歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」(295)

※ダンロンパロです
※そのため死亡描写あり〼
※AqoursとPDPが同時系列です



幼稚園、年中だった頃のお遊戯会。

緊張して泣き出しちゃった私に、彼女は言ってくれた。

「いっしょだから大丈夫だよ。ふたりで思いっきり楽しんじゃおうよ」

私は今でも、その言葉を覚えている。

────東京・お台場、私立虹ヶ咲学園。

『卒業した者は将来の成功が約束されている』とまで言われる、超が幾つあっても足りないエリート学校。

そこに集まるのは、各界に名を連ねるほどの、才能溢れる生徒ばかり。

いわゆる『超高校級の才能』を持った人たちだけが入学を許される場所。

私の名前は、上原歩夢。

ひょんなことで、今日からその虹ヶ咲学園に通うことになった高校生です。

パリっとした虹ヶ咲の制服に身を通した今でも、ビックリしています。

だって、そんな凄い人たちの通う学校に足を踏み入れるんですから。

期待は胸いっぱいけれど、それと同じくらい、大丈夫かな、場違いじゃないかな、って、不安もあります。


えっと……そこに入学するってことは、あなたにも相応の才能があるんでしょう、って?

勿論。私は、超高▽級の×◎と呼ば√ていて……。

聞こえ■かった? もう♪度言〒ますよ。

私は……私は私は私はワタシワタシワタシワタシワタシワワワワワワワワワワ………。

…………。

…………。

…………。



   PROLOGUE

PERFECT Despair Project.

「おーい……」

歩夢「……」

「もしもーし?」

歩夢「──ん、あれ、私……」

歩夢(いつの間にか、寝ちゃってたみたい……?)

頭部に生暖かい重みを感じながら、私は目を覚ました。

硬い机に突っ伏して眠っていたみたいだけど……。

歩夢(机や椅子、教壇に黒板……ここは教室?)

「やっと起きた。おはヨーソロー!」

さっきまでの記憶が思い出せず混乱する私に、目の前にいた少女が話しかけて来た。

歩夢「あなたは……?」

曜「私は渡辺曜、超高校級の船乗りであります!」ビシッ

制服姿で敬礼する彼女はなるほど、サマになっている。

そういえば、彼女も私と同じ制服……ということは、虹ヶ咲の生徒なのだろうか?


《超高校級の船乗り 渡辺曜》

歩夢「私は上原歩夢。よろしくね、曜さん」

曜「んー……さん付けって、なんか息苦しいなー」

歩夢「じゃあ、曜ちゃんで」

曜「うむ!」

ところで、と話題を変えてみる。

歩夢「ここって、教室だよね?」

曜「うん、部屋の前には1-Aって書いてあったよ」

歩夢「じゃあ……あれは何?」

指さす先は、窓……というより、全ての窓に打ち付けられた鉄板。

教室が薄暗いのは、これが原因だろう。

曜「んー……よく分からないんだよね。なんか、正面玄関も塞がれちゃってるし」

歩夢「嘘、玄関が!?」

曜「いまみんなで手分けして情報を集めてるんだ。ついでに挨拶して来るといいよ」

歩夢「曜ちゃんはどうするの?」

曜「あー……あと一人、そこで寝てる人を起こさないといけないから」

歩夢「そこ、って……ひゃぁ!?」

「……むにゃむにゃ。ハルカぁ……もう食べられないってばぁ」

今の今まで、全く気が付かなかった。

まさか、テンプレートのような寝言を放つ少女がすぐ後ろの席にいたとは。

曜「さっきも起こしたんだけどね。またすぐ寝ちゃった」

歩夢「そ、そうなんだ……」

曜ちゃんのような人がいて良かったけれど、虹ヶ咲には案外ヘンな人もいるのかも……?

結局。その子のことは曜ちゃんに任せて、私は建物の中を散策することに。

歩夢「うーん……」

以前、学園案内のパンフレットを読んでいるから何となく分かる。

ここが虹ヶ咲学園である、ということは間違いないだろう。

いろいろ行ける場所があるけれど、まずは塞がれているらしい玄関へ足を進めた。

────玄関ホール


「お姉ちゃん、これって……」

「なるほど、本当に閉じ込められていますわね」

誰かの話し声が聞こえる。

歩夢「えっと……」

「ピギィ!?」

「……」

おどおどとした赤いツインテールと、しゃっきりとした黒いロングの2人。この人たちも、同じ制服だ。

「あなたは……確か、さっき教室で寝ていたという」

歩夢「あ、はい。上原歩夢、です」

ダイヤ「私は黒澤ダイヤ、超高校級の生徒会長ですわ。ほら、ルビィも」

ルビィ「えっと……黒澤ルビィ、です。ここには超高校級の妹、ってことで呼ばれました」


《超高校級の生徒会長 黒澤ダイヤ》

《超高校級の妹 黒澤ルビィ》

歩夢「ということは、2人は姉妹なんですか?」

ダイヤ「ええ。私が姉で、ルビィが妹。黒澤家……と言えば分かるでしょうか」

歩夢(うーん……?)

聞いたことがあるような、ないような。

だが、そこまで言うのならきっと由緒正しい名家なのだろう。

それにしても、生徒会長に妹。早速、才能の選別基準が分からなくなって来た。

ダイヤ「見ての通り、玄関は金属製の何かで塞がれています」

ルビィ「多分、機械だよね、これ……」

歩夢「……」

私は言葉を失った。

少なくとも教室で目を覚ます前の時点では、あんなものはなかった筈だ。

それはどうやら、2人も同意見らしい。

ダイヤ「それに、上を見てください」

歩夢「監視カメラとモニターと……えっ?」

まるで戦記モノに出てくるような機関銃。本物……じゃないよね。

ダイヤ「あなたが寝ていた1-A、そして私たちが寝ていた1-B。どちらにも監視カメラとモニターがありました」

ルビィ「廊下にもあったから、多分、色んなところにあるんだと思います……」


一体この学園で、何が起こっているのだろう。

とにかく、もっと情報を集めないと。

────廊下

歩夢(ここにも、監視カメラとモニター……ん?)


「むー、璃奈ちゃんボードかえしてください>_<。」

「別にいいじゃないですか~」

ルビィちゃんと同じくらいの背丈の子と、一回り小さい子が遊んでいる……。

歩夢(というか、小さい子が遊ばれてる?)

歩夢「何してるの?」

「この人が、私のボード取っちゃって`∧´」

「だったら、顔を隠さず見せてくれればいいんですよ」

「それは……ちょっと無理>_<。」

小さい子は顔を見られたくないらしく、袖で顔を隠したまま。

けれども、このままでは前が見えなくて転ぶ危険がある。

返してあげなよ、そう言いかけた矢先。

「ほいっと」

別方向からの声と共にボードが取り上げられ、持ち主の元へと帰って行く。

「ふー、助かった。ありがとうございます>v<」

「いいのいいの」

「……」チッ

歩夢「えっと、ありがとうございます。あ、私、上原歩夢と言います!」

果南「本当にいいってば。私は松浦果南。超高校級のダイバーだよ」


《超高校級のダイバー 松浦果南》


歩夢「ダイバー……ってことは、よく海に?」

果南「うん、子供の頃から海が第二の実家。ここ最近発見された海の生き物は、みんな私が見つけたんだよ」

歩夢「おおー……」

流石は超高校級。こうやって実績を聞くと、改めて凄い所に来たんだなと実感する。

璃奈「自己紹介、遅れた。私は天王寺璃奈。超高校級のディスガイザーって言われてる・v・」


《超高校級のディスガイザー 天王寺璃奈》


璃奈「変装する人、って意味。普段は恥ずかしくて顔を隠してるけど……ちょっと待ってて」

聞きなれない単語に困惑する私を他所に、彼女は廊下の隅へ掛けて行く。

そして、戻って来た時には。

璃奈(果南)「こうやって色んな人に化けることが出来るんだ。これが私の才能だよ」

果南「声までそっくり!?」

璃奈「流石に身長までは変えられない。あと、本人の才能も真似出来ないし、声や性格も知らないとコピーは無理」

気付いた時には、元の璃奈ちゃんに戻っていた。

やっぱり、ホワイトボードで顔を隠している。

果南「じゃあ、あとはあなただけだね」

かすみ「……中須かすみ、超高校級のパン屋です」


《超高校級のパン屋 中須かすみ》


かすみ「これでも有名なんですよ? ベーカリー中須って知らないですか?」

その名前には聞き覚えがある。

毎日行列の絶えないパン屋として、度々グルメ番組なんかで話題になる都内の店だ。

果南「そういえば、コッペパンとかよく食べてたっけ」

璃奈「美味しかった・v・」

かすみ「そりゃどうも。いずれベーカリーかすみんとして全国展開も視野に入れてますから、その時は是非」

日常生活に溶け込む超高校級の才能、こういうのもあるのか。

当の本人は先の出来事が少々不満だったようで、終始口をとがらせていた。

もっとも、先に手を出したのは彼女のようだし、自業自得なのでは……?

歩夢「あ、そうだ。3人も、目が覚めたらここにいた感じですか?」

果南「そうなるね。そして、玄関もああなってる」

璃奈「閉じ込められちゃったみたい?▭!」

かすみ「大方、学校が仕掛けたドッキリか何かですよ~」

果南「何のために?」

かすみ「それは……」

どうやら、3人も事情はさっぱりらしい。

────1-B


「──つまり、この堕天使ヨハネを含む十数名は皆、混沌渦巻く檻の中に堕とされた咎人なのです」

「んー、分かりづらいっ!」

「Johannesって、男の人の名前でしたよね……?」

「ダメ出しばっかりじゃないの!」

ここにも、個性的な人たちが集まっていた。

監視カメラとモニターも「いつもの」と言わんばかりに設置されている。

善子「私は堕天使ヨハネ……地上界では津島善子と仮の名前を名乗っているわ。超高校級の配信者、とでも言えば分かるかしら」


《超高校級の配信者 津島善子》


歩夢「配信者……もしかして、えがお動画で生放送していたヨハネさん?」

善子「ええ。あなたはリスナーのようだけれど、コテハンは何?」

歩夢「@アユムで登録してます!」

善子「常連さんじゃない! いつも視聴、ありがとうね」

ガシッ、と握手を交わす。まさか、あの人気生主ヨハネさんと会えるとは。

これが、超高校級ばかりが集まる学校……!

愛「ちーっす。アタシは宮下愛、超高校級のギャルやってまーす♪」


《超高校級のギャル 宮下愛》


歩夢「あ、上原歩夢です」

愛「ん~……いいねえ、イケてるねえ。ザ・ダイヤモンドの原石って感じ!」

歩夢「愛ちゃん、それはどういう……」

愛「着こなし次第で絶対可愛くなるよ~。私の見立ては3割当たる、ってね! いや、そりゃギャルの台詞じゃないか」

3割という言葉が引っ掛かるけれど……褒められてるんだよね?

愛「褒めてるよ~」

歩夢(よ、読まれてる!?)

エマ「さっきまで超高校級のコーディネーターさんがいましたから、その人に訊けばすぐに分かると思います。きっとその3割に入ってますよ」

エマ「あ、私はエマ・ヴェルデ。特にこれといった才能はありませんが、超高校級の幸運として入学することになりました」


《超高校級の幸運 エマ・ヴェルデ》


超高校級の幸運。

毎年、虹ヶ咲側が抽選をして、一般の学生から募集を掛けている才能。

確かに、全国の学生から1人だけが選ばれるのだから、相当な幸運の持ち主だ。

そして彼らは皆一様に、幸運の名に恥じぬ何かを持っている。

歩夢(私のような、超高校級の×◎と違って──)

歩夢「……あれ?」

エマ「私の顔に何か?」

歩夢「いや、そういうワケじゃないんだけど……」

歩夢(……何で?)

