ヴィーネ「サプライズバースデー」 (49)


-駅前-


ガヴ「ふぁああ……」テクテク

ラフィ「あ、ガヴちゃん。おはようございます」

サターニャ「遅いじゃないガヴリール! もう約束の時間ギリギリよ!」

ガヴ「何でもいいだろ間に合ったんだから……」

サターニャ「よくないわ! せめて5分前には来なさいよ!」

ラフィ「まあまあ。むしろギリギリとはいえ間に合ってるのは、ガヴちゃんとしてはすごいのではないでしょうか」

ガヴ「そーそー」

サターニャ「ぐぬぬ……」

ガヴ「それより、ヴィーネの誕生日パーティーの準備をするんだろ? さっさと行こう」

ラフィ「ですね。飾り付けの時間も必要ですし……」

サターニャ「わ、分かってるわよ。ほら、私について来なさい!」

ガヴ「お前が先頭かよ」

ラフィ「……」ニコニコ



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サターニャ「それじゃあ、ヴィネットのサプライズパーティーを成功させるために……頑張りましょう!」

ラフィ「おー♪」

ガヴ「……おー」



テクテク…











ヴィーネ「……」



ヴィーネ(不安過ぎるっ……!!)





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




-3日前-



ヴィーネ「……」テクテク


ヴィーネ(さて、課題のプリントも提出したし、そろそろ帰ろうかしら)


ヴィーネ「……あら?」





サターニャ「……!」

ガヴ「……」

ラフィ「……♪」





ヴィーネ(あそこに居るのは……何してるんだろう)



ヴィーネ「お……」


サターニャ「サプライズパーティーをするわよ!!!」


ヴィーネ「」ビクッ





ヴィーネ(えっ、何? サプライズ?)





ガヴ「うっさい。んな大声で言わなくても聞こえてるよ」

ラフィ「サプライズパーティーですか。それは素敵ですね」

サターニャ「ふふん、そうでしょう! 大悪魔である私にかかれば大成功間違いなしよ!」




ヴィーネ「……っ」ササッ


ヴィーネ(サ、サプライズパーティーって、相手は誰なのかしら……)


ヴィーネ「!」ハッ


ヴィーネ(というか、この流れはもしかして……!)




ラフィ「ヴィーネさん、きっと喜ぶでしょうね♪」

ガヴ「ヴィーネはこういうイベント好きだからなー」

サターニャ「このサタニキア様に誕生日を祝って貰えるなんて……ヴィネットは幸せものね!」

ガヴ「はいはい」




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(やっぱり! これ私の誕生日パーティーの話だ!)




サターニャ「クックック……今からヴィネットの泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶようだわ!」

ラフィ「ふふっ。サターニャさんはいつもヴィーネさんにお世話になってますから、そのお礼をしたいんですよね」

サターニャ「なっ……ち、違うわよ!」カァァ

ガヴ「サターニャは素直じゃないよなー」

ラフィ「それを言うならガヴちゃんもですよ。普段のガヴちゃんならサプライズパーティーなんて面倒なことしないって言うじゃないですか」

ガヴ「……うっさい。そういうラフィはどうなんだよ」

ラフィ「私はもちろん、大切なお友達であるヴィーネさんのために、最高の誕生日パーティーにしたいと思ってますよ♪」

ガヴ「……お前のそういうの、本当ズルいよな」

ラフィ「ふふっ。何か言いましたか?」

ガヴ「別に」




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(あの3人が、私の事をそんな風に思ってくれていたなんて……)


ヴィーネ「……」ウルッ




ガヴ「それで? サプライズって何をするつもりなんだ?」

サターニャ「まだ考えてないわ!」

ガヴ「考えてないのかよ。アホだな」

ラフィ「サターニャさんらしいですね♪」

サターニャ「うっさいわね! いいからあんた達もさっさと何をするか考えなさいよ!」

ガヴ「はいはい。サプライズねぇ……」

ラフィ「ヴィーネさんが驚くようなこと……うーん、なんでしょう」

サターニャ「どうせなら、心の底から驚くようなサプライズにしたいわね……」




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(さて、ここから先を聞くのは無粋というものね)


