シンジ「帰ろうよ、アスカ。僕たちの家に…」 (30)

<葛城邸・ダイニング>

アスカ「福引券?なにこれ。」

シンジ「うん、なんて説明したらいいのかなぁ。商店街の客引きって言えばいいのかな?」

アスカ「ふーん。ようは大型スーパーに客を取られないように景品で客を釣るってワケね。涙ぐましい努力じゃない。」

シンジ「あんまり身も蓋もないこと言っちゃダメだよ、アスカ。」

アスカ「なによ、身も蓋もないってことはそれが真実ってことじゃない。で、なにが当たるのかしら?」ピラッ

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~東仙石原商店街・歳末抽選会補助券~
本券10枚で1回抽選できます。

特等 ハワイ6日の旅ペア旅行券×1本


『特等 ハワイ6日の旅』



『 特 等  ハ ワ イ 6 日 の 旅 』

アスカ「えぇー!なにこれ!ハワイ6日の旅って!ねぇ、シンジ!コレあのハワイよね?羽合温泉とかじゃないわよね!」

ミサト「アスカが鳥取県の羽合温泉を知ってたのは意外だけど、アメリカ合衆国ハワイ州の方で間違いないと思うわよー?6日も旅行させようと思ったら意っ外と鳥取の方が高くつくし。」

アスカ「シンジ!補助券いま何枚あるの!全部出しなさい!」

シンジ「今日買い物してきた分だと6枚あr。」

アスカ「よこしなさい!」バッ

シンジ「あっ。」

アスカ「ミサト!アンタは何枚もってんのよ!」

ミサト「待ちなさい、アスカ」ガサゴソ

アスカ「早く出しなさいよ!」

ミサト「3枚ね。」ピラッ

アスカ「よこしなさい!」バッ

ミサト「あんっ。」

アスカ「全部で9枚…。なによ!これじゃ1回も引けないじゃない!」

シンジ「大丈夫だよ、アスカ。300円買い物すれば1枚もらえるみたいだから。」

アスカ「そうなのね。じゃあ、あと1枚は現地調達するとして誰がクジを引くかね。」

ミサト「あ、あたしが行くわ。」

シンジ「えぇ?!ミサトさんが?」

ミサト「何よ?シンジくん。その不満そうな…。」

アスカ「いつだったかシンジが言ってたじゃない!ミサトのクジって当たったこと無いって。」

ミサト「ええー。アスカのいけずー。あたしだってガラガラのアレ回したいわよ!」

アスカ「問答無用!ミサトはクジ運が絶望的。シンジは…気合いが足りないわね。よって今回の任務は勇猛果敢、容姿端麗なこのセカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーの出番ね!」

シンジ「任務って大げさな…。」

アスカ「あんた、バカぁ?そういう所が気合い足りてないって言うのよ!いい?バカシンジ、何事も努力と根性!
ひとりひとりが小さな火でも2人合わせて炎とか言ってる時点でダメなの!たった1人で大きな炎を燃やしてみせる気合いこそが大事なのよ!」

シンジ「アスカ、そこは否定するといろいろ面倒な事になるからやめてよ!」

アスカ「屁のツッパリなんかいらないのよ!」

シンジ「アスカ!僕にはアスカが何を言ってるのかわからないよ!とにかく凄い自信だって事しかわからないよ!」

ミサト「わかったわ、アスカ。あなたが行きなさい。」

シンジ「ミサトさん?」

ミサト「シンジくん、アスカのテンションに押し切られてるけどこれはエバーによる使徒殲滅任務でも災害救助任務でもなくてただの商店街の福引よ。ハズレだったからって人類がどうかなるような話じゃないのよ。」

シンジ「ミサトさん…。」

ミサト「それにアスカは日本に来て初めてあのガラガラを回すの。ドイツにはあのガラガラは無いのよ?シンジくんはオトコノコなんだからそれくらい譲ってあげても… 罰は当たらないわ。」ニッコリ