……キーンコーンカーンコーン。

「!!」

私の思考を遮るように、学生の耳には聞きなれた音が鳴り響く。

愛「ん、なんかモニターに映ったよ?」

愛ちゃんの言葉をキッカケに、私たちの目は一斉にモニターの方へと向けられた。



???「あー、あー、本日は晴天なり本日は晴天なり。マイクチェック、ワンツー」

???「うん、問題ないネ。さて、ぼちぼち皆さん目が覚めた頃でしょう」

???「新入生の皆さんへ、入学式を行います。体育館にお集まりください。繰り返します、皆さん、体育館にお集まりください」

ブツッ。

正体不明のシルエットは、それだけを残して映像を切ってしまった。

エマ「……何でしょう、いまの」

善子「とにかく、体育館(やくそくのち)へ行けということね」

愛「ここでとやかく言ってもしょーがないし、行こっか」

歩夢「う、うん」

今の放送は、何だったのだろう。

好意的に見ればただの入学式だ。けれども私は、ただならぬ“何か”を感じていた。

悪意……そう、悪意だ。今の声には、隠しきれない悪意がにじみ出ている。

歩夢「……」

何か、イヤなことが起こりそうな……そんな予感がしていた。

────体育館


「もーっ、何なんですか! せっかく人が気持ちよく踊っていたのに!」

「まあまあ、落ち着くずら……」

「……」


体育館には、私を含めて16人の顔ぶれ。ここで初めて顔を合わせるのが、そのうち7人。

……と思ったけれど、厳密には違う。

だって。

「まったく……」ブツブツ

歩夢「あの……もしかしてだけど」

「なんですか?」

歩夢「もしかして、せつ菜ちゃん? ほら、ひまわり組の上原歩夢!」

せつ菜「上原歩夢上原歩夢……歩夢ですか!? 久しぶりです!」

歩夢「幼稚園以来だね~。せつ菜ちゃんもここに来たんだ」

せつ菜「ええ。超高校級のスクールアイドルとして、晴れて虹ヶ咲の一員になりました!」

歩夢「昔から、アイドルになるのが夢だって言ってたもんね」


《超高校級のスクールアイドル 優木せつ菜》

「良かったですね、せつ菜さん」

「感動の再会ずら」

歩夢「えーっと、あなたたちは?」

しずく「申し遅れました。私は桜坂しずく、超高校級の演劇部です」


《超高校級の演劇部 桜坂しずく》


せつ菜「しずくちゃんは凄いんですよ? この前も舞台の公演で、世界中を飛び回っていましたから」

しずく「知ってたんですか?」

せつ菜「勿論。あらゆる役がハマリ役、桜坂しずくの代名詞じゃないですか」

しずく「は、恥ずかしいですよ~」

……アイドルと役者、関わることも多いのだろう。

花丸「オラは国木田花丸、超高校級の作家をやってるずr……やっています」


《超高校級の作家》


国木田花丸。その名前は、多少読書を嗜んでいれば知らない筈がない。

デビュー作「サカサマの夕立」が大ヒットし、それ以降も数々の作品を書き続けている。

とりわけ、彼女の書く推理小説は「あのミステリーが凄い!」に毎回入選している程だ。

歩夢(私は……あんまり作者とか気にしたことなかったから、どれが彼女の本かは分からないけど)

歩夢「ところでさっき、ずら、とか言ってたけれど」

花丸「ご、ごめんなさい。お婆ちゃんの口癖が移っちゃって、直そうとしても直らなくて……」

そのままでいい、と思う。

「hmm……つまり、1-Aと1-B。どちらにも9人ずついた、ということになるわね?」

「そう。だからまだ来ていないのは、曜ちゃんと彼女が起こしに行ってる子だけね」

「とりあえず、彼女たちを待った方が良さそうですね」

「ええ」

「そのようね」

何やら、真剣そうな顔つきで話をする3人。

そのうち金髪と青い髪の2人は赤い髪の子より身長が高く。

何故だろう、どちらもワイングラスを持つ姿が絵になりそうだ。未成年なのに。

歩夢「何の話をしていたんですか?」

鞠莉「んー、いま私たちが置かれている状況を整理しておきたくてね。私は小原鞠莉、超高校級の令嬢よ」

梨子「桜内梨子、超高校級の芸術家と呼ばれているわ」

果林「そして私が朝香果林、超高校級のコーディネーターをやらせて貰っているわ。よろしくね」


《超高校級の令嬢 小原鞠莉》

《超高校級の芸術家 桜内梨子》

《超高校級のコーディネーター 朝香果林》

小原鞠莉……世界的に有名な財閥『小原グループ』のお嬢様だ。その話題は、以前ニュースで見たことがある。

桜内梨子……ピアノと絵画に秀でた芸術家で、コンサートや絵画展には引っ張りだこらしい。

朝香果林……エマちゃんが言っていた『コーディネーター』は彼女のことか。

3人とも、話をまとめるのが得意そうな雰囲気を醸し出している。

今の状況において、これほど頼もしい人たちはいないだろう。

「ねえ」

歩夢「!?」

不意に背後から掛けられた声に、思わず身体をビクつかせる。

「あなたの才能は、何?」

その言葉で、震えた身体が再び寒気を起こす。

千歌「驚かせてごめんね。私は高海千歌って言うんだ」

歩夢「ええと、私は上原歩夢です」

千歌「それで、さっきの質問なんだけど……」

歩夢「……思い出せないんです」

千歌「?」

歩夢「どんな才能だったのか、どうしても思い出せなくって……」

千歌「そう、なんだ」

自分が何者なのか。何故虹ヶ咲に入学することが出来たのか。

幾ら考えても、その答えが姿を現してくれない。

千歌「大丈夫だよ。私だって何も才能が思いつかなくて……」

千歌「だってほら。超高校級の幸運なら、既にエマちゃんで枠が埋まっているし」

千歌「超高校級の普通だとか、凡人だとか、一応旅館の娘だから、超高校級の看板娘だとか、色々考えたんだけど……」



曜「お待たせー! 彼方ちゃん、連れて来たよー!」

彼方「うーん……超高校級の眠り姫、近江彼方ちゃんだよ~……」zzz


《超高校級の眠り姫 近江彼方》


ダイヤ「遅い、たるんでいますわ!」

彼方「うにー……あと十時間寝かせてー……」

せつ菜「どれだけ寝るつもりなんですか……」ハァ

歩夢「えっ、と……千歌、ちゃん?」

話が逸れそうになったけれど、千歌ちゃんのことも聞かなければ。

千歌「つまりね、私も歩夢ちゃんと一緒。何も思い出せないんだ」

千歌「私たち、どんな凄い才能を持っていたんだろうね?」


《超高校級の??? 高海千歌》

《超高校級の??? 上原歩夢》

果南「とにかく、これで全員揃ったみたいだね」

かすみ「一体何が始まるっていうんですか~?」

ルビィ「入学式って言うからには、整列しないといけないんじゃ……」



???「いやいや、整列してもらう必要はないネ」

???「何はともあれ、こっちにちゅうもーく!」

歩夢「!!」

また、あの声だ。

今度はハッキリと、悪意を煮凝りにしたような声であることが分かる。

やがて、ソレは舞台の壇上に現れた。

???「やあやあ皆さん、おはようございます」


「うちっちー?」  私の横で、千歌ちゃんが言った。

静岡県、沼津の方に、あんな感じのゆるキャラがいるのは知っている。

どこかの水族館で、着ぐるみがお出迎えしてくれたのを覚えている。

けれどもソレは、どう見ても身長が70㎝程度しかなくて。

???「ボクがこの虹ヶ咲学園の学園長」

モノっちー「モノっちーと言います」


何より、身体の左半分が真っ黒だった。

今回はここまで。
モノッチーのイメージイラストです

ttps://imgur.com/owgbMuT

ルビィ「喋る……ぬいぐるみ?」

モノっちー「ぬいぐるみじゃないよ。綿なんて詰まってないからネ!」

果南「じゃあ、ロボットか何か?」

しずく「だと思います。もしかしたら、先輩やOBに超高校級のメカニックがいたんじゃないでしょうか」

鞠莉「あのくらいならウチの技術で作れるわよ? 悪趣味だからデザインは変えるでしょうけど」

モノっちー「悪趣味とは何だい!」

善子「あの外見……悪魔の化身?」

かすみ「大体、こんなのが学園長だなんて……」プクク

曜「あんな色合いのうちっちー、見た事ないよ……」プククク

モノっちー「笑ったな? そこのオマエら、学園長を馬鹿にしたな?」

ダイヤ「お黙りなさい!」

「「……」」

目の前の何かに向けて口々に喋るみんなを、ダイヤさんはその一言で黙らせてしまった。

生徒会長……凄いです、威圧感が。


モノっちー「えー、現在午前10時6分。オマエらが静かになるまでに5分以上掛かりました。いいの? 避難訓練ならともかく、ホンモノの火事なら死んじゃうよ?」

果林「あなたも。学園長にせよ学園長代理にせよ、手早く式を始めた方がいいのでは?」

モノっちー「はいはい、生えてないクセに早漏だねえ」

果林「セクハラはお断りします」キッパリ

モノっちー「改めまして。皆さん、入学おめでとうございます」

果林さんの発言をシカトして、モノっちーは式辞を述べ始めた。

モノっちー「今。新入生である皆さんの顔は、希望に満ち溢れていますが……って、やめだいやめだい!」

……式辞が書かれていたであろう紙は、ものの数秒で投げ捨てられた。

果南「……多分、1、2行しか読んでないと思う」アハハ

モノっちー「まどろっこしいことは抜きにしてね。まずはオマエらにこれを渡します」

そして壇上から降りたかと思うと、モノっちーは目にも止まらぬ動きで皆の手に何かを渡していった。

梨子「これは……?」

善子「ノートPC……にしてはやけにちっさいわね」

モノっちー「それは、今後ここで共同生活するにあたって必要になる電子生徒手帳です。ただの生徒手帳じゃないよ、電子だよ電子!」

花丸「み、未来ずら!?」

モノっちー「この学園の地図、校則なんかが載ってるから、よーく読んでおくように! 何なら読む時間設けるようか? ボクもそのくらいは待つよ」

ダイヤ「結構。あとで確認しておきますから」

歩夢(……ん?)

歩夢「学園長、ちょっと待ってください!」

さっきの話……何か引っ掛かる発言があった。

モノっちー「上原さんだっけ? どしたのさ」

歩夢「さっき“共同生活”って言いましたけど……」

普通、こういう時に使われるのは“学生生活”ではないだろうか?

