海未「お勉強会です」 (65)

海未「絵里?ここなんですけど」

絵里「なあに?ん~そうね…ここはfineじゃなくてgreatを使った方が良いわね」

海未「そうなんですか?」

絵里「ええ。amazingでも良いわね」

海未「絵里、ありがとうございます」

真姫「流石は絵里ね。やっぱり頼りになるわ」

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絵里「もう2時間も経ったのね。流石にちょっと疲れたわね」

海未「そうですか?私は全然大丈夫ですが」

真姫「海未は疲れ知らずだものね」

海未「そんな事はありませんよ。私だって疲れる事はあります」

絵里「まあ、キリも良いしちょっと休憩しましょうか」

真姫「あっ!美味しい紅茶があるの」

絵里「ハラショー。ちょうど良かったわ。私もケーキを持ってきたのよ 。紅茶に合うはずよ。ほら!」

海未「わ~美味しそうです」

真姫「じゃあ、用意して来るわ」

絵里「よろしくね」

海未「ありがとうございます」

絵里「ところで海未」

海未「何ですか?」

絵里「これ。何だかわかる?」

海未「風船ですか?」

絵里「どうやら風船ではないらしいのよ」

海未「では一体…。そもそもどこでそれを?」

絵里「昨日部室に行った時にね、穂乃果達が私の座る椅子のクッションにこれを忍ばせてたのよ」

海未「椅子に?」

絵里「そうなのよ。あの三人はイタズラばっかりして。没収してきたわよ」

海未「もし、この上に破れちゃうのではないですか?もしかして、それで驚かそうとイタズラを?」

絵里「ん~でもほら?普通の風船と違って口の部分を縛ってないからここから空気が抜けるんじゃないかしら?」

海未「確かに。では、穂乃果達は何をしたかったのでしょう?」

真姫「お待たせ~」

海未「あっ!真姫」

真姫「はい…おっと」

海未「あっ、大丈夫ですか?」

真姫「ごめん。持ってくれる?」

海未「はい」

絵里「じゃあ、私はケーキを取り分けちゃうわね」


絵里「それじゃあ、食べましょうか?」

海未「そうですね」

絵里「真姫。ありがとね。さあ、座って?」

真姫「ふふっ。じゃあ」

ブゥ~

海未「え?」

絵里「え?」

真姫「え?」

絵里「ま、真姫?」

真姫「ち、違っ」

海未「だ、大丈夫ですよ」

真姫「ななな何がよ」

海未「いえ…私は何も聞いてませんから」

真姫「違うから。私じゃないってば」

絵里「…あっ!」

海未「どうしたのですか?」

絵里「分かったわ」

真姫「何が分かったのよ?私じゃないから」

絵里「ええ。さっきの…音の正体が分かったのよ」

海未「え?正体ですか?」

絵里「さっき海未に見せた穂乃果達から没収したあれ。真姫が紅茶を持ってきた時につい真姫の座ってた場所に置いちゃったのよ」

真姫「え?なんの話?」

海未「なるほど。という事はあの音の正体は…」

絵里「そう。あれはあのゴムの風船状の物から空気が抜けた音」

海未「そう言う事ですか」

真姫「何?取りあえず私の疑いは晴れたのよね?」

海未「ええ。全ての原因は穂乃果達です」

絵里「という事はあの時私が気づいてなかったら…私が皆んなの前で恥をかいてたって事よね?」

海未「そうなりますね」

絵里「…今から穂乃果達をここに呼ぶわ」

真姫「ダメよ。落ち着いて勉強が出来なくなっちゃうじゃない」

「雑誌」

絵里「海未の家は落ち着くわね」

真姫「そうね。勉強が捗るわ」

海未「真姫?そこ間違えてますよ?」

真姫「え?本当?」

海未「はい。その場合は…」

真姫「なるほど。そう考えるのね」

絵里「優秀な真姫でも間違えるのね」

真姫「当たり前でしょ?だから勉強してるのよ」

