アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く9 (1000)

~前スレ~


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~ストーリーの概要~

日本中に巣食う、害獣アライグマのフレンズ。

滅びへのカウントダウンは始まった。

~登場人物~


・俺(♂)
猟師であり、アライさんを仕留めによく山へ行く。
仕留めたアライさんは、保健所へ持っていく他、ジビエ料理店『食獲者』への売却もしている。

・食通の友人(♂)
ジビエ料理店『食獲者』の店主。
アライさんを料理して客に出している。
ネットでは『ショクエモンP』のハンドルネームで支持を集めている。
3年前から、フォアグライ加工場の経営をやっている。

・理科の先生(♂)
小学校で子供達に理科の楽しさを教えてくれる先生。
最近は研究機関へ来ているようだ。

・MCチヘドロー(♂)
「アライデスゲームTV」の運営者。
アライさんが繁殖し害獣となるよりずっと前から、アライさんを嫌っていた。

・大臣(フレンズ)
フレンズ省の大臣。
アライさん駆除活動の他に、ジャパリ動物園の支援も行っている。
驚くと体がシュっと細くなる。

・会長(フレンズ)
『特定有害駆除対象フレンズ根絶委員会』の会長。
アライさんを貪り尽くす天敵。
ブラウンP曰く、かつてはこんなんじゃなかったはず、とのこと。

・ブラウンP(フレンズ)
アライさんジビエ料理人の一人。
恐怖や苦痛、絶望や嗜虐の表情の写真を取るのが趣味らしい。

・清掃員(フレンズ)
アライグマのフレンズ。
ジャパリスタジオ所属の、派遣清掃員。

・キツネ(フレンズ)
清掃員の親友。
アライさんの取り扱いは日本一上手いと評される。

・山小屋アライさん(フレンズ)
森の中のロッジを中心に勢力を拡大している、戸籍持ちのアライさん。

~目録~

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・歩行訓練と狙撃
・アラジビフェスとショクエモンP
・農夫への報復
・特定有害フレンズ駆除促進のための法律
・大臣とアライちゃんバーグ
・ブラウンPとアラフライ定食
・若い猟犬のデビュー
・戸籍取得の案内人、キツネ



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・アライデスゲームTV
・ブラウンPvsショクエモンP
・報告書3~フレンズの胚~
・残ったデブアライさんの行方
・報告書6~フレンズのレベル~
・プロジェクト・フォアグライ
・実験10 ~レベル継承実験~
・高額取引されるアライちゃん
・実験5 ~サンドスターレーダー~
・実験10 成果報告メモ
・アライハザード① ~襲撃される村~
・アライハザード② ~侵入される都市~
・実験1 ~救命成功~
・アライハザード③ ~防衛のホルスタイン~
・アライハザード④ ~反撃の狼煙~

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・実験3 ~高分子プログラミング言語~
・アライハザード⑤ ~村への救援~
・アライハザード⑥ ~避難所防衛~
・アライハザード⑦ ~会長と大臣~
・報告書5 ~アライグマの精神構造の特異性~
・アライハザード⑧ ~ゴキブリホイホイ作戦~
・アライハザード⑨ ~とうほくちほーのフレンズ達~
・アライハザード⑩ ~フォアグライ加工場~
・報告書10 ~レベルアップと身体能力~
・アライハザード⑪ ~国会議事堂防衛戦~
・アライハザード⑫ ~死体の山の刺客~
・実験9 ~サンドスターと捕食~
・アライハザード⑬ ~アライキング・ボス~
・アライハザード⑭ ~決戦と決着~



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・後始末と救助
・シャークP
・ベスト・オブ・アラ虐と好きな人物は?
・種族を超えた絆
・報告書11 ~フレンズの成長スピード~
・実験2 ~ジャパリパークシステム~
・ジャグラーと観客
・お寺の床下
・ありゃいちゃんぷゆー、つくゆのだ!
・清掃員とキツネとブラウンP
・伊達メガネと腕輪

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・たのしい理科 ~振り子~
・アライさんの農業
・物置小屋と男児の夢
・たのしい理科 ~落下~
・好きな悲鳴は?
・ひったくりのアライさん
・山小屋のアライキングダム
・アラしゃぶと掃討作戦



アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く6
アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く6 - SSまとめ速報
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・窮地を脱するジャパリスタジオ
・悪魔の帰還
・刑期終了と腕輪
・サンドスター科学研究所と理科の先生
・山の中へ温泉施設が建設されるまで
・報告書12 ~フレンズの選択的習性~
・山小屋のトレーニング
・もしもアライさんがハンドルを握ったら
・デスゲラジオ
・デスゲーム企画会議
・檻に囚われた親子
・デスゲームTV① ~イントロダクション~

アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く7
アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く7 - SSまとめ速報
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・デスゲームTV②~たのしいアスレチック~
・デスゲームTV③~害獣の本性~
・デスゲームTV④~エクスキューション~
・MCチヘドローのデスゲラジオ
・犬小屋と電動工具
・アライさんが人命を救うのに役立つたったひとつの方法①



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・アライさんが人命を救うのに役立つたったひとつの方法②
・サイクリング&フィッシング
・アライさん喫煙疑惑
・ビープレ建設の再構築(リストラ)
・アライしゃん人生最初の試練
・ハエガイジャーキー
・アライさんを滅ぼすということ①

テンプレここまで

清掃員「っ…うあああああああっ!!」ドズゥ

アライさん3「ぐうぅぇええええっ!!」ブシュウウゥ

アライさん3のみぞおちに槍が突き刺さった。

肝臓の動脈から血が吹き出す。

アライさん3「ひっ…し、しに、だぐ…ない…」ガクガク

アライさん3「ち、ちび、ちびいぃぃ…」ガクガク ドクドク

清掃員「っ…」コツンコツン

清掃員は、洞窟に入っていく。

~洞窟~

清掃員「はぁ…はぁ…」

洞窟の中には、たくさんの枯れ葉や草が敷き詰められていた。

ベッドか何かであろう。

子供達はどこであろうか。

清掃員「っ…」キョロキョロ

どうして。
どうしてこんなことをしなくてはいけないのか。

何の罪もない母親から産まれた、何の罪もない子供達。

なぜそれを探し回り、虐殺しなくてはいけないのか。

今の自分の行動のどこに正しさがあるのか。

清掃員は、身を裂くような罪悪感に苛まれ、眩暈さえしていた。

清掃員「…」

落ち葉絨毯の膨らみ「」コンモリ

清掃員は落ち葉の中に、震えている膨らみを見つけた。

落ち葉絨毯の膨らみ「」プルプル

もう、このまま見なかったことにして、帰ればいいのではないだろうか。

いや…
今清掃員が手を下さなくとも、結局アライさんは誰かの手により滅ぼされるのである。

ならば、その誰かに迷惑をかけるよりも。
自分がここで仕留めるべきではないだろうか。

清掃員「…」ジィー

落ち葉の膨らみ「へっくち!」ビクゥ

落ち葉の膨らみ「」ガサゴソ モゾモゾ…

清掃員「…」

なんと弱々しいのだろうか。
この槍で突けば、子供達は死ぬだろう。

だが、この子供達は生きている。
生きているのだ。
自分と同じ生き物なのだ。


御手洗自身には、『アライちゃん』の時期は無かったが、
それでも目の前にいるのは、同族の小さな命である。

清掃員「何を今さら…」

清掃員「こいつらの母親は死んだのだ。あたしが殺したのだ…」

清掃員「うっ…ぅあああああーーーーーーーーーっ!!!」ドズウウゥゥ

清掃員は、落ち葉の膨らみを貫いた。

アライちゃん1「ぎびいぃぃぃぃぃーーーーーっ!!!」ブッシュゥウゥ
アライちゃん3「いぢゃあいいいぃぃぃぃぃーーーーっ!!!」ブシュウウゥ
アライちゃん5「おがああぢゃああああああああああああああああん!!」ブシュウウゥ

アライちゃん3匹が、団子のように槍に貫かれた。

アライちゃん1「ぎぃ…びいぃ…!」ジタバタ
アライちゃん3「だ…じゅげ…しぬの…やだ…」シッポブンブン
アライちゃん4「い…ぢゃいぃ…のりゃあ…」シッポブンブン

槍に貫かれ、致命傷を負ってなお、
アライちゃん達は苦しみ、死にたくないと訴えかけてくる。

がさがさと、枯れ草が揺れる。

アライちゃん2「ぴぎゃああああああああっ!!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん5「にげゆのりゃあああああああああっ!!!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん6「だぢゅげでええええええええええええっ!!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

残りの子供達は、洞窟の外へ逃げ出そうとしている。

清掃員「…」ドズゥ

アライちゃん2「じび!!」グシャアア

また一匹、罪のない子供が致命傷を負った。

清掃員「…」ドズゥ

アライちゃん5「ぐじゅびいいぃっっ!!」ブッシュウウウウゥゥゥウ

また一匹。

アライちゃん6「あ、ぁああ、だ、たしゅけでぇ、あ、ぁああ」プルプルプルプル

アライちゃん6は絶望して泣いている。
もう逃げられないと悟ったようだ。

アライちゃん6「し、しにだぐ、ない、だ、だれが、ぎで、だじゅげでえぇ」フルフルフルフル

清掃員「…」スッ

アライちゃん6「ひぅっ…」プルプル

アライちゃん6は縮こまり、目をつぶって泣きながら震えている。

清掃員「…」ドズゥゥゥ

アライちゃん6「げぶっ…」ブッシュウウウウゥゥゥウ

清掃員「…」

アライちゃん6「かふっ…お、おね、しゃ…」ブルブル

清掃員「…」

アライちゃん6「あ、あらいしゃ、て、てんごく、いけゆ、のだ…?おねーしゃ、たちと、また、あそべゆ、のだ…?けふっ…」ドクドク ブルブル

清掃員「…行けるのだ。お前は…うっ…」ブルブル

清掃員「天国で、うぅ…ぐすっ…!お姉さんや…お母さんと…!ひぐっ…楽しく…過ごせる、のだぁっ…!!うぅぅっ…!」ペタン

清掃員は泣き崩れる。

清掃員「うあああっ…お前は、なんにも悪くないのだああっ…!ひぐっ…ぁああああああああぁ…!わあああああああんっ……!!」シクシク

アライちゃん6「…おか、しゃ」

アライちゃん6「」コロン

清掃員「うあああああああああああっ!!わあああああーーーーっ!!!」

清掃員は、泣いた。
ただただ泣いた。
自分が殺した骸の散らばる中で、
返り血に染まりながら泣いた。



キツネ「…」ハラハラ

清掃員「…た、だいまなのだ、ふぇ、ふぇねっく」ガサッ

キツネ「御手洗さん…」

清掃員「あ、あたしは、し、しごと、ちゃんと、やったのだ、ほ、ほら、みるのだ」ドサアッ

袋には、キルマークの鼻が11個入っていた。

清掃員「…こ、これで、いい、んだな?あたしは、あたしは…」フルフル

キツネ「…帰ろう、御手洗さん」

二人は軽トラで街へ戻った。



~仮設死骸処理所~

キツネ「ここで、アライのキルマークを渡すんだ。そうすれば、ヒット数に応じて報酬が入るよ」

清掃員「…行ってくるのだ」フラフラ

キツネ「御手洗さん!帽子!コート!」アセアセ…



受付「ひぃ、ふぅ…はい、受け取りました」

清掃員「ありがとうございましたなのだわ」ペコリ

清掃員は、軽トラへ戻ろうとする。




??「ほーん、えらくぎょーさん殺したみたいやな」


なんか振り返れば奴がいるの最終回思い出した

清掃員「っ…この声は!」クルッ

MCチヘドロー「ご無沙汰やな、ID2番」

清掃員「…チヘドロー…!お前…!」ワナワナ

清掃員の顔は憎しみに染まっている。

MCチヘドロー「なんや?やるつもりか?アカンやろ、お前はここに殺人犯として自首しに来たんか?」

清掃員「っ…」ワナワナ

MCチヘドロー「安心せーや。別にバカにしに来たわけやない。よー頑張ったやんけ、なぁ?大した戦果や」

清掃員「殺人犯として自首って…あたしは、誰も殺して…」ブルブル

MCチヘドロー「世間は忘れとらんで、ID2番。ま、蒸し返してもしゃーないわ。証拠不十分やしな」

清掃員「だからっ…あたしはっ…何も…!」ブルブル

MCチヘドロー「まーええわ。お前の初陣に水をさす気はない。よーやったわ。祝ってやるわ」

清掃員「っ…」

MCチヘドロー「だが…覚えときや」

MCチヘドロー「お前は、同族の血肉を金に変えた。お前は同族を、ゼニのために殺したんや」

MCチヘドロー「そして、お前はその金でおマンマを食うんや」

MCチヘドロー「分かるか?お前のやったことは…マクロな目で見れば、同族の血肉を食らうようなもんや。それ、なんと言うか知っとるか?」

MCチヘドロー「…共食いやで」

清掃員「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

清掃員が今、一番言われたくないことを…
MCチヘドローは意図も容易く見抜き、残酷に言い放った。

清掃員「あ、ぁああ、やめろ、やめろおおおぉ!!!」ブルブル

MCチヘドロー「頭ン中でいくら否定しても構わんで。せやけど、お前が飯を食う金は、同胞の血肉や」

MCチヘドロー「分かるか?お前は同族がくたばったお陰で飯が食えるんやで?感謝せなあかんで」

MCチヘドロー「これから毎回、飯を食うとき、お前がキルマークを削ぎとったときの事を思い出せや」

MCチヘドロー「お前はその死骸を、同族の血肉を貪っとるちゅうこと、忘れるんやないで」

清掃員「あ…ぁ…」ブルブル

MCチヘドロー「ほな、またな」スタスタ



清掃員「」フラフラ

キツネ「だ、大丈夫?御手洗さん」タタッ

清掃員「」グラッ… バタッ

キツネ「み、御手洗さん!!!!!しっかりして!!!御手洗さん!!!」ユサユサ



…3日後…

キツネ「…御手洗さん、今日もハンティングの仕事入れてたっけ…」プルルルル

キツネ「もしもし、御手洗さん?大丈夫、落ち着いた?」

御手洗『ふぇ、ふぇね…だ、だいじょうぶ、なのだ、あたし…は、そのへん、ばっちり、なのだわ』

キツネ「い…今行くから!」

キツネは軽トラを飛ばし、御手洗を迎えに行った。


~アパート~

キツネ「御手洗さん」コンコン

清掃員「おまたせ…なのだ」ガチャ

キツネ「…!」

清掃員の元々細かった体は…
さらに痩せこけていた。

キツネ「な…なんでそんなに、痩せこけてるの…?」

清掃員「へ…平気、なのだ…はやく、いくのだ」ブルブル

キツネ「…この3日間、何食べた?」

清掃員「…みずは…飲んでる…のだ…」ブルブル

キツネ「水道水しか飲んでないの!!?な、なんで!!!」

3日前のハントで、清掃員には手取り25万円の報酬が振り込まれた。

それなりにいいものが食えるはずである。

清掃員「…食べ物が、喉を通らないのだ…」ブルブル

清掃員「食べようとしても…!うっぷっ…あたしが殺した、あいつらの…血が、肉が、頭に浮かんで…!うっ…ぷっ…!」ヨロヨロ

清掃員は、流し台に行くと、

清掃員「おええええっ!げええええっ!!」

胃液を吐いた。

キツネ(拒食症…)

清掃員「はぁ、はぁ…でも、大丈夫なのだ…行くのだ、フェネック」ヨロヨロ

どう見ても大丈夫ではない。
逆に狩られてしまいそうだ。

キツネ「…」

清掃員「はやく、連れていくのだ…ふぇねっ…」

キツネ「御手洗さんごめん!」バチチチチチチッ

清掃員「ぎびいいいっ!!?」バリリ

キツネは清掃員にスタンガンを当てた。

清掃員「」バタッ

キツネ「…」ピポパ

キツネは誰かに電話をかける。

キツネ「大臣…御手洗さんは、もうリタイアです」

清掃員「…ふぇ、ね…あた…し…は、まだ…」

キツネ「本人は続けるって言ってますが、もう無理です。…やめましょう」

キツネは電話を切った。

清掃員「だい…じんが…せっかく…あ、たしに…くれ、た…おしごと…」

他人に勝手に仕事を止めさせられた。
たまったもんじゃない。

キツネ「…もう、やめよう」ギュ

清掃員「」ガクッ

清掃員は気絶した。
やがて救急車がやってきて、清掃員は運ばれていった。



~病院~

清掃員「」

清掃員は病院のベッドで点滴を受けていた。

何を食べても受け付けず、吐き出してしまうからだ。

清掃員「…あたし、は…なんにも、できない…のか…」

清掃員「アライさんは…ゴミなのだ…」

携帯電話「」ムゥーッ ムゥーッ

その時、清掃員の携帯電話が振動した。

清掃員「はいなのだ」ピッ

大臣『お前に、連絡があるのです』

清掃員「…なんなのだ」

大臣『お前がこないだ稼いだ、25万円』

大臣『全て、没収なのです』

清掃員「え…」

大臣『お前がアライさんを殺して得た報酬は、すべて無しなのです』

清掃員「…はい」

なんという酷いことだろうか。
しかし清掃員は一切反抗しなかった。

大臣『…その代わり…』

大臣『お前を辛い目に合わせてしまったのです。これから毎月8万3千円、3ヶ月の間、お前に振り込むのです』

清掃員「え…」

大臣『最初の月だけは8万4千円なのです』

清掃員「…」

大臣『これはお前が稼いだ金じゃないのです。お前が稼いだ金は無くなったのです。お前に振り込まれるのは無関係な補償金なのです』

清掃員「…」

総額は25万円。
どう考えても、清掃員が稼いだ金である。

大臣『文句があるのですか?』

清掃員「…無いのだ…」

大臣『いいですね。お前はその補償金で、揚げパンでも買って食うのです。では』

大臣『…』

大臣『…無茶をさせて、すまなかったのです』

清掃員「っ…大臣…あたしは、期待に応えられなかったのだぁ…!」ウルウル

清掃員「ご免なさいなのだあぁ…!」ボロボロ

大臣『…私も、何かお前に斡旋できる仕事を探してやるのです。待ってるのです』

電話は切られた。



清掃員の体力は戻り、退院した。

~コンビニ~

店員「いらっしゃいませ」

清掃員「…」スタスタ

清掃員は、ATMを確認し、補償金が振り込まれているのを確認した。

1万円ほど現金を引き出す。

清掃員「…揚げパンくださいなのだわ」

店員「150円になります。ありがとうございました」チャリン

清掃員「…」フラフラ

清掃員「あーん…」

清掃員は、揚げパンにかぶりついた。

清掃員「…」モグモグ

清掃員「…美味しいのだぁ…」モグモグ

清掃員「おいしいのだぁっ…!」モグモグ

数日ぶりに、食事が喉を通った。

…数日後…

キツネ「…」

清掃員「…」

テレビ「ソコダッ!イケー!」

二人は、テレビでスポーツ観戦をしている。

キツネ「!」プルルルル…

キツネ「はい、もしもし、大臣…。え?候補がある?けどかなりハード?」

キツネ「…」

キツネ「…だ、ダメですよ!御手洗さんは今弱ってるんですから!そんなのダメです!」

清掃員「代わるのだフェネック!」ガシグイ

キツネ「み、御手洗さん!今度こそダメだから!」

清掃員「大臣?お仕事があるのか?何でもやるのだ!」

清掃員「え…?何…?オススメしない?いいから言うのだ!」

清掃員「…」





清掃員「…特殊清掃員?なんかカッコいいのだ!やるのだぁ!」

キツネ「」



つづく

明日(今日?)は更新お休みです

~官庁前~

アラ信1「アライさんの虐殺計画をやめろー!」

アラ信達『やめろー!!』

アラ信2「罪の無いアライさん達まで巻き込むなー!」

アラ信達『巻き込むなー!』

アラ信1「フレンズは我々の友人だー!」

アラ信達『友人だー!』

アラ信2「残虐非道な行為を許すなー!」

アラ信達『許すなー!』

警官隊「ピーピーピピーーピーピー(ホイッスルを吹く音)」


官庁前で、大勢のアラ信達が抗議デモをしていた。

警官隊はアラ信が官庁の敷地内へ侵入しないように警護をし、デモ隊を監視している。

国内のアラ信の数は、5000人以上とも言われるほど多い。

アラ信として活動していなくても、心の中で同情している者はもっと多いだろう。


そして、さらに厄介なことに…
海外でも、アライさんを虐殺する日本政府を非難する者は多いのである。

アライさんの狼藉を知ってか知らずか…
美少女の姿と人の言葉を持つアライさん達が虐殺されることに心を痛めている。

~会長の自宅~

大臣「特定有害駆除対象フレンズ一斉掃討作戦に対して、国際的な批判が高まっているのです」

会長「…」ピッ

会長は動画投稿サイトへ海外から投稿された動画を再生する。

"Look this, our cute friends raccoon has been genocide by Japanese government."

