アスカ「だいじょうぶの笑顔。」 (43)

<葛城邸・リビング>

シンジ「…………………。」ハァ...

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スッッ パアァァ----ン!!!

シンジ「痛っ!何するんだよ、アスカ!」

アスカ「まったく辛気くさいわねー、バカシンジ。いったいアンタどうしたってぇのよ?」

シンジ「……母さんのことを考えてたんだ。でも、母さんのお墓には母さんは居ないんだって聞かされて…。」

アスカ「なに?ちょっと前に流行った千の風がどーたらってやつ?」

シンジ「ううん、そうじゃないよ。前に父さんに言われたんだ。遺体も遺品も遺ってはいないって。それで僕はこれからあの墓標で何に手を合わせればいいんだろうって…。」ハァ...

アスカ「……………。バカシンジ。」

シンジ「なに?アスカ。」

アスカ「いまから出かけるわよ!。」

シンジ「えぇっ?!なんだよ!いきなり、そんなっ…。」

アスカ「いいから!早く支度しなさい。朝からアンタがそんな辛気くさい顔してうつむいてんの見せつけられちゃたまったもんじゃないわ。」

シンジ「そんな急に言われても…。」

アスカ「い・い・か・ら!40秒で支度なさい、グズグズしてると張っ倒すわよ!」

……………………
………………
………
<第3新東京市・共同墓地 碇ユイ墓標前>

シンジ「アスカ…。ここ…。」

アスカ「そうよ、アンタのママのお墓……。ここでいいのよね?」

シンジ「アスカ、僕が何に悩んでたかちゃんと聞いてなかったの?」

アスカ「聞いてたからここにきたの。」

シンジ「えっ?」

アスカ「ごめん、シンジ。アタシね、アンタのお母さんに何があったのかミサトから聞かされてるの。」

シンジ「そう……なんだ…………。」

アスカ「だからって流石に第7ケイジはやっぱり生々しすぎる気がするのよね。だからここにしたの。」

シンジ「……………。」

アスカ「アタシね、人が人を弔うって言うのはつまるところは心の在り方だと思うの。そりゃ確かに遺骨だとか遺品だとかそういう物があれば手は合わせやすいわよ?でもそう言うのってその心の在り方を示すためのデバイスでしかないと思うのよ。」

シンジ「…うん。」

アスカ「それにね、シンジ?遺されたアタシたちが元気にやってて故人を想ってあげること、悼んであげること。
その気持ちが一番大事なんじゃないかしら?それが出来ればどこに居て何に向かって手を合わせてもアンタのママにその心はきっと伝わるわ。」

シンジ「アスカ…。ありがとう、優しくしてくれて…。」

アスカ「あら?アタシはいつだって優しいわよ?優しいからアンタみたいな優柔不断にいっつも喝を入れてやってんでしょ?」

シンジ「普段も、もう少しお手柔らかにお願いできないかな?」

アスカ「なに言ってんの!優しいとお手柔らかは違うのよ!アンタくらい煮え切らないのにはあれくらいで丁度よ。少し足りないくらいかしらねー。」

アスカ「それにアンタだって…。」ボソッ

シンジ「なにか言った?アスカ。」

アスカ「なんにも!ほらバカシンジ、アンタのママに手を合わせるわよ!」

シンジ「うん。ありがとう、アスカ。もう だいじょうぶだよ。」ニコッ

……………………
………………
………
<共同墓地・入口>

シンジ「ねぇ、アスカ。」

アスカ「なによ?バカシンジ。」

シンジ「アスカはミサトさんから僕の母さんのこと聞いたって…。ごめんね、実は僕もアスカのお母さんのこと…聞かされてるんだ。」

アスカ「ま、そうよね。それが当然の帰結ってもんよね。ミサトがアタシだけに話すなんてあるわけないものね。」

シンジ「黙ってて、ごめん。」

アスカ「黙ってたのはお互い様でしょ?それに黙ってたって言うよりはどう考えたって軽々しく触れていい話題じゃないもの。アタシにしたってたまたまきっかけがあっただけなんだし。」