絵里「ふふっ、ごもっともだわ」

海未「今の所なら詳しく載っているテキストがそこの棚にありますよ」

真姫「そうなの?じゃあ、ちょっと…」

海未「見つかりました?」

真姫「ねえ、海未?」

海未「はい?」

真姫「海未でもこんな雑誌読むのね」

海未「え?」

絵里「あら?やっぱり海未も今時の女子高生なのね」

海未「あ~それは以前ことりが部屋に忘れていったんです」

絵里「へ~どれどれ?私ってあまりこういった類の雑誌って読んだ事ないのよね」

真姫「へぇ、意外」

絵里「そう?」

真姫「うん。絵里はオシャレだし」

絵里「あら。そんなお世辞を言っても何も出ないわよ?」

真姫「期待してないわよ」

絵里「あら、随分ね」

海未「二人とも勉強しましょう」

絵里「ちょっとだけ。ちょっとだけ見せて?」

真姫「私もあんまり見た事がないから少し気になるわ。どんな事が載ってるのかしら?」

海未「…」

ペラペラ

絵里「ふ~ん。最近のトレンドねぇ」

真姫「いかにもことりが好きそうな感じね」

絵里「あら?恋愛相談室ですって」

真姫「へ~。でも、これってファッション誌でしょ?そんなの載ってるの?」

絵里「載ってるわよ。ほら?」

真姫「えっと…最近出来た彼氏とキスがしたいのですが…」

海未「破廉恥です」

絵里「え?」

海未「破廉恥です。そんな…キ…キ…キスなんて…。だから勉強を続けようと言ったじゃないですか」

真姫「ちょっと…海未。私達高校生なのよ?いくらなんでも騒ぎ過ぎよ」

絵里「って言うか一度目を通してるのね…海未も」

海未「学生の本分は勉強です。学生は教科書と辞典だけ読んでいればいいのです」

真姫「そんな事はないでしょ」

絵里「もう、そんなに大した事は書いてないわよ。ほら?女子高生は彼氏がいる率は…40パーセント…え?40パーセント?」

真姫「え?そんなに?」


絵里「え?待って?二人はもちろんいないわよね?」

真姫「当たり前じゃない。何言ってるのよ」

絵里「え?この雑誌の通りなら…μ’sは九人で…少なくともこの三人は居ないわけで…40パーセントって言うと…あれ?頭が正常に働かない」

真姫「ちょっと。絵里、落ち着きなさいよ。他のメンバーだっている訳ないでしょ?女子校なのよ?」

絵里「そ、そうよね?」

真姫「そうよ」

海未「だから何度も言ってるじゃないですか。読むべきではないのです」

絵里「そ、そうよね?あ~バカバカしいわ。さて、勉強勉強」

真姫「動揺し過ぎよ」

絵里「あれ?全然問題が解けないわ」

海未「え、絵里。こう言う時は目を瞑って心をですね」

絵里「な、なるほど」

真姫「もう…勉強どころじゃなくなっちゃったわね」

「なぞなぞ」

絵里「ん~、外は良い天気ね。こんな日は勉強じゃなくて外で思いっきり遊びたいわね」

海未「穂乃果みたいな事を言わないでください。まあ、でも確かにこんなに天気が良いと外に出たくなりますね」

絵里「そうでしょ?いっその事このままお出かけしちゃう?」

海未「たまにはそれも良いかも知れませんね」

真姫「絵里、海未。お茶入れてきたわ」

海未「真姫、ありがとうございます」

絵里「それじゃあ、休憩にしましょうか」

海未「はい」

真姫「あっ!そう言えば」

絵里「なあに?」

真姫「こないだ凛と花陽にクイズをだされたんだけど」

海未「クイズですか?」

真姫「うん」

絵里「真姫なら直ぐに答えが分かっちゃった二人もがっかりしたんじゃない?」

真姫「それがなかなか難しくって…くやしいからまだ答えを聞いてないんだけど」

海未「真姫が答えられないなんてよっぽど難しいのですね」

絵里「どんな問題だったの?」