モノっちー「うん、そのままの意味だよ」

しかし彼(?)は、悪びれる素振りを一切見せず、言い放った。

モノっちー「オマエらには今後、この学園内で暮らしてもらうこととなりました!」

歩夢「……!?」

モノっちー「学園の外とは完全シャットアウト、期間は無限! つまり、この学園で一生を終えることとなるのです!」

モノっちー「ああ、食糧なんかについては心配しなくていいよ。ランドリーも、大浴場も、個室にシャワールームその他諸々完備してあります!」

ボクって至れり尽くせりだよねえ、と言いながら頭を掻くモノっちー。

確かに、生活に困らなさそうではあるが……。

梨子「そういう問題じゃなくて!」

璃奈「ここから出られないって、どういうことなの`∧´」

突拍子の無さすぎる宣告に、皆が揃って難色を示す。

この学校に学生寮があることは聞いていたが、この様子を見る限り全員が自宅通いのつもりだったらしい。

モノっちー「まあ……あることにはあるよ? 出る方法」

エマ「あ、あるんですね……」ホッ

愛「なーんだ、さっさと教えてくれれば良かったのに。で、その方法って何なのさ」



モノっちー「殺人だよ」

「……」

空気が凍り付いた。

千歌「それは……本気で言ってるの?」

モノっちー「本気も本気。ポピュラーな刺殺撲殺絞殺射殺毒殺、マニアックな呪殺……ああ、妖怪とか、バケモノの仕業に見せかけて殺すってのもアリだネ」

モノっちー「とにかく、この中の誰かを殺した人だけが外に出られる……そういう単純なルールなんだよ」

モノっちー「最低な手段で最高の結末を得られるよう、精々努力してく──」

せつ菜「じゃあ、ふざけたことを喋るあなたを壊せば終わりですね」

モノッチーのすぐ近くにいたせつ菜ちゃんが、彼の首根っこを掴んだ。

モノっちー「ふざけてるのはキミだよお。学園長への暴力は校則違反って、ちゃんと書いたのに」

せつ菜「本物の学園長を出しなさい。その上で、これを操っている張本人を退学にさせて貰います」

モノっちー「……」ピッ ピッ ピッ

せつ菜「何とか言ったらどうなんですか!」

モノっちー「……」ピッ ピッ ピッ

明らかに不味い電子音……まさか!

曜「せつ菜ちゃん、早くそれを投げて!」

せつ菜「……え?」

歩夢「いいから早く!」

私の声で、せつ菜ちゃんはモノっちーを遠くへ放り投げる。すると──



ドォォォォォン!!!



爆音、閃光、火薬のニオイ……

ルビィ「嘘……」

エマ「爆発、した……!?」

モノっちー「外したけれど、ボクはメガシンカしたことにより2回行動が可能なのだぁ!」ピッ ピッ ピッ

せつ菜「!?」

皆が呆気に取られている間に『どこからか現れたもう1体のモノっちー』が彼女の背後に飛び掛かろうとしている。

このままじゃ──!

歩夢「せつ菜ちゃん!」

こういうのを、脊髄反射というのだろうか。

気が付いた時には、私の身体はせつ菜ちゃんの方へと駆け出していて。

誰かが何かを叫んでいるのが、どこか遠くに感じられて。

二度目の爆音と、衝撃が私たちを襲い。

……私の意識は、闇の中へと葬り去られました。

────校舎1F、保健室。

歩夢「……ぅ」

せつ菜「歩夢!」

彼方「やっと目を覚ましたね~……」ウトウト

せつ菜「良かった、本当に良かったです……」

歩夢「ここ、は……?」

梨子「保健室よ。もともと何故か閉まってたんだけど……モノっちーに頼んで、開けてもらったの」

歩夢「……」

そうか。あの時せつ菜ちゃんを庇って、私は……。

梨子「あれから色々あったわ」

───
──


ダイヤ『歩夢さん! せつ菜さん!』

モノっちー『うぷぷぷぷ……』

しずく『3体目……どれだけ居るんですか!?』

モノっちー『ヒマな時は階段で亀の甲羅を蹴りまくってるからネ』

善子『……つまり、無限(インフィニティ)』

エマ『そんなっ……!』

モノっちー『見せしめも兼ねて、校則違反者はここで殺しておいても良かったんだけど……まあいいや』

モノっちー『これで分かってくれたよね? オマエらは、ボクに逆らうことは出来ないんだよ』

モノっちー『じゃあ、ボクはこれで失礼するよ』

彼方『ちょっと待って~……』

モノっちー『ん、何?』

彼方『この2人~、ケガしてたり、脳震盪になってたら大変だから~……保健室を使わせてくれないかな~って』

梨子『そういえば、鍵が掛かってたわね』

モノっちー『んもう、しょうがないなあ。特別だよ?』


梨子「それで、2人を背負ってここまで来たの。彼方ちゃん、結構看病の手際が良くてビックリしたわ」

彼方「いつも保健室で寝てたから、自然と身に付いちゃったみたい~」

歩夢「そうだったんですね……」

せつ菜「ありがとうございます、彼方さん」

彼方「2人ともかすり傷で済んでたし、良かったよ~。氷袋も置いてるから、痛かったら使って~。じゃあ、彼方ちゃんお部屋に戻って寝るから……」

歩夢「だったら、ここのベッドを使えばいいんじゃ」

梨子「それは無理だと思う」

せつ菜「私もさっき校則を確認したのですが……確かに」

ほら、とせつ菜ちゃんが電子生徒手帳の画面を見せて来る。

映し出されたのは、ずらりと書き連ねられた6つの校則。

1.生徒たちはこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを”夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

3.就寝は学生寮に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4.虹ヶ咲学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノっちーへの暴力を禁じます。また、監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは”卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。


歩夢「なお、校則は順次増えて行く場合があります……」

彼方「それの3つ目~。一応モノっちーに訊いてみたら『才能が才能だしオマエは多少判定を緩くしておいてやるけど、なるべく就寝は自分の部屋でしなさい』って……」

眠り姫……実際どういう才能なのかはまだ分からないが、確かにこの校則がある限り不自由しそうだ。

大あくびの混ざった「じゃあね~」を最後に、彼方ちゃんは保健室からずるずると出て行った。

梨子「ところで、2人はこれからどうする? 私はこの後、みんなで学園内の探索に行くけど……」

せつ菜「えっと……」

梨子「あ、無理しなくていいわよ。15時に一度食堂に集まる予定だから、その時までゆっくり休んでて」

歩夢「あの──」

私たちが何か言うより早く、梨子ちゃんも保健室を出て行ってしまった。

せつ菜「……あの、歩夢」

歩夢「?」

せつ菜「さっきは、ごめんなさい。私のせいで……」

歩夢「いいのいいの。せつ菜ちゃんが無事で良かったよ」

せつ菜「……私たち、外に出られるのでしょうか」

歩夢「誰かを殺さないと出られない……そんな筈ないよ。きっと、どこかに出口がある筈!」

せつ菜「そうです、よね……」


不安そうな幼馴染の声に、私が掛けられたのは不安定な肯定だけ。

きっと大丈夫。今は、そう信じることしか出来なかった。

PROLOGUE END

ttps://imgur.com/Z3aBAuf

To be continued…….


プレゼント“虹ヶ咲学園校章”を獲得しました。

今回はここまで。

せつ菜「……」

歩夢「……」

せつ菜「とりあえず……食堂に行きましょうか」

歩夢「……そうだね」


『誰かを殺さないと外に出られない』

耳を疑うような条件のもと、私たちの学園生活は幕を開けたのです。



     Chapter1

Step! 18 to…… (非)日常編

────15時、食堂


果林「あら、もう動いて大丈夫なの?」

歩夢「はい、一応は……」

鞠莉「2人の席はこっちね。Come here♪」

広い部屋の中央、長いテーブルには既に何人かが待機している。

鞠莉さんに促され、私とせつ菜ちゃんも席に着いた。


エマ「紅茶とクッキー、出来ましたよ~」

せつ菜「……随分と、個性的な香りですね」

果林「これ、ルイボスティーね?」

エマ「正解です♪ 故郷のスイスではよく飲んでいました」

かすみ「私は紅茶パンにしようって言ったんですけどね~。反対されちゃいました」

~数分後~

曜「お待たせー!」

ダイヤ「もう集まっていましたか。これで彼方さんを除いて全員ですね」

せつ菜「そういえば姿が見当たりませんが……まさか!?」

愛「いや、寝たいから起こさないでってさ。まあ仕方ないっしょ」

せつ菜「あ、そうだったんですね」

歩夢「付きっきりで看病してくれてたもんね」

鞠莉「彼方には後で要点をまとめたメモを渡すとして、ひとまず情報のexchangeとしましょう」

善子「いくす……???」

ルビィ「exchange、交換って意味だよ」

果林「そうね。ここで暮らすことになった場合を見越して、得た情報は皆で共有しておくべきだと思うわ」

璃奈「結局、共同生活しちゃうんだね(>_<。)」

梨子「そうじゃないわ。勿論、最悪の可能性として考えなくちゃいけないのは確かだけれど……脱出に相応の準備が必要だって場合があるでしょ?」

しずく「相手は爆弾を使って来ました。迂闊な行動は避けて、準備をじっくり……ってことですね」

鞠莉「Exactly♪ じゃあ、まずは私たちのグループの話から行きましょうか」

花丸「鞠莉さんとおら……じゃなかった私、梨子さんの3人で、学生寮、個室の探索をしたずら」

エマ「ずら?」

花丸「ああ、ごめんなさい! おら、意識していないと訛りが出ちゃって……」

エマ「そういうことだったんですね。私は気にしていないので大丈夫ですよ」

花丸「良かった……。ええと、それで、学生寮には全員分の個室があったんだ」

梨子「中は机と椅子とベッド、ゴミ箱にクローゼット、それからシャワールーム。最低限、生活する分には困らないって感じかしら」

善子「え、パソコンとかないの!?」

梨子「なかったわ。コンセントは兎も角、LANケーブルを挿せる穴もない。ここじゃネットも無理ね」キッパリ

善子「そんなぁ……」

酷く落ち込む善子さん。ネット上で活動する彼女にとっては、生き甲斐を奪われたも同義なのかも知れない……。

鞠莉「ちなみに、クローゼットには制服の替えとみんなの私服が置いてあったわ。少なくとも私たち3人に関しては、普段着ていた私服と変わらなかった。後で確かめておくといいわ」

