女「でも、貴方に見られた時点でその気も失せたわ」

男「奇遇だな…」

女「何が奇遇なのよ？」

男「いや、別に…」

女「…………」

女「貴方はここに何の用事なの？」

男「何となく立ち寄っただけだな」

女「何となくで止めたのね、ムカつく」

男「まぁ、普通なら止めるだろ」

女「止めた理由が意味不明だけどね」

男「お前にもいずれ分かる」

女「一生分からないわ…」

男「……………」

女「でも、誰かに見られながらは嫌だから止めておくわ」

男「俺も見たくねーな」

女「なら、来ないでくれる？」

男「ここは公共の場だろ？」

女「立ち入り禁止よ」

男「その台詞、返却します」

女「とにかく邪魔だけはしないでね」

男「邪魔してるつもりはないな」

女「そう…」

ガチャン

男「ほんと、天気悪いなー…」

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ー

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ーーー

男「よっ！」

女「…………また来たの？」

男「またいたのな、お前」

男「今日は雨降ってるし、やるには最悪だぞ」

女「私にはお似合いだと思うわ」

男「いやいや、こんな日にやるのは勿体無い」

女「勿体無いって…私は雨が好きなの」

女「だからいいじゃない」

男「俺が見てる」

女「…………」

男「見られながらは嫌なんだろ？」

女「…貴方、最低ね」

男「その言葉も返却する」

女「……どうして傘持ってきてないの」

男「必要ないからだよ」

女「私には必要ない、でも貴方には必要でしょ？」

男「まぁ、そうだな…」

男「風邪引くから早く中に入れよ」

女「…………」

男「俺が見てないときにやればいいだろ」

女「…そうね」

女「お願いだから…」

女「邪魔はしないで」

男「………お互いにな」

ガチャン

ーーー
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ー
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男「今日は暑いなー」

女「だったら中に入れば？」

男「今日は用事があるんだよ」

女「早く済ませなさいよ」

男「一人の時にしかできないことだ」

女「奇遇ね、私も一人でやりたいことがあるの」

男「じゃあ、今日は二人共出来ないな」

女「貴方が居なくなれば私は出来るわ」

男「俺も同じだよ、でも」

男・女「いなくなるつもりないから」

男「……いつまでも出来ないじゃん」

女「ふふ、そうね」

男「お前、笑うと可愛いな」

女「……………」

男「今のは照れるとこだぞ」

女「気分悪くなったわ」

男「何でだよ…」

女「こんな気分じゃやる気にならないわ」

男「気分屋か！」

女「お互い様でしょ？」

男「いや、俺は……」

女「……………」

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男「お前、いつも早くね？」

女「早起きは得意よ？」

男「いや、いま放課後だから」

女「私が早く来なかったら、貴方…」

男「何だよ？」

女「何でもない」

男「……………」

女「ねぇ」

男「んー？」

女「抜け駆けなんて許さないから」

男「お前、早すぎだから抜け駆け無理だろ」

女「そうね、だから諦めて」

男「……………」

男「お前はもう諦めたのか？」

女「私は………」

女「貴方が来なきゃそれでいい」

男「何だよ、それ…」

女「だって、見られるのは嫌でしょ？」

男「…………そうだな」

男「一人の時がいい」

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ガチャン

男「んー、今日は良い天気だなー！」

男「こういう日にやりたかったんだよな！」

男「今日はあいつもいない見たいだし」

男「やるなら今の内だよな」

男「……………」

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ガチャン

女「はぁ…はぁ！」

男「よっ、今日は遅かったんだな」

女「はぁはぁ…っ…！」

男「随分焦って来たんだな」

女「…そこは、私の場所よ」

男「ここ、スゲー眺め良いよなー」

男「俺、好き何だよここ」

女「こっちに来て…」

男「えー、もう少し」

女「早くきて！！」

男「………いけないよ」

男「まだ、飛べてない」

女「っっ？！」

男「もう、いいだろ？」

女「私が見てる…！」

男「お前はいつも見てるからなー」

女「だから貴方は飛べないわ」

女「抜け駆けは許さないって言ったでしょ？」

男「抜け駆けじゃない」

男「お前は飛ぼうなんて思ってなかった」

男「ただ…俺に飛ばせなかっただけだよ」

女「もう諦めてよ…こっちへ戻って！」

男「……今日はさ、最高に良い天気だろ？」

男「飛んだら気持ちいいだろうな」

女「………本気なの？」

男「本気だよ、俺は最初から本気だった」

男「お前のせいで諦めかけたけどな…」

男「でも、もう無理だ」

男「もうここには居たくないんだ」

男「消えたいって一度思ったら」

男「ここに居るのが苦痛になったんだよ」

女「居て欲しいって思う人がいても…？」

男「……………」

男「もう行くよ」

男「最期にお前と話せて良かった」

女「……………」

男「…………ありがとな」

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