真姫「どんなお店にも売っているお寿司のネタはなんでしょう?って問題なんだけど」

絵里「どんなお店にも?それって飲食店の話?」

真姫「それはそうでしょ」

絵里「そうよね。常識的に考えてここであてはまるどんなお店にもっていうのは飲食店よね。後は…コンビニ?」

真姫「って言うかお寿司なんてお寿司屋さんでしか食べた事ないわよ」

海未「あの…二人とも…これは多分なぞなぞで…」

絵里「あっ!わかったわ」

真姫「え?本当?」

絵里「答えは卵よ」

真姫「なるほど。確かに卵はどんなお店にもありそうね」

絵里「ええ。洋食、和食、中華まで大抵の料理には卵を使うわ」

真姫「フレンチでもイタリアンでも卵は使うわよね」

絵里「ええ。だから答えは卵よ」

海未「あの…答えは卵ではなく鮪だと思うのですが…」

真姫「え?」

絵里「いや…海未?鮪はどんなお店にもはないと思うけど」

海未「いいですか?お店の店という漢字を分解します」

真姫「分解?え?分解ってどういう事?」

海未「店という字の部首である广と占…さらに占はカタカナのトとロに分解する事が出来ます」

絵里「あっ、そっか!トロ!お店の中には常にトロと言う文字があるのね」

海未「はい。その通りです」

絵里「そっか。そう言う考え方があるのね」

海未「ええ。これはなぞなぞだと思うので先程の二人の様に考えてもなかなか正解には結びつかないと思いますよ」

絵里「大切なのは柔軟な発想って事なのね。流石は海未ね」

海未「昔、散々穂乃果に出されましたが」

絵里「なるほど。慣れてるわけね」

海未「そう言う事です」

真姫「納得いかないわ」

海未「え?」

真姫「今の海未の解説を聞いても納得いかない」

絵里「ええ?私は納得出来たけど」

海未「どこが納得いかないのですか?」

真姫「漢字を分解する所までは理解は出来たわ。納得は言っていないけど」

海未「はあ」

真姫「分解して广とロになるのは良いけどトは違うじゃない。カタカナのトってあんな直角じゃないでしょ?そんなのカタカナのトとは認められないわ」

海未「いや…そうなんですけど…これはあくまでもなぞなぞであって…」

真姫「納得いかない」

絵里「ま、真姫?」

海未「偶にいるんですよね。なぞなぞを遊びと割り切れない人って」

「動画」

海未「絵里、真姫。お茶を入れました。少し休憩にしましょう?」

真姫「ありがと」

絵里「なんか海未がお茶を入れてくれたって言うと期待しちゃうわね」

海未「ええ、絵里がそう言うと思って園田流でおもてなししようと用意したんですよ」

絵里「え?そうなの?」

海未「ふふっ、冗談です」

絵里「なんだ。海未が点てたお茶が飲めるのかと少し期待しちゃったわ」

真姫「珍しいわね。海未が冗談を言うなんて」

海未「私だって冗談くらい言いますよ」

絵里「そうね。うふふ」

真姫「うふふ」

海未「うふふ」

絵里「…なんか穏やかね」

真姫「騒がしい人達がいないものね」

海未「誰の事を言ってるのですか?」

真姫「それはもちろん…凛」

絵里「希!」

海未「穂乃果と」

絵里「にこね!ふふふ」

真姫「うふふ」

海未「うふふ」

絵里「そう言えばねこないだ亜里沙から教えて貰ったんだけど」

真姫「亜里沙ちゃんに?」

絵里「ええ。二人とも猫好き?」

真姫「まあ…好きだけど?」

海未「私も好きですよ」

絵里「子猫の可愛い動画がいっぱい載ってるサイトがあるのよ」

真姫「へぇ。今そう言うの流行ってるものね」

絵里「そうなの。すっごい可愛いんだから。見て」

海未「ええ」

真姫「どれ?」

絵里「これとか…」

ニャーニャー

真姫「あら、ほんと。可愛いわね」

絵里「でしょ?後は…これとか」

ミャーミャー

海未「ふふっ、愛らしいです」

