花陽「Rin Room」 (45)

花陽「さりげなく…さりげなく…………うんっ」


・玄関


インターホン「ピーーンポーーン」


 『――――!』


ドア「……」


ドア「ガチャッ」


花陽「こんにちは~」


花陽「お母さんが凛ちゃん家に行くならついでにこれを渡してきてって」


花陽「はい、お中元の羊羹」


 『――――!』


花陽「冷やしてから食べると美味しいって書いてあるよ」


 『――――――――!』


花陽「えっ、ちょっと、リビングは向こ…一人で食べるつもり!?」


 『――――!――――!』


花陽「そうだよね、一番に食べたいだけ、だよね?」


 『――――――――!』


花陽「うん、わたしもいただくね?おじゃましま~す」

・凛部屋


花陽「あー…また部屋が散らかってる…」


花陽「漫画に雑誌に食べかけのおやつに、シャツもパンツも…もー…」


花陽「これは羊羹を食べる前に掃除だね…」


 『――――――――』


花陽「夏休みだもん、じゃないよう。もし真姫ちゃんが見たら軽蔑するよ」


 『――――――――』


花陽「家に呼ばないから構わないって、そういう問題じゃないと思う…」


 『――――!!』


花陽「な、なに?急に大声出してどうしたの?」


 『――――――――…』


花陽「え!?真姫ちゃんを家に呼んで夏休みの宿題を見せてもらうつもりだったの!?」

 『――――!』


花陽「でもそれなら凛ちゃんがお願いする方だから、凛ちゃんが真姫ちゃんの家に行くのが筋だよね…」


 『――――…――――……』


花陽「あぁ…そもそも暑いから家から出たくないの…」


 『――――――――!』


花陽「ドリンクバー付きの外車……あったら凄いけど真姫ちゃんの家にあるのかな、というか凛ちゃんのためだけにそんな車を呼んでくれるとは思えない…」


 『……――――――――!!』


花陽「結局真姫ちゃんを凛ちゃん家に呼ぶことが前提になってる…ま、まあお掃除する気になってくれたなら良いか。…良いのかな」


花陽「ところで…今日までどれくらい自力で宿題したの?」


 『――――――――……』


花陽「…って全くやって…無いの…?中学の時でさえ少しは自分でやろうとしてたのに…」

 『――――――――』


花陽「うぅ…ショックだよ…凛ちゃんがここまで堕落するなんて…これは酷すぎるよ…」


 『――――――――…』


花陽「本当に?自分で勉強してくれるの?」


 『――――――――!』


花陽「うん…良かったぁ…」


 『――――――――』


花陽「…泣、泣きそうになんてなってないよぅ」


花陽「あ、でも、どうしてもわからなかったらね、まずはわたしを……えと…頼っ…ん…」


 『――――――――?』


花陽「う……うん、真姫ちゃんより先に」

 『――――?』


花陽「ほら…わたしは真姫ちゃんより頭わるいけど、その…家が近いし」


花陽「だから…お願い…」


 『――――――――』


花陽「うん!ありがとう!」


 『――――――――』


花陽「そんなことないよ、凛ちゃんに頼られるのは凄く嬉しいよ、えっへへっ///」


花陽「それじゃあ、まだ一問も進めてない凛ちゃんのために早速、ここを勉強できる部屋にしよっか?」


 『――――!』


花陽「――――――――待ってぇ!逃げようとしないでぇ!」

・掃除後


花陽「やっと足を伸ばして座れる…あむっ」


花陽「あ、美味しい。掃除の間だけでも冷蔵庫で冷やして良かった。抹茶の味が渋くて素敵」


花陽「小倉の方はどう?」


 『――――――――』


花陽「こしあんじゃなくて残念でした。あっ、歯に豆の皮がくっついてる。クスッ」

 『――――――――』


