遊矢「精神世界に行くことに成功した」 (36)

※漫画版ARC-VのSS
※ギャグ漫画のノリ&キャラ崩壊
※勝手に設定モリモリ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507990248

ユート「そうか…この世界に、とうとう遊矢も来たんだな」

ユーリ「前々から散々試していましたからね…とりあえず、おめでとうと言っておきますか」

ユーゴ「おう! やっぱ現実世界よりこっちの方が遊矢と話しやすくていいな! 嬉しいぜ!」


遊矢「うん、ユート…ユーリ…ユーゴ。俺もすっごい嬉しい…」



遊矢「…でもさ、なぜか俺を木に拘束しているこの蔦をどうにかしてくれたらさあ…
俺、もっともっと嬉しいんだけどさあ……」ギチギチ

遊矢「ていうか何にこれえ!? ちょっと、3人とも見てないで助けてくれよお!」ギチギチ

ユート「いや、それは…」

ユーゴ「あー、えーっと…だな…」

ユーリ「…遊矢、男は、諦めが肝心なのです」

遊矢「いやいやいや、頼むから諦めないでよ頼むから! めっちゃきつくて死にそうなんだけど!」

ユーリ「…まあ、落ち着いてください。君は、ひとつ勘違いをしているのです」

遊矢「え?」

ユート「そうだ。その蔦はな…遊矢が危ない目に合わないように、ユーリが用意したものなんだ」

遊矢「はあ?」

ユーリ「本当ですよ。その蔦は今日というこの日に備えて僕が長々と品種改良を重ね…」クドクド

遊矢「いやいやいや。俺がこうして縛られているのと、危ない目に合う云々がどう関係しているのさ?」

ユーゴ「ふっ、いいことに気がついたな、遊矢。あのだな、この世界はお前が思った以上に危険なんだ」

遊矢「はあぁ?」

ユーリ「蔦の伸縮性、強度、葉の枚数から花の可憐さまでテストと
記録の日々は大変ながらも、非常に充実してまして…」クドクド

遊矢「ちょおっと待って、ユーゴ。ここは曲がりなりにも俺の世界なんでしょ? 危険なわけないでしょ!?」

ユーゴ「まあまあ待て待て。そう思いたい気持ちはもっともだ。だがよく考えてみろ。
遊矢はこの世界来るの初めてだろ?」

遊矢「…うん」

ユート「対して、私たちはむしろこの世界にいる時の方が長い」

遊矢「……うん」

ユーゴ「つまり、この世界に関しては俺たちの方が先輩なわけだ」

遊矢「…………うん」

ユーリ「先輩の言うことは、きちんと聞くべきですよ。あ、ユーゴの言うことは聞かなくて結構です」

ユーゴ「うおぉい! なんでだ! なんでそこで俺をハブる!」

ユーリ「だって、君のことだから遊矢に変なこと吹き込んだりするでしょうに」

ユーゴ「吹き込むか! お前、俺をなんだと思ってるんだ!」

ユーリ「D-ホイールにしか欲情しない男以前に人間として欠陥ありきの大変態」

ユーゴ「上等だてめえ! 今すぐD-ホイールで轢き潰してぇ粗挽き肉団子にしてやらあ!」

ユーリ「おやおや、僕の鞭でパンクにまで追い込まれて涙目になったことをもうお忘れと見えますね。
よろしい、相手してあげましょう」


ユート「…また、始まったな」

遊矢「……あのさ、ユート」

ユート「…なんだ」

遊矢「そろそろ。割とマジでこの蔦どうにかしてくれないかな? 本当にきっつい」

ユート「…わかった。だが、約束してくれ。私たちの許可なしに決して動いたりしない、と」

遊矢「…うーん、仕方ない…ね。自分の世界なのに、
謎の人格たちに牛耳られてるのはちょっと虚しいものだよなぁ…」

ユート「別に、牛耳ってるつもりはなかったのだが…」



ユーゴ「いくぞぉ! 歯を食いしばれぇ!」ギャルルルル

ユーリ「やれやれ、血気盛んな変態は困りますね」ビシッ

ユート「…永続罠『幻影剣』発動」シャキーン

ユート「すまない、少しじっとしていてくれ」ザクザクザク

遊矢「おー、ありがとう。やっぱりユートもカードの実体化できるのか。
…あれ、でもこれってリアルソリッドビジョンだから? それとも精神世界だから?」

ユート「…まあ、両方…ってところだな」

遊矢「うーん…要領を得ない答えな気がするなあ」



ユーリ「あ、ああああああ!! ユート!! 君ってやつはなんてことを!!」

ユーゴ「今だ! 隙ありぃ!!」ブォォオオオ!