絵里「あと…あっ!この動画も人気ですって」

うぁぁぁぁぁぁぁぁ

絵里「い、いやぁぁぁぁぁ」

真姫「キャァァ。び、ビックリした。な、なによもう」

海未「なんですか、この動画は?心霊映像?」

絵里「ど、どうしてそんな動画が…いやぁぁ、け、消して」

ガタッ

絵里「あっ、あっつい。熱い。お茶こぼした」

真姫「あっ、ちょっ…絵里、落ち着いて」

海未「だ、大丈夫ですか?」

絵里「だ、大丈夫。そんな事より動画を消して」

真姫「消すから。その前に水で冷やさなきゃ」

海未「いっきに騒がしくなりましたね」

「お茶会」

ガチャ

花陽「はぁ…凛ちゃん戻って来ないなぁ」

絵里「あら?花陽?」

花陽「あれ?絵里ちゃん?海未ちゃんに真姫ちゃんも」

海未「どうしたのですか?今日は練習はお休みのはずですが?」

花陽「え?うん…凛ちゃんが先生に呼ばれちゃって部室で待ってようと思って。あの、三人は部室で何してるの?」

真姫「勉強会よ。たまにこの三人でやってるのよ」

絵里「いつもは誰かの家でやってるんだけどね。今日は部活もないし誰もこないなら部室でもいいかなって」

花陽「そうなんだ」

絵里「そうなの。ちょうどいいわ。今休憩がてらお茶にしようと思ってた所なの」

真姫「ちょっと待っててね。花陽の分入れて来るから」

海未「茶菓子もありますよ?真姫の持ってきた紅茶によく合うんです」

花陽「わぁ。美味しそう」

絵里「ふふっ、勉強会なんて言ってるけどこの時間が結構楽しみなの。ちゃんと勉強もしてるけどね」

花陽「そうなんだ」

真姫「はい。花陽の分。さあ、座って」

花陽「ありがとう、真姫ちゃん」

絵里「やっぱり真姫が入れてくれた紅茶は美味しいわ」

真姫「ドイツのフランクフルトにある老舗のものなの」

海未「ドイツですか。紅茶と言うとイギリスやフランスのイメージがあったのでちょっと意外です」

真姫「花陽?美味しい?」

花陽「え?う、うん。凄く美味しい」

真姫「ふふっ、良かったわ」

絵里「うふふ」

真姫「うふふ」

海未「うふふ」

花陽(あれぇ。おかしい。おかしいよ)

絵里「花陽?どうかしたの?」

海未「先程からずっと俯いてばかりですね」

花陽「い、いえ…なんでもないです」

絵里「そう。ならいいのだけど」

花陽(なんか、なんか緊張するよ。いつもの三人なのに。いつもは普通に喋れるのに。なんか…品格がありすぎるよぉ)

絵里「あら?花陽、口元にクリームがついてるわよ?」

花陽「え?ほ、本当?」

絵里「拭いてあげるからこっちにいらっしゃい」

花陽「だ、大丈夫。自分で取れるよ」

絵里「もう、恥ずかしがっちゃって。私の方から行っちゃうんだから」

花陽(あ、あれ?絵里ちゃんってこんな感じだったっけ?)

真姫「ふふっ、なんか仲の良い姉妹みたいね」

絵里「真姫もやってあげるわよ?」

真姫「なっ、だ、大丈夫よ。そもそも私は口元にクリームなんかつけないし」

海未「真姫も恥ずかしがり屋さんですね」

ガチャ

ことり「……」

花陽(あっ!ことりちゃん)

ことり「…」ジィー

花陽(どうして入って来ないの?)

ことり「…」グッ!

花陽(あれぇ?何がグーなの?え?ことりちゃん?)

海未「花陽?どうしたのですか?」

花陽「え?あ、あの…今ことりちゃんが扉の所に…あれ?いない?」

絵里「ことりが?」

真姫「居ないわよ?見間違いじゃない?」

花陽「確かに居たんだけど」

海未「ことり?いるのですか?」

ことり「はい、お嬢様。お呼びでしょうか?」

花陽「こ、ことりちゃん?」

海未「ことり…なんですか?その格好は?」

ことり「メイドですから」

花陽(え?わざわざ着替えて来たの?どうして?)