ヴィーネ「……」コソッ


ヴィーネ(バレないようにここから去って、この話は聞かなかったことにしましょう)




ラフィ「……あ、そう言えば」

サターニャ「なに?」

ラフィ「以前ヴィーネさんから聞いたんですが……」




ヴィーネ(それにしても、あの3人が私のために……)


ヴィーネ「……ふふっ」ニマニマ


ヴィーネ(楽しみだな……)






ラフィ「ヴィーネさんは、お化けが苦手だとか」

サターニャ「それよ!!」



ヴィーネ「!!?!?」バッ






ラフィ「お化けを使ったサプライズなら、ヴィーネさんをびっくりさせられそうですね」

ガヴ「確かに。ヴィーネはそういうの苦手そうだからな」

サターニャ「決まりね! 今回のサプライズパーティーは、ホラーチックでナイトメアな感じでいきましょう!」




ヴィーネ「……!?」


ヴィーネ(え、ちょっ、おば……え!? お化け!? 嘘でしょ!?)




ガヴ「バースデーケーキはどうする?」

サターニャ「普通のケーキじゃインパクトに欠けるわね」

ラフィ「そうですねー……ホラーテイストなら、ケーキに目玉やドクロをトッピングするのはどうでしょう?」

サターニャ「いいわね! 採用!」

ガヴ「なんでお前が決めるんだよ……まあいいけど」

ラフィ「血のように赤いイチゴソースも素敵ですね……うふふ♪」




ヴィーネ「ひっ……」ビクッ


ヴィーネ(……サ、サプライズって、そういうサプライズなの!? 本気で怖がらせるつもりなの!?)




ガヴ「お化けだけじゃワンパターンだな……虫とかも追加するか」

ラフィ「あら、ガヴちゃんも意外と乗り気ですね♪」

サターニャ「うぇっ、虫? まさか本物じゃないわよね……?」

ガヴ「もちろん、作り物だ」

サターニャ「そ、そうよね……」ホッ

ガヴ「まあ、作り物とはいえ、パッと見じゃ本物と見分けがつかないやつだけどな。特に暗い場所なんかじゃ……な?」ニヤッ




ヴィーネ「……」ガタガタ


ヴィーネ(いやぁぁあああああっ!!!)




サターニャ「ふ、ふん……ガヴリールにしては中々良い案じゃない」

ラフィ「ふふっ。虫とは名案ですね。それならこういうのは……」





ヴィーネ「……」ブルブル


ヴィーネ(ま、まずい……このままじゃ私の誕生日パーティーで私の心臓が死んじゃう……!)


ヴィーネ(何とかして止め……いやでも、3人は私のことを喜ばせようとしてくれてるんだし……)




サターニャ「ヴィネット、喜んでくれるかしらね」

ラフィ「大丈夫です。これほど心を込めたサプライズパーティーを用意するんですから、きっと泣いて喜んでくれるはずです!」

ガヴ「うん。間違いないな」




ヴィーネ「うぅ……」ブルブル


ヴィーネ(……ど)





ヴィーネ(どうしたらいいの~~~~っ!!!)





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




-そして現在-



ヴィーネ「……」コソッ




サターニャ「あっ、これなんてどう? お化けのマスク!」

ガヴ「微妙にアホ面だな。それ」

サターニャ「これを付けていきなり現れたらびっくりするに違いないわ!」

ガヴ「びっくりするだろうな。お前のバカさ加減に」

サターニャ「何ですって!!」

ラフ「それなら、こちらの目玉が飛び出ているお面もいかがでしょう? 中々素敵なデザインですよ」

サターニャ「うぇぇ……気持ち悪っ。私はこっちの方が良いわ」

ラフィ「それじゃあ、私はこれを」カポッ

ガヴ「気に入ったの? それ」

ラフィ「ええ。人の持つ醜い内面が現れているようで、素敵だと思います♪」

サターニャ「そ、そうね……私もそう思うわ」

ガヴ「趣味悪いな……」

ラフィ「ガヴちゃーん? 聞こえてますよー」




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(やっぱり、どう考えても誕生日パーティーに使うチョイスじゃない……ハロウィンの仮装でもする気なのかしら)