シャークP『シャーシャシャシャシャ!!!焼け死ね害獣共ォ!』

アライちゃん1『ぴぎいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!』ジタバタ

アライちゃん2『あぢゅいのらあああああああああああぁーーーーーーーーーーーーっ!!!』メラメラ

アライちゃん3『だぢゅげでえええええええぇぇっ!!おがぁしゃああああーーーーーんっ!!』メラメラ

動画には、3匹のアライちゃんがロープで足を縛られて吊るされ、焚き火で焼かれている姿が映っている。

アライさん1『やめるのだー!チビ達を!チビ達を助けるのだあああああ!!』ジタバタ

その目の前には、母親が手足を縛られて、子が焼かれる姿を見せつけられている。

アライちゃん1『ぴ…ぎ…ぃ…』ジュウウウウゥ

アライちゃん2『あ…ぢゅい…のら…』ジュウウウウゥ

アライちゃん3『ひ…と…しゃ…たしゅ…け…』ジュウウウウゥ

アライさん『チビ!チビぃいぃぃぃ!!!』

アライちゃん達は火で焼かれ、煙を吸い込み、危篤状態になったようだ。

アライさん『お願いなのだ…チビは…チビは大事な家族…アライさんの世界で一番大切な子供なのだ…チビを助けるのだ…』フルフル

ショクエモンP『世界で一番大切?じゃあ、あいつらを助ける代わりに…。これから灯油…この燃える水をてめーにかけて焼く。それでいいか?』

地面に灯油タンクの中の液体が少し溢され、火がつけられた。

アライちゃん1『お…か、しゃ…ごほっ…』ジュウウウウゥ

アライちゃん2『あぢゅ…い…たしゅ…け…げほっ…』

アライちゃん3『おが…しゃ…』ジュウウウウゥ

アライさん『い…い…』

ショクエモンP『世界で一番大切なんだろ?助けてやれよ』

ちなみに今までのセリフは、すべて動画の下に英語翻訳字幕が表示されている。


アライさん『嫌なのだぁ!アライさんは焼かれたくないのだぁ!チビはやるからアライさんを助けるのだぁ!』ジタバタ

アライちゃん1『ぴぎ…ぃ…!?』ジュウウウウゥ

アライちゃん2『おが…しゃ…!?』ジュウウウウゥ

アライちゃん3『たぢゅ…げ…』ジュウウウウゥ

ショクエモンP『おいおい…世界で一番大切なんじゃなかったのか?』

アライさん『それはアライさんの持ち物の中での話なのだぁ!!』ジタバタ

アライちゃん1『』ジュウウウウゥ

アライちゃん2『』ジュウウウウゥ

アライちゃん3『』ジュウウウウゥ

焚き火で焼かれた、体長20cm程のアライちゃん達は、完全に動かなくなった。

シャークP『シャーシャシャシャシャ!よーく焼けたなあァア!あぶりガイジの完成だァァ!』スッ

https://i.imgur.com/csqZVlC.jpg


アライさん『うぅ…なんでこんな事に…アライさんが可哀想なのだぁ…』グスングスン

シャークPは、母親の目の前で、よく火が通ったアライちゃん3の塩焼きを食った。

シャークP『あーうめえ!』モグモグ

アライさん『ああ…ちび、ちびいぃ…』ウルウル

ショクエモンP『約束だ。てめーは灯油で焼かねえでおいてやる』

アライさん『うぅ…』

ショクエモンP『その代わり』ガシグイ

アライさん『のだっ!?』

ショクエモンPとシャークPは、アライさんを持ち上げた。

アライさん『な、何するのだ!チビはやったのだ、アライさんを離すのだあぁ!』ジタバタ

ショクエモンP『直火で焼かれてもらうぜ!!!』

アライさんは手足のロープを木の棒にくくりつけられ、焚き火の上で炙られた。

アライさん『のああぁっ!ああ、あづい!あづいいいいいいのだああああああああああああああ!!おろすのだああああああ!!』メラメラジュージュー

もがけどもがけど、手足は固定されており、火から逃れることはできない。

その大きくてふわふわの尻尾のみが自由となっており、ブンブンと振られている。

アライさん『うそづぎだのだあああああ!!!アライさんをだずげるっでいっだのだああああ!!!』ジュウウウウゥ

ショクエモンP『そんな約束はしてねえよバーカ!!灯油で焼かねえだけだぁ!!』

シャークP『シャーーシャッシャッシャ!!!』

ショクエモンP『じゃあ足を自由にしてやろうか?』

アライさん『は、離せって言ってるのだあああああああづいあづいあづいいいいいはやぐするのだあああああ!!』ジタバタ

ショクエモンP『オーケー、やったれシャークP』

シャークP『シャーク、ノコギリ!』シャキィン

シャークPはノコギリを持ってきた。

アライさん『はやくそれでヒモを切ってアライさんを自由にするのだああああああああああ!!!』ジュウウウウゥ

シャークP『いくぜ…』スッ

シャークPは、ノコギリをアライさんの足に当てた。

アライさん『のだぁ!?違うのだそこじゃないのだやめるのだぁ!』ジタバタ

ショクエモンP『その足を!てめーというガイジから、自由にしてやるって言ってんだァァ!』

シャークP『シャーク!!シャーク!シャーク!シャーク!シャーク!…ゼェ、ハァ、シャーク!シャークッ…ハァハァ…シャーク!』ギコギコギコギコ

アライさん『いいいいいだいのだああああやめるのだやめろいだいいぃぃぎびいいいぃぃぃーーーーーっ!!!!』ブシュウウウッッゥ

映像はその後、アライさんが両腕両脚が切断され、丸焼きにされて食われるシーンで、英文による解説の場面へ切り替わった。

『日本では、3ヶ月前に大勢のアライさんによる政府襲撃事件が起こった』

『それによって人間、アライさん共に大勢の犠牲者が死傷し、帰らぬ人となった』

『では、アライさんの反逆は悪であろうか?』

『日本人は事件よりずっと前から、アライさん達を大量虐殺していた』

『アライさん達は悪意をもって反逆したのではない。仲間をそれ以上殺されないために、義憤にかられて革命を起こしたのである』

『日本人達は、仲間を失いたくない、生きたいというアライさんの気持ちを、何故悪といえるのだろうか』

『日本政府は襲撃事件を受けて、アライさんの心の訴えを何も感じなかったのだろうか』

『現在は、政府襲撃事件に加わっていないアライさん達でさえ、とばっちりを受けてこの動画のように殺され、見世物にされている』

『フレンズ達は20年前、ジャパリパークからやって来て、人類をセルリアンから救ってくれた英雄であるというのに』

『なぜ彼女達は、殺されなくてはいけないのだろうか?』

『このような虐殺は決して許されるべきではない。日本政府は、アライさんと共生する道を模索すべきである』

『だが日本政府は、アライさんの一斉掃討作戦を計画し、国内から虐殺しようと企てている』

『この動画を観て、アライさんを救いたいと思った視聴者の方は…』

『アライさん救済基金への募金、またはアライさん救済活動へ直接加わってほしい』

映像には、アラ信達のNGOの情報が映し出される。

『かつて人類を救ったフレンズへ、次は我々が手を差し伸べよう』

動物園で楽しそうに人に微笑みかけるアライさんの姿が映し出される。

現在の日本の動物園には、アライさんはいない。
それどころか、海外にさえいるはずがない。

一体、いつこの映像はいつ撮影されたのであろうか。


『人類の共であるフレンズの命を救おう』

そうメッセージを残し、映像は終わった。

会長「…」

大臣「奴らアラ信は、野良アライさんの危険性に気付かず、見た目だけで判断し、我々を悪者扱いしているのです」

会長「実際、私も道で通り魔にナイフで刺されたことがあるのです」スッ

会長は服をめくって腹を見せる。
皮膚には、かさぶたの痕がついているが、
傷はほとんど残っていないようだ。

会長ほどのレベルのフレンズならば、人間の力で腹にナイフを刺された程度では、皮膚こそ貫かれても、筋肉は貫かれないのである。

大臣「許せないのです…ミミちゃん助手にこんな事を…」

会長「奴は逮捕されたからもういいのです。うちの委員会の重役が外出するときは、SPをつけるようにしたのです」

大臣「SP?まさか…」

会長「世界一優秀なSPなのです」

大臣「あいつか…それなら安心なのです」

会長「もう後戻りはできないのです。野良アライさんは、根絶するのです」

大臣「…」

会長「今回の作戦は、ヒグマとリカオンが前線に出るのです。それだけでなく、タイリクやヘラジカといった、軍人でない一般市民のフレンズも協力してくれるのです」

大臣「凄い面々なのです。ところで…」




大臣「『あいつ』は…作戦中、どっちにつくのですか?」




会長「…あいつには、さっき言った通りSP…要人警護を任せてあるのです。それに、どうせあいつは作戦に参加しないのです」

会長「一応声はかけましたが…、『街を襲った奴らはぶっ飛ばした。山の奥まで無関係なやつを殺しに行く気はない』と言ってたのです」

大臣「…あいつらしいのです」

…そして、ついに。


一斉掃討作戦は、始まった。



つづく

あと>>202の粗末な英文は

"Look at this, Japanese government commit genocide against our cute friends, raccoon."

に脳内訂正しておいてください

遂に作戦がされる。
それに伴い、多くの人物がそれぞれの思惑を持ち、独自に動いていた。




~深夜、森近くの廃屋前~

変な男1「…」スタスタ

郊外の山道を、変な男が歩いている。
彼は、アライハザードの際にアライさんに加担していた人間、3人のうち1人だ。

彼はアライさんを裏切り、自らを被害者と主張することで、
一切罪が暴かれることなく解放された。

逮捕された変な男2は、彼が共犯であることを知っていたが、
『アライさんに進んで加担したのは自分一人だ』と警察に嘘をつき、罪を隠したのだった。

変な男1「アライさん達、いるかー?」ガラッ

変な男は、廃屋の扉を開ける。

変な男1「…?誰も来てない…」ポカーン

変な男1「ネックレスちゃん?ネックレスちゃんどこー?お客さんめっちゃ待ってるんだけどー?」ガサゴソ

廃屋を歩き回る変な男。

変な男1「くそ、いないな…。今日はお客さん達には帰ってもらうか…?」

「…おじちゃん」トコトコ

そこへ、何者かが近付いてきた。

灰髪の幼女「おじちゃん…」トコトコ

落ち着いた色の服を着た少女が近付いてきた。
顔には薄い青あざがついている。

変な男1「ちびちゃん。…お母さんはどうしたんだい?」

灰髪の幼女「お母さんが…いつになっても来ないのだ…」

変な男1「…アライさん達は?」

灰髪の幼女「さっきここに来て、お前達がいないから帰っていったのだ…。おじちゃん達は、食べ物いっぱいくれるのだ。お母さんの仲間達も、頼りにしてるのだ」

変な男1「そっか…」

灰髪の幼女「また呼んで来るのだ?」

変な男1「お願いするよ」

灰髪の幼女「分かったのだ。お母さんはいないけど、他のアライさん達は呼んでくるのだ」トコトコ

灰髪の幼女は、森へ歩いていった…。



~刑務所の独房~

変な男2「…」ボーッ

この男…変な男2は、アライハザードの日に、アライさんを引き連れてフォアグライ加工場を破壊しに向かった。

しかし待ち伏せしていた食通の友人に返り討ちにされ、フォアグライ拘束機へ数日間拘束された。

そこでアライさん達が、アライちゃんジビエ料理…。アライさん達自身の子供を食わされる姿を見せつけられたのだった。

アライハザードが落ち着いた頃、彼は警察によって逮捕された。

看守「来い。面会の時間だ」

変な男2「…面会?俺に?」

看守「そうだ。さっさと来い」

変な男2「誰だ…?」スタスタ

変な男2は、面会室へ向かった。

見る方によって不快感を受ける可能性が有ります注意
https://www.youtube.com/watch?v=DjAo_9eSPWI
https://www.youtube.com/watch?v=-3DXZb8y5oM

>>258
どっちもいいですね、ナイスゴキガイジムーブ
ブドウ食いは野良アライちゃんにやらせたいですね

今日はここまでです

アライさんじゃないけど可愛い動画を見つけたのであります
https://www.youtube.com/watch?time_continue=15&v=8iM3nW_JOGA

しかしアライグマってビーバーやプレーリーみたいに
害獣であっても有益な面もあるという話はまったく聞かないよね。ガチで一利もないん?

>>271
可愛いですね
ブドウの動画といい、普通の可愛い動物動画も好きです

しかしプレーリーといい、ビーバーといい、
なんでこう駆除対象の害獣は見た目が可愛らしいのでしょうか(だがそれがいい)