ことり「ご主人様。なんなりとお申し付けください」

絵里「もう、なんの遊びなの?」

ことり「遊びじゃありません。真剣です」

花陽(ダメだよ、ことりちゃん。ことりちゃんがそんな格好をして来たらますますだよ。もう貴族のお茶会になっちゃうよ。私の場違い感が際立っちゃうよ。誰かたすけてぇぇぇ)




~職員室~

凛「はっ!?かよちんが助けを求めてる気がするにゃ。先生!一大事です」

教師「あなたの英語の成績の方が一大事です」

「即席麺」

真姫「ねえ?」

絵里「なあに?」

海未「どこか分からないのですか?」

真姫「ううん。違うの…そろそろ休憩にしない?」

海未「休憩ですか?」

真姫「うん」

絵里「まだ1時間だけど…休憩にしましょうか?」

海未「そうですね」

真姫「あの…絵里?」

絵里「ん?」

真姫「例の奴…持って来てくれた?」

絵里「例の?………ああ、こないだ言ってたあれね?今食べるの?」

真姫「ダメ?」

海未「あの…なんの話ですか?」



絵里「真姫がね、カップラーメンを食べた事がないって言うから持って来てあげるって約束してたのよ」

海未「カップラーメン…ですか」

真姫「海未は食べた事あるの?」

海未「まあ…普段は食べないのですが登山に行った時などは持っていくので」

真姫「へえ。私は今まで食べる機会がなくて」

絵里「で、偶に部室で凛が食べてるのを見て興味を持っちゃったのよね?」

真姫「だって…だって信じられないじゃない。容器にお湯を注ぐだけでラーメンが食べれるなんて。まるで魔法じゃない」

絵里「魔法なんて大袈裟な…」

海未「でも、真姫が言ってる事分かります。今でこそ食べる機会が増えましたが幼い頃はなかなか食べる機会がなくって。父が偶に隠れて食べてるのを目撃しては憧れた物です」

真姫「そうだったのね」

海未「ええ。なので、真姫と一緒だったのです」

絵里「それじゃあ、三人で食べましょうか?真姫が何を食べたいか分からなかったから色々持って来たのよ?」

真姫「そうなの?」

絵里「ええ。醤油に味噌に塩、シーフードにカレー味なんてのもあるのよ」

真姫「どれがオススメなの?」

絵里「そうね…真姫は初めてだし醤油がいいんじゃないかしら?」

真姫「じゃあ、そうするわ」

絵里「海未はどうする?」

海未「では、私はシーフードを頂きます」

絵里「あら?海未だけに?」

海未「ち、違います。そんな事を言ったつもりじゃないです」

絵里「ふふっ、それじゃあお湯に入れてくるから」

真姫「待って」

絵里「え?」

真姫「あの…お湯を注ぐ所からやりたいんだけど…」

絵里「そう。それじゃあ、皆んなでお湯を注ぎに行きましょうか?」

真姫「うん」

海未「あの、違いますからね?私は決して駄洒落を言おうとした訳ではありませんから!」

「カップラーメン」

真姫「お湯を入れて直ぐに食べれる訳じゃなかったのね。待ち時間があったなんて。まあ、普通に考えればそうよね…」

絵里「お湯を入れて3分間」

真姫「3分間…」

絵里「そうよ?たったの3分間。でも、この3分間がとっても長く感じるのよね。中には待ちきれずに硬い麺を後悔しながら食べる人がいる程よ?」

真姫「確かに…ただ待つだけって…辛いって言ったら大袈裟だけど…そうね…絵里の言ってる事は理解出来るわ」

海未「そうでしょうか?」

真姫「え?」

海未「私はそうは思いませんが」

絵里「そう?」

海未「ええ。私は我慢した時間の長さが最高の調味料になると思うのです。3分間キッチリと我慢出来た者だけが美味しいラーメンを食べれる…なんて言ったらそれこそ大袈裟ですけどね?」