果林「私たちを閉じ込めた犯人は、私たちをよーく調査していた可能性もあるわね。気になるけれど、続けて頂戴」

鞠莉「部屋にも窓があったけど、教室と同じ。やっぱり鉄板で打ち付けられていたわ」

花丸「ちなみに、防音になっていたずら。部屋の中で幾ら大声を叫んでも、隣の部屋や廊下には聞こえなかったよ」

梨子「もっとも、部屋の前にインターホンがあって、それを使ってドア越しに会話は出来たけどね」

鞠莉「私たちの報告は以上よ。次は~……学生寮の残りの部分を調べていた人!」

愛「あ、それはアタシとりなりーだよ」

璃奈「上手く話せるかどうか分からないけど、頑張る(・v・)」

璃奈「ところでそんなあだ名、いつ付けたの」

愛「今」

愛「といっても、ほとんど報告することはないんだよね。ランドリーとトラッシュルーム、それとトイレがあったことくらいかな」

璃奈「本当は大浴場もあるんだけど、モノっちーに『水回りのトラブルがあったから、ここはまだ使えない』って言われた(>_<。)」

愛「そうなんだよねー、このあとパーっとみんなでお風呂に浸かろうって思ってたのにさ。あ、だからマップのバツ印はそういうことね」

歩夢「マップ?」

璃奈「電子生徒手帳に付いてるよ(・v・)」


寄宿舎 マップ
ttps://i.imgur.com/ldAk9Ea.jpg


せつ菜「あ、本当ですね……」

ダイヤ「歩夢さんもせつ菜さんも、あとで地図はきちんと把握しておいてくださいね」

歩夢「あはは……」

愛「トラッシュルーム……まあでっかいゴミ捨て場だね。スイッチ一つで起動する焼却炉もあるみたいだよ」

璃奈「今はシャッターが下りてる。鍵はモノっちーが預かってるから、必要になったら呼んでくれって」

千歌「2人はモノっちーに会ったんだね」

愛「うん。あとでみんなにも教えておけってさ」

璃奈「ランドリールームは洗濯機がいっぱい。乾燥機もあった(・v・)」

愛「あとは何の変哲もないトイレ。一応調べたけど特に何もなかったよ。なんなら調べにいっトイレってね!」

一同「「……」」

殺し合いを命じられた時とは別の寒さが、辺りに漂った気がする……。

曜「と、ところで、2人とも食堂は調べてないの?」

かすみ「だって、私とエマさんがいましたし」

エマ「その紅茶やクッキー、私たちで作ったんです」

かすみ「モノっちーはここにも現れましたよ。『夜時間になると食堂は立ち入り禁止になるから、死にたくなければ夜中は入らないことだね』って」

エマ「厨房にある食材の補充をするため……だそうです。18人で過ごすにしてもしばらくもちそうなくらい、食材がいっぱいありました」

果南「最悪、長期戦も覚悟ってことだね」

ルビィ「あの……ということは、食堂の前を夜中に見張っていれば、私たちを閉じ込めた人を捕まえられるんじゃ」

エマ「それは……無理なんです」

かすみ「ここのドア、自動でロック掛かっちゃうみたいなんですよね~」

花丸「ということは、犯人は本人しか分からない通路か何かを使って、食堂に出入りしている……?」

歩夢「どうなんだろう……。ところで、校舎側は何か見つかりましたか?」

果南「私と千歌でもう一度玄関を調べてみたけど……やっぱりダメ」

千歌「あんまりやりすぎると『あの機関銃が火を噴くぞー』ってモノっちーに脅されちゃったしね」

果南「だから玄関は収穫なし。ごめんね、みんな」

曜「大丈夫だよ。私たちも収穫ゼロだったし」

せつ菜「何を調べていたんですか?」

ダイヤ「私とルビィ、曜さん、善子さんの4人で手分けして、体育館、及び窓を調べていたんですの」

善子「ありゃダメね。開いてる窓はゼロ、アイツの出て来た体育館に何かあるかもと思ったけれど、それの手掛かりもなし」

ルビィ「本当に、このままずっと過ごすことになっちゃうのかな……」

しずく「そうとも限らない……と思います。ですよね、果林さん」

果林「ええ」

璃奈「何か見つかったの?」

果林「勿論よ。私としずくちゃんが担当したのは校舎全体。玄関は千歌たちがいたし、保健室には歩夢とせつ菜がいたからパスしたけれどね」

果林「教室に視聴覚室、購買部……今挙げたところは特に何てことない、普通の場所だったわ。強いて言えば、視聴覚室が思っていた以上にハイテクだったことくらいかしらね」

善子「じゃあパソコンもあったの!?」

果林「ええ。でも、最低限の機能しか付いてなかったし、こっちもインターネットに繋ぐのは無理ね」

善子「ちぇー」

しずく「でも、気になるところが3か所ありました。ひとつは倉庫……モノっちー曰く『今はゴチャゴチャしてるから!』ということみたいで、今は大浴場と同じく入れませんが」

果林「2つ目は赤い扉の部屋……扉というよりもはや門かしらね。マップにもあるでしょう? 一つだけ、用途不明の部屋がある」


校舎1階 マップ
ttps://i.imgur.com/CZVzxHC.jpg

愛「あらほんと」

果林「鍵が掛かっているみたいで中には入れないし、モノっちーに訊こうと思ったけれど反応してくれなかったわ」

梨子「じゃあ、そこが出口という可能性もあるのかも」

果林「ええ。次が3つ目。マップを見ていれば気づいたと思うけれど、この校舎、上へ向かう階段があるのよ」

エマ「じゃあ、2階もあるんですか?」

しずく「階段への道はシャッターが塞いでいて、通れませんでしたけどね……」

果林「開ける手段も見当たらなかったわ。でも、こうは考えられないかしら。2階や例の赤い門の向こうなら、脱出への糸口が見つかるかも知れない」

鞠莉「そうね。これは重要な情報だと思うわ」

しずく「私たちからは以上です」

鞠莉「fmm……ひとまずはここで生活をしながら、ここから出るルートを探るって流れになりそうね」

ダイヤ「でしたら、校則とは別に設けたいルールがひとつあるのですが」

歩夢「ルール?」

ダイヤ「ええ。朝と夜、食事は皆揃って同じ時間、ということにしたいと思うのです」

果林「奇遇ね、同じことを考えてたわ」

ダイヤ「本来、一日三食きっちり食べるべきである以上昼食もそこに含むつもりでしたが……食事の時間には個人差がありますからね。そこは臨機応変に」

愛「定例会議を食事と兼ねようってことでしょ? いいじゃん、アタシ賛成~」

曜「私も」

かすみ「朝食のパンなら任せてください~」

ダイヤさんの提案したルールに反対するものは誰もおらず、あっさりとこの件は決定した。

そして、これ以降、会議が特に進展することもなく。

いつの間にか、今日が終わろうとしていた。

────歩夢の個室

キーンコーンカーンコーン

歩夢「……?」

シャワーを浴び終えた頃、寄宿舎にチャイムの音が鳴り響いた。


モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン


個室にもしっかり設置されていたモニターによる、モノっちーのアナウンスだった。

勿論、監視カメラもセットだ。

歩夢「ふへーっ……」

ボフン、と音を立ててベッドに横たわる。

眠い。体の節々が、溜まりに溜まった疲労を訴えかけている。

彼方ちゃんじゃないけれど、ずっと寝ていたい気分だ。

無理もない。今日1日で、色んなことがありすぎたのだから。

願わくばこれが長い夢で、目が覚めたら元の日常に戻っていますように。

そんなことを考えながら、私は意識を闇に落とした。

~モノっちー劇場~

始まっちゃいました、学校生活。青春だねえ、青いねえ。

ところで青春って、何で青い春なんだろうネ。

中国では青春、朱夏、白秋、玄冬、なんて言われてたりするけど。

桜の咲く季節なんだから、桃春でもいいのにネ。

血の流れる季節なんだから、赤春でもいいのにネ。

まあ……青ざめたみんなの顔は見られるし、青春でもいっか。

今回はここまで。

────学園生活2日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢「……朝、か」

ぐっすり……というよりは、ぐったりと眠っていたのだろう。

残念なことに、この学園生活は夢ではなかったらしい。

もう少し寝ていたい気分だったけれど、昨日の約束があるので渋々食堂へ向かった。

────食堂

歩夢「……」

食堂には、既に何人かが集まっていた。

ダイヤ「おはようございます」

果林「おはよう、歩夢ちゃん」

せつ菜「歩夢、こっち空いてますよ」

エマ「いま、かすみちゃんと梨子ちゃんが朝食を作ってくれています」

最初から居る彼女たちは、規則正しい生活を送るタイプなのだろう。

果南「おはよ。いい匂いがするね」

しずく「えっと……もう集まってます?」

曜「そういや、何時に集まるかは決めてなかったっけ」

花丸「ふわぁ……原稿書いてたら、夜更かししちゃったずら」

璃奈「あのベッド、あまり寝心地がよくなかった(`∧´)」

鞠莉「同感ね、お陰で寝不足だわ」

そして次に来るのが、時間にややルーズなタイプ。私も普段はこちら側だ。

ルビィ「お姉ちゃん、なんで起こしてくれなかったの!」

千歌「うーん……もう朝……?」

愛「太陽の光を浴びたいよう! なんてね。いやー、窓から太陽光が差し込まないと1日が始まったって気がしないんだよねえ」

善子「私、普段深夜に動画撮ってる夜型生活なのよ……」

更に遅れて来るのが、時間に思いっきりルーズなタイプ。


ダイヤ「いつまでも起きて来ないので、引っ張って来ましたわ」

彼方「あと10日……」ムニャムニャ

せつ菜「昨日より伸びてません!?」

そして最後は、それらの枠組みには到底収まらない例外。

昼夜なんて概念、眠り姫には存在しないのだろうか?