ユーリ「君はお黙りなさい!」フュン!

ユーゴ「ふぎゃ!」クビニクリーンヒットシテフットビーノ 

D-ホイール「セイギョウシナッテコロガリーノ」


ドンガラガッシャーン…



遊矢「…うわー、あれギャグみたいな絵柄だけどギャグで済むのかなあ…」


ユーリ「ああ、僕の神経毒花生成品種改良七十二番シラクチカズラが!
ここまで綺麗で頑丈な蔦を作るのにどれだけ苦労したか…!」

遊矢「えっ、神経毒…?」

ユート「落ち着け。これのせいで遊矢が辛い思いをしていたんだ。
私は、遊矢が苦しむ姿は見たくない。それはお前も一緒だろ?」

ユーリ「しかし、僕は遊矢のためを思って…」

遊矢「ねえちょっと、毒って何。毒って」

ユート「大丈夫だ。確かに、遊矢は少し後先考えない困った所はあるが…
遊矢は何も分からない子供ではない。私たちがきちんと話をしてくれれば分かってくれる」

ユーリ「…そうかも、しれませんね」

遊矢「あのさ、無視しないで。マジで毒あるの、これ? 
ねえ、本当にこれは俺のためなの? 俺を抹殺するためじゃないよね?」

ユーゴ「ユーリィィイ…テメエェ…..」ヨタヨタ

ユーリ「おやおや変態さん。大事な大事なD-ホイール君は平気でしたか?」

ユーゴ「あいにく、俺様の『TK2000SP』はあの程度で壊れるシロモノじゃねーんだよ!
それよりお前! 蔦に毒を仕込んだって本当か!」

遊矢「おお、やっとつっこんでくれる人が現れてくれたよ…」ホロリ

ユーリ「仕込んだとは人聞きの悪いですね。確かにあれは毒を生み出す品種改良を施してありますが
ちゃんと今日は毒なんて出ないように調教済みなんですよ」

遊矢(...あれえ? 植物に調教…?? その主語にその述語はくっつくものなの?)

ユーゴ「お前…そんなこと言って、実は毒で遊矢の気を失わせといて
あんなことやこんなことをする気だったんじゃねーだろーな!」

遊矢(...あんなこと…..こんなこと…えっと、何、ユーリって、そういう人なの…?)

ユーリ「何も知らないで物事を言うことほどお間抜けなことはありませんね。
そういう毒はもっと別の子が持っているものですよ」

遊矢(そういう毒!? それってどういう毒!? え? マジで? ちょちょちょっ…)

