伊織「ベーコンポテトパイを食べるわよ」 (24)


やよい「はわっ!べ、ベーコンポテトパイ?」

伊織「そうよ」

やよい「ベーコンポテトパイということは、ベーコンとポテトのパイなんだよね?」

伊織「そうよ、タンパク質と脂質と炭水化物の塊を食べるのよ」

やよい「うっうーとっても美味しそう!……だけど調理するのが少し大変そうかな~って」

伊織「私はベーコンポテトパイを作ったりしないわ」

やよい「えぇ!?作らないと食べられないよ伊織ちゃん!」

伊織「やよい、覚えておきなさい……セレブは料理なんかしない!」

やよい「そうなの?セレブってスゴいね!」ウッウー

伊織「ふふ、セレブだからね。さあやよい行くわよ」

やよい「え?どこに?」

伊織「ベーコンポテトパイを買いに行くのよ」


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某バーガーチェーン店


<イラッシャイマセ-

伊織「ここがベーコンポテトパイを売っているお店よ」

やよい「うわ~、CMとかでよく見るお店だね!伊織ちゃんはよく来るの?」

伊織「ふふ、セレブだからね。週4で来てるわ」

やよい「うっうー!さすがセレブ伊織ちゃん!」

伊織「ふふふ、そんなに褒めないで。さあベーコンポテトパイを頼みましょう」

やよい「う、うん」

伊織「やよい、ここに並ぶのよ」

やよい「は、はい!」


伊織「やよい……もしかして緊張してる?」

やよい「え!?……う、う~…こんなお店に来たことないから……緊張……してましゅ!」

伊織「落ち着きなさいよ、別に取って食われるわけじゃないんだから」

やよい「うん……ところで伊織ちゃん」

伊織「なに?」

やよい「ベーコンポテトパイって、いくらくらいするのかな?」

伊織「………」

やよい「一応、貯金をいっぱい下ろしてきたんだけど……」ジャラジャラ


伊織「やよい、そのパンパンに膨れ上がった財布をしまいなさい」

やよい「……え?で、でも」

伊織「いいから、私に恥をかかせないでちょうだい」

やよい「い、伊織ちゃん?」

伊織「やよいをこのお店に誘ったのは私よ?それなのにやよいにお金を出してもらう?ありえないわ!」

やよい「そ、そんな!悪いよ伊織ちゃん!」

伊織「ふふ、いいのよやよい」

やよい「伊織ちゃん……」

伊織「なんてったって、私は……セレブだから!」

やよい「うっうー!セレブって本当にスゴイね!」


店員「お待たせしましたーご注文をどうぞー」ニコニコ

やよい「はわっ!き、きたよ伊織ちゃん!」

伊織「だから落ち着きなさいって」フフ

やよい「ご、ごめん……」

伊織「ただ注文をするだけなんだから……店員さんベーコンポテトパイを2つ」

店員「…………」ニコニコ

伊織「ん?聞こえなかったのかしら?ベーコンポテトパイを2つ」

店員「お客様、申し訳ございません。当店にベーコンポテトパイというメニューはございません」

伊織「はあ?なにを言ってるのよ、このメニュー表にちゃんと載ってる……え?」

やよい「い、伊織ちゃん……これって……」



ヘーホンホヘホハイ



伊織「な、なにコレ!?ベーコンポテトパイの名前が変わってる?」

やよい「へ、ヘーホ……?」

伊織「な、なによ名前が変わってるくらいで!ベーコンポテトパイには変わりないんでしょ!?」

伊織「いいからベーコンポテトパイを出しなさいよ!」

店員「メニュー名は正確にお願いします、そうでなければ承れません」ニコニコ

伊織「なん……ですって……」

やよい「うぅ~さすがセレブのお店です~」


伊織「わかったわよ言えばいいんでしょ!耳をかっぽじってよく聞きなさい!」

店員「はい」ニコニコ

伊織「へ、へへ……ヘーホンホヘホパイ2つ」

店員「お客様、申し訳ございません。当店にヘーホンホヘホパイというメニューはございません」

伊織「はあ!?」

やよい「伊織ちゃんヘーホンホヘホパイじゃなくてヘーホンホヘホハイだよ!」

伊織「くっ!へ、ヘーホンホヘヘハイ2つ!」

店員「お客様、申し訳ございません。当店にヘーホンホヘヘハイというメニューはございません」

やよい「へが多いよ伊織ちゃん!」


伊織「ヘーホンホホヘハイ!」

やよい「微妙にズレてるよ伊織ちゃん!」

伊織「ベーホンホヘホハイ!」

やよい「惜しい!あともう少し!」

伊織「ヘーホホホホホハイ!」

やよい「あ~離れちゃった!」

伊織「ヘーホンホヘボット!」

あずさ「イインダヨ~、間違えたってイインダヨ~」

やよい「うっう~!?」


伊織「はあはあ……」

やよい「い、伊織ちゃん……」

伊織「うぅ……」

店員「ご注文をどうぞー」ニコニコ

伊織「もう……もう嫌!!」

やよい「伊織ちゃん!?」

伊織「なんで……なんでベーコンポテトパイを食べるだけでこんな思いをしなきゃいけないの!?」

やよい「伊織ちゃんベーコンポテトパイじゃなくてヘーホンホヘホハイだよ」

伊織「嫌いよ!こんな店も!ヘーホンハヒフヘホーも!大っきらいよぉぉぉぉ!!」



バイキンマンのようにさけびながら伊織ちゃんはお店のまどガラスをオデコでたたきわりました

そのまま外に走りさっていった伊織ちゃんをわたしは泣きながら見つづけることしかできませんでした



