創真「ん?田所と薙切が何かやってるぞ」 (12)

本編の一ヶ月くらい前…

幸平創真は毎日の料理の修行で疲れていた。だが仲間達と料理の奥深さを知る楽しみお陰でそこまで苦にはなっていなかった。

創真「ふぅ~、今日の料理もかなりキツかったな~」スタスタ

創真「風呂も入ったしそろそろ寝るか…」

風呂も上がり、自室へ戻ろうとしている時に、何か怪しげな声を聞いてしまう。

ナキリサン…    ヤメテ…

創真「ん?何か田所の部屋から聞こえるぞ…?」

どちらも高校生で思春期真っ盛りだがどう聞いても嫌がっている声の為に創真は無断で覗く事にした。

創真「気になるし覗いてみるか」キィィ…

えりな「…あ、幸平くん。何をしてるの?」

だが勘の鋭いえりなには気付かれてしまったようだ。

恵「あっ、創真くん!助かっ…」

えりな「さあ幸平くん、貴方はお風呂から上がったようだし早く寝なさい」

創真「そうだな、明日も早いだろうし…」

恵が創真に一声かけようとしたがえりなに流されてしまう。

恵「…」ウルウル

創真(田所が目で何かを訴えているがこれは…?)

しかし、寮仲間の何かの訴えに気付いた創真は当然それに応えるように行動することにした。

創真「い、いやー、タクミも呼んでウノか何かやらねー…」

えなり「結構よ、おやすみなさい」バタン

田所「あっ、創真く…」

しかし結局えりなのペースで追い出されてしまった。しかし恵の訴えが気になる創真は何とか覗こうと考える。

創真「あーあ、追い出されちった…。もう寝るか…いや、待てよ。田所のアレは…」

そこで、極星寮の中で唯一の十席でありよく天井裏を徘徊していた一色慧に相談することにした。

創真「そうだ、一色先輩に頼んで覗けるルートを聞こう!」スタスタ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507133645

早速創真は一色の部屋へ行き、さっき見た一部始終を説明した。

創真「というわけで一色先輩、何とかなりませんか?」

一色「………創真くんもスケベになったなぁ」

創真「そんなこと言ってる場合じゃないっスよ!田所が目で訴えてましたし…」

一色の冗談とも取れる発言に真剣に返す創真。

一色「まあ薙切くんが田所ちゃんに何かしてるのは確実だし…」

一色「案外…」ホワワワン…

妄想えりな「田所さぁん!お父様の顔を忘れるまでサンドバッグになって下さる!?」

妄想田所「そ、そんな……ぐっ!」ゲハッ

妄想えりな「あらごめんなさい、血は何とかしておくのでね。オホホホ」

一色「とかあったり…」

父薙切薊(旧姓中村)からの異質な教育法で教育を受けたえりなならやり兼ねなくもないと思った創真。

創真「いや全然洒落になってないですけど!?」

そう思うのも、あの父親があるので仕方ないのかもしれない。

一色「まあとにかく見に行こう。実はみんなを見るためにここに来た時から天井裏の点検はしておいたんだ…」

創真「流石一色先輩!早速見に行きましょう!」

一色「うん、よしじゃあこのハシゴで…」カンカンカンカン…

創真「いやたまに鳴ってるカンカンって音アンタの所為かよ!」

一色「まあまあ、早くしなよ創真くん。一応君が発案してくれたんだし場所を教えたら最初に見せてあげるから…」

創真「あ、うっす」

創真がそう言うと、一色が慣れたペースで天井裏を歩いて行く。

一色「よしこの近くだ。全く、ほふく前進が下手だね創真くん」

創真「いやむしろ慣れてる学生なんてあんた位しか居ないと思いますけど!?」ボソボソ

大きな声を出してしまうと他の人に気付かれてしまう為、小声で話してしまうのも仕方がないだろう。

一色「ここだよ、じゃあ一部だけズラせるようにしたからどうぞ」ススス…

創真「うっす…!」ヒョコッ

いつやったのか当然のように天井裏の一部を動かす一色に創真はスルーした。そして恵の部屋を覗くとそこにはえりなが何かしているのを察した。

えりな「全くすばしっこいんだから…でも追い詰めたわ…」ガシッ

田所「ううぅ~…」ブルブルウルウル

どうやら恵はあの後何とか抵抗していたことを創真は何となく感じ取った。

えりな「さあ、観念しなさい」

創真(おいおい、これってまさか…やっぱ暴りょ…)