シンジ「…………。ね、アスカ?海に行こうよ。」

アスカ「は?何よ?突然。」

シンジ「海に行こう。海じゃなくてもいいんだけど、もう少しアスカと話がしたいんだ。」

アスカ「唐突ねー。ま、いいわ。行きましょ、今日は天気もいいし。アタシも付き合わせたんだしね。」

シンジ「ありがとう、アスカ。」

……………………
………………
………
<新横須賀(旧小田原)・埠頭>

シンジ「アスカ、ここ憶えてる?」

アスカ「忘れるわけないでしょ?アタシが初めて踏んだこの国の地面だものね。」

シンジ「本当は僕たちが初めて出逢った場所にしたかったんだけど…。」

アスカ「さすがに太平洋の海の上は無理ってものよ。」

アスカ「で…?話ってなんなのかしら。」

シンジ「………アスカはさ。いつかエヴァを降りる日が来るって、そんな未来があるって考えた事ある?」

アスカ「………………!」

シンジ「アスカは僕の母さんの話聞いたったって事はさ、アスカのお母さんの事。アスカ自身が直接は聞かされないにしても感づいてはいるんでしょ?」

シンジ「ごめん、デリカシーを欠いた事を聞いてるのはわかってるんだ。でもね、なんだかアスカとはちゃんと腹を割って話をした方がいいと思ったんだ。」

アスカ「…………。」

シンジ「アスカがエヴァにこだわる理由も想像がつかない訳じゃないから…。多分その辺の話については僕よりも大きいもの想像つくんだけど…。」

アスカ「……………アンタが想像してる理由だけじゃないわよ、きっと。」

シンジ「そうかも知れないね。僕はアスカ自身じゃないから全部お見通しってわけじゃないけど…。」

アスカ「アタシね…。ママがママじゃなくなった時にね、これ以上誰かに捨てられたくなかったんでしょうね。そんな時にタイミング良くエヴァのパイロットに選ばれてね…。」

シンジ「うん…。」

アスカ「もちろん今となっては仕組まれた話だって気付いてるわ。ただ、仕組まれた話とは言えエリートとしてのレールが用意されてさ…。」

アスカ「誰よりも優秀ならみんながアタシを見てくれる。気にかけてくれる。捨てられない。そんな気持ちでエヴァにしがみついて生きてきたの。」

シンジ「…………。」

アスカ「アンタのママの話を聞かされた時ね…。そりゃ当然感づくわよね、弐号機の正体に。そこから先はアンタが想像してる通りよ。アタシがいま弐号機にこだわる理由。」

シンジ「あのね、アスカ。ケンスケから聞かされた話なんだけどね。」

アスカ「あの三バカ一味の話?」

シンジ「まだ僕が先生のところにいた頃の話でさ第3新東京市に来る前だね、小学生の頃の話らしいんだけどね。トウジが凄くヘコんでた事があったんだって。」

アスカ「そりゃ鈴原だってヘコむ事くらいはあるわよ。」

シンジ「そうなんだけど、なんだかヘコみ方が尋常じゃなかったらしくってケンスケが心配して理由を聞いてみたんだって。」

アスカ「どうせ鈴原じゃない。つまんない事だったりするんでしょ?」

シンジ「そしたらね、トウジが応援してる野球チームで長年主力だった選手が引退を表明したらしくって、それでヘコんでたんだって。」

アスカ「バカらしい!鈴原らしいわねー、本当。誰だって衰えるんだから引退くらいするじゃない。」

シンジ「優勝した年に4番を打ってたんだって。トウジにとってはよっぽどだったんだよ、ケンスケが言うには給食が喉を通らないくらいヘコんでたらしいし。」

アスカ「あの鈴原が?!嘘でしょ?」

シンジ「僕もケンスケから聞いた話だから…。で、ひと月くらいそんな様子が続いてある日いきなり元気に学校に来たらしいんだ。」

アスカ「どーせ、つまんない事で機嫌直ったんでしょ?」

シンジ「つまんない事かなぁ。その選手の引退セレモニーの次の日だったらしいんだけどね、そのセレモニーの挨拶で『いつかチームに戻ってきます。ファンの皆さん、チームの皆さん、その時はまた一緒に戦いましょう。』って言ったんだって。」