花陽「うん、そこ」


 『――――――――…』


花陽「ううん、ベロをもうちょっと左」


 『――――――――…』


花陽「あっ、凛ちゃんから見たら右……かわいいべろ…」


 『――――?』


花陽「んーん、何も言ってないよ。それより取れてないよ?」


花陽「いっそ花陽が取っても」


 『――――――――!』


花陽「あっ、諦めて指で…」


 『――――――――』


花陽「う、ううん、自分で取れたならそれでいいの」

花陽「今思えばお茶で流しても良かったね」


 『――――――――?』


花陽「一口欲しいの?はい、あーん」


 『――――――――』


花陽「あっ!そんなに強く咥えたら…ほら…紙スプーンがヨレヨレ…///」


 『――――――――』


花陽「うぅ…美味しかったなら良いよ…はむっ///」


 『――――――――』


花陽「ううん、スプーンは取り換えなくていいよ。使えないことはないから。あむっ♪」

花陽「そうだ、わたしのも食べていいよ。抹茶味だけど苦くないよ」


花陽「はい、あーん」


 『――――――――…』


花陽「う、うん、歯型でヨレてるから見た目わるいけど、これ凛ちゃんが付けた歯型だよ」


 『――――――――』


花陽「そう…自分のきれいなスプーンで食べたいの…はい、どうぞ」


 『――――――――』


花陽「美味しい?良かったね。はむっ…」

書き込みテスト

花陽「お掃除を済ませて羊羹も食べたところで、そろそろ良い?今日は凛ちゃんに頼みたいことがあって来たの」


 『――――――――』


花陽「えっ、その前に膝枕してほしいの?」


 『――――――――』


花陽「うん、お掃除で疲れたもんね。事後承諾になってるけど、ぜんぜん良いよ。よしよし」


 『――――――――……』


花陽「太ももがモチモチって、それ太ってるってこと?ひどーいっ」


 『――――――――』


花陽「違うならいいけど…だいぶ引き締まったと思ってたのにな」


 『――――――――』


花陽「あんまり変わってないの!?ガーン…」

花陽「凛ちゃんのほっぺの感触こそ変わってない気がするな。小学生の頃からかな?柔らかいしスベスベで、あったかい。髪の毛もサラサラで、子供っぽい」


 『――――――――!』


花陽「ちょっとだけ反撃、クスクスッ。お互い、何も変わってないのかもね」


 『――――――――』


花陽「そう?わたし、変わったところある?」


 『――――――――』


花陽「見た目が?そうなんだ、やっぱりスクールアイドルを始めてから運動をたくさんしたから痩せて」


 『――――――――』


花陽「…ん?花のアクセントが多くなった?何の話?」


 『――――――――♪』


花陽「パ、パンツの話!?膝枕で見えてるからってジロジロ見ないでよぅ!!///」ササッ


 『――――――――』


花陽「大きすぎて顔がよく見れない…?今度は何の…あっ!も、もうっ…胸もジロジロ見ないでぇ…///」サッ


 『――――――――……』


花陽「べつに望んで成長したわけじゃないもん…恨めしくしないでよう…というか勝手に海未ちゃんやにこちゃんも巻き込んだら怒られるよ…?」

 『――――――――?』


花陽「キャラもののパンツは…もう卒業したもん…引き出しにも入ってないよ。そう言う凛ちゃんはずっとネコちゃんのプリントが入った下着が好きだよね…」


 『――――――――』


花陽「って見、見せなくていいから!///」プイッ


花陽「…」チラッ


花陽「…///」プイッ

花陽「もう…。少しじっとしてて…」


 『~~~~~~~~♪』


花陽「~~~~~~~~~~♪」なでなで


 『――――――――?』