ヴィーネ(大体、私を祝う目的から驚かす目的にすり替わってるし……)


ヴィーネ(うぅ……ツッコミたい……いや、ダメよヴィネット。抑えて……)




サターニャ「うげっ」

ガヴ「おっ、この辺は虫のコーナーか」

サターニャ「わ、私はあっちの方を見てくるわ」ササッ

ガヴ「逃げたな……」

ラフィ「まあまあ……それにしても、すごいクオリティですねー。この蜘蛛なんてよく見ないと偽物だと分かりませんよ」

ガヴ「人間はこういう変な所にこだわるからなー。食品サンプルとか……」


ラフィ「……あら? こちらの虫はあまり精巧ではありませんね」

ガヴ「ああ、それは多分……ちょっと貸してみろ」

ラフィ「はい」

ガヴ「ここをこうして……ほいっと」ジーコジーコ



カサカサカサカサカサカサ…



ラフィ「きゃあっ!?」

ヴィーネ「ひぃっ……!?」ビクッ

ガヴ「動くタイプのオモチャだな……つーか、思ってたより速いなこれ」

ラフィ「び、びっくりしました。こういうのもあるんですね」

ガヴ「ああ……それより、今何か聞こえなかった?」

ラフィ「え? いえ、特には……」

ガヴ「んー、気のせいか」




ヴィーネ「……」ブルブル


ヴィーネ(無理……そこにあるだけでも駄目なのに動くとか絶対無理っ……!!)




サターニャ「おーい! 面白いの見つけたわよ!」ブンブン

ラフィ「っ!!?」ビクッ!

ガヴ「おっ、カエル……ってことは、そっちは両生類コーナーか」

サターニャ「これプニプニしててひんやりしてて、結構気持ち良い……ってラフィエルどうしたの?」

ラフィ「い、いえ、何でもありません。それよりカエルは元の場所に……」

サターニャ「え? ……あ。そう言えばあんた……」ニヤァ

ラフィ「……っ」ビクッ

サターニャ「クックック……ほら、よく見なさい。かわいいでしょ?」ズイッ

ラフィ「ひっ! サ、サターニャさん! カエルは近付けないでくださぃぃいいい!!」ダダダッ

サターニャ「なーはっはっはー! 逃がさないわよ!」

ガヴ「何遊んでんだお前ら……」




ヴィーネ「……」ガタガタ


ヴィーネ(虫……カエル……虫……カエル……お化け……ふふふ……)


ヴィーネ「……うぅ」


ヴィーネ(もうダメ……このままじゃ、サプライズ前に心労で倒れそう……)


ヴィーネ「……帰ろうかな」ボソッ


ヴィーネ「……」


ヴィーネ「……」ブンブン


ヴィーネ(いや、逃げちゃダメ! ここで帰ったら余計に気になって眠れなくなっちゃう!)


ヴィーネ(それに、何が来るか分かってるならそこまで怖くない……はず。だからちゃんと最後まで見届けないと……)


ヴィーネ「……頑張れヴィネット。あなたは強い子よ。頑張って……」ボソボソ














-数時間後-



サターニャ「……ふぅ、これで準備は万端ね!」

ラフィ「お疲れ様です♪」

ガヴ「疲れた……お前ら脱線し過ぎなんだよ」

サターニャ「終わり良ければ全て良しよ!」

ガヴ「お前なー……」

ラフィ「それでは、早速ガヴちゃんの家に行って、飾り付けをしましょうか」

サターニャ「そうね! ……ガヴリール、ちゃんと部屋は片付けてあるんでしょうね」

ガヴ「まあ、そこそこ」

サターニャ「そこそこってどれくらいよ!」


ラフィ「あはは……飾り付けの前にお掃除をする必要がありそうですね」

サターニャ「まったく……」

ガヴ「ほら、時間ないからさっさと帰るぞ」

ラフィ「はい。……あ。そう言えば、バースデーケーキの話なんですが……」





ワイワイガヤガヤ…









ヴィーネ「……」ゲッソリ



ヴィーネ(帰ればよかった……)