~面会室~

変な男2は、椅子に座って待った。

やがて、ガラスで区切られた部屋の向こうに何者かが来る。

帽子とコートを着た人物であった。

変な男2「…」

??「…久しぶりなのだ」

変な男2「…!あ、アライさん…!?アライさんかい…!?」

??「…お前、何やってるのだ。何で捕まったのだ」

変な男2「…あの日、アライハザードに加担して…、俺はアライさん達を助けようとした」

変な男2「まさかアライさん達が本気で国家転覆できるとは思っていなかったさ。ただ…少しでも、アライさんのことを考え直すきっかけになってほしかったんだ」

??「その結果、大勢の人が犠牲になったのだ。それにアライさん達は前以上に迫害されて、狩られるようになったのだ」

??「今度、アライさんの一斉掃討作戦が行われるのだ。きっと国中のアライさんはいなくなるのだ」

??「お前とアライキング・ボスがやったことは、誰も幸せになれない無差別テロだったのだ」

変な男2「だけど…このままじゃあ、アライさん達が無惨に殺される未来のままだった。それが俺には耐えられなかった…!」

??「だからアライさん達を先導して、たくさんの人を傷付けたのか?」

変な男2「だって、人間だってアライさんをたくさん殺して、傷付けただろう…!君はイヤじゃないのか!?この世界が!」

変な男2「…それに、君だって、すごく痩せてるじゃないか。ちゃんとご飯食べてるの?お金はあるの?」

??「…フレンズ省大臣があたしに仕事を斡旋してくれて、その仕事をやってるのだ。特殊清掃員、ってやつなのだ」

変な男2「とくっ…大丈夫なの?」

??「凄く…辛いのだ。辛くて悲しいのだ。仕事の度に、涙が止まらないのだ…。手についたニオイも、取れないのだ」

??「それでも…、職場の人達は、あたしを迫害したり傷付けようとはしてこないのだ。態度は冷たいけども…」

変な男2「…やっぱり差別されてるんじゃないか!ここへ面会にくるときは大丈夫だったの!?」

??「かなり怪しまれたのだ。でも、法的に問題はないから…来れたのだ」

変な男2「…アライさんは、この社会が今のままでいいと思ってるのか?ネットでもフレンズ殺し政策は、海外から叩かれてるんだぞ!?」

??「…イヤなのだ…」

変な男2「…やっぱり」

??「もう限界なのだ!うんざりなのだ!なんで、なんであたしばっかりこんな冷たくされて、除け者にされなきゃいけないのだ!!」

??「あたしも害獣のフレンズだから…まわりの人の気持ちが良く分からないのだ。空気が読めてないって、自分でも思うのだ」

??「それでも…みんなと仲良くしようとして…世の中のことや人の気持ちをいっぱい勉強したのだ!」

??「でも…仲良くしようと手を伸ばしても、向こうからはね除けられるのだ」

??「…いつか、いつかきっと良くなるんじゃないかって、思ってたけど…」

??「…もう、きっとアライさんの扱いは、ずっとこんなままなのだ…」

変な男2「…アライさん…」

??「…昔のジャパリパークに帰りたいのだ…。忙しくお仕事したり、料理やご馳走したりしなくていいから…」

??「ただ…のんびり過ごしたいのだ…」

変な男2「…」

変な男2「…そのために、俺は…社会を変えようと思って…自棄になって…」

??「…バカなのだ、お前は。もうあたしのことは忘れろって、言ったはずなのだ」

??「アライさん達のことはもう忘れて、幸せに過ごせって…言ったのだ!バカ!なんで、アラ信になんてなったのだ!何もいいことなんてないのに!」

変な男2「忘れられるわけないだろ…!アラ信になったのも、君ただ一人をまた幸せにしたかったからだ!」

??「…くさいこと言うななのだ…。あたしはもうお前のことなんて、気にしてないのだ。お前もそうした方がいいのだ」

変な男2「…じゃあ…」


変な男2「なんで君はまだ、僕の名字を名乗っているんだい」

??「っ…それは…アライさんって呼ばれたくないから…」

変な男2「それじゃあ、なんで俺にはアライさんって呼ばせてくれるんだ」

??「っ…うっ…ぐぐ…!うるさいのだ…」

変な男2「名字が欲しいなら、別の名字を持つことだってできたはずだ。なぜ?」

??「…」

変な男2「そもそも、本当に気にしてないなら、なんで俺に面会に来てくれたんだ」

??「っ…!」

??「…お前のやったことは重罪なのだ。終身刑か、死刑にさえなるかもしれないのだ…」

変な男2「っ…」

??「そうなる前に…一目、もう一回会いたかったのだ…」

変な男2「…やっぱり優しいね、アライさんは」

??「…あたしのせいなのか…。お前がこんなバカなことやったのも…」

??「あたしが、お前に関わらなければ…、きっとお前は、今より幸せな人生を送れたのだ」

??「あたしに関わって、仲良くしてくれた人達は…みんな不幸になっていくのだ。お前も、師匠も、カフェのみんなも、探偵さんも、ペパプも、建設会社のみんなも…!」

変な男2「…俺は、不幸なんかじゃなかったよ」

??「嘘なのだぁ!重罪で捕まって…不幸じゃないわけないのだぁ!あたしなんかと関わって、こんなことになった…お前が…可哀想なのだぁ…っ」

変な男2「でも、こうしてアライさんが、俺に会いにきてくれた」

??「…!!」

変な男2「それでいいんだ」

??「いいわけ…無いのだぁ…!」

変な男2「来てくれて、ありがとう」

??「…犯罪者の、くせにっ…ぐすっ…何、いいこと言った気にっ…なってるのだっ…ひぐっ…!」

??「うっ…ぐすっ…!うぅ…!」

変な男2「…」

変な男2「俺は、思うんだ」

変な男2「君がパークから来てすぐのころ…、世間で良く知られるアライさんは、君だけだった。もう一人はどこかいっちゃったけど…」

変な男2「その頃は、君は今と違って、パークやテレビで多くの人に愛されてた。…でも今は違う…」

変な男2「思うに、アライさん=害獣のイメージは、害獣の母数が多すぎるせいだと思う」

変な男2「もしも、君以外の、人に迷惑かけるアライさんがみんな死んでしまえば…」

変な男2「君という、善良なアライさんだけが残る。アライさんの母数は1/1で君だけになる」

変な男2「そうすれば、そのうち社会のアライさんに対するマイナスイメージは無くなって…、君はまた幸せに過ごせるかもしれない」

??「…アラ信のくせに、変なこという奴なのだ」

変な男2「変じゃないよ。俺はアラ信…アライさん信者だ。君だけの信者だ」

??「…何うまいこと言おうとしてるのだ、バカ…」

変な男2「はは…」

??「…」

変な男2「…」

変な男2「じゃあね、アライさん。会えて良かったよ」

??「っ…」

変な男2「さよなら」

??「…きっともう、会うことはないのだ…さよならなのだ…」

変な男2「うん」

??「…」

変な男2「…」

??「…」

変な男2「…行かないのか?」

??「…まだ、ここを…離れたく…ないのだぁ…!」

変な男2「え…」

??「嫌なのだ…まだ、ここにいたいのだ…!」

変な男2「^^;」

??「時間ギリギリまで、ここにいさせろなのだ。アライさんにはその権利があるのだ」

変な男2「…はは、なんか、ワガママで、自分勝手で、自分の気持ちに素直で…」

変な男2「昔の君に戻ったみたいだ。あの頃の君に」

??「何とでも言うのだぁ!アライさんは権利を行使するのだぁ!」

変な男2「…」

??「…おい、なんか楽しい話を聞かせるのだ。その後、アライさんの苦労話をたっぷり聞いてもらうのだぁ」

変な男2「…ふふ」

その後、面会人は面会時間ギリギリまで粘り、変な男2と話し続けた。

つづく



一斉掃討作戦が始まった。
これは、作戦開始と同時に軍人達が鉄砲を持って山へ駆け込むという意味ではない。

計画段階から、必要物資の準備などの人やモノを動かす段階に至ったという意味である。

準備の段階から、すでに作戦なのである。



~夜、清掃員のアパートの前~

清掃員「…」トボトボ

清掃員は、仕事を終えてアパートへの帰路についたところだ。
特殊清掃員の仕事は、今日もハードであった。

清掃員「…家でお茶でも飲むのだ…」フラフラ

職場の人達には、『アライさんだから』という理由で冷たくされる日々。
しかし、自分の仕事が確かに人々の役に立っているという実感があった。

清掃員「…」フラフラ

アパートの前に差し掛かったとき。

「ID2番…お前に…話があるのだ」

清掃員「…!?」クルッ

何者かが、声をかけてきた。





山小屋アライさん「…はぁ、はぁ…」ゼェゼェ


顔色の悪いアライさんが、夜の闇から姿を現した。
その腕には『の』の字の腕輪がついている。

清掃員「あ、アライさん…!?そ、それに今、あたしのことなんて呼んだのだろうか?」

山小屋アライさん「ID2番と呼んだのだ。お前のことはよく知ってるのだ」

清掃員「…お前は何なのだ?」

山小屋アライさん「ヤマゴヤと呼ぶのだ。ぜぇ、ぜぇ…、アライさんは、お前に危害を加える気は無いし、その力もないのだ」ハァハァ

清掃員「…なんか辛そうなのだ。大丈夫なのか?」

山小屋アライさん「…気にしなくていいのだ。それより、お前に用があるのだ」

清掃員「…っ」キョロキョロ

清掃員はまわりを警戒する。

目の前のアライさんが、もしかしたらあのクソ憎たらしいアライキング・ボスのような、
凶悪なフレンズかもしれない。

影からこいつの仲間が飛び出してきて、自分に襲いかかるかもしれない。

清掃員は、腕輪持ちのアライさんを特に警戒している。

山小屋アライさん「新聞で読んだのだ…。もうすぐ、アライさんの一斉掃討作戦が開始し、アライさんが滅ぼされるとか」

清掃員「…そうなのだ。お前は腕輪持ちだけど、他のやつらは死ぬのだ」

山小屋アライさん「…その件で、お前に…いや、特定有害駆除対象フレンズ根絶委員会に、提案をしに来たのだ」

清掃員「のぁ…!?」

山小屋アライさん「そう、提案なのだ。会わせて、話させて欲しいのだ」

清掃員「…お前みたいな訳のわからない奴を、いきなり会長と話をさせろというのは無理なのだ。事情を聞かせるのだ」

山小屋アライさん「わかったのだ…ふぅ…」

山小屋アライさんは、花壇のはしっこのレンガの上に腰かける。

山小屋アライさんは、事情を説明した。

清掃員「…信じられない話なのだ…」

山小屋アライさん「本当なのだ。この提案を呑めば、皆が幸せになれるのだ。お前も、野良アライさんも…この国もそうなのだ」

清掃員「…あたしが、幸せじゃないっていうのか…?」

山小屋アライさん「否定できるのか?」

清掃員「…」

山小屋アライさん「お前は…今の生活に満足しているのか?」

清掃員「…どういう意味なのだ」

山小屋アライさん「今の生活というのは、人間の暮らしの中で生きる事なのだ。…虚しさを感じることはないか?」

山小屋アライさん「毎日繰り返しの、変わらない味気ない日々。安らかな寝床で目を覚まし、何の楽しさもない仕事を繰り返し、同じようなものを食べ、味気ない娯楽を楽しむ…」

山小屋アライさん「そんな日々に退屈してないか?飽き飽きしてないか?うんざりしてはいないか?」

清掃員「…それが何なのだ」

山小屋アライさん「人間達は…狩猟・採集生活を手放し、安定した生活を手にした。しかしそれと同時に、満たされない感情をもて余すようになったのだ。そうは思わないか?」

清掃員「…訳がわからないのだ。今の生活が間違ってるっていうのか?」

山小屋アライさん「そう言ってるのだ。間違っていなければ、なぜ年に2~3万人も人間が自殺するのだ」

清掃員「…」

山小屋アライさん「人間の感情は、もともとすべて…狩猟・採集生活を円滑に進めるための脳の働きなのだ」

山小屋アライさん「例えば、喜びという感情…これは、元々なぜ人間に備わっているか、考えたことはあるか?」

清掃員「…」

いきなり何を言い出すのだろうか?

清掃員「…知らないのだ」

山小屋アライさん「喜びとは、大きな獲物を仕留めたり、美味しい食べ物を採集したとき…それを『快感』という報酬として学習することで、より効率的な食糧獲得ができるようにするための脳のシステムなのだ」

山小屋アライさん「決して…ゲームをクリアしたり、スポーツチームの勝利を祝ったり、映画を観ることで満たすべき感情ではないのだ」

清掃員「…」

山小屋アライさん「退屈という感情も、停滞を好まず積極的な探索活動を促すための脳のシステムなのだ。暇潰しをして紛らわすべき感情ではないのだ」

山小屋アライさん「好奇心も、見知らぬ場所へ食糧を探しに行き、新しい地形のことを学ぶためのシステムなのだ。無意味な旅行をして紛らわすべきではないのだ」

清掃員「…うだうだうだうだと…何が言いたいのだ」

山小屋アライさん「もっと単刀直入に言うのだ。お前は、旧ジャパリパークに戻りたくはないか?」

清掃員「…戻りたいのだ。でも、もう無くなったものにすがるわけにはいかないのだ…」

山小屋アライさん「旧ジャパリパークは、あるのだ」

清掃員「!?」

山小屋アライさん「人間社会から隔絶された、自然の中…それは、旧ジャパリパークそのものなのだ」

山小屋アライさん「人間社会に居場所がないと言っていた…ならば、お前も、自然の中で生きればいいのだ」

清掃員「…な…」

山小屋アライさん「アライさんの提案に乗れば、それができるのだ。…悪い話じゃないはずなのだ」

清掃員「…とにかく、会長に話を通してみるのだ」

山小屋アライさん「…頼んだのだ」

すまん、色んなSSあるから設定ごっちゃかもしれん
確認を取りたいがこのSSだとジャパリ島はセルリアン大漁発生で誰も住めないで合ってる?
そうだとすれば山小屋の行動の意図も読める

>>350
植物がすべてセルリアン化した後、土壌が汚染されて再興不可能の死んだ土地となりました

活動しているセルリアンはいません

その後会長は、清掃員からの話を聞き、
色々と手続きを踏んで取り次ぎを行った。

会長および大臣と、山小屋アライさんの、直接対話の場が設けられた。




~特定有害駆除対象フレンズ根絶委員会 本部~

山小屋アライさん「作戦中の忙しい時期に時間を作ってくれたこと、感謝するのだ。有意義な交渉をしたいのだ」

大臣「…お前は誰なのです」

会長「名を名乗るのです」

山小屋アライさん「アライさんはアライさんなのだ。お前達には、ID1番と呼ばれているのだ」

大臣「…!1番…!生きていたのですか!?てっきりもう死んだものかと…」

会長「なんということ…。今まで何をしていたのですか?」

山小屋アライさん「知っての通り、アライさんは…この社会でしばらく過ごした後、森へ移り住んだのだ」

大臣「…まさか、アライさんの繁殖は…」

山小屋アライさん「アライさんは子供を作っていないのだ。…そんな事ができる体じゃなかったのだ」

大臣「…そうなのですか。それから何をしていたのですか」

山小屋アライさん「しばらくは森の中で過ごしていたのだ。しかし、ある日突然火山からサンドスターが噴出して…、森じゅうにアライさんが大量発生したのだ」

大臣「10年前のことですね」

山小屋アライさん「野良アライさん達をしばらく見守っていたのだ。しかし、奴等は無秩序に増えていくばかりなのだ。このままでは危機なのだ…そう考えたのだ」

会長「危機…とは?」

山小屋アライさん「このアライさんが…食うものが無くなるのだ」

大臣「動機はえらく俗物的ですが…まあ、危機という認識は正しいのです」

山小屋アライさん「そこでアライさんは、アライさん達をうまくコントロールし、秩序を作れないか?試行錯誤していたのだ」

大臣「…!それは…」

山小屋アライさん「…分かってるのだ。アライさんの繁殖の助長。犯罪行為なのだ」

山小屋アライさん「試行錯誤し続けて、何度もアライさんの群れは崩壊し…別の所で新たな群れを作ったのだ」

山小屋アライさん「その結果…、アライさんはある山で…やっと、まともな群れを作ったのだ」

山小屋アライさんは、群れの仕組みを説明した。

群れの中で身内争いや泥棒をしたら、一家まとめて死刑にすること。

収穫物によって成績をつけ、それをもとに待遇を決めてることで、『間引き』していること。

アライちゃん達には幼い頃から教育を施し、文字を読んだり簡単な計算をしたり、群れのルールを教えていること。

教育の成績が不十分だったアライちゃんは、成長後に最下層カーストとして惨めな暮らしをし、晒し者になること。

野生化した鶏を育てて、卵をとっていること。
ゴミ袋から漁ったスイカの種やジャガイモの切れ端を栽培し、畑を作ることに成功したこと。

収穫物は、人間の畑や牧場から採ってはならないこと。
畑から採ったら死刑にすること。


…すべてを伝えた。

会長「畑から採ったら死刑?本当なのですか?」

山小屋アライさん「本当なのだ。最下層カーストのやつらがたまに畑から持ってくるが、死刑にしているのだ」

大臣「それで食べ物は足りるのですか?」

山小屋アライさん「他のアライさん達が自然に増えてることもあって、自然の食べ物だけでは足りないのだ」

山小屋アライさん「だから、畑ではなく…ゴミ袋とかを漁ることは許可してるのだ。腐りかけのジャガイモとかは、よく加熱して食べてるのだ」

会長「おい(半ギレ)」

山小屋アライさん「あと、首輪の着いたペットじゃなく、野良猫なら狩っていいことにしているのだ」

大臣「野良猫を…」

山小屋アライさん「あとは…自然の川や湖からは魚を獲ってるのだ。野生化した錦鯉とかは獲らせてもらってるのだ」

会長「…ふむ…ゴミ袋はともかく、畑荒らし無しで…。本当なのですか?」

山小屋アライさん「本当なのだ。悪魔の証明はできないが、監視すればきっと分かるのだ」

会長「…で、要求は何なのです」

山小屋アライさん「提案なのだ。お前達が…ごほっ、げほっごほっ!…ぜー、ぜー…」ハァハァ

山小屋アライさん「…お前達が、一斉掃討作戦で日本中の野良アライさんを駆除しようとしているらしいが…」

山小屋アライさん「さっき言った群れをどこかの島へ隔離し、生存させて欲しいのだ」

大臣「なんと…自分たちだけは助けて欲しい、そう言ってるのですか?」

山小屋アライさん「自分たち、というのは語弊があるのだ。アライさんは腕輪持ちだから、繁殖の助長で逮捕はされても、殺されることはない…はずなのだ」

山小屋アライさん「アライさんが言ってるのは…、アライさんを間引きした上で、隔離された場所で野良アライさんという種の保存をしてほしい、と言ってるのだ」

大臣「その群れは…お前が逮捕された後はやっていけるのですか?」

山小屋アライさん「頭の切れる奴を後継者として教育してるのだ。今の群れを保つことくらいはできるのだ」

会長「…こちらに何のメリットがあるのですか?」

山小屋アライさん「お前達は…特定有害駆除対象フレンズ一斉掃討作戦に対して、国際的な非難を浴びてることは分かってるのだ」

大臣「分かってる…?どうやって知ったのですか」

山小屋アライさん「部下にゴミ袋から新聞紙を漁らせて、それを読んでるのだ。バカな奴がなんべん言っても新聞紙と間違えてチラシを持ってくるから一苦労なのだ」

山小屋アライさん「ともかく…げほっ…!ごほっ…」ゴホゴホ

山小屋アライさん「…こっちから提案できるメリットは、3つあるのだ…」ゼェハァ

山小屋アライさん「ひとつ…アライさん根絶じゃなく、間引きして住まわせるということなら…、大量虐殺しても、ある程度国際的非難は免れるのだ」

大臣「…曖昧だしはっきりしないのです」

山小屋アライさん「ふたつ。島で暮らせるアライさんが増えすぎたら…、そいつを間引く必要があるのだ」

大臣「?メリットとは思えないのです」

山小屋アライさん「つまり、そいつらを…アラ虐の捌け口にしてもいいし、アラジビ料理に使ってもいいのだ」

大臣「」

会長「…お前…」

大臣は、山小屋アライさんの口から、同族を虐殺・補食してよいという言葉が出たことに驚いた。

山小屋アライさん「お前達は、この国からアライさんが消えた後…、アラ虐していた者達がスパっとアラ虐をやめられると思うか?」

会長「っ…」

会長は、ブラウンPのことを思い浮かべた。
あの憐れなシリアルキラーは、アライさんが滅んだ後、どこへ矛先を向ければいいのか。

山小屋アライさん「お前達は…きっと人間は善良だから、アラ虐をスパっとやめられる、と思ってるだろうけども」

山小屋アライさん「一度弱者を蹂躙することを覚えた人間は、それに病み付きになって…別の捌け口を探すのだ。それは小動物や…小さな子供かもしれないのだ」

山小屋アライさん「アライさんが今まで被害を出した分、アライさん達を暴力の捌け口にすればいいのだ」

大臣「…イカれた事を言うのですね…」

山小屋アライさん「そして3つ目…これは短期的なメリットでしかないが。うちの群れの連中を、アライさん駆除作戦に加え、戦力にするといいのだ」

大臣「!?そ、そんな事…できるとは思えないのです」

山小屋アライさん「お前達が今度の作戦に導入しようとしてるアレ…、光を遮蔽する物があると機能しないらしいのだ」

大臣「っ…何故、それを!!」

山小屋アライさん「つまり、巣穴の中に隠れているアライさんは見つけられないのだ」

山小屋アライさん「それを、うちの部下たちに…げほっ!おごっ…ごほぉっ…!はぁー、はぁー…」ハァハァ

山小屋アライさん「…うちの部下たちに、嗅覚で探し出させるといいのだ」

山小屋アライさん「それに奴らなら、アライグマ達をフェロモンで誘き出したり、溜め糞を嗅いで居場所を突き止められるのだ」

大臣「…そいつらが裏切らないという保証はあるのですか?」

山小屋アライさん「奴等は処刑に何度も参加させ、同族殺しに慣れさせているのだ」

山小屋アライさん「それに、餌を争うライバルを間引きできて、自分たちが生き延びられるのなら、奴等は同族を殺すくらい造作もなくできるのだ」

大臣「…同族に対して、随分冷酷なのですね」

山小屋アライさん「それがアライさんという生き物なのだ。このアライさんや、ID2番含めて、他者へ真の意味で共感して思いやりを持ちてる奴はいないのだ」

大臣「…」

山小屋アライさん「アライさんから提案できるメリットはこれだけなのだ。後は、お前達で考えるのだ」

大臣「…もし断ったらどうするのです?」

山小屋アライさん「その時は…もう、こちらには打つ手無しなのだ。アライさんは諦めるのだ。まあ、群れの連中は素直に殺されてはくれないだろうが…」

山小屋アライさん「殺す気なら気を付けるのだ。あいつらは、何度も処刑に参加して、レベルとかいうものがかなり上がってるのだ」

山小屋アライさん「下手な人間のハンターなら、きっと返り討ちにあうくらいの強さなのだ。奴等は、敵でなく…味方に付けることをオススメするのだ」

大臣「…脅しですか?」

山小屋アライさん「脅しではなく忠告なのだ。お前達は、武力をもつテロリストの脅迫や要求に応じるわけにはいかないのだ」

山小屋アライさん「だからアライさんは、非暴力…あくまで対話をしたいのだ。テロリストになる気はないのだ」

会長「…」

大臣「…」

かつての敵、アライキング・ボスは…そのフィジカルの強さと、味方を扇動する力において化け物と呼べる強さであった。

だが、目の前にいるID1番…
こいつは、アライキング・ボスとは別の意味で化け物であった。

つづく

大臣「しかし、そんな無人島…アテはあるのですか?」

山小屋アライさん「瀬戸内海に位置する、大久野島。…あの無人島に、果実のなる木を植林して使わせるのだ」

大久野島。
かつては野生のウサギが多く住んでおり、観光客で賑わっていた。

ウサギの過剰繁殖により草は食い尽くされ、虫や鳥がほとんど居なくなっていた。

しかし、セルリアンの侵攻によりウサギは居なくなってしまった。

現在はただの無人島になっている。
土地を買い取ろうという者もいない。

そのせいか、渡り鳥が落とした糞に混じった種子が発芽し、虫や鳥、小型爬虫類などの生態系が回復している。

大臣「…成る程。瀬戸内海なら、他国からの密猟を防げるし、監視もしやすいのです」

山小屋アライさん「ただ、詳しく調べた訳ではないのだが…今のままでは食物が足りない。掃討作戦期間が1~2年と見積もるとして、その前に果樹の植林活動が必要なのだ」

大臣「…作業員はどうするつもりですか?」

山小屋アライさん「運搬はともかく、植林作業はうちの群れのカースト下位連中にやらせるのだ」

山小屋アライさん「もし植林をサボったら、奴らの自業自得。うまくいったら成績を上げるチャンスというわけなのだ」

大臣「自己責任というわけなのですね」

山小屋アライさん「…」

大臣「…」

山小屋アライさん「アライさん達は、お前達にとって間違いなく害獣なのだ。滅ぼせば農作物被害が減るというメリットがあるのだ」

山小屋アライさん「だが、個体数を絞って生存させるメリットは、少なからずあるのだアライさんは、その折衷案を…ごほっ…げほっ…!」

山小屋アライさん「…はぁ、はぁ…折衷案を提案しているのだ。よく考えるのだ…本当に、一匹残らず絶滅させることに意味はあるのか?人の暮らしに被害が出なければ、共生はできずとも共存ならできるのではないのか?」

