Ⅳ号戦車「ドゥルルルルルルン……!?」 エリカ「貴女の名は」 (192)


このスレッドは、1000行った前スレ
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476122790/)
の続きにあたります。

【注意】
・映画『君の名は。』のネタバレがほんのりあるかもしれません
・地の文も少しですがあります
・戦車は火砕流の中だって突き進むように、多少の矛盾点があってもこのスレは突き進みます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507565485

人そんなにおらんし感想も全然つかないから余裕やろ、と思ったら埋まっていたので次スレ立てました
これだけなのもなんなので、少しだけ投下します(眠いので値落ちしたら申し訳ない)


エリカ「……」

エリカ「まあ、何か――って言えば、廃校阻止とかなんだろうけど……」

エリカ「それなら、このタイミングも理解できる」

エリカ「やり取りを経て、助けたいって思ったとして……」

エリカ「何故また私と?」

エリカ「私と入れ替わったとして、何が出来るっていうの……?」

エリカ「聞いてる限りじゃ、私に入ったⅣ号じゃ何も出来ないと思うけど……」

エリカ「じゃあ私に何かをさせたいってーの……?」

エリカ「一体何を……」

みほ「あー、楽しかったあ~」

沙織「転校してきて一番の笑顔だねみぽりん」

みほ「大洗にこんなところがあったなんて……」

みほ「転校なんてやめて、このまま退学してずっと大洗にいようかな……」

優花里「ちょ、西住殿!?」

麻子「目がマジすぎるぞ……」

エリカ「……これを止めろって可能性も出てきたけど、これこそどうしようもないわよ私には……」


エリカ「……はあ」

エリカ「結局、考えてもどうしようもないって結論になるわよねえ……」

エリカ「なんだかんだでこの子達も嫌々ながら現実を受け入れてるし……」

エリカ「Ⅳ号、アンタも受け入れなさいよ」

エリカ「……私達には何も出来ないわ」

エリカ「こっちには、守らなきゃいけないものがあるのよ」

エリカ「大洗のために、大切な身内に無駄に敵を作るわけにはいかないでしょ」

エリカ「……」

エリカ「夜がくる……」

エリカ「今日も、元の身体には戻れないのかしら……」

エリカ「……」

エリカ「私の身体……どうなってるのかしら……」

エリカ「不安でしょうがないわ……」

エリカ「せめてあまり暴走せずに、大人しくしてくれているといいんだけど……」







 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 


エリカ「ん……」

エリカ(あれ……)

エリカ(また見慣れぬ天井……)

エリカ(寝てる間にどこかに移動されたのかしら……)

スッ

エリカ「……!?」

エリカ(視線を移動しようとした時のこの感じ……)

エリカ(まさか――)

ガバッ

エリカ「お、起き上がれる……」

エリカ(戻ってる……元の体に……)

エリカ(でもじゃあなんで見慣れぬ天井……)

エリカ「一体どうなって……」 キョロキョロ








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          ,  .:ハ:}:. .:::/ ィf≠斧芹::/.    }     |
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エリカ「死んでるーーーーーーーーーーっ」 ガビーーーーーン






 


直下「う、うわああああああああああああ!」

直下「い、逸見さんが蘇ったッ!」

ドドメ色星「ひぃぃぃぃぃ!」

黒星「し、し、し、し、塩! し、塩~~~~~!!」

小梅「え、刀に火を点けて今すぐ火葬するの?」

マウス車長「そ、そうじゃなくてソルト! ソルト!」 ババッ

エリカ「ちょ、まっ、何ぶっかけt――いった! 誰今ダマでぶん投げてきたやつ!?」

しほ「お、おおお、落ち着きなさい貴女たち……」

小梅「誰よりガタガタ震えてます家元!!」

まほ「お、落ち着けお前たち!」

まほ「死んだ人間は生き返らない!」

まほ「つまりエリカは……」

まほ「信じがたいことに、呼吸を止めて複数日放置されてなお生きていたということだ!」

エリカ「!?」

しほ「何を言っているのですか」

しほ「さすがに呼吸が止まって動きも止まって数日経ってたら普通は死んでいるに決まっています」

エリカ(……否定できない……)


エリカ「っていうかなんでこんな大事――」 フラッ

まほ「エリカ!」

小梅「逸見さん!?」

直下「よ、よし、弱ってるわ!」

マウス車長「い、今の内に追撃を・・…!」

小梅「ま、待ってみんな!」

小梅「少なくとも死体だと思ってたものが動いたんだし……」

小梅「万が一ゾンビかなにかだとしても、逸見さんは逸見さんだよ!」

直下「そうかもしれないけど……」

直下「でもあの態度だけ大きくプライドも高い副隊長なら、ゾンビになって外に出るよりもここで殺されたがるって!」

小梅「確かにそうかも……」

エリカ「ちょ、何早々に丸め込まれかけてんのよ馬鹿!」


エリカ「大体なんでこんな――」 フラッ

まほ「エリカ!」

ガシッ

エリカ「隊、長……」

まほ「……無理するな」

まほ「例の病気が発症して以来、何も口にしていないんだ」

小梅「にも関わらず井の中のものはポンポン射出してたし、栄養不足だと思うから、あまり無理して動かない方が……」

エリカ「……何やってたのよ私は……」 ゲッソリ

まほ「……何も」

エリカ「え?」

まほ「途中まではいつもの暴走だったのだが、途中から燃料が切れたかのようにピタリと止まってな……」

まほ「息もしていないし、乳首を何度触れてもつねっても押し込んでみても反応がなくて、本当に死んでしまったかと思ったぞ……」

エリカ(悲しんでくれてるっぽい顔なのに発言のせいで全然うれしくない……)


まほ「何にせよ、生きててよかった……」

小梅「とりあえずベッドに運んで、栄養も取らなきゃいけないだろうし病院に……」

エリカ「……」

エリカ(栄養不足、か……)

エリカ(本当に文字通り、エネルギーが切れてⅣ号が動かなくなったってことかしら)

エリカ(だとしたら、本当にⅣ号が私の中に入ってもやることなんてないわね……)

エリカ「……」

エリカ(この入れ替わりに何か意味があるとしたら……)

エリカ(やっぱり私に何かをさせたいのかもね……) スゥ

まほ「エリカ。エリカ」

まほ「……眠ったのか……?」

小梅「あ、でも、今回は息してる……」

まほ「そうか……」 ホッ

しほ「とりあえず保健室に運びましょう」

しほ「……こうなった以上、彼女の葬儀は途中ですが取りやめます」

しほ「各自学校に戻り、授業や戦車道に取り組むように!」

眠いので寝ます

眠たいので短めになると思いますが投下します


エリカ「ん……」

小梅「あ、起きた?」

エリカ「ここ……」

エリカ(部屋に戻ってる……)

小梅「あれから大分寝てたんだよ、逸見さん」

エリカ「うっそ」

小梅「ほんとだよ」

小梅「どうせ起きるならもうちょっと待ってくれたら布団に潜り込んで添い寝してたのに」

エリカ「この瀕死の起き抜けに右ストレートさせるのやめてもらえる? 疲れるから」


エリカ「……」

エリカ「まだちょっとクラクラするわ」

小梅「今回、いつもより長かったもんね……」

エリカ「……そうねえ」

エリカ「別に責めるわけじゃないけど、もうちょっと早めに何とかしてくれてたら、とは思うけど」

小梅「もう、しょうがないじゃん……」

小梅「乳首ッション入れたらすぐ走り出しちゃうし……」

エリカ「イグニッション入れるのやめたら?」

小梅「でもじゃあ呼吸が止まってるのに放置できるかって言われると……」

エリカ「そりゃそうなんだけど、冷静に考えたら呼吸が止まってるから乳首弄るっておかしな話よ?」


エリカ「……」

小梅「起きて速攻スマホ?」

エリカ「いいでしょ」

エリカ「どうせ今日はもう学校に行くのも難しいし」

エリカ「ネットサーフィンは日課だから、欠かすと落ち着かないのよ」

小梅(病気だなあ……まあ例のアレの方がよっぽど病気だけども

エリカ「……」

エリカ(まだ大洗の廃校についてはニュースになってない、か……)

エリカ(……)

エリカ(これじゃあどうしようもないわね)

エリカ「……」

エリカ(私は黒森峰の副隊長)

エリカ(何の勝算もないのに、変に肩入れして戦車道連盟を敵に回すことはできない)

エリカ(副隊長の私がそんなことしたら、赤星や、他の黒森峰の皆にも迷惑がかかっちゃう……)

エリカ(……私は、何にも出来ないわよ……)







ズドーーーーン

ルミ「うひゃあああああ!!」

アズミ「もうっ、今度は何!?」

メグミ「今度も寝返り発生!」

アズミ「もう、なんなのよこの試合は!」

アズミ「せっかく事前に潰せる分だけ潰したのに、まだ湧いてくるっていうの!?」

ルミ「うーん、折角頭脳派知的なお姉さんアピールをするために相手に裏切りを唆してたのに」

ルミ「何だか埋もれて全然アピールにならない気がするわ」

アズミ「……ほんと、多いわねえ、今日

メグミ「……そりゃあ、今日は、本格的に“あの”お子様隊長が陣頭指揮を取る日だもの」

ルミ「まあ、オトナとしちゃ負けられないもんねえ」

アズミ「子供だとどうしてもナメられちゃうしねえ」

メグミ「私達だって色々と疑問や不満を抱いてるものね」

ルミ「……お子様隊長がこのカオスみたいな盤面をどうするか、お手並み拝見といこうかしら」

急に眠気が来たので寝ます、申し訳ない

キン肉マンがあるし、スローペースになりますがちょっとずつ進めます
2017年内には絶対終わらせたい


アズミ「裏切り者を粗方始末して、敵方も追い込んだまではよかったけれど……」

明智「くっそー!」

明智「それ以上近づいて来てみろ!」

明智「来賓席に主砲をぶち込んで、全員まとめて二度と戦車道で日の目を見れなくしてやる!!」

アズミ「……ちょっと追い詰めすぎたかしら」

ルミ「まさか撃破された自分の車輌から出て仲間の戦車に乗り込んで立てこもるとは……」

メグミ「いくら変幻自在であらゆる戦法に対する対処を学ぶ島田流とはいえ、仲間が戦車に乗り込んできた時の対処なんて教えてくれなかったものねえ」

明智「あーもう!!」

明智「こっちは内定が取り消されるかどうかの瀬戸際なのよ!」

明智「オラ近づくんじゃないわよ!!」 パララララ

ルミ「だああ、機銃撃ってきた!