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




-翌日-



ガヴ『ヴィーネー。渡したい物があるからうちに来てくれる?』

ヴィーネ「渡したい物? ……って何よ」

ガヴ『それは来てのお楽しみ。いいから早く来てよ』

ヴィーネ「はいはい、分かったわよ……今行くから待ってなさい」

ガヴ『さんきゅー』



ピッ



ヴィーネ「……」


ヴィーネ(ついにこの日が来てしまった……)




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(私のためのサプライズパーティー……嬉しくない訳じゃないんだけど、その、すごく複雑な気分というか……)


ヴィーネ「……」


ヴィーネ(でも、みんなが私を祝うために用意してくれたんだから……逃げちゃダメ。ちゃんとガヴの家に行って、みんなにありがとうって言わなきゃ)


ヴィーネ「……」ギュッ


ヴィーネ(……だから、腹をくくりなさいヴィネット。泣いちゃだめ。泣くなら、嬉し泣きにしなさい!)


ヴィーネ「……!」グッ



ヴィーネ「……」



ヴィーネ「……」





ヴィーネ「……うぅ」プルプル


ヴィーネ(……でもやっぱり怖いものは怖いのよ~~~~っ!!)













-ガヴリールの家の前-



ヴィーネ「……」ドキドキ


ヴィーネ(……このドアを開ければサプライズパーティーが始まるのよね)


ヴィーネ「……」ドキドキ


ヴィーネ(確か、ガヴ達の話ではドアを開けた瞬間に上から虫が降ってくるんだったかしら……)


ヴィーネ「……」


ヴィーネ(大丈夫。大丈夫よ。分かっていれば怖くない……)


ヴィーネ「すぅー……」


ヴィーネ「はぁー……」


ヴィーネ「……」キリッ


ヴィーネ(よし、行くわよ!)




ヴィーネ「……」グッ



ヴィーネ(玄関開けたら上から虫玄関開けたら上から虫玄関開けたら上から虫玄関開けたら上から虫玄関開けたら上から虫──!!)





ヴィーネ「えいっ!」バッ




ガチャッ




ヴィーネ「……っ!」ギュッ






ヴィーネ「……」






ヴィーネ「……」









ヴィーネ「……あれ?」チラッ






パンッパパパンッ!



