GM『Deep Dungeonへようこそ!!』 (10)


『……逮捕された少年は『モンスターが出てきたから倒した』『レベルを上げたかった』などと供述しており、警察では薬物を使用している可能性を視野に入れ調査を行なっています。
被害者の少年達は逮捕された少年に対していじめを行なっていたという事実が判明しておりますが、逮捕された少年は凶器など使用せずに』


『あの事件の動画見た?犯人の子、凄い喧嘩強いよね!何でイジメられてたんだろ?』

『俺格闘技習ってるんだけど、先生が見てもアイツの動きは凄いんだってさ。無駄がなくて喧嘩慣れというか戦い慣れてるんだって』

『クスリやってるヤツの動きじゃねーよ。言ってる事は意味不だけど』

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あなたの周りにいきなりお金の羽振りが良くなった方はいませんか?

あなたの周りにいきなり運動神経が良くなったり頭の回転が早くなった人はいませんか?

あなたの周りに妙な手品や特技を持った人はいませんか?

あなたの周りに急に取り乱したり様子がおかしくなった人はいませんか?

あなたの周りに急にいなくなってしまった人はいませんか?

もしかしたらその人はこのゲームに参加している。あるいは『していた』のかもしれません。







『Deep Dungeon』






…………

















GM「おーい。そろそろ目を覚ましてほしいんだけど」


ふと頭の中に少女の声が聞こえてきて目を覚ます。
辺りは真っ白で何もない空間。
その中に1人、10代後半くらいであろう少女が立っている。


GM「あ、起きた?ふぅーこれでやっとお仕事が進められるよー。んじゃ始めるよ?」ゴホン

咳払いと共に、何もない空間に突如大画面のモニターのようなものが現れる。モニターには大きく『Deep Dungeon』という文字が映し出されていた。ディープダンジョン、だろうか?


GM「ようこそ『Deep Dungeon』の世界へ!!ボクはゲームマスター(GM)。君のように初めてこのゲームに参加する人に、ゲームの説明を行なっているんだ!!他にも色々やってるけどね!!人手不足!!」


真っ白な空間でスポットライトを浴びながら声高々に喋り始めた彼女に対し、正直スポットライトいらないだろと思いながら話を聞く。


GM「この世界には1つの大きな城下町と、地下へと伸びる非常ぉぉおおおーーに広大なダンジョンが存在するんだ。そして君達『冒険者』にはそのダンジョンを完全攻略してもらいたい!!ここまでで何か質問はあるかな?」


とりあえず何もかも意味がわからない。夢だとしても意味がわからない。

GM「ふむふむ。最初の質問は『何これ?夢?TV?』と。その答えは、紛れも無い現実!!
君がいた現実とはほんのちょっとズレた世界ってわけ。ほら、最近異世界やらなんとかそういうの流行ってんでしょ?そういう感じだよ」


少なくとも世間一般では流行ってないと断言出来る。



GM「ボクの前にゲームマスターやってた人達の話だとさ。ゲームに参加して元の世界に戻った人達がこのゲームの体験談を物語にしたりしたらしくてさ。神話とか冒険譚とかそんな感じの?そういう人達の物語が君らの代では異世界なんて呼び方に変わったんだろうね!時代だね!!」


何百年、何千年前から残る歴史的な物語と同列にしたら失礼だと思う。


GM「ん?『何で自分がこんな事に?』特に理由はないよ!!適当に選んだ!!
最近は便利だよねーパソコンとかで名簿からランダムに選べるソフトがあったり。昔は世界地図にダーツとかくじ引きとか目隠しで地球儀指差して選んだりとかしてたんだよ?アナログだね!!」


やっぱりバラエティ番組臭がプンプンする。面白い地元住民や高翌齢の方々の出る系の。笑って堪える系の。

GM「でもね!!君達にもメリットはあるんだよ?まず、この世界で稼いだお金、ゴールド(G)は君達の世界に換金できます!!円なら1G→20円くらいかな?
換金方法は君が元の世界に戻った時に宝くじとか色んな方法で手に入る様になってるよ。都合いいよね!!」


凄いふんわりした説明だ。宝くじ買ってなかったらどうなるんだろ?



GM「次にステータス!!この世界では君の元のあらゆる能力を数値化出来るんだけど、経験値をためてレベルアップすることで一定値能力が上がるんだ!!これも元の世界に反映されるよ!!
他にも勉強やトレーニングで数値は伸びるよ!レベルアップに比べると緩やかだけどね!だから大抵の人はレベルアップにこだわるよ!レベルアップには限度があるのにね!目先に囚われてるね!!」


いいなーそれ。夢じゃなければ。

GM「この世界で手に入るアイテムなどを持って帰る事は出来ないけど、この世界で得たお金やステータス。更には覚えた魔法や術的な特技は反映されるんだ。これって君達の世界では凄く役に立つんじゃないかな?」


え?魔法使えるの?そこまで現実に持ち込めちゃダメでしょ。



GM「例えば小学生でもレベルが10も上がればその辺のヤンチャな高校生程度なら勝てるし30も上がればプロの格闘技選手にだってそこそこ勝てるようになるんだ!!どうだい?元の世界でちやほらされたくないかい?お金が欲しくないかい?」


そんな修羅の道を往く小学生ヤダな。もし本当にそれが出来るなら面白いかもね。結局努力しないといけないんだから現実と何が違うかわからないけど。



GM「いい顔つきになってきたねぇー。ちなみに元の世界に帰るには、この『戻りの宝珠』ってアイテムが必要なんだけどね?これちょっとレアだから簡単には手に入らないんだ。初めてきた人にはサービスで一個プレゼントしてるけどね」


携帯の無料ゲームみたいなサービスだな。

GM「これを今使って、元の世界に戻って二度とこちらにはこないか。少し考えて戻ってくるか。使わずにこのままこの世界でダンジョンを攻略するか。
全ては君次第だよ?戻ってくるときは君の携帯にアプリを登録しといたからそこからすぐに戻ってこれる。これも時代だね!!便利!!」


いくら何でも便利過ぎるだろ。自由過ぎるし。G○○TZみたいにこの事について喋ったり逃げたりしたら頭ボン!!とか?



GM「あー、ちなみにこのゲームに関係してる人にしかそのアプリは見えないから。こっちの世界の映像を残したりもできない。別に言いふらしてもいいけど証拠がなけりゃあ誰も信じないよねー」ニコッ


いや、魔法が使えるなら結構バレる気がするけどいいのかな?まぁいいか。夢だか何だか知らないけどやってみようかな。帰ろうと思えば帰れるみたいだし。



GM「え?このまま進める?その言葉が聞きたかった!!それじゃあ1名様ご案なーーい!!頑張ってね!死なないように!!」



風俗みたいな案内はやめて。
……死なないように?死ぬの?



GM「へ?もちろんこの世界で死んだら終わりだよ?それじゃあいってらっしゃぁああい!!」


いや、ちょっと待……

投下終了です。
気まぐれ更新ですのでお暇な時にでもどうぞ。

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