一色のくだらない妄想が当たってしまったと思った創真。しかし、創真の想像とは全く別のものが目に入ってきた。

えりな「…」チュッ

なんとえりなは恵の頬にキスをしただけだった。

田所「うぅ、またやるの?」

えりな「勿論よ、ていうか田所が教えてくれたんじゃないの」

田所「いやわたしは少女漫画を見せただけで別にキスは薙切さんが勝手に…」

えりな「え?」ギロッ

田所「な、何でもないです…」

創真(何やってんだこいつら…?)

思っていた事と全く違うことをしていたえりなに頭が追いつかない創真。しかし一色は冷静に状況を分析して何とか解決法を見つけようと創真に呟く。

一色(…ふーむ、どうやら薙切くんが暴走しているだけのようだね)ボソボソ

分析する一色の意見を聞き流し、恵の救出策を一色に相談する創真。

創真(これじゃあ田所を助けられないっすね…どうします?)ボソボソ

しかし、明日の朝も寝坊をしないように気をつけたい一色は恵の救出を諦めた。

一色(とりあえず明日も早いし薙切くんも満足したらやめるだろう…)ボソボソ

そして創真も仕方なくそれに応じ、諦めることにした。

創真(じゃあとりあえず明日何とかする方法を考えましょう)ボソボソ

そして一色は、先輩としての威厳を保つためと心配の意味を込めた発言をする。

一色(そうだね…とりあえず創真くんも早く寝ておこう)ボソボソ

だが何とか恵を救出する糸口が見えないかを知りたい創真は部屋の中をずっと覗いてしまう。

創真(はいっ)ボソッ…ジ-

後輩が友達を心配しているのを察して、一色は一応自分の気遣いを伝えた。

一色(気になるならハシゴをかけておくからやめたら早く寝るんだよ)ボソボソ

創真(…うっす。ありがとうございます、一色先輩)ボソボソ

一色(じゃあ僕は寝るから…おやすみー)ボソボソ…サ-ッ

創真(流石一色先輩…音を立ててないのにほふく前進のバックもクソ早え!)

一色の退場を余所に、創真は再び部屋の中を覗き様子を見る。

えりな「じゃあ今日はどのシーンからやろうかしら…」

創真(今日は…?一体いつからやってるんだ?)

どうやらえりなはとある少女漫画からそういう知識を取り入れてしまったようだ。

恵「あの…薙切さん、こういうのって女の子同士でやることじゃ…」

えりな「だって幸平くんもアルディーニくんも忙しそうだし…」

何とか抵抗する恵の意見を無視して自分の意見を前線に出すえりな。そこで創真はいつも内気な恵の屈指の抵抗を応援する

創真(いや田所も忙しいだろ!いけ、反撃しろ田所!)

恵「いやわたしだって忙し…」

えりな「みんなが頑張っているのだから当たり前です。むしろわたしは田所さんの疲れを癒そうとこういうことをしているの!」

創真(自分のやってることを正当化しやがった!?)

えりなの威圧よりも、恵の気の弱さを利用し意見の正当化に呆れる創真。

恵「いやわたしは遠慮して…」

えりな「とにかく!わたしがやりたいんだからやらせなさい!」

昔の様に自分のわがままで意見を通そうとするえりな。だが恵には全く通じなかった。

恵「いやわたしが許せるのも限度があるよ…」

えりな「そうだ、身体にキスはかなりしたけどディープキスはまだだったわね」

恵(えっ!?その本にそんなシーンなかったはず…)ビクッ

恵の意見を無視し話を進めるえりな。しかし無視した事よりも自分が知らない内容に驚く恵。何故なら、この少女漫画は彼女の持ち物だからだ

創真(田所が驚いている…恐らくディープキスは薙切がやりたいだけなんだろう…クッ、こういう時に新戸が居てくれたら身代わりになってくれただろうに…)