アスカ「…………。」

シンジ「その人はもう選手として野球に関わらなくなったけど野球をやめた訳じゃないんだって思えてきて嬉しかったってトウジは言ってたっけ。」

アスカ「どう言う事よ…。」

シンジ「さっきアスカ、誰だって引退くらいするって言ったでしょ?でも、引退するからって言って何もかもをキッパリと断つことも無いと思うんだよ。」

シンジ「関わり方が変わってもエヴァとともにある人生をアスカが必要とするならさ、アスカはエヴァを捨てる事はないと思うんだよ。」

アスカ「…………。」

アスカ「やっぱり、アンタだって…。」ボソッ

ごめん、1レスすっ飛ばした

>>22は無しで

シンジ「僕は戦う事がそんなに好きじゃないからね。エヴァを降りる降りないって話にそこまで執着はないんだけどさ。アスカにとってエヴァが大事なものだってのもわかるから…。」

アスカ「シンジ…。」

シンジ「いつか僕たちがエヴァから降りる日、世の中がエヴァを必要としなくなる日が来るかもしれない。ただ世の中がエヴァを必要としなくなるためにエヴァに関わらなきゃいけない人たちってのが必ず必要になると思うんだよ。」

シンジ「関わり方が変わってもエヴァとともにある人生をアスカが必要とするならさ、アスカはエヴァを捨てる事はないと思うんだよ。」

アスカ「…………。」

アスカ「やっぱり、アンタだって…。」ボソッ

シンジ「なにか言った?」

アスカ「……アンタだって優しいじゃない。」

シンジ「えっ?あ、そのっ…。」

アスカ「前にアタシがひとりでテンションあげてひとりで先走って、
挙句にひとりで勝手にベッコベコにヘコんだ時もさ必死で励ましてくれて庇ってくれてさ。なによ!アンタもしかしてアタシの事好きなの?!」

シンジ「いやっ、あの…。好きか嫌いかって聞かれたらそりゃ好きだよ。その好きがどんな好きかまではわかんないけど…。」

アスカ「ありがと、シンジ。もう だいじょうぶよ。」

シンジ「うん。」

アスカ「帰ろっか、シンジ。」

アスカ(アタシもアンタのこと、嫌いじゃないわよ。あんたがアタシのこと、ちゃんと見てくれるなら………ね。アタシのこと見てもくれない大人なんかよりよっぽど…………。)

……………………
………………
………
<夕食後・葛城邸ダイニング>

ミサト「シンジくーん、アスカー。そういえば学校の進路相談、そろそろじゃなかったっけ?」

シンジ「はい、再来週の月曜日。アスカも同じ日に時間差で。」

ミサト「オッケー、スケジュール空けとくわね。進路相談って言えばだけどね、ふたりとも卒業後はどうするの?何かやりたい事とかあるのかしら?」

アスカ「卒業後…?」

ミサト「そうよーん。とは言え高校卒業後なのか大学卒業後なのかはあなたたち次第だけどね。」

シンジ「それはネルフに残るとか残らないとかの話…ですか?」

ミサト「他にやりたい事があればそれでもいいのよ?まずは漠然としたものでいいの、あなたたちの夢を聞かせて欲しいのよ。」

シンジ「正式なオファーってわけじゃないんですけど、実は酒保長の田村さんからレシピを教わりに行くたびに主計局に来る気はないのかって話をされてて…。」

アスカ「そりゃあミサトがバカシンジの料理が美味しい美味しいってそこら中で吹いて回ってりゃそんな話も出てくるわよね。」

シンジ「僕自身は仕方なしで始めた事ですけど、料理自体は楽しいんでそれで身をたてるのも悪くはないなって思うんです。」

ミサト「あら、素敵な事だと思うわよ?」

シンジ「でも、『悪くない』なんですよ。そんな半端な気持ちでやるのも田村さんに悪いし…。それに作戦局の都合も技術局の都合もあるでしょうし…。」

ミサト「シンジくん?確かにあなたの身柄についてはあたしのところに他の部局からもオファーが来てるわ。いまのところまだ非公式に…だけどね。でもそんな事は大人が気にすればいい事なのよ?まずはあなたの気持ちが大事なの。わかる?」

シンジ「…………僕には将来なりたいものなんて何もなくて、夢とか希望のことも考えたことがなかったんです。
それで今までだってなるようになってきたし、きっとこれからもそうなんだろうって。
だから何かの事故やなんかで、別に死んでもかまわないと思って生きてたんです。」