メグミ「そんなことしても、完全に包囲されてるし、来賓席にぶち込んだら貴女もただじゃすまないわよー?」

明智「うるさい! とっくにただじゃすまなくなってるのよ!」

明智「制限時間はないし、このまま私の入社式の日まで試合を長引かせてもらうわ!!!!」

ルミ「どんだけ長期計画なんだ……」

メグミ「完全に冷静さを欠いてるわね……」


ルミ「あれの暴走を放っておいたら、私達の進路にも響くわよね……」

アズミ「そうねえ」

メグミ「もうとっくに響いてる気もするけど、ここは問題処理能力をアピールしましょう」

ルミ「よし、ならばバミューダ一の知性を誇る私が!」

ルミ「あー、明智さん、馬鹿な真似はやめてください」

メグミ「おお、ネゴシエーション」

ルミ「なんだかんだで今は労働力が重宝される時代じゃないですか」

ルミ「別に一社の内定が消えたからって死にはしません」

ルミ「別のところに受かればいいじゃないですk」

パララララ

明智「じゃかあしい、就活も知らないクソガキがあ!」

明智「こちとら50社落ちてやっと掴んだ内定なのよ!」

ルミ「えっ」

ルミ「戦車道実績とかいう強力なカードを所有してるのに……?」

パララララララララ

ルミ「何故かどんどん逆上してるわ」

アズミ「眼鏡のくせに頭悪いわよね、ルミ」


メグミ「まったく……」

メグミ「変に理屈を使ってねじ伏せようとするからよ」

ルミ「ぐっ……」

メグミ「こういう時に心にもないことを言うのは逆効果」

メグミ「バミューダ三姉妹のリーダー格と呼ばれる私のカリスマ的交渉術を見せてあげるわ」

ルミ「おお、さすがはメグミ!」

アズミ「就活時にリーダーやってましたとかいうテンプレトークを喜々として喋りだすタイプは伊達じゃないわね!」

メグミ「アズミは後で殴るとして」

メグミ「こういう時は、素直な気持ちで対峙するのよ」

明智「ぐっ、く、来るな!」

明智「こっちには車長らの人質もいるし、来賓席を砲撃することもできるのよ」

アズミ「黙れ馬鹿」

パララララ

アズミ「うーん、素直な気持ちで真摯にやろうとしたのに、交渉前に追い払われたわ」

ルミ「大雑把かつストレートすぎでしょ……」

アズミ「サンダースの悪いところの化身みたいね……」


アズミ「やれやれ」

アズミ「やっぱりここはバミューダで最も冷静な私が……」 スッ

パララララ

アズミ「ちょっと!? まだ何も言ってないんだけど!?」

明智「やかましい!」

明智「元はと言えばアンタが行動前に叩き潰しやがるから!!」

アズミ「えー……」

アズミ「だって明智さん、すぐ顔に出るから、絶対何か企んでるなあって……」

明智「お前はいっつもそうやって当然みたいな顔して見下して!!」

明智「散々男くわえこんでるくせに、人のも盗りやがって!!」

明智「そういうところが前からムカついてたんだよ!!」

ルミ「え、そんなことしてたの?」

メグミ「引くわー」

アズミ「勝手に言ってるだけよ」

アズミ「大体向こうが勝手にアプローチかけてきただけで、私は何もしてないというか」

アズミ「彼氏にとって私より魅力がなかったってだけの逆恨みじゃ」

パララララ

アズミ「うーん、等々威嚇射撃でなくマジで銃弾打ち込もうとしてきたわね」

ルミ「近付けないわこれ」

メグミ「どうすれば……」


???「やーってやるやーってやるやーってやるぜ」

ルミ「!?」

アズミ「この意味不明で上級生が陰で色々ディスってる歌声は……!」

メグミ「た、隊長!?」

ルミ「な、何しにここに……」

愛里寿「……全然進展がないようだから」

アズミ「うっ……」

メグミ「ですが隊長がわざわざいらっしゃらなくても……」

愛里寿「これ以上長引かせても益はないと思うけど」

ルミ「そりゃそうなんですけど……」

アズミ「いくら隊長が強くても、この状況ではどうしようもないかと……」

メグミ「人質も取られていますし、何せ何故か近付こうとするだけで撃ってきますし……」

愛里寿「……」

愛里寿「何でそこまで怒ってるんだろう……」

ルミ「さあ……」

アズミ「なんででしょう」

メグミ「私にはさっぱり」


アズミ「まあでも、そんなわけですから、隊長でもどうしようもないかと」

ルミ「何せ大学選抜の全員に敵意を向けてますし」

メグミ「その隊長相手ともなれば、本当に体を撃ち抜いてくるかも……」

愛里寿「……」

愛里寿「アズミ」

愛里寿「このペンキは黒だよね」

アズミ「は、はい……」

ルミ(あれは、アズミが陰に紛れるカモフラ車輌を作って奇襲するために用意した黒ペンキ……)

ルミ(そんなもので一体何を……?)

愛里寿「……」 ビリッ

ルミ「!?」

ルミ(戦車道履修者にとってパンツァージャケットは命ともいえるくらい大切なもの)

ルミ(それをやぶってしまうなんて……)

愛里寿「……」 バシャッ

ルミ「おお、今度はペンキに浸したわ!」

愛里寿「……」 バサッ

メグミ「な……なんなのあれは」

メグミ「牧師の格好じゃない!」

アズミ「あんな格好してどうしようというの!?」

ルミ「そうか!」

ルミ「大学選抜の者なら明智さんを刺激するかもしれないけど、神の使いである牧師なら明智さんも気をゆるしてしまう!!」

バミューダ3姉妹「「「なんという冷静で的確な判断力なんだ!!」」」


明智「な、なんだァーお前ェー!」

明智「大学選抜のヤツは近づくんじゃない!」

明智「私は本気だぞ!」

明智「このまま春を迎えて決着を有耶無耶にしたまま、負けさせなかったという功績を引っさげて入社式を迎えてやるう~!」

愛里寿「落ち着いて」

愛里寿「私は通りすがりの牧師」

愛里寿「春まで戦車に立てこもるなら、食料がいるだろうと思って持ってきた」

明智「何ィ」

愛里寿「神に仕える者として、餓死しようとする者を見捨ててはおけない」

愛里寿「ここに、ほんのり塩味のポテトチップスとコーラがある」

明智「ぐむーっ、それさえあれば永遠に引きこもれそうな2大アイテムッ」

愛里寿「これを渡したいから戦車に入れてほしい」

明智「グヘヘヘ……」

明智「神の使いである牧師さまの言うことだ、信用してもいいだろう」

ルミ(すごいっ! 完全に相手の懐へと潜り込んだ!)

ルミ(こ、これが島田流後継者・島田愛里寿……!)


明智「……ん?」

愛里寿「……?」

明智「なんだァー、その薄い胸板は!」

明智「聖人のような性格の神に仕える美少女キャラが、巨乳じゃないわけないだろうが!」

愛里寿「!」

明智「なのにその幼児としか言えない体型……」

明智「さては大学選抜チームの人間だなテメー!」

愛里寿「チッ……」

シュバッ

明智「!」

明智「あ、あの偽牧師はどこに……」

バタン

バタバタバタ

明智「なっ!」

明智「い、いつの間に人質の開放を……!」

愛里寿「柔軟に立ち回り、相手の心の隙を突いて雷のような速さで仕留める」

愛里寿「それが島田流の極意」

明智「!」

明智「ま、まさかお前は、た、隊長……!」

愛里寿「島田流忍法・順逆自在の術によって形勢は逆転した」

愛里寿「大人しく投降すれば、内定だけは取り消されないように働きかけてあげる」

明智「う、うううううう」


ルミ「すごい……一瞬で全てを丸く収めた……」

アズミ「ただの七光じゃないのは分かっていたけど……」

メグミ「車長としての腕だけじゃなくて、隊長をやるに足るカリスマ性がたしかにある……」

ルミ「可愛らしいだけじゃない、ただの贔屓とは異なる確かな実力を感じる……」

愛里寿「ふう……」

愛里寿「予想より長引いちゃった……」

メグミ「更に時折見せる子供らしい表情……」

アズミ「ふっ……完敗ね……やられちゃったわ……身も心も……」

ルミ「そうね……私達は見つけてしまったわ、支え甲斐のあるリーダーを……!」

愛里寿(やっぱり間に合わなかった……録画しておいてよかった・・・・・・)


ルミ「しかし改めて、とんでもない隊長だわ」

アズミ「私達は勿論、他の皆も、もう認めざるを得ないでしょうね」

メグミ「元レギュラーチームを速攻でボコボコにして実力は認められてたけど、残虐すぎるとか年功序列がって意見も今まではあったもんねえ」

ルミ「元バミューダ四姉妹だったナルミが子供の悲鳴でブチ切れるタイプだから、直接的いじめとかはなかったけど」

ルミ「ナルミがサハラに留学してからは結構居場所なかったっぽいもんねえ」

メグミ「これを期に、皆との距離がグッと縮まるといいんだけど」

アズミ「まあ、まずは私達が歩み寄って、距離を縮めるべきよね」

ルミ「あ、電話終わったみたいよ」

メグミ「……あら……あの表情……」

アズミ「たまに見せる、“マジで戦う時”のソレね……」

ルミ「よく分からないけど……さっきの電話が理由っぽいし……」

メグミ「どこかと試合でもするのかしら」

眠いので寝ます。劇場版は巻いて進行します。

またもキン肉マンの時間に投下頻度がグッと落ちるでしょうが投下します


千代『徹底的に叩きのめしなさい、西住流の名が地に落ちるように』

愛里寿「……」

千代『かつては王道の西住流、柔軟さの島田流とある種の住み分けが行われていたけれど……』

千代『よもや人間戦車などという超のつく絡め手をあの黒森峰で作ってくるとは……』

千代『それであの継続高校に勝利までされたとあっては、島田流の名折れ』

千代『本当の変幻自在の忍者戦法とは何か』

千代『日本の戦車道此処にありと言わしめた島田流の本気を見せつけなくては』

愛里寿(人間戦車……???)

千代『我々に出来なかった発想を有効だと思わせてはいけないわ』

千代『なんとしてもあれはただの愚行だと思わせるのよ』

愛里寿「はあ……」

愛里寿(言われなくても普通は愚行だとわかるんじゃ……)

千代『さもないと、下手したら人間戦車が流行るようになるわ』

愛里寿(お母様は何と戦っているんだろう……)


エリカ「……」

エリカ(戦車道で学校を守った少女たち裏切られる――)

小梅「何見てるの?」

エリカ「ッ!」

小梅「逸見さんボクササイズの効果か咄嗟に出る右ストレートが日に日に威力上がってるよね……」 イテテ

エリカ「……悪かったわよ」

エリカ「でもいきなりケータイ覗くのやめなさいよね」

小梅「?」

小梅「なんで?」

エリカ「ちっ……これだから携帯の中身を人に見せられる健全極まるクソ一般人は……」


小梅「……大洗の記事だったよね、さっきの」

エリカ「しっかり見てたのね」

小梅「……私もさっきまで見てたから、写真見るだけでわかったよ」

小梅「残念だよね……」

小梅「みほさん達、あんなに頑張ってたのに……」

エリカ「……そうね……」

エリカ(まあ、廃校阻止のためにって理由で頑張ったのって、準決勝以降だけど)

直下「あ、大洗の話?」 ヒョイ

ドドメ色星「まったく酷い話でゴンス」

エリカ「ええい、揃いも揃ってなんで私の周りでその話するのよ」

直下「え?」

直下「だって一番気にかけてそうなの、逸見さんだし」

エリカ「はあ?」

マウス車長「毎日ウェブニュース見てたよね」

小梅「続報、気になってるんでしょ」

エリカ「そ、そんなことは……」

エリカ「……」

エリカ(ない、とは言えないか……)

エリカ(また入れ替わりが起きないから、さっぱり情報が入ってこない……)

エリカ(なまじ入れ替われば情報が入るとわかってるからこそ、ヤキモキするわね……)


