女「殺したい私と」男「殺されたい僕」 (17)

・オリジナルSS
・殺したい少女と殺されたい少年のお話

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男「はあ、生きるの飽きたなぁ」

女「ねえ、君はこの世界が嫌い?」
 
男「嫌い...いや、そうでもないかな だってどうでもいいんだから」

女「へえ、 初めてそんな答え聞いたよ じゃあさ君は殺されたいって思う?」
 
男「どっちかを選ばなきゃいけない?」
 
女「うん、もちろん」
 
男「なら、僕は殺されたいかな」

女「中々イカれてるね 今すぐ君を殺したい気分」
 
男「君は変わってるね」
 
女「よく言われる」


 

女「でも、言ってる事は私の方が正しいよ」

 
男「そうかな」 
 
女「殺す快感は何度でも味わえる でも、殺される快感は一度しか味わえない」

 
男「つまり1度だけじゃつまらないと?」
 
女「そう、快感って言うのはね何回も繰り返し積み重ねてこそなんだよ」

男「ちょっと間違ってるかな だって殺される事は何回もできるよ」
 
女「確かに肉体だけじゃなくて精神
、感情、そして」
 
男「そう、既に僕は希望を殺された」
 
女「それは誰に?」

 
 
男「それが分からないんだ 最初から殺されていたのかそれとも気付かないうちに殺されていたのか 」

 
女「そっか、でもすぐに分かるよ」

女「じゃあそれ以上何を殺されたいの?」
 
男「それも思い出せないんだ 都合の悪い事に」
 
女「誰かの策略によってそう思わされてるのかもね」
 
男「...そうだね ところで、何時までこの話は続けるんだい」
 
女「あれ、飽きちゃった?私は結構楽しかったんだけど」
 
男「いや、そうでもないよ 時間も無限にあるしね」
 
女「じゃあ話の続き どうして君は生きるのに飽きたの?」
 
男「うーん、君みたいな面白い人に出会えなかったからかな」
 
女「ありがとう、嬉しい」
 
男「僕は普通が大嫌いなんだ 普通よりかは異常を選ぶよ」
 
女「そうだね、でも私は人を殺す事は普通だと思ってるよ」
 
男「それが君の生きがいだもんね」

女「生きがいとはちょっと違うかな 私にとっては息をすることと同じくらい普通なんだから」
 
男「それは怖い」
 
女「怖くないさ よっぽと下手に希望を与え絶望に落とす社会の方が怖いよ」
 
男「それは言えてるや」
 
女「君も既に殺されたもんね 私に」
 
男「...」
 
女「知ってた?私達が幼なじみだって事」
 
男「いや、忘れたよ」
 
女「じゃあさその時の話をするよ」
 

女「私は幼い時からよく異常者って言われてきた」
 
男「それは僕もだよ?」
 
女「うん、だから君と私は仲良しだった でも、仲が良くなり過ぎたのかな」
 
男「何かあったの?」
 
女「うん、確か一緒に崖から落ちたんだっけ」
 
男「へえ、それは怖い」
 
女「もちろん、親や学校の先生、社会の人にも怒られた」
 
男「まあ、そうだろうね」
 
女「でも、その時気付いたんだよね 」
 
男「自分の異常さに?」
 
女「いや、君への好意が」
 
男「...そうなんだ」

女「だからさ、謝って起きたいことがあるんだ」
 
男「うん」
 
女「君の生きる希望を殺したのは私なんだ ごめんね」
 
男「いいよ、きっと君はもっと色んなことを僕にしただろうし」
 
女「よく分かったね、洗脳や調教色々したよ」
 
男「そして見事に引っかかったと」
 
女「そうなるね、まるで私の操り人形だよ君は」
 
男「間抜けだなぁ 僕は」
 
女「そんな事はないと思うよ 私だってもしやられていたら危なかったし」

男「それは無いよ 君天才だから」
 
女「天才?そうかなぁこれが普通だよ」
 
男「皆にとっての異常は君の普通だもんね」
 
女「君にとっては?」
 
男「分からない...だけど、普通じゃないかな」
 
女「それはどうして?」
 
男「いつだって君の言う事は正しいからだよ」
 
女「さっきから嬉しい事ばっかり言ってくれるね」
 
男「喜ばそうと思って言ってるわけじゃないんだけどね」

女「それじゃ昔話を再開させようか」
 
男「うん、興味あるよ」
 
女「さっきの崖から落ちた話が小学生の頃 次は中学生の頃の話」
 
男「僕はどんな感じだったの?」
 
女「もう完成されていたんじゃないかな 何もかも」
 
男「へえ、君は?」
 
女「私は虐められてた記憶しかないや 君関連で」
 
男「僕のせいで虐めが?それは許せないな」
 
女「君は一切悪くない すべて私の自業自得」
 
