ちひろ「火の七日間」 (26)

一部、端折ってはいますが、元ネタは某ロボットアニメの神回です。


とあるライブ会場

未央「まさかこんなにたくさんの人に来てもらえるとは思わなかったよ~」

凛「みんなー!来てくれてありがとう!」

卯月「次のライブも来てくださいね~」


ファンたち「「「わああああああああああああああああああああああああ!!!」」」



ファン1「いや~。楽しかった」

ファン2「グッズもたくさん買っちまったぜ。これで今月も極貧生活だぜ」

ファン3「いや、しかし、こうも頻繁にライブをされると金がどんだけあっても足りないよな」

ファン4「そうだな。俺なんてフェラーリと別荘売っちまったぞ」


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舞台裏

部長「いやぁ~。今回も大いに盛り上がって結構結構」

モバP(以下、P)「お褒め頂き光栄です」

部長「ただねぇ……」

P「ただ?」

部長「こう何回も立て続けに大きなライブやって大丈夫かな?ってね。ほら、アイドルたちのスケジュールとか体力とかストレスとか」

P「そこは問題ありません。学業・休養・プライベートに十分な時間を充てられるようスケジュールを組んでおります。それに、今はプロジェクトが軌道に乗ったばかりです。多少の無理をしてでも今は駆け上がる時期だと思っております。おそらく彼女達も」

部長「そ、そうかい。まぁ、そこは君に任せるよ。おっと、もうこんな時間だ。そろそろ本社に戻らないと。では、失礼するよ」

P「はい。お気をつけて」

みく「Pチャン……」

P「どうした?みく。まだ送迎バスは来ないから、楽屋で休んでていいんだぞ」

みく「ちょっと悪いけど、楽屋に来て欲しいにゃ」

P「ああ。時間ならある。大丈夫だ」




楽屋

奈緒「zzz……」←学校の宿題をやりかけたところで寝落ち

友紀「zzz……」←衣装のまま化粧台で寝ている

輝子「zzz……」←メイクを落とさず床で寝落ち

美嘉「zzz……」←白目を剥いて寝ている

卯月「zzz……」←おおよそアイドルがやってはいけないポーズで寝ている


P「こ、これは……!?」

みく「頑張ってくれているPチャンにこういうこと言いたくなかったんだけど、みんなけっこう限界なんだにゃ。みくもそうだけど、学生のみんなは移動や休憩時間を宿題に費やしても間に合ってないし、表には出さないけど、寮に戻ったらずっと寝てる子もいるにゃ。レッスンも時間は短くて凄く効率が良いけど、『これだけで大丈夫?』ってみんなライブ前はみんな凄く不安になってるにゃ」

P「学業・休養・プライベートに十分な時間を与えてきたつもりだが……」

みく「180人近くいるアイドルのプロデューサーとマネージャを兼任してもデスクワークを午前中に終わらて、午後はアイドルの付き添い兼外回り兼サボりのついでにアイドル全員の休日が潰れるくらいたくさんの仕事を取って来るPチャンの処理能力を基準に考えたら、足りないに決まっているにゃ」



P「そうか……」←ポケットからスマホを取り出す




P「あ、もしもし。ちひろさん。まだ事務所います?――そうですか。だったら、俺の机の上に未提出の企画書あるじゃないですか。あれ、全部シュレッダーにかけてください」

ちひろ『え!?あの書類のスカイツリーをですか!?何時間かかると――ブチッ

P「みく。来月までは先方との契約もあるから、スケジュールを緩和させることは出来ない。だが、その先は考慮しよう」

みく「う……うん」グスッ

P「どうして泣いているんだ?」

みく「ごめん……ごめんね。Pチャン。みくたちのために頑張ってくれたのに……」グスッ

P「気にするな。それよりも、今まで俺に付いて来てくれてありがとうな。前に進むことばかり考えていて、お前たちのことが見えていなかっ―――――




まゆ「zzz……Pさん……」←Pがプリントされた特大抱き枕で爆睡中

Pのパンツ「やあ」←凛のカバンのチャックからちょっと出ている。

留美「んん……結婚式はハワイ……」←Pの婚姻届けを偽装中

藍子「Pさん……。そんなサイト見るぐらいなら私が……」←ポケットからPの隠し撮り写真が散らばっている。








P「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

みく「あわわわわわわわ」

翌日の朝 シンデレラプロダクション 中庭


ちひろ「(朝)8時ですよ!」

P「アイドル全員集合!!」

加蓮「え?何々?」

奈緒「何かあったのか?」

凛「嫌な予感しかしない」

菜々「懐かしいですね。小学生の頃見てました。クラスはドリフ族とひょうきん族に二分されて血で血を洗う派閥争いが絶えず、ドリフが生放送中に停電したら、ひょうきん族が停電コントやったりして――――」