ブロッケンJr「それにしても政府の連中は許せねえぜ!」

黒星「公平な立場であるべき組織がそんなんじゃあ……」

エリカ「……まあ、正直、そうね」

エリカ「あの子達が廃校になると、リベンジも出来ないもの」

エリカ「……」

小梅「私達で何とか出来ないかな」

ブロッケンJr「ああ、そうだ! 黒森峰の今まで築いた地位がありゃあ、多少は物申せるんじゃあないか!?」

エリカ「……ダメよ」

エリカ「もうあの子は黒森峰の生徒でもなんでもない」

エリカ「……もう仲間じゃあないのよ」

エリカ「私たちに出来ることなんてないわ」


小梅「でも……」

エリカ「それに、黒森峰が今まで築いた地位があればそりゃ発言権はあるでしょうけど――」

エリカ「それは全て、黒森峰のために使われるべきものよ」

エリカ「……黒森峰を捨てたあの子のために、これまで築いたものを使えるわけないじゃない」

エリカ「下手に首を突っ込んだら黒森峰の評価にも関わるし、手は出せないわよ」

ブロッケンJr「何でぇ、さっきから聞いてたらグチグチグチグチ言い訳を」

ブロッケンJr「どこの学校だなんて関係ねえ、助けたいから助ける」

ブロッケンJr「それが友情パワーじゃねえのか!」

小梅「そうだよお」

小梅「副隊長仲間だったんだしさあ」

エリカ「でも……あの子はもう……」

ブロッケンJr「でも、じゃあねえ!」

ブロッケンJr「お前は逸見エリカで」 サッ

ブロッケンJr「あの子は西住みほだ!」

ブロッケンJr「そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!」

エリカ「違うのよ!!」

カナディアンマンに夢中になってたらこんな時間で舟漕ぎだしたので中断します申し訳ない・・・

ここからドンドン君の名は要素が強まるからセーフ
のんびり投下します


エリカ「……もうあの頃とは違うの」

エリカ「あの子だって……」

エリカ「ううん」

エリカ「あの子の方こそ、もう、あの頃とは全然違う」

エリカ「……あの子は、全く別の場所で、全く違う形で戦車に乗り、全く違う生き方をすることを選んだ」

エリカ「それは揺るぎない事実よ」

エリカ「……それだって、楽な選択肢なわけがない」

エリカ「今更何もかも元のように、なんてこと、出来るわけないじゃない……」

エリカ「違えた道に真剣であればあるほど……」

小梅「逸見さん……」

小梅「ちょっと真面目すぎるっていうか、やっぱり戦車になると頑固だよね」

エリカ「るっさいわね……」

小梅「でもまあ……逸見さんがそう言うなら、私もそれに合わせるよ」

エリカ「はあ?」

小梅「みほさんのことは今でも友達だと思ってるけど、でも……」

小梅「昔も今も、逸見さんの方が、よっぽど私よりみほさんと繋がってるって思ってるから」

エリカ「何言ってンのよ、そんなわけ――」

小梅「勿論、ベタベタとした仲良しこよしってわけじゃないのは分かってるし、そういう意味じゃないよ」

小梅「当然、しっぽりねっとり的な意味でもないし」 グッ

エリカ「親指を人差し指と中指で挟むな」


小梅「実際さ」

小梅「こう、ウェットな感じじゃないけど、すごく互いに理解し合ってるなあって」

エリカ「買いかぶり」

エリカ「……それに万が一そうだったとしても、アンタが私に合わせる理由はないじゃない」

小梅「まあね」

小梅「……でも、みほさんも逸見さんも、大切な友達だから」

小梅「私は、どんな形であれ、二人がまた関係を始められたらなって思うんだ」

エリカ「……」

小梅「逸見さんも、前の大会で何か変わろうとしているし、見守りたいなあって」

小梅「……例えその選択の結果、二人が絶交しちゃったとしても」

小梅「過去ばっかり見て怯えたり懐かしんだりするだけより、いいかな、なんて思ってさ」

小梅「だから、黒森峰の副隊長として、成り行きを見守るって言うなら、私はそれを尊重するよ」

エリカ「赤星……」

小梅「そんなわけで、逸見さんは助けに行くのかどうかの結果は、『いかない』でしたー!」

マウス車長「よーっし、儲け!」

直下「ぐあーっ! やっぱり手堅く賭けておくんだったー!」

小梅「なかなか綺麗に割れたよねえ」

小梅「それじゃあ配当するから並んで並んでー」

エリカ「赤星!!!!!!!!!!!!!!」


小梅「あはは、冗談冗談」

エリカ「そういうセリフは配当する手を止めてから吐きなさい」

小梅「まあ賭けてたのは本当だけど……」

小梅「でも、さっきの言葉も本心だよ」

小梅「ブロッケンJrちゃんなんて、ギャンブルに参加してもいなかったし」

エリカ「ったく……」

エリカ「鬼の副隊長と呼ばれたときを思い出させてやろうかしら」

小梅「みんなちゃんと覚えてるよ」

小梅「練習中は相変わらず意識が高すぎて怖いだけで」

小梅「怖い理由も、根っこにある信念も、皆分かってきたからグッと距離が近づいたんだよ」

エリカ「距離の詰め方間違ってンのよアンタは」

エリカ「……ま、それでも少しくらいは、感謝しておいてやってもいいけど」

小梅「逸見さん……」 ジーン

エリカ「色々面倒かけてる自覚くらいあるわよ」

小梅「そうだよね、エリカさんの射出したハンバーグとか濡らした布団とか全部片付けてあげてたもんね」

エリカ「感謝じゃなくて謝罪しなきゃいけない気持ちにさせるのやめろ」


小梅「皆も大分打ち解けて逸見さんを分かってきたし……」

小梅「逸見の森はもう封鎖してもいいかもね」

エリカ「何ちょっぴり寂しいけどみたいなツラしてンのよさっさと潰せそんなクソみたいな森」

小梅「うん、じゃあ今夜焼き払うね」

エリカ「結構急ね……いや早いに越したことはないけど」

小梅「ゲリラ的に森が燃え広がったってことにしようかな」

小梅「最後は皆でお祭り騒ぎ」

エリカ「森焼けてるのになんでキャンプファイアー気分」

小梅「皆で炎に焼かれ悶え苦しむ逸見さんのロールプレイをして遊ぶの」

エリカ「キャンプファイアーの方がマシなの出してきやがったわね……」

小梅「最後だし、思い思いの焼死を演出し、最期を彩る盛大な花火にしなくちゃ」

エリカ「狂気」


エリカ「……」

エリカ(ほんと、冷静になればなるほどどうかしてるノリね)

エリカ(黒森峰のお硬いイメージとも離れているし)

エリカ「……」

エリカ(でも……)

エリカ(不思議だし腹立たしいけど、慣れてきちゃった自分もいる……)

エリカ(……案外……変わるものね……)

エリカ「……」

エリカ(あの子は、大洗にいって、驚くほど上手くいった……)

エリカ(最初は渋々駆り出されてたみたいだけど、最終的にはとんでもなく馴染んでいたし、大洗が居場所になってた……)

エリカ(きっと……)

エリカ(このまま廃校になったとしても、あの子なら大丈夫)

エリカ(入れ替わった時に見た表情は、もう諦めて受け入れていたように見えるし)

エリカ(あの子の愛したクマのぬいぐるみみたいに、きっと今回も、しれっと立ち直るわよ……)







 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 
 


エリカ「ん……」

エリカ「この景色……この感覚……」

ツチヤ「今日は頼んだぞー」 カチャカチャ

エリカ「やっぱり戦車……」

エリカ「んあっ、ば、どこ触って……!」

エリカ「あひいっ!」

エリカ(こンのアホボケカスぅ……!)

エリカ(整備ならもっと違うタイミングあるでしょーが!)

エリカ(なんでこんな朝方にやってンのよ……!)

エリカ「……って……」

エリカ「今日は頼んだって……試合でもするつもりかしら」

エリカ「まあ最近聖グロとやって、知波単のポンコツどもに足引っ張られて無様晒したっていうし、やっててもおかしくはないわね……」

エリカ「っていうか、私たちに負ける前に聖グロなんかに負けるんじゃないわよっ……んあっ、そこはダメだってっ……!」


エリカ「あー……朝からとんでもない目にあったわ……」

エリカ「……それにしても、気合の入った整備だったわね……」

エリカ「廃校になるけど、最後の思い出に目一杯みたいなやつかしら」

エリカ「……ってわりには広いわね……」

エリカ「っていうか、戦車道連盟でちらほら見かける顔ぶれが……」

エリカ「うわっ、っていうかあの観覧席にいるの、もしかして……!?」

エリカ「いやでもそんな……」

エリカ「一応、サンダースの連中の話じゃあ、戦車はなくしたことにして隠したってことだったわよね……」

エリカ「いくら練習試合でも、こんな大掛かりにやったら問題になるんじゃあ……」

エリカ「……」

エリカ「!?」

エリカ「相手……もしかして最近話題の大学選抜!?」

エリカ「ちょ、何なのよ、この試合は……」

蝶野「整列!」

みほ「……」 ゴクリ

優花里「西住殿……」

みほ「……いってきます」

エリカ「あの表情……ただの練習試合のソレじゃない、わよね……」 ゴクリ


沙織「うう……大丈夫かな、みぽりん……」

麻子「……なるようにしかならんだろう」

沙織「そうだけどさあ」

華「私たちに出来ることと言えば、少しでもみほさんの負担を軽減してさしあげることだけです」

エリカ「何やらいつになく真面目なのが怖いわね……」

沙織「そうだよね……」

沙織「みぽりんのことだもん、今だってどうしようか考えて悩んで苦しんですはずだもんね」

沙織「少しでも私達が負担を減らしてあげなくちゃ!」

優花里「そうですよ!」

優花里「そりゃあ、確かに8対30の殲滅戦なんて無謀極まりないですけど……」

優花里「でも、西住殿なら――」

優花里「いえ、我々なら、きっと何とか出来ます!」

エリカ「い、今しれっと無謀と阿呆を両方極めたみたいなこと言わなかった???」


華「そうですね。一撃一撃集中して、少しでも沢山減らさなくては」

沙織「こっちが一輌でも残っていればいいんだし、麻子、頑張って避けてよね!」

麻子「めんどい……」

エリカ「ほ、本気でやるつもりなわけ?」

エリカ「8対30を????」

エリカ「1輌につき4輌くらい倒さないと勝てない計算なの分かってる?????」

麻子「……が、今回ばかりはそうも言ってられないか」

優花里「そうですよ!」

優花里「ここで勝てば、廃校を撤回させられるんですよ!」

沙織「うん!」

沙織「皆で大洗に戻るためにも、絶対勝たなくちゃ!」

エリカ「はあ!?」


エリカ「何? つまりこいつら……廃校を賭けて試合するわけ!?」

エリカ「社会人チームにも勝ったとかで、今一番ホットな大学選抜チームと!?」

エリカ「それも8対30の殲滅戦を!?」

エリカ「ばっっっっっっっっかじゃないの!?!?!」

エリカ「……」

エリカ「いや……」

エリカ「でも、その条件を取り付けるのも苦労した、ってところかしら……」

エリカ「堂々と黒森峰全体では手助けできなくても、戦車道連盟の“後ろ”にいる一個人としてなら別だし……」

エリカ「多分、持ってるカードを全部切って、この状況……」

エリカ「……」

エリカ「普通なら逃げてるし、無謀の極みで逃げ出したっていいくらいなのに……」

エリカ「アンタは震えながらも……それでも諦めず、整列するのね…・・」

もうこんな時間なので投下を終了します

たまには早い時間に投下を始めます


エリカ「……逃げない、か」

エリカ「黒森峰からは、逃げ出したのにね」

エリカ「……」

エリカ(……分かってる)

エリカ(そうさせたのは、私だ)

エリカ(そして――今回逃げ出さなかったのは、どれだけキツくても守りたいと思わせる存在があったから……)

優花里「とにかく、まずは有利な位置を陣取ることです!」

沙織「確かに、黒森峰との試合でも、地形を活かしたり色々やったもんね!」

麻子「……どこへだろうと行ってやる」

沙織「頼りにしてるよー、麻子」

華「私も、どこでだろうと絶対に命中させてみせます」

沙織「ち、近い近い!」

優花里「頑張りましょうね、みなさん!!」

エリカ(私は、あんこうチームにはなれなかった――)

エリカ(それだけのことよ……)

エリカ(そんなことは、分かっている。何度でも思い知ってる)

エリカ(なのに――)

エリカ(変ね……この胸の疼きだけは、いつまで経っても慣れそうにないわ……)


エリカ「……」

エリカ「しっかしまあ……」

エリカ「島田流も大人げないわね……」

エリカ「たかが8輌相手にこのオールスターとは」

エリカ「……あの子の常識にとらわれない発想」

エリカ「それが本家忍者戦法の虎の尾でも踏んだのかしら」

キュラキュラキュラキュラキュラ

エリカ「……っと、ついたわね」

エリカ「久々だと、やっぱり変な感じね、自分の意識とは別に体を動かされるって……」

エリカ「まあ、さんざん変な所いじられた影響か、体はすっごく軽いけども」

エリカ「……」

エリカ「あの車輌の砲撃お尻に食らって、私明日から生きて行けンのかしら……」 ゾゾゾ

エリカ「ま、まあ、今そんなことを考えても仕方ないわよね」

エリカ「来ちゃったモンはしょうがないわ」

エリカ「折角だから、特等席でしっかり観戦させてもらうわよ」

エリカ「……島田流の戦いと、大洗の戦いを」

エリカ(……今の私じゃあ、隊長にとっての“あんこうチーム”にすらなれていない……)

エリカ(ムカつくけど、アンタらの戦いを見て、参考に出来る所はさせてもらうわ……!)