恵の反応から創真も気付き、もしもの話をする。この様な反応をするのは緋紗子ならえりなを受け入れてくれると思ったからだ。

えりな「…ふむふむ」サワサワ

少女漫画の真似をして恵の身体をまさぐるえりな。しかしそんなえりなを余所に、恵はかなりのショックを受けている。

恵「ううっ…もうお嫁に行けないよぉ」

えりな「大丈夫よ、いざとなればわたしの財力で男に性転換させてあげるから」

恵「いやそれフォローになってないしわたし男の子になるのは嫌だよ!?」

恵の反応を見て、何となく大丈夫だと察したえりなはついに実行する。

えりな「ともかく、やるわね…」ドキドキ

えりな「えーっと、ほっぺを触って…」サワッ

初々しくディープキスのやり方を確認するえりな。しかし恵は完全に怯えきってしまった。

恵「…」ガクガク

えりな「顔を近づける…そして…」グググ

漫画通りに頬を触りディープキスの用意をするえりな。それに対して、恵はある策を取った。

恵「わ、わたし口開けねぇべよ…」グッ

そう、口を閉じてしまえばディープキスはされないと恵は思ったのだ。

えりな「あらかわいいあひる口だこと…そんな子には…」

創真(もうこれで田所は無事なのに薙切はどうしようってんだ?)

恵の対抗策に反撃の糸口がないと思ってしまった創真。しかしえりなは誰でも思いつきそうな口を開かせる行動に移る。

えりな「こうよーっ!」コチョコチョコチョ

いきなりくすぐられて咄嗟に口を開いてしまう恵。これには人間ならば仕方ないだろう。

恵「あ…あひゃひゃ…ひ、酷いよ薙切さん…ひゃは…」

えりな「今よ」

この隙をえりなは逃さず、あっさりと恵の口に舌を入れる事を成功させた。

恵(うぅ~初めてのキスが女の子同士なんて…)

えりな「んっ……ちゅっ…チュッ…」

上手く喋ることが出来ない為何もする事が出来ない恵。

えりな(やっと目的のディープキスが出来たわ。)

恵「ううっ……薙切さん……んっ……やめてぇ……んぅ」

えりなは恵を逃さないように腕をXに組み恵の後頭部に当てた。

恵(これじゃあ逃れられないよぉ…)

されるがままの恵を見るえりなだが、余り楽しそうでない。

えりな(うーん、まだ何か足り無いわね…。というか田所さんも何も反応しないし…そうだ!)

