アナスタシア「アナスタシ屋」 (29)


 アイドルマスターシンデレラガールズのアナスタシアのSSです。
 一部独自解釈・描写などありますため、ご注意ください。
 ロシア語はネットからそのまま引っ張ってきた程度なので大目に見てください。

 主に台本形式です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508770866


   ―― 事務所

 ガチャ
 コロコロコロ…

アナスタシア「アー、ンー、オッホン」

  プー プェー

アナスタシア「ご町内のミナサマ、お騒がせしておりまーす」

アナスタシア「こちら、アナスタシ屋、デース♪」

  ポヒー ヒョロー


モバP(以下P)「…………」


P「くーださーいなー」

アナスタシア「オー、イラッシャイマセー♡ 今日最初の、お客様デスね?」

P「……の前に、幾つか質問をしても?」

アナスタシア「ンー?」

P「アナスタシ屋というのは……アーニャを売っとる店なのか?」

アナスタシア「Да! 売ったり買ったり、アナスタシ屋デス♪」

P(それっぽいハッピに、ネコ車。『あなすたしや』と書かれた手作りの幟、ラッパ)

P(なるほど即興の行商人と言ったおもむきだが……)

P「それじゃあまず、お品書きを見せてもらおうかな」



☆あなすたしや おしながき

 10ぷん
 30ぷん
 1じかん
 1じかん半
 2じかん
 いちにちじゅう
           じか



P「ぜ、ぜんぜんわからん……」


P「じかって時価のこと? ていうか全部時価?」

アナスタシア「アナスタシ屋、とってもдешево……お安いデス♪」

P「なるほど。それじゃあ、どうしてアナスタシ屋を始めようと?」

アナスタシア「アー、それは……」チラッ

みく「……にゃーんにゃーん……みくはどこにもいませんにゃ~……」ソローリ ソローリ

P「ちょいとそこ行く仔猫ちゃん」ガシッ

みく「に゙ゅあ゙ッ!? あ、あーPチャン、すっごい奇遇にゃ!」

P「そうだね事務所だからね。で? みくにゃんはアーニャに何させてんの? ん?」

みく「なななななんのことですかにゃ? お店なんてみくわかんにゃーい」

P「ごまかし方が下手すぎる」

アナスタシア「ンー?」

P「アーニ屋さん(略した)ちょっと待っててね。猫と話しとくことがあるから」ズルズル

みく「に゙ゃー!!」ズルズルズル


P(アーニャは色々影響されやすいから、変なこと吹き込むなってあれほど!)ヒソヒソヒソ

みく(しょうがないでしょー! みくだってこうなるなんて思わなかったもん!)ヒソヒソヒソ

P(じゃあそもそもの始まりから聞いとこうか。何がきっかけなんだ?)

みく(んとね、あーにゃんと一緒に帰ってる時のことなんだけど)

P(うん)

みく(そこに、たまたま竿竹屋さんが通りかかったのにゃ)

P(…………あー…………)

    ポヒュー ププー

アナスタシア「アーニ屋~、アーニ屋でございマ~ス♪」ウキウキ


みく(あーにゃん、竿竹屋さんって見たことないらしくて)

みく(これこれこーいうお店だよって説明したら、ちょっと真似してみたくなっちゃったらしいのにゃ)

P(なんだそれかわいすぎかよ)