梨子「みんな、おはよう」

かすみ「おはようございま~す」

朝食の盛られたプレートを携え、朝食係も姿を現す。

卵のサンドイッチ、サラダ、ヨーグルト。いわゆる、一般的な洋風の朝食だ。

「「いただきまーす」」

……シンプルに美味しい。みんな、顔を綻ばせながら食べている。

特にこのサンドイッチ。使われているパンはかすみちゃんが作ったものだろう。

早くここから出て、家族にも食べさせたいくらいだ。

かすみ「パンのお代わり、数も種類もたっぷり用意してるので、食いしん坊さんは是非是非~」

花丸「じゃあ、1個貰うずら」

かすみ「どうぞどうぞ♪」

ルビィ「あ、じゃあルビィも……」

かすみ「……♪」ニィ

歩夢「……?」

かすみちゃんの笑顔に一瞬黒いものが? そう思った瞬間だった。

花丸「────ッ!?」

ルビィ「ピギャアアアアアアア!?」

愛「ど、どうしたの!?」

ルビィ「カライカライカライカライカライ!?」

花丸「だ、誰か、水を……」

ダイヤ「ルビィ、大丈夫ですか!」

果林「花丸ちゃんも!」

花丸「……」ゴクゴクゴクゴク

ルビィ「……」プハーッ

エマ「2人とも、どうしてこんなことに……」

彼方「ハムッ……うげ、ホントに辛い。唐辛子だねえこれ」

曜「サンドイッチは問題なかったし……辛いのは全部、あのバケットの中に?」

梨子「わ、私はそんなことしないわよ? かすみちゃんの用意したパンを切って挟んだだけだし」

歩夢「ということは……」

「「……」」ジー

かすみ「あれあれ~? ヘンな味しちゃいましたぁ~?」

せつ菜「しらばっくれないでください!」

しずく「これ、全部激辛パンですよね……」

かすみ「そうですよ~?」

果南「いやいや、それが何か? って顔されても困るんだけど」

かすみ「ああ、もしかして口に合いませんでしたか」

善子「私は普通に美味しいと思うけど? いい感じに刺激がキいてるし」モグモグ

花丸「多分、善子ちゃんだけだと思うずら……」

ルビィ「辛党なんだね……」

鞠莉「……食事係はもう1人、見張りを付けるのがいいかもね。かすみが今後もヘンなものを入れる心配があるし」ハァ

せつ菜「鞠莉さん、こんな人に今後も朝食を作らせるんですか!?」

鞠莉「あら、サンドイッチは美味しかったじゃない。パン作りの腕は確かなんだから、それを否定する理由はないと思うけれど」

せつ菜「それは……そうですけど」

果林「じゃあ、私がその役目を引き受けようかしら」

かすみ「げぇー。果林さん、厳しそうなんですけど」

千歌「厳しくなきゃ、見張りの意味がないと思う……」

千歌「あ。そういえば、見張りで思ったんだけどさ」

歩夢「?」

千歌「ほら、夜中にトイレに行きたくなっても自分たちの部屋にはないから、わざわざ外に出なきゃいけないでしょ?」

曜「そうだね」

千歌「でも、殺し合いを本気にした人がいるかもって思っちゃうと、なかなか外に出られなくってさ。まさかシャワールームでするワケにもいかないし」

曜「そもそも、夜時間にはシャワー動かなかったよ」

千歌「え、そうなの?」

鞠莉「そうね。夜の間はシャワーが使えない、覚えておいた方がいいかも」

愛「つまりさ、ちかちーはアレだね? 夜でも安心してトイレに行けるように、深夜の見張り役が欲しいってことかな?」

千歌「そういうこと。愛ちゃん話がわっかる~♪」

ダイヤ「しかし、夜通し見張りというワケにも行きませんわね」

彼方「見張りの立場を利用する、なんてことになったら目も当てられないしね~」

梨子「だったら、2人1組で1時間ごとに交代するといいんじゃないかしら? 夜時間は午後10時から午前7時までの9時間、2×9でちょうど18人になると思うんだけど」

璃奈「おお、それいい(>v<)」

果林「万が一を考慮して見張りのペアは毎日交代することにしましょう。決め方は……そうね」スッ

果林「部屋に備え付けてられていたメモとボールペン、これでくじを作るわ」

花丸「それ、ミステリー小説だったらくじに細工されるパターンずら」

善子「細工?」

せつ菜「あ、それアニメで見たことあります! 確か、引いたと見せかけて手に隠していた別のくじを出して、次に引く人に狙ったくじを引かせるように入れ替える……」

かすみ「まとめてから説明してください。分かりづらいです」

せつ菜「うぐ……かすみさんに正論を言われるとは」

果林「言いたいことは分かるから大丈夫。それを防止するために、裏に2人以上のサインを書くのよ」

果林「そうすれば、このくじは複製出来ない唯一無二のものになるでしょう?」

しずく「じゃあ、これで夜も安心ですね」

────その日の夜

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間に──』


果林「頼んだわよ。おやすみ」

歩夢「おやすみなさい」

愛「おやすー。じゃ、よろしく歩夢。りなりーみたいに何かあだ名いる?」

歩夢「いや、別に……。よろしくね」

愛「ほいほーい」

くじの結果、今日の見張りは愛ちゃんとのペア。しかも責任重大なトップバッター。

そんなに気負うものでもないっしょ、って愛ちゃんは言うけれど。

愛「大丈夫。人殺しなんてするような人、この中にはいないって」

歩夢「だといいんだけど……」

愛「歩夢は心配性なんだって、自分の才能もじきに思い出せるよ。あ、もしかして超高校級の心配性とか!」

歩夢「流石にそんな才能はイヤだよ」

愛「同感。本当に心当たりとかないの?」

歩夢「うーん……」

記憶を辿ってみるけれど、思い当たるフシが見当たらない。

本人には悪いが「超高校級の妹」のように選別基準が良く分からない才能だってあるワケだし、何かしら虹ヶ咲学園の目に留まる所があったのだろうけれど……?

歩夢「千歌ちゃんみたいな候補も浮かばないしなあ……」

愛「看板娘とか言ってたねえ。旅館の娘だもんねえ」

歩夢「私は普通の家庭だし、一人っ子だし、これといって目立つようなこともなかったし」

愛「ま、ここを出てゆっくり思い出していけばいいよ」

歩夢「そうだね。……あれ、誰か出て来た」

愛「マルっちじゃん。どったの? トイレ?」

花丸「うん。お水飲みすぎちゃったみたい」

愛「いってらー」


愛「そういや、せっつん……せつ菜ちゃんだっけ? 彼女は何か知らないの?」

歩夢「……あ」

愛「こりゃ忘れてた、って顔だね」

そうだった。幼馴染のせつ菜ちゃんなら、私の才能を知っているかもしれない。

歩夢(明日聞いてみよう……)

~数分後~

花丸「……」キョロキョロ

歩夢「どうしたの?」

花丸「オラ……じゃなかった。マルの部屋、どこだったかなあって」

愛「そこの奥から3番目。電子生徒手帳見れば書いてる筈だけど?」

花丸「実は……操作方法がよく分からなくて。マル、機械が苦手だから」

歩夢「それは……仕方ないね」

花丸「部屋番号でも書いていればそれで覚えられたのに。希望は4990号室ずら」

愛「なんでまたそんな数字?」

花丸「四苦八苦(4989)の後だから」

2人「「……」」

ど、どうしよう……反応に困る……。

愛「あ、愛さんはそういうのだったら3841号室かなー」

歩夢「どうして?」

愛「ミヤシタ→384、アイ→I→1って感じだね」

花丸「タが行方不明ずら」

愛「んんっ……それは言わないで」

ルビィ「何の話してるんですか……?」ウトウト

愛「あ、9630」

ルビィ「?」

歩夢「3人でね、自分の名前を数字で語呂合わせにするならーって話をしてたの。ルビィちゃんはトイレ?」

ルビィ「はい。やっぱりお水飲みすぎたかなあって」

愛「朝のかっすん、ここまで引きずるかあ……」

その後は2人を見送り、他愛もない雑談をして、次の人にバトンタッチした。

本日も異常なし。

~モノっちー劇場~

人間に限った話ではありませんが、一度死んだ生物は蘇りません。

けれども、簡単に輪廻転生できる場所があるのです。それは温泉。

ほら、お爺ちゃんお婆ちゃんがよく言うでしょ? 「生き返るわ~」って。

あれは直前に一度死んでから、湯舟で即座に蘇っているのです。

つまり彼らは、お手軽に生と死の狭間を行き来しているのです。

さあ、君も温泉でレッツ輪廻転生!

────学園生活3日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢「……」

前日よりは眠れた気がした。けれども、窓に打ち付けられた鉄板を見るたびにイヤな気分になる。

歩夢「……食堂行こ」

────食堂

歩夢「うーん……」

せつ菜「大丈夫ですか、歩夢。いかにも『今日は厄日だ』って顔をしていますが」

歩夢「あー……鋭いね、せつ菜ちゃん」

言いながら、指さした先にいるのはかすみちゃん。

せつ菜「かすみさんがまた何か?」

歩夢「何かした、ってワケじゃないんだけどねー……」

かすみ「歩夢さん、今夜はよろしくです。遅刻しちゃダメですよ~?」ニッコリ

歩夢「今日の見張り、よりによってあの子とペアだよ……しかも3時から4時」

せつ菜「それは地獄」

歩夢「夜もそんなに強い方じゃないしなあ……」

歩夢「そういえばせつ菜ちゃん」

せつ菜「何でしょう?」

歩夢「私の才能が何だったのか、心当たりがないかなーって」

せつ菜「その件については私もしばらく考えていたんですけど……やっぱり思い当たるフシがないです」

歩夢「そっかー」

せつ菜「ダイヤさんのように学生になってから才能が開花した人もいますから……多分、歩夢も小中学校で何かがあったんでしょうね」

歩夢「何か、って言われてもねー……」グヌヌ

せつ菜ちゃんでも知らないことらしい。私は何者だったのだろう。

しずく「あの……皆さんに聞きたいんですけど」

鞠莉「What?」

しずく「食堂に集合するのを1時間遅くしてもらえないかなーって……」

ダイヤ「何故です?」

しずく「恥ずかしい話なんですけれど、見張りで一度起きた後、もう一度寝つくのにかなり時間が掛かっちゃって」

しずく「だから、8時集合のところを9時にして欲しいなーって」

彼方「同感―」

ダイヤ「ふむ……確かに、彼方さんは兎も角、時間と体質によっては睡眠に悪影響が出かねませんわね」

彼方「兎も角って何だよーぅ」

果林「そうね……。冷めた朝食でも構わないなら、私は異論なしよ」

鞠莉「とか言いながら、果林もさっき8時ギリギリだったわよね?」

果林「あら。食堂に来たのが8時直前だっただけで、起きたのはもっと早かったわ」

梨子「まあまあ、ここでヘンな争いを起こさないでも……」

千歌「どっちみち、食パンはオーブンで焼けばいつでも温かいしね」

こんな感じで、他愛もない雑談を交わし1日が過ぎて行く。

脱出への手掛かりは、まだ見つかっていない。

────深夜

歩夢「……」zzz

ピンポーン

歩夢「……ん」モゾモゾ

ピンポーン ピンポーン ピンポピンポピピピピピ

歩夢「うるさい……」ムクリ

ガチャリ

かすみ「歩夢さん、見張りの時間ですよ~」

歩夢「分かってる、分かってるからインターホン連打は勘弁して」

かすみ「──と、いうワケでして。って、聞いてます?」

歩夢「……一応」

かすみ「そういえば今日、千歌さんと色々お喋りしていたんですよ」

かすみ「向こうは多少なりと才能に心当たりがありましたが、歩夢さんにはそれすらないんですよね~」

歩夢「……知らないよ。その話は昨日、愛ちゃんともした」

かすみ「本当に才能なんてあったんです? ほら、よくある話じゃないですか。裏口入学とか」

自分とは合わない人間に遭遇するという話は、決してないワケではない。

少なくともこの学園生活のメンバーに関して言えば、かすみちゃんとの相性は最悪だ。

人の神経を逆撫でするような喋り方と、ある意味それに相応しいトーク内容。

……むしろ、彼女と相性の良い人間はいるのだろうか?

かすみ「そもそも記憶喪失が嘘だったり。実は目の前にいる歩夢さんが『超高校級の通り魔』だった、なんてのはイヤですよ?」

かすみ「ほら、ニュースで騒ぎになっていたじゃないですか、確か名前は──」

歩夢「……もういいよ、私の話は」

かすみ「はい?」

歩夢「家に帰ってからゆっくり考える。だから、あることないこと言うのはやめて」

……たった数分話しただけで、もううんざりだと言いたくなる。

この見張りはあと半時間以上続くのに。

かすみ「……そうですか。やっぱりみんな、帰りたいって思ってますよね」

かすみ「まあ、そのうち警察が動くんじゃないでしょうか。皆さんの家族が捜索願を出していてもおかしくないですし」

歩夢「家族、か……。そういえば、かすみちゃんの家ってパン屋なんだよね」

同じ長ったらしいトークをされるなら、まだ彼女の身の上話を聞いていた方がいい。そう思って、私は家族の話題を振った。

……しかし、私はその選択をすぐに後悔することとなった。

かすみ「……」キラン

歩夢「……っ」ゾワッ

かすみ「ですよねですよね! 歩夢さんも気になりますよね、ベーカリー中須!」

歩夢「か、かすみちゃん?」

かすみ「オススメはやっぱりコッペパンですね~。お手頃価格、それでいて美味しいと評判。ウチでは食パンやロールパン以上に売れているんですよ!」

歩夢「あの、ちょっと」

かすみ「あとは最近、総菜パンの種類が結構増えました。お客さんからの意見を参考にして『こんなパンが食べたい』の声に可能な限り応えるようにしているんです!」

かすみ「中には絶対に合わないだろうって組み合わせもあるんですけれど、試行錯誤してそれらが綺麗にマッチングした時の嬉しさと言ったら!」

かすみ「近頃は健康に気を遣うお客さんもいますから、そういう人たちへのメニューとして──」

かすみ「他にも、建物を少し増築して、買った出来立てのパンをホッカホカの状態で食べられるようにスペースを設けて──」

かすみ「そもそも、ウチが有名になったキッカケは──」

───
──

────歩夢の部屋

かすみ「ではではおやすみです、歩夢さん」

歩夢「うん、おやすみ……」ガチャ

歩夢「はぁぁぁぁ……」バタン

……どっと疲れが湧いた。今すぐ眠りたい。

寝る前にシャワーを浴びようかとも考えたけれど、夜時間は水が出ないので仕方ない。

そもそも、かすみちゃんに喋らせること自体が大きな間違いだった。

一度スイッチの入った彼女は、まるでマシンガンのように言葉を撃ちだして来る。

こちらが言葉を挟む隙をほとんど与えない。相槌を打つのが精いっぱいだ。

歩夢(でも……かすみちゃんのこと、少しだけ分かった気がする)

話によれば、中須かすみの才能が開花したのは小5の頃。

母親が熱で倒れ、代わりに彼女が店番をすることになった。

その際、母の見様見真似で作ったパンが非常に好評を博し、以来ベーカリー中須への客足は一気に増えたという。

歩夢(普段は人を苛立たせたり、シャレにならないイタズラをしたりするけど……案外、根は家族想いのいい子なのかも?)