何か思いついたえりなは早速行動に移し、恵の新たな反応を見ようとした。

えりな「んっ……ちゅっ……チュッ」モミモミ

恵「ひゃあっ!?…んっ……薙切さん……胸ぇ……」

恵の成長途中の胸を揉みしだき新たな反応を見事に見る事が出来たえりな。

えりな「ふふ……やっと…チュッ………新しい反応が見られたわ……」

恵「もう私の部屋から出てって……ひゃあ!?」

えりな「そんな連れないこと…チュッ、言わないで…チュッ」モミ

乗ってきたえりなはディープキスでは至らない首もとや胸元にキスをした。

創真(やばい…このままだと田所がレイプされちまう…そうだ!)ピッピッ

何か思いついた創真は自分のスマホを弄り恵を救出する手段を思いつく。

えりな「さーてと、次は下半身から……」

ドサッ

創真が恵のベッドに自分のスマホを落としたが、幸いその音は恵にしか気づかれていなかった。

創真(田所!時刻を見せて逃れろ!)コソッ

恵(う、うんっ!)コクリッ

そして創真の咄嗟の判断を聞き、それを実行する恵。

恵「な、薙切さんっ!もう10時半だよ!早く寝ないと明日の料理に響くから…」

えりな「えー、まだもっとした…」

言う事を聞かないえりなに仕方なく、恵はえりなの頬にキスをした。

恵「チュッ…ねっ、お願い?」キラキラ

恵のキスで…というより、恵から自分にキスをしてもらったという喜びからえりなは恵の部屋を去った。

えりな「そ、そうね!…それじゃあ失礼するわ」バタン…スタタタ

恵「ふぅ~、助かったよ。創真くん!」

天井裏の創真に感謝の言葉を述べる恵。創真は天井裏が窮屈なため、ストッと降りた。

創真「よっと!」ストン

創真「万事休すだな!田所は早く身体洗ってこい。まだ風呂は使える筈だ。」

恵「うんっ!創真くんも早く寝てね。」

創真に何も聞かず、恵は風呂場へ向かった。

創真「ふぅ、田所と俺の機種が同じで助かったぜ…さてと、一色先輩の部屋に行ってハシゴ片付けなくちゃな」

一色の部屋から来たことを思い出した創真は、恵の部屋から出て一色先輩の部屋へ向かった。

しかし創真はうっかり恵の部屋から出るのを目撃した人物に会ってしまった。それは城一郎だった。

創真「ん?…なんだ親父か」

城一郎「おっ、創真じゃねーか…。あれっ、今出てったのは恵ちゃん…これはもしや?」

今見てしまった全てを統合し、城一郎はある結論に至った。

城一郎「ムフフフフ…」ニヤニヤ

創真「なっ、なんだよ!」

城一郎「いやー、俺の息子もついに漢になったなーと思ってな!」

創真「いや何か勘違いしてるだろ!?」

城一郎「照れんな照れんな!誰にも言わねーから!」スタスタ

創真「いやちげぇよ!…ってか絶対勘違いしてるだろ!」

城一郎「早く寝ろよー」

城一郎は創真の発言を聞き流し去って行く。

創真「ったく…絶対勘違いしてるだろ」

勘違いしてテンションが上がっている城一郎に呆れながら創真は一色の部屋へ向かった。

創真「一色先輩、入りますよー」コンコン

一色「ああ創真くん、もしかして田所ちゃんと何か…」

創真「何もしてないんで勘弁して下さい」

城一郎に続きこの男までそっちのことしか考えておらず呆れる創真。

一色「いやー、帰りが遅かったしさ…。てっきり何かあったのかと。」

創真「何もなかったすね。ハシゴ片付けたんなら俺寝ますよ」

一色「うん、おやすみ」バタン

自室へ戻る途中、創真はある事を考えていた。そう、恵との関係だ。

創真「ったく、何で俺が田所と…田所とはただの友だちだろ…」

友だちと言う事を理解しているにも関わらず、恵の事を考え夢中になっていることに気付く創真。

創真「いかんいかん、とにかくさっさと寝ちまおう」ガチャッ

創真「ふぅー、今日は色々あったけど明日田所がまた危険な目にあったらどうするか…」

ベッドに寝転がり、今日の事がまた起きた時のために恵の救出法を考える創真。

創真「そうだ、俺の部屋に呼んで守ってやれば…」

創真「ってそれじゃあまた勘違いされちまう…」

城一郎や一色に煽られてくだらないことを気にしてしまう創真。

創真「まっ、明日また考えればいいか…」

恵の救出策を明日に回してそのまま目を瞑り、田所の事を少し考える創真。

創真(田所か。まさか薙切に目を付けられるとは…)

創真(つっても田所って結構モテる(?)しなー、乾先輩とか北条とか…って女ばっかかよ!?)

創真(それに北条に至っては田所を呼んだだけで別に何もなかったし少し違うか…)

創真(うーん、まあ田所って結構美人だし目ぇ付けられても仕方ないか…)

創真「…って俺は何を!?」

無意識に恵の容姿を褒めてしまった創真は自分に驚く。

創真(…もういいや、早く寝よう)

この後も度々恵のことを考えてしまった創真は、この三十分後にようやく寝る事が出来たようだ。

翌朝

………まくん!創真くん!