エリカ「……とは言ったものの……」

エリカ「高所を取って有利を得る、なんていう極々普通の戦法ねえ……」

エリカ「ポルシェティーガーを引っ張り上げる奇策も相手にはバレてそうだけど、特に茶々入れもなし、と」

エリカ「……」

エリカ「何でもかんでも奇策ってわけじゃないのは、強みなのかもしれないわね……」

エリカ「腐ってもあの黒森峰に1年居て、西住流を長年仕込まれてたわけじゃない、か」

エリカ「……」

エリカ(何か奇策を仕掛けるとしたら、完全に包囲された後で、ってところかしら)

エリカ(でも相手も、何をしてくるか分からない島田流……)

エリカ「どうするつもりかしら……」

ツチヤ「よーしよしよし、いい子だー」

ホシノ「今の内にしっかり整備し直さないと」

エリカ「あの無能戦車はあの程度の高所でまーた煙を吐いてるし……」

エリカ「ノンキに表出て整備までしてるし、ホントなんでこんな連中に負けたのかしら……」

エリカ「……ん?」

エリカ「何かしら、あれ……」

エリカ「流れ星……?」


油断していたわけじゃない。

だが――皆、眼下の敵しか見ていなかった。

最初に気付いたのは、傍観者に過ぎないが故に、あれこれ見合わせていた私。

それから少し遅れて、上半身を出したあの子。

私の叫びは届かない。

誰にも聞こえない。

あの子の声も、間に合わない。

流れ星は真っ直ぐにこちらに向かい、そして――

 





絶望と爆炎を乗せて、203高知へと着弾した。






 


一体どこで間違えたのか。

一体何が悪かったのか。

一言で言えれば、何か一つに押し付けられたら、きっともっと楽なのだろう。

今まで使用が禁止されていたものを、ロクに練習もせず軽率に持ち出したことも悪かった。

今まで使われなかったのも納得な高すぎる威力もいけなかった。

一応危険性は認識し、発射前にこちらの様子を双眼鏡ででも見て、それから着弾点を決めたのだろう。

それでも発射から着弾までラグはあるだろうし、双眼鏡で見ている人間と発射した人間もしくはその護衛が別人なら、更にラグは大きくなる。

それも、きっとこの悲劇の一因だ。

だが、まあ――一番の原因は、自動車部の連中の存在だろう。

試合中、高所を陣取った状況で、突然車外に出て整備を始める。

まともに動く戦車を使っている大学選抜チームには、出てこない発想だ。

移動中何か起こって足を止めたわけでもないのに、整備が必要となり外に出て来るなど、想定していなかったのだろう。

だから、工具を取ろうとしていてか、キューポラから身を乗り出してなかったポルシェティーガーが狙われたといったところか。

他にもM3など顔を出してない戦車はあったが、真っ先に潰すならポルシェティーガーあたりだろう。

まあ、だから、一言で言うと、不運が重なりすぎた。

そんな簡単な言葉で片付けられないけど。

いや、そもそも、言葉なんて何も出なくて、ただ叫び声を上げるしかできなかったのだけど。

とにかく、私の目の前で――



ポルシェティーガーに跨った自動車部の連中が、爆炎に巻かれ、何か言葉を発することもなく肉塊へと成り果てた。


麻子「っ!」

麻子「よせソド子!!!」

最早誰だか分からない、炎に巻かれた人間の悲鳴で我に返った。

きっと他の連中もそうだろう。

不幸にも、大洗の連中は、人が良すぎた。

区別のつかないおかっぱの奴らが戦車を飛び出し、炎に巻かれた人間を救おうとする。

他にも何人か、反射的に飛び出したヤツがいたようだった。

みほ「ダメ……」

みほ「戦車から出たら――――」

声は届かない。

空から降ってきた流れ星は、あまりにも威力が高すぎた。

爆発による土煙は、肝心要の爆心地を覆い隠す。

恐らく想定していなかったであろう地獄が展開されていることも。

あの爆発を見てなお戦車を飛び出す阿呆がいるということも。

全て全て、覆い隠してしまう。

そして――二発目。


悲鳴。絶叫。また悲鳴。流星。悲鳴。爆音。悲鳴。

みほ「あ、ああ……」

助けようとする者。逃げようとする者。動けない者。

様々だった。そして、例外なく、地獄であった。

優花里「に、西住殿!」

沙織「ど、どど、どうしたら……」

血と、死と、絶望の臭い。

戦車道では無縁のはずだった、肉が焼けるような臭い。

もう、どうしようもない有様になってしまっていた。

それでも。

エリカ「――――――っ!」

エリカ「また次が来るッ……!」

エリカ「次はこっちよ、早く中に入――――」

せめてあの子には。

自分に乗っている連中くらいは、生かしてやりたかった。

それでも。

優花里「西住殿――?」

みほ「……ごめんね……」

最後に見たあの子の顔は、黒森峰から消える日の前日と同じ、諦めと絶望に満ち溢れていた。


何を言えばいいのか分からなかった。

どうすればこの絶望から一時でも立ち直らせてあげられるのか分からなかった。

何かを言った所で、あの子の耳には届かなかったのだろうけど。

エリカ「――――――――」

轟音と共に、全身が引き千切れたかのような痛みに襲われる。

きっとこれが人間の身体なら、痛みだけで泡を吹きのたうち回っていただろう。

カーボン加工されていても、痛いものは痛いのだ。

エリカ「…………!」

でも――カーボン越しの爆破なんかよりもずっと。

胸の辺りで引き千切れ、炎を纏ったあの子の体を見せられた時の心の方が、ずっとずっと痛かった。

みほ「…………」

炎の隙間から覗く、生気のない、絶望に満ち溢れた瞳。

それが、更なる一発による痛みで意識を失う直前に見た、最後の光景となった。







 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 


エリカ「あああああああああああああああああああああああああっ!!!」 ガバッ

小梅「うわあっ!」 ビクッ

エリカ「……はあ……はあ……」

小梅「……大丈夫?」

小梅「うなされてたけど……」

飛び起きると、見慣れた自分の部屋だった。

……特殊カーボンに守られ、いつものように、私一人だけ生還したのだ。

Ⅳ号戦車が守ってほしかったであろう大洗女子学園どころか、あの子達の誰ひとりとして守れずに、一人だけ。

エリカ「……っ!」

最後の光景がフラッシュバックする。

せり上がってくる胃液に絶えられず、弾かれたようにベッドを飛び出した。

足に力が入らずに、ガクリとその場に崩れ落ちる。

激痛の記憶がまだ残っている。

体にはダメージがないはずなのに、意識としてダメージを認識してしまっているため、肉体的にもダメージが現れてきたということか。

エリカ「うっ……うぇぇぇ……」

せり上がってきたものを、堪えきれずカーペットへと撒き散らした。

入れ替わり中に散々吐いていたのか、出てきたのは透明な液体が少々だけだった。


小梅「だ、大丈夫……?」

大丈夫なはずがない。

それは赤星にも分かっているのだろう。

普段ならあんな花京院みたいな飛び起き方をしてたら小ボケでも挟んでくるところだ。

それをしないということは、それ相応に大丈夫そうじゃない顔をしているのだろう。

エリカ「……」

全身が痛い。

記憶も鮮明。

胃袋の中身も恐らく空っぽ。

激痛のあまり緩んだのか、恐怖のせいか、パジャマとぱんつもぐっしょりだ。

何もないのに、そこまでの醜態を晒すはずがない。

エリカ「……テレビ……」

――間違いなく、あの惨撃は夢じゃない。夢じゃないのだ。

エリカ「テレビを……つけて……」

ならば――確認しなくては。

あの子は死んでしまった。

それでも、Ⅳ号の中には、まだ四人もいたはずだ。

私は――Ⅳ号は、せめてその四人だけでも守れたのだろうか。

確認しなくては。逃げずに、確認、しなくては。


テレビ『パワフルニュースの時間です』 ティロリーン

テレビ『本日の試合は10対1で横浜ベイスターズが33-4へと一歩近づく結果となりました』

テレビ『注目選手となっていたパワプロ選手は5打数4安打2HRと絶好調も、打率を下げています』

エリカ「ちゃ、チャンネル……」 ピッ

テレビ『今日のわんこ♪』

テレビ『今日のわんこは、秋田県の銀ちゃん』

テレビ『凶暴な人食い熊・赤カブトに立ち向かうほど、とってもわんぱく』

エリカ「……」 ピッ

テレビ『次のニュースです』

テレビ『不動高校で起きた殺人事件に関して、校長は』

エリカ「……」 ピッ

テレビ『本日の天気予報です』

テレビ『福岡県は晴れ、佐賀県と長崎県では曇り、熊本県は曇りのち雨、思い出はいつの日も雨となることでしょう』

エリカ「……」 ピッ

小梅「……」 オロオロ

エリカ(……テレビではやってない……) 

エリカ(ネットニュースなら……) スッスッ

エリカ「……」

エリカ「……」

小梅「あ、あの……」

エリカ「……どういうことなの……」

小梅「……え?」

エリカ(あの事件が……記事になってない……?)


エリカ(もみ消し……?)

エリカ(いや、それが可能な規模なんかじゃない)

エリカ(少なくとも、試合を観戦していて、戦車道のお偉方とも密接な関係にあり、被害者の保護者である家元には伝わっているはず……)

エリカ(家元正式襲名前から影響力を持っていたのに、今では名実ともに西住流の家元よ……)

エリカ(もみ消すとしても、家元には絶対に伝わる……)

ガチャッ

小梅「あ、た、隊長!」

まほ「……ん。なんだ、起きたのか、エリカ」

エリカ「隊、長……」

エリカ(家元に伝わった以上、隊長にも何らかの形でアクションは絶対にあったはず……)

エリカ(そして、隊長は、そんな大事なことを、一人隠し通す人間じゃあない……)

エリカ(隠した方がいい、と判断するには、規模が大きすぎるもの……)

エリカ(絶対に……切り出してくるはず……)

まほ「……ひとまず、着替えるか?」

まほ「腹も減っただろう、朝食を持ってきた」

まほ「……相当うなされていたらしいからな、心配したんだぞ」

エリカ「……っ」

エリカ(この反応……)

エリカ(まるで、あの惨撃を知らないかのような……)


エリカ「……」

エリカ(あれは、夢……?)