大臣「…うぅ…」

会長「乗ったのです。お前達の群れを視察させるのです」

大臣「会長!?」

山小屋アライさん「…分かったのだ」

続きはあとで



会長、大臣、山小屋アライさんは、車で山へ向かった。

中腹あたりで、車を降り、徒歩で山小屋へ向かった。

大臣「食糧はどうするのですか?」ザッザッ

山小屋アライさん「はぁっ、はぁっ、ぜぇっ、はぁっ…、野良ウサギの生き残り達の肉や、植物の実、それと魚なのだ。釣りを教えるのだ」ザッザッ

会長「瀬戸内海なら水産資源も豊富なのです」ザッザッ

山小屋アライさん「はぁーっ、はぁーっ…着いたのだ、ここなのだ…」ゼェハァ

一行の目の前には、山小屋があった。

山小屋アライさん「入るのだ。罠はないから安心するのだ」ノソノソ

大臣「これは…管理されていない山小屋なのです」スタスタ

会長「…?アライさんはいないのです」キョロキョロ

~山小屋の中~

会長「おい!どこにもアライさんがいないのです!どこにいるのですか?」キョロキョロ

山小屋アライさん「あいつらには、不審な人物が近付いたら、地下トンネルに避難するよう言ってるのだ。人を見かけても決して攻撃せず、隠れろと」ゴソゴソ

山小屋アライさんは、床板を外す。
すると、床板の下の地面にはトンネルが掘ってあった。

会長「モグラみたいなのです」

山小屋アライさん「お前達!はぁ、はぁ…取引の時が来たのだ!覚悟を決めるのだぁ!」パンパン

山小屋アライさんは、トンネルの中へ向かって叫ぶ。

程なくして、地下トンネルからたくさんのアライさん達が出てきた。

ロッジアライさん1「家主…!」ノソノソ

ロッジアライさん2「うぅ…ついにこの時が来たのだ…」ノソノソ

外へ出てきたのは10匹程の生体アライさんだ。

山小屋アライさん「チビ達はまだ地下に隠れてるのだ」

大臣「…視察するのです」スタスタ

会長「するのです」スタスタ

大臣と会長は、教育施設、食糧庫、首塚、鶏小屋、新聞置き場、かまど、成績の記録場所などを見て回った。

大臣「どうやら…ID1番の言ってたことは本当のようです」

会長「本当のようです」

山小屋アライさん「…お前達は、ここでアライさん達を皆殺しにすることもできるのだ。そうせずに、こいつらを味方にすることもできるのだ」

山小屋アライさん「…判断は、お前達に任せるのだ」

ロッジアライさん1「くっ…うぅっ…!」フゥーッ

ロッジアライさん2「か…かかってくる気なのか…!?」フゥーッ

ロッジアライさん達は、会長と大臣を警戒しているようだ。





会長「…ふむ。いいのです。お前達の要求を呑むのです」

大臣「な…!?」




山小屋アライさん「…!」

ロッジアライさん1「や…」

ロッジアライさん2「やったのだあああああぁぁ!!」

大臣「だ、大丈夫なのですか!?」

会長「大臣…」ゴニョゴニョ

大臣「…!」

会長「できそうですか?」

大臣「…」コクリ

会長「さて…というわけで、約束なのです。お前達には、一斉掃討作戦に加わって貰うのです」

ロッジアライさん1「アライさんにお任せなのだぁ!」

ロッジアライさん2「やってやるのだ!」

山小屋アライさん「そうか…感謝するのだ。だが、お前達には、取引の保証をしてもらうのだ。戦わせるだけ戦わせて、最後に約束を反故にする…というのは無しなのだ」

山小屋アライさん「1つ…1週間以内に、大久野島への植林計画を立てるのだ。そして1ヶ月以内には作業を動かすのだ」

大臣「む…」

山小屋アライさん「2つ。一斉掃討作戦に加わる10人のアライさん達に…、戸籍を…腕輪を与えるのだ!」

大臣「!?」

大臣「戸籍を…!?」

山小屋アライさん「そうなのだ。植林作業員のアライさん達はいいから、戦闘員達に戸籍を与えるのだ。勿論、あのテスト無しでなのだ」

大臣「そ、そんなことを…」

山小屋アライさん「これは、契約の証なのだ。アライさんは…お前達が約束を反故にして、ロッジアライさん達をついでに殺すことを何よりも恐れてるのだ」

山小屋アライさん「殺さずに、島へ移住させてくれると本当に約束してくれるなら…、戸籍の取得をさせても、お前達は何も困ることはないはずなのだ」

大臣「っ…」

会長「お前達が、戸籍取得後にそのまま逃げるという可能だってあるのです」

山小屋アライさん「だから戸籍を与えるのは戦闘員達だけに限定するのだ。戦闘員達にも可愛がってるチビがいるし、群れにはカースト下位の連中だっているのだ」

山小屋アライさん「もし戦闘員達が戸籍取得後に逃げ出したら、お前達はチビ達や他のアライさん達を殺せばいいのだ」

会長「…つまり、戸籍を持たない連中は、人質…ということなのですか?」

山小屋アライさん「そう。アライさん達がお前達を裏切らないと保証するための人質なのだ」

山小屋アライさん「この群れは、カースト下位の連中に支えられてできているのだ。…そいつらや、可愛いチビ達を失うのは、戦闘員達だって痛手なのだ」

山小屋アライさん「きちんと働けば一切失わずに済むものを、バカな判断で失うほど、うちの戦闘員達はバカじゃないのだ」

大臣「…互いに裏切らないことを保証し合おうという訳なのですね」

山小屋アライさん「アライさん達は、お前達と化かし合いをするつもりはないのだ」

会長「分かったのです。そいつら10匹に、特別に戸籍を取らせてやるのです」

はたして、この判断は吉と出るか…

会長「ただし、腕輪精製機はかれこれ7年近く使ってないのです。色々と調整が必要なのです」

会長「だから、戸籍の取得には3日待つのです。3日後、戦闘員達を戸籍登録しに行くのです」

山小屋アライさん「3日…分かったのだ。じゃあ3日後、こいつらを迎えに来て欲しいのだ」

会長「分かったのです。…それじゃあ帰るのです。お前もついてくるのです」クイクイ

山小屋アライさん「…逮捕するのか?」

会長「いや。作戦の説明や、植林計画について話すのです」スタスタ

山小屋アライさん「…分かったのだ。ぜぇ、はぁっ…」ヨタヨタ

副リーダーアライさん「や…家主!」アセアセ

山小屋アライさん「大丈夫…帰ってくるのだ。それまでの間、群れは任せたのだ」ヨタヨタ

副リーダーアライさん「アライさんにお任せなのだぁ!」



~夜~

会長「…」プルルル

会長「もしもし、私なのです。頼みたいことがあるのです」

会長「3日後に、野良アライさん達10匹の腕輪を作りに行くのです。だから…調整して欲しいのです」

会長「…」

会長「頼んだのです」ガチャッ

会長「…」

つづく


続きが気になり胸が熱くなるな


所でスマホからこのSS見ようとしたらPWやメッセージ盗もうとする攻撃受けて見れなくなったンだけど
皆は大丈夫?(今林檎から見てる)

>>463
ブラウザで見てみましたが、なんすかこれ怖い…
2chMateだと平気なんですけども、どういうことなの…

https://youtu.be/MkOZa3V2TIw
https://youtu.be/c6fFK5-9Klk
この動画良かったですよ
アライグマトラップ→ゴキガイジムーブの黄金パターンで良いとこ押さえてる

※グロ注意

>>463です

まだスマホからこのSS見れないのでスクショ載せました。関係ない話題振ってすんまソン
https://i.pximg.net/img-original/img/2017/10/17/13/29/39/65471758-f8778e4583d362b87b8bcdc06042b393_p0.jpg

誰か解決方法教えてプリーズ
(林檎から見れるから良いじゃんと思うが一応解決しときたい)

~サンドスター科学研究所附属病院~

ここは、命乞尾シロウが建てた病院。
アライさんからの生体組織移植手術を専門に行う病院である。

アライさんからの移植手術の大きなメリットとして、手術室へアライさんを運び込み、切り取った組織をその場で移植できるという点がある。

そのため、組織を保存液に漬けて冷却する必要がなく、移植後の組織がすぐに馴染みやすいのである。

しかし、困ったことに世間一般の医者達は皆、わざわざ研究所でアライさんから切除した組織を冷却保存して運んで欲しがる。

手術室でアライさんを殺せばコストも安上がりなのに、そうしようとしない。

利点を活かそうとしない世間の医者達へ業を煮やした命乞尾シロウが、自分で病院を建ててしまったのである。

「アライさんから移植されるくらいなら死んだ方がマシだ」という者も中にはいるが、
死ぬくらいならアライさんからでもいいので臓器移植してほしい、という者が多く、この病院の需要は高い。

~実験室~

脳実験台アライさん「うごおぉぉ…あうおえぇ…」ガクガク

迷路が設置された実験室に、奇妙なアライさんがいた。
切開された頭部は透明なプラスチックケースで覆われ、電極の刺さった脳が透けて見える。

理科の先生「前進」ポチッ

理科の先生は、XBOXコントローラーの前ボタンを押す。

脳実験台アライさん「うぅいぃいぃ…」ヨタヨタヨタヨタ

アライさんは足を交互に動かし、前によたよたと歩いた。

理科の先生「後退」ポチッ

脳実験台アライさん「うぅ~…ぁあああぁぁ…」フラフラヨタヨタ

アライさんは千鳥足で後退した。

理科の先生「では、迷路スタート」グイイッ

脳実験台アライさん「ぎひいいぃっ…うええぇっ…」ヨタヨタヨタヨタ

理科の先生はアライさんを操り、迷路の中を歩かせ、見事ゴールへたどり着かせた。

透明なプラスチックケースの裏には電子回路がついており、アライさんの脳へバス信号線でつながっている。

どうやらBluetooth無線で操られているらしい。

理科の先生「素晴らしい…。実験成功です。これで頸椎損勝者への外部神経デバイス開発が進みます。それだけでなく、アライさんを操作して放射性物質の除去などの危険な作業をさせることもできますね」カキカキ

理科の先生「アライさん?返事はできますか?」

脳実験台アライさん「ぎひーぎひーっ…ひっ、ひっ…や、やすませ、る、のだ…」ブルブル

理科の先生「ふむ。やはり今のままでは脳への副作用が多いですね。しかし返事ができる位の意識レベルを保つことには成功しました」

理科の先生「これでまた、脳科学の研究が進みました。教授?見てらっしゃいますか?あなたの理論を…あなたが書くだけ書いて眠らせていた机上の理論を!私が生体実験で実証しましたよ!」クルッ

理科の先生は、実験室内のカメラに向かって話しかける。

すげぇ!アライさんの脳に電極仕込んでコントロールするとかゲーム化したら全て据え置きが過去の物になるんじゃね!?

島にアライさん移住させるのってさ、

その内、島近辺の「漁業権主張」しだしたり、魚や作物が不作になったから、近海に「海賊行為」し出したりでロクな事にならないと思うンだよね

国際世論にひよって、種の保存した所でヒトとフレンズ達(アライさん以外)の害悪にしかならないのに耳障りの良い言葉で惑わした山小屋アライさんは化かし合いじゃなくて
最初っから化かしに来ているよね

理科の先生「教授!いかがですか教授!あなたの理論は素晴らしい!だがあなたは今まで生体実験をしなさすぎた!素晴らしい理論が、ただの理論のまま眠っていた!なんと勿体無いことか!」

理科の先生「それがどうですか!あなたの理論をもとに行った実験の成果がこれです!素晴らしい!まあ、理論と実際のデータにはさすがに多少ズレがありましたが。見事に証明されました!」

理科の先生「素晴らしい!素晴らしいですよ!これからもどんどんアライさんの命を糧にして!あなたの理論を共に証明していきましょう!教授!」

研究員1「主任、もうお止めください」ガチャッ

理科の先生「どうしました?」

研究員1「教授が泣き出しました。袋にゲロを吐いています」

理科の先生「…いつもいつも、教授の反応は分からないですね…。素直に喜べば良いのに…」

一番最悪なのが「独立化」だな
ロシアからプルトニム買い付けて核保有したらヤバいな


元ネタは攻殻機動隊GIGの難民問題な↑

研究員2「それと主任。新しい患者がお見えになりました」

理科の先生「分かりました。実験は一旦中断。人命第一です」スタスタ

理科の先生は、患者のもとへ向かう。



~診察室~

顔が爛れた女性「うぅ…先生…この…かおを…なおひて…くだひゃい…」

理科の先生「ここへ来られたということは…歩かせからの移植で構いませんね?」

顔が爛れた女性「はい…よろひく…おねがいひまふ…」

理科の先生「しかし、顔面の皮膚を移植するとなると、あなたの顔はやはりアライさんに似た顔になってしまいます。まあ、整形でツリ目を治すことはできますが…。そのリスクは負えますか?」

顔が爛れた女性「………」

顔が爛れた女性は、しばらく悩んだ。
アライさんに似るくらいなら、このままの方がマシではないかと、本気で迷っているようだ。

>>502訂正

研究員2「それと主任。新しい患者がお見えになりました」

理科の先生「分かりました。実験は一旦中断。人命第一です」スタスタ

理科の先生は、患者のもとへ向かう。



~診察室~

顔が爛れた女性「うぅ…先生…この…かおを…なおひて…くだひゃい…」

理科の先生「ここへ来られたということは…アライさんからの移植で構いませんね?」

顔が爛れた女性「はい…よろひく…おねがいひまふ…」

理科の先生「しかし、顔面の皮膚を移植するとなると、あなたの顔はやはりアライさんに似た顔になってしまいます。まあ、整形でツリ目を治すことはできますが…。そのリスクは負えますか?」

顔が爛れた女性「………」

顔が爛れた女性は、しばらく悩んだ。
アライさんに似るくらいなら、このままの方がマシではないかと、本気で迷っているようだ。

しばらく悩んだ後…

顔が爛れた女性「…ツリ目は、なおひぇるんれひゅね?」

理科の先生「はい。治せます。こちらに整形でツリ目を治させたアライさんの写真がありますが、これに似た顔になります」トン

えらい美少女の顔がそこに写っていた。
アライさんは、キツいツリ目が賛否両論だが、それ以外はフレンズらしい顔なのである。

顔が爛れた女性「お願いひまふ!」

女性は即答した。

理科の先生「分かりました。では、手術の準備に取りかかりましょう」

アライさんとフェネックって顔似てるし(フェネックに失礼)これはフェネックrespectで整形したンですって言えば誤魔化せるンでない?

いつから腕輪=戸籍持ちと錯覚していた?

~手術室~

顔が爛れた女性「…」

理科の先生「全身麻酔をかけさせて頂きます。顔の皮膚を換えるのですから、痛みは強いですからね」

顔が爛れた女性「…お願いひまふ」

ナース「では、じっとしててくださいね」スッ

ナースは、女性へ点滴を取り付ける。

研究員1「主任、ドナーを連れてきました」ガラガラ

達磨アライさん「嫌なのだあああああああっ!もうアライさんの体を取らないで欲しいのだああっ!頼むからもうやべでえええっ!痛いのは嫌なのだあああああああっ!」ガラガラ

手足と右目がないアライさんが、担架に乗せられ運ばれてきた。

このアライさんは過去に手足と右目だけでなく、右肺と左腎臓もドナー提供させられている。

理科の先生「では、サンドスター拘束固定剤を投与します」ブスゥ

達磨アライさん「だずげでええぇ!嫌なのだあああああああっ!いやだ…もう…」

達磨アライさん「…」フゥフゥ

今度の薬剤は、顎を動かすこともできないバージョンだ。

顔の皮膚を提供するのだから、当然であろう。

尚、動きは止まるが、アライさんの意識と痛覚はそのまんまである。

理科の先生「では、執刀します」カッ

理科の先生は、メスでアライさんの顔の皮膚を裂いていく。

アライさん「ーーーーーー~~~~~~~~~~っ…!!!!!!」

アライさんはピクリとも動かない。
ただ荒い呼吸で胸が上下しているだけだ。

理科の先生が、アライさんへ麻酔を使わずに、この薬剤を使う理由はただ一つ。

製造コストが、サンドスター拘束固定剤の方が格段に安いためである。

患者の費用負担を少しでも減らしてあげたいという、理科の先生の思いやりであろう。

理科の先生「患者は顔の筋肉は幸い無事なようなので…。移植は皮膚だけでいいですね」ベリベリ

理科の先生は、達磨アライさんから顔の皮膚を剥がしていく。
唇も、頬も、瞼も、鼻も。
アライさんの顔から、機械のような精密さで剥がされていく。

達磨アライさん「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」ジョボボボボボボ

麻酔一切無しで顔の皮膚を剥がされている達磨アライさんは、激痛のあまり失禁する。

尿はアライさんの尿道へ挿入されたカテーテルから、袋へ溜められていく。



理科の先生「手術成功です」

女性(包帯ぐるぐる巻き)「」

女性はまだ眠っているようだ。

達磨アライさん「ーー!~~~~~~~~~~っ!ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

達磨アライさんの顔の皮膚は無くなった。
筋肉が露出しており、もう瞼を閉じることも、口を閉じることもできない。

頬がなくなった口の端からは、血の混じった涎が垂れ流しになっている。

瞼の無くなった目は、皮膚と共に涙腺が切除されており、涙を流すこともできない。


理科の先生「このままだと失明しますね。勿体無いので眼球も、移植用に摘出しましょう」ザクザクブチイイィイ

達磨アライさん「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

達磨アライさんの残された目は、かなり雑に切除された。

現在、眼球まるごと移植する技術は確立されていないため、
角膜さえ傷付いていなければ平気なのである。

達磨アライさん「ああああああああああああああああああああああ!!いあい!ああいあうおあおあああああ!いあいいいいいいいいいいい!!!」ビッタンバッタン

どうやら薬剤の効果が切れたようだ。
唇も頬もないアライさんは、母音だけで何かを訴えかけている。

理科の先生「安心してください、まだ殺しませんよ。貴女にはまたベッドに戻って、次の移植手術のドナーとして役立って貰います」

理科の先生「アライさんはいいですね…病原体に強い耐性があるから、組織摘出後に一切消毒せずとも、化膿も感染症も起こさない」

理科の先生「貴方達は、これからも益獣として、我々に貢献し続けることでしょう…」

手術は終わり、女性は入院した。

達磨アライさんは研究員に運ばれて、また元の場所へ戻されていった。

研究員2「お疲れ様です、主任」

理科の先生「ふううぅぅ~~…」グッタリ

理科の先生は手術を終え、ぐったりしていた。
アライさんの顔を裂くのはともかく、人間の女性の顔へメスを入れる作業は、極度の集中を要し、神経を披露させるのである。

研究員1「主任、実はもう一人お客様が…」

理科の先生「…いいでしょう、行きましょう。人名第一です」フラフラ

理科の先生は、再び診察室へ向かった。


~診察室~

理科の先生「…どこが悪いのですか?」

ブラウンP「…多分、脳かな…」

ブラウンPは、すべてを語った。

人を殺したくて仕方がないこと。
その気持ちをアライさんへぶつけていること。

まわりの人を、誰にも傷付けたくないこと。



理科の先生「…人類の脳科学は、かつて一度…大きく発展した時期がありました。ご存知ですか?」

ブラウンP「…第二次世界大戦、だろうか…?」

理科の先生「その通りです。銃で脳を損傷した兵士が続出し、その治療が盛んに行われた時期です」

理科の先生「脳を損傷した多数の患者というサンプルをもとに、コルビニアン・ブロードマンという偉大な医師が、人の脳の機能局在を解き明かしていきました。かの有名なブロードマンマップです」

ブラウンP(知らない…)

理科の先生「…大戦後は、脳切開のサンプルは減りましたが、MRIなどの非侵襲計測器の発達で、それなりに脳研究は進みました。…が、大戦時ほどの急速なイノベーションは得られませんでした」

