陰キャラ「毎日本田未央に話しかけられてつらい」 (47)

未央「おはよー、いーくん」

陰キャラ「おはよう……本田さん」

未央「本田さんじゃなくて未央でいいっていつも言ってるでしょー」

陰キャラ「いや……僕ごときが……とても……」

未央「いやー、それにしても今日もバッチリ寝癖が付いてるねえー。髪型セットしたら? 髪型セットしたらカッコよくなるかも!」

陰キャラ「いや……僕は、そういうキャラじゃないんで……」

未央「えー。勿体無いよー。そうしないと女の子にモテないぞ、いーくん。なんて余計なお世話か、あはは」

陰キャラ「……女の子には興味ないし……どうせ、何したってモテないし……それと、そのいーくんって愛称も辞めてくれないかな……いや、別にいいけど、僕みたいな奴と仲いいって回りの人に思われるよ……? そんなの嫌でしょ?」

未央「なんで? 嫌じゃないよ?」

陰キャラ「……」

ガラガラ(先生が入ってくる音)

未央「あっ、先生来ちゃった。それじゃあいーくん! 今日も元気いっぱい行こうね!」

陰キャラ「……」

陰キャラ(毎日本田さんに話しかけられる……僕みたいな陰キャラには本田さんが明るすぎてつらい……)



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次の日。


未央「やぁやぁ、いーくん。元気にやっとるかねー。って、何読んでるのー? 私にも見ーせて!」

陰キャラ「あっ……」

ひょい(未央が読んでる本を取り上げる)

未央「ふむふむ……ほぉほぉ……ふふん、いーくん。いーくんも男の子ですなー」

陰キャラ「あ、あぅぅ……(ラノベでちょうど水着イラストがあるシーンを見られてしまった……)」

未央「これはどういう事かなー? 女の子に興味ないんじゃなかったのー?」

陰キャラ「……いや、その……」

未央「ふふん、このスケベさんめっ。うりうりー」

陰キャラ「うぅ……」

陰キャラ(つらい。本田さんが肘で僕の頬をうりうりしてくるのがつらい。あと本田さんからなにげにものすごいいい匂いがする……)

陰キャラ(僕みたいな陰キャラと本田さんみたいな陽キャラが釣り合わないのなんて百も承知なのに好きになっちゃいそうでつらい)

陰キャラ「……ふぅ、プールの授業、疲れたな……」

陰キャラ(本田さんの水着姿、綺麗だったな……)

陰キャラ(本田さんは『ほらほら、男子諸君、ありがたく拝みたまえー、現役女子高生アイドル、本田未央ちゃんの水着姿だぞー』とか言って、見せびらかしてたけど……)

陰キャラ(クラスの陽キャラ達は、本田さんのノリに合わせて、じっくり拝んでたけど、僕はそんなキャラじゃないから、チラッとしか見れなかったな……)

陰キャラ(もっと、じっくり見たかったなぁ……)

未央「おっ、いーくん発見! とりゃあ!」

がばっ(後ろから陰キャラの首に手を回す未央)

陰キャラ「う、うわぁ!?」

未央「おーっと、未央選手のチョークスリーパーが炸裂っ! これはいーくん選手ギブアップかー!?」

陰キャラ「ほ、本田さん……死、死ぬ……リアルに、ギブ、ギブっ!(あと、本田さんの胸が当たって、そっちもリアルにやばい……っ!)」

未央「あっ、ご、ごめん。いーくん大丈夫!?」

陰キャラ「げほっ、げほっ……う、うん……な、なんとか……」

未央「ご、ごめんね、いーくん。なんか浮かない顔して歩いてたから、元気づけてあげようと思って……」

陰キャラ「……ま、まぁ……ある意味、元気出たけど……」

未央「……? ならいいけど。あっ、それよりさー、さっきのプールの授業、最後の10分くらいの自由時間、なんでいーくん一人で黙々と泳いでたの? なんか水泳の大会出るとか? あ、でもいーくん水泳部じゃないよね?」

陰キャラ「……まぁ、別に、やる事もないからさ……僕、友達もいないから、しょうがなく……」

未央「もー! なんでそういう事言いますかねこのいーくんは! 私といーくん、友達じゃないの!? 声掛けてくれれば、いーくんと遊んだのに!」

陰キャラ(……カースト上位の陽キャラ達に混じって遊んでる本田さんに、遊ぼうって声を掛けるほど、命知らずじゃないよ、僕は……)

陰キャラ「……っていうか、僕と、本田さんって、友達……?」

未央「友達だよ!」

陰キャラ(……友達……友達……)

未央「……? なんでニヤけてるの、いーくん?」

陰キャラ「……い、いや、別に、何でも……」

未央「何でもない訳ないでしょー? あっ、ふふーん、さーてーはー、さっきの未央ちゃんの水着姿を思い出してニヤニヤしてるなーっ、このむっつりさんめっ!」

陰キャラ「そ、そういうわけじゃ……」

陰キャラ(ていうか、本田さんの半濡れ髪も、いいなぁ……)