男「それでも虐められるのはおかしいよ それで虐めは?」
 
女「うん、君が解決してくれたんだよ 本当に感謝してる」
 
男「ありがとう、でも当然の事なんだよ」

女「何もかもどうでもいいから?」
 
男「そう、君以外はね」
 
女「私に興味があるなんて、本当に変わってるよ」
 
男「もういいんだ、分かりきってるし」
 
女「じゃあ、最後に今 高校生になった事の話をしよう」
 
男「僕って高校生だったんだ知らなかった」
 
女「そうなんだよね それで、高校生活だけど中学校より酷かったかな」
 
男「どうして?」
 
女「君が虐められてたからだよ 変なやつだって噂が立ってさ」
 
男「それで君はどうしたの?」
 
女「クラスメイト全員皆殺しだよ」
 
男「そっか、だからここに君と僕しかいないんだ」

女「そう でも、楽しくなんてなかった 生きる価値のない人間を殺しても」
 
男「じゃあさ僕は生きる価値があるのかな 生きる希望は無くしたけど」
 
女「大丈夫 君以外生きる価値と殺される価値のある人間はいないよ」
 
男「そっか良かった なんか君と話してると楽しいね」
 
女「私もだよ だって大好きな君と話せてるから」
 
男「好き...か そう言えば僕らは付き合ってるの?どうやら両想いのようだけど」
 
女「大丈夫 既に付き合う以上の深い関係だから」
 
男「殺す、殺されるの関係?」
 
女「そう、この関係が心地よくて気持ちいい」
 

男「じゃあ君は僕にどんな感情を抱いてるの?」
 
女「愛、憎しみ、嫉妬、特別な関係 ってところかな」
 
男「憎しみ?君は僕を憎んでるの?」
 
女「そうじゃないんだ なんて言うかな 憎しみは愛の裏返し だから愛なんだよ」
 
男「へえ、愛って深いなぁ」
 
女「まあ、本当は愛で表せるほど君への想いは小さくないけど」
 
男「愛ってなんなの結局?」
 
女「まあ、言ってしまえば独占欲かな 君が私以外と話せば殺意が溢れるみたいな」
 
男「独占欲で人が殺せるなんて初耳だよ」
 

女「どんな感情だって人は殺せるよ 愛でも憎しみでも独占欲でも」
 
男「じゃあ僕が君に希望を殺された時はどの感情で殺されたの?」
 
女「何だろう、強いていえば恐怖かな」
 
男「それは殺すことに対する?」
 
女「いや、君が生きる希望を持ってしまう事への恐怖だよ」
 
男「なるほど、僕に生きて欲しくなかったから希望を殺したと」
 
女「まあ、そうなるのかな 傍から見ればおかしい事を言っているけど」
 
男「そもそも殺す殺される って物騒な言葉だよね」

女「物騒かぁ 日常的に纏わりついてきた言葉をそんな風に捉えたこと無かった」

男「纏わり付く...ね」

女「それによく考えてみてよ 人を殺すなんて案外簡単なんだよ?誰もしようとしないだけで」
 
男「どうして、普通の人は人を殺さないの?」
 
女「人を殺す事はダメなことだから...としか言えないかな」
 
男「じゃあ君は悪い人間になっちゃうじゃないか」
 
女「そうだね、でも私は君以外に興味は無いからそう思われてもいいんだ」
 
男「そっか、僕は殺すって事がよくわからないから何も言えない けど君はいい人だよ」
 
女「ありがとう 初めてそんな事言われてた」
 
男「だって僕は虐められてんだよね?そんな人間と話してくれるだけで有難いよ」
 
女「そう...私以外君の味方はいなかった 君以外生きる価値なんてなかった」

女「ねえ、そろそろ一緒に死なない?」
 
男「いいよ、でももちろん君が殺してくれるよね?」
 
女「いいけど...やっぱり君は変わってるよ」
 
男「だって、好きな人に殺されたいって思う事は普通じゃないの?」
 
女「...ふふ、そうだったね じゃあ、最後にさ私の罪を言わせて」
 
男「うん」
 
女「私は、君を洗脳した 私を普通に思えるように、私以外どうでもよく思えるように、私だけを好きになれるように」
 
男「最後だけは洗脳しなくても良かったんじゃないかな」
 
女「え?」
 
男「言ったじゃないか 君が好きだったって きっと生まれたときから」
 
女「...そっか、洗脳なんかしなくても良かったんだね」
 
男「でも、洗脳してくれてありがとう お陰で幸せだった」
 
女「私もだよ じゃあ男くん」
 
男「うん、女さん」
 
女「愛してるから死んでください」
 
男「愛してるから殺してください」
 

以上です
ただ、狂気に溢れたSSを書きたかっただけです
では、HTML化依頼してきます

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