理科の先生「アライさんといういくら殺しても構わないサンプルを得た我々は、ブロードマン氏以上の脳機能研究イノベーションをもたらせるでしょう」

理科の先生「しかし、そんな我々でさえ…、貴女の深層心理に深く根付いたその殺人願望を、手術で病巣を摘出するかのようにスパっと治すことは…まだできません」

ブラウンP「くっ…」

理科の先生「ただ…、結果的に、あなたの殺人を防ぐ方法はあります」

ブラウンP「…?」

理科の先生「大きく分ければ…」




理科の先生「『力を失う』か、『心を失うか』。…その2択となります」






ブラウンP「っ…」

ブラウンPの手に汗が滲む。

理科の先生「失うといっても、半永久的に手放すという意味ではありません。どちらも投薬で実施可能です」

理科の先生「我々がアライさんを用いた実験で作り上げた向精神薬や身体拘束剤には…、様々な効果のものがあります」

理科の先生「今すぐに、手段を絞ることはできませんが…、地道かつ確実に、適した方法を見つけましょう」

ブラウンP「…ありがとう、ございます」

理科の先生「しかし…、殺人願望のある方の診察をするのは初めてですね…」

ブラウンP「…」

理科の先生「実際の所、どんな感じなのですか?先程私が話した、アライさんを実験台にしている話。それを聞いたとき、あなたはどんな感情を持ちましたか?」

ブラウンP「っ…」

ブラウンP「…男性の前で言うのは、ちょっと…気が引けます」ハァハァ

ブラウンPは、ミニスカートから伸びた太腿をむずむずと擦り合わせながら言った。

理科の先生「…治療のための情報が増えました」



ブラウンPは帰路についていた。

ブラウンP「今はまだ、私の中の、殺人願望という武器を…手放すわけにはいかない」ザッザッ

ブラウンP「アライさん一斉掃討作戦のために…そして…」ザッザッ

ブラウンP「今週末の、アラジビフェスで…!彼に、勝つために…!」ザッザッ

こんなご時世ではあるが…、
大規模アラジビフェスが、再び開かれるのである。


地方の小規模なフェスを除けば、きっと最後のアラジビフェスになるであろう。

ブラウンPは、アライさんがまだ残っているこの時期を、最後まで愉しむつもりのようだ。



~食通の友人の家~

食通の友人「ふぃ~着いた着いた」スタスタ

今日は一段と冷える日だ。
季節の変わり目とはいうが、夏の終わりにいきなり冬が来たかのような寒さであった。

食通の友人「だが…こんなこともあろうかと!」ガラッ

食通の友人は、居間の戸を開ける。

食通の友人「こたつ&床暖房!既に準備OKなんだよなぁ!」

和室には電気カーペットが敷いてあり、こたつが準備されている。

こたつは食通の友人の外出中でも常に低温を保っており、帰っていきなり潜り込んでもそれなりの温もりを与えてくれる。

食通の友人「さあ、こたつの中に…スライドイン!」ズボォ

食通の友人は、こたつの中へ勢い良く足を突っ込む。

すると…

こたつの中の声『のぎゃああぁっ!?』ゲシィ

食通の友人「!!!??」

こたつの中で、食通の友人の足が何か柔らかくて温かいものに当たった。

食通の友人「な…なんだ!?」メクリ

食通の友人は、こたつ布団を捲る。

アライしゃん「のだあああぁ!だれなのだおまえは!あらいしゃんのおうちにかってにはいってくゆなー!」シャアアアッ

…なんと、こたつの中に幼い害獣がいた。
こたつの中には、みかんの皮がいくつも落ちている。

食通の友人「ーーーーー!!!?」キョロキョロ

食通の友人は、部屋の中を見回す。
すると、天井近くの壁に穴が空いているのを見つけた。

…穴からは、冷たい外気が吹いてくる。
こたつと床暖房があっても、これでは暖かさ差し引きマイナスである。

食通の友人「…てめえ!俺の家に何しやがる!楽しみにしてた蜜柑も食い尽くしやがって!」

アライしゃん「なにいってゆのだ!ここはあらいしゃんがみつけたのだ!あらいしゃんのおうちなのだぁ!このあったかいねどこも、だいだいのあまあまも、あらいしゃんのなのだぁ!」フゥーッ

食通の友人「出ていけェァ!」

アライしゃん「ひとしゃんこそでていくのだぁ!ふほーしんにゅーなのだぁ!ぷらいばしーのしんがいなのだぁ~!」ジタバタ プゥーッ

アライしゃんは癇癪を起こしてじたばたしながら屁をこいた。

体が小さいせいか大した匂いではないが、それでも害獣が自分のこたつの中で屁をこくのは堪えるものがある。

食通の友人「…お前、いつからここに住んでたんだ?」

アライしゃん「ここはさっきみつけたのだぁ!なかがからっぽだったから、あらいしゃんのおうちにしたのだぁ!」

アライさんがこうもあっさり家泥棒をするのは、恐らくアライグマの習性だろう。

アライグマは、他の動物の巣穴を自分の巣穴として利用することがあるという。

アライしゃん「おそとはすっごくさむいけど、ここはあったかいのだ~。…おまえにはやらないのだぁ!」シャアアアッ

このアライしゃんは体長40cmほど。
人と比べ、体積と表面積の比率が大きい。
この寒い日は体温が奪われやすいのだろう。

アライしゃん「このだいだいのあまあまも、あらいしゃんがみつけたのだぁ!くっちゃくっちゃ…ん~、おいひいのだぁ~!くっちゃくっちゃ…」クッチャクッチャクッチャクッチャ

アライしゃんは口を開けたまま、クチャクチャクチャクチャと気持ち悪い音を立てて蜜柑を咀嚼する。

それはそれは美味しいだろう。
食通の友人がネット通販で取り寄せた高級蜜柑なのだから。

食通の友人「…ここに来る前は、どこに住んでたんだ?」

アライしゃん「くっちゃくっちゃ、あらいしゃんはとかいそだちなのだ。まちなかでおかーしゃんといっしょにすんでたのだぁ、くっちゃくっちゃ」クッチャクッチャ

アライしゃん「はむっ、くっちゃくっちゃ…、おかーしゃんはこないだごはんをさがしにいったきり、かえってこなくなっちゃったのだぁ!あらいしゃんは、このとしでじりつしたのだぁ!…くっちゃくっちゃ」クッチャクッチャ

自立はできても、自律する気は無いようである。

アライしゃん「あらいしゃんはすごいんだぞぉ!いだいなんだぞぉ!にほんあしでたてるんだぞぉ!くっちゃくっちゃ…」ピカピカガイジガオ

食通の友人「…そうか」

食通の友人は、別に雑談をしてアライしゃんと仲良くしようとしていたわけではない。

単に…
森育ちか、街中育ちか。
ただそれだけが知りたかったのである。

食通の友人「街中育ちか…残念だ。それじゃジビれねぇな」

アライしゃん「じび…?くっちゃくっちゃ、わけわかんないこというななのだ!ざんねんなのはおまえののーみそなのだぁ!≧∀≦」ゲラゲラ

『ジビれねぇ』。
アライさんでなくとも、一般のまともな人間が聞いても意味不明な言葉である。

アライしゃん「ふぅ~…おなかいっぱいなのだ。…ひとしゃんはいつまでそこにいるのだ?ここはあらいしゃんのおうちなのだ。さっさとでていくのだぁ!」フゥーッ

炬燵の中のアライしゃんは、こたつ布団を捲って中を覗き込んでいる食通の友人を睨み付け、威嚇する。

アライしゃん「あらいしゃんはなぁ、つよいんだぞぉ!おっかないんだぞぉ!」バリバリ

アライしゃんは、電気カーペットに爪を立てて表面の布地を引き裂きながら、自らの爪の鋭さを誇示する。

さすがに安全性の高い製品であるためか、表面がボロボロになってもアライしゃんは感電しないようだ。

食通の友人「はいはい分かったよ。俺はもうお前に関わらないからな。お前に呼ばれても、返事しないからな」スッ

食通の友人は、捲っていたこたつ布団を元に戻した。

炬燵の中の声『おまえなんかよばないのだー!ふはははー!』

炬燵の中の声『やったのだぁ!あらいしゃんのつめのするどさにびびって、おうちどろぼーがにげてったのだぁ!あらいしゃんはつよいのだー!』バリバリ

炬燵の中からは、再び電気カーペットの布が引き裂かれる音がした。

食通の友人「よし」スタスタ

食通の友人は、厨房に向かった。

食通の友人「気の済むまでそこで温まってていいからなー」スタスタ

炬燵の中の声『いわれなくてもそうするのだぁ!おまえはさっさとでてくのだぁ!』

~厨房~

食通の友人「えーと、どこにあったかなー。…あった」

食通の友人は、大きなバケツを取り出した。
そしてバケツに水を貯めると、マイナス40℃に保たれている業務用冷凍庫から氷を取り出し、バケツの水へ入れた。

続いて、大きな鉄板4枚とロープを持ち、食通の友人は再び居間へ戻った。

~居間~

食通の友人は、音を立てないように、居間へ戻ってきた。

炬燵の中の声『はぁ~ぬくぬくできもちい~のだぁ~…。しょーらい、あらいしゃんもちびをうんで、ここでかぞくだんらんしたいのだぁ~…』

害獣は相変わらず炬燵の中におり、何やら独り言を言っているようだ。

そして食通の友人は、炬燵の足を外側から鉄板で囲い、ロープでグルグル巻きにして固定した。

続いて、電気炬燵のサーモスタット(自動消灯機能)を解除する。

そして、電気炬燵の温度調節ダイヤルを最大まで上げる。

さらに、電気カーペットの温度調節ダイヤルも、最大(ダニ殺し用)まで上げた。

食通の友人「…」ソッ

食通の友人は、こたつの隣へそっと腰かけた。

壁に空いた穴から部屋の中へ、冷たい外気が流れ込んでくる。

食通の友人は、寒さを堪えながら、その場に居座った。

炬燵の外はすこぶる寒いが、中はさぞかし温かいであろう。

炬燵の中の声『ふぅ~、なんかあっつくなってきたのだ。そろそろおそとにでゆのだ』モゾモゾ

鉄板「」ガンッ

炬燵の中の声『のだっ!?』

炬燵の足へくくりつけた鉄板に、何かがぶつかったようだ。

炬燵の中の声『な、なんなのだ…なにかあゆのだ!』ガンッ ガンッ

炬燵の中の声『うぅー!こっちにありゅのだぁ!』ガンッ ガンッ

炬燵を囲う鉄板から、しきりに衝突音が聞こえてくる。

炬燵の中の声『あついいいぃ!あちゅいのだああああああ!どこからでればいいのだあああ!』モゾモゾ

鉄板「」ガンッ ガンッ ガンッ

出口…
そんなものはない。

炬燵の中の声『これを、もちあげれば…!うぬぬ…!』グイグイ

鉄板を持ち上げるには、炬燵ごと持ち上げる必要がある。
当然、身長40cmのアライしゃんにそんな腕力はまだない。

炬燵の中の声『うぬぬ~、はぁはぁ、このままじゃ、あらいしゃんのききなのだぁ!』ガンッガンッ

炬燵の中の声『あぢゅいいいいのだあああああーーーー!のどもからっからなのだああああーー!』

それはそれは熱いだろう。

炬燵のサーモスタットは、内部が一定温度まで上昇したら安全性のために自動消灯する機能である。

それを解除したのだから、炬燵のヒーターと電気カーペットにより、炬燵の中の温度はどんどん上がっていく。

炬燵の中の声『だれがーー!あらいしゃんをたすけゆのだぁーーーー!だれがあああぁーー!』ガンッ ガンッ ガンッ

炬燵の中の声は、外へ助けを求め始めた。

食通の友人「おやチビ、遠慮すんな。気の済むまで温まれよ」

炬燵の中の声『もうきはすんだのだあああぁ!あああああぢゅいいいいいい!じぬううううぅぅぅ!あらいしゃんをだぢゅげゆのりゃああああっ!!』

食通の友人「はー、困ったなぁ。返事できないんだよなぁ。俺は約束しちまったからなぁ」

食通の友人「俺はもうお前に関わらないし、お前に呼ばれても返事しないって…約束したからなぁ~」

炬燵の中の声『…!!!!そんなのもういいのだぁ!はやくごごがらだしゅのだあああああ!!あらいしゃんがかわいしょーなのりゃああっ!』

食通の友人「約束は守らねえとなぁ~。アライさんが可哀想だけどなぁ~」

食通の友人「まあ、炬燵の外に鉄板をくくりつけたのは俺だけどな」

炬燵の中の声『!!お、おまえーっ!あらいしゃんにいじわゆすゆのかあぁぁーーーっ!!たあ~!たあ~!たあ~!』ガンッ ガンッ ガンッ

鉄板から何度も衝突音がするが、ロープはびくともしない。

炬燵の中の声『いたいのりゃあ!あぢゅいのりゃああぁ!』ハァハァハァハァ

食通の友人「でも…これはなんとなく炬燵に鉄板をくくりつけたいからやっただけだ」

食通の友人「別にこの家の持ち主サマに関わろうとしたわけじゃないからなぁ。約束はキッチリ守らなくちゃいけないからな」

炬燵の中の声『ぴっ…!』

炬燵の中の声『…っ』

炬燵の中の声『……ぴいいいいいぃぃぃーーーっ!!』

炬燵の中の声『だしゅげでええぇーーっ!!』ガタンガタンガタン

炬燵の中の何者かは、一生懸命鉄板を持ち上げようとしているようだ。
しかしいくらやっても持ち上がらない。

炬燵の中の声『ぜーはっ、ぜぇーはぁっ、あ、あなをほゆのだあぁ!』バリバリ

しかし、電気カーペットの表面は裂けても、中身までは裂けないようだ。

炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ』ハァハァハァハァ

炬燵の中の声『だじで…だじゅげで…おみず、のませで…おがぁ…しゃん…』

食通の友人「うーむ、これは独り言だけど…。まさか自立した偉いお方が、今さら母親に助けるわけねーよなぁ?そんな情けないことできねーよなぁ?」

炬燵の中の声『…だじゅ…げで…!おがぁ…しゃん…!おがぁ…しゃん…!おがあああああああ…しゃああああーーんっ…!』ビエエエエエエエン

一人立ちしたはずの偉いアライしゃんは、とうとう母親を呼びながら泣き出した。

炬燵の中の声『だじでっ…だじでえぇ…!だじでぐれだら、さっぎのだいだいのあまあま、いっこやりゅかりゃああぁ…!』ビエエエエエエエン

食通の友人「#^^」

炬燵の中の声『だじでぇっ…!しんじゃう…ほんとに…しんじゃうぐらいあぢゅいのりゃああ…!ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ…』

食通の友人「…」ガサガサ

食通の友人は、新聞を読んでいる。

炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ…!さっきのあまあま、おいしいんだぞぉ…!おまえにいっこやゆぞぉ…!だがりゃはやくだぢゅげゆのりゃああああああああああああああーーーっ!!!!』

炬燵の中の声『ぜひーっ、ぜひーっ、ぜひーっ…ぜひーっ…』ゼェハァゼェハァ

炬燵の中の声『………ひっ………はっ………あまあま……ぜんぶ…やりゅかりゃ……』ハッハッ

炬燵の中の声『…ぉ…………ぇ……』

炬燵の中の声『…おう、ち…この、おうち、やゆから…だじゅげ…で…』

炬燵の中の声『…………』

急に声がしなくなった。

炬燵の中の声『』

食通の友人「…チビー、チビー、ドコナノダー。オカーサンガ、タスケニキタノダー(裏声)」ボソボソ

アライさんには似ても似つかない声である。

炬燵の中の声『おが…ひゃ…ここ…なの…ぁ…』コンコン

しかしなんと、母親と思って返事をしてきた。

食通の友人「チビー、モットオーキナコエデオヘンジシナイト、タスケテヤラナイノダー(裏声)」

炬燵の中の声『だじゅ……げ…!……ぴいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!』

炬燵の中の害獣は、渾身の声で叫んだ。
というか鳴いた。

食通の友人「オヤオヤー?イマノクッソキモイコエハナンナノダー?ブタノナキゴエナノカー?ガイジノサケビゴエナノカー?(裏声)」

炬燵の中の声『あら…しゃ…がいぢ…じゃ…ない…のりゃ…』

食通の友人「ソンナクッソキモイコエデナクナンテ、ホントニアライサンノチビナノカー?チビハオウタガウマイノダー(裏声)」

食通の友人「ウタヲウタエナキャ、アライサンノチビジャナイノダー。タスケルイミナイノダー(裏声)」

炬燵の中の声『……ハァ…ハァ…ハァ…』

炬燵の中の声『ノ…ノダ……ノ……ノダッ…』

食通の友人「キモイノダー、ヤッパガイジナノダー。ウタエナイナラ、オカーサンハカエルノダー(裏声)」

炬燵の中の声『オ………ガ………ジャ…………』

炬燵の中の声『…ノァ……ノ…ノダ……』

炬燵の中の声『…』

再び声がしなくなった。

食通の友人「…ハァー。しゃーねーなー。別に、ただ炬燵の掃除がしたいだけだからな。誰かさんのためじゃないからなー」ガタガタ

食通の友人は、ロープを外し、鉄板をどけた。

食通の友人「あらよっと」パサッ

こたつ布団をめくると、ムワっとした湿っぽい熱気が一気に出てきた。

アライしゃん「」グッタリ

食通の友人「よいしょ。もう死んだかな?」ヒョイ

食通の友人は、アライしゃんの尻尾を掴んで持ち上げる。

毎度毎度、よくアライさんの尻尾を掴んで持ち上げる者は多いが、
この行為は尻尾の関節に強い負荷を与え、怪我の要因になり得る。

アライさんを痛め付けたいのでもなければ、尻尾を掴んで持ち上げるべきではない。

アライしゃん「」プラーン

食通の友人「おーい、くたばったかー?」ベシッベシッ

食通の友人は、白目をむいたアライしゃんのほっぺを何度もはたく。

アライしゃん「…み……みず……」ハァハァ

なんと。
まだ生きている。

食通の友人「おやおや。水が欲しいのか?」

アライしゃん「みず………」ゼェハァゼェハァ

アライしゃんの尻尾は熱い。
口から吐く吐息もとても熱い。
まるで携帯用の暖房器具か何かのようだ。

この熱さを吐き出し続ける道具があったら、寒い地方ではさぞかし役立つだろう。

もっとも、雪の降る街中を行き交う人々が皆体長40cmのアライしゃんの尻尾を握りながら闊歩していたら、
ホラーどころの話ではないが。

食通の友人は、アライしゃんをよく観察する。

アライしゃん「ぜぇ、はぁ…」シロメ

どこからどう見ても、重度の熱中症である。

皮膚は身体中真っ赤になっており、心拍数がとても高くなっている。
これは体内の熱を逃がすために、身体中の血管や毛細血管が径を拡張しているためだ。
心拍数を高めることで、血流を促進している。