未央「あっ、でもいーくん。さっき私が水着姿見せびらかしてる時も、泳いでてロクに見なかったでしょ?」

陰キャラ「……あ、うん……まぁ……」

未央「はーっ、勿体無い。私だってアイドルの仕事あるからさー、また次いつ、プールの授業一緒に受けれるか分かんないのに」

陰キャラ「……(とことんついてないなぁ……)」

未央「ま、いいや。それよりいーくん、連絡先交換しよー」

陰キャラ「え? な、なんで急に?」

未央「? いやだって、友達なら、連絡先くらい交換するでしょ?」

陰キャラ「……で、でも。本田さんは、アイドルだから、まずいんじゃない?」

未央「あー、言われてみれば確かに、プロデューサーから、むやみやたらと連絡先を教えちゃダメって言われてるけど……」

未央「まぁでもいーくんだったら大丈夫かなって。言いふらされたり、ネットに晒されたりしたら流石の未央ちゃんもちょっと困るけど、いーくんそういうの絶対しないでしょ? クラスの男の子達と違ってさ」

陰キャラ「ま、まぁ……(普段からネットに入り浸ってるから、そこら辺は人一倍敏感だと自分でも思うし)」

未央「という訳で、いーくんの電話番号教えてー。それとLINEもよろしく♪ やってるでしょ?」

陰キャラ「まぁ、一応は……お母さんとお父さんのしか入ってないけどね……」

未央「お、おおう……流石いーくん、硬派だぜい……でも、逆に言えば、私がいーくんのLINE友達一号じゃん? 光栄ですなぁ」

陰キャラ(僕が暗い事言っても、自然にポジティブな感じに変換してくれる……本田さんって、本当に優しくて……明るいなぁ……可愛いし……)

陰キャラ「……本田さん、すき……」

未央「よーし、登録完了! え? いーくんなんか言った?」

陰キャラ「な、何でもないよ。それじゃあよろしくー」

未央「うん、よろしくー!」

陰キャラ(危ない……無意識の呟きを聞かれる所だった……本田さんと一緒に居ると……身の丈に合わない行動をしちゃいそうになるからつらい……)

陰キャラ(……今日は、本田さん。アイドルの仕事で休みか……誰も喋る人がいなくて、つまんないなぁ……)←机に突っ伏してる陰キャラ

クラスの男子1「なぁ、本田って結構……つーか、マジで可愛くね?」

クラスの男子2「分かる……胸もあるしな……ってか、あいつ、学校に居る時は絶対俺に挨拶してくるし……なぁ、これひょっとしたらひょっとするんじゃねえ?」

クラスの男子3「それなら俺なんかたまにボディタッチされるぜ……これワンチャンあんじゃねえかな?」

陰キャラ(学校に来なくても……男子の話題にちょくちょく出るな本田さん……そりゃあそうだよな、あんだけ可愛いんだし……)

クラスのオタク男子1「……本田、いいよな……」

クラスのオタク男子2「……いい……」

陰キャラ(二次元にしか興味がなさそうなオタクっぽい人たちさえも話題に出す本田さん……誰とでも分け隔てなく接してるんだなぁ……やっぱ本田さんのコミュ力すごいんだなぁ……)

陰キャラ(僕なんか、クラスのどのグループにも属せないくらい、コミュ力ないし……)

陰キャラ(はぁ……せっかくの昼休みなのになんかいたたまれないなぁ……クラスにいるのもアレだから、校舎の中を適当にうろつくか)

スタスタ

未央「ばぁ☆」←急に物陰から出てくる未央。

陰キャラ「う、うわぁ!」

未央「あははー、いーくんったらもう、ビビりすぎだってば」

陰キャラ「だ、だって急だったから……ていうか、あれ? 今日学校休みじゃなかったっけ?」

未央「あー、そうだったんだけど、なんか珍しく速く終わったから、来ちゃった♪ 社長出勤ならぬ校長出勤☆ ふふーん、未央ちゃんも偉くなりましたなぁ」

陰キャラ「……そんな出勤、聞いた事ないけど……」

未央「お、ナイスツッコミ、というかいーくんから始めてツッコまれた気がする。えへへー、いーくんの初ツッコミ、いただきましたー☆」

陰キャラ(本田さんの笑顔、可愛いなぁ……きっと、この笑顔で、みんな本田さんのファンになるんだろうなぁ)

未央「というか、いーくん、一人で何してるの?」

陰キャラ「……いや、することないから、学校の中をぶらぶらと……」

未央「お、おおう……うーん、一つ聞きたいんだけどさ、いーくんって、一人が好きなの?」

陰キャラ「……別に、そういう訳じゃないけど……」

未央「そっか、それならいーくんも私以外に友達欲しいって思ってるんでしょ?」

陰キャラ「うん、まぁ……」

未央「それならいーくん。挨拶だけでも始めてみよう! 挨拶は大事! それは芸能界でも学校でも同じ! いーくん、教室に入っても誰とも挨拶かわさないでしょ? それはね、ひじょーに良くないと未央ちゃんは思う訳です」 