シンジ「そうですよね…。うん、アスカが引いてくると良いと思うよ。」

アスカ「じゃあ、クジを引くのはアタシ!それでいいわね?」

ミサト「ええ、頑張ってらっしゃい。」

シンジ「うん、それでいいよ。」

アスカ「じゃあ、早速行ってくるわね!」

ミサト「車に気をつけるのよー。」

アスカ「じゃぁ、いってきまーす!」

シンジ「行っちゃいましたね。」

ミサト「アスカも福引ではしゃぐなんてカワイイところあるじゃない。」

シンジ「ところで思ったんですけど…。」

ミサト「なにかしら?シンジくん。」

シンジ「こういうのって意外とペンペンあたりに引かせたら強そうな気がするんですけど…。」

ミサト「……。」

シンジ「……。」

ミサト「……………シンジくん?晩ご飯の準備はもう済んだのよね?」

シンジ「はい。」

ミサト「そういう事は早く言いなさい!今からでも遅くないわ!ペンペン連れてアスカを追いかけて!」

シンジ「え?あ… は、はい!」

……………………
……………
………
<東仙石原商店街・入り口>

エ-ラッシャッセ- ラッシャッセ-
オオウリダシダヨ ヤスイヨ-ヤスイヨ-

アスカ「ハワイよハワイ!うちよせる波!てりつける太陽!天国の島!まさにパラダイス?」

アスカ「うふふふふ。待っていなさい、抽選会場!いまこのアスカ様が特等ハワイ6日の旅ペア旅行券を引き当てに行ってやるわ!」

アスカ「とは言え、あと1枚補助券を貰わないとクジを引けないのよね?なにかちょっとしたものを買えばいいんでしょうけど、何が良いかしら?」キョロキョロ

シンジ「あ、居た!でもペンペンと交代ってなんてどう説明すればいいんだろうね?困っちゃうよね、ペンペン」コソコソ

ペンペン「くぁ~?」

アスカ「アタシが食べるお菓子でもいいんだろうけど、いざ300円使う事ありきで買い物しなさいって言われると意外と困るわね…。なんだかまんまと商店街の策略に嵌められた気がするわ。」ションボリ

シンジ「遠くてよくわからないけどなんだかアスカがショボくれてるよ…。どうしよう、ペンペン。」コソコソ

ペンペン「くぅ~。」

アスカ「どうしたものかしらねー。……あら?あれ酒保長の田村2尉じゃない?どうしたのかしら?
田村さ~ん!珍しいですねー。こんな所で。どうしたんですか?」

田村2尉「あぁ、アスカちゃんか。いや私の不注意で塩を切らしてしまってね。ちょっと買い出しに来てたんだよ。あぁ、そうだ。福引の補助券いるかい?」

アスカ「いいんですか!」

田村2尉「私はめったにこっち来ないからね。使う人が使った方がいい。」

アスカ「田村さん、ありがとうございます。」

アスカ「さてと、これで補助券も10枚揃ったし。ハワイ目指してレッツゴーよ!ハワイはJRに乗っても臨海新交通に乗っても行けないけれどアタシがこの手で引き寄せてみせるわ!」

シンジ「あぁっ、しまった!さっきのショボくれてるタイミングでペンペンとの交代を告げれば良かったんじゃないか!僕はなにをしてるんだよ!」コソコソ

アスカ「さぁ、待ってなさい!ハワイ6日の旅!トキメキのアロハライフ!いざ、抽選会場へ!」ダッシュ!

シンジ「あ、アスカ!追いかけなきゃ!」

ペンペン「くぁっ!」

……………………
………………
………
<東仙石原商店街・特設抽選会場>

アスカ「ここね!それにしても随分と並んでるわね。もはや人気ラーメン店並みじゃない!」

アスカ「でも、公平なクジ引きなんだから早く引けば良いってもんでもないわ!余り物に福って言うしね。ここは大人しく並びましょう。」

シンジ「あぁっ、並んじゃったよ。今さらペンペンと代われなんて余計言いづらくなっちゃったよ…。」コソコソ

アスカ「ふふふ。ハワイ旅行、当たったら…………。」

ポワァンポワンポワン...
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

アスカ『ステキな青空!砂浜の足あと!南風に吹かれて優雅な船旅!この胸のときめきを抑えられないわ、そうでしょ?加持さん!』

加持『ははは。その通りだ、アスカ!さぁ、そろそろ乗船するぞ。出航の時間を告げる銅鑼の音だ。』

ジャ-ン ジャ-ン

アスカ『素敵!ねぇ、加持さん……。』

加持『アスカ………。』

ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
ポワァンポワンポワン...