P「まあいいや。ちょうど作業も落ち着いた頃だし、ちょっと付き合うか」

P「アーニ屋さん、これは買ったら具体的にどうしてくれるので?」 

アナスタシア「フフフ。買ってみての、お楽しみデスね♪」

P「かわいい」

P「よし、じゃあ買おう。手始めにこの、アーニャ10分……」


 ダダダダダダダダダダダダッ

美波「いけませんっプロデューサーさんっ!!」ガシィッ

P「グワーッ腰!!」ク゜キ゜ィッ

アナスタシア「ミナミ!」

みく「えらい音しよった!」

美波「卑猥な気配を感じたので来てみれば、一体何をしてるんですか!?」

美波「そんな、アーニャちゃんをお金でっ、かっかっかっ、買うっなんてっ……!!」

P「いや卑猥な気配って何だよ」

みく「Pチャン、はい湿布にゃ」

P「すまぬ……すまぬ……。ってそうじゃない、聞いてくれ美波」

  カクカク シカジカ


美波「そ、そうだったんですか。そうと知らずに私、酷いこと……」

P「うんまあそれはいいんだけど。タックルされたのが菜々さんじゃなくて良かったわマジ」

美波「で、でもっ。お金で買うなんて不健全ですっ! いくら遊びでも、それは良くありません!」

アナスタシア「アー……アーニャ、おカネ、取りませんよ?」

美波「えっ?」

P「マジか。じゃあ何と対価にするのアーニ屋は」

アナスタシア「それも、買ってからのオタノシミ、デス!」フンス

P「よしわかった。じゃあとりあえず10分から……いいな美波?」

美波「ええ……。で、でも、ちょっとでもいやらしい感じになったら、即メッですからね!」

P「この部屋のいやら指数上げてんの一人だからね?」

アナスタシア「Да♡ アーニャ、10分だけ、買われちゃいマスね?」


アナスタシア「~♪」

P「…………」

  トン トン
   モミ モミ

美波(か、肩叩き……)

みく(おっとろしく平和にゃ……)

P「なるほど、これがアーニャ10分コース……。おぅふ、これは……イイ」

  トン トン トン

アナスタシア「ハイ、マイドあり、デス♪」

P「ふぅ~~~……。しかしなんだな、アーニ屋さんはマッサージ屋さんなのか?」

アナスタシア「Нет、ちょっとだけ、違いますね。アーニャは、お客様のお手伝いをします」

アナスタシア「プロデューサー、お仕事で肩こってました。だからこれが、10分でできるお手伝いデス♪」パー

P「あ、アーニ屋さん……!!」

美波(天使)


P「もう気分的には今月の給料みんなお小遣いにあげちゃってもいいんですけど」

美波「駄目ですよ!?」

P「お金じゃないもんな。で、何で払えばいい?」

アナスタシア「ナデナデ、がいいデス!」

アナスタシア「アーニャ、10分がんばりました。だからその分、いっぱい褒めてくだサイ♪」ペカー

P(Angel)

P「よぉ~しよしよしよしよしよし! アーニャは偉いなあ!!」ワシャワシャワシャワシャ

アナスタシア「キャー♡」

みく(これを素でやるなんて……あーにゃん、恐ろしい子……!)


 それからというもの、アナスタシ屋は事務所中に商売の手を広げた。
 業務内容は、時間指定のお手伝い屋さん。
 対価は褒めたり、お菓子だったり、おかず一品追加だったり。