陰キャラ「だって、僕なんかに挨拶されても、さ……」

未央「はいストーップ! ネガティブ禁止! 挨拶されて嫌な人なんてこの世にいないんだから!」

陰キャラ(そうかなぁ……僕みたいな陰キャラに挨拶されたって……でも、本田さんが言うと、本当にそう思えるから不思議だ……こういう所が、本田さんの人気の秘訣なんだろうなぁ……)

未央「という訳で、挨拶の練習。それといーくんって、話す時も中々目も合わせてくれないでしょ? それも良くない! だから、私の目を見て、おはよっって言ってごらん! ゆうきちゃんみたいに!」

陰キャラ「(ゆうきちゃん……? ああ、本田さんと同じ事務所のアイドルか……ていうか、目を見ておはようとか……)む、むり……むーりぃー……」

未央「なにぼののみたいな事言ってるの! ほら、顔上げて、私と目を合わせて!」

陰キャラ(うっ……言われたとおりに顔上げて、本田さんと目合わせたけど……改めて見ると、本田さん、本気で可愛いなぁ……目が大きくて……顔はちっちゃくて……)

未央「ほら、いーくん。おはよう、は?」

陰キャラ「……う、あ……お、おはよう……」

未央「目を逸らさないで、もっと大きな声で」

陰キャラ「(……こうなったらヤケだ……)お、おはようっ」

未央「……よし、えへへ、出来るじゃん、いーくん!」ニコッ

陰キャラ「……う、うん……出来た……かな?」

未央「うん、バッチシ☆ その調子なら、いーくんにも、すぐ、友達たくさん出来るよ! それじゃあ、また教室でね!」←陰キャラの肩をポンと叩いて、廊下の先へ消えていく未央。

陰キャラ「……」

陰キャラ(本田さんと、ちょっと見つめ合っちゃった……心臓が、ドキドキしてる……)

陰キャラ(なんか、ニヤけが止まらない……これじゃあ、やばい奴扱いされちゃうよ……本田さんと触れ合うと、毎回こんな感じになっちゃうからつらい……)

陰キャラ(今日は休み……学校はない……この前までならひたすらアニメやゲームだけに集中出来る、楽しい日だったはずなのに……)

陰キャラ(なんでだろう。最近はあんまり楽しくないなぁ……なんていうか、アニメとかゲームに集中しきれない)

陰キャラ(なんでかスマホが気になったり、速く学校行きたいなぁ、なんて思っちゃう……)

陰キャラ(……僕のスマホに連絡をくれる人なんか、両親か本田さんしかいないし、学校なんか、苦痛でしょうがない場所のはずなのに……)

陰キャラ(……本田さん……)

陰キャラ(この前の呟き、本田さんに聞かれなくて良かったな……)

陰キャラ(僕は、自分の立ち位置というか、立場は分かってるつもりだ)

陰キャラ(僕みたいな奴に好かれても、本田さんにとっては迷惑なだけだろう)

陰キャラ(本田さんは別に僕の事が好きとかそういうんじゃなくて、ただのクラスメートのよしみってだけで話しかけてくれてるだけなんだから……)

陰キャラ(だから、勘違いはしちゃだめだ……僕みたいな奴は、影でこそこそ生きるのがお似合いなんだから……)

ティロン(LINEの通知音)

陰キャラ「LINE……お母さんから、夕飯何がいいって言うLINEかな? いや、でもお母さん普段電話のはずだし……父さんかな?」

通知 本田未央

陰キャラ「わ、わ、本田さんからだ……!」

陰キャラ「……」←恐る恐るLINEを開く

未央『やっほー☆ いーくん。水着での撮影中なう♪ せっかくだから、この前のプールの授業で私の水着がロクに見れなかった可哀想ないーくんに特別サービス☆ ありがたーく受け取ってね♪』

陰キャラ(うわ、うわー……やばい、結構大胆な水着だ……)

陰キャラ(やばい、どうしよう、見とれちゃうよ……)

未央『ちょっといーくん、既読無視ですかー。流石にちょっと傷ついちゃうなー』

陰キャラ(あ、やばい。本田さんの水着ばかり見てて、返信するの忘れちゃってた)

陰キャラ『ごめん。なんて返せばいいか、わからなくて……』

未央『こういう時は、何でもいいから褒めるの! もー、女の子の扱いがなっとりませんなー!』

陰キャラ『ごめん……本当にごめん……』

未央『あ、いや、怒ってないから大丈夫☆ ごめん、文字だと伝わりにくいよね。本当に怒ってないから安心してね♪』

陰キャラ(……文字の上でも明るいなぁ、本田さんは……)