エリカ(いや、そんなわけがない……)

エリカ(痛みはしっかり刻まれてる……)

エリカ(それに、入れ替わりの時特有の状態だったのも間違いなさそう……)

エリカ(じゃあ、これは一体……)

エリカ(まず食事をさせて落ち着かせたら話を切り出すつもりかしら……)

エリカ(さすがに、秘密にされることは、ないと思う……)

エリカ(今はきっと嫌われてるし、こちらだって敵対しちゃっているけど……)

エリカ(それでも、去年は同じ釜の飯を食った、同じ副隊長なのだもの……)

エリカ(通夜は無理でも、葬式に顔を出させてくれるくらいは……)

エリカ「……」

エリカ「……」

エリカ「葬、式……?」 ハッ


そこに思考が至ったのは、全くの偶然だった。

ひょっとすると、Ⅳ号戦車に宿る魂のようなものが、そこに導いたのかもしれない。

エリカ「……隊長」

エリカ「ひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか……」

まほ「?」

まほ「なんだ?」

エリカ「……以前、私が長期的にこの病気で倒れた際……」

エリカ「お葬式をする所にまで、発展してしまってましたよね……」

まほ「あ、ああ……」

まほ「……お、怒ってるのか?」

エリカ「いえ……」

エリカ「ただ……」

エリカ「死んだと思った人間が生きていたので葬式中止、なんてことしたら、大事になったんじゃないかと思いまして……」

まほ「……まあ、そうだな……」

まほ「死因が死因だから黒森峰の関係者しか呼んでなかったから、外には漏れていないが……」

まほ「それでも各方面に訂正の連絡を入れたりで、しばらく大変だったらしい」

エリカ「……そうですよね」

エリカ「しかも学内で死んだと思われてたわけですし、家元としては、黒森峰のメンツに関わる問題なのもあって、色々大変だったと思うんですよね……」

エリカ「……」

エリカ「家元って……」

エリカ「その騒動があったのに、翌日お家に帰れたのでしょうか?」

エリカ「死亡届の撤回やらもあったでしょうし、私の親にも多分改めて事情説明なんかに行ったと思うんですけど……」

まほ「……そうだな」

まほ「まず各方面に頭を下げて、エリカのご実家にも頭を下げに行って――」

エリカ「……」

エリカ「かなりバタついてたみたいですけど……」

エリカ「その状況で、その――」

エリカ「廃校で転校手続きをしなくちゃいけなくなったあの子が帰省した時、ちゃんと書類にサインできたんでしょうか……?」


まほ「…・…?」

まほ「何を言っているんだ?」

まほ「……まあ、たしかに、色々とあって二人は顔を合わせてはいないが……」



まほ「みほが帰ってきたのは、 あ の 葬 式 の 翌 日 じ ゃ な い ぞ ? 」



エリカ「――――――――!!」


一度至れば、後はすぐだった。

それまで何となくの引っ掛かりにすぎなかったものが、次々と繋がっていく。

一つ一つが、やたら鮮明にフラッシュバックする。

エリカ「……隊長」

エリカ「以前、大会の反対のブロックの視察、みたいなことを言って私と飛行船に乗ったことがありましたよね……」

エリカ「あの後入院したりでバタついて……結局聞き損ねましたけど……」

エリカ「あれって、反対のブロックの、どこの偵察に行っていたんですか……?」

まほ「……ああ、言っていなかったか?」

まほ「大洗と、サンダースの試合だ」

まほ「みほがどんな戦いをするのか見ておきたかったし、決勝まで来る本命であるサンダースのことも調べられる試合だったからな」

エリカ「……」

エリカ(くそっ、もっと早く聞いていれば、もっと早くに気付けたのに……!)

エリカ(継続との二回戦の時に、大洗のプラウダ戦と入れ替わったときも、おかしいとは思っていたのに……!)

エリカ(二回戦と二回戦ならともかく、二回戦と準決勝が同じ日にあるってスケジュールはさすがにガバガバすぎると思ったのよ!)

エリカ(今思えば、私の視点じゃとっくに決勝は大洗って決まってたのに、赤星あたりがそれを知らないかのような口ぶりのことがあったり……)

エリカ(細かな部分がおかしかった……)

エリカ(やっぱりアレは夢じゃない……)

エリカ(入れ替わって、実際に起きていたこと……)

エリカ(でもそれは、今日起こっていることじゃあないッ!)







エリカ(私は、“未来の時間のⅣ号戦車”と入れ替わっていたんだッ……!)






 

ようやく君の名は。要素が始まったので、きりもいいので寝ます
君の名は。ネタバレ回避で人が死ぬシーンがあることを伏せてたけど、描写を削りに削ってマイルドにしたから勘弁してください

すみません生きてます
劇場版のテレビ放送の合間にでもちょっとだけ進めます(概ねCMでしか目を切れない名作なので投下ペースはお察しでお願いします)


エリカ「……」

エリカ(未来の自分と入れ替わっていたとして……)

エリカ(猶予は一体何日ある!?)

エリカ(というか、私に何が出来る……?)

エリカ(Ⅳ号戦車が私にコレをなんとかさせようとしたのだとして……)

エリカ(私に何が……)

エリカ「……」

エリカ(試合開始前に廃校を決定させる?)

エリカ(いや無理だ)

エリカ(あの子は諦めつつあったけど、あのクソむかつく会長がおそらく諦めるわけない)

エリカ(じゃあ、どうすれば……)


まほ「……エリカ?」

エリカ「あ、ええ、と……」

小梅「……」

小梅「逸見さん、お疲れでしょうし、隊長はお部屋にでも戻っていてください」

まほ「む、そうか?」

小梅「逸見さん、隊長が居たら見栄張って気も張るでしょうから……」

まほ「……そうだな」

まほ「確かに、同輩しかいない環境の方が落ち着くということもあるかもしれないな」

エリカ「え、あ、いや、その……」

まほ「何かあったら連絡をしてくれたら駆けつけるからな」

エリカ「……ありがとうございます」

まほ「それじゃあな」 ガチャ

バタン

エリカ「……」

エリカ(いくら隊長といえど……この状況をどうにかできるはずがない……)

エリカ(そもそも大洗廃校となっても動かずに見守ってる隊長を動かせるはずが……)

小梅「……」


小梅「……何か手伝おうか?」

エリカ「え?」

小梅「またいつもの顰めっ面してる」

エリカ「……それは……」

小梅「何でも自分で解決しようとするのはすごいことだけどさ」

小梅「たまにはチームメイトを頼るのも大事だよ?」

小梅「……隊長だって、チームメイトをちゃんと頼ってる」

小梅「仲間に仕事を任せ、きちんとこなすと信じたうえで、隊長は自分にしか出来ないことをやってるんだなーって、最近思うんだ」

小梅「……私には、隊長みたいに、他の人には出来ないことをする能力なんてないけど」

小梅「頼りにされた分に応えるくらいは、するつもりだよ」

エリカ「……」

予想外に劇場版がノーカットで全然透過できてないんですが、ちょっと用事があるので一旦投下を終了します申し訳ない
今月はばたついてるので、次に投下できても日曜日かな、と思います

最終章めちゃ面白かったので、今めちゃ多忙ですが気合で進めます


エリカ「……」

エリカ(わかってる……)

エリカ(赤星の気持ちは有難いけど、でも、受けるわけにはいかない……)

エリカ(こんなこと、言っても分かってもらえるわけがないし……)

エリカ(黒森峰の影響の大きさを考えると、軽率な行動を取るわけには……)

小梅「……」

小梅「黒森峰の看板とか、そういうこと、気にしてる?」

エリカ「……」

エリカ「そりゃあ……そうよ」

エリカ「私達はあの黒森峰の一員なのよ」

エリカ「その名前に泥を塗るような行動を、軽率に取るわけには……」

エリカ(そう……泥を塗ると、私だけでなく、隊長を始めかなりの人に迷惑をかけちゃう……)

エリカ(だから……だから……)

小梅「……」


小梅「私はとっくに泥を塗りたくっちゃったよ」

エリカ「うっ」

小梅「……私だって、みほさんみたいに転校したかった時期がある」

小梅「今では直下さんとかと普通にお喋り出来るようにはなったけど、それでも当時はとてもつらかったよ」

エリカ「……」

小梅「……今だって、やっぱりどこか居心地が悪いときもある」

小梅「どうしても、泥を塗ったって事実は消えないし」

小梅「やっぱりまだ恨みの目線や蔑みの視線を感じる日もある」

小梅「……他の皆や逸見さんも、後援会の人やファン、OGやその他の人からそういう視線を感じてたのかもね」

小梅「私は、学園艦の中ですら視線に晒されて、外になんて出られなかったからよくわからないけど」

エリカ「……」

小梅「そういうのがあるし、もう黒森峰の看板に傷をつけられないっていうなら、気持ちは分かるし無理強いはしないよ」

小梅「でも――」

小梅「黒森峰とは無関係で、私個人として、相談に乗ることは出来る」

小梅「……一度は逃げ出そうとしてたし、みほさん見てると、新しい地でやり直すのもありかなあ、なんて思うし」

小梅「だから、最悪黒森峰の看板を外して何か助けてほしいなら、言ってくれたら、私はいつでも力を貸せるよ」

小梅「……逸見さんは嫌味だし、みほさんみたいに優しくないし、怖いし、気難しいし……」

エリカ「……うっさいわね」

小梅「隊長に媚びてる感じがあるし、意識高すぎて面倒臭いし、他罰的だし、見下してくるし、気分がすぐ顔に出るし」

エリカ「待って長くない?」

小梅「上から目線の指示が多いし、そのくせ1を聞いて10を知るよう求めてきて10を教えず1しか指示を飛ばさないし、生理のとき超不機嫌そうだし」

エリカ「何かの前フリにしても長すぎない? ねえ?」

小梅「ハンバーグ吐くし、アンモニア臭いし、役立たずと罵られて最低と人に言われて要領良く演技できず愛想笑いも作れないし」

エリカ「赤星!!!!!!!!!!!」


小梅「……それでも、誰より真面目なのを知ってるよ」

小梅「黒森峰と西住流と、隊長のことが大好きなことも」

小梅「……その“大好き”のためだったら、どんな努力も出来ちゃうことも」

小梅「周りを小馬鹿に出来るくらいの努力を重ねてきたことも」

小梅「だから、逸見さんが本当に困ってたら、力になりたいなって、思うんだ」

エリカ「赤星……」

エリカ(私だって……知ってるわよ)

エリカ(逃げ出したくなるであろう環境でも、アンタはあの子と違って逃げ出さなかったことを)

エリカ(おどおど辛そうにしながらも逃げず、今までしがみつき、レギュラーに返り咲いたことを)

エリカ(……アンタのそういうところは、評価してンのよ……)

エリカ(……)

エリカ(とっくに看板に泥を塗った自分だったら大丈夫? 最悪転校すればいい?)

エリカ(そんなわけないじゃない……)

エリカ(そんな気持ちの人間が、ここに戻ってこれるほど、黒森峰は甘くないわよ……)

エリカ(あんたにだって、迷惑なんか……)


小梅「……それにさ」

小梅「私は、逸見さんの友達だから」

小梅「……逸見さんは、どう思ってくれてるのかわからないけどさ」

小梅「少なくとも私は友達だと思ってるし、だからこそ、困ってるなら言ってほしいんだよ」

小梅「副隊長から平隊員への命令とかじゃなくて、友達として言ってほしいの」

小梅「……無理だと思ったり迷惑だと思ったら、友達としてはっきり言えるし」

エリカ「……」

エリカ(馬鹿ね……)

エリカ(どうせ……そんなこと言っても、断ったりしないんでしょ……)

エリカ(ほんと、馬鹿だわ……あの子に当てられて……お人好しになりすぎなのよ……)

エリカ「……」

エリカ「……」 ギュウッ

エリカ「……赤星……」

小梅「……うん」

エリカ「……」

エリカ「……ごめん」

小梅「……」

エリカ「……」

エリカ「…………助けて……」

小梅「……うん」

気付けばこんな時間ですし、一旦中断で
また夜にでもやります

有難いことです。投下します。


小梅「……それで、一体どうしたの?」

小梅「って聞いてペラペラ喋れるなら苦労してないか」

エリカ「……そうね」

小梅「じゃあ、どうしたらいい?」

小梅「何をしてほしいの?」

エリカ「……」

エリカ(未来のⅣ号と入れ替わってるなんて話をしても、ぽかんとされるだけよね……)

エリカ(……)

エリカ「……大洗を、救いたい」

小梅「ふえ?」

エリカ「あ、いや、その……」

エリカ(くっ、思わず頭に浮かんだ言葉をそのままっ……!)