花陽「うん、気持ちいいよ。凛ちゃんの髪ってサラサラだから触り心地が良くって、いつまでも触っていたくなるんだぁ♪」


 『――――――――♡』


花陽「んっ…そう足を嗅がれるとくすぐったいっていうか恥ずかしいっていうか…なんだかえっちぃよぅ///」もじもじ

花陽「あっ、耳垢。穴の方にあるよ。ジッとしててね?」


 『――――――――』


花陽「…………よし、取れた」


花陽「せっかくだから反対の耳も見せて?」


 『――――――――』


花陽「こっちは耳の外側に少し溜まってる」


 『――――――――』


花陽「はい取れたよ~」


 『――――――――!』


花陽「そ、そんな、良いお嫁さんになれるっていっても、まだ高校生だからよくわかんないや///膝枕のことだけでほめすぎっ///」


 『――――――――』


花陽「ん?もしかして凛ちゃんにとってのお嫁さんって膝枕が全てなの?」


 『――――――――!』


花陽「ち、ちがうよねーそうだよねー、あははっ」

花陽「花陽より気持ちいい膝枕が出来る人ならきっとたくさんいるもんね。膝枕だけでお嫁さんが決まったら、花陽は絶対負けちゃう」


 『――――』


花陽「そうかなぁ?わたしは凛ちゃんの膝枕が好きだよ?普段から走って引き締まった足がね、気持ち固めで、そこが好き」


花陽「家族以外で膝枕してもらったことがあるの、凛ちゃんだけだもん。他の人にしてもらおうって思えない」


 『――――――――』


花陽「んーん、お世辞じゃないよ?ふふっ♪」

 『――――――――』つんつん


花陽「どう?凛ちゃんの足の方が少しだけ固いでしょ?」


 『――――』


花陽「うーん…足周りだけでも、もっと運動しようかなぁ。少しは痩せたと思ってたのにな」


 『――――――――~~』


花陽「そのムッチリしてるところを悩んでるんだけど…そこが好きなんだ。うぅーん…」


 『――――!――――!』


花陽「え?」


花陽「ことりちゃんにも膝枕してもらったことあるの?」

 『――――――――~♪』


花陽「…うん…いっぱい甘えたんだね…でもほどほどにしておかないと迷惑に」


 『――――!』


花陽「…そうっ…いくらでも甘えてね、て…」


 『――――――――~~~』


花陽「うん…まるでネコみたいだね…」


 『――――。――――?――――』


花陽「あぁ、ことりちゃんは妹が欲しかったの…扱い方はネコだけど…」


 『――――――――♪』


花陽「うん…絵里ちゃんもスタイル良いから膝枕はきっと気持ちいいだろうね…」


 『――――~~』


花陽「ふうん……」


 『――――!』


花陽「うん…」


 『――――――――』


花陽「…うん…」


 『――~』


花陽「ん…」


 『――――♡』


花陽「……」


花陽「・・・・・・・・・・・・」

 『――――――――!』


花陽「・・・えっ」


花陽「わたしの方が・・・好き?」

 『――――!――――!』


花陽「…うん」


 『――――――――♪』


花陽「…うん……そっか…」


花陽「…わたしも、凛ちゃんの髪のこの慣れ親しんだ感触が好き」


花陽「髪を指で梳く感触とか、ほっぺの温かさとか。あと頭の重みも。成長につれて重くなっていくのを感じるのも好き」


 『――――――――。――――――――♪』


花陽「うっ…匂いはちょっと恥ずかしいけど…好きって言ってくれるのは嬉しい///」

 『――――――――~…』


花陽「うん。幼稚園の頃からずっと、わたしの膝枕は凛ちゃんの特等席だったよね』


花陽『昔ね、小学生の頃に、わたしが凛ちゃんのお姉さんに膝枕を頼まれたでしょ?」


 『――――!』