創真「あん?…あぁ田所か。どうした?」

恵「もう起きる時間だよ!ほら急いで急いで!」

創真「ん?」

創真「って7時かよ!?やっべぇ!」ドタバタ

料理人にとって朝の仕込みは大切だ。恵に起こされ無かったら遅刻するところだった。

恵「それじゃあ準備が出来たら出てきてねー」

創真「ふぅー、危ねえ危ねえ…。……よし!」ガチャッ

城一郎「よう創真、お前にしちゃ珍しく遅かったじゃねえか。」

創真「親父!?」

ドアを開けるといきなり現れた城一郎に創真は驚いた。

城一郎「かみさんに感謝しとけよ」

創真「ああ。………って誰がかみさんだ!」

城一郎に煽られ動揺する創真。やはり思春期の少年なのだから仕方がないのかもしれない。

恵「あっ、おはよう創真くん。今日も頑張ろうね!」

城一郎「ほらほらお前の彼女がそう言ってんだ。どう答える彼氏?」

創真「親父黙れ。…行こうぜ田所!」

恵「あっ、うん」

城一郎「全く素直じゃないねぇ」

勘違いしている城一郎を余所に創真は恵と早々行ってしまった。

しかしその場面をえりなも見ていた…。しかし城一郎はそれには気付かず、創真にするようにえりなに挨拶した。

城一郎「おはよう、えりなちゃん。よく眠れたかい?」

えりな「おはようございます、才波様。当然ばっちりです。お父様を止める為にも眠れないのは少し問題があるでしょうし。」

城一郎「ハハ、言えてるな。さてと、それじゃあ俺らもそろそろ行かないとな」スタスタ

えりな「ええ。今日も頑張って自分の技術を高められるよう頑張ります」スタスタ

えりな(…くっ、幸平くんめ)ギリッ

タクミ「あっ、遅いぞ幸平!」

創真「いやぁ、昨日ちょっと遅くまで起きてたからさぁ」

一色「いやぁ、誰のせいで遅くまで起きてたんだろうねぇ」ニヤニヤ

創真「一色先輩黙ってもらっていいですか?」

一色「全く、恐いなぁ。創真くん」

えりな「…」

今日の料理作りも皆苦戦しながらしっかりと成長していた。そしてその時間はあっという間に過ぎ、本日の料理指導もあっさりと終わった。

堂島「よし、今日はここまで!」

みんな「ありがとうございました」

城一郎「お疲れ様みんな。まぁ後はゆっくりのんびりしてまた明日、頑張れるようにしよう。」

創真「ふぅ。さてと、今日はアレ覚えたし…アレも…あっ、これもか。明日はどんなのが教えられるかな」ワクワク

恵「お疲れ様、創真くん。相変わらず、楽しそうだね…。ちょっと羨ましいよ」

創真「いや何だって覚えたら楽しいだろー?」

恵「いや、どうかなぁ?」

楽しげに恵と話す創真を、陰から羨ましそうに、怨めしそうにじっと見るえりな

えりな(もう幸平くんったら、そこはわたしが居るべき場所なのに)メラメラ

創真「じゃあな田所!風呂上がったらまた話そうぜ!」

恵「あっ、うん!」

側から見れば付き合っているとしか思えない二人を見てニヤつく城一郎

城一郎「おい創真、そこは恵!とか、恵ちゃぁ~ん、とか色々あるだろ」

創真「うっせぇよ親父、黙れ!」

城一郎「もー、創真くん恐~い」

裏声で恵の真似をして楽しむ城一郎に呆れる創真。

創真「さてと、風呂行くか。」

創真(よし、これで田所を薙切に渡さずに済むぞ!)

一色「やぁ創真くん。田所ちゃんをえりなくんに渡さずに済んでよかったね」

創真「えっ?口に出してました?」

一色「いや、そんな顔してたからさ」

突然言われて動揺を隠せない創真

創真「違うっスよ、あくまで薙切に近づけさせないことに喜んでて断じて田所を独り占め出来るとかそんなことには…」

一色「はいはいわかってるから、さぁお風呂だお風呂!」スタスタスタ

創真「まぁいいか。茶化されてても今のところ田所は無事だし…」

そう考えた後、一色と共に風呂場へ向かう創真。

一方で恵は…

恵(うぅ~、あれじゃあまるで付き合ってるみたいだよぉ…///)

恵(いや違うよ!あくまでも創真くんはわたしを薙切さんから守ろうとしてるだけだろうし…)

と考えながら部屋へ向かう恵。とここで恵の肩を誰かがポンと叩いた

恵「ひっ!?」ビクゥ

えりな「こんばんわ田所さん、少しお話があるのだけれど…いいかしら?」

恵「なっ、薙切さん…。いやわたし…その、今から部屋で…」

えりな「なら田所さんのお部屋で話しましょう。」

えりなの強引な話術で術中にハマってしまう恵

恵(た、助けて…創真くん)ピッピッピッ

なんとか創真にラインで連絡する恵。

創真「あれ?」

そして幸か不幸か創真はまだ風呂に入る前だった。

一色「うん!いざとなったら僕も駆けつけるからラインよろしくね!」

創真「うっす!」シュタタタ

急いで恵の元へ向かう創真…。

ガチャリ

えりな「ふふっ、これで誰にも邪魔はされないわ」

恵「ううっ…」

しかし、えりなはそれを読んでいたかの様に鍵をかけた

恵(これじゃあ創真くんが来るのも時間がかかるだろうし…)

えりな「さてと、どうせお風呂に入るんだし…どれだけ汚しても構わないわよね?」

恵(このままだと昨日よりも酷い目に会うかもしれない…)

えりな「さて、何処から弄ろうかしら…」

と、えりなが恵の身体を弄ろうとしたそのとき…

ドンドン!