そんなことを考えながら、私は深い眠りについた。

本日も異常なし。

~モノっちー劇場~

突然だけどあるなしクイズだよ。

「セイウチに」あって「オットセイ」にない。「沼津」にあって「お台場」にない。

「理由」にあって「原因」にない。「事故」にあって「殺人」にない。

じゃあ「意味」はどっちに入るかな?

答えはない。そう、この問題に意味なんてないんだ。

無理に法則性を求めるのなら……それこそ、意味のない話だと思うネ。

────学園生活4日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

モノっちー『ああそうそう。オマエら、10時になったら視聴覚室に集合してネ。全校集会みたいなものだから』

プツン

歩夢「……?」

いつものチャイムといつものアナウンス、その後に追加されたモノっちーからの言葉。

イヤな予感はするけれど、行かないと何をされるか分からない。

その意見は皆も同じのようで、朝の食事会は少々早めに切り上げることとなった。

────視聴覚室

モノっちー「おやおや、皆さんお集まりで」

せつ菜「あなたが呼んだんじゃないですか!」

鞠莉「ヘンな用事なら早く帰りたいんだけれど?」

彼方「……」ウツラウツラ

モノっちー「そうだったネ。これは失敬失敬」

梨子「ふざけてるのかしら……」

モノっちー「どうだろうネ。ボクはただ、退屈な日常生活に刺激を与えたいだけなんだよ」

千歌「刺激?」

モノっちー「とりあえず全員、座席にネームプレートが置いてあるからそこに座ってネ。座ったら、音が漏れないように用意したヘッドホンをつけること」

逆らうワケにも行かず、渋々と各々の席に座る。

既にパソコンの電源が入っており、デスクトップには『極秘ビデオ Ver上原歩夢』という名前の動画ファイルのアイコンがド真ん中に表示されている。

しずく「これを見ろ、ということなんでしょうか」

ダイヤ「まさか、いかがわしいものではないでしょうね?」

モノっちー「あら、そういうのをご所望だった?」

ダイヤ「質問に答えてください」キッパリ

モノっちー「大丈夫大丈夫、やらしい要素はないよ。それよりいいの? ここから出るための手掛かりかも知れないのに」

一同「「……」」

手掛かりをわざわざ各個バラバラにする理由はない。

つまりこれは罠だ。みんなの中で警鐘が鳴る。

けれども、脱出への糸口は何一つ掴めないまま3日が過ぎているのも事実。

藁にも縋るような思いで、1人、また1人と動画ファイルの再生ボタンを押した。

機械に弱い花丸ちゃんも、隣の席にいた愛ちゃんの助けで映像を見始める。

……そして、私も。

歩夢「……!」

声を上げそうになるのを抑え、映像に見入る。

だって、モニターに映し出されていたのは──お父さんとお母さん、私の大切な家族の姿。

恐らくは入学前にリビングで録ったのだろう。

「頑張ってね」「無理し過ぎるなよ」と、応援の言葉が私に向けられている。

けれども、こんな映像が用意されているということは。

ザザッ。ノイズと共に、場面が変わり──


歩夢「……嘘」

目に飛び込んできたのは、荒れ果てた我が家の光景。

両親の姿はどこにもなく、過激な泥棒に入られた、と言うには苦しいレベルだ。

『虹ヶ咲学園に入学した上原歩夢さん。どうやら、あなたの家族の身に何かがあったようですネ?』

『さてさて、一体何が起こったのでしょう。どうしてこんなことになっているのでしょう』

『正解は、卒業の後で!』

バクンバクン。心臓の鼓動が周りに聞こえそうなくらいに波打っている。

何なら、今ここで心臓発作で死ぬ、と言われてもすんなり受け入れられてしまうかも知れない。

果南「な、何、これ……」

エマ「どうして、なんでこんなことするんですか!?」

彼方「ハルカちゃん、が……嘘、嫌……」

善子「こんなの、あってたまるもんか……編集よ、この映像は編集に決まっているわ!」

愛「婆ちゃんが……信じない、愛さんは信じないよ……ドントビリーブドントビリーブ……」

璃奈「……(?□!)」

反応を見る限り、恐らくみんなも同じような映像を見せられたのだろう。

揃って、青ざめた顔をしている。

かすみ「モノっちーさん。これを見せて、私たちは何をすればいいんですか~?」

モノっちー「さあ? それはオマエらの自由だよ。校則違反をしない限りはネ」

果林「じゃあ、少し言い方を変えて訊くけれど……あなたは私たちに、何をさせようとしているの?」

果林「こうやって皆の『出たいという気持ち』を煽って殺し合いをさせる。なるほど、映画で見るようなデスゲームの定番と言ってもいいわね」

果林「だとしたら、あなたの目的は何かしら。金銭? それとも愉快犯?」

モノっちー「そんなの簡単じゃん。オマエらの絶望する顔が見たいだけ」

うけけけけけ……気味の悪い笑い声をあげて、モノっちーはどこかへと消えてしまった。

曜「愉快犯、ってことなのかな……」

花丸「あんなの信じちゃダメ。モノっちーの思うツボずら」

愛「そう思いたいのは山々なんだけどさー……いや、でも、これは確かめたくなるっしょ。殺人なんてまっぴらごめんだけど」

歩夢「みんながどんな映像を見たのか、それを話し合えば多少なりと軽減になるかも知れないけれど……」

一同「「……」」

沈黙。まあそうなるよね、と言いかけた瞬間だった。

ルビィ「……っ」ダッ

ダイヤ「っ、ルビィ、どこへ行くんですの!?」

私たちの中で一番顔色の悪そうだったルビィちゃんが、目にも止まらぬ速さで視聴覚室から出て行ってしまった。

慌てて追うダイヤさんと、数名の人たち。残ったみんなは、

果南「ごめん、先に部屋に戻ってるね……」

エマ「私も……気分が優れないので……」

彼方「寝る……寝て起きたら夢だったってことにしといて……」

果林「一応食堂の方でハーブティーを用意するから、必要だったら来て」

梨子「それ、予約入れていいですか……?」

せつ菜「…………」

せつ菜ちゃん、ルビィちゃんの次くらいに顔面蒼白だけれど……ごめん、今はルビィちゃんを探さないと!

────赤い門の前

ルビィ「……」

廊下の隅、ライオンに怯える小動物のように、彼女は縮こまっていた。

身体は小刻みに震えていて、顔からは完全に血の気が引いている。

歩夢「ルビィちゃん、大丈夫……? ダイヤさん、呼んで来ようか?」

ルビィ「……ん、なさい」

歩夢「え?」

ルビィ「ごめん、なさい。今は……お姉ちゃん、呼ばないで」

歩夢「……分かった」

ルビィ「それに、大丈夫なワケない。あんなもの見せられて、ルビィたち、どうなっちゃうの……?」

歩夢「……きっと、大事になっているんだから警察が動く。じきに助けが来るから、それまでの辛抱だよ」

自分にも言い聞かせるように、彼女に精いっぱいの言葉を投げかける。

そうしないと、自分までルビィちゃんと同じようになってしまいそうだったから。

歩夢「それに、殺人なんて起きたりしない。ここから出る方法はきっとある筈、いや、絶対にあるよ。だから、ね?」

ルビィ「歩夢さんは……」

歩夢「?」

ルビィ「歩夢さんは、味方、ですよね……?」

歩夢「うん。私は味方、安心して」

ルビィ「──っ」

歩夢「わわっ!?」

ポフンと音がして、ルビィちゃんが私の懐に飛び込んで来る。私はそれを、ただ無言で抱きしめた。

温かい。そして、まだ少し震えているけれど、さっきよりは収まった気がする。

こうして見ると、彼女は小さくて愛らしい。超高校級の妹、と言われるのにも納得が行く。

月並みな言い方をするなら『庇護欲が掻き立てられる』というものなのだろう。

やがて落ち着いたのか、彼女は私の元から離れ、部屋へと戻って行った。

────夜、食堂

しずく「あれ、どうしたんですか? 歩夢さん」

歩夢「うーん……見張りは0時からなんだけど、何だか眠れなくてね」

千歌「だったら歩夢ちゃんも混ざる? みんなでUNOしてたところなんだ~」

歩夢「あれ、UNOなんてどこにあったの?」

かすみ「暇潰しになるものでもないかってモノっちーに聞いてみたら、倉庫から引っ張って来てくれたんですよ」

花丸「みんなの部屋の引き出しに、いつの間にか置かれていたんだ。マルの部屋には囲碁が置いてるずら」

かすみ「私は人生ゲーム。流石にここまで持ってくるのが面倒なので放置してます」

しずく「チェスでした。ルール分からないのに……」

ルビィ「ルビィは、トランプが」

千歌「それで、私の部屋にあったUNOを持ってきたってこと。多分歩夢ちゃんの部屋にも何かある筈だから、あとで確認しておくといいよ」

言いながら、千歌ちゃんは既に私の分の手札を配っている。やれということなのだろう。

~十数分後~

千歌「ぐぬぬぬぬぬ……」

歩夢「よし、これでアガリ!」

千歌「負けたー!」

花丸「いい勝負だったずら」

歩夢「前もってローカルルールを話し合った結果だね……ドロー2にドロー4を重ね掛け出来て助かったよ」

しずく「こういうのって、人によって少しずつルールが違いますもんね」

千歌「そうそう。記号カードを残した状態でウノを宣言出来ないの、すっかり忘れてたよー」

歩夢「どうする? もう1回やる?」

ルビィ「あ、じゃあルビィが……」

そう言って、ルビィちゃんが山札をシャッフルし始める、が。

ルビィ「あっ!」

手を滑らせてしまい、テーブルや床にカードが散乱してしまう。

ルビィ「ごめんなさい! 拾わないと……ぐぇっ!?」

かすみ「……え、あ、ごめんなさい。踏んでしまいました~?」

バキッ、と嫌な音がする。

運の悪いことに、1位抜けしてジュースを入れに行っていたかすみちゃんが、誤ってルビィちゃんの左手を踏んでしまったのだ。

ルビィ「────ッ!!?」

花丸「ルビィちゃん!?」

かすみ「こ、これは予想外でした……大丈夫ですか!?」

しずく「結構、痛い音が聞こえましたよ!?」

千歌「保健室! それと、誰かダイヤさんか彼方ちゃんを呼んできて!」

歩夢「わ、分かった!」

───
──

────深夜0時過ぎ、学生寮食堂前

せつ菜「……そんなことがあったんですか」

歩夢「うん、大変だった。彼方ちゃんは部屋に引き籠って出てこないし、ダイヤさんは少しパニックになっちゃうし」

歩夢「一応、氷袋で冷やしてる。明日診るから、それまで我慢してくれって彼方ちゃんが」

せつ菜「随分と大雑把な保健委員ですね、まったく。悪化するかも知れないのに」

歩夢「仕方ないよ。彼方ちゃん、あの映像でかなりショック受けてたみたいだし」

せつ菜「そういう意味じゃなくて。見張りの時に診てあげれば良いのに、と」

歩夢「それもそうだね……」

せつ菜「歩夢」

歩夢「どうしたの?」

せつ菜「……いえ、なんでも」

歩夢「そっか……」

せつ菜「……」

気まずい。さっきから、せつ菜ちゃんの声が少し震えている。

映像の件だろう。けれども、気の利いた言葉が思い浮かばない。

何しろ、ルビィちゃんに掛けてあげた言葉はほとんど効果が無かったのだから。

沈黙が、1時間どころか何時間も続いたようにすら感じられた頃。

せつ菜「……すみません。少々、お手洗いに」

歩夢「え、でも」

せつ菜「もう見張りも終わりですし、そろそろ我慢が」

歩夢「……分かった」

結局、せつ菜ちゃんに何も言えていない。

少しドタバタはあるけれど平穏だった学園生活は、モノっちーの介入によってあっさりと均衡状態に陥った。

考えたくはないが、誰かを殺して外に出ようとする、そんな人が現れたら──

歩夢「……ん?」

ふと、廊下に誰かがいるのが目についた。

ダイヤ「ルビィ、入りますわ」

妹の様子を見に来たのだろう。けれども、今は個室に他人を入れるのは宜しくないのではないか。

そう考え、声を掛けようとしたその時。

歩夢「──か、はっ……!?」

???「……」グッ

歩夢(何!? 首、絞められてるの……?)