さらに、息づかいはとても荒い。
これは呼吸によって外気を取り入れ、体内の熱を逃がそうとしているのである。

顔中は汗まみれでビショビショである。

こんな状態でも意識があるのは、アライさんの生命力の高さ故か。

食通の友人「いいぜ。たーーっぷり冷たい水をやるからな」スタスタ

アライしゃん「…はぁ、はぁ…」ブラーンブラーン

食通の友人は、アライしゃんの尻尾を握りながら厨房へ向かう。

~厨房~

食通の友人「ほーら、キンキンに冷えた冷たい水だぞ」グイイッ

厨房には、大きな大きなバケツに貯まった氷水があった。

バケツの中にはたくさんの氷が入っている。
この氷は、先程マイナス40℃の業務用冷凍庫から出したものだ。

アライしゃん「…み、みず…はや…ぐ…」ビクッ ビクッ

尻尾を握られ吊り下げられているアライしゃんは、水を求めて手足をびくつかせた。

食通の友人「いいぜ、たっぷり水浴びしな。ほら」パッ

食通の友人は、バケツの上でアライしゃんの尻尾から手を離す。

アライしゃんの体は、体積と表面積の比率が大きい。

先程行った通り、冷たいところでは…
すぐに体が冷えるのである。

アライしゃん「ぴゃぶ!」バッシャアアアアアンゴボゴボ

アライしゃんは氷水の中に勢い良く落下した。

アライしゃん「ぎびぃぐっ」ビグググググッ

アライしゃんは、突然痙攣すると…

アライしゃん「」プカァ…

…ダンゴムシのように丸まり、そのまま動かなくなった。

食通の友人「おーい、どうした?あんだけ飲みたがってた水だぞー?好きなだけ飲んだらどうだー?」ペチペチ

アライしゃん「」シロメ

アライしゃんの頬をはたいても、何も反応がない。

食通の友人「…ああ、そーいえば。小学校で習ったっけか」ガシッ

食通の友人「嘘か誠か…。冷たい水にいきなり飛び込むと、心臓発作が起きるって」ザパー

アライしゃん「」プラーン

アライしゃんをよく観察してみた。
呼吸も脈拍も止まっているようだ。

食通の友人「ゴミはゴミらしく、ようやくゴミになったようだな」

食通の友人「ジビれない生ゴミは、ゴミ袋へ詰めてっと。…これでよし」ポイ

ゴミ袋「」ドサッ

その晩、食通の友人は生ゴミの詰まった袋をゴミステーションへ出した。

~深夜のゴミステーション~

アライさん「…はぁ、はぁ…。ようやく帰ってこれたのだぁ」ドタドタ

アライさん「チビー、チビー?どこに行ったのだー?」ドタドタ

アライさんは、子供を探しているようだ。

アライさん「うーん、仕方ないのだ…。まずは食べ物を探してからなのだ」ゴソゴソ

アライさん「たあ~!」ビリバリ

アライさんは、ゴミ袋を破く。

アライしゃん「」ドチャッ

アライさん「…!!!ち、ちびぃ!!?」

アライさん「ち、ちび…?」

アライしゃん「」

アライしゃんには目立った外傷はない。
だが体は硬直しており、体を丸めたポーズのまま固まっている。

アライさん「そ、そうか!お前ここに隠れて、アライさんを脅かしてたのかぁ!」

アライさん「いつまで寝てるのだ。ほら帰るのだチビ。おんぶしてやるのだ」ヒョイ

アライさんは硬直した我が子を背負う。

アライさん「お前をおんぶしてやるのも久しぶりなのだ。随分重くなったのだー」ドタドタ

アライしゃん「」ユサユサ

アライさん「へっくし、今日も冷えるのだ」ドタドタ

寒い夜中を、冷たい風がびゅうと吹き抜けた。

シャークP「シャークッ!(火炎有刺鉄線バット)」ドガァ

アライさん「あづいのだあああ!?」ドサァ

カメラマン「…」ジィーッ

シャークP「シャーク!シャーク!シャークッ!シャーク!…ゼェ、ハァ、シャーク!シャークッ!ハァッハァッ…」ドガァボガァ

アライさん「ぎびぃ!ひぎぃ!あづいのだああああ!!」メラメラ


アライさん親子は、バットについた燃えるオイルにより大層温められた。

つづく

~ジャパリスタジオ~

モノマネ芸人「フレンズ感謝祭?」

スタジオ社長「そう!来年は、セルリアンから人類が解放された日から25周年。そこで、パリでフレンズ感謝祭っていうイベントをやるらしいよ!」

コウテイ「どんなイベントなんですか?」

スタジオ社長「世界中から色んなミュージシャンが集まってライブをやるんだって!」

ジェーン「なんでパリなんですか?」

スタジオ社長「フランスでは日本のアニメやアイドルが大人気らしくって。フレンズ達も大人気なんだよ!」

プリンセス「それじゃあPPPの出番ってわけね!」

スタジオ社長「そう。それで、できるだけたくさんのフレンズを呼んで欲しいんだって!バイト代も出るらしいし」

ジャイアント「それなら、パークで暇してる連中も呼ぼっかー。最近来たあの子とかさ」

コツメカワウソ「たのしそー!」

スタジオ社長「私達はその花形!みんな、頑張ろう!」

フルル「…」

プリンセス「…フルルも元気出しなさいよ。みんな貴女の元気な姿を見たがってるわ!」

フルル「…がんばふるるー」

モノマネ芸人「それじゃあ、パークにスカウトしに行きますか」スクッ

~ジャパリパーク~

ジャパリパーク…通称「ジャパリ動物園」。

サファリパークではなく、日本によくある一般的な形式の動物園だ。

しかし大きな特徴は、檻の中に動物といっしょにフレンズがいることである。

さらに、人間の従業員は一人もいない。
働いているフレンズは受付兼オーナーの1名を除き、皆檻の中で客の前に出ているのである。

では、掃除や物資運搬、調理や事務処理は誰がやるのか?

かつての時代のロストテクノロジー…
ラッキービーストがそれを担う。

ほとんどの事務処理は、パークの中枢を担う高性能AIに任されている。

ちなみに、檻の中でフレンズと一緒に暮らしている動物は、ほとんど雌である。

一応雄も動物園内にいるが、フレンズのいる檻とは仕切りで隔てられている。

最初期は雄もフレンズと一緒にいたが…

…とある問題が起きてしまい、それ以降は皆別々となった。



モノマネ芸人「こんにちわー!」

受付「む…来たか…。来る頃だと思っていたぞ」

モノマネ芸人「そう、フレンズ感謝祭の参加者スカウトですよ!受付さんもどーです?」

受付「…遠慮しとくぞ。私がいない間、誰がここの管理すんだよっ」

モノマネ芸人「それは残念。ち・な・み・に~、最近来た彼女、人気はどうですか?」

受付「…凄いなんてもんじゃないぞ。もう一番人気くらいある。あいつもアイドルデビューさせたらどうだ」

モノマネ芸人「そっちのスカウトもしましょっかね~ぐっふふふふ」タラー

受付「鼻血垂れてるぞッ!」

~ジャパリパーク内~

ホルスタイン「はなおさ~ん、聞こえますか私の声。はなおさ~ん」シクシク

ホルスタインしゃん1「わたしもいますよー!」キャッキャ

ホルスタインしゃん2「わたしもー!」

雄牛「ウモオォ~」

ホルスタインのフレンズとその娘2人は、仕切りを隔てて雄牛に話しかけていた。

ホルスタイン「うぅ~寂しいです。顔が見れないなんて~」シクシク

雄牛「ウモオォ」アセアセ

ラッキービースト「ミンナ。ソロソロ開園ノ時間ダヨ」ピョコピョコピョコ

ホルスタイン「…よし、今日も頑張るぞー!」

ホルスタインしゃん1&2「がんばるぞー!」

ラッキービースト「ホルスタイン。マダ手足ガ完治シテナイカラ、無理シナイデネ」ピョコピョコ

開園時間になると、ホルスタインの檻の前には長蛇の列ができる。

男性客1「かわいいいいいいい!!!」

男性客2「ああ^~」

男性客3「これはツイートしなきゃ…」スッ

ラッキービースト「園内デノ撮影ハ、受付ノインスタントカメラヲ買ッテネ」

男性客3「アッハイ」ゴソゴソ

ホルスタイン「あはは…」手ヒラヒラ

ホルスタインしゃん1「おかーさん、だいにんきですね!」

ホルスタインしゃん2「みんなたのしそうです!」

男性客4「娘さんも可愛いよー!」

ホルスタインしゃん1「ありがとー!」

男性客5「すごーい!でかーい!」

ホルスタイン「?何がですか?」キョトン

受付「おいお前…言っておくがここは健全な施設だぞ。いかがわしい目で見るなよ」ゴゴゴゴゴゴ

男性客1~5(そんなん無理やん…)

受付「…見てもいいが、口には出すな」

男性客1「オーナーさんも可愛いよー!」

受付「なっ…おだてても何も出ないぞッ!」

男性客2「それより、アレの時間じゃないですか?」

受付「ああ、うむ…そうだな。おいホルスタイン…今日もやるのか?」

ホルスタイン「はい!では皆さん、ちょっと待ってて下さいね…」スタスタ

ホルスタインは、檻の後ろ…
観客の死角となっているプライベートルームへ引っ込んだ。

ホルスタインしゃん1「のぞいちゃだめですよー!」サッ

ホルスタインしゃん2「だめですよー!」サッ

娘達は、プライベートルームの入口をふさいだ。

ホルスタイン「できました!ホットミルクです!」スタスタ

ホルスタインは、ホットミルクを容器に入れて持ってきた。

男性客達「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

ホルスタインのホットミルク。
これはホルスタインのフレンズとしての特殊能力、『ミルキーオブモーモー』によって生み出される液体…らしい。

飲むと疲労が吹っ飛び、免疫力が増し、様々な回復効果が得られる。

…残念ながら、神経の損傷を回復することはできないが…。

1日限定20杯のホットミルクは、当初の200円からどんどん値上がりし、今ではその60倍の価格となっている。

ラッキービースト「ハイ、予約券ヲ持ッテル人ハ並ンデネ」

男性客達「はーい」ゾロゾロ

列に並ぶ男性客達は、なぜか前屈みになっている者が多い。

男性客1「おいしーい!」ゴクゴク

男性客2「あまーい!」ゴクゴク

男性客3「さいこー!」ゴクゴク

男性客4「すっごーい!」ゴクゴク

男性客5「しこーい!」ゴクゴク

受付「いかがわしい施設じゃないって言うとるだろッ!」スコーン

男性客5「タコス!!」ポカッ

受付は男性客5へ下駄を飛ばす。

受付「…とはいうものの…」クルッ

ホルスタイン「?」

受付(自覚がないみたいだが、これいかがわしい商売以外の何物でもないだろ…)

…そしてモノマネ芸人によるホルスタインのスカウトも無事完了し、
閉園時間となる。


~駐車場~

ホルスタイン「あの…お願いします」

ホルスタインしゃん1「おねがいします」

ホルスタインしゃん2「よろしくおねがいしますー」ペコリ

ラッキービースト「マカセテ」ガチャ

ラッキービーストは、自動車…ジャパリタクシーのドアを開ける。

ホルスタインとその娘は、自動車に乗った。

ラッキービースト「出発スルヨ」



~病院の病室~

ホルスタイン「…」

ホルスタインしゃん1「…」

ホルスタインしゃん2「…」

ホルスタインしゃん3「お、おかー、さん…」

ホルスタインしゃん3は、病室のベッドに寝ていた。

ホルスタインしゃん3「み、みんな…あるけるように、なったんですね…」

ホルスタインしゃん1「うん…」

ホルスタインしゃん2「そうですよ…」

ホルスタインしゃん3「っ…いつか、わたしも、あるきたい、なぁっ…」ウルウル

ホルスタイン「…いつか、いつかきっと、お母さんが…あなたを治してあげるからっ…!」シクシク


ホルスタインしゃん3は、まだ四足歩行だった頃…

村を襲撃したアライしゃん達に何度もパイルドライバーをかけられ、残酷な遊びの玩具にされ…、
脛椎をメチャクチャに破壊されてしまった。

幸い自律神経は無事なため、心拍や呼吸に問題はないが…

首から下をピクリとも動かすことができず、痺れ以外の何の感覚も戻らない状態である。


つまり、ホルスタインしゃん3は、一度も二本足で立ったことがないのである。

ホルスタインは、色々な話をした。

自分が来年、フランス感謝祭に参加すること。

姉2人も、それに参加するということ。

ジャパリパークで、けっこうな額を稼いでいること。

お客さんも、パークの仲間達も、面白い人達ばかりであること。

ホルスタインがはなおさんと呼ぶ雄牛も、ホルスタインしゃん3と会いたがっていること。

…色々な、楽しい話を聞かせた。

~病院の駐車場~

ホルスタイン「お待たせしました。行きましょう」

ホルスタインしゃん1「あしたもがんばりましょう!」トテトテ

ホルスタインしゃん2「ふぁいとです、みなさん!」

ラッキービースト「出発スルヨ」

猫耳のようなパーツがついた珍妙なタクシーは、3人のフレンズを乗せてジャパリパークへ戻った…。

続きはあとで

~役所~

山小屋アライさんとの交渉から3日後。

ロッジアライさん達は、役所を訪れた。

会長「準備できたのです」

山小屋アライさん「よしみんな、行くのだ」

ロッジアライさん1「なのだー」ゾロゾロ
ロッジアライさん2「なのだー」ゾロゾロ
ロッジアライさん3「戸籍を取るのだ!」ゾロゾロ
ロッジアライさん4「天下を取るのだ!」ゾロゾロ
ゾロゾロ…

受付「はい、ご連絡頂いていたアライさん達ですね。戸籍登録と住民票登録はこちらからとなります」

戸籍とは、個人だけでなく、家族関係を登録する台帳である。
ロッジアライさん達の中には、いくらか家族関係をもつ者もいる。
そういった者達は、姉妹として申請を行った。

また、戦闘員のアライさん達には子供もいるのだが、
今の時点ではまだ、子供たちは戸籍登録をしないとのことである。

ロッジアライさん1「住所?住所って何なのだ、何を書けばいいのだ?」クルクル

ロッジアライさん達は、ペンを回しながら問いかける。
尚、ここにいるロッジアライさん達は山小屋のエリートであり、全員簡単な文字を読み書きできる。

大臣「大久野島へ建設予定の管制塔の住所を教えるのです。それを書くのです」

戸籍登録と住民票登録が完了した。

山小屋アライさんは、全員分の書類を一枚ずつ確認し、すべて偽造防止用のマーカーがついていることを確認した。

役所受付「では、こちらで腕輪を生成します。腕を突っ込んでください」ポチッ

腕輪生成機に電源が入る。

ロッジアライさん1「なのだー」ズボォ

腕輪生成機「」ウィーン…

腕輪生成機は、ロッジアライさん本人のけものプラズムをいくらか吸収し、腕輪に加工して腕へ巻いた。

ロッジアライさん1「可愛いのだぁ!」キラキラ

腕輪には『の』の字が象られており、『ID:011』の文字が刻まれている。

そうして、全員分の腕輪が作成された。

次に一行は、銀行へ向かった。

ロッジアライさん達は、これから仕事として同族殺しを始める。

そのため、給与を振り込むための口座を開設しに行くのである。

ロッジアライさん1「めんどくさいのだぁ!」ドタドタ

ロッジアライさん2「さっさと終わらないのかぁ?」ドタドタ

ロッジアライさん3「あーもう手続きなんてどうでもいいのだぁ!」ドタドタ

大臣「口座を開設すれば、お前達も美味しいご飯が食えるのです」

ロッジアライさん1~10「「「口座を取るのだ!ご飯を取るのだ!」」」

銀行受付「いらっしゃいませ。はい、連絡のあったアライさん達ですね。これから口座開設手続きを始めます」

しばらく経ってから、全員分の預金通帳が発行され、ロッジアライさん達に手渡された。

そうして手続き完了後、大臣はキツネが運転するバスでロッジアライさん1~10を山小屋へ送り届けた。

山小屋アライさんだけは、再び大臣達と行動を共にするようだ。

大臣、会長、山小屋アライさん、そして運転手のキツネを乗せたバスは、フレンズ省本部へ戻っていく。

会長「例の計画…『アライネバーランド計画』。フレンズ省の人間達の合意が得られたのです。可決なのです」

山小屋アライさん「良かったのだ…。どれだけの者が合意したのだ?」

会長「ごく一部、反対する者も居ましたが…、ほとんど全員合意したのです。計画で得られるメリットを良しとしたのでしょう」

山小屋アライさん「…本当に、良かったのだ…。ごほっ、げほっごほっ…!」

山小屋アライさんは、笑顔を見せた。

大臣「お前のその咳はなんなのですか?フレンズは病原体が効かないはずなのです」

会長「医者に行くべきなのです」

山小屋アライさん「ぜーはー…アライさんは保険に入ってないのだ。それに、医者にかかる金もないのだ…。構わなくていいのだ」ゼェハァ



~アラジビフェス会場~

ついに開催されたアラジビフェス。

今回が最後の開催となるためか、全国各地から大勢のアラジビ愛好者が押し寄せていた。

アラジビ料理人達はそれぞれのブースで、自らのアラジビキャリアの集大成を見せる時が来たのである。

会場はデカく、客の数も物凄く多い…。


なぜ人の形をした生き物…
フレンズであるアライさんを殺して食う文化が、
ここまで熱狂的な支持を獲得できたのか。

それは、アライさん達が積み重ねてきた罪により、溜まっていったヘイトの成せる業である。

イベントは順調に進んでいった。

そして…

~アラジビフェス会場 ステージ~

司会「さあ、いよいよやって参りました!本日のメインイベントです!」

観客達「YEAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!」

司会「皆様、これを目当てにやってきた。方も多いでしょう!そう!皆様お待ちかね…!」

司会「ステージクッキング・バトルでえェーーーーーーっすッ!!!」

観客達「パチパチパチパチパチパチヒューヒューパチパチ…」

司会「かれこれ3年半ぶりでしょうか!まさか、あの世紀の一戦のリベンジマッチが見られるなんて!」

司会「さあ皆様、ご紹介します!熱い対決で挑戦者として立ち向かうのは、この方…!」

司会「我らが魔獣!世界で一番ヤバい女ァ!ブラウンPだぁ~~~ッ!!」

ブラウンP「酷い言い方だなぁ。私はただ、アライさんを殺しているだけなのに…」ツカツカ

女性観客達「キャアアアアアアアアアーー!!」

男性観客達「Yeahhhhhhhhhh!!!!」

司会「続きまして…挑戦者ブラウンPの前に立ちはだかる、ラスボスがこのお方ァ!」

司会「忙しい身なのに!!最後のアラジビフェスと聞いて駆け付けてくれたぜ!3年半ぶりに、この男がステージに戻ってきたァ!」

観客達『ショックエモン!ショックエモン!ショックエモン!ショックエモン!ショックエモン!』

司会がせっかく勿体ぶっているのに、観客達はすでに二人目の名前をコールし始めてしまった。

司会「皆さんもう分かってますね!では勿体ぶらずにお招きしましょう!」

司会「アラジビ界の原点にして頂点!基礎にして究極!開闢にして終焉!」

司会「我らが永遠のキチガイヒーロー…ショクエモンPだアァ!!」

食通の友人「なっつかしいなぁ、この感じも」コツンコツン

観客達「YEAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!」

ブラウンP「ショクエモンP!待っていたよ、この時を…。今度こそ!私のアラジビの到達点へ!究極の境地へ至ったライブキッチンで!あなたを倒す!」ビシィ

女性観客「キャアアアアアーーー!!」

食通の友人「ほう、そうかい…。こっちはまあ、究極ってほどじゃねえ。フォアグライを持ってくるのも酷だからな」

ブラウンP「くっ…」

観客達「ヒューー!」

そう。
ことクッキングバトルでショクエモンPが挑まれたとあれば…。

ショクエモンPは既存メニューのフォアグライを出すだけで、大抵の勝負に勝ててしまうのである。

食通の友人「だからといって、俺はお前との勝負で決して手は抜かねえ」

食通の友人「お前が『究極』のアラジビで挑むならば、俺は『前人未到』のアラジビで応えよう!!!」

観客達「ワアアァァーーーー!!」パチパチパチパチパチパチ

司会「それじゃあ、行ってみましょう…!レディィィィ!ゴオォォーーウッ!!!」

決戦の火蓋が、切って落とされた。

つづく

ひとしゃんおしえてほしいのあ!あらいしゃんのちんちょうはしっぽこみのながさなのか?

>>682
MCチヘドロー「尻尾無しの長さやで。こんな風にな」ジョギンッ

サーバル「最近アライさんの悲鳴を聞かないとうずうずして
眠れなくなっちゃったよー」

>>688
ナイス、チヘドロー!

そう言えば作者さんはアライグマの狩猟の中で最も好きな狩殺はなんだろう?