ユーリ「あ、遊矢は気にしなくていいですよ。これ、冗談なので」

遊矢「ねえ、その言葉。本当に信じていいんだよね!? 滅茶苦茶縋りつきたいけど、怖いよ俺は!」

遊矢「…んで、俺の世界なのにも関わらず、俺が自由に動いちゃいけない理由って、なんなのさ」

ユート「さっきも言っただろう。この世界は、危険なんだ」

遊矢「だからそれが納得いかない! 俺の心の中が荒れてるって言いたいの!?」

ユーリ「そういうわけではないんですよ。それとこれは別の問題なのです」

ユーゴ「そうだそうだ。遊矢は昔っから…じゃなくて、とにかくいいやつだってのは俺たちがよく知ってるからなー」

遊矢「別の問題って…というか、そもそも具体的にどう危険なのさ」

ユート「実は…だな。…その、ここには、恐ろしいモンスターが…うようよと…」

遊矢「も、もんすたあ?」

ユーリ「ええ、例えば人を食らう恐ろしい植物のモンスターとか」

ユーゴ「…人を襲う、おもちゃのモンスターとか」

ユート「……魂を求めて彷徨う、鎧に宿った幽霊のモンスターとか」



遊矢「それ君たちのデッキのモンスターじゃん! 
何!? まさか俺の心の中で放し飼いにしてるんじゃないよね!?」

ユーゴ「ち、違う! SR達が勝手に!」

遊矢「どっちにしろ君たちの躾不足じゃないか! ああもう俺の世界はどうなっちゃってるんだ!」

ユーリ「ほら落ち着いてください、遊矢。イライラすると肌に悪いですよ」

遊矢「誰のせいだと思ってんのさ!」

遊矢「…よしっ。もう、俺は決めた」

ユーゴ「な、何をだ…?」

遊矢「俺は今までG・O・D探しで忙しかったけど、そのせいで謎の人格達に
俺の世界が好き勝手されてしまうという失態をおかしてしまっていたことに気づいた」

遊矢「だから、これを機に俺の世界をあるべき姿に戻さないといけない!」キリッ

ユート「…それは、まさか」

遊矢「そう、そのためにはまずこの世界を隅から隅まで視察する必要がある…」

遊矢「そしてここには、ちょうどこの世界の『先輩』らしい人格達がいるようだからね」ニヤッ

3人「ピクッ」

遊矢「まさか嫌なんて言わないよね? 人の世界をめちゃくちゃにしたんだから…」ニッコリ

ユート(…遊矢が黒い、黒いぞ……)

ユーリ(思った以上に、怒っているようですね…)

ユーゴ(やべえよやべえよ…俺の世界だの言ってることがまるで覇王様だよ…)

ユート「…ああ、わかった」

ユーリ「かわいい遊矢の頼みです。仕方がありませんね」

ユーゴ「ちょっ、ユート! ユーリ!」

遊矢「…あれ、意外とあっさり承知してくれた?」

ユート「でも、その前にシンキングタイムだ」ガシッ

ユーゴ「ふぇ?」

ユーリ「そうですね。この世界は広いので観光ルートの相談が必須なので」ガシッ

遊矢「いや、観光って…」

ユート「そこで少しだけ待っていてくれ」ズルズル

ユーリ「あ、絶対動いちゃダメですよ。迷子になりますから」ズルズル

ユーゴ「ちょっ、おま、ぐえっ、引っ張る、な! つか、何、ひきづっ、ぐええ!」ジタバタ




遊矢「…なんていうか、愉快な連中だなあ……俺の人格なんだろうけど」

ユート「随分、面倒な流れになったな…」ヒソヒソ

ユーリ「全くです。遊矢の好奇心旺盛なところは変わってないようで…」ヒソヒソ

ユーゴ「ていうかお前ら何了承してんだよ! 遊矢がここうろついたらマズいって何回も言っただろ!」

ユーリ「声が大きい」ビシッ

ユーゴ「ふぎゃ! お前鞭はやめろって!」

ユート「まあ落ち着け、ユーゴ。どちらにせよあの様子じゃ、こちらが拒否したところで承知しないだろう」

ユーリ「そうでしょうね。それならいっそのこと遊矢を満足させ、
穏便に現実世界へ帰らす方が賢い選択ではありませんか?」

ユーゴ「むうう…分からなくもねーけどよお。
でも、もし! 万が一にも遊矢が記憶に触れちまったら…!」

ユート「だから、その可能性がもっと低いような場所を案内してやればいい」

ユーリ「そうですね、例えば……」

遊矢「…風、気持ちいいなあ……」


ユーリ「遊矢、お待たせしました」

ユート「今から私たちが、ここを案内しよう」

ユーゴ「………」ムッスー

遊矢「…あ、本当に? …何も、企んでない?」

ユート「…いや、別に」ツト

遊矢「なんで視線そらすの」

テクテクテクテクテクテク


遊矢「...大分歩くね」

ユーリ「まあ、人の心というのはえてして広いものですからねえ」

ユーゴ「広すぎて移動するのには苦労するけど、D-ホイールの練習にはありがたいぜ」

遊矢「だーからなんで君たちは人の心の中を好き勝手に…」

ユーゴ「いいじゃねえか、せっかくの有効活用なんだからよ」

遊矢「や、活用するとかそういう問題じゃなくてだね…」

ユーリ「ほら、そう喋ってないで。もうすぐで着きますよ」

遊矢「はあ…ていうか、俺たちはどこに向かってんの?」

ユート「…私の家だ」

遊矢「は?」

ユート「……私の、家、だ」

デデーン

遊矢「はあ…なんというか、森の中のログハウス的な…」

遊矢「…っておいちょっと待って! 何!? 君たち俺の心の中で住居まで構えてんの!?」

ユート「…まあな」

ユーゴ「なんだよ、俺たちに野宿して暮らせってのか? それはちょっと心が狭いんじゃねえの?」

遊矢「心が狭いも何も俺に一言もなしに悠々自適してんじゃないって言ってんの!」

ユーリ「まあまあ、落ち着いてください。僕たちがこの世界に産み落とされたばかりの頃は
悠々自適とはいきませんでしたよ。最初の晩は寒々しい夜空のもとで、三人身を寄せ合い震え...」

ユート(...ものすごく白々しい......)

ユーゴ(『この線から向こうは僕の領地ですからね』とかガキみてえなことやってたじゃねえか...)

遊矢「だからってねえ...いや、もういいや。君たちの自由っぷりに一々突っ込んでたらキリないよ...」

遊矢「というか、小さめとはいえこんな立派な家どうやって建てたのさ...。
まさか、モンスターに手伝ってもらったとか、そういうこと?」

ユート「...まあ、私の場合は確かに多少活用したが...現実世界に比べれば、
家を建てる程度のことなら、ずっと容易にできる」

遊矢「...へ? そーなの?」

ユーリ「そーですね。現実世界とは色々と勝手が違います。
木を切ったり持ったり組み立てるのも、この世界ではある程度の筋力さえあれば問題ないのです」

遊矢「へえ、流石精神世界って感じだね。...で、ユート。ちょっと家の中見てみていい?」

ユート「...構わないが」

ガチャ

遊矢「...うーん...なんていうかすっごいシンプルだね。最低限のものしかないじゃん」

ユーゴ「ユートって無駄が嫌いなやつだからなー。そんなに以外か?」

遊矢「いやあ、ユートのイメージとしては、なんかこう暗い感じで部屋にはあの幻影騎士団モンスターがウヨウヨいるのかと...」

ユート「…今なら、お前の後ろにいるぞ」スッ

幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ「...」

遊矢「ぎゃああっ!? ちょちょっと! 急に真後ろに出てびっくりさせないでよ!」

ロスト・ヴァンブレイズ「...」シュン

ユート「すまない...夜ならもうちょっとはっきり見えるんだが...昼間だから気づきにくくなっててな」

ユーリ「遊矢が言っているのはそういうことではないと思いますが...」

ユーゴ「全く、ユートってどこかズレてるよなあ...」

ユーリ「...君のズレ具合に比べれば、ユートなんてかわいいものですよ」

ユーゴ「あ?」

ユート「こいつはともかく、他のモンスターは人見知りだから今は二階にいると思うが...見ていくか?」

遊矢「人見知りのモンスターって何さ...。いやユートはもういいや。次はユーゴの家を見にいくことにするよ」

ユーゴ「...えっ、俺ん家に...来んのか...?」

遊矢「そりゃあね。君たちがいかに俺の世界で好き勝手してるのかちゃんと確認しなきゃ」

ユーゴ「いや...やめた方がいーんじゃねえか...ホラ、俺ん家はD-ホイールの整備機器しかなくてつまんねーぞ...」

遊矢「別につまるつまらないで家巡りをするわけじゃないし...」

遊矢「それに...俺、D-ホイールとかいうのには、結構興味があるんだ」

ユーゴ「!」

遊矢「記憶はあんまりないけど...なんか、D-ホイールにはちょっと...心惹かれてさ。
だからこの際、D-ホイールの機器でいっぱいだっていうユーゴの家、見させてもらおうかな」ニコ

ユーゴ(嘘だろ!? そっち方面の記憶も念入りに消してきたってのに...)タラタラ

ユーゴ(まさか、俺もあまり回れていない、遊矢の心の奥の方で...?)タラタラ

ユーゴ(......ヤバい。俺の家周辺は特に遊矢の思い出が消しきれないほど強く根付いてる。
万が一のことがあれば…)タラタラ

ユーリ「......」ハァ

ユーリ「遊矢。ここからなら僕の家の方が近いです。査察するなら、僕の方からやった方がいいですよ」

遊矢「...そう?」

ユーリ「そうです。ユーゴの家が気になるのは分かりますが、
そういうお楽しみは、最後にとっておいた方が賢い選択ではありませんか?」

ユーゴ(ユーリ...)

遊矢「うーん、それもそうか...。それじゃあ案内してよ、ユーリ」

ユーリ「承りました。さあ、行きましょう」

ユーゴ(...た、助かった...ぜ)ホッ

ユーリ「...」ニヤ

ユート(ユーリ...この件でユーゴに恩を売って...また何かエゲツないことをやらせる気だな...)

ロスト・ヴァンブレイズ「…」バイバイ





ユーゴ(...あれ、待てよ)ピク

ユート(ユーリの家...って)ピク

テクテクガサガサ
テクテクガサガサ


遊矢「うへえ、こんなジャングルみたいなとこにユーリは家建てたの?」

ユーリ「そうですね。こういう自然に囲まれた暮らしも悪くはないですよ」

ユート「......」

ユーゴ「......」

遊矢「...で、あの二人はどうしたの? これから伏魔殿に向かうような顔して」

ユート「...あながち、間違ってはない」ボソ

遊矢「はい?」

ユート「いや、なんでもない」

ユーリ「この二人は僕の家に近づくたびにいっつもこうなんですよ。全く失礼なことです」

遊矢「...なーんだか嫌な予感がする... 」

遊矢「...ん? あれ、何これ?」

ユーゴ「...どうした、遊矢?」

遊矢「いや...こんな所に、何だろうこのガラスの破片みたいな...」スッ

ユーリ「危ない遊矢っ!!」ムチヲビシ-

遊矢「ふぎゃあ!?」バシュ

破片「クウチュウニフットビ-ノ」

ユーリ「ユート!」

ユート「永続罠『幻影剣』!!」スパスパスパ

破片「ヤッツニキリサカレ-」

ユーゴ「輝く翼 神速となり天地を照らせ! 現れろ! 『クリアウィング・ファスト・ドラゴン』!!」

クリアウィングファスト「ギャ-ス」センプウノヘルダイブビ-ム

ビ- ドゴ-ン!!

破片「コッパミジンニナリ-」

遊矢「」

ユーゴ「...ふう、危ないところだったぜ」

遊矢「いやいやいやいや何!? 何なの君たち!? 俺を殺す気なの!?」

ユート「...いや、これは...」

ユーリ「遊矢がガラスの破片で手を切ると危ないから、跡形もなく掃除しただけですよ」シレッ

遊矢「嘘つけえ! ガラスの破片の掃除に鞭と剣と攻撃力2500のドラゴン持ち出す奴がどこにいるのさ! 危うく俺も消し炭になるとこだったじゃないの!」

ユーゴ「いやいや、大丈夫だからな遊矢! 俺のクリアウィングは狙いを外すようなヘマはしないから!」

遊矢「自分のSR達が勝手に動き回っちゃうような人の言うことは信用できないよっ!」

ユーゴ「うっ」ザク

遊矢「と、に、か、く! 今の俺の殺人未遂についてはきっちりと...」ズカズカ

ユーリ「あっ、遊矢そこの泥は危な......」

遊矢「始末をあれぇっ」ツルリ


スッテンコロリン ゴッツンコ!



遊矢「」

ユーリ「ああ、間に合いませんでしたか...」

ユーゴ「ゆ、遊矢...? おーい...」

遊矢「」

ユート「...気絶しているようだな」

ユーゴ「そ、そうか...自分の精神世界で気絶とか、器用なやつだな...」

ユーリ「...まあ、生身の体に影響はないでしょうが...。それよりもです。
ユーゴ、記憶の欠片を壊すだけなら僕とユートで事足りたのに、君のクリアウィングはやり過ぎです。
お陰で遊矢に怪しまれてしまったではありませんか」

クリアウィングファスト「...」シュン

ユーゴ「いや、そりゃ悪かったけどよお! 欠片のほんの一部でも
遊矢に触れるのが嫌だったから粉々にしたかったんだよ!」

ユーリ「その結果として遊矢に怪しまれてしまっては、逆効果だということまでには頭が回りませんでしたか。
全く、君のおつむの弱さには呆れを通り越して憐れみさえ覚えますよ」

ユーゴ「なんだとてめえコンニャロ!」

ユート「...喧嘩はやめろ、二人とも」

ユート「それよりも今は遊矢だ。このまま放置しておく訳には行かないだろう」

ユーリ「無論です。...仕方がないので、とりあえずは僕のベッドで寝かせておきましょう」ヨイショ


ユートユーゴ(...あっ)


ユーリ「よいしょっと...ああ、僕一人で充分なので、二人はここで待ってて...
ん、どうして手を合わせているんですか?」

ユート「...いや」

ユーゴ「...黙祷、みたいな」

遊矢「...う」

遊矢「......うーん」

遊矢「あれ...ベッド?」

遊矢「えっと...俺は確か......自分の精神世界で...スッ転んで...」

遊矢「うわあ...かっこ悪かったなあ。これじゃあマジシャンの面汚しだよ...」

遊矢「ってそんなことより、どこなんだ...ここ」

遊矢「...真っ暗でほとんど何にも見えない。多分、あの三人が俺を運んだんだろうけど...」

遊矢「...どこかに、電気のスイッチでもないの...?」フラフラ

ポトッ ビチャ!


遊矢「うっぎゃあ! びっくりした!...何この粘ついた水!」バタバタ


カチッ パッ

遊矢「あれ、なんだ...手元に電気スタンドが...」

遊矢「あっ...たの.........」



捕食植物キメラフレシア「シャァァァ...」ヨダレビシャビシャ

捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ「グパァ...」

捕食植物バンクシアオーガ「ギョロギョロ...」

にん人「ニンニン!」

捕食植物フライ・ヘル「ガチガチガチ...」

捕食植物スキッド・ドロセーラ「ギリギリギリ...」




遊矢「」

ぎゃあああああああああ!!!!





ユーゴ「ああ! やっぱり遊矢の恐怖の悲鳴が!」

ユート(...いくらデュエルで見たことがあっても、寝起きであんなモンスターに囲まれてれば
遊矢と雖もこんなになって当たり前か...)

ユーリ「おや、遊矢が起きたようですね。それにしても悲鳴を上げるくらい
僕のペット達が気にいるとは参りました。
いくら遊矢といっても大事なペットを渡すわけにはいきませんからね」ハァ

ユーゴ(なんでだ!? なんで、なんでそういう認識になるんだユーリはっ!?)

ユート(ズレ具合で言えば、ユーリが一番なのではないのか...?)

ユーリ「とにかく、遊矢が僕のペットを連れ去ってしまう前に迎えに行きましょう」

ユーゴ「うううう...遊矢がすげえ心配だけど...こんなおっかねえところ入りたかねえよ...」ピトッ

ユート「正直気持ちはよく分かるが、私にひっつくんじゃない」



ユーリ「遊ー矢ー?」ガサガサ

ユーリ「...む、あれ......遊矢が、いませんね」

ユーゴ「なっ!」

ユート「にっ!?」

ユーリ「...ふむ、ベッドはもぬけの殻。あたりの草葉に隠れているわけでもないようですね」

ユーゴ「おいおいユーリ! まさかお前のペットが自分の腹の中...いや茎の中に
遊矢を押し込んだんじゃないだろうなあ!?」

ユーリ「前にも話したでしょう。それは絶対にありえません」

ユーリ「何故なら、この子達には充分過ぎるくらい餌を与えているからです。
普通の植物も水をやり過ぎると根腐れになるように、この子達にとっても過度の栄養は毒なんです」

ユーリ「だから僕がしっかり餌を与えている間、どんなに美味しそうな肉が目の前にあっても
この子達は口をつけません。...そうでなければ、君が僕の家にこっそり侵入したあの日に、
パックリ食われてましたよ」ジロリ

ユーゴ「うっ」ザクッ

ユート(ユーゴにしてはやけに怯えてるなと思ったら、そういう事情だったか...)




ユート「しかし、ならば一体遊矢はどこへ...」

ユーリ「ふーむ、それは確かに...どういうことでしょう」

ユーゴ「......」

ユーゴ「.........待て、よ」

ユーゴ「もしかしたら...」

-現実世界-





遊矢「............」

遊矢「うっ...うっ...ううーん...」

遊矢「うう..........っ?」パチ

遊矢「......あれ」ガバ



ユート『...起きたか、遊矢』

ユーゴ『やっぱり! 俺の思った通りだったぜ!』

ユーリ『戻って、きたのですね』


遊矢「戻って...? な、何の話、ユーリ?」

ユート「! ...覚えて、いないのか?」

遊矢「え、何どうしたの? 俺今の今までずっと寝てたんだけど...
ていうか、変な悪夢見た気がする...寝てたはずなのに、なんかめっちゃ疲労感あるし」ゲッソリ

ユーリ(精神世界での出来事は、覚えていない…どういうことでしょう?)

ユート(ユーリの捕食植物に囲まれたショックで現実世界へ意識が戻っている可能性がある、
とはユーゴの弁だったが…)

ユーゴ(俺が記憶を消しすぎたせいで、こうしたショックでも
遊矢の記憶が飛んじまうようになっちまったのか…)

遊矢「…うっわ! もう昼過ぎ!? あーあ、寝すぎたなあ…。お腹減ってるし…」グー

ユーゴ「…」

ユート「……残念だ、と思っているのか?」コソ

ユーゴ「…まさか。遊矢が精神世界に来る術なんて忘れた方がいい。
下手に記憶に触れられると困るからな」

ユーリ「…全く、君はやっぱりずれてますね。ユートが言いたいのはそういうことではありません」

ユーリ「精神世界で、まるで『あの時』のように過ごしたあの時間すらも、遊矢が失ったこと。
君は、悲しくないかと、聞いているんです」

ユーゴ「……」

ユーゴ「………悲しく、ない」

ユーゴ「俺は、『あの時』だけで、充分すぎるほど幸せだったからな」

ユート「……」

ユーリ「…そう、ですか」

遊矢「なんだなんだ、3人でこそこそと何言い合ってんの?」

ユーリ「ああいえ、遊矢が悪夢を怖いというなら3人で交代制添い寝制度でも作ろうかなと」

遊矢「いらないよそんなの! ていうか、そんなことより何か食べないと俺腹減って死んじゃう」

ユーゴ「おっ! メシ食いに行くのか! じゃあ今度こそトンカツ食いに行こうぜっ!」

遊矢「ユーゴが食いたいだけでしょもう! そういうこというとまたうるさい議論が…」

ユート「……」

ユーリ「……」

遊矢「……あれ? 言い争いはしないの?」

ユート「…私は、今回パスでいい」

ユーリ「遊矢は今日一食抜いているようですしね。まあ…トンカツ程度なら、許容範囲でしょう」

ユーゴ「おっしゃ、やりぃ! ほら決定だ! 早く行くぞ遊矢!」

遊矢「ああ、全くもう…しょうがないなあ…」

遊矢「…まっ、たまには油こってりも、悪くはないかな」



終わり

オチなんてない。
ここで自白すると、一番書きたかったのは>>27->>29のネタで
そこから上下に話を広げる感じで作っただけです。
だからもう一度言います、オチなんてない。


ありがとうございました。

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