真姫「海未ってやっぱり思慮深いと言うか」

絵里「真面目よね」

海未「そうですか?」

絵里「そうよ」

真姫「そこが海未の良い所なのよね」

絵里「欠点でもあるけどね…」

海未「え?今何か?」

絵里「ううん。何んでもないわよ。なんて言ってる間に3分経ったわね」

真姫「あっ、本当だ」

絵里「それじゃあ、食べましょうか?」

海未「ええ。そうですね」

絵里「それじゃあ」

三人「頂きます」

ズルズル~

絵里「どう?」

真姫「美味しい…。美味しいわ。何これ?凄く美味しい。こんな美味しい物がお湯を注いで3分なんて…信じられないわ」

絵里「ふふっ。そうでしょ?」

真姫「ええ、本当にびっくり。こんなに美味しい物があるなんて」

絵里「そうね。私も初めて食べた時の事を思い出したわ。軽いカルチャーショックだったもの」

海未「偶にはこう言ういうのも良いですね」

「フタ」

絵里「あら?」

真姫「どうしたの?」

絵里「いえ…ちょっとね…この問題が結構難しくって…授業で理解したつもりだったんだけど…」

海未「絵里が問題を解けないなんて珍しいですね」

絵里「別にそんな事もないわよ?この中じゃ最上級生だから教える場面が多くてそう見えるだけよ」

真姫「そっか。いつも教えて貰ってばかりで絵里に教える事が出来る人がいないものね」

海未「確かに…そう言われればそうですね」

絵里「違うの。そう言うつもりで言ったんじゃないの。それに…ほら?人に教える事によって自分の勉強にもなるんだから。何よりあなた達と勉強会をするのが結構好きなのよ、私…」