歩夢(嘘、私、殺される……!?)

歩夢(嫌だ、誰か、助け……)

歩夢(せつ菜、ちゃ……)

歩夢(……)

ドサッ。

???「……」

本日……異常あり。

────学園生活5日目

歩夢「……」

歩夢「……ん」ゲホッ ゴホッ

歩夢「生きて、る?」

目が覚めたら、私は保健室の前で倒れていた。

昨日の出来事は何だったのだろう。何故ここで倒れているのだろう。

そもそも今は何時なのだろう。とりあえず、食堂に向かわないと。

────食堂

壁に掛かっている時計の短針は、既に9に達しようとしている。

何人かの姿が見当たらないが、大体の顔ぶれは朝食の真っ最中だった。

せつ菜「歩夢! 昨日は一体どうしたんですか!?」

果南「首筋……何か跡があるけど」

鞠莉「何か良くないことが起きたみたいね。説明してくれる?」

歩夢「え、えっと──」

せつ菜「そんな……でも、歩夢が無事で良かったです!」ダキッ

歩夢「ちょ、ちょっとせつ菜ちゃん! みんなが見てるから……」

善子「でも、やっぱり出ちゃったのね。殺し合いに乗った人」

かすみ「犯行は失敗しちゃったみたいですけどね~」プクク

歩夢「かすみちゃん! 人が死にかけたのに笑わないでよ!」

果林「とにかく、この件については一度みんなで話し合っておく必要があるんじゃないかし──」



ピンポンパンポーン




モノっちー『死体が発見されました。一定の捜査時間の後、“学級裁判”を開きます』

モノっちー『オマエら、死体発見現場の学生寮にお集まりください!』

プツン

歩夢「……え?」

善子「どういうこと、今の……」

千歌「死体、って言ってたよね……?」

璃奈「みんな、大変だよ! 早く来て!(>_<。)」

璃奈ちゃんボードで顔は見えないが、焦っているのが声から分かる。

果林「璃奈ちゃん、落ち着いて。何があったの?」

璃奈「それが……」

彼女のただならぬ様子に加え、さっきのアナウンス。みんな、一斉にに学生寮へと駆けて行き────





────そして、見た。

赤、赤、赤赤赤赤赤。

学生寮、黒澤ルビィの個室で。

腹部から包丁を生やし、壁にもたれかかり、青い床のタイルに赤い湖を作り。





超高校級の妹、黒澤ルビィが息絶えていた。

今回はここまで。


    Chapter1

Step! 18 to…… 非日常編

愛「ドッキリ……だよね?」

璃奈「ううん。脈、止まってる……(>_<。)」

ダイヤ「そんな……」フラッ

曜「ダイヤさん!」ガシッ

モノっちー「うけけけけ……あーあ、始まっちゃった始まっちゃった」

かすみ「始まった、ってどういうことなんですか~?」

モノっちー「決まってるじゃん、コロシアイだよコロシアイ。これから、オマエらは黒澤ルビィさんを殺した犯人を見つけるんだよ」

鞠莉「そんなこと言って、本当はあなたが殺したんじゃないの?」

モノっちー「それはないよ。ボクは校則違反でも起きない限り直接生徒に手を下さないんだ、これだけは信じて欲しいネ」

果林「つまり、私たちの中に犯人がいる。そう言いたいのね、モノっちー?」


モノっちー「ぽんぴんぽんぴーん。そう、確かにオマエらの中の誰かが彼女を殺したんだ」

歩夢「……っ」ゾワッ

梨子「でも、犯人を見つけるなんてどうやって……」

しずく「さっき放送で言われてた“学級裁判”でしょうか……」

モノっちー「そういやあ学級裁判のルールも説明してなかったね。ごめんごめん、最近物忘れが激しくってさ」

モノっちー「死体が発見されたら、さっきみたいにボクがアナウンスを流して、オマエらに事件を認知させるんだ」

モノっちー「そのあと一定の時間をあげるから、そこで手掛かりや証拠、証言を集めちゃってネ。いわゆる捜査時間ってヤツだよ」

モノっちー「捜査が終わったら、お次はウッキウキの学級裁判! オマエら全員で『誰が被害者を殺したクロか』を議論した上で、投票してもらうんだ」

モノっちー「正しいクロを指摘出来なければ、晴れてクロは学園から卒業。指摘に成功した場合は学園生活を続行、クロにはオシオキが待っています!」

花丸「オシオキ?」

モノっちー「処刑だよ。殺人犯への死刑執行は当然じゃん!」

エマ「この国でそれは通らないと思うのですが……」

善子「典型的なデスゲームのルールってことでしょ。さしずめ、モノっちーがゲームマスターってところかしら」

モノっちー「そういうこと~♪」

千歌「でも、手掛かりを見つけろって言われても……刑事ドラマとかで見た……ケンシ? の知識とかが必要になったりするんじゃ……」

彼方「検死なら一応出来るよ~。まさかこんな形でやることになるとは思わなかったけど……」

エマ「ほ、本当に大丈夫なんですか!?」

モノっちー「そうなるだろうと思ったから、オマエらにはこれをプレゼントしちゃうよ」

たりららったらー。どこかで聞いたSEを口ずさみながら、モノっちーが取り出したのは人数分のタブレット端末。

果南「何これ……“モノっちーファイル”?」

モノっちー「イェス! 死体の状況をボクが軽くまとめておいたんだ。これで素人でも捜査がしやすくなるネ」

モノっちー「忘れないうちに言っておくけど、クロを当てられなかった場合は、残ったシロはみ~んなオシオキだからネ。この辺ぜ~んぶ電子生徒手帳に追加しとくよ」

~校則~

7.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

8.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

9.学級裁判で正しいクロを指摘出来なかった場合はクロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。

モノっちー「そういうことだから、せいぜい頑張ることだネ。うけけけけけ……」


花丸「……行っちゃったずら」

歩夢「とにかく、やるしかないんだね」


捜査開始!

歩夢(と言っても、何から調べればいいのか……とりあえずモノっちーファイルに目を通しておかないと)

歩夢(被害者は超高校級の妹、黒澤ルビィ。死因は腹部に刺さった包丁による失血死)

歩夢(死体発見現場は彼女の個室、発見は9:30頃。その他の外傷として、左手を骨折している……)

歩夢「本当に軽く、なんだね……」

《モノっちーファイル》の言弾(以下コトダマ)を入手しました。

鞠莉「ところで、2人ないし3人1組で行動しなくていいのかしら。Murderに証拠をインメツされたらおしまいよ?」

エマ「でしたら、昨晩の見張りでペアを組むのはどうでしょう」

愛「それ、愛さんフリーになっちゃうんだけどー」

果林「ダイヤちゃんも気を失っているし、昨日は代理を立てたりもしたからグチャグチャになりかねないわね」

歩夢「……えっ?」

しずく「でしたら、私と愛さん、ダイヤさんは食堂にいますね」

果南「まあ、仕方ないよね。愛ちゃんはそれでいい?」

愛「ほいほーい。まあ、こういうの考えるのって苦手だし丁度いいや」

せつ菜「では……私とペアですね、歩夢」

歩夢「うん。まずは果林さんから話を聞かないと」

歩夢「果林さん、さっき言ってた“代理”ってどういうことなんですか?」

果林「そのままの意味よ。昨日ルビィちゃんが怪我をしたでしょう、それでダイヤちゃんがあの子の分も見張りを買って出たのよ」

千歌「ちなみに果林ちゃんも彼方ちゃんの分を代わってあげてたよ~」

せつ菜「本当に引き籠ってたんですか……」

果林「順番を説明しておくと、10時から11時が善子ちゃんと璃奈ちゃん、その次が果南ちゃんと曜ちゃん」

せつ菜「0時から1時が私と歩夢で、1時から2時がかすみさんと花丸さんでしたね」

千歌「うん。2時からがダイヤさんとしずくちゃんで、次がダイヤさんと愛ちゃん。ルビィちゃんのはこの時だね」

果林「4時から私と梨子ちゃん、続いて私と千歌ちゃん。彼方ちゃんのを代わったのは4時からの方ね」

果林「最後は鞠莉ちゃんとエマちゃん……紙にまとめておいたから、役に立てると嬉しいわ」

ttps://i.imgur.com/buPpKvr.jpg

歩夢「ありがとうございます!」

《昨晩の見張りの順番》のコトダマを入手しました。

せつ菜「ところで、さっきから聞こえる水の音はなんでしょう」

歩夢「これは……シャワールームかな?」


────シャワールーム

果南「まったく、勿体ないなあ」キュッ

歩夢「どうかしたんですか?」

曜「シャワーの水が出しっぱなしになってたんだよ。さっきまで誰も入ってなかったから、昨日からずっとじゃないかな」

せつ菜「確か、シャワーって夜時間の間は水が出ないんじゃないでしたっけ」

果南「そうなんだよね。これって……」

曜「でもタオルは乾いてるんだよね。使った形跡はあるけど、特に血が付いてるワケでもないし」

《シャワールームの水》《シャワールームのタオル》のコトダマを入手しました。

歩夢「次は……ルビィちゃんを調べればいいのかな」

せつ菜「あまり死体を見たくはありませんが……」

────ルビィの死体

彼方「おー、ちょうど良い。検死の結果が出たから誰かにそれを教えたいところだったんだ」

歩夢「何か分かったの?」

彼方「死後硬直の状態を見るに、夜中に死んだのは間違いないね~。死体が大きく動かされた様子もナシ、死斑が教えてくれた」フンス

歩夢「シハン?」

彼方「死んだ人って血液の流れが止まっちゃうから、それがどんどん下に溜まっちゃうんだよね。それで出来た痣を死斑って言うんだ~」

せつ菜「なるほど……」

彼方「ふふん、彼方ちゃん物知りでしょ? それから、傷の大きさからして凶器もこの包丁で間違いない。ご丁寧に柄にまで血がべっとりついてるし。ただ……」

歩夢「ただ?」

彼方「何でだろうね、2回刺された跡があるんだよ。致命傷になったのは2つ目なんだけど、即死にはならなかったかも」

歩夢「じゃあ、ルビィちゃんはそれまで苦しんで……」

せつ菜「うぅっ……」

《彼方の検死報告》《凶器について》のコトダマを入手しました。

梨子「ねえ、そっち終わった? 見てもらいたいものがあるんだけど」

歩夢「?」

梨子「ルビィちゃんが左手に何か持っていてね、気になったから取ってみたの」

せつ菜「トランプ……ですね、♦のK」

梨子「ケースはこっちに置いてあったわ。取り出されたのはその1枚だけみたい」

歩夢(♦のK……まさか?)