ミサト「シンジくん?」

シンジ「けど、最近思うんです。希望が見えないのは、僕が希望を探してこなかったからじゃないかって。だから…もう少し時間をください。」

ミサト「……わかったわ。そうね、これからたくさんやりたい事が見つかると思うわ。じゃあねシンジくん、おねーさんからひとつアドバイスよん。若ぁっかいんだから、しっかり悩みなさい。若者の特権よ♪」

シンジ「はい!」

ミサト「…で。アスカはどうなのかしら?アンタの場合はそれこそ中学出た時点でやりたい事あればそれでもいいのよ?」

アスカ「…ミサト、怒らないで聞いてくれる?」

アスカ「今日ね、ちょうどシンジとそんな話をしたの。それでね、アタシいずれは本部技術局に転籍したいんだけど…。」

ミサト「リツコの下につきたいって事?」

アスカ「そう。E計画担当への配属が今のところ将来的な希望ね。勘違いしないでよね?上司としてのアンタに不満があるわけじゃないの。
きっとアタシは将来的にはエヴァから降りなきゃいけない。世の中がエヴァを必要としなくなる日が来るわ。
アタシはその日をアタシ自身の手で迎えることでアタシと弐号機のオトシマエをつけたいの。」

シンジ「アスカ…………。」

ミサト「…わかったわ。それがアスカの希望ならあたしは後押ししてあげるわ。表立ってできない事もあるけど、出来るだけのことをしてあげるわ。」

アスカ「それならまだアタシはこの話は周りに内緒にした方がいいのかな?」

ミサト「そうねぇ…。秘密ってよりも、あたし達3人の約束の方がいいと思うわ。」

ミサト「ほらほら、なにしんみり感出しちゃってるのよ!なにをやるにもまずは笑顔!笑顔があれば大抵のことは乗り切れるわ。」

アスカ「ミサト、ありがとね。」

ミサト(シンジくん、アスカ。この世界はあなたたちの知らない面白い事で、満ち満ちているわ。楽しみなさい。
あなたたちの人生はまぶしい光であふれてるのよ。若ぁぁっかいんだから、突っ走りなさい。)



ほら だいじょうぶ もうだいじょうぶ
こんなにあなたのことがすき

ほら だいじょうぶ もう だいじょうぶ
こんなにあなたのことがすき

劇終

お騒がせしてすまんかったの

ワシが過去に他所で書いたお話でアスカが優しすぎると言われた気がしたけぇそこら辺のワシのお話でアスカが優しい理由をなんとかでっち上げでもいいから補完をしようとしてるうちにいっそ一本書いてしまおうと思ったんじゃ

今回のお話の元ネタはやっぱりアスカの中の人の歌でスレタイと同名の曲「だいじょうぶの笑顔」をベースにしてみた

正直、歌ネタは難しいの。気の迷いでも手を出すべきじゃなかったと反省しとる。

元ネタの歌は楽曲の著作権利者自身がつべに動画あげとるから是非一度聴いて欲しい。
https://youtu.be/VDKb0mzAvH4

ちなみに過去に書いたお話は
シンジ「帰ろうよ、アスカ。僕たちの家に…」

シンジ「本格焼豚と海老 生姜八角のきいた香炒飯?」

シンジ「やめてよ、ミサトさんっ!それはっ…僕のおいなりさんだからっ…」

アスカ「シンジ!アンタのソレ、まるでポークビッツじゃない!」

カヲル「シンジくん、僕のここに練乳をかけてくれないか?」



今回のお話も含めて全部PSP版の造られしセカイのアフターの体で書いとる。

つまり
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira146855.jpg
このイベントは経験しとる世界な

ゆるくて優しい世界のスラップスティックコメディが苦手でなければ読んでみてほしい。

じゃあの

割といいお話だったのにおいなりさんで台無しだよ!

あえて言うならポエムっぽい。規定内で完結してるから感想が持ちにくい。

おいなりさんの話ウナギが食いたくなるアレでしょ?


もうこれで終わりじゃないんだよね?
また書いてほしい

>>38-40
ご意見いたみいる参考にしたい
>>41
便宜上最終話の構想は別に用意してるし、取材ができ次第やる
けどコンセプト自体がエヴァ世界の終わらない日常だからネタがある限りは最終話以前の話をやる

おう、早く次を書くんだよ

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