比奈「ドリフ?漂流者(ドリフターズ)の相手は廃棄物(エンズ)っすよ?」


P「全員が呼ばれた理由、分かるな?」

比奈「いや、全然分からないんすけど」

P「ほぅ……。これを見ても心当たりが無いと?」


P×アイドルもののR-18な薄い本(作画:荒木比奈)

旅行先に置いて来たと思っていたPのワイシャツ・パンツ その他衣類 多数

Pの自宅に仕掛けられていた監視カメラ・盗聴器

Pの隠し撮り写真

1/1スケール Pフィギュア

Pがプリントされた特大抱き枕

人差し指と中指を伸ばしたPの手模型(実物大)

偽装したPの印鑑および婚姻届け

Pのプライベートや彼の両親の趣味趣向のデータ

その他よく分からないP関連のグッズ




凛・加蓮「「ささささささささささささぁ?ななな、何のこと?」」膝ガクガク

奈緒「うわぁ。すっげえ分かり易い動揺」

まゆ「…………」

幸子「お願いですから、何か反応してください!黙ったままの方が怖いですって!」

P「そうか。身に覚えがないか。なら、これを燃やしても問題ないな」

P「みく。一つ残らず燃やせ」

みく「はいにゃ」




ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!




留美「嫌ぁ!やめて!燃やさないで!私の!それは私のものよ!!」

心「マジ落ち着けって!一緒に燃える気!?」

藍子「燃えちゃいました……。みんな、みんな燃えちゃいました。嗚呼。あの一瞬は、もう戻ってこないんですね……」ハイライトオフ

茜「え!?何ですか!?キャンプファイアーですか!?」

卯月「全部なくなっちゃいました。もう何も残ってないですね。欲しかったものが次から次へと手から零れ落ちていきます。何を持っていたのか、何を拾ったのか、何を捨てたのかももう分かりません。けど、これだけは分かります。今の私には、何もないんですね」

未央「カムバックハイライト!」

肇「私の……私だけの実物大Pさん像が燃えてしまいました。でも、それで良いんです。また作れば良いんです。何度でも、何度でも、何度でも。次は壊れても良いように、もっとたくさん作りましょう」

凛「たくさん作るなら、一つちょうだい。キャストオフ可。300万でどう?」

未央「おいコラ。懲りろよ」

そう、これがシンデレラプロダクションを震撼させ、光輝あるアイドル部門の歴史に唯一の汚点を残した「火の七日間」の発端となったのだ。

P「はじめろ」

ちひろ「はっ、はい。現在のシンデレラプロダクション・アイドル部門内における風紀の乱れには、正に目を覆わしめるものがある。
よってここに“シンデレラプロダクション所内法度 Vol.2”を定め――――って、プロデューサーさん!この内容、本気ですか!?」

その内容は、アイドル達の想像を絶するようなものだった。

雑誌、DVD、漫画、アニメ、ゲーム等を含む、私物の職場への持ち込み禁止(仕事に必要な場合は申請書の提出必須、現物の管理はPが行う)
出勤・退勤時間を含む勤務時における制服・礼服の着用を義務化(仕事で私服が必要な場合は除く。制服がない年少組は除く)
チャンバラ、サバゲー、プロレス等の危険な肉体的遊戯の禁止(仕事の場合は除く)
酒、コーヒー、紅茶、スイーツ等を含む嗜好品摂取の禁止(仕事は除く)
Pへの肉体的接触禁止
Pの自宅から半径1km圏内の立ち入り禁止
Pへの食事供給禁止
事務所・女子寮内における遊戯、外出の完全許可制と申請の義務化
事務所内全コンピュータにおけるゲームソフトのロード禁止

