【安価】奴隷として売られた末路 (21)

陰鬱な、しかしどこか熱気を孕んだ空気ぐ
薄暗いテントの中に充満する。

様々な香水でその場はむせ返るように甘く、臭い。

商人「どれくらいで売れるかね」

舞台の裏手、檻の前で男は下卑た笑みを浮かべる。

人攫い「身代金せしめるよりは高値だろ」

傷の目立つ男が檻を蹴る。

貴族「ひっ!?」

その中で小さく蹲るのは、数ヶ月前戦争に敗れた国の貴族の娘。

15、もしくはそれに満たない容姿であり、黒い豊かな髪は育ってきた環境の上質さを物語る。

商人「家事やらできない仕事押し付けられるのとどっちが幸せかね」

人攫い「最悪殺されたり食われたりするなら、俺なら死ぬ気で皿くらい洗うけどな」

檻の向こうでの話しに、貴族の娘はただただ青褪める。

人攫い「150万、これくらい行かなきゃ割りに合わん」

商人「はは、500万はくだらねぇよ……っと、あんたの番だ」

そう言い、檻から出され首輪についた鎖を引かれ……全裸のまま、舞台の上に立つ。

商人「さあさあ皆様、こちらは西方王国の没落貴族、その長女でございます!」

ガァガァとダミ声で自分を売り捌こうとする男を、そしてそれを聞く仮面をかけた者達を見る。

貴族「……………………」

観念したように、彼女は涙を流す。

「50!」

「70!」

恐ろしい勢いで彼女の価格が上がっていく。

そもそもこの催し物は多額の金を動かせる者に向けたもの。

必然的に商品の価値は高品質に、必然的に商品の執着は強く。

他のものより少しでも多く出せさえすれば、ここでは誰も咎めない。

貴族、騎士、政治家、エルフ、ドワーフ、ゴブリン、悪魔。

様々な上流階級のものが、調度品として、慰み者として、食料として、生贄として。

様々な狙いがあり、彼女を落札しようとする。

「700!」

「1000万」

……場は暫く振りに荒れ、最後は出品者の2倍もの値がついた。

商人「ありがとな嬢ちゃん!」

人攫い「これでおまんまにゃあ食いっぱぐれる心配はねぇ」

満足そうに笑いながら、商人は彼女を落札した者を連れてくる。

商人「着ていた服があります、着させてお譲りいたしましょう」

にこやかに笑いながら、商人は裏手へ消える。

???「………………」

貴族「………………」

仮面をつけ、ゆったりとした服装でどんな人物かわからない。

それ故に恐れ、彼女は暗い熱気の渦巻くテントの中で小さく震える。

人攫い「へぇ、珍しいのが来たな……」

彼女の後ろにいた人攫いが笑うと、落札者は仮面を取る。

貴族「…………>>3……」

その顔を見た貴族の娘は、思わずそうこぼす。

女「…………そう? 女性はそこそこ見かけたけど」

人攫い「ここで一人で買い物する女性はいませんよ……そうそうね」

彼はそう言いながら、椅子を彼女に渡す。

人攫い「それじゃ、俺は金もらったんで」

そうして、この部屋で二人っきりになる。

……飼い主と下僕、奴隷となった彼女には漠然と彼女が主人なのだと考える。

しかし……そうか、と納得して思考をたやすくは切り替えられなかった。

貴族「あなたは……なんなの?」

率直な疑問をぶつける。

同じ貴族の身だろうか、それとも女性ながらに騎士?

高貴な雰囲気持ち合わせているので王族か……それとも、魔女か。

女「家に着けばわかるわ」

彼女の質問にあっけらかんとそう返す。

商人「服を持って来ました……裸のまま連れ帰りますか?」

女「着させてあげて?」

商人「へいっ!」

足枷は外されたが、彼女には革の首輪と鎖、そして手枷がはめられていた。

そのまま市場を連れられ、彼女の馬車に乗る。

貴族「………………」

彼女の警戒心は今までに無く高まっていた。

奴隷商人の二人は利益を損なわないため手を出さないと考えていた為恐怖は無かったが、目の前の飼い主にはわからないことだらけであった。

これから自分はどうなるのか、それが不明瞭なのが彼女の不安感を煽っていた。

貴族「……あの……どうして、私を買ったんですか……どういった、理由で?」

窓からの景色を見ていた飼い主は声をかけられ娘を見つめる。

女「買った理由? それはね……>>6よ」

学術的興味

錬金術師「私は錬金術師……貴女を買った理由は……そうね、学術的な興味よ」

貴族「錬金……?」

彼女は自分の朧げな記憶を頼りに錬金術師についての記憶を探る。

彼女の城にはいなかったが、幼い頃に王直属の錬金術師がいたことを思い出す。

貴族「……そう、ですか」

どこかホッとしていると、馬車は止まる。

錬金術師「こっちよ、来て」

彼女はそう言い、鎖を引っ張る。

一先ず彼女は部屋をあてがわれた。

この部屋が自分の部屋らしい。

……実家と比べれば狭いが、今の実家は壁と屋根が無い。

決して文句は言わなかった。

錬金術師「それじゃあ、早速始めましょうか」

不意に錬金術師が現れ、彼女の腕を取る。

貴族「はい、わかりました……それで、なにをすれば?」

そう問うと、錬金術師はにこやかに笑い。

錬金術師「>>9よ」

人体実験

貴族「……え、ぇえ!?」

気がつけば服は脱がされ、ベットの上で拘束されていた。

首も動かせない状況で、彼女は視界の隅の錬金術師を見る。

貴族「な、なにを!?」

錬金術師「人体実験だってば」

端的に返し、彼女は注射器を取り出す。

貴族「な、なんで……」

食い下がる彼女にため息を吐き。

錬金術師「そうね……>>11のため」

そう言い彼女は注射器を刺す。

錬金術師「効果は>>12……なんだけど、うまくいくかしら」

栄養状態改善

日によって種類が代わる獣耳・尻尾が生える

花子ってなんですか?

なるほど
とりあえず今回はほのぼののノリで続きを書く感じでは無いのでもう一度安価を出します

錬金術師「>>17のために」

錬金術師「効果は>>18

さらなる進化

不老不死

貴族「あ、熱い……っ」

全身の血が沸騰しているかのような、骨が赤熱しているかのような錯覚を覚える。

錬金術師「一瞬よ、それに死にはしない」

そう言いながら、メスを取り出す。

貴族「ひゅっ!?」

喉を裂かれ、鮮血が辺りに飛び散る。

熱が逃げて行く感覚を感じた後……その熱が再び激しくなって行く。

貴族「がはっ、ひゅっ、げほっ!」

最後には綺麗に皮膚と皮膚が繋がる。

気道に入っていた血も元に戻り、彼女は必死に息を吸う。

錬金術師「賢者の石の廉価版よ……まあ、魂が摩耗仕切りまでは不死だから」

そう言い、錬金術師は何かを漁る。

取り出したのは鍵であり、それで拘束を外していく。

最後に頭の拘束具も解錠し、彼女はようやく自由になる。

錬金術師「協力してもらうわ、人類の為にね」

そう微笑んだ錬金術師の目を、彼女は心底恐怖する。

虫や爬虫類のような、熱の無い瞳。

当たり前のように、彼女は被験体なのだと言う認識。

錬金術師「ご飯は食べなくても大丈夫だけど、時間になったら作らせるわ」

最後にそれだけ言うと、錬金術師は退室する。

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