ヴィーネ「きゃあっ!?」ビクッ





ガヴ&サタ&ラフィ「「「誕生日おめでとう(ございます)!」」」


ヴィーネ「……!!?」





ガヴ「サプライズ大成功ー。なんとヴィーネを呼んだのは誕生日パーティーをするためでしたー」

サターニャ「なーはっはっはー! 流石のヴィネットも、これは予想出来なかったみたいね!」

ヴィーネ「えっ……え!? どういうこと!? 虫は!? お化けは!?」キョロキョロ

ガヴ「虫? お化け? そんなのある訳ないでしょ」

ラフィ「ふふっ。変なヴィーネさんですね」

ヴィーネ「え? あ、あれ……?」ポカーン

サターニャ「ほら! いつまでそこでボーッとしてるのよ! 早くこっちに来なさい!」グイッ

ヴィーネ「きゃっ! ひ、引っ張らないで……!」






ヴィーネ「……」

サターニャ「ほら、ヴィネット。ロウソクの火を吹き消して」

ヴィーネ「う、うん」




ヴィーネ「ふーっ……」



フッ



ヴィーネ「……」




パチパチパチパチ…




ガヴ「改めて、誕生日おめでとう。ヴィーネ」

サターニャ「おめでとう、ヴィネット!」

ラフィ「おめでとうございます。ヴィーネさん♪」


ヴィーネ「……」




ヴィーネ「……はあ。なるほど、そういうことね」

ガヴ「そういうことって?」

ヴィーネ「あなた達、私がサプライズの話を聞いてたのに気付いてたんでしょ」

3人「……」




「ぷっ」




ガヴ&サタ&ラフィ「「「あはははははっ!」」」


ヴィーネ「あーもう! やられたー……」ガックリ




ガヴ「いやー……いつ気付くかと思ったけど、全然気付かなかったな」

サターニャ「あんなに大声でサプライズパーティーの話をする訳ないでしょ。ヴィーネもバカねー」

ラフィ「うふふ……でも、サターニャさんならやりそうではありますね」

ガヴ「確かに」

サターニャ「なっ、そんなこと無いわよ!」

ヴィーネ「……一応聞いておくけど、いつから気付いてたの?」

ガヴ「もちろん最初から」

サターニャ「モロバレだったわね」

ヴィーネ「やっぱり……」

ラフィ「ふふっ。ヴィーネさん、私に『尾行』は通用しませんよ?」

ガヴ「虫とかカエルとか掴む度に声聞こえてたしなー」

ヴィーネ「うぅ……」ズーン



サターニャ「それよりほら、ちゃんとプレゼントも用意してるのよ。ありがたく受け取りなさい!」スッ

ヴィーネ「……ありがとう。開けてもいい?」

ラフィ「どうぞー♪」




ガサガサ……




ヴィーネ「! これ……」

ラフィ「くまさんのぬいぐるみです♪」

サターニャ「欲しかったのよね? ガヴリールから聞いたわ」

ヴィーネ「えっ?」

ガヴ「……」

ヴィーネ「……ガヴ、覚えててくれたの?」

ガヴ「……まあ、一応」

ヴィーネ「ガヴ……ありがとう」


ラフィ「それと、私からはこちらも……髪のお手入れセットです。どうぞ♪」

サターニャ「私はワンピースよ! 大悪魔のセンスでヴィネットに一番似合う色を選んであげたわ!」

ヴィーネ「ありがとう。ラフィ、サターニャ……」

ラフィ「どういたしまして♪」

サターニャ「ふふん!」



ヴィーネ「……」ギュッ

ガヴ「それよりほら、早くケーキ食べなよ」

サターニャ「あんたは自分が食べたいだけでしょ」

ガヴ「そうとも言う」

ラフィ「ケーキはサターニャさんの御実家に協力して頂いて、みんなでトッピングをして作ったんですよ。是非食べてみてください♪」

ヴィーネ「……うん。いただきます」




ヴィーネ「……」カチャ




ヴィーネ「……」パクッ




ヴィーネ「……」モグモグ…




サターニャ「……ど、どう? 美味しい?」


ヴィーネ「……」





ヴィーネ「……」ポロッ


3人「「「!!?」」」





ヴィーネ「う……うぅ……」ポロポロ

ガヴ「えっ、ちょ……ヴィーネ!? なんで泣いて……」

ラフィ「お、お口に合いませんでしたか?」

ヴィーネ「ちが…うの……ケーキはすごく……おいしくて……」ポロポロ

サターニャ「じゃ、じゃあなんで泣いてるのよ!」


ヴィーネ「う、嬉しくて……それに…ほっとしたから……」

ガヴ「……ほっとした?」

ヴィーネ「私……怖くて……サプライズだって分かってても……虫やお化けは……嫌だったから……だから……」グスッ

3人「……」