陰キャラ『なら良かった……それと、水着、似合ってる……』

未央『そうそう、そんな感じ☆ 褒めてくれてありがとっ。ていうか、いーくんは何してるのー?』

陰キャラ『家で漫画読んだり、ゲームしたりしてる……』

未央『お、おおう……もっと外でようぜぃ……って言いたいけど、まぁそこはいーくんの自由だしね☆ それじゃあそろそろ、撮影に戻るね! お互いにいい一日にしようね、いーくん♪』

陰キャラ『……うん……』

陰キャラ(うわぁ……本田さんとLINEしちゃったよ、ぼく……)

陰キャラ「……へへ……」

陰キャラ(やばいなぁ、これ……本田さんのファンの人からしたら、相当羨ましがられるんじゃないのかな……)

陰キャラ(……そう言えば本田さんがアイドルしてる姿、見たことなかったな……ちょっとネットで探してみるか……)

その日の夜。

陰キャラ(…………気がついたら、ネット上に落ちてる本田さんの動画を見てるだけで休日が終わってしまった……全くアニメやゲームを消化出来なかった……休みの日まで本田さんの事で頭がいっぱいになっちゃってつらい……)

未央「あれ? 髪切った?」

クラスの男子1「ま、まぁな……」

未央「へぇー。そっちの方がかっこいいじゃん、このこのー!」

クラスの男子1「ま、まぁな……」

クラスの男子2「お前さっきから、まぁな、しか言ってねえじゃん。何照れてんだよw」

未央「お、なんだなんだー? 未央ちゃんの可愛さに照れちゃってる系かーい?」

クラスの男子1「う、うっせえし」

クラスの男子3「おい本田、あんま調子に乗んなよーw」

未央「えへへー。はーい、気をつけまーす」

クラスの女子「ねえ、未央ー。一緒にご飯食べよー!」

未央「おっ、了解。それじゃあ男子諸君、またねっ!」

陰キャラ(本田さん……今日も、人気だなぁ……)

クラスの男子1「……本田、可愛い……」

クラスの男子2「……わかる……」

クラスの男子3「すき……」

陰キャラ(男子達の語彙力が著しく低下してる……まあ、気持ちは分かるけど……)

陰キャラ(でも、今日は本田さんと喋れてないなぁ……今日は、無理かな……)

そして放課後。


陰キャラ(結局、今日は本田さんと話せなかったな……何だかこのまま帰るのもなぁ……)

陰キャラ(せめて……本田さんの曲でも聞いてから帰ろ……人の出入りの少ない校舎の端っこの階段の影……ここなら、人気もないし、スマホで音楽聞いても大丈夫かな)

陰キャラ(近くにある自販機でジュースを買ってっと…………本田さんのこのミツボシって曲、いいな……それに、こっちのステップって曲も、なかなか……)

陰キャラ(でも、勢いでCDとかも買っちゃったけど、本当にアイドルなんだなぁ、本田さん。すごいなぁ……)

陰キャラ(それに比べて、僕は……)

未央「よっ、いーくん♪ 何聞いてるの? 私にも聞かせて―!」

陰キャラ「わ、わっ……ほ、本田さんっ?」

未央「お、私の曲聞いてくれてるんだ。うれしい♪」

陰キャラ「……どうしてここに……?」

未央「いや、ほら今日いーくんと喋れてなかったでしょ? だから、ちょっとだけでもいーくんと話してから帰ろうかなって」

陰キャラ「そ、そう……(わざわざ探してくれたのかな……嬉しい……)」

未央「それでいーくん、未央ちゃんの曲、どう?」

陰キャラ「うん、いい曲だと思うよ……本当に……」

未央「でしょー! CD録る時、すっごい頑張ったんだから! ライブでも歌ってて楽しいんだこの曲♪ お客さんも盛り上がってくれるし!」

陰キャラ「……確かに、動画で見たら、すごい盛り上がってたね」

未央「おっ、未央ちゃん達の動画、チェックしてくれたんだ? 未央ちゃん嬉しいぞ☆ あっ、そうだ。今度いーくんライブ来てみたら? すっごく楽しいよ!」

陰キャラ「うん、考えとく……」

未央「うん、約束だよ☆ ところでさぁいーくん」

陰キャラ「……ん?」

未央「今日、それとなーく、クラスのみんなに、いーくんの事を聞いてみたんだよ」

陰キャラ「……えっ……」

未央「い、いーくん? 大丈夫? なんだか目に見えてテンションが急降下してるけど……」

陰キャラ「……だ、だって……どうせみんな、僕のことなんか……」

未央「もー!なんでそういう事言うかなぁ。前も言ったでしょ。ネガティブ禁止! いーくんが思うほど、いーくんは嫌われてないよ」

陰キャラ「そうかなぁ……」

未央「そうだよ! みんないーくんの事は嫌いじゃないって言ってた。ただ、話したことがないから、どう接すればいいかわかんないとも言ってたね」

陰キャラ「……(好きの反対は無関心って言葉、あったよな……そうか、ぼくは嫌われてすらいないのか……誰にも、興味さえ持たれてないのか……)」

未央「でも、良かったねいーくん」

陰キャラ「……え?」

未央「だって、嫌われてないってことは、マイナスじゃないって事でしょ? あとはいーくんの印象は、良くなる一方ってことだよ!」

陰キャラ「……」

陰キャラ(本田さんは本当にすごいな……ぼくにはそんな風に考えられない……)

未央「私たちも、最初にアイドルデビューした時は、興味さえ持たれなくて大変だったけど、でも、今じゃあおっきな会場を埋めてくれるくらいファンが居るし、きっといーくんだって――」


???「……あー本田、ガチでうざいわ」

陰キャラ(……?)