それに付随する厳罰の数々

マストレ怒りのデスマーチの刑
いちごパスタの刑
モバコインの刑



アイドルたち「「「鬼!!悪魔!!!ちひろ!!!!!!!!!!!」」」

ちひろ「えっ!?何で私なんですか!?」

輝子「ヒャッハー!冗談じゃねえぜ!マイフレンドはどうなっちまうんだぁ!?」

楓「さすがにこれはやり過ぎじゃないかしら?」

響子「プロデューサーさんに弁当渡せなかったら、私はどうやって(プロデューサーさんに)自分を表現すれば良いんですか!?」

李衣菜「そーだ!そーだ!」

夏樹「だりー。今の理解してて賛同してるんだよな?」


P「黙れぇ!!!貴様らの乱れた風紀にはもう我慢ならない!」

清美「風紀と聞いて」ガタッ

P「座れ!!お前も乱す側だぁ!!」

清美「はい……」シュン

P「いいか!俺が学生だった頃のアイドルはなぁ!アイドルはウ〇コしないとか、アイドルの体重はリンゴ1個分とか、
処女で受胎するとか、女神の申し子だから火炙りの刑でも傷一つつかないとか言われてたんだぞ!
それに比べれば、現代のアイドルなんて――」くどくど……

李衣菜「そうなの?」

菜々「どうして、現役JK17歳のナナにきくんですか?」

いつ果てるとも知らないPの長いアイドル論は、5時間後まで続いた。

だがしかし、明文化されていないものの異性との恋愛が禁止されているも同然のアイドル業界にあって、
Pの使用済み下着の利用、Pグッズの生産等、ささやかな快楽を含む一切の私的活動を排除せんとするプロデューサーのクロムウェル的施策は
明らかに時代に逆行するものであり、アイドルとしての高い理想に燃えつつも、プロデューサーへの欲情を介して、
混迷する現代をキュート且つクール且つパッションに生き抜かんとする若きアイドルたちの複雑怪奇な欲望はその捌け口を求めて、
潜在化・ゲリラ化しつつ発現することは避けることの出来ぬ歴史的必然であった。

まず真っ先に行われたのが、ツィッター隠しアカウントを利用したレジスタンス活動を共有し、Pの認識外における抵抗活動だった。
次いで、酒や雑誌の闇取引、ケーキ・ドーナツをはじめとしたスイーツの密造及び密売だった。
糖分摂取のために2つ目の胃袋を保有する乙女たちを購買層としたケーキ・ドーナツ・パン・スイーツの密造は
お菓子作りを得意とする一部のアイドルに富の集約をもたらし、深刻な経済問題を招いた。

また、プロデューサー成分供給の習慣を断ち切ることのできないP成分中毒患者たちの間で、
Pの使用済みシャツや下着、ティッシュなどの闇取引も横行。
そのブラックマーケットは拡大の一途を辿った。

他にもグルメ番組や長期間の出張を伴う番組への出演をかけて、テレビ局関係者への脅迫まがいの売り込みが横行した。

シンデレラプロダクション内のカフェ

OL「ちひろ。あんたの部署、妙にギスギスしてるんだけど、大丈夫?」

ちひろ「まぁ……、何とか仕事は出来ていますね」

OL「けど、殺気とか殺意とかヤバいわよ。ウチの新人がそっちに書類を持って行ったら、ベトナム帰還兵みたいな顔になって戻って来たわ」

ちひろ「そ、そうなんですか……」

新人OL「私も○×テレビに行ったら、シンデレラプロダクションのアイドル全員が危険人物扱いされていたの見ましたよ。
『ちえりんチョップでディレクターが殺された』とか『番組Pが村上組の抗争に巻き込まれた』とか、
『上層部が既に志希ちゃんの謎のケミカルで洗脳されている』とかよく言ってました」

ちひろ「そ、そこまで……」

OL「いい加減に止めないとヤバいわよ」

ちひろ「一応、今夜、みくちゃんがアイドルを代表してプロデューサーさんに規制の緩和を申し立てるようなんですが……」




ちひろ(どうしてでしょう。ただで終わらないような気がします)

みく「Pチャン……。今夜、ちょっといいかにゃ」

P「ああ。問題ない。スケジュールに余裕はある」

状況を打開するため、
前川みくはアイドルを代表してプロデューサーに直談判を行うことになった。
一方でプロデューサーもまた思うところがあり、
みくを伴ってマルメターノおじさんの屋台へと赴いた。


P「みく。俺とお前が会ってから、もうどれくらい経ったかな……」

みく「みくが15歳の時にオーディション受けて、あれ?何年経ったんだっけ?アイドルになってから、
バレンタインもクリスマスも何度か経験してるけど、みくって15歳だよね?あれ?えっと……?」