真姫「そう。なら…これからも遠慮なく分からない所は質問するわね?」

絵里「ええ。そうして」

海未「ふふっ。それじゃ、少し休憩にしましょう?頭の中をリフレッシュすれば解けなかった問題も解けるようになるかもしれません」

絵里「じゃあ、お茶入れてくるわ」

海未「あっ、私が」

絵里「いいの。私が入れてくるから待ってて」

真姫「やっぱり絵里は頼りになるわね」

海未「そうですね。絵里が加入していなかったらと考えると…ゾッとしますね」

真姫「ふふっ、言えてる」

海未「ですね」

真姫「私もいつか絵里や海未みたいになれるかしら」ボソッ

海未「え?何ですか?」

真姫「な、何でもない。何も言ってないわよ」

海未「真姫は真姫でいいじゃないですか」

真姫「なっ、なによ、聞こえてたんじゃない」カァァァ

海未「何のことでしょう?」

真姫「もう」

絵里「ちょっとぉ」

真姫「え?何?」

海未「何ですか?大きな声を出して?」

絵里「あの…コーヒーがあったからいれようと思ったんだけど。ビンのフタが開かないのよ」

真姫「あ~なるほど」

絵里「自慢じゃないけど私って非力なのよね。全然腕力がないの」

真姫「本当に自慢にならないわね」

海未「でも、バレエをやっていたんですよね?」

絵里「何年前の話だと思ってるのよ。それに腕力はそこまで重要じゃないし」

海未「まあ、それもそうですね」

真姫「私も力は全然ないわよ?」

絵里「って事は…」

海未「任せてください」

絵里「やっぱり海未ね」

海未「フンッ」

キュッ

海未「か、固いですね。ですが………はあ、はあ…そんな…」

絵里「海未?あの…無理ならいいのよ?」

海未「いえ、このフタは園田の名にかけて必ず開けてみせます」

絵里「ええ?そんな家名を背負う程の事じゃないわよ?」

海未「コーヒーには…脳のリフレッシュ効果があると聞いた事があります。絵里が難問を解くためにも…コーヒーは…必要なのです…ぐぬぬっ」

真姫「ねえ?」

海未「はい?」

真姫「ビンの方を回してみたら?」

絵里「え?ビンの方を?」

真姫「だってビンの方が触れる面積が大きいだからその分力も掛けやすいんじゃない?」

絵里「確かに…」

海未「はっ!!」

カポッ

海未「真姫の言う通りにしたらすんなり開きましたね」

絵里「流石…真姫ね」

「お誘い」

真姫「で、ここなんだけど」

海未「これはですねここでこうすると」

ガチャ

穂乃果「絵里ちゃん」

凛「遊ぶにゃー」

希「ささっ、えりち?早く支度してな?」

絵里「…今、勉強してるんだけど」

海未「なんなんですか?」

真姫「はあ…騒がしいのが来たわね」

希「あれ?えりちだけじゃない…」

凛「真姫ちゃんが既にあっちの手中に入るにゃ」

穂乃果「って言うか海未ちゃんいるし。放課後用事があるって言ってたからてっきり弓道部か生徒会の仕事かと…」

真姫「生徒会の仕事なら穂乃果も行かなきゃダメでしょ」

海未「なんです?私が絵里と一緒に居たら何か困るのですか?」

凛「いやぁ、うん…まあ、凄く困るにゃ」

海未「ほう…なぜ?」

希「ちょっ、凛ちゃん。何を言ってるんや」

穂乃果「困んないよ?全然困んないからね?」

絵里「あなた達…今日は随分と大人しいのね?」

希「いやぁ…そんな事はないやん?ねえ?」

穂乃果「うん。全然そんな事ないよ。なんならいつもより騒がしいくらいだよ」

絵里「へえ。そうなの?てっきりいつもみたいに勉強の邪魔をしに来たのかと思ったわ」

穂乃果「そ、そんな訳ないじゃん。誰かと間違えてるんじゃないの?」

希「あ~それやね。にこっち!にこっちと間違えてるとウチは思うんよ。ね?」

凛「うん。その通りにゃ。だから、海未ちゃん?凛達は何もしないから怒らないで欲しいにゃ」

海未「誰も怒るとは言ってませんが?」

穂乃果「だよね?」

海未「はい。でも、不思議ですね?なぜ私が怒ると思ったのでしょう?」

真姫「そうよね?別に怒られる理由なんてないのにね?何をビクビクしてるのかしら」

穂乃果「いやぁ…それは…」

絵里「で?あなた達は結局何しに来たの?」

穂乃果「えっと…その…あれだよ?どうする?」

希「まさかの展開やからなぁ」

凛「海未ちゃんがいるとは思わなかったもんね」

穂乃果「でもさ、よくよく考えたら穂乃果達は絵里ちゃんを誘いに来ただけなんだよね?それって怒られる様な事じゃないよね?」

希「確かに…別にテスト期間でも何でもないしね?たまたま、三人が勉強してただけやもんね」

凛「うん。むしろテスト期間でもないのに勉強してる方がおかしいにゃ」

穂乃果「でしょ?だから堂々としてればいいんだよ」

希「確かにそうやね」

凛「流石穂乃果ちゃんにゃ」

穂乃果「三人とも」

絵里「何?」

真姫「まだ何かあるの?」

海未「はぁ…勉強が進まないじゃないですか」

穂乃果「もう勉強なんかいいじゃん。遊ぼうよ。絵里ちゃん家で人生ゲームでもやろうよ」

絵里「あのねぇ…」

穂乃果「別に穂乃果は友達を遊びに誘っただけ…なんだけど…海未ちゃん?なんか顔怖いよ?」

海未「」

海未「あなたの言い分は分かりました。ですが、穂乃果?」

穂乃果「な、何?」

海未「あなたが今しているのは勉強の邪魔です」

穂乃果「いや…あの…違うよ…ね?凛ちゃん?希ちゃん?」

希「いやぁ…穂乃果ちゃん?勉強の邪魔をしたらあかんやん?」

凛「そうだよ。皆んな真剣に勉強してるんだから」

穂乃果「え?嘘でしょ?裏切るの?」

希「裏切るなんて人聞きの悪い言い方やん」

凛「うん。凛達は最初から海未ちゃんに逆らう気は無かったにゃ」

穂乃果「そんなあ…ズルイよ」

海未「そうだ!言い方を考えました!」

穂乃果「え?何?」

海未「せっかくなので穂乃果達も一緒に勉強会をしましょう?」

穂乃果「え?」

凛「達?」

希「ウチも?」

絵里「それはいいわね」

真姫「たしかに」

穂乃果「で、でもほら?三人の勉強についていけないし…迷惑かけちゃうよね?」

凛「うん。そうだよ」

海未「そこで騒がれる方が迷惑ですから」

真姫「その通りね。普段から勉強しないんだから良い機会だわ」

絵里「じゃあ、決定ね。仲良く勉強しましょう?」

希「最悪や。別にウチは勉強する必要ないのに」

凛「穂乃果ちゃんのせいにゃ」

穂乃果「踏んだり蹴ったりだよ」

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