上のを見たらアライグマは絶滅させないといけないと気付く…他の動物はここまでしないのに何でこんなに害獣なのだろう…
https://www.youtube.com/watch?v=oExydyHv4mY
https://www.youtube.com/watch?v=wMOrY0nP6Xo

フェネック「新井さん、もうやめなよ~黒田さんはもう引退したンだよ
      
      黒田さん抜きで日本シリーズまで行かないとイケないンだよ~」

>>698
もうあれだな、アライさんとアライグマはこんな風に断末魔をあげるくらいの死の苦しみを味わって欲しいな
https://www.youtube.com/watch?v=RTjRGe-4sJw
この地球にとってアライさんはもちろんのこと、アライグマはいらない存在

>>698 >>705
良い動画ありがとうございます!
大好物です

>>697
やっぱり銃が一番ですね、スナイプもいいし、アライグマトラップや檻で固定してからの至近距離射撃もいいです

あとは水に沈める、殴打する、炎で焼く、猟犬に噛み殺させるのも好きですが、そういうのは動画があまり見つかりませんね

SS頑張ってください応援してます!
溺死:https://www.youtube.com/watch?v=uJ43VzWjm6M&t
犬 :https://www.youtube.com/watch?v=z3Z1guM8c3g
殴打:https://www.youtube.com/watch?v=umDH6rxoITs
焼く:https://www.youtube.com/watch?v=rc_aYZPCNKQ

>>708
こんなに良質な動画を即座に用意できるとは…
只者じゃないですね…

水に沈めるやつが特に最高でした

司会「まずはブラウンPから、どうぞ!」

毎度毎度、小さなアライちゃんをよくなつかせてから殺すブラウンP。
今回は、何をやらかしてくれるのか。

ブラウンP「さ、おいで」

麦わら帽子アライさん「ふはははー!」ドタドタ

ブラウンPは、ステージの上へ成体のアライさんを呼んだ。

麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん、アライさんは絶好調なのだ!今日も美味しいご飯作るのだ!」

ブラウンP「うん。頑張ろうね」

司会「…………!!!!!??」

観客達「せ…成体のアライさん…!?」ドヨッ ザワザワ…

ブラウンPのステージの上へ、成体のアライさんが来た…。
もちろんいつも通り、ブラウンPに

それが、どれほどの異常事態であるか。

どんなにヤバい事であるのか…

分かる人には、一瞬で分かってしまった。

アライさんとは、極めて人に馴れにくいことで知られるフレンズである。

幼いアライちゃんの頃は、自分一人では生きていけないため、人によくなつく。

しかし成長してくると、やがて人に保護される必要がなくなるため、反抗が目立つようになる。

これは、何も悪意をもった行動ではない。

アライさんは、基本的に群れを作らずに、独りで暮らす習性を持つ。

協調性を持たず、家族以外の誰にも施しを与えない。
逆に言うと、他のアライさんから一切施しを受けることができないのである。

早いうちから独立心と自立心を身に付ける必要があるため、
反抗期になるとすぐに親離れしようとするのである。

誰とも協調せず、一切人を気遣わず、すべてが自分のためにあり、何でも自分のものにしてしまえると考えている、生来にして究極のエゴイスト。

だからこそ、アライさんは害獣として忌み嫌われているのである。


故に…

成体のアライさんが、他の誰かになつくなど…
あり得ない。いや…
『あってはならない』事なのである。

司会「ぶ、ブラウンP…このアライさんは?」

ブラウンP「私の漫画のアシスタントの一人だよ。1年半前に、罠にかかっているところを見つけて…、私の家で保護し、育てていたんだ」

麦わら帽子アライさん「そうなのだ!ブラウンおねーさんからは、いっぱいお世話してもらったのだ!色んな事を教わったのだ!」

司会「あ、アシ…何ですって?」

観客1「まあ、ブラウンPが都合よく『罠にかかったアライちゃんを保護する』のはいつものことだとして…」ザワザワ

観客2「アシスタント?アライさんなんかにできるわけねーだろ…」ザワザワ

司会「アシスタントっていうのは…ベタ塗りとかですか?」

ブラウンP「アライグマは手先が器用な動物だ。彼女もその特徴を持っているよ。…実力を見てみるかい?」スッ

ブラウンPは、原稿用紙とペンをキッチンに起き、ビデオカメラでプロジェクターへ映し出した。

麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん?今日は料理するんじゃないのか?」

ブラウンP「その前に、ちょっと何か書いてみなよ」

麦わら帽子アライさん「分かったのだ!」

麦わら帽子アライさんは、ペンを握った。

麦わら帽子アライさん「ふんふんふーん!」シャシャシャ

麦わら帽子アライさんは、原稿用紙へブラウンPの似顔絵を描いていく。

その出来映えは、一言で言うと『プロの技』。

漫画の原稿として出版するに十分な上手さであった。

司会「はー…す、すごいですねー…。天才ですか?」

麦わら帽子アライさん「ふはははー!アライさんをうんと褒めるのだぁ!」ピカピカガイジガオ

麦わら帽子アライさんは、腰に手を当てて高笑いする。

麦わら帽子アライさん「そうなのだ!アライさんは天才なんだぞー!」エヘン

ブラウンP「最初は下手だったよ。でも、絵に興味を持つようになってから、私のテクニックをマンツーマンで指導したんだ」

麦わら帽子アライさん「お、おねーさん!バラしちゃダメなのだ!カッコ悪いのだ!」アセアセ

ブラウンP「実際、彼女には漫画の原稿を手伝って貰ってるよ」

観客「ドヨドヨドヨ…ザワザワザワ…」

司会「ブラウンPの漫画といえば…『キッズ探偵ドタバタ君』ですか?」

ブラウンP「そうだよ。私のアトリエで、他のアシスタントさんに混ざって、彼女にも原稿を描いてもらった」

ブラウンP「ここだけの話、24巻の花見のシーンの背景は、この子に任せたんだ。良い出来映えだっただろう?」

観客1「ああー、あの背景か…」

観客2「そんな凄いってわけでもないけど…アライさんに描かせたって考えると凄いな…」ザワザワ

ブラウンP「それだけじゃないよ。私のもう一つの作品…」チラッ

ブラウンPは、ステージの袖に隠れて見ている食通の友人を一瞥する。





ブラウンP「『仮面精肉師(マスクド・ブッチャー)ショクエモン』の方も、手伝って貰ってるよ」






観客&司会「………は………?」




誰もが、『それだけはないだろう』と思っていたことが…
起こってしまっていた。

司会「その作品は、確か…」

ブラウンP「そう。世界を滅ぼそうとするアライさん達を、捕まえてその場で料理する…正義のブッチャー、ショクエモン仮面のヒーロー漫画さ」

客席は壮絶とする。

司会「て、手伝ってくれてるんですか?このアライさんが?」

麦わら帽子アライさん「そうなのだ。…漫画の中で、いっぱいアライさんが死んでるのだ」

麦わら帽子アライさん「でもそれは漫画の中の話なのだ!それに…」





麦わら帽子アライさん「悪い事したやつが、懲らしめられるのは当然なのだ!アライさんだって、人に悪い事されたり、泥棒されたら嫌なのだ!」




司会「」

観客「」

食通の友人「あ~あ…」



…聞いてはならないことを、皆が聞いてしまった。


この会場でたくさん殺され、料理されている害獣のうち一匹の口から…


誰もが絶対に聞きたくなかった言葉が、放たれてしまった。

司会「あ…あの…」ブルブル

司会は、声も体も震えていた。

司会「そのアライさん…いえ、あなたのアシスタントさん。…なんでここに連れてきたんです?」

司会は、最も聞きづらい質問を、ブラウンPへ問いかけた。




ブラウンP「そんな事…言わなきゃ分からないかな?」




司会「え…?え…?嘘…ですよね…」ブルブル

観客1「やめろ…」ブルブル

観客2「やめてくれええええ!!!」

客席からは悲鳴に近い叫び声が聞こえた。

そんなことが、あってはならない。

司会「あの、ブラウンP…」ブルブル

ブラウンP「何ですか?」

司会「…やめませんか?普通の…その辺で…食材調達コーナーで売ってる…『普通の』にしませんか…?」ブルブル

ブラウンP「今更かい?私はこの日のために仕込みをしてきたんだよ」

司会「その子を育てたのは…人の社会できちんと、溶け込んで…暮らしていけるようにするため…ですよね?」ブルブル

ブラウンP「だと思います?」

司会「…」ブルブル

観客1「ブラウンP!もういい!もういいよッ!」

観客2「やめてー!」

観客3「いいぞいいぞー!やれー!」

観客4「ああ見たくない…見たくなかった…もう見てしまった…見なきゃ良かった…」ブルブル

ブラウンP「というか、さっきから何故私の料理を止めようとするんだい?」

司会「え、え…だって…え…?私…なにか間違ってますか?え?普通…止めるでしょう…?」ブルブル

これまで何度も、ショクエモンPやブラウンPのライブキッチンを促し、会場を賑わせてきた司会。

そんなベテラン司会が…
本来、ステージクッキングを円滑に進めるための役割をもつ司会が…

これからブラウンPがやろうとしていることを、止めようとしていた。

麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん?何なのだ?いつになったら料理始めるのだ?アライさんは待ちくたびれたのだぁ!」ドンドン

麦わら帽子アライさんはステージをどんどんと踏み鳴らす。

ブラウンP「だってさ。…料理を円滑に促すのが、君の仕事じゃないのかい?」

司会「」

司会は顔が真っ青になっていた。

ブラウンP「今までだって君は、たくさんの料理へGOサインを出してきた。…今回はなぜ止める?今までと何が違う?…何も違わないだろう?何も…」

司会「ひっ…だ、誰か…誰か!あ、ああ…いけない…いけませんブラウンP…」ガクガクブルブル

司会「あっあの皆さん…こ、今回は!ぶ、ブラウンPの勝ちってことでどうですかね!」アセアセ

司会は支離滅裂なことを観客席へ言い始めた。

観客1「それでいい!もうそれでいいから!」

観客2「止めさせてくれー!」

観客3「いいわけねえだろ!!!ここからが盛り上がるとこじゃねーか!!」

観客席は大混乱である。


なぜ司会は、こんなに必死になって、ブラウンPの料理を止めようとしているのであろうか?

…それは…
彼女がこれから行おうとしていることが、今のご時世のこの社会へ、どんな影響を与えるか。

ショクエモンPや会長とともに、『アライさんをいくら殺しても構わないという世論』を作り上げてきた司会には、分かっているからである。



司会も、観客も、食通の友人も、ブラウンP自身でさえ…

…絶対にあってはならない程ヤバい事が、これから起こることを確信していた。

つづく

オイオイオイオイオイ死ぬわアイツ

最後(?)にでっかい花火打ち上げようとしてンな

再掲

山小屋アライさん「それがアライさんという生き物なのだ。このアライさんや、ID2番含めて、他者へ真の意味で共感して思いやりを持ちてる奴はいないのだ」



 他 者 へ 真 の 意 味 で 共 感 し て 思 い や り を 持 ち て る 奴 は い な い の だ

>>799
つまりアスペガイジは殺さないとな!支援材料ありがとう!

>>800違う、そうじゃない

ブラウンP「私が思うに野良アライさんは、害獣としてキャラ付けされてしまっている。親の教育でね」

ブラウンP「虐待しやすいようにキャラ付けしたら、それはもう純粋なアライさんじゃない」

ブラウンP「虐待しやすく…罪悪感を感じづらくチューニングされた、別物だ。」

ブラウンP「そんな害獣でなく。罪がなく、自分から謝ることもできる。…そんな純粋なアライさんを虐待することこそ」

ブラウンP「正真正銘、本当のアラ虐だと、私は思うね」

ブラウンP「なあ、君はどう思う?自分がこんな仕打ちを受けることは、然るべきだと思うかい?」


なあ、君はどう思う?
 自 分 が こ ん な 仕 打 ち を 受 け る こ と は、 然 る べきだと思うかい?

61: ◆19vndrf8Aw [sage]
>>59-60

売り言葉に買い言葉の喧嘩はよくありませんよ
精神が未発達な人には、大人の態度で接しましょう

彼は先天的なのか後天的なのか…
周りと正常なコミュニケーションが取れないので、寂しがっているのです
だから悪態をつくことで反応してもらいたがる、構ってちゃんなのです

それに返事するのは、彼の誤った承認欲求を満たしてあげることに他なりません
このまま構い続けたら、彼はますます荒らしを続け、悪の道に染まるでしょう

なので皆様ここは一つ、彼の成長に期待して、

『集団無視』という優しい愛の鞭を与えて差しあげましょう


いくら悪態をつかれても、決して彼の求める『返事』を返してあげてはいけません
『集団無視』をしてあげることこそ、真の優しさですよ
2017/10/07(土) 15:43:27.68

引用厨スマソ

戸籍は人間社会で暮らす選択をしたら必要って言われてるぞ……ってか普通に考えて無いと生活できないでしょ
ナンバーは種族毎に1番から順に振られてるんじゃね

ブラウンP「そろそろ始めていいかい?もう少し何か話したい?」

ブラウンPは、優しく司会に話しかける。
どうやらブラウンPは、司会の反応を見て愉悦を感じているようだ。

司会「っ…そ、そうだ…。どうやってそんなに、まともに育てたんです?」

麦わら帽子アライさん「のだ…」

ブラウンP「というと?」

司会「過去の噴火でアライさん達が大量発生した時期に、8匹のアライさんが戸籍を取得し、人間社会で生きようとしました」

司会「しかし教育の甲斐むなしく、その腐った性根もあって、やがて全員が人間社会から脱落しました」

司会「どんなに頑張っても共生できない害獣、駆除対象フレンズとなったのです。なのに、どうやって…そんなに仲良くなれたんです?」

ブラウンP「…簡単なことだよ。アシスタントの皆が…友達がいたからさ」

司会「友達…?」

このステージは、最後のアラジビフェスということもあって、
害獣駆除チャンネルで生放送している。

衛星放送を通じて、物凄い人数の視聴者が、ライブキッチンを見守っている。

『絶対に人になつかないアライさんを、どうやってここまで育てたか』?

その方法を、皆が聞きたがっていた。

ブラウンP「今まで育てた子達は皆、私が一人で育てたり、姉妹と育てたりしたけど…反抗してダメだった」

麦わら帽子アライさん「?ちょっと待つのだ。今まで育てた子…?アライさん以外にもお世話してたのか?」グイグイ

麦わら帽子アライさんは、ブラウンPの袖を引っ張りながら聞いた。

ブラウンP「そうだよ、君みたく親を失った子をね。…みんな立派な姿になって旅立っていったよ」

麦わら帽子アライさん「やっぱりブラウンおねーさんは偉大なのだぁ!みんなが害獣って呼ぶアライさんを、立派に育てるなんて!」シッポフリフリ

ブラウンP「話を戻そう。この子には小さい頃から、アライさん達の悪行を、話で、映像で…いろんな手段で教えた」

麦わら帽子アライさん「うぬぬ…。アライさんたちのせいで、たくさんの人が困ってるのだ。畑泥棒も、家荒らしも…。それに、アライハザードだって…!すっごく悪い事なのだ!みんな悪い奴なのだぁ!」

ブラウンP「そして、アシスタント達と小さい頃から会わせて、お友達になってもらったんだ」

麦わら帽子アライさん「アシスタントの皆は、いいやつだぞぉ!アライさんの自慢の友達なのだ!」

ブラウンP「『他種族の友達を作ること』…。それが、アライさんが人と仲良くなれるように育つために何よりも大事なことだよ」

まぁ一発で懐かせるのに成功するわけないだろうし初ライブキッチンより前に試行錯誤があったんだろう

麦わら帽子アライさん「アライさんはなぁ、アシスタントの皆やブラウンおねーさんから、たくさん大事なことを教わったのだ!」

ブラウンP「どんなこと?言ってごらん」

麦わら帽子アライさん「4つ言うのだ!ひとつ!何かするときは、自分が相手の立場だったらどう思うかを考えるのだ!」

麦わら帽子アライさん「ふたつ!良いことして貰ったらお礼を言い、悪い事したら謝るのだ!」

麦わら帽子アライさん「みっつ!自分がされて嫌なことは、他の人にやっちゃダメなのだ!じゃないと相手に嫌われちゃうのだぁ!」

麦わら帽子アライさん「よっつ!自分がされて喜ぶことを、他の人にするのだ!そうすると相手は喜んでアライさんと友達になってくれるのだ!」

ブラウンP「…」

麦わら帽子アライさん「これが、アライさんが心掛けている、みんなと友達になる秘訣なのだぁ!」エヘン

観客席の所々から、拍手が沸き上がる。
…ここまでアライさんを育てたブラウンPに対してだろうか?

それとも彼女の気持ちに答えて育った、アライさんに対してであろうか?

ブラウンP「うんうん。実際、この子は生活の中で、これらの秘訣を守れているよ」

観客1「立派じゃねーか!もうブラウンPの勝ちでいいから、そいつを幸せにしてやれよ!」

観客2「うぅ…嘘だろ。アライさんはどうしようもない害獣なんだ…あんなの、無理矢理言わせてるだけだ…!」

観客3「いつまでインタビューやってんだー!早く料理始めろー!」

観客4「これ台本あるの?」

観客5「いや、アライさんが台本なんて覚えられるわけないし…でも台本無しでアライさんがあんなこと言うわけない。ど…どっちだ!?」


ブラウンP「…この子は、アライデスゲームを見に行った時も、マナー良く見ていたからね」

どよっ…

司会「あ、アラデスを見せたんですか!?」

麦わら帽子アライさん「あれは怖かったのだ…。悪い事したアライさん達が、いっぱい処刑されてたのだ。きっとアライさんも、悪い事やったらああなるのだ…」ブルブル

麦わら帽子アライさんは、ステージを思い出して怖がっているようだ。

一応スレ3で「精神でなく頭で考えて共感することを再現すること」ができれば利己的なアライさんも社会生活が出来るって言われてるからな、不可能では無いんだな
ただ今回の事例を見てこのアライさん個人ではなくアライさんという種全体の物と考えてしまう人がいると危険だな

麦わら帽子アライさん「でもアライさんは、自分がやられて嫌なことは、人にしないのだ!やられて嬉しいことをするのだ!みんなと仲良くなって…」

司会「仲良くなって?」

麦わら帽子アライさん「天下を取るのだ!」

司会「天下を取るって…具体的に何するんです?」

麦わら帽子アライさん「わかんないのだ!」

観客「ハハハハハハハハ」

観客席は、あたたかい笑い声に包まれる。
普段聞こえる、アライさんの無様な姿を見て嘲笑う声とはまったく違った。

…これからブラウンが行おうとしていることから、目を逸らすかのように。

観客の反応が面白いな……

アライさんの言う「天下を取るのだ!」って、鳴き声みたいなものなのかな?とれるわけないのに…

麦わら帽子アライさん「そうだ、さっきお前はアライさんの絵を褒めてくれたのだ!お礼にいいものやるのだ!」ゴソゴソ

アライさんは、ポーチから何か取り出そうとしている。

司会「おや、何かくれるんですか?」

ブラウンP「っ…まさか…」

麦わら帽子アライさん「いいから!好き嫌いの多いブラウンおねーさん達と違って、きっとこいつは気に入るのだ!」ゴソゴソ

司会「おやおや何でしょうか」

麦わら帽子アライさん「ちょっと目をつぶって、手を出すのだ」

司会「こうですか?」

司会が差し出した手のひらに、何かを握らせる麦わら帽子アライさん。

ブラウンP「…」ハァ…

なぜかため息をつくブラウンP。

麦わら帽子アライさん「…はい、目を開けていいのだ!アライさんが大好きなものをやるのだ!きっと喜ぶのだ!」

司会「なんでしょう…?」パチリ

司会は目を開ける。

それは…





https://i.imgur.com/hL50CwE.jpg





※画像転載元: http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/23740

…カミキリムシの幼虫であった。

司会「ひっ…ひいいいぃぃ!?」

麦わら帽子アライさん「アライがずっと小さい頃、お母さんに食べさせてもらった大好きなおやつなのだ!きっとお前も気に入るのだ!」


ブラウンP「またそれ取ってたのか…。みんな食べれないって言ってたでしょ?なんで分からないの」

麦わら帽子アライさん「うぬぬー、これはすごく美味しいのだ!それに食べ物の好き嫌いはダメだって、ブラウンおねーさんもアシスタントのみんなも、教わってないのか!?」

自分の立場=アライさんなら確かに喜ぶわなwwwwww

>>860
狭い世界で生きていて世の広さをしらないアライさんの視野の狭さを表すいいセリフだと思うぞ
天下を取る=自分が満足する結果を得る くらいの意味合いだと思っていいかと

ブラウンP「…分からないね君は。みんなこういうのは食べないの」

麦わら帽子アライさん「ブラウンおねーさん達こそ、なんで分かってくれないのだ!食べてみれば分かるのに!すっごく美味しいんだぞぉ!…さあ、食べるのだ!」

司会「い、いりませんよこんなの!返します!」

麦わら帽子アライさん「なっ…なんでなのだ!?アライさんだったらこれを人から貰えたらすっごく嬉しいのだ…!お前も喜ぶはずだと思って…え…」

司会「虫イヤーーー!」ポイッ

司会はステージへ幼虫を捨てる。

麦わら帽子アライさん「…うー。お前はアライさんが嫌いだから受け取ってくれないのか!?」ガシッ

アライさんは虫を拾い…

麦わら帽子アライさん「みんな、この味を知らないなんて勿体ないのだ…」モグモグ

…幼虫を食べた。

観客3「うわ、気持ち悪い…ブラウンP!さっさとやっちまえー!」

司会「うぅ…」ウップ

ブラウンP「…昔は口を開けてクチャクチャ音を鳴らして食べてたけどね。そこは注意したら直してくれたよ」

麦わら帽子アライさん「…それじゃあ、別のことでお礼するのだ!こっち来るのだ」クイクイ

麦わら帽子アライさんは、キッチンの流し台の前に立ち、司会を呼ぶ。

司会「何するんですか?」スタスタ

麦わら帽子アライさん「この水道の前で、目をつぶっておじぎのポーズするのだ」クイクイ

ブラウンP「…あっ!いけない…」

司会「こうですか?」スッ

司会は目をつぶって頭を下げる。

麦わら帽子アライさん「それでいいのだ」

押しは強いが2~3歳だろうし善意からやってるだけマシだなぁ嫌がる相手に無理やり口につっ込む訳でも無く自分で食べて見せて食えるアピールもしてる
日本人や狼フレンズ相手はともかくアマゾンやアフリカ人とか鳥系フレンズの種類によっては御馳走かもしれないし

ゴミパンダヴィランアライさんは駆除されるべきなんだけど戸籍持ちで無い以上虐殺しても良いんだけどこの子は処分されるほどでは…




ザァーーーーッ!!!