ヴィーネ「うぅぅ……!」ボロボロ

ガヴ「……あー、うん。悪かった。ごめん。確かにサプライズだとしてもやりすぎたな」ナデナデ

サターニャ「ご、ごめんなさいヴィネット。まさかそんなに嫌がるなんて思ってなくて……」ナデナデ

ヴィーネ「……」グスッ

ラフィ「私も……もっとヴィーネさんの気持ちを考えるべきでした。ごめんなさい」ナデナデ

ヴィーネ「ううん……もう大丈夫だから……」





ヴィーネ「……というか、なんでみんなで私の頭を撫でてるの」

ガヴ「え? いや、何となく……」ナデナデ

サターニャ「落ち込んでる人を励ますときには、こうするのがいいってお母様が言ってたわ!」ナデナデ

ヴィーネ「だ、大丈夫よ……子供じゃないんだから……」

ラフィ「……ヴィーネさん、強がらなくてもいいんですよ」ナデナデ

ヴィーネ「……」

ラフィ「私達はいつもヴィーネさんに助けて貰ってるんですから、こういうときくらい、私達に甘えてください……ね?」ナデナデ

ヴィーネ「……や、だ……そうやって優しくされると……また……」




ヴィーネ「うわぁぁん……!」ボロボロ

ガヴ&サタ「あー……」ジーッ

ラフィ「えっ! わ、私ですか!?」




ヴィーネ「うぅ……おいしいよぉ……」モグモグ

サターニャ「泣きながらケーキ食べてる……」

ラフィ「器用ですね……ヴィーネさん」

ガヴ「泣くのか食べるのかどっちかにしなよ」

ヴィーネ「じゃあたべる……」モグモグ

ガヴ「食べるんかい」

ラフィ「これはヴィーネさんが復活するまで時間がかかりそうですね……」

サターニャ「仕方ないわね。ゆっくり待ちましょう」



ヴィーネ「……」モグモグ














ヴィーネ「……ふぅ、ご馳走さま」

ガヴ「すげぇ……ワンホール1人でたいらげたぞ」

サターニャ「私のケーキは美味しいもの。当然よ!」

ガヴ「私達の、な」

ラフィ「ふふっ。ヴィーネさん、もう大丈夫そうですか?」

ヴィーネ「うん。もう大丈夫よ。ありがとう」

ラフィ「それは良かったです」

ヴィーネ「……それにしても、まだ目元がひりひりするわね」

サターニャ「あんだけ泣いてたら、そりゃあねぇ」

ガヴ「鏡見る?」

ヴィーネ「いい。絶対ひどい顔してるもの」

ラフィ「ふふっ。真っ赤なお目々のヴィーネさんも、可愛らしいですよ♪」

ヴィーネ「ラフィの言葉は素直に受け取るべきか悩むわね……」





ヴィーネ「……こほん。それよりも、ガヴ、サターニャ、ラフィ」

ガヴ「なに?」

ヴィーネ「今日は私のために誕生日パーティーを開いてくれて、本当にありがとう。すごく嬉しいわ」ニコッ

ガヴ「……どういたしまして」

サターニャ「当然よ! ヴィネットは私達の大事な仲間なんだから!」

ラフィ「はい。ヴィーネさんに喜んで貰えて良かったです♪」

ヴィーネ「ありがとう。こんなサプライズパーティーで泣いちゃうような悪魔らしくない私だけど……みんなの事が大好きだから、これからもどうかよろしくお願いします」

ガヴ「うん……というかそんなの、わざわざ改まって言う必要もないでしょ」

ヴィーネ「……ふふっ、それもそうね」


ラフィ「こちらこそ、これからもよろしくお願いします。ヴィーネさん♪」

ヴィーネ「うん、よろしくね。ラフィ、みんな」

サターニャ「それじゃあ、誕生日パーティーも始まったばかりだし、これからもっと目一杯楽しむわよ!」

3人「おー!」









ガヴ「……さてと。じゃあ、あれを持ってくるか」

ヴィーネ「え?」


サターニャ「あー、あのケーキね」

ラフィ「あれですね♪」

ガヴ「結構量あるけど……まあ4人居れば食べ切れるだろ」

ラフィ「むしろサターニャさん1人で十分な気もしますけどね」

ヴィーネ「……え、なに? ケーキ? どういうこと? さっき私が食べてたケーキは……?」

ラフィ「あー、それはですねー……」

サターニャ「ふっふっふ……聞いて驚きなさい! 実は誕生日ケーキは2つ用意してあったのよ!」

ガヴ「まあメインはヴィーネが食べてた方で、あっちはおまけみたいなもんだけどな」

ヴィーネ「2つ目のケーキ……それって、どんなケーキなの?」

サターニャ「それは……見てのお楽しみよ!」

ラフィ「きっとヴィーネさん、驚きますよー」

ヴィーネ「そ、そうなんだ……」

ヴィーネ(嫌な予感しかしない……)



ガヴ「ぶっちゃけあっちのケーキの方が作るのに時間かかったからな……それじゃ、サターニャがとってくるから待ってろ」

サターニャ「なんでよ! あんたが行きなさいよ!」

ガヴ「やだ。めんどい」

ラフィ「サターニャさん、ファイトです!」

サターニャ「あんたは手伝いなさいよ!」

ヴィーネ「あの、何なら私が持ってくるけど……」

3人「「「ヴィーネ(ヴィネット)(さん)は座ってて(ください)!」」」

ヴィーネ「……はい」












ガヴ「……」

サターニャ「……」

ラフィ「……」

ヴィーネ「……」




ケーキ?「グゲゲゲゲゲ……」ズォォオオオオ…




ヴィーネ「……」


ヴィーネ(嫌な予感大的中……っ!!!)




サターニャ「いやー、何度見ても良い出来ね! 惚れ惚れするわ!」

ガヴ「そうか? グロいだけだと思うけど」

ラフィ「そんなことないですよ。ほら、ここの血塗れの眼球なんてすごくキュートです♪」

ガヴ「どこがだよ」



ケーキ?「ゲヒヒヒヒヒ……」



ヴィーネ「……」ダラダラ


ヴィーネ(何なのこの物体……死ぬ……こんなの食べたら絶対死んじゃう……!!)



サターニャ「サプライズ用の嘘のつもりだったけど、作ってみると案外上手くいくものね。ナイトメアバースデーケーキ!」

ガヴ「上手く……行ってるのか? これは」

ラフィ「大丈夫です。これ以上ないくらい完璧ですよ♪」

ガヴ「ラフィの感性はアテにならないからなー……」



ケーキ?「クフフフフフ……」



ヴィーネ「……」ガタガタ


ヴィーネ(大体なんでケーキが喋ってるのよ!? おかしいでしょ!!)



ケーキ?「ゲヒャヒャヒャヒャ……」



ヴィーネ「ひっ……」ブルブル


ヴィーネ(こんなケーキ、私は絶対に食べな……)



ラフィ「さて、それでは一口目はヴィーネさんにお譲りします。どうぞ♪」

ヴィーネ「!!?!?」バッ




ラフィ「ふふっ。ヴィーネさんには一番美味しい眼球の部分をあげちゃいますよー」スッ

サターニャ「いいなー。私も食べたい」

ガヴ「まあ今日の主役だしな。当然か」

ヴィーネ「あ、あの……私、お腹いっぱいだから……」

ラフィ「大丈夫です。一口だけですから♪」ズイッ

ヴィーネ「ひっ!?」ビクッ

ラフィ「ほら、ヴィーネさん。あーん♪」

眼球?「ケケケケケケ……」

ヴィーネ「無理無理無理!! どう見ても食べられる見た目じゃないでしょそれ!!」ブンブン

サターニャ「安心しなさい。魔界のスイーツ眼球だから、味だけは保証するわ」

ヴィーネ「味以外は!?」

ガヴ「まーまー、細かいことは気にしないで」

ヴィーネ「細かくないわよ!」



ラフィ「うーん、このままじゃ埒があきませんね……サターニャさん、ヴィーネさんの身体を抑えていてください!」

サターニャ「任せなさい!」ガシッ

ヴィーネ「えっ、ちょっ」

ラフィ「ガヴちゃんは頭の固定を!」

ガヴ「ほい」ガシッ

ヴィーネ「ガ、ガヴ! やめ……」

ラフィ「はい、あーん♪」

ヴィーネ「ひぃっ!!」ビクッ

ラフィ「大丈夫です。怖いのは最初だけ。一口たべれば、すぐに病みつきになっちゃいますよー。ほら、あーん……」

ヴィーネ「あ……あ……!」









ヴィーネ「いやぁぁああああああ!!!!」







パクッ





ヴィーネ「……っ!」

ガヴ「……」

サターニャ「……」

ラフィ「……」




ヴィーネ「……」








ヴィーネ「……あれ? 意外と美味しい」モグモグ

ガヴ「でしょ?」



-おしまい-

ヴィーネ誕生日おめでとう! そして間に合わなくてごめん……

ヴィーネ抜きの3人でサプライズパーティーを計画したらとんでもないことになりそうだなーって思って書きました


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