【モバマス】まゆ「私はあなたを諦める」 (19)

※とても短い上に、季節外れですがご了承ください。

Pさん、Pさん?
すこし、いいですか?
大事な話があるんです。お願いします。
ほら、今ならちひろさんも他のアイドルの皆さんだっていませんし。
Pさん、クリスマス、何してましたかぁ?
まゆは、ですね? アイドルのみんなでクリスマス会だったんです。
イヴちゃんがサンタ服の着込んでみんなにプレゼントをくれまして。
え?
あぁそうなんです。このシュシュ、イヴさんがくれたんですよ?

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Pさんは、何をしてましたか?
なんて。知ってるんですよぉ。そのことでお話したかったんです。


一緒にいた女の人。彼女さん、ですよね?


隠さなくてもいいですよぉ、まゆが言いふらしたりなんてすると思いますか?
というかバレバレですよ。あんな空気を。



あんなに幸せな空気を出していたんですから

だから、まゆは。 あなたへの恋を諦めます。

少し、長くなりますけど。まゆの言葉を聞いてください。



Pさん。まゆはPさんが好きです。

まだ、好き…………なんです。

偶然だったんです。これは本当です。

クリスマス会が終わって、少し街の様子が見てみたくて……。

クリスマスの夜に街に一人なんて、って思ったんですけどね?

眩いイルミネーション、賑やかな街並み、軽快な音楽。すごかったじゃないですか。

だから、クリスマス会の後のちょっと高鳴った心に合っていて、ついつい、足が弾んでいたんです。

町行くカップルの皆さんを見ながら、Pさんとならって想像して。

カップルの行動に自分の願いを重ねたりなんかして。

なんですか?日菜子さんっぽい?

いいじゃないですか、クリスマスで一人だったんですよ?


そして、まゆはPさんを見つけたんです。

Pさんが彼女さんといるところを。

まゆは気になって、でも二人の姿を見て。

驚きとか、悔しさとか。悲しさとかそんなものよりも。



「いいなぁ」



そう、呟いていたんです。

まゆの中には『一番』があったんです。

目の前のカップルの行動に『まゆならもっとこうできる、こうしたい』

幸せな会話に『まゆならこう言う、言ってみせる』

自分の理想の『一番』をまゆはPさんとしたくて。

クリスマスじゃなくてもいい。Pさんと二人でしたい『一番』のことがあって。

目の前で仲良く談笑する二人。

それは、まゆの求める『一番』ではありませんでした。

でもそこには。


まゆの『一番』よりも輝く笑顔のPさんがいて。
まゆの『一番』よりも楽しげな彼女さんがいて。


そして何より。とてもとても幸せそうでした。

まゆには、できないと。思ってしまったんです。

Pさんのことが好きで。Pさんに幸せになってほしくて。

Pさんと一緒に幸せになりたくて。

アイドルを一緒に頑張って。そんな『一番』がまゆにはあって。

それよりも幸せな目の前のPさん達に。まゆは羨ましい、って思っちゃったんです。

羨ましい、そのことをわかった時は驚いて。

まゆはそのまま家に走って帰ったんです。

羨ましい。


それは、まゆが、まゆ自身が。

まゆでは目の前で更新されてしまった『一番』をできないと認めることだったからです。

それは、負け。とかそういうことではなくて。

まゆが認めている証拠でした。

Pさんが彼女さんと幸せにしているその光景が。
まゆの考える一番のPさんの幸せの光景だったんです。




そこに。まゆの想いがなかったとしても。

ねぇ、Pさん。

あの人のこと……好きですか?

……お願いです、真面目に、本心を教えてください。

まゆは、Pさんの本当の言葉を知りたいんです。

…………はい、ありがとうございます。

もう、「愛してる」なんて、そんな端的に、何もつけずに言わないでくださいよぉ。

違うってわかってても、まゆに言われた気がして嬉しいじゃないですか。

大丈夫、大丈夫です。

Pさんのその顔で、まゆはわかりますから。

安心してください、アイドル、やめたりなんてしませんよ。

だって、アイドルやめちゃったらPが振り向いてくれないじゃないですか?



え? 諦めてないじゃないかって?

お仕事の時くらい、いいじゃないですか。

アイドルをしている時くらい、私を、まゆを見てくださいよ。

それくらいいいですよね?

まゆの『一番』したいことは負けてしまったけれど。
まゆの『一番』してあげたいことも変わってしまったけど。

でもまゆの『一番』はまだ、残ってるから。

あの時のPさんの笑顔、あの時のPさんの幸せそうな声が、頭に残ってるから。

アイドルを続けて、いつかあなたに『アイドルのまゆ』に『一番』を見せてもらうために。

それまでまゆはあなたへの恋を諦めます。

だからPさん、幸せになってください。

幸せになって、いつか結婚するかもしれないけれど。

その時まゆは、笑顔で祝福しますから。

Pさんの『一番』を、まゆに見せてください。

まゆはその幸せを、その幸せに負けないものを、まゆがPさんと一緒に感じたいから。

アイドルとして、プロデューサーとして必ず幸せにしてみせますから。
アイドルとして、プロデューサーと必ず幸せになってみせますから。


だから、まゆはあなたへの恋を諦めます。

……ほんの、少しの間だけ、ですけどね?

終わり

Pに本当に幸せな恋人ができたらまゆは諦めるのか、と考えて書いてみました。
季節? いや、まぁ幸せなカップルが出てくる季節ってことで
まゆはすっきり諦めて、ってことはないけど認めることはしそう、ですよね?

依頼だしてきます。

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