 そういうリーズナブルさとコンビニエントさと可愛らしさが相まって、見事大繁盛となったのである。


   ザァァァ

奈緒「……あっ、アーニャ! こっちこっち!」

アナスタシア「ナオ! зонтичный、傘、持ってきました!」

奈緒「用意してない日に限って降るんだもんなぁ。いやー助かったよ、後でジュース奢るな!」

アナスタシア「マイドー♪ アナスタシ屋は、出張販売も、行います!」


   カチャカチャ ジュー

響子「あっ、アーニャちゃん、このお皿お願いっ」

アナスタシア「任せてくだサイ! ドンドン並べちゃいますっ」

響子「ありがとう! お返しに、ミートボールおまけするね!」


   テクテク

莉嘉「アーニャちゃんありがとー! 一人じゃ持ちきれなくってさー」

アナスタシア「Да! けどリカ、たくさんお洋服、買いましたね?」

莉嘉「えへへ、おねーちゃんにはナイショね? また無駄遣いって怒られちゃうかもだし!」

莉嘉「あとで、とっておきのシールあげるからっ!」ニパー


   ザッパーン

七海「今れすっ、タモを!」

アナスタシア「ハイッ!」バシャーン

七海「おおー、なかなかの大物れすねぇ!」

アナスタシア「釣れたてのрыбы……お魚、とっても元気デス!」

七海「あとでみんなで頂くのれす! アーニャちゃんは一番おいしいとこをどうぞっ!」


   カキカキ カリカリ

アナスタシア「アー、黒ベタ、こんな感じでいい、デスか?」

比奈「おおー、完璧っスよ! いや~意外な才能発見っスね~」

比奈「できるお礼なんて献本くらいっスけど……あ、そだ、後でご飯奢るっスよ!」

アナスタシア「とっても、楽しみデス♪」


「アーニャ!」「アーニャちゃんっ」「ありがとうアーニャ」「ありがとうございます!」
「アーニャちゃんは良い子ねぇ」「すっごく助かるにぃ!」「わたくしも見習いたいですわ!」
「慈悲を司りし雪華の熾天使よ!」「とても……感謝しています……」「や~優秀な助手君だにゃ~」
「アーニャさん!」「アーニャ!」「アーニャはん~」「アーニャ殿!」――――


P「……………………」


  プチンッ


  ―― 事務所


P「でぇぇぇえええええいッ! アーニ屋は俺が全部買い占めるぅぅぅぅう!!」ガバッ


みく「にゃあああッ!? きゅ、急に何にゃ!?」

アナスタシア「キャー♡ アーニャ、独占されちゃいます♡」ダキッ

美波「駄目ですよプロデューサーさん! アーニャちゃんの独占禁止法違反です!」

奈緒「そーだそーだー! 何の権利があってそんなことすんだよー!」ブーブー

P「権利とかじゃあないんだよ!」

P「こう、俺が見つけた行きつけのおいしい料理屋が、そのうち口コミで広がっていったりして、雑誌にも紹介されて」

P「テレビにも出て有名人のサインとか増えて、気が付けば連日行列の出来る店になってたみたいな……!」

P「そんな感じ! だっ!!」

みく「めんどくせぇし勝手だし具体的すぎにゃ!」

奈緒「つーかそれ実体験だよな!?」

P「とにかくそういうわけだから、アーニ屋の利用は禁止! 俺以外禁止です! お前ら仕事に戻れ!」


???「そうですねぇ……仕事はちゃんとしなくちゃいけませんよね」

  ゴゴゴゴゴ

P「はッ……」

???「ましてや、アイドル一人に入れあげて、自分のお仕事をおろそかにするなんて論外も論外……」

  ゴゴゴゴゴゴゴ


ちひろ「……ね、プロデューサーさん?」

P「」


 そういうすったもんだを経て、アナスタシ屋は休業となった。
 リピーターの多さから継続を望む声は絶えなかったが、一部の奴(一人)がめんどくさいという声と、
 お手伝いなら普通にできるなどといった理由で、惜しまれながらも看板を下ろしたのである。

 今アーニャは、相変わらずアイドルとして元気に活動している。


P「ふぅー……」カタカタカタ

P「やべぇー……」カタカタカタカタ

P「ゔっ、肩が……」グギギッ


  カチャ
  プピー ポー

アナスタシア「……お騒がせ、しておりまーす……♡」ヒソッ

アナスタシア「アナスタシ屋を、お呼びデスか?」


~オワリ~

 以上となります。
 以下ちょっとおまけです。

〇おまけその1

 ガチャッ

  パッパラパッパラパッパラパッパラ
  パーッ パッパーララッパー パーラッパー(サンバのテーマ)

ナターリア「ナターリ屋だゾ!!」

P「増えた!」

ナターリア「聞いて聞いてっ、プロデューサー! ナターリ屋は何をするトコなんダ!?」

P「よーし。……ナターリ屋さんは何を取り扱うお店なんですかー?」

ナターリア「スシ!!」

P「寿司扱えんの!? すげーなナタ屋!!」

ナターリア「ナターリ屋はナ、たくさんのスシを回収するお店屋さんなんダ!」

ナターリア「食べていいスシ、いらないスシはなんだって回収するゾ!!」

P「そ……ッッ、そうきたかァ~~~~ッッッ」

ナターリア「っ! っ!」ワクワク ウキウキ パタパタ

P(俺の周りをぐるぐる回っている……)

