり

>>3訂正
〇周子「まっ、そんな恋愛大先輩の美嘉ちゃんをね、業界の後輩としてあたしらは立ててかなきゃイカンと思うワケ」
×周子「まっ、そんな恋愛大先輩の美嘉ちゃんをね、業界の後輩として私らは立ててかなきゃイカンと思うワケ」

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