???「わかるー。超わかるー。なんなんあいつのあのキャラ。ほんと見てるだけでイラッとくる」

陰キャラ(……この声は……確か、ぼくたちと同じクラスの、女子達だ……カースト上位系というか……本田さんとはあんまり仲良くなさげな……)

クラスの女子1「なんか調子にノッてるよね―。マジムカつく」

クラスの女子2「明るく振る舞う私、可愛いでしょ?的なオーラ放ってんのがうざいわー」

クラスの女子1「そうそう。なんかあいつさー、クラスにいるあいつ……なんだっけ? 名前も分かんないけど、あの陰キャラにも話しかけてんじゃん?あれが超うざい」

クラスの女子2「わかるー。超わかるー。誰にでも話しかける私、優しい! みたいな感じ出しまくりだっての。いい子ぶってんじゃねえって話」

クラスの女子1「あー、本田マジでうぜー。消えて欲しいわー」

クラスの女子2「わかるー。超わかるー」



陰キャラ「……」

未央「……」


陰キャラ(どうやら、たまたま自販機のジュースを買いにきた、クラスの女子二人は、僕達が視界に入らなかったようで……その後も、聞いてるだけでもムカムカするような悪態を尽きながら帰っていった)

未央「……」

陰キャラ(どうしよう、すっごく気まずい……)

陰キャラ「え、えっと、本田さん、ぼくは……」

未央「……あっははー。いやー、参っちゃったねー、いーくん。タイミング悪かったね―。陰口言ってる現場に立ち会っちゃうとはー」

陰キャラ「……う、うん」

未央「うーん、でも、逆に新鮮だよね。陰口ってほら、陰で言うから陰口って言うんだし。むしろ貴重だよね。自分の陰口を直接聞けるとかさ……」

陰キャラ「……そ、そう、かもね、うん……」

未央「いやー、まぁ確かに、未央ちゃんも最近ちょーっと調子にノッてるかなーって自分でも思ってたし、うん、これは自分を見つめ直すいい機会ですな、ははっ……」

陰キャラ「……本田さん……」

未央「って、なんだかつかさ社長みたいな事言ってるなー私……こうなったらいっそ、私もつかさ社長を見習って会社、立ち上げちゃおっかなー、なんて……あはは……」

陰キャラ「……」

陰キャラ(……本田さんはそう言ったあと、俯いて何も喋らなくなってしまった……)

陰キャラ(なにか、なにか慰めの言葉を……)

陰キャラ「……あの、本田さん……」

未央「……うっ…‥ぐすっ……」

陰キャラ「……」

未央「……ううっ……」

陰キャラ(……本田さんの足元をみると、床にいくつかの水滴があった……)

陰キャラ(本田さんが、泣いてる……)

未央「ひっく……ご、ごめんね、いーくん……こんな姿、見せるつもりじゃなかったんだけど……」

陰キャラ「……いや……」

未央「でも、あの、私、別にさっきのあの子達が言ってたような理由で、いーくんに話しかけてた訳じゃなくて……」

未央「ライブやイベントで、ファンやアイドルのみんなが見せる、心の底から楽しそうな笑顔を見るのが、私は好きでさ……」

未央「でも、ライブやイベント以外の時間をつまらなそうな顔をして過ごすのも何か違うと思って……」

未央「……ああいう笑顔をもっと見たくて……私の周りのみんなには、いつも笑っていて欲しくて……」

未央「だから、だから、私はさ……」

陰キャラ「……」


陰キャラ(そこまで言うと、本田さんは、また言葉に詰まり、顔を伏せてしまった)

陰キャラ(……)

陰キャラ(……本田さんがぼくが話しかけてくれてる理由)

陰キャラ(心の奥底で、ひょっとしたら……万が一、いや億が一……ぼくの事が好きなんじゃないかなんて思ってた……)

陰キャラ(それは違った……ぼくの思い上がりだった……)

陰キャラ(バカだな……バカだ、ぼくは……ものすごく恥ずかしい奴だ……)

陰キャラ(でも……でも……今はそんなこと、どうでもいい)

陰キャラ(本田さんが……好きな女の子が泣いてるんだ)

陰キャラ(ここで何も出来ないようなら、ぼくは本当にどうしようもない奴だろう……)