花陽「さあどうぞって時に凛ちゃんが『かよちんは渡さないにゃー』て言いながら頭からスライディングしてきて、お姉さんの顎とゴッツンコしたの」


 『――――――――!』


花陽「本当にびっくりしたんだよ~?凛ちゃんが頭抱えて転がり回って、お姉さんが口に手を当てて悶えてたの。わたしはオロオロしてて」


 『――――――――?』


花陽「あれ?わたし、そんなに泣いてたっけ?」


 『――――――――~』


花陽「ふーん…?ま、まああれ以来凛ちゃん以外の人に膝枕するものか、て誓うくらいびっくりしたんだよ」


花陽「それほどね、凛ちゃんがわたしの膝枕を大切に思ってくれて嬉しいの」

 『――――――――!』


花陽「…///あ、ありがとう…膝だけじゃないよね///」


 『――――!』


花陽「まさか凛ちゃんが他の人に膝枕してもらってたのは驚いたけど、でもほら…もうその必要はないっていうか…」


花陽「これからもわたしの膝枕を…じゃなくてその…」


花陽「わたしはいつまでも凛ちゃんの傍にいるから…いつでも…求めて、ね?///」

 『――――――――』


花陽「…え…ダメ…?」

 『――――』


花陽「うん…将来はムリに決まってる?どういうこと?」


 『――――~~――――~~♪』


花陽「わたしの将来の旦那様なんて…え…」


 『――――~――――~』


花陽「そ、そんなこと気にしなくても…わたしは…」


 『――――!――――!』


花陽「その台詞は娘を嫁に送り出すお父さんみたいだよ…」


 『――――――――…』


花陽「自分でヨヨヨって言いながら泣く人はいないよぅ…いやそうじゃなくて…」


 『――――――――』


花陽「仮に、仮に男の人と結婚することになっても、膝枕に期限なんてないよ…あのね凛ちゃん…」


花陽「わたしは…凛ちゃんが……が…っ」

 『――――――――~』


花陽「…そんなことない!凛ちゃんはかわいいよ!」


 『――――――――』


花陽凛ちゃんがモテないなんて有り得ないよ、有り得ないよ…」


 『――――――――!』


花陽「野良ネコのような自由な生活って、それを目指したらホームレスまっしぐらだよ…いっそのこと、で目指すものじゃないよ…」


 『――――――――!』


花陽「笑えないよぅ…」


 『――――――――』


花陽「凛ちゃんのことを好きな人はいるよ!…絶対……」


 『――――?』


花陽「だって、わたしが…」

 『――――!――――!』


花陽「…………そう…お金持ちに養って欲しいんだ…」


 『――――――――~~~~♪』


花陽「そっか…ネコをたくさん飼いたいから…真姫ちゃんとかいくらでもネコを飼えそうだもんね…虎も飼えそう」


 『――――…!――――!』


花陽「そ、そうだよね、冗談だよね。凛ちゃんがそこまでお金に執着するなんて考えられないよね。真に受けてごめん」


 『――――――――?』


花陽「…うん…そうだね、真姫ちゃんを持ち出したのはおかしいよね…女の子…だもんね……男の人の話だったね…ごめんね…男装が似合いそうだから、つい……」


 『――――!――――』


花陽「ふ…ぷふっ…ふ、ふんどし姿なんてワイルドなのじゃなくて…タキシードとか…ぷっくく…こんなときに笑わせないでよ!」


 『――?』


花陽「……怒ってないよ」


 『――――?――――~!』


花陽「…うん…色々考えたって将来のことなんてまだわかんないよね…もっと気楽に生きなきゃね…」


花陽「……わかんないんだね……」


花陽「……」



花陽「・・・・・・・・・・・・はぁ」

花陽「……アア…そうだ。凛ちゃん、今日の用事のことだけど」


 『――――???』


花陽「クスッ、もしかして忘れてたの?」