アスカ「うふ、うふふふふふ。」ニヘラニヘラ

シンジ「…なんだか、アスカ楽しそうだね。ね、ペンペン。僕は、このままアスカに引いてもらった方がいいと思うんだ。当たってもはずれても。」コソコソ

ペンペン「くぁ?」

シンジ「はずれたら… ミサトさんにはペンペンでもダメだったって嘘をつくよ。口裏合わせてくれる?ペンペン」コソコソ

ペンペン「くぁっ!」

シンジ「ありがとう、ペンペン。晩御飯のイワシ1尾多目に出すよ。」コソコソ

ペンペン「くぁ。」

アスカ「ふふふふふふふ。」ニヘラニヘラ

ポワァンポワンポワン...
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

アスカ『見て見て、加持さん!すっごい星空!まるでシャンデリアね!』

加持『そうだな。だが、アスカの美しさにはかなわないさ。』

アスカ『加持さん…。』

加持『アスカ… こっちへ。』

アスカ『あんっ。そんなココヤシの陰なんて…』

加持『アスカはキスをそんなに人に見られたいのかい?』

アスカ『いいえ、邪魔の入らない2人きりがいいわ。』

加持『アスカ…。』

アスカ『加持さん…。』

ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
ポワァンポワンポワン...

???「………カちゃん!アスカちゃん!」

アスカ「はっ!あ、BigAppleDinerのトクさん!なんでここに?」

トクさん「なんでって抽選会の係員の当番だよ。今日はシンジくん、一緒じゃないのかい?」

アスカ「バカシンジ?いないわよ!今日はアタシひとり!ハワイ6日の旅をいただきに参上したわよ!」

トクさん「ははは。威勢がいいねぇ。じゃ、これ回して。金色の玉が出たらハワイだよ。」

アスカ「へぇ、コレがミサトの言ってたガラガラのアレね。確かにちょっと回してみたくなるわね。あ、金色よね?」

アスカ(落ち着きなさい!アスカ。我が心、明鏡止水。されどこの掌は烈火の如くよ!)

アスカ(金色…金色…金色…金色…金色っ金色っ金色っ金色っ!!!!)

アスカ「どぉりゃああああぁぁぁぁああああああ!!!!」

ガラガラガラガラガラガラガラガラ



コロン...



トクさん「はい、アスカちゃん。」

アスカ「え?」

ポケットティッシュ


ポ ケ ッ ト テ ィ ッ シ ュ




ポ ケ ッ ト テ ィ ッ シ ュ

……………………
………………
………
<特設抽選会場裏手・広場>

シンジ「アスカ………。」

アスカ「な、なによ… バカシンジ……。ア、アタシの無様な、す、姿を嗤いにきたの?」グスグス

シンジ「そ、そんなんじゃないよ!」オロオロ

アスカ「嘘…。あ、あれだけ大見得… 切っておいて 福引…ひとつ… ま、満足な… 景品ぶんどってこれない…
ポ、ポンコツを… 嗤いに… きたんでしょ?う、うわぁぁぁーん! 」

シンジ「ア、アスカ!な、泣かないでよ!ミサトさんだって言ってただろ。これは使徒殲滅任務でも災害救助任務でも無いんだよ。
アスカは大事なところはいつも誰よりもビシッと決めるじゃないか!誰もアスカがポンコツなんて思わないよ!」

アスカ「うわぁぁぁーん!」

シンジ「アスカはポンコツなんかじゃない!少なくとも僕はそう思うし、僕が…僕が誰にもアスカがポンコツなんて言わせない!」

アスカ「ほ、ほんとに?」グスグス

シンジ「うん、だから涙拭いて。」

アスカ「うん…。」グスグス

シンジ「そのティッシュで鼻もかんで。」

アスカ「うん。」チ-ン

シンジ「今日の晩ご飯はアスカの好きなハンバーグだから…。」

アスカ「うん。」

シンジ「だから…。」

シンジ「帰ろうよ、アスカ。僕たちの家に…」


劇終

お騒がせしてすまんかったの

というか誰も見てなかった隙に書き逃げになってしまった

ニュー速VIPの方においなりさんやらポークビッツやら出オチ丸出しのお話を書いてたけど出オチシリーズのネタに詰まって別のテーマに逃げた
言い訳はしない

ネタ元はアスカの中の人がむかし歌ってた
「ハワイ旅情」って曲から
可笑しくも切なくて可愛い曲だから興味があったら一度聴いてほしい


じゃあの

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