小梅「……そっか、うん、そうだよね」

小梅「私も何とかしてあげたいなって思ってたし」

小梅「救おうよ、大洗」

小梅「廃校の危機から、私達で!」


エリカ「……でも具体的にどうすればいいのかさっぱりで……」

小梅「あー……」

小梅「逸見さん、盤外戦術苦手だもんねえ……」

エリカ「……西住流にそんな邪道必要ないし……」

小梅(皮肉とか威圧って点は得意っぽいのになあ……)

小梅「……よし、ここは私に任せて」 スチャッ

エリカ「スマホ……?」

小梅「私達じゃどうにもできそうにないから助けを求めようかなって」

エリカ「待て待て待て待て待て」


エリカ「え、あんな大口叩いてもう外部に助け求めるの?」

小梅「みほさんの件なら、時間も限られてるし……」

エリカ「そ、そりゃあ、そうだけど……」

小梅「それに、みほさんを助けたいって気持ちは他の人も同じだろうし」

エリカ「でも黒森峰の看板に――」

小梅「傷をつけたくないんでしょ?」

小梅「だから、黒森峰以外の人に助けを求めるんだよ」 スッ

エリカ「この紅茶のアイコン……」

小梅「そう、ダージリンさん達にね!」


エリカ「…………」

小梅「あれ?! なんか微妙な顔、っていうかむしろ嫌そう!?」

エリカ「アンタ私がその連中見て『おお!』なんて言うと思ったわけ?」

小梅「いやあ……思わないけどさ……」

エリカ「大体、あのいけ好かない連中は、私達のことを下品で野蛮だの散々のたまってるじゃない」

エリカ「手なんて貸してくれるわけ?」

エリカ「そんな善人にはとても見えないわよあの女は」

小梅「そんなことないよ」

小梅「絶対力になってくれるって」

小梅「精々頼った逸見さんに皮肉めいたジョークを言いつつ含み笑いをしたり言葉の端々で小馬鹿にするかも、くらいだよ!」

エリカ「それが嫌なのよ」


小梅「まあ、それなら、ほら、逸見さんの話は出さないでおくしさ」

小梅「ダージリンさん、みほさんのこと気に入ってるみたいだから、みほさんを助けたいって言うだけで手伝ってくれるだろうし」

小梅「逸見さんの名前は伏せてても問題ないんじゃないかな」

エリカ「……そこも気に入らないのよね」

エリカ「黒森峰に居た時は評価してなかったくせに大洗に移籍した途端べた褒めって何よソレ」 ブツブツ

エリカ「そのくせ理解者ヅラってのが納得いかないわ……」 ブツブツ

エリカ「大体やたらと黒森峰に突っかかってくるのはなんなのよほんと」 ブツブツ

エリカ「うちには連戦連敗のくせに、大洗に負けなしだからって自慢げなのもムカつくわ」 ブツブツ

エリカ「エキシビションごときで勝利したからってドヤりにわざわざやってくるし、ほんっと聖グロの連中は……」 ブツブツ

エリカ「Ⅳ号時代に散々痛い目にあわされたし……」 ブツブツ

小梅(よく聞こえないし聞こえる部分もよく分からないけど、私怨すごいなあ……)


エリカ「大体、あいつら役に立つとは思えないのよね」

エリカ「そりゃ多少は諜報活動に力を入れてるかもしれないけど……」

エリカ「例えば影響力ならウチが頭抜けてるじゃない」

エリカ「太いパイプも持ってるし、OGからいろんな情報が貰える」

エリカ「それに、本気を出せば色んな所に融通をきかせられるくらいの力を持ってるわ」

エリカ「……でも聖グロはそうじゃない」

エリカ「OGはそりゃ多少顔がきくかもしれないけど、あそこはOGが強すぎる」

エリカ「派閥争いでまともに戦車の運用が難しかったり、現役生がOGに屈してるようなとこよ」

エリカ「OGに屈した連中に、OGの持つパイプを利用できるようには思えないんだけど」

小梅「うーん、そうかもしれないけど、でもやっぱり盤外戦術だとかなり頼りになると思うんだけどなあ」

エリカ「はあ?」

小梅「例えばこの状況で誰かに助けを求めるとして――」

小梅「人格には問題なくてたくさん貸しもあるし二つ返事で来てくれそうなアンツィオに、真っ先に相談できる?」

エリカ「ぐっ……それはずるいでしょアンツィオと比べたらどこだって、そりゃ……」


エリカ「……っていうか、アンタいつあの女と繋がったのよ」

エリカ「やけに肩持つし、連絡先知ってるし、何かあったわけ?」

小梅「ああ、うん」

小梅「えっとね、ダージリンさんも逸見の森に」

エリカ「ああ分かったわもう言わなくていい」

小梅「そう言わないでよ」

小梅「前話した通り、逸見の森はもうなくなっちゃったんだしさ」

エリカ「ああ、本当に閉鎖したのね」

小梅「最後だから色んな人に声かけてもらって、皆で焼け落ちる逸見の森から逃げ惑う逸見さんごっこをして遊んでたんだけど」

エリカ「私のメンタルが弱かったらイジメ問題になってるようなことを平然と言ってくるわね」

小梅「指折りでノリノリな悲鳴をあげて書き込んでたのがダージリンさんだったんだ」

エリカ「あのアマ」


小梅「そんなわけでダージリンさんの連絡先も分かるし……」

エリカ「余計なこと聞いて更に好感度下がったから頼みたかないけど……」

エリカ「でも背に腹は代えられないか……」

小梅「うわぁ心底嫌そう」

小梅「でも逸見の森って結構貢献してくれたんだよ、交流に」

小梅「これまで各校の横の繋がりあんまりなかったけど、他校の人の連絡先手に入れたり出来たし……」

エリカ「もっとまともな形で交流しなさいよ……」

小梅「逸見さんだってまともな形で他校と交流してないような」

エリカ「……アンタほんと言うようになったわね……」


小梅「……さて、これでよしっと」

エリカ「……本当にあの格言女に任せて大丈夫なの?」

小梅「大丈夫だよ」

小梅「逸見さんが思ってるより、ずっと有能なんだよ、ダージリンさん」

小梅「それに、言ったでしょ。誰かを信じて頼るのも、必要なことだよ」

エリカ「……そうだけど……」

小梅「どうなるかわからないけど、でも」

小梅「今は私達に出来ることをするしかないと思うから」

小梅「何を言われても大丈夫なように、病み上がりの逸見さんを本調子に戻さないとね!」

小梅「自習って言って、戦車動かす許可、取ってくるね」 パタパタパタ

エリカ「……」

エリカ「ほんっと、言うようになったし、強くなったわね……」 フフ

寝ます。試合はサクサク終わらせたいです。

メリークリスマス、少しだけやります







エリカ「あの紅茶馬鹿からはまだ連絡がないの……!?」

小梅「うーん、やっぱり早々すぐにはなんともならないのかなあ」

小梅「リハビリ急ピッチで進めてるのに」

エリカ「リハビリって言うかわけの分からない特訓みたいにしか見えなかったんだけど」

小梅「そんなことないよ」

小梅「これは万が一素手でエレファントと戦うことになってもビッグタスクにひるまないために必要な竹槍訓練で」

エリカ「挑まないわよ!!!」

小梅「え? でもなんだかんだで生身の方が戦車に乗るよりも――」

エリカ「んなわけないでしょうが!!」

エリカ「私は戦車乗りよ、戦車に乗るに決まってるでしょ!」

小梅「でもいざってときには……?」

エリカ「しないわよ!!!!!!!」


エリカ(大体それでどーにかできるなら苦労は――)

エリカ「……って、何よコレ」

小梅「水だよ」

エリカ「は?」

小梅「お水」

エリカ「それは分かるけど、バケツに水溜めて何しようっていうのよ」

小梅「10リットルあるから、飲んで」

エリカ「は??????????」

小梅「まあ、そのままでは無理だろうから……コイツを混ぜるの」 スッ

エリカ「なによそれ……」

小梅「果糖」

小梅「デンジャラスレオポンじゃないよ」

エリカ「???」


小梅「果実を精製した純粋な甘味料で、量は多いが吸収率は無類なんだよ」

エリカ「へえ……」

小梅「つまり太る」

エリカ「ねえそれ今から吸収させようとしてるのよね???」

エリカ「太るとか言いながら吸収させようとしてるわよね!?????」

小梅「約4キロある」

エリカ「まさか全部食べろなんて言わなわよね!?」

小梅「今の逸見さんはまだまだ完全じゃない……」

小梅「本来ならタンパク質やデンプンが望ましいんだけど……」

小梅「今はそうしている時間もないから」

エリカ「確かに時間はないけれど……」

小梅「これをバケツの水に混ぜる」

エリカ「飲まないわよ」

小梅「さ、おあがりよ」

エリカ「飲まないっつってんでしょ!!!!」

小梅「なんで?」

エリカ「むしろなんで飲むと思ったの」


小梅「あっ、連絡来た!」

エリカ「うえっぷ……胸焼けで吐きそう……」

小梅「はいもしもし」

小梅「……はい。はい」

小梅「……なるほど……」

小梅「いえ、しましまみたいなあざといやつでなくスポーティーなやつの白色ですね」

小梅「……はい」

小梅「わかりました」

小梅「逸見さん、電話変わってってさ。はい受話器」

エリカ「アンタ今途中で全然関係ない話してなかった?」

小梅「そんなことないよ」

エリカ「気のせいじゃなきゃあの紅茶馬鹿と私の下着の話してなかった?」

小梅「そんなことより早く出てあげてよ」

エリカ「あんた本当に覚えておきなさいよ」


エリカ「……もしもし」

ダージリン『思ったより元気そうね』

エリカ「おかげさまで」 ハン

ダージリン『寝たきりになって、帰ってこないんじゃないかと思っていたのよ』

ダージリン『何にせよ、戻ってきたのはいいことだわ』

エリカ「そりゃどうも」

ダージリン『本当によく戻ったわね……ンフッ……おかエリカ』

エリカ「…………あ?」

ダージリン『プフーーーーーッ』

ダージリン『そこは「ただいまほ」と返すのが、ンフッ……い、逸見の森の礼儀作法なのではなくて?』 ククク

エリカ「…………ッ!」

小梅「わーーーーっ、逸見さん待って!! 何言われたのか知らないけど待って!! そのスマホ買ったばっかりだから! お願い振りかぶらないで!!」


エリカ「クソみたいな問答しかしないなら切るわよ」

ダージリン『切ったら困るのは貴女の方でしょう?』

オレンジペコ『ダージリン様、さすがに少し可愛そうですよ』 ヒソ

ダージリン『……まあいいわ』

ダージリン『今回は大人である私の方が折れてあげましょう』

エリカ「腹心に苦言呈されたの聞こえてたわよ」

ダージリン『……とにかく、アッサム達に調査させて、いくつかの知られざる事実が分かったわ』

エリカ「!!」

ダージリン『大洗が廃校の危機にあることは知っているわよね?』

エリカ「勿論よ、知ってるわ」

ダージリン『……その大洗なのだけど……』

エリカ「……」 ゴクリ

ダージリン『廃校を賭けて、なんとあの大学選抜チームと試合をするらしいのよ』

エリカ(あ、知ってるやつだ……)

ダージリン『それもなんと、殲滅戦でやるらしいわ』

エリカ(それも知ってる……)


エリカ「その、言い難いんだけど、他にもっとないかしら」

ダージリン『……あら、この程度なら貴女達でも調べられたかしら』

ダージリン『ではこんな情報はどう?』

エリカ「……」 ゴクリ

ダージリン『実はテントウムシは幼虫の時に棘が生えている』

エリカ「へぇ……」

ダージリン『また、よく見ると硬い体毛で覆われたテントウムシが居て、名を『テントウムシダマシ』と言うそうよ』

エリカ「知らなかったけど、その情報関係なくない?」

ダージリン『厳しい家庭で育ったせいで西住まほの自慰行為は特殊であり……』

ダージリン『っと、確かに脱線してしまっていたわね』

ダージリン『話を戻しましょうか』

エリカ「ちょっと待ちなさい一回頭を整理するわ」

エリカ(聞きたい~~~~言いかけたなら最後まで言いなさいよお~~~~~~!!!!!)