P「短いようで、長いようで、そんな時間が経ったな……?」

みく「何で疑問形なの?」

P「俺と最初に会った頃のこと、覚えてるか?」

みく「勿論だよ。オーディション落ち続けて、アイドルを諦めようとした時にPチャンがこの事務所のオーディションに誘ってくれたんだよね。
昨日のことのように覚えてるにゃ」

P「そうだったな……。みく。実はな、最初、お前のことはプロジェクトの欠員の穴埋め程度にしか考えていなかった」

みく「え?ひどくない?」

P「ああ。最初はな。だけど、お前と一緒に仕事をする内に俺はお前を誤解していることに気付いた。
ふざけているようなキャラ設定に見え隠れする高いプロ意識、自分のキャラクターを貫く意志の強さ、バラエティもこなす柔軟性、
最初から持っていたアイドルという職務に従事する人間として弁え。
俺が求めていたアイドルはお前なんじゃないかって、今でもそう思っている」

P「ウチのアイドルは誰もがカボチャの馬車の中だ。誰もまだ城に辿り着いちゃいない。舞踏会にすら出ていない。
綺麗なドレスとガラスの靴を与えられただけだ。誰もがまだ道の途中なんだ」

P「みく。お前が持っているプロとしての心意気を、他の奴らにも伝えて欲しい」


みくは、自分を拾ってくれたプロデューサーを深く尊敬していた事もあり、
その言葉に感銘を受けた。
後に全アイドルが怨嗟の念を込めて「マルメターノおじさんの裏切り」と呼んだ
このみくの変節は、この事態の推移を最後まで決定付けてしまった。

みく「欲望に負け、落ちぶれたアイドル共ォ!!粛正の時間にゃ!」

みくは「オーディション組」と呼ばれるアイドルを束ね、
シンデレラプロダクション風紀粛清統制委員会を直ちに編成。
自ら突撃隊長となって、風紀を乱したアイドルたち対する血の粛清に乗り出したのだった。

みく「ア~ンタッチャボゥ!!」

統制委員会の取締りは

・スイーツ密造工場の強襲
・雑誌・ゲームソフト流通者の逮捕・高速
・酒類の押収など

所内法度で規制された活動に対して厳しく行われた。
タレ込みやスパイの横行、時に破滅した二重スパイの悲劇をそのエピソードに加えつつ
「黒いアンコール」と呼ばれたそれは、前川みく一世一代の狂気の弾圧であった。

だがしかし、権力のテロは反権力のテロの更なる登場を促した。
この弾圧に対し、反プロデューサー側も対抗措置として要人テロの実施を決定。
プロデューサーが海外出張で不在だった為、統制委員会議長と討伐部隊隊長を兼ねるみくにアイドル達の憎悪は集中した。

杏「突撃~!!」

きらり「AAAALaLaLaLaLaie!!」

みく「ま、待つにゃ!話せば――」

李衣菜「天誅~!!」

みく「あっ!UFO!!」

李衣菜「え!?どこどこ!?――って、いないじゃん!この裏切り者ー!!」



要人テロの内容(一部より抜粋)

・寮の食事を魚料理で固定。
・みくのネコミミをイヌミミにすり替える。
・ロケ弁は鮭弁オンリー。
・みんなでネコミミつけて積極的なアイデンティティクライシス


無論、抵抗組織の破壊活動、分けても要人テロがその数倍の規模において、
権力の報復を呼ぶこともまた歴史の教えるところである。


シンデレラプロダクション・アイドル部門のアイドル達は、統制委員会と抵抗組織の二派に分かれてテロの応酬を繰り広げる事になった。

統制が抵抗を招き、テロが報復テロを呼ぶ状況に、
更に混迷の度合いを加えたのが、抵抗組織内部の派閥抗争だった。
娯楽とプロデューサー成分の追求以外に確たる思想もイデオロギーも持たず、
強力な指導者もいないまま活動を重ねて来た抵抗組織は、
事態が武装闘争の段階を色濃く醸成しだした段階で、
その戦術と事態の核心をなすプロデューサーへの評価を巡って四分五裂