陰キャラ「……本田さん」

未央「……」

陰キャラ「……ちょっとだけ、ぼくのつまらない話を、聞いてくれないかな?」

未央「……うん」

陰キャラ「……ぼく、実はさ……学校、やめようと思ってたんだ……ちょっと前まで」

未央「……え?」

陰キャラ「学校来てもつまらないし……誰もかまってくれないし……周りはみんな友達いるのに、ぼくだけ友達出来ないっていうのも、何だか惨めでさ……」

未央「……」

陰キャラ「小学校でも中学校でも、友達出来なくてさ……高校生になってもそれは変わらなくて……ああ、だったらもう学校に通ってもしょうがないから、辞めようって考えてた」

未央「……」

陰キャラ「でも、ある日、本田さんが話しかけてくれて……本田さんにとっては、何でもない事かも知れないけど……ぼくにとっては、すごく嬉しい出来事だった」

未央「……」

陰キャラ「本田さんが居たからぼくは、今日まで高校に通うことが出来た……冴えないぼくにさえ話しかけてくれた本田さんの明るさと優しさに、ぼくはものすごく救われたよ」

未央「……」

陰キャラ「多分、ぼくみたいに本田さんが話しかけてくれたことで、救われた人は、きっと沢山いる」

陰キャラ「……だから、だから本田さんが、あんな奴らの言うことなんか、気にする必要ない」

陰キャラ「本田さんは、絶対に間違ってない」

未央「いーくん……」

陰キャラ(……考えてみれば、自分に自信がなくて、いつもオドオド喋るぼくが、こんな風に何かを言い切ったのは、生まれて初めてかもしれなかった)

陰キャラ(でもこうやって言い切れた自分が何だか、とても誇らしかった)

トゥルルル

未央「……あ、ごめん、いーくん。プロデューサーから電話だ。実はこのあと、仕事だからさ。校門前まで迎えにきて貰ってたんだ」

陰キャラ「……えっと、その、大丈夫なの? 休んだ方が……」

未央「あはは。大丈夫だよ、いーくん。仕事に穴開けて、プロデューサーや事務所のみんなに迷惑掛ける訳にはいかないしね」

陰キャラ「そっか。わかった……でもあんまり、無理しないでね……」

未央「ふっふっふ、私を誰だと思っているのかね? アイドルエンターテイナー MIO HONDAだぜぃ☆ 心配ご無用♪」

陰キャラ(……ちょっと無理してるけど、でも、空元気って訳じゃなさそうだ……ぼくの言葉で、ちょっとは元気になってくれたのなら嬉しいな……)

未央「それじゃあ、今日はこれで」

陰キャラ「うん、またね」

未央「うん。またね♪ …………あ、それと、いーくん」

陰キャラ「……うん? なに? 本田さん」

未央「……ありがとう!」

陰キャラ「……うん」

陰キャラ(ぼくの返事を聞くと、本田さんは、いつものように、太陽みたいに明るく笑って、去っていった)

次の日の朝。

陰キャラ(あのあと、本田さんからLINEがあって、1~2週間は仕事が忙しくて、学校に来れないとの事だった)

陰キャラ(それは残念だったけど……ぼくは逆にいい機会だと思っていた)

陰キャラ(……あれから、本田さんと別れてから、ぼくはずっと考えていた)

陰キャラ(ぼくは、本田さんの為に何が出来るだろうかと)

陰キャラ(プレゼントでもしようか、とちょっとだけ思ったけど、それは何か違うだろうし、親以外の他人にプレゼントを上げたことのないぼくが、本田さんを元気づけられるプレゼントを選べるセンスがあるとは思わなかった)

陰キャラ(それからも美味しい食事に誘おうとか、小粋なジョークで笑わそうとか、色々考えたけど、そんな事が出来れば、コミュ障の陰キャラになっていない)

陰キャラ(陰口を言った女子たちに、何かしてやろうかと思ったけど、ぼくは暴力をふるったり悪口を言ったりするのは好きじゃない)

陰キャラ(そんな風に悩んで悩んで、悩んだ結果、一つだけぼくにでも出来そうな事があった)

陰キャラ(そして今、ぼくはそれをやろうとして、教室のドアの前に立っている)

陰キャラ(緊張、していた。喉はカラカラだし、頬は熱い。呼吸が荒くなっているのが、自分でも分かる。どうしても落ち着かなくて、手と足をバタバタさせてしまう)

陰キャラ(こんな緊張は、生まれて初めてだ……自分で決めたことなのに、逃げ出せるものなら、逃げ出したい……)

陰キャラ(……だけど、どうしても逃げる訳にはいかなかった)

陰キャラ(ぼくに出来るのは、これくらいしかないから)

陰キャラ(……この前見た動画の中では……本田さんは、数百人、数千人、あるいは、万を越える人の前に、一人で歌って踊っているものもあった)