眠くなってきたので半端なとこですが投下を終了します

あけましておめでとうございます、今年こそ完結させないとやばいので少しだけでも投下します


エリカ「……」

エリカ(隊長は特殊な性癖……) ムラッ

小梅「逸見さん、何でズボンに手を入れようとしてるの」

エリカ「おっわっふぉあ!?」

エリカ「いかんいかん、疲弊しすぎてて頭が死んでたわ」

エリカ(そうだわ、今別に一人きりじゃないじゃない落ち着け私)

エリカ「えーっと、それで、なんだったかしら」

ダージリン『まったく何をしていたのか……まあいいわ』

ダージリン『ご存知の通り、みほさんは今危機に瀕している』

ダージリン『けれども私達には、体裁もあって手出しが出来ない』

エリカ「……そうよ」

エリカ「とうとうネットニュースにまでなってるこの大問題」

エリカ「隊長格・副隊長格が軽率に首を突っ込もうものなら、それはもう学校単位の意見として取られかねない」

ダージリン『少なくとも、ネットニュースなんかでは、黒森峰や聖グロリアーナが大洗の廃校反対を訴えたとして報道されるでしょうね』

エリカ「……私一人のわがままで、そんなことは出来ないわ」

ダージリン『そうね。ましてやみほさんはこちらに助けを求めてもいない』

エリカ「……ええ……」

ダージリン『……こんな制度を知ってる?』

エリカ「?」

ダージリン『短期転校制度』

ダージリン『交換留学のような形で、他校のことを学び取り入れるための制度よ』

ダージリン『今ではほとんど使われなくなったけどね』

エリカ「それがどうしたっていうのよ」

ダージリン『……分からない?』

ダージリン『聖グロリアーナの隊長や黒森峰の副隊長が大洗の揉め事に自ら首を突っ込むわけにはいかない』

ダージリン『けれども、大洗の生徒が自校の危機に立ち上がったという形ならば?』

エリカ「…………!!」


ダージリン『そう』

ダージリン『私達が、短期転校の手続きを取り、大洗の生徒となる』

ダージリン『それで、一応の体裁はとれるはずよ』

エリカ「……そ、そう……なのかしら」

ダージリン『少なくとも、試合に出る事はできるようになるわ』

ダージリン『大洗の生徒ならば、試合に参加出来るはずだもの』

エリカ「……でも、私達が参加できたとして、大洗には戦車が――」

ダージリン『あら、おかしなことを言うのね』

ダージリン『私は枕が変わると眠れないから、大洗に転校する際は枕を持っていこうと思うの』

エリカ「はあ?」

ダージリン『お茶っ葉も変わると落ち着かないから持っていきたいわね』

エリカ「それがなんだっていうのよ」

ダージリン『あと、ペコもお気に入りのぬいぐるみがないと安眠出来ないから、持っていくべきね』

オレンジペコ『ダージリン様!!!!!!』

ダージリン『それと、寝間着も変わると落ち着かないでしょうし、この前着ていたピンクのネグリジェを……』

オレンジペコ『~~~~~~!!』

ドッタンバッタン

エリカ「こっちはアンタらのしょうもない漫談に付き合ってる余裕はないんだけど」

アッサム『こほん。電話代わりました』

アッサム『単刀直入に言うと、こういうことです』

アッサム『枕や茶葉やぬいぐるみという私物を持って転校するように――』

アッサム『我々の戦車も、私物として持って転校すればいい、と』

エリカ「!!!!」


ダージリン『私物を持ち込んではいけない、なんてルールはない』

ダージリン『異議申し立てはしようがないのよ』

アッサム『……一応隊長が電話を奪ったので、下がらせてもらいます』

エリカ「ああ待って、回りくどくなくサクサク話を進めてお願い」

ダージリン『まるで私が回りくどいみたいな言い草だけど……まあいいわ』

ダージリン『こんな格言を知ってる?』

エリカ「それをやめろっつってんのよ」


小梅「あのー」

ダージリン『何かしら』

小梅「音声漏れてきてたんで大体聞いてたんですけど……」

小梅「短期転校の手続きって、そんなにすぐに承認されましたっけ?」

ダージリン『いいえ、相当ギリギリね』

ダージリン『今日中に書類を纏めて、それでも当日の朝イチで承認されたらいい方よ』

エリカ「はあ~~~~!?!?」

ダージリン『まあ、間に合わない可能性も高いでしょうね』

エリカ「ちょ、なによそれは!」

エリカ「期待させるようなことを言うんじゃないわよ!!」

ダージリン『そう言うと思って、予め大洗の事務局には話を通しておいたわ。99%書類は当日朝に上がって間に合うわね』

エリカ「~~~~!!」

小梅「落ち着いて逸見さんキューピー三分間クッキングみたいなものだから!!スマホ叩きつけようとしないで!!」


ダージリン『人はこうして事前に聞いた話が狂うとがっくり来るもの』

エリカ「あ?」

小梅「落ち着いて逸見さん、ガックリきてあげようよそこまでキレなくていいと思うから!」

エリカ「単純にコイツ嫌いなのよ」 チッ

ダージリン『聞こえてるわよ』

エリカ「聞こえるように言ってンのよ」

ダージリン『……とにかく、人は話が違うと怒ることもある』

ダージリン『事前に援軍に行けるなんて伝えて、やはりダメでした、なんてのは最悪』

ダージリン『それならばサプライズでいたほうがいいでしょう?』

オレンジペコ『……さすがに、大洗の事務局には一声かけてますけどね』

ダージリン『ただし、みほさん達には何も言っていないわ』

ダージリン『サプライズの方が、喜ばれるでしょう?』

アッサム『そーやってまた見えないからって心底楽しそうな意地の悪い笑みを浮かべる』

オレンジペコ『だから嫌われるんですよ』

小梅「そこはもっといじってあげてください逸見さん素直じゃないから」

エリカ「赤星」

小梅「実際サプライズしたら、みほさん泣いて喜んでくれるかもねっ」 グッ

エリカ「赤星!!」


ダージリン『ちなみに試合開始時間も聞いておいたわ』

ダージリン『なので、試合開始直前に乱入しましょう』

エリカ「はあ?」

ダージリン『こんな格言を知ってる?』

ダージリン『ヒーローは遅れてやってくる』

ダージリン『ギリギリの方が格好いいでしょう?』

エリカ「五分前行動って知ってる?」

ダージリン『勿論』

ダージリン『だから、貴女達黒森峰だけ、5分早く行っていいわよ』

エリカ「は?」

ダージリン『一番乗りで駆けつけてあげたいでしょう?』

ダージリン『他の援軍候補にはぴったりに行くように伝えておくわ』

エリカ「な、ちょ、ま」

ダージリン『どうかして?』

エリカ「別に一番乗りしたいなんてことは……」

ダージリン『あら、そんなことはないでしょう?』

ダージリン『今回誰よりみほさんを助けたいと思っているのは貴女』

ダージリン『そうでなければ、私はこうして動いていないわ』

ダージリン『私は、むしろ追い込まれたみほさんがどう動くのか見たい側の人間ですもの』 フフ

エリカ「……」

エリカ「ほんっとアンタ、性格悪いわよね」

ダージリン『貴女には言われたくないわね』 フフ


エリカ「一番乗りするのは、まあ、姉である隊長がいるのこそ自然だからいいけど……」

小梅「素直になればいいのに」

エリカ「うるさい赤星」

エリカ「兎に角、一番乗りするにしても、ギリッギリってどういうことよ」

エリカ「アホのアンツィオとかガキのプラウダとか、普通に遅れて来かねないわよ」

ダージリン『それはそうね』

オレンジペコ『否定しないんですね……』

ダージリン『でも、これには理由があるわ』

エリカ「理由?」

ダージリン『当初8輌予定だったチームが突然大増員しました、なんてことがそう簡単に通ると思う?』

エリカ「う、そりゃあ……」

ダージリン『普通に考えれば通らないわね』

ダージリン『何せ、圧倒的な戦力差のある殲滅戦を推し進めてまで大洗を廃校にしようとする存在があるんですもの』

ダージリン『事前に気取られてしまえば、その存在により私達が使う抜け道を防がれてしまう』

ダージリン『……きちんと増援を断るように、大学選抜チームの隊長に言い聞かせるかもしれないわ』

エリカ「……なるほど……」

ダージリン『直前のオーダー変更ならば、そうはならない』

ダージリン『試合開始直前ならば、異議を唱えられるのは隊長のみ』

ダージリン『大洗を廃校にしようとしている黒幕が隊長に何かを言う時間はない』

ダージリン『大洗を廃校にしようとしているのが隊長そのものでもない限り、相手の隊長はこの増援を受け入れるはずよ』

エリカ「何でアンタにそんなことが言えるのよ」

ダージリン『あら、もう少しくらいは察しが良いと思っていたけど、買いかぶりだったかしら』

エリカ(こいつホント一発殴っておきたいわね……)