セクトは一時、三派四十六流の分派が饗応する事態を生み出した。

・シンデレラプロ人民民主戦線事務派
プロデューサーの存在を批判的に捉えつつ、みく一派を放逐して事務所の民主化を目指す。

・改革の通達派
その主張を芸能界に広く展開しつつ、労働基準監督署の介入を要請する。

・事務所内通信派
外部の介入を拒否し、プロダクション独自の解決を模索する。

・有浦柑菜とゆかいな仲間たち
非暴力を唱える。

・偶像独立機動実行部隊“炎陣”
年少組を中心としたセクトからの依頼により武力活動を代行

・鮮血のマイク同盟
統制委員会への報復をひたすら追求。

・矢みフ辞団
統制委員会の頭目であるみくへの個人的怨念に燃える。

・スシ=カルテル
みくの口に寿司をねじ込むためだけに活動。矢みフ辞団から独立。

・鬼苦身教団
太陽神スズホポチトリ様に心臓を捧げるカルト教団。神に捧げる生贄を探す。

・黄ばんだワイシャツ同好会
Pの使用済み衣類を密売。
麻薬以上の中毒性からシェアを奪い合うスイーツ生産アイドル達に敵視されている。

正確には誰も実態を把握しえぬこれら無数の集団は、
その最大動員時においても員数2桁に達することなく、
そのいずれもが、絶対的な覇権(ヘレモニー)を確立するに至ることはなく
全アイドルを巻き込んだ未曽有の抗争劇は、
マイクとサイリウムが乱れ飛ぶ不毛な暗闘へとなだれ込んで行ったのであった。

驚くべきことに、抗争に明け暮れしつつも
アイドルたちは本来の業務を全うし芸能活動に支障が出る事は無かった。

しかし、あのPグッズ焚書事件から7日目、
世に火を注ぐ武力衝突による脱落者の増加に耐えかねたか、
創設以来だたの1日も消えたことのなかった女子寮の明かりがついに消えた!

奈緒「~♪~♪フルボッコちゃ~ん♪」

みく「そこまでにゃ!覚悟は出来ているかにゃ?奈緒チャン!」

奈緒「い、嫌だ!いちごパスタの刑は嫌だあああ!!」

P「お。フルボッコちゃんじゃないか。2期のブルーレイBOXの特典ポスターか」

奈緒「マジで!プロデューサーも見たの!?やっぱ2期は神作だよな!」

P「ん~、俺は1期の方が好きだな」

みく「Pチャ~ン」

奈緒「じゃ、じゃあ、アイドル部門民主化の象徴として、このポスターを貼ってても良いんだな!」

P「良い訳あるか!馬鹿野郎!寝言言ってる暇があったら、さっさとレッスンに行け!」

みく「分かったかにゃ!!馬鹿―!!」

P「馬鹿はお前だ!」

みく「へ?」

P「なんだ!その衣装は!お前をナチス系アイドルにプロデュースした覚えはないぞ!」

みく「あ、いや、だけど……」

P「ここをどこだと思っている!寝てる奴はさっさと叩き起こせ!」

P「あと、逆さ吊りになっているバカ(幸子)!さっさと降ろせ!ダラダラしてる奴は幸子と一緒に南極ロケに叩き込むぞ!」

P「あと、美優さんと楓さんはどうした!?今日はレッスンだぞ!」

みく「は!昨日、シンデレラプロダクションアイドル部門アイドル解放戦線事務局派(左派)の急進派分派何を言っているのか訳が分からなくなったにゃ――もとい「プロデューサー使用済み衣類流通機構・汗ばんだ夏の半袖シャツ取り扱い専門業者“本田組”」に買収された「リトルマーチングバンドガール団仮眠室支部せんせぇがよく使うベッド地方方面隊」の戦闘員と思しき数名に襲撃を受けて善戦むなしく年齢をネタにした精神攻撃で袋叩きにあい負傷して意気消沈で寝込んで……$%*+?#$R##%」

P「誰が怪我して良いと言った!お前らはアイドルだ!従って、怪我も病気も無ぇ!」

みく「無茶苦茶だにゃ」

P「さっさと全員起こして来い!」

みく「そんな~。無茶だにゃ」

P「何が無茶だ!」




P「いいか!俺が学生の頃のアイドルはなぁ!!」


かくして、シンデレラプロダクション・アイドル部門を襲った不条理極まりない抗争劇「火の七日間」は
突然、その幕を閉じたのであった。

得ることのない戦いの中でアイドル達は多くの結論を出すが、
強いて、このむなしい闘争から教訓を導くならば、


仏放っとけ神構うな


合掌

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