やよい「うぅ……伊織ちゃん」ポロポロ

店員「お客様……」

やよい「なんでこんなことに、なっちゃったんだろ……」

やよい「わたしは……わたしたちはただ……」

やよい「ベーコンポテトパイを……食べたかった……だけなのにぃ……」ポロポロ



泣きつづけるわたしの横で



貴音「へぇほんほへほはいを下さい」

店員「お一つでよろしいですか?」

貴音「この店にある全てのへぇほんほへほはいを所望致します」

店員「かしこまりました」ニコニコ



貴音さんがふつうにヘーホンホヘホハイを注文していました



貴音「もぐもぐもぐ」

やよい「うぅ……」

貴音「もぐもぐもぐ」

やよい「ぅぅ~……」

貴音「もぐもぐもぐ」

やよい「ぅ………」

貴音「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

やよい「………」

貴音「ごっくん………御馳走様でした」ペコリ


貴音「ふぅ」

やよい「………」

貴音「真美味でした」

やよい「………」


やよい「う………」



やよい「ううっ」



やよい「うっうぅぅぅぅーーーーーーー!!!」











千早「という夢を……みてしまったわ……」


春香「………」

真「………」

千早「せっかく高槻さんが出てきたのに……最悪の夢だったわ……」

春香「千早ちゃん……きっと疲れているんだよ……」

真「最近仕事が忙しかったからね……大丈夫?無理してない?」

千早「ふふ、心配してくれているのね。二人共ありがとう……私は大丈夫」

春香「千早ちゃん……」

真「千早……」


千早「それに泣きじゃくる高槻さんは……そそられるものがあったから」フフフ

春香「ああ、平常運転だったんだね千早ちゃん」

真「もっと仕事を入れて余計なことを考えないようにしなよ」



<ガチャ


やよい「おはようございま~す!」

伊織「みんなおはよう」

春香「あ、やよい伊織おはよう」

真「おはよう二人とも」

千早「おはよう。高槻さんは今日も元気一杯ね」

やよい「はい!今日も一日元気に頑張ります!」

千早「ふふ、やっぱり高槻さんは笑顔が一番ね」ニッコリ


春香「さっき泣く姿がそそるとか言ってたのはどの口かな?」

真「ほんといい笑顔してるよ」

伊織「二人共なにか言った?」

春香「何でもないよ」

真「うん、気にしないで」

伊織「?」


伊織「まあいいわ、ところで3人共これ食べる?」サッ

春香「ん?」

真「それって……」

千早「……え?」



→ベーコンポテトパイ



伊織「さっきやよいと朝マックに行った時に、ちょっと買いすぎちゃって……」

春香「………」

伊織「お腹が空いてなかったら、後で食べられるし……」

真「………」

伊織「まあ……もし良かったらだけれど……」

千早「………」


やよい「えへへ、伊織ちゃん事務所のみんなの分もちゃんと買ったんだよね」

伊織「べ、別にわざわざ買ったりしないわよ!偶々偶然買いすぎただけだから!」

千早「……水瀬さんっ」ウルウル

伊織「えぇ?な、なんで泣いてるのよ!?」

千早「私は……今、最高に感動しているわ!!」

伊織「か、感動?」

千早「言えたのね?」

伊織「なにが?」

千早「ヘーホンホヘホハイって言えたのね!?」

伊織「いや……言ってないけど?」

千早「だってベーコンポテトパイを買ったんでしょ!?」

千早「じゃあヘーホンホヘホハイって言わないとダメじゃない!」

伊織「ダメって言われても……そもそも」

伊織「普通にベーコンポテトパイって言ったら注文を取ってくれるわよ?」

千早「………へっ?」


千早「そ、そんな……」ガクガクガク

伊織「なんでそんなにショックを受けてるのよ?」

千早「だ、だって……メニューは正確に言わないと…ダメじゃない!!」

伊織「それはそうだけど、要は店員に伝わればいいだけの話だし」

千早「…そ、それは……」ガクガクガク

伊織「あっ……もしかして千早ってアレかしら?」

千早「………」ガクガクブルブル

伊織「外食で長ったらしかったり、言うのが恥ずかったりするメニュー名を」

千早「…っ………っ…」ガクガクブルブル

伊織「律儀に言っちゃうタイプ?」

千早「………」チーーン


春香「千早ちゃん外食に行き慣れてないしね~」モグモグ

真(僕も律儀に言うタイプだけど黙っておこう)モグモグ

やよい「ベーコンポテトパイおいしいです~」モグモグ


伊織「いや、別に恥ずかしいことではないと思うわよ?」

千早「………」

伊織「千早?」

千早「………」



千早「う………」



千早「ううっ」



千早「うっうぅぅぅぅーーーーーーー!!!」











千早「という夢に出来ないかしら!?」

春香「もう夢オチはやめろ」





おわり

終わりです、ありがとうございました


一応前作です
雪歩「これだけあれば焼肉祭りができますぅ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472825403/)

合わせてみていただけると幸いです

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