創真「おーい田所ぉ!いきなり話があるって何だよ!!」ドンドン

えりな「幸平くん…?あのとき何か約束していたのかしら…?」

創真(よし、これで他人からは呼び出されたようにしか見えない筈…)

創真「あっ、悪ぃ。急いでたからノブ動かすの忘れてた…。開けるぞー?」ガチャッ

しかしそんな創真の気遣いも意味がない。何故なら今恵の部屋には、鍵がかけられているからである。

創真(ちくしょう!薙切のやつ、俺が来るのを予め読んで鍵をかけたのか!?)

創真「…田所ぉ!何がなんでも会いに行くからなぁ!」タタタ

創真(えーとこういう時は…そうだ、一色先輩に一応連絡しておこう!)ピッピッ

一色にハシゴをかけて置くことと恵の部屋の現状を送り、創真は一色の部屋から昨日と同じく恵の部屋の天井裏まで移動した。

その頃えりなは…

えりな「まぁいいわ、幸平くんが来ても田所さんの部屋には流石に入って来れないでしょうし」

恵「うぅ…」

えりな「さてと、何処から戴こうかしらね。まず最初に神の舌で味わう場所は…決めたわ」

恵「なっ、何するの?」

えりな「とりあえず上を脱ぎなさい」

恵「…はい」スルスル

意外にも恵はえりなに従った。もし反抗をしたら創真にまで危害が加わると考えたからだ。

恵「ぬ、脱いだけど…?ここからどうするの?」キョトン

えりな「か、かわいい…じゃなくて、下着も脱ぐの!あ、パンツはそのままで構わないわ。」

恵「……できた。」スルスル

えりな「よろしい。では試食するわね。」

えりなが待ち望んでいたかの様に遠慮なく恵の胸にしゃぶりつく。

えりな「んっ……なかなか小振りだけど新鮮で美味しいわ…ジュル」

えりな「例えるなら綺麗な桜を見ながら日傘を差して友達と親しげな会話をしながら和菓子を食べる様なイメージが湧いてくる味かしら…」

恵「ってそれ意味がわからないよぉ…んっ…」

えりなは神の舌で捉えた感想を述べた後も、夢中で恵の乳房をしゃぶった。

恵「あの…薙切さん…?」

えなり「何かしら?…ジュルル」

恵「わ、わた…わたしも気持ちよくさせたいな。…なんちゃって?」

えりな「いいわよ。やっとその気になってきたようね」

恵「えっ!?…いいの!?」

時間稼ぎの為に言った冗談が通り、凄く驚いてしまう恵

えりな「お手柔らかにね。」

恵「じゃ、じゃあわたし服着るね…」

えりな「うーん…まあいいわ、上着だけなら許します。」

恵「…あ。うんっ、ありがとう!」ニコッ

えりな「べ、別に大したことありませんっ…///」

恵の優しい笑顔でついニヤつかれ、ペースを崩されそうになるのを誤魔化そうとし、照れるえりな

恵「…よしっ、それじゃあわたしもす…するね!?///」

えりな「なんでそんな驚いたような口調なの?普通にしなさい…///」

恵「あ、ごめんなさい…」

気弱な為何にでも謝ってしまう恵にえりなは、研修のときのようにフォローを入れる。

えりな「あのですね」

恵「はいっ!」ビシッ

えりな「貴女には前にも言いましたけど、いつも堂々と胸を張りなさい。しっかりと実力のある、立派な料理人なんですから」

恵「あ、う、うん。ありがとう。」

えりな「それと謝って済むときと済まないときがあるのも覚えておきなさい」

恵「あっ、はい…」

えりな「そ、それで?」

恵「えっ?」

えりな「田所さん、さっき貴女はわたしに何かしてくれると言って下さいましたが…一体何をして下さるのかしら?///」

恵「そ、それは…///」

恵がえりなの質問に答えようとしたその時…

創真「田所ぉ!」ズドン

えりな「幸平くん!?」

恵「創真くん!?」

創真「…救世主登場ってとこか。ぷはは」

えりな「いや自分で言うものじゃないでしょ!」

恵「それに笑うところでもないような…」

創真「まあまあ、お前がやってきた事はわかんねーけど…何がしてぇかは何となくわかるからな、薙切ぃ」