司会の頭に、蛇口の水がかけられた。


司会「ひぃ冷たいっ!な、何するんですか!!」ビクゥ

麦わら帽子アライさん「ふははははー!この水道で、頭を洗ってやるのだ!アライさんは洗うの上手だぞぉ!」ワシャワシャ

司会「!?何で!?や、やめ、せっかくワックスで整えた髪がぁ!」

麦わら帽子アライさん「髪を綺麗にするのは気持ちがいいのだ!お前の頭もピッカピカにしてあげるのだ!ふはははー!」ワシャワシャ

麦わら帽子アライさんは、司会の髪を水で丁寧に、心を込めて洗う。

やっぱり何処まで行っても「自分基準」であって真に相手を慮ることは出来ないってことなんだなぁ……と思ったけど確かに>>885の言う通り成獣とはいえ圧倒的に人生経験が足らんのよな、難しいな

司会「やめて下さい!怒りますよ!っていうかマジで怒ってますから!」ジャバアア

麦わら帽子アライさん「えっ…」ピタッ

麦わら帽子アライさんは、蛇口をひねって水を止める。

麦わら帽子アライさん「は、はい…タオルなのだ」スッ

アライさんは流し台のタオルを司会へ渡す。

司会「…どうも」フキフキ

ブラウンP「…アシスタントや私にしなくなったから、もうやらないと思ってたのに…!」

麦わら帽子アライさん「うぅ、それはみんなが…え…?みんな…髪洗うの嫌いなのか?そんなのばっちいのだ!」

麦わら帽子アライさん「ドライヤーもあるのだ」スッ

麦わら帽子アライさんは、キッチンにあった食器乾燥用ドライヤーを、司会に手渡す。

司会「…どうも」ゴォーッ

麦わら帽子アライさん「ふはははー!どうだったのだ?頭アライさんしてあげたのだ!スッキリしたのだ?」

司会「…せっかくキメた髪型が…とほほ」ゴォーッ

麦わら帽子アライさん「…?なんで喜ばないのだ?アシスタントさん達みたいなのだ…。アライさんは小さい頃、水場でお母さんに髪をピカピカに洗ってもらうのが大好きだったのだ」

司会「喜ぶわけないでしょう…」

司会は明らかに怒っている。

麦わら帽子アライさん「え…なんで…。アライさんは、ただ、お礼のつもりで…喜ばせてあげようと思って…!」アセアセ


観客1「う…常識とかいうもんがないのか?」

観客2「何回も注意されてるっぽいのに…。相手の気持ちを考えれば分かりそうなもんじゃないか?」

観客3「やっぱガイジだな!ブチ殺し確定!」

ザワザワザワ…

ブラウンP「…これがアライさんの限界なんだよ」

ブラウンPは、静かに口を開く。

アボやこれまでのアライさんの例や山小屋の断言があるから成獣は無理だろうが幼獣から躾ければもしかしたら可能か……?
なんか>>1の掌でコロコロされてるな、俺らwwww楽しいけど

ブラウンP「害獣と呼ばれる野良アライさん達だって、何も意図的に人を困らせようと思って、迷惑行為を繰り返すわけじゃない」

ブラウンP「フレンズ達は人間と違って、産まれた時から少しずつサンドスターによって言語や道徳を与えられ、人格形成していくんだ」

ブラウンP「一般的なフレンズが、サンドスターによって与えられる道徳は、その多くが人間にとって『善良』と捉えられるもの…『利他的』なものだ」

ブラウンP「しかしアライさんは違う。生まれつき、サンドスターによって人間が『害悪』と捉えられる…『利己的』な道徳を与えられる。…何故か知らないけどね」

ブラウンP「それ故に、野良アライさんは皆、生まれつき無自覚ながら、悪の人格を持つことになる」

麦わら帽子アライさん「…ぶ、ブラウンおねーさん…?」

ブラウンP「しかしながら、私は小さい頃からこいつを育てて、善良な道徳心を身に付けさせてきた。…結果、さっき言った通り、4つのことができるようになった。…言ってみな」

ブラウンPは、麦わら帽子アライさんを『こいつ』と呼んだ。

麦わら帽子アライさん「ひ、ひとつ!何かするときは、自分が相手の立場だったらどう思うかを考えるのだ!」

麦わら帽子アライさん「ふたつ!良いことして貰ったらお礼を言い、悪い事したら謝るのだ!」

麦わら帽子アライさん「みっつ!自分がされて嫌なことは、他の人にやっちゃダメなのだ!」

麦わら帽子アライさん「よっつ!自分がされて喜ぶことを、他の人にするのだ!」

麦わら帽子アライさん「…アライさんはこれを、ずっとやってきたのだ」

ブラウンP「そうだね、でも…」

サンドスターによる影響で道徳や人格形成がされるってことはブラウンPや会長の変容ってアライさん(のサンドスター)摂取による弊害なんじゃ……?

アライさんと人間では感性が違い過ぎるから自分を基準にするんじゃなくて客観的な社会常識を
教えた方がいいのかもな。この子の場合今からでも遅くはないと思うが

>>915
それは人間に鉱物の気持ちを考えろって言うくらいの無茶振りなんだと思われる
ケース分けして一つ一つを教えることは出来るかもだが、細部が一つでも違うと理解できなくなりそう

>>915>>917
そう考えると改めて山小屋や清掃員の凄さがわかるな

自分が~の教え方が悪いのでは?アライさんはワームが好きで頭ザブザブ洗うのが好きだけど人間はワームを嫌いで頭ザブザブ洗うのが嫌いって教えないと…
人間でもY教徒とI教徒に教義を守って暮らしてねって言ったら戦争が起きた様なモンだろ宗派会議による擦り合わせで平和が保たれるのに

ブラウンP「何度言っても、君は4つの間違いを繰り返した」

ブラウンP「ひとつ。自分の価値観を押し付け、相手の気持ちになって考えようとしなかった」

麦わら帽子アライさん「っ…そんなの、分かるわけないのだ!言ってくれなきゃわかんないのだ!」

ブラウンP「ふたつ。君は人に言われないと、他者の好意に気付けないし、自分が悪い事したのに気付けない」

麦わら帽子アライさん「じゃあそのとき毎回言ってくれればいいのだ!どうしろって言うのだ!」

ブラウンP「みっつ。君は自分がされて嫌じゃなければ、なんでも人にやっていいと思っている。君が嫌じゃなくても、それを嫌だと思う人はいっぱいいる」

麦わら帽子アライさん「だから、言わなきゃ分かんないのだ!教えてくれればいいのだぁ!」コスリコスリコスリコスリ

麦わら帽子アライさんは、俗に『ハエガイジムーブ』と呼ばれ忌み嫌われる仕草をした。

ブラウンP「よっつ。自分がされて嬉しくても、他者にとっては嫌かもしれないという可能性を全く考えない」

麦わら帽子アライさん「だ…だから…それは…!うぬぬ…!」コスリコスリコスリコスリコスリコスリ

>>922
ブラウンPやアシスタントにやって注意されてるしその辺は散々言われてるんじゃね?で、やらなくなったと思ったら人間に対して自分基準でやっちゃったと
もう無理だろこれ

ブラウンP「これがアライさんの限界だ。どんなに善良になろうとしても、どんなに害悪になりたくないと願っても。決して人と共感できず、決して人を思いやれない」

麦わら帽子アライさん「お、思いやってるのだぁ!なのに、なのに…!」

ブラウンP「それは友達が欲しいからという利己的な理由だろう?それを思いやりとは言わない」

麦わら帽子アライさん「うぅ…!それが分からないのだ…!何回言われても!分からないのだあぁっ!」

ブラウンP「みんな分かったかい?アライさんという生き物は、悪意で人を傷付けるだけじゃない。善意を持つことでさえ人に迷惑をかけ、傷付ける!」

ブラウンP「何度言っても、何回言われても…決して!『善意の刃』を直せない!」

麦わら帽子アライさん「うぅ、ううううぅ…!分からないのだあ…!なんでなのだ、なんで…!」

ブラウンP「…だから君は。いや、君達は…」スッ

ブラウンPは、アライさんに冷たい目を向けた。




ブラウンP「本質的に『害獣』であり」



ブラウンP「本質的に『ガイジ』なんだよ」



司会「っ…」

麦わら帽子アライさん「ひっ…!ち、ちがう!あ、アライさんは、アライさんは、悪い事なんてしてないのだ!が、害獣でも…ガイジでも…ないのだあああああああぁっ!」

麦わら帽子アライさんは、頭を抱えてうずくまった。

ブラウンP「…どうしたんだい?観客のみんな。こういう時、君達はいつもアライさんへ…このこの子の同族へ、ガイジコールをしていただろう?」

ブラウンP「やりなよ。ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ、ガ・イ・ジ」パチン パチン

ブラウンPは手を叩きながら、観客席へコールを求める。
誰も応じないのを知りながら。

観客1「…」

観客2「…」

観客3「いいぞもっと言ってやれー!ガ・イ・ジ!ガ・イ・ジ!ガ・イ・ジ!」パチン パチン

観客4「…」

ごく少数の観客がコールに応えた。

つづく

どうした観客?
これではっきりとアライさんとは分かり合えず、
共生、共存が出来ないフレンズと改めて判明したんだから、
ガイジコールするかと思ったんだが・・・

>>936
流石にここまでの追い込みを見せられるとコールするより先にブラウンPに圧倒されてたり思うものがある人が大半でしょ

麦わら帽子アライさん「ぶ、ブラウンおねーさん…なんでアライさんにそんなこと言うのだ!?アライさんのこと、嫌いになったのか!?」

ブラウンP「嫌いに『なった』?まるで自分が、今まで嫌われてなかったかのような言い方だね」

麦わら帽子アライさん「え…え?わ、わかんないのだ…何で怒ってるのだ…?」アセアセ

ブラウンP「君のガイジっぷりが、アライさんの限界であるように。私ももう、我慢の限界なんだよ」

麦わら帽子アライさん「が、ガイジ…!?あ、アライさんが、木の芋虫をあげたり、髪洗ってあげたのが、何か悪かったのか…!?」

麦わら帽子アライさん「そ、それなら…謝るのだ!そこの人、ごめんなさいなのだ!もうしないのだぁ!」ペコリ

麦わら帽子アライさんは、司会に謝った。

司会「あ、はい…」

ブラウンP「もうしないって、何を?」

麦わら帽子アライさん「この人にはもう、木の芋虫あげないし、髪洗わないのだぁ!」

ブラウンP「…やっぱ駄目だね。キミ、生きてる価値ないや」スッ

ブラウンPは、キッチンセットから包丁を掴むと、麦わら帽子アライさんに詰め寄る。

麦わら帽子アライさん「ひっ!?ぶ、ブラウンおねーさん!そ、そんなもの持ってたら危ないのだ…!」ヨタヨタ

麦わら帽子アライさんは後ずさる。

麦わら帽子アライさん「なんなのだ!?アライさんはちゃんと謝ったのだ!もうこの人には…」

ブラウンP「何度言っても分からないんだね。それをやられて喜ぶ人は、君以外誰もいないんだよ」ズイッ

ブラウンPは、さらに詰め寄る。

麦わら帽子アライさん「う、うそなのだ!アライさんは喜ぶのだ!きっとアライさんと、この喜びを分かち合える人が、どこかに…!」

ブラウンP「だから」



ブラウンP「それはお前達だけなんだよ。害獣」ブンッ





麦わら帽子アライさん「ぎぃびっ!?」ザグゥ

ブラウンPが包丁を振ると…

麦わら帽子アライさんの右腕は、チーズを縦に裂くように、真っ二つに避けた。


麦わら帽子アライさん「う…ぎぃぃぃゃああああああああああああああああああああああっ!!!」ブッシュウウウウゥゥウゥ

麦わら帽子アライさん「いだいいいぃっっ!いだいいいいいいぃぃぃっ!ひぃ、ぎびいいいぃぃぃっ!!なんで、なんでこんなこと…ぐぎいいぃぃっ!」ドボドボ

観客1「うわっ!や、やりやがった!」

観客2「や、やめろ!」

観客3「アーーーッヒャッヒャッヒャッヒャ!!いいぞ!やれやれーーー!!最高だァーーーー!!」パチパチパチパチ

観客4「お、俺こんなの見たくない!見たくないぞ…」ガタッ

観客5「俺もだ!こんなのが見たくて来たんじゃない!」ガタッ


ブラウンP「逃げるな!!!!!!」

観客達「っ…」ピタッ

ブラウンP「今まで見てきたものから、目を背けるな。…君達が今まで楽しんでいたのは、これとおんなじ事だ」

ブラウンP「何が違う?君達は、このアラジビフェスで!こいつの同族達が殺され、料理される様を見て、楽しんできた!その事実から目を背けるな!!」

肉食獣のフレンズに凄まれた観客達は、恐怖で凍りついていた。

観客1「こ、こんなの違う!俺は悪者のクソ害獣を断罪し駆除する、スカっとするライブキッチンが見たいんだ!こんな、悪くないアライさんを殺すなんて…ただの公開殺人じゃないか!」

ブラウンP「何言ってるんだよ。アライさんを殺しても殺人には当たらない。それにこいつは悪者だ。アライさんという生来の害獣に生まれてきたことが、悪い事以外のなんだっていうんだ?」

観客1「そ、それに、悪気があったわけじゃないだろ!喜ばせてあげようと思ってやったんだし、更正の余地はあるんじゃ…」

ブラウンP「だから尚更タチが悪い。悪気がなければ悪事を働いても仕方がないと?じゃあ畑泥棒をやったアライさん達には悪気があったとでも?」

観客1「そ、そうだ!あいつらは悪気があった!だから殺してもいいんだ!」

ブラウンP「違う。あいつらは畑が人間が作るものだと理解せず、森の木の実と同じだと思っている。だから、子供を育てるため、そして自分が死なないために採った。悪意があったわけじゃない」

観客1「っ…」

ブラウンP「君達はいつからアラ信になった?違うだろ?アライさんが殺されるのを見に来たんだろ?なら最期まで見届けなよ」

麦わら帽子アライさん「ま、待つのだ!あ、アラジビフェス…!?こ、ここは、アラジビフェス…なのかっ…!?」ドクドク

ブラウンP「そうだよ」

麦わら帽子アライさん「ひ、ひっ…!ま、まさか、ぶ、ブラウンおねーさんは…!」

ブラウンP「そうだよ」




ブラウンP「今日ここで、皆の前で。お前を駆除する。…害獣」




…ブラウンPは、彼女の漫画執筆を手伝ってくれるアシスタントの一人に、そう言った。

麦わら帽子アライさん「ひっ、ひ…!な、なんで…!あ、アラジビフェスって…!悪いアライさんを懲らしめるところじゃ…!」コスリコスリ

麦わら帽子アライさんは、真っ二つに裂かれた右腕をこすりながら後ずさる。

ブラウンP「そう。お前は悪い害獣だから、ここで処刑する」ツカツカ

ブラウンPは包丁を持ち、麦わら帽子アライさんに近付く。

麦わら帽子アライさん「待つのだ!何かの間違いなのだぁ!アライさんは悪いことしてないのだぁ!」ドタドタ

麦わら帽子アライさんは、ブラウンPから逃げ惑う。

ブラウンP「お前はゴキブリやゲジゲジが、何の罪で人間に処刑されるか、知ってるか?」ツカツカ

麦わら帽子アライさん「ひっ!?し、知らないのだぁ!」ドタドタ

ブラウンP「じゃあ教えてやる」ダッ





ブラウンP「『不快にさせた』罪で死刑になる。お前もそうだ」ブンッ




麦わら帽子アライさん「ぐ…ぎびぎびゃあぁああああああああああっ!!」ザグウゥッ

アライさんの左腕も、右腕と同じように真っ二つに割けた。

ブラウンP「これでもうペンは握れないね?アシスタントもできなくなったお前は、ただの能なしの不快害獣だ」

観客1「うっ!…うええぇっ」ゲボゲボ

観客2「ひ、酷い…惨すぎる…おええっ」ゲボロロロ

観客3「うわきったね。何だこいつら、アライさんなんぞに同情しやがって。アラ信か?」

観客席で何人かが、胃の中のアラジビを吐き、ぶちまける。

司会「ぶ…ブラウンP!やめましょう!きっとちゃんと話せば!分かり合えるはず!一緒に暮らせるはずです!」バッ

ブラウンP「どけよ、アラ信。今までさんざんこいつの同族が殺されるのを面白可笑しく囃し立てて、今更アライさんに肩入れするのか?」グイッ

司会「こ、こんなことして…!あなたのアシスタント達も、反対するんじゃないですか!?」

ブラウンP「私があいつをアラジビフェスに連れていくと行った時、多くのアシスタントは猛烈に反対したよ。1年半もいっしょに漫画を書いてきた仲間だからね」ツカツカ

ブラウンP「だから、今朝…アシスタントの大半は、私のもとを去っていったよ」ツカツカ

司会「ひっ!イカれてる…なんで!ここまで立派に育てておいて!…会長!会長はいないのですか!?」

ブラウンP「会長は来ないよ。今日は最高裁に用事があるらしいからね」ツカツカ

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