陰キャラ(本田さんだって、緊張するだろう。失敗したらどうしようっていう恐怖にとらわれることだって、あるはずだ)

陰キャラ(それでも、本田さんはその緊張や恐怖に打ち勝って、その身一つで、ステージに出ていったんだ)

陰キャラ(なら、ぼくだって……ぼくだって……)

陰キャラ(本田さんの姿を思い出しながら……ぼくは、覚悟を決めると、ゆっくりと教室のドアを開いた)

陰キャラ(そして、ぼくは自分の人生史上、もっとも大きな声で、言った)



陰キャラ「みんな、おはようっ!」



陰キャラ(……それから、ぼくは毎朝、教室に入る時、大きな声で挨拶した)

陰キャラ(……ぼくの挨拶への反応は最初、恐ろしいほどに芳しくなかった)

陰キャラ(怪訝そうな顔をして、ぼくを見る人。痛々しい奴を見る目で、ぼくを見る人。ぼくを見て、クスクスと笑う人)

陰キャラ(でも、それらの反応は、ぼくはあまり気にならなかった)

陰キャラ(大きな声で挨拶するというのは、案外気持ちよかったし)

陰キャラ(少なくとも、教室に入っても、誰からも反応されないよりかは100倍マシだった)

陰キャラ(そして、挨拶を初めて四日目のこと)

陰キャラ「みんな、おはようっ!」

クラスの男子1「……お前さぁ、急にどうしたん?」

陰キャラ「え……な、なにが?」

クラスの男子2「いや、急に毎朝、大きな声で挨拶し始めたら、誰だってそう思うぜ」

クラスの男子3「そうだよお前、てか毎朝毎朝うるせーぞw」

陰キャラ「え? そうだったの? ご、ご、ごめん……」

クラスの男子1「いや、別に謝んなくていいけどさ。なんで急に挨拶し始めたん?」

陰キャラ「いや、その……クラスのみんなに、ぼくの事を知ってもらおうと……」

クラスの男子2「もうこのクラスになってからかなり経つのに今更かよw お前面白いなw」

陰キャラ「え? そ、そうかな……?」

クラスの男子1「あーでもそう言えば俺、お前の名字は知ってるけど、お前の下の名前とか知らないな。お前下の名前なんていうの?」

陰キャラ「え、えっと……ぼくの下の名前は――」


陰キャラ(と、こんな風に、クラスメイトと会話を交わすようになった)

陰キャラ(そうして、気がつけばいつの間にか、ぼくはこの男子達の会話に加わるのが日常となり、ぼくはこの男子グループの一員となり…‥)

陰キャラ(彼らのことを、友達とも呼べるになった)

陰キャラ(さらには他のクラスメイトともぽつぽつと会話するようになり……)

陰キャラ(ようやくぼくは、このクラスに自分の居場所が出来たような、そんな気がした)

陰キャラ(そして、本田さんが泣いた日から二週間経った日)

陰キャラ(本田さんが久しぶりに登校してきた)

陰キャラ(本田さんが登校してきたのは昼休みで、ちょうどぼくが男子グループと共にご飯を食べており)

陰キャラ(ぼくのその姿を見ると、本田さんは目を真ん丸にして驚いていた)

陰キャラ(本田さんに教わった挨拶、アレをやったら、友達、出来たよ)

陰キャラ(……最近、学校楽しいよ。全部、本田さんのおかげだよ、ありがとう)

陰キャラ(ぼくがそう言うと、本田さんは、とても嬉しそうに笑って、やれば出来るじゃんいーくん!! と、ぼくの背中をバンバン叩いてきた)

陰キャラ(ちょっと痛いくらいに叩かれたけど……でも、その本田さんの笑顔が見れて、勇気を振り絞って甲斐があったと思った)

陰キャラ(ぼくは、本田さんに元気づけられて、笑わせてもらってばっかりだったから、ぼくが本田さんを元気づける事ができて、笑わせることが出来て、本当によかった)


陰キャラ(それから、ぼくは学校生活を思う存分楽しんだ)

陰キャラ(体育祭や文化祭と言った、今までは敬遠してたイベントにも、参加するようになったし)

陰キャラ(挨拶を続けてたら、朝の挨拶運動の実行委員長にもなってしまったのは笑ったけど)

陰キャラ(休日も、家に閉じこもってばかりではなく、友達と出掛けるようになった。また服装や髪型にも気を配るようになった)

陰キャラ(そして少し自信が付き、ちょっと前までは考えれないほど、人と触れ合う機会が増え、笑う事が多くなった)

陰キャラ(人生が目に見えて変わっていった)

陰キャラ(……もし、本田さんが話しかけてくれなかったら、ぼくは一生一人で、暗い顔をして生きていたかもしれない)

陰キャラ(本当に、本田さんには感謝してもしきれない)

陰キャラ(……そして、同時に本田さんへの恋心も、抑えきれなくなっていた)

陰キャラ(100%フラれるとわかっていても、釣り合わないと理解していても、それでもやっぱり諦めがつかなかった)