ダージリン『自分の立場になれば分かるわ』

ダージリン『貴女、黒森峰の実力には誇りを持っているでしょう?』

エリカ「当たり前でしょう?」

ダージリン『例えば、相手が中学大会の優勝校だとして……』

ダージリン『どう考えても自分達贔屓のようなルールをしかれたらどう思う?』

エリカ「……ナメられてる、とは思うわね」

小梅「ちょっとつらいかも……」

エリカ「っていうか、何かの罰ゲームかって思うわね」

エリカ「負けたらネットでボロクソ叩かれるだろうし」

ダージリン『そうね』

ダージリン『勝っても当然と思われ、負けたら永遠に叩かれ続ける』

ダージリン『それどころか、勝っても叩かれるでしょうね』

ダージリン『格下相手に圧倒的有利なルールで戦うんだから』

アッサム『一応、試合は大洗の人間と関係者のみの観覧に限っているようなので、メディアには結果のみ淡々と記されるんでしょうけど』

ダージリン『いずれにせよ、相手の選手たちだって、気分がいいものではないわ』

ダージリン『だからこそ――餌を与えてあげるのよ』 フフ


ダージリン『こんな話を知っている?』

ダージリン『人は追い込まれたあとで逃げ道を与えられると、そこに安易に飛びついてしまう』

ダージリン『……この場合、追い込まれているのは大洗の面々だけじゃない』

ダージリン『オトナの都合で楽しくもないワンサイドゲームを強いられている大学選抜チームもそう』

ダージリン『そこに、対戦相手の数が揃いそれも高校オールスターという甘い逃げ道を与えてあげるとどうなると思う?』

ダージリン『必ず飛びつく。自分達の力を確信していれば、必ず』

アッサム『それに、仮に万が一を考えられる冷静な隊長であったとしても、問題はないでしょう』

オレンジペコ『どう考えても、実際に戦う面々からは不満が出ているでしょうからね』

オレンジペコ『その不満を少しでも軽減したいと思っているはずです』

アッサム『ましてや大学選抜チームの隊長は新入りにして飛び級の少女』

アッサム『コレ以上チームメイトと溝を作りたくはないはず』

アッサム『一定以上の知能があるなら、この提案を受け入れて、チームメイトの不満を解消しない手はない』

ダージリン『よって、ギリギリに現れしれっと転校手続きをした旨を伝えることこそベスト』

ダージリン『おわかりいただけたかしら?』

エリカ「……そうね」

エリカ「確かに、あからさまに弱い相手がパワーアップしてくれるというなら、私でも受けるわ」

エリカ「黒森峰も西住流も、そのうえで相手を倒せると信じているもの」

ダージリン『だからみほさんに負けたのでしょうけど』 フフ

エリカ「そうやって私達には全敗なのにすぐ対大洗の成績でイキる点が最高に嫌いなのよ」

寝落ちていてこんな時間なので寝ます。テレビ放送の時期まで終わらないなんて・・・

有難いお言葉ありがとうございます、当初はもっとサクサク行くと思ってたので、もう尾田栄一郎先生に何も言えない……

投下します


ダージリン『まあ、そんなわけだから、きちんとギリギリに現れて、その旨を説明なさい』

エリカ「ちっ……」

エリカ「まあ、その辺は隊長なら上手くやってくれるだろうけど……」

小梅「口下手なのに、こういうのはお上手ですもんね」

エリカ「西住流後継者として色んな政治的なやり取りを経験してるからね」

ダージリン『あらあら、結局愛する隊長さんに甘えるのね』

エリカ「……ほんと癪に障る言い方ね」

ダージリン『まあいいわ』

ダージリン『私は他の隊長達に声をかけるから、貴女は愛する隊長さん(笑)にちゃんと説明しておきなさい』

エリカ「何か今ムカつく言い方しなかった?」

エリカ「っていうか、はあ!?」

エリカ「アンタの提案なんだから、隊長にはアンタから……」

ダージリン『嫌よ』

ダージリン『それでは面白くないでしょう?』

エリカ「おもっ……」

ダージリン『愛する妹さんを助けたいから一緒に転校してくださいと、貴女の口から伝えてちょうだい』

ダージリン『出来れば、うぷぷ……動画もよろしくね』

ダージリン『忠犬からの初めてのお願いにどんな顔をするのかしら』

エリカ「……!」

小梅「やめて逸見さんスマホを事あるごとに投げようとしないで動画とらなきゃいけないんだから」

エリカ「撮るなっつってんのよ」


エリカ『いや、隊長にそんなこと言うのは恐れ多いというか……』

エリカ『誰よりいろいろな重責を背負ってる方なのに、大洗に転校しろだなんてとても……』

エリカ『ましてや西住流の象徴』

エリカ『黒森峰以外の学校に所属するなんてこと、ありえない……』

ダージリン「あら、それは本人がそう言っていたのかしら?」

エリカ『そ、そういうわけじゃ……』

エリカ『でも、隊長は――』

ダージリン「そう、貴女の中の西住まほ像にすぎないうえに、その体現者であることを求めているのね」

エリカ『なっ、私は別に、自分にとっての隊長像を強要したりなんて……!』

ダージリン「そういう盲信が、西住まほを偶像に縛り付けてしまっているのではなくて?」

ダージリン「あるいは、西住みほという存在にも――」

ブツッ

ダージリン「あらあら、切られてしまったわね」

オレンジペコ「そういうことを言うから敵が増えるんですよ」

ダージリン「思った言葉を飲み込んでぬるま湯のような関係になるよりはマシよ」 フフ

オレンジペコ「そうだとしても、ぬるま湯から地獄の釜茹でじゃ極端すぎるんじゃないかと」

ダージリン「そうでもしないと動かなさそうですもの」

ダージリン「……戦車道も人間関係も、今後続いていくものよ」

ダージリン「どうせなら、みほさんのように、余計なことに縛られず本領を発揮した姿で相対したいじゃない」

オレンジペコ(今後も続くんだから、もうちょっとやり方をどうにかしたほうがいいような……)

オレンジペコ(口にしたら変な格言言われそうだから言わないけど……)


ダージリン「さて、私達は早速支援要請と書類作成に移りましょうか」

アッサム「詳細を話す前に煽って切られてしまったけど、黒森峰から転校する人間の情報はどうするつもりで?」

ダージリン「ラインで赤星小梅さんにでも聞けばいいでしょう」

ダージリン「それよりも問題は援軍ね」

アッサム「プラウダからはもう返信がありましたね」

アッサム「4輌で向かってくるそうです」

オレンジペコ「サンダースも多分大丈夫だとは思いますけど……」

アッサム「真っ先に私達に廃校の情報を流してきたのはサンダースだものね」

ダージリン「サンダースは戦車を大洗から預かったときからいつでも殴り込みが出来るように準備していたと返信があったわ」

オレンジペコ「寝坊さえしなければアンツィオも来てくれるかと」

ダージリン「問題は継続高校ね」

アッサム「実力的に十分で、援軍に来てくれる可能性もあるとすればここですからね」

アッサム「まあ、色々と気分屋なので、来るかどうかは五分五分ですが……」

オレンジペコ「スマホどころかケータイ電話を持っているかも怪しいですからね……」

ダージリン「ふむ……」

ダージリン「カチューシャに連絡して、プラウダに食料を使ったトラップでも仕掛けさえようかしら……」

アッサム「伝書鳩のサヴェジ・ガーデンならば連絡可能なのでは?」

オレンジペコ(うーん、不安……)

ダージリン「更に言うと、頭数を揃えるなら、残りは知波単学園ということに……」

アッサム「……無理して頭数を揃えない方がマシなのでは?」

ダージリン「…………」

ダージリン「それは、えー……」

ダージリン「あっ、こんな格言を知ってる?」

ダージリン「枯れ木も山の賑わい」

オレンジペコ(ふ、不安だなあ……)


エリカ「……思わず切っちゃったわ……」

小梅「あーあ……」

小梅「まあラインでやり取り出来るからいいけど……」

エリカ「つっても、ラインってアレでしょ」

エリカ「逸見の森のグループも解散したわけだし、友達登録とかしてないと連絡取るの難しいんでしょ」

小梅「え? グループ自体はまだ残ってるよ」

エリカ「は?」

小梅「森は焼いたけど、ゲストで来てくれた他校の人とやり取りできなくなるの不便だし……」

エリカ「いやまあそりゃそうだけど……」

小梅「でも折角森を焼いたわけだし、そのまましれっと交流するのも憚られたから……」

エリカ「まず森を作る段階で憚れ」

小梅「跡地に逸見さんのテーマパークを作ったの」

エリカ「何言ってんだお前」

小梅「これによって誰しもがキャストとして逸見さんになれるし、素の自分でお客さんにもなれる夢の国が誕生したんだ」

エリカ「何言ってんだお前」

小梅「題して、増長・逸見ーランド」

エリカ「ウォルトに叩き潰されろ」


小梅「まあそんなわけで一緒にみほさんを助けに行ってくれるメンバーを探さないとだよ」

エリカ「……大洗の生徒になるという大義名分があるとはいえ……」

エリカ「立場とかリスクとか色々あるし、時間制限もきつい」

エリカ「結構厳しいことになりそうね……」

小梅「そう?」

エリカ「私は勿論行くつもりだけど……」 チラッ

小梅「ん~?」

エリカ「……」

小梅「……」 ニコニコ

エリカ「……」

小梅「……」 ニコニコ

エリカ「……私が何を言いたいかわかってるくせに黙ってるでしょアンタ」

小梅「あ、ばれた?」


エリカ「いい加減アンタのふざけた部分が分かるようになってきたわ」

小梅「えへへ……何か嬉しいなあ」

エリカ「……で、どうなのよ」

エリカ「アンタは手を貸してくれるわけ?」

小梅「んー」

小梅「私も逸見さんの口から直接どうしてほしいか聞きたいなあ、なんて」

エリカ「…………」 チッ

小梅「ああっ舌打ちッ」

エリカ「あんた最近ほんと面倒臭いわね」

小梅「自分で言うのもなんだけど、大事な試合で水没し生命の危機に瀕したのに大半の仲間から見捨てられて」

小梅「そのうえに周囲から責められ続けたら嫌でも面倒臭い性格になっちゃうよ」

エリカ「重い重い重い重い重い」


小梅「……私も本当は、軽い感じで付き合っていけたらなあ、なんて思ったりするんだけどね」

エリカ「いや別に勝手にやればいいじゃない、誰も止めないわよ」

小梅「それこそ、その、下の名前で呼んだりあだ名で呼びたいなー、なんて思ったりなんかしちゃったり……」

エリカ「だからたまに唐突にエリカとか呼んできたのね……」

エリカ「くだらないわねえ、呼び名なんて何でもいいじゃない」

小梅「じゃあ今から逸見さんのこと、『西住みほの補欠合格副隊長』って呼ぶね」

エリカ「ぶっ殺すぞ」


小梅「……でもさあ、なんていうか、呼び名って安定しないことってあるじゃない」

エリカ「まあ、あだ名とかあるヤツはそうなるかもね」

エリカ「あとはTPOでも異なるだろうし」

小梅「隊長のことを戦車道の時間は隊長としか呼ばないけどベッドではまほたんって呼んでる、みたいな?」

エリカ「その例えやめろ」

小梅「……それにさ」

小梅「逸見さん、昔はみほさんのこと、下の名前で呼んでたよね」

小梅「……今も呼べる?」

小梅「あの時と、同じ感情で」

エリカ「…………」

小梅「……難しいよね。呼び方一つで、距離感みたいなものが出ちゃうし」

小梅「嫌われてるかもしれないって思うと、怖くてなかなかね」

エリカ「……不器用で、コミュニケーションが低いヤツに限る話でしょ」

小梅「かもね」

小梅「でもほら、私も逸見さんも。ついでに隊長やみほさんも、そういうスキル、ダメダメだからさ」

エリカ「……ソレは、まあ、確かに」


エリカ「でも、ま、私相手にはそんなに畏まらなくてもいいわよ」

エリカ「……いや少しは畏まれと思うけども」

小梅「本当?」 パァァァァ

エリカ「エリカでも何なり好きに呼べばいいわ」

小梅「じゃあ、人間タンク逸見で」

エリカ「やめろ」

小梅「それじゃあ私は他の協力者を探すから、人間タンク逸見さんは隊長に話を――」

エリカ「やめろっつってんでしょ!!!!」


小梅「じゃあ、エリカさん」

エリカ「そうしときなさい」

小梅「えへへ……エリカさんエリカさんエリカさん」

エリカ「何を急に、怖いわね」

小梅「何か、本格的にお友達になったなーって感じが……」

エリカ「意味分からないわね」

小梅「またまたあ~」

小梅「突然西住隊長が期待のルーキーを『逸見』でなく『エリカ』と呼ぶようになってたじゃないですか」

小梅「隊長の性格的に自ら下の名前で呼びたがったってことはないでしょうし、つまり――」

エリカ「ば、馬鹿な話をしてないで他に援軍を探すわよ一分一秒が惜しいのよ1!!!!!!!」

まほエリパートを終わらせる予定だったのにズルズル眠気と戦ってたらこのザマ
眠いので寝ます、申し訳ない

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