えりな「くっ…」

えりなが一瞬怯んだ内に恵の部屋の鍵を解除し、逃げる準備をする創真。

創真「じゃあな薙切!一人で楽しくやってな!」ガチャリ

と発言した後、咄嗟に創真は恵の手を握り走り始めた。

創真「よし、今の内だ!行くぞ田所!」ガチャッ

恵「あっ…う、うん…。ごめんね薙切さん!」ダッ

そして創真と恵は嵐のようにえりなの元から過ぎ去り、二人は創真の部屋へ向かった。

創真「ふぅ、大丈夫だったか田所?」

恵「あ、うん…///」

見るからに元気がない恵を気遣い創真は心配する声をかけた。

創真「まっ、まあ薙切にあんな事されたんだし(見てない)そんなになるのも仕方ないよな」

恵「そっ、そうだね…」バッ

恵がそう言った瞬間恵は咄嗟に胸を腕で隠す

創真「ん?どうした、田所?」ジ-ッ

恵「じ、実は上の下着だけ取ったんだ…だから、その、あまり見ないで欲しいなって…///」

創真「あっ、そうなのか!?す、すまん」

創真は咄嗟に顔を外方へ向かす

恵「あっ、それとね、創真くんにお願いがあるんだ…///」

創真「な、何だよ?お願いって…///」ドキドキ

胸があまり大きくないとは言え下着を着けていない女子にお願いをされ、創真は自分でも周りに心臓の音が聞こえるんじゃないのかと思うくらいドキドキしていた。

創真(こっ、こういう時はあれだ…。今日覚えた料理の知識や昔叩き込まれた基礎を…)

恵「本当に申し訳ないんだけど…」ドキドキ

創真(って駄目だ!ドキドキして何も考えらんねぇ!)

創真「おうっ…///」ゴクリ

創真は普段味わう事の出来ない緊張とドキドキで、内心謎の期待をしていたが、その気持ちは無惨に葬られた。

恵「わ、わたしを薙切さんの元へ戻してくれない…かな?」

創真「………ってはぁ!?あのなぁ、言っとくがお前…襲われたんだぞ!?」

恵「いや、わかってるよ。わかってるんだけど、なんかわたしが去るときの薙切さんが可哀想だったから…」

恵の母性本能と優しさからの発言にいつもはそれに真剣に向き合う創真だが、正気の沙汰とは思えない発言で冷静な気持ちを保てない創真は恵に対してキツく当たる。

創真「…悪りぃけどわっかんねぇなぁ、そんなもん猛獣が居る檻がぶっ壊れたのにまた猛獣に会いに行こうとする様なもんだろ!」

創真「はっきりいってそんなもんお人好し過ぎる!捕食されるぐらいならもう薙切の事は諦めて風呂でも行ってこいよ!」

創真が恵に説教っぽく反論したが、当の恵は全く聞く耳を持たなかった。

恵「それがお人好しならそれでいいの…。薙切さんとはまだまだお友達で居たいし…お願いだからもう一度話をさせて…?」ウルウル

いつも見慣れている様な恵の上目遣いだが、普段よりも恵を意識しているため、今の創真は翻弄されてしまう。

創真「もっ…もう勝手にしろ!ただし俺はもう助けないからな!」ガチャッ

恵「そっ、それでもわたしは…」

創真「…風呂から上がるまでは。じゃあ上手くやれよ。」クルッ

恵(そ、創真くん………)

恵「うんっ、薙切さんともっと仲良くなって驚かせて見せるから、待っててね。」

創真「まぁ流石に無理だろうし、悪いけど期待はしないどくわ。じゃあな!」スタスタスタ

創真が去っていったが、恵は創真に自分の願いを聞いてもらえて至極満足していた。

恵「さてと、それじゃあ早く薙切さんのところに行かなくちゃね。」

そしてすぐにえりなと一対一で向き合うために自分の部屋へ戻ろうと行動を移す。

恵「スゥーーー、ハァっ………よし」コンコンコン

恵「薙切さん、入るねー?」

と部屋へ戻った恵が見たものは…

えりな「ぁあ、おかえりなさい」

ただ落胆していたえりなだった。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom