鞠莉「ポトフ」 (32)

鞠莉「ダイヤ…レポートおわんない…」


ダイヤ「…手伝いませんよ」


鞠莉「お願い…!今回だけ!今回だけだから!」


ダイヤ「あなたはそう言って何回私を手伝わせたと思ってるんですの…!」


鞠莉「お願い…明日中に30ページなの…」


ダイヤ「……」

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私、小原鞠莉はダイヤと大学生になった後ルームシェアしています


家事も家賃も半分こずつ、平等な関係


まあ…それ以外のところで若干頼ってる感があるのは…否めないけど…?


一応、毎日それなりに楽しく暮らしていたんだけど…今日はちょっと事情が違って……

ダイヤ「……今日明日の炊事洗濯は全部私がやりますからあなたはそれを死ぬ気で仕上げなさい…」



鞠莉「ダイヤ…!」



ダイヤ「ただし!来週はあなたが代わりにやってもらいますわ!」


鞠莉「ダイヤ~!ありがとう!愛してる!」



ダイヤ「御託を言ってる場合があるなら早く進めなさい!」

鞠莉「あー………」


ダイヤ「……」カチャカチャ


鞠莉「はぁ……」


ダイヤ「……」カチャカチャ

 
鞠莉「……ダイヤー」


ダイヤ「……何ですか?」


鞠莉「ご飯何?」


ダイヤ「……」

ダイヤ「あなたは黙って進めるということが出来ないのですか!?」


鞠莉「だって……ダイヤ作ってるの見ると…お腹すくんだもん…」


ダイヤ「肉じゃがです、早く進めなさい!」


鞠莉「おー!やった!」


ダイヤ「…半分終わるまで食べさせませんから」


鞠莉「待って、無理無理無理無理」


ダイヤ「ぐだぐだ言う前に早く進めなさい!」


鞠莉「……はい」

鞠莉「あぁ……」


ダイヤ「……」サクッサクッ


鞠莉「……果南どうしてるかな…」


ダイヤ「……」トントントン 


鞠莉「いや……まずルビィどうしてるかな……」



ダイヤ「…………」ジャ-


鞠莉「……ルビィどうしてるかめっちゃ気になってきた」



ダイヤ「早く進めなさいな!」



鞠莉「やってる!やってるから!」

ダイヤ「人の妹心配する暇があるなら自分の心配なさいな!」

鞠莉「進んでる!進んでるけども!それはそれとしてルビィが気になるの!」


ダイヤ「別にいつも通りでしょうから気にすることなんかありませんわ!」


鞠莉「じゃあ最近のルビィの近況教えてよ!」


ダイヤ「それは……」


鞠莉「……」


ダイヤ「……」


鞠莉「…最近のあんま連絡とってないの?」


ダイヤ「……そういうわけじゃ…」

鞠莉「……また来週にでも内浦に帰りましょうよ、きっと元気でやってるわよ」


ダイヤ「………あなたが無事にレポートを終えたら考えておきますわ…」


鞠莉「……覚えてたか…」


ダイヤ「…やらなかったらあなたが困るんですよ…?」


鞠莉「あぁっ…ガチの憐れんで諭す目はやめて…心にキズが……」


ダイヤ「……手は動かないのによく口は動くこと…」

鞠莉「死ぬ…レポートに殺される…」


ダイヤ「レポート書いて死んだ人は中々いないから安心なさい」



鞠莉「そういう話じゃないわよ……」



ダイヤ「恨むなら過去の自分を恨みなさいな」


鞠莉「はぁ……」

ダイヤ「……はい」コトッ


鞠莉「……!」


ダイヤ「出来ましたから、さっさと食べてしまいなさい」


鞠莉「ダイヤ…!これであと18ページも頑張れるわ!」


ダイヤ「……全然終わってないんですね…」


鞠莉「これから頑張る!まずはダイヤの肉じゃが冷めないうちに、頂きます!」

鞠莉「ほむほむ……うん、おいしい!」


ダイヤ「……それはどうも」


鞠莉「ダイヤは食べないの?」


ダイヤ「先にもう頂きましたわ」


鞠莉「えー…ずるい…」


ダイヤ「あなた食事にかまけて休憩するから…小一時間集中するまでとっておきました」

鞠莉「ふーん……」

ダイヤ「…本当にいい笑顔で食べますのね」


鞠莉「ええ、だっておいしいもの!」


ダイヤ「…そうですか」


鞠莉「おいしいご飯を食べて、ふかふかのベッドで眠る!それが人間一番の幸せよ」


ダイヤ「とりあえず鞠莉さんは今日眠れなさそうですけどね」


鞠莉「やめて…やめて…」

鞠莉「ご馳走様でした」


ダイヤ「お粗末様でした」


鞠莉「ダイヤ料理上手よね…私が洗濯掃除全部やるからダイヤ料理専門でやらない?」


ダイヤ「和食しか作れませんし…それだと飽きるでしょう?」


鞠莉「そうかしら?」


ダイヤ「私だって…偶には自分が作れない洋食が食べたい時があるんです」


鞠莉「ふーん……」

鞠莉「さ、おいしいご飯で元気満タンだし続きを……」



鞠莉「……」


ダイヤ「……鞠莉さん?」


鞠莉「……」


ダイヤ「……?」





鞠莉「…………データ飛んでる」

ダイヤ「…………」


鞠莉「えっ………え…?」


ダイヤ「……」


鞠莉「保存したはず……ウソ……」




ダイヤ「…可能な限り思い出して頭から書きなさい」


鞠莉「もうムリよ…流石に間に合わない…」


ダイヤ「…………」


鞠莉「うぁ………」









ダイヤ「……後半部分は私が進めるので後で細部を合わせなさい」



鞠莉「ダイヤ……」


ダイヤ「朝までやって終わるか分からないのだから……早く取り掛かりなさい!」

ダイヤ「……」カチャカチャ


鞠莉「……」


ダイヤ「…………」カチャカチャ


鞠莉「ごめんね…?ダイヤ」


ダイヤ「……口より手を動かしなさい」


鞠莉「うん、でもごめん」


ダイヤ「……」

鞠莉「今週も、来週も、再来週の家事も全部私がやる、買い物だって私が全部やる」


ダイヤ「……もう、別にいいですわ」


鞠莉「……でも」


ダイヤ「鞠莉さんに迷惑かけられるのは…もう慣れっこですから」



鞠莉「……」


ダイヤ「…今更1つや2つの貸しでどうこうなる関係でもないでしょう?」


鞠莉「ダイヤ……」


ダイヤ「いいから早く進めなさい、元理事長様がレポート出せないなんてお笑い草ですわ」


鞠莉「うん…!」

ダイヤ「はい、二ページ終わりましたわ」


鞠莉「早ッ……」


ダイヤ「根を詰めればそんなに大変なものではありませんわ…それに…」


鞠莉「それに…?」


ダイヤ「なんだか、昔居残って仕事したの思い出して少し、懐かしいです…」


鞠莉「あぁ…生徒会の仕事残して…そんな事もあったわね…」


ダイヤ「ええ、あの時は鞠莉さんと果南さんに手伝って貰いましたわね…」


鞠莉「なんていうか…ダイヤが何か失敗してるの後にも先にもアレしか見た事ないわ」


ダイヤ「…私だって人です、人並みに失敗くらいしますわ」


鞠莉「それでも、仕事溜めるなんて…ダイヤらしくない」


ダイヤ「あの時は…気が気でなかったですから…」


鞠莉「……」


ダイヤ「二年前からの状況がもしかしたら全て上手くいくかもしれない…また、やり直せるかも知れないなんて時に…仕事なんてやっていられないですわ」


鞠莉「……そっか」

ダイヤ「あの時の大きな大きな貸しに比べれば…1日徹夜くらい些細なことですわ」


鞠莉「うっ……痛いところを…」


ダイヤ「さ、早く手を動かしなさいな…休憩は終わりですわ」


鞠莉「……うん…!」

ダイヤ「……」


鞠莉「…………」ポチポチ


ダイヤ「…………んぅ」


鞠莉「もしかして……ダイヤ、寝てる?」


ダイヤ「……すぅ………」


鞠莉「寝ちゃってるわね……うわ、後半全部書き終わってる…すご……」


鞠莉「……私もやらなくちゃ…示しがつかないわ…」



鞠莉「その前に……毛布毛布…っと」


ダイヤ「…………zzz」

チュンチュン




鞠莉「ふんふふ~ん♪♪」


ダイヤ「……んぅ……鞠莉さん?」


鞠莉「あ、おはようダイヤ」


ダイヤ「私…途中で寝て……そうですわ鞠莉さんレポートは!?」


鞠莉「おかげさまでなんとか終わったわ…ありがとう、ダイヤ」


ダイヤ「そう…ですか」


鞠莉「顔洗ってきなさい、あったかいスープ作ってあるわよ♪」


ダイヤ「……分かりましたわ」

鞠莉「はい、マリー特性オリジナルポトフよ!


鞠莉「……ま、ありモノ入れて煮込んだだけだけど…」


ダイヤ「……頂きます」



鞠莉「どう?おいしい?」


ダイヤ「……えぇ、おいしいですわ」


鞠莉「よかった!」

鞠莉「私ね、今回反省したの」


ダイヤ「……いつも反省してくださいな」


鞠莉「……もちろん、ダイヤに迷惑かけた時はいっつも反省してるわ」


鞠莉「でもねそれと同時にひとつ、思ったの」

鞠莉「私とダイヤの関係って……迷惑かけたりかけられたり…今更もう貸し借りなんて分かんなくて…」


鞠莉「このスープみたいに…ごちゃごちゃしてて……よくわからなくて……」


鞠莉「温かくて……大好き」


ダイヤ「……」



鞠莉「だから、また迷惑かけるかもだけど…それでも一緒にいてくれる…?」

ダイヤ「…昨日も言ったでしょう、もう慣れっこだって」


鞠莉「うん……」


ダイヤ「あなたがちゃらんぽらんなのは諦めてますから…今更言うことはありません」


ダイヤ「ま、たまに洋食作るくらいの甲斐性みせるなら……私は何も言いませんわ」



鞠莉「ダイヤ……大好き!」ギュッ



ダイヤ「ちょっ!食事中ですわよ!」

鞠莉「ごめん、ごめんてば…」


ダイヤ「全く……」


鞠莉「じゃあ、冷めないうちに召し上がれ!本場イタリアの血が半分入った私のポトフはもう本場の味と言っても過言ではないわ!」


ダイヤ「鞠莉さん……」


鞠莉「……?どうしたのダイヤ?」







ダイヤ「ポトフは…フランス料理ですわ」

鞠莉「…………」


ダイヤ「…………」


鞠莉「…………」


ダイヤ「…………」


鞠莉「……洗い物してくるわね!」

ダイヤ「はぁ……全く、朝から騒々しい……」




<悪かったわねー


 


ダイヤ「………ん」ズズッ 



ダイヤ「ふふっ…………あったかい」

おわり

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