P「……スシロー行く?」

ナターリア「ウン!!」パァッ

P「ついでに前川も連れてくか」

〇おまけその2

 コンコン

ライラ「プロデューサー殿ー」カチャ

P「おっライラさん。どうした?」

ライラ「ライラさんも、なにかお店をやりたいのでございますです」フンス

ライラ「あー……でもライラさんは、お名前に『や』が付けられないですねー」

ライラ「お店屋さん、できないのでございます」シュン…

P「ふーむ」

P「ライラさんは、どんなお店がやりたいんだ?」

ライラ「!」

ライラ「あのあの、公園にたまに、アイスのお店が出るのでございまして」

ライラ「おとなも子どもも、おねーさんも、みなさんアイスでニコニコでございますね」

ライラ「ライラさんは、そういうお店がやりたいのでございますです」

P「なるほど……。よし、やるか!」


P「安いよ安いよー。ライラさんのアイス屋さんだよー」

ライラ「よってらっしゃい見てらっしゃいでございますよー」

P(といっても大層な規模じゃない)

P(ファミリー用のバケツアイスをクーラーボックスに並べて、小さなプラ容器に移して売るのだ)

  テクテク

みりあ「あっ、アイス屋さんだー! くーださーいなー!」

P「はいよー。バニラとチョコとバナナとストロベリーがあるけど、何がいい?」

みりあ「んっとね、バナナ! おいくらですかー?」

ライラ「ライラさんのアイス屋さんは、お金さんは取らないのでございますよー」

P「代わりになるお菓子か何かで取引をしているのだ」

P「たとえば……みりあ、さっきの仕事のおみやげに飴ちゃん貰ってただろ?」

みりあ「うんっ! じゃあじゃあ、これと交換してくれるの!?」

ライラ「まいどあり、でございますー」

  ワイワイ

かな子「それ、マカロンでもいいですか~?」

愛梨「くださいな~♪」

唯「ゆいのキャンディとも交換してほしいなー♪」

  キャッキャッ

ライラ「みんなニコニコでございますねー。ふふふー」

〇おまけその3

???「ヘーイ! カスタマー(客)!!」

P「はっ……その声は!?」

   ジャジャーンッ

ヘレン「世界レベル屋よ!!」

P「もう語感全然関係ねぇな!!」

ヘレン「細かいことを気にしちゃいけないわ! 大切なのは、あなたが世界レベル屋を利用するか否か……そうでしょう!?」

P「むぅ、よくわからんが凄い説得力だ……。いいだろう、世界レベル一つおくれ」

ヘレン「残念ねカスタマー。それは金銭でやり取りできるモノではないわ!」

P「えっじゃあ何のためにあんの世界レベル屋」

ヘレン「それを確かめるのは……あなたの心と体よ! 覇ァッ!!」ズアッッ

   タンッ スタタタタッ ジャジャーンッ

P「なッ!? は、迅速(はや)いッ……なんてステップだ!」

P「くぅっ、体が熱くなってきやがる! こうしちゃいられねぇ!!」

ヘレン「その意気よ、カスタマー! さあ、ここから先はついて来られるかしらッ!?」

   タタンッ スタタンッ
   ジャジャーンッ…


P「ハァ、ハァ……。つられるままに踊り明かしちまったが、不思議と、とても清々しい気分だ……」

P「世界レベル屋の何たるか、わかった気がするよ……。それで、いくらだい?」

ヘレン「言ったはずよカスタマー。これは金銭でやり取りできるモノではない……」

ヘレン「今この瞬間、あなたの心で熱く燃えるソウル。それこそ、あなた自身が手にしたモノ!」

P「俺の、ソウル……!?」

ヘレン「一つ確かなのは、カスタマー……いいえプロデューサー」

ヘレン「あなたがこの日確かに、真の世界レベルへの階段を一つ登った――ということよ」

P「せ、世界レベル屋さん……!!」

ヘレン「アディオス! これからも、世界レベルのプロデュースのあらんことを!!」ザッ


 去り行く世界レベル屋に、Pは我知らず敬礼を捧げていた……。
 対価は要らない。言葉すら必要ない。彼女と共に繋いだステップ、絆……そこに全てがあった。

 それは、人と世界を謳う魂(ソウル)の調べ……。



飛鳥「――――あれが、『セカイ』……」


今度こそ
~オワリ~

 お付き合いありがとうございました。
 似たようなネタがもうあったらすみません。
 HTML化依頼を出しておきます。

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