『――――!』


花陽「笑ってごめん、首傾げてるのが面白くって。用事っていうのはコレ」


 『――――♡』


花陽「うん、どこからどうみてもネコミミ」


 『――――♪』


花陽「わたしの物じゃないよ!」

花陽「ことりちゃんがね、コレを着けた感想が欲しいって。次のライブの衣装で採用するかも、てことみたい」


花陽「花陽の前で被るのは恥ずかしいかもしれないけど…」


 『――――?』ちょこんっ


花陽「って迷いが無い!うん、やっぱり凛ちゃんはかわいい!」


 『――――~~♪』


花陽「うんうん!かわいいよ~~~~~~膝枕してると本物のネコを膝に乗せてるみたい!///」なでなで

 『――――――――~~~~♪』


花陽「鳴き声も本物みたい!」


 『――――!』


花陽「わ…わたしも…?んー……にゃう…にゃう…?♪」


 『――――!!』


花陽「キャッ!?急に驚かせないでよう!」


 『――――!』


花陽「ああ、今の威嚇なの?もう…心臓にわるいよ」


花陽「ネコミミだけじゃなくて尻尾も準備してるらしいけど、衣装以外の服だと固定できないから、衣装の完成までお預け、て言ってた。はいゴロゴロ~♪」


花陽「それで使い心地はどう?」


 『――――♡』


花陽「フフッ、聞くまでもなかったね?」

花陽「あっ、さっきの威嚇でシャツがズレてお腹出てるよ?」


 『――――?――――~』


花陽「クスッ。ネコってお腹を見せてゴロンと転がっても、撫でていいわけじゃないらしいね。このネコさんはどうかな?」ナデナデ


 『――――♡――――♪』


花陽「喜んでる、喜んでる♪凛ちゃんのお腹、あったかいよぅ♡///」


 『――――』


花陽「そっか、わたしの手は冷たいよね、ずっと冷房利いてる部屋にいるから。触らない方がいい?」


 『――――――――!』


花陽「じゃあ遠慮なく…コショコショコショ…」


 『――!――!――――♪』


花陽「…はぅ…コショコショ~♡///」

 『――…!――――――…♡』


花陽「今の凛ちゃんの甘い鳴き声…好き…♡」コショコショ


 『――…――…♡――…――…!♡』


花陽「ごめんごめん、くすぐられると笑っちゃって息苦しくなるよね」


 『――…――…――――♪』


花陽「…ほんと…かわいい……」


 『――――?』


花陽「……凛ちゃんを見てたら、ネコが欲しくなってきたな…なんてね」

 『――――――――?』


花陽「うちは家族が飼っちゃダメって…小学生の頃から方針は変わんない」


 『――――――――』


花陽「凛ちゃん家もダメだってば。凛ちゃんがネコアレルギーを持ってるから」


 『――――――――!!』


花陽「神社の野良ネコに餌付けするのもダーメ。希ちゃんのところの神社がネコまみれになったら神社が困るよ。ネコ神社って呼ばれるようになったら……あれ、イイかもしれない…」


 『――――~~!』


花陽「ダ、ダメだって」


花陽「花陽が自分の部屋でこっそり飼うことも考えたけど、絶対バレるよねぇ。ネコとは会話ができないから、静かにして欲しいときにも騒いで、家族に見つかっちゃうもんね…」


 『――――……』


花陽「残念だけど無理だね、ネコは」

花陽「それよりお腹寒くない?エアコンの風が直接当たってくるけど」


 『――――…』


花陽「花陽の手をお腹に…?それでも寒いと思うけど……こう?」ぺたっ


 『――――!』


花陽「冷たいよね。わたしはあったかいけど♪」さすさす


 『――――……?』


花陽「もう少しだけ…凛ちゃんのお腹、気持ちいい…///」ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ


 『――、―、―、――』モジモジ


花陽「脇腹からおへそまでの曲線も素敵……///」なでなで


 『――――…?』


花陽「もうちょっとだけ……えっと…///…最後に…シャツの中の方っ…あったかい…♡///」ゴソゴソ


 『――――!!』


花陽「ご、ごめん!!いくら凛ちゃんでも胸の方は触られたくないよね…」


 『――――!?――――…』


花陽「あははっ、本当にごめんね?あ、ほらシャツはちゃんとズボンにしまって?」

花陽「じゃあ用事も済んだし、そろそろ帰るね」


 『――――?』


花陽「あっ、そっか。夏休みの宿題を手伝うんだった。でもゴメン!この後に別の用事があるのを忘れてたの!」


 『――――!』


花陽「言いだしっぺなのにごめんね?」


花陽「んーと、明日!明日いっしょにやろう?今日だけは凛ちゃんが一人で頑張ろう?」


 『――――――――…』


花陽「……でも凛ちゃん、さっきの話を聞いて思ったんだけど、もしかして問題集のページすら開いてないんじゃ…」


 『――――…――――…』


花陽「やっぱり…」


 『――――――――~』


花陽「解こうとすらしてないのは酷過ぎるよ…」


 『――――!』


花陽「真姫ちゃんに頼るのもダメ、ていうか真姫ちゃんも呆れて協力しないと思う…」


 『――――!』


花陽「たしかにおだてればお願いを何でも聞いてくれそうだけど、それは性分だから利用しないであげて」

花陽「ね、一日だけ宿題を頑張ろう?そしたら明日わたしがお手伝いするから」


 『――――!――――』


花陽「ああ…たしかに…真姫ちゃんと三人で勉強したほうがいいね…花陽と二人きりよりも…」


花陽「なら明日は三人で勉強会にしよっか」


 『――!――――――――♪』


花陽「え、真姫ちゃんの前で膝枕を…?少し恥ずかしいかな…」


 『――――!』


花陽「そうだよね、わたしは凛ちゃんにとって特別だから見せても良いよね」


 『――――?――――』


花陽「あ、いや、わたしの膝枕だったね…こんな言い方したら誤解させちゃうよね…」


 『――――♪』


花陽「あはは…幼馴染で……親友だもんね……」

・玄関


花陽「明日は真姫ちゃんもおうちに呼ぶんだから、もし一晩で部屋を散らかしてたら、真姫ちゃんは本当にすぐ帰っちゃうかもだからね?」


 『――――!』


花陽「宿題のためにも、お願いね?それから真姫ちゃんに宿題のことを連絡するのは凛ちゃんがしてね?きっといっぱい怒られると思うけど」


 『――――!!』


花陽「花陽は今回はかばってあげませんっ。ふんっ、だ」


 『――――!』


花陽「せめて今晩だけでも一人で頑張ってっ。大丈夫、凛ちゃんなら少しだけ進められるって」


 『――――――――……』

花陽「それと、ネコミミのことはことりちゃんに伝えておくね。とても喜んでたって」


 『――――!――――?』


花陽「うーん?頼めばイヌでもキツネでも作ってもらえると思うよ?でもやっぱり凛ちゃんといえばネコ、てイメージがあるなぁ」


 『――――――――~』


花陽「わ、わたしは遠慮しておくよ~…。でももし作ってもらうならイヌがいい…かな?」


 『――――――――!――――♪』


花陽「凛ちゃんをペロペロ…!?ム、ムリムリムリ!そんなのイヌの真似でもムリ!破廉恥だよ!///」


 『――――?』


花陽「ああー…ドラマの大型犬ってそういうシーン多いよね、愛情表現で。というかわたし大型犬の役なんだ」


 『――――――――♪』


花陽「小型犬なら…でもわたし…そんな風に普段からキャンキャン吠えてたっけ…?確かに花陽はゴールデンレトリバーみたいな大型犬より小型犬の方がイメージに合うと思うけど…臆病だしね…」


 『――。――――――――?』


花陽「狼はわかるけど、どうして真姫ちゃんだけ悲惨な過去を背負ってるの…」

花陽「それじゃ、そろそろ行くね」


 『――――――――~』


花陽「うーん…真姫ちゃんならケーキを持ってくるくらい何てことないと思うけど。後で聞いてみよっか」


 『――――♪』


花陽「お礼でもラーメンの出前はいらないよ…」


 『――』


花陽「先に言っておくとインスタントラーメンも準備しなくていいよ」


 『――――!?』


花陽「そのおもてなしは何か違うよ…。集合はお昼過ぎに凛ちゃん家で、お昼は各自で済ませるってことで、真姫ちゃんにもよろしくね」


 『――――~』


花陽「じゃあ、また明日~」


 『――――~♪』

ドア「キィィィ…」


花陽「……」


花陽「っ」


ドア「カチャンッ」

花陽「ねぇ、この恋に終りでもいいかな?」

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