陰キャラ(身の程知らずと言われようと、それでも、何事も行動してみなくちゃ結果は分からないものだ)

陰キャラ(それをぼくに教えてくれたのは、他ならぬ本田さんなのだから)



未央「いーくん、話ってなに?」

陰キャラ(そして、放課後、呼び出した本田さんが、今、ぼくの目の前にいた)

陰キャラ(……ぼくは、体中から集められるだけの勇気をかき集めて、そして大きな声で、こう言った)

陰キャラ「本田さん、ぼくは、きみのことが――」

十数年後


女子生徒「……先生、今日は相談にのってくれて、ありがとう」

陰キャラ「いいんだよ。それがぼくの仕事だし、またいつでも来てくれていいからね」

女子生徒「……うん、また来る。今日は帰るね」

陰キャラ「はい、気をつけて帰るように。またっ!」

女子生徒「……先生って」

陰キャラ「?」

女子生徒「いや、いつも挨拶が元気だから、ちょっと気になって」

陰キャラ「まぁ、挨拶は基本だし、元気に挨拶されて嫌な人はいないからさ」

女子生徒「……そうかな?」

陰キャラ「そうだよ。これだけは、自信を持って言えるね」

女子生徒「……あたしもやってみようかな、友達、欲しいし」

陰キャラ「頑張れ。応援してる」

女子生徒「……うん、それじゃ」

陰キャラ(そう言うと、彼女はぼくに小さく手を振って出ていった)

陰キャラ(……ぶっきらぼうな言葉遣いをする彼女だが、初めて会った時に比べれば、かなり心を開いてくれたと思う)

陰キャラ「最初の方なんか、ロクに口もきいてくれなかったもんなぁ……」

陰キャラ(初めて彼女と出会った時のことを思い出して、苦笑いをしながらぼくは帰り支度をはじめた)

陰キャラ(スクールカウンセラーとして、働きはじめて数年が経った)

陰キャラ(この職業を選んだ理由は、自身の経験を活かして、相談しに来る生徒達に、心から親身になって、話を聞いたりアドバイス出来ると思ったからだ)

陰キャラ(楽な仕事じゃないけども、小中の頃の、友達がいなかった時のぼくの生き写しのような生徒たちの相談にのってあげることで、徐々に彼・彼女達が明るい表情をするようになっていくのは、何回見てもやはり嬉しい)

陰キャラ(最近は、この仕事が天職なのではないかと思い始めてきたところだ)



陰キャラ「ん? LINE……ああ、返事するの、忘れてた。もうすぐ帰るよ……と」

陰キャラ(……なんだか、今でも信じられないなぁ、このぼくが結婚して、さらには娘までいるなんて)

陰キャラ(帰り道、LINEの返信をしながら、しみじみとそう思った)

陰キャラ(昔、漠然とぼくは結婚どころか、彼女も出来ないんだろうなぁ、なんて勝手に悲観していたが……)

陰キャラ(今のぼくには妻がいて、娘がいて、家庭がある)

陰キャラ(中学生の時、厨二病をこじらせ、社会の歯車にだけはなりたくない、などと思っていたけど……)

陰キャラ(今は、家と職場である学校を往復するだけの日々で、社会の歯車と言えばそうだけれども……だけどそんな日々が、とても愛おしい)

陰キャラ(どこにでもある、ありふれた、だけど何物にも代えがたい幸せを感じている)

陰キャラ(こんな日々を続けていくのが、今の目標で、夢であり)

陰キャラ(きっと続けていける、大丈夫だ、という自信もある)

陰キャラ(……昔のぼくに比べたら、随分と自信がついたもんだ、と我ながら思うけど)

陰キャラ(でも、そう思えるだけの努力はしてきたつもりだし、なにより今の自分が、ぼくは好きだ)

陰キャラ(……大分、変わったな、と自分でも思う)

陰キャラ(ちょっとしたきっかけで、人間は案外変われるものかもしれない)

陰キャラ「ただいまー! 帰ったよ―!」

娘「パパー!! お帰りー!」

陰キャラ「はいただいま。いい子にしてたかい?」

娘「うん!!」

陰キャラ「そうか、えらいぞ」

娘「えへへ・・・それよりねえパパ」

陰キャラ「うん?」

娘「パパが昔、アイドルが好きだったってママに聞いたんだけど、ほんとう?」

陰キャラ「え? うん、まぁ……」

娘「えー、わたし、ちょっとパパに引いちゃうかも……」

陰キャラ「……今は、きみのことが世界で一番大事だよ。世界で一番好きなのは、ママだけどね」

娘「やたっ。でも、パパが好きだったアイドルって一体だれなの?」

陰キャラ「それはね……」


未央「お帰り、いーくん。ご飯できてるよ!」


陰キャラ「――君のママだよ」




終わりです。
読んでくれた人、ありがとうございました。
本田未央と結婚したい。


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