梨子「でも、モノっちーファイルによると彼女は左手を骨折していたのよね……」

歩夢「昨日、色々あったから……」

歩夢(……)

《被害者の握っていたトランプ》《トランプのケース》《左手の怪我》のコトダマを入手しました。

せつ菜「……ん? 歩夢、ちょっと見てください」

歩夢「血で何かを描いたような……2本の、横線?」

せつ菜「彼女は、何かを書き残そうとしていたのでしょうか」

歩夢「右手の人差し指に血が付いてるし、もしかしたら……」

歩夢(でも、これが何を意味しているんだろう……?)

《床に描かれた血の跡》のコトダマを入手しました。

璃奈「ねえ歩夢ちゃん、昨日誰かに襲われたって聞いたけど大丈夫?」

歩夢「え、あ、うん……。何とかね、運よく生きてたって感じ」

善子「アンタ、悪運強いわね。ま、リスナーに減ってもらっちゃ困るんだけど」

璃奈「事件の流れ、善子ちゃんから聞いた。ちょっと首見せてくれる?」

歩夢「えっと……こう? というか、そのボードしていて見えるの?」

璃奈「……細いヒモ」

歩夢「えっ?」

璃奈「歩夢ちゃんを絞めたのは、細いヒモ。多分(・v・)」

善子「璃奈のボードってどうなってるのよ……」

歩夢「そっか……私の事件も関係あるかも知れないんだ」

善子「ルビィの部屋に入るダイヤを呼び止めようとして、後ろから襲われたのよね」

歩夢「うん。そのあと、起きたら何故か校舎にいた」

璃奈「何でだろうね?」

せつ菜「……」

《昨晩の事件》のコトダマを入手しました。

せつ菜「そういえば、凶器の包丁はどこから持ってきたのでしょう?」

歩夢「包丁ってくらいだし……厨房かな?」

せつ菜「じゃあ、そっちも見に行きましょうか」

歩夢「そうだね」

────食堂

愛「お、今かっすんとマルっちが厨房にいるよ~」

歩夢「ダイヤさん、どう?」

しずく「一応起きてはいるんですけど……」

ダイヤ「……」

愛「あんまし口きける状態じゃないかもね~」

せつ菜「妹さんが殺されたんですし、仕方ないですよ」

しずく「あ。そういえばかすみさんたち、何かを見つけたみたいですが……」

────厨房

かすみ「あれ、2人もこっちに来たんですか」

花丸「かすみちゃんが、包丁はここから取っていったんじゃないかって」

かすみ「ビンゴでした~。夕食の時、1個足りないな~くらいに思っていたんですけれど、あのときには凶器が持ち去られていたみたいです」

歩夢「夕飯の時には……?」

せつ菜「計画性のある犯行、だったのでしょうか……」

《厨房の包丁セット》のコトダマを入手しました。

歩夢「そういえば3人とも、私が襲われた後ってどうしたの? ほら、見張りの順番隣だったし」

花丸「ああ、それなら……」

かすみ『歩夢さんが見当たりませんけど~?』

せつ菜『もう寝たのではないでしょうか。私、さっきまでトイレに行ってたので』

花丸『歩夢さん、かすみちゃんと相性良くないみたいだし会いたくないのかも知れないずら』

かすみ『んー……次にペアになった時覚えていてください……』ブツブツ

せつ菜『歩夢、かなり愚痴をこぼしていましたからね。とりあえずおやすみなさい』

花丸『はーい』

───
──


花丸「こんな感じだったずら」

せつ菜「まさか、歩夢が大変な目に遭っているなんて夢にも思いませんでした……」

歩夢「そうなんだ……」

かすみ「ちなみにせつ菜さんを見送った後、すぐにルビィさんの部屋を確認しました」

歩夢「ダイヤさんがいた筈だよね。中に入ったの?」

かすみ「いえ、インターホン越しです」


かすみ『もしも~し? 人の部屋で何をしているんですか~?』

ダイヤ“別に、ルビィの様子が気になっただけですわ”

ルビィ“……うん。お姉ちゃんにはまた迷惑かけちゃったね”

かすみ『とにかく、終わったらすぐに出てくださいね?』

ダイヤ“……分かっています”

───
──


かすみ「まあ、そのあとすぐにダイヤさんは部屋に戻ったんですけどね」

花丸「そうだっけ?」

かすみ「そうじゃないですか~。現に、見張りを交代する時にはダイヤさん本人の部屋から出てきましたし」

花丸「そういえばそうだったずら」

《かすみの証言》のコトダマを入手しました。

────食堂

愛「やっほー」

歩夢「ダイヤさんとしずくちゃんが見当たらないけど……」

愛「気分悪いからってトイレに行ったよ。ああ、ついでだし話しておきたかったことがあるんだけどさ」

愛「ほら昨日、果林がここでハーブティー出してたっしょ?」

せつ菜「ええ、私も1杯御馳走になりました」

愛「せっつんが部屋に戻った後だったかなあ、私と果林だけの時、ルビィがここに来たんだよね。しかも厨房に入ってったの」

歩夢「厨房に!?」

愛「何でも、スイートポテトが好きみたいでさ。食べて落ち着きたかったんだって」

愛「結局サツマイモが厨房に無かったから、代わりに何か作ろうかって聞いたけど……すぐに帰っちゃった」

愛「2人とも厨房を調べてたし、だったら役に立つかなーって」

歩夢「うん、ありがとうね」

《愛の証言》のコトダマを入手しました。

────廊下

鞠莉「Hi♪ 2人とも、調査は進んでいるかしら?」

歩夢「うーん……進んでいるような、進んでいないような」

せつ菜「色んな人に話を聞いたりはしているんですけど……」

エマ「私たちも部屋を一通り調べ終えたところなんです」

鞠莉「ゴミ箱を漁ったり、クローゼットの中に何かないか探したりね」

エマ「クローゼットは何も変化なしでした。制服の替えと私服が何着か」

鞠莉「そういえばあの私服って、どれもバラバラなのよね。私、気に入った服は同じのを何着も買うことがあるんだけど……全部1種類ずつしかなかったわ」

せつ菜「そういえばそうでしたね。何か意味があるんでしょうか……?」

鞠莉「ここにみんなを閉じ込めたは着せ替えごっこが趣味なんじゃないかしら。それよりも、面白いものをゴミ箱で見つけたのよね」

歩夢「面白いもの? それってまだ部屋に残ってますか?」

鞠莉「残ってないわ、とっくに回収しちゃったもの。それにこれが手掛かりかも分からないから……裁判とやらまでsecretにしておくわ」

エマ「ごめんなさい。鞠莉さん、私にも教えてくれないんですよ……」

鞠莉「その時が来たら、かしらね♪ ヒントは……あの部屋にあった筈の物」

せつ菜「あった筈の物、ですか……」

歩夢(言われてみれば……僅かな違和感がある。あの部屋から消えた何か……?)

《個室の違和感》のコトダマを手に入れました。

ピンポンパンポーン

モノっちー『オマエら、ぼちぼち捜査は終わったかな? 終わってなくとも締め切りだけどネ!』

モノっちー『ボクもそろそろ待ちくたびれたからネ、いよいよお待ちかねの学級裁判です』

モノっちー『校舎1階、赤い門の前にお集まりください。ではでは』

プツン


せつ菜「赤い門……って、アレのことですよね」

歩夢「学級、裁判……」ゴクリ

────赤い門の奥の部屋

曜「エレベーター……」

エマ「外に通じる扉じゃなかったんですね……」

璃奈「私たちの中に、犯人が……(>_<。)」

かすみ「いい加減そのボード取ったらどうですか~? 仮面の下は醜い殺人犯だったりして」

果南「いやいや、それをこれから議論するんじゃないの」

善子「間違えたらみんな死んじゃうのよね……」

しずく「責任重大、ですね」

愛「だーいじょうぶだって。アタシの勘は3割当たるから!」

梨子「大丈夫じゃないわよ!?」

モノっちー『うけけけけけ……オマエら、揃ったみたいですネ』

モノっちー『それでは、正面にあるエレベーターにお乗りください!』

モノっちー『そのエレベーターが、オマエらを裁判場へと導いてくれます。うけけけけけ……』

プツン

千歌「いよいよ始まるんだね……」

彼方「んー……彼方ちゃん、足引っ張らないように頑張る」ウツラウツラ

花丸「寝ちゃダメずらよ?」

鞠莉「~♪」

ダイヤ「……」

果林「さて、みんな乗ったわね」

ゴウン、ゴウン。

耳に響く音を出しながら、エレベーターは地下へと降りて行く。

どこまでも、どこまでも。

せつ菜「……」

歩夢「……あれ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「……どうしました?」

歩夢「いや、革靴を履いてるのが意外でさ。いつものブーツはどうしたのかなーって」

せつ菜「……スクールアイドルは服装のコーディネートにも気を配るのです」

歩夢「だったら、果林さんにレクチャーしてもらわないとね」

せつ菜「……そうですね」

歩夢「……」

《せつ菜の靴》のコトダマを入手しました。

────地下???階、裁判場

モノっちー「ガンクビ揃えていらっしゃーい! ささ、早く自分の名前が書かれた席に着いてちょーだい」

モノっちーに促されるまま、私たちは指定されたそれぞれの席へ向かう。

円状に陣取るように配置された席。みんなが証人で、みんなが被告人。

ぐるりとみんなの顔を見回して……そして、始まる。

間違えるワケにはいかない……命がけの、学級裁判!

~学級裁判準備~
交代制の見張り。そのさなか、超高校級の妹である黒澤ルビィが殺害された。
果たして誰がクロなのか。そして、クロはどうやって見張りを掻い潜ったのか?

コトダマリスト
《モノッチーファイル》被害者は黒澤ルビィ。死因は腹部に刺さった包丁による失血死。その他の外傷として、左手を骨折している。

《昨晩の見張りの順番》ttps://i.imgur.com/buPpKvr.jpgを参照。
ルビィは怪我で、彼方は部屋から出たくないという理由で交代してもらっている。

《シャワールームの水》皆が部屋に入るまで、水は出しっぱなしになっていた。
一方、夜時間の間は水が出ないようになっていた。

《シャワールームのタオル》乾いているが使用された形跡あり。血などはついていなかった。

《彼方の検死報告》彼方によれば、ルビィが死んだのは夜中。
死体を大きく動かした様子はない。また、被害者は2回刺された跡があった。

《凶器について》被害者に刺さっていたもの。柄にも血がべっとりついていた。

《被害者の握っていたトランプ》ルビィが左手に握っていた♦のKのトランプ。

《トランプのケース》ルビィの傍に置かれていた。残りのカードは全てケース内に収まっている。

《左手の怪我》昨晩、歩夢たちとUNOをした際に出来たもの。

《床に描かれた血の跡》2本の横線。被害者は右手で何かを書き残そうとしていた?

《昨晩の事件》歩夢が何者かに首を絞められ、目が覚めたら保健室前で倒れていた事件。
璃奈によれば凶器は細いヒモらしい。

《厨房の包丁セット》かすみによれば、夕食の時には1つ足りなくなっていたらしい。

《かすみの証言》昨晩ルビィの部屋を訪れたダイヤ。
その時にはルビィが生きていたのをインターホン越しに確認しており、ダイヤはきちんと自室に戻っていた。

《愛の証言》昨日、果林がハーブティーを用意している頃に、ルビィは一度厨房を訪れていた。

《個室の違和感》部屋からは何かが消えており、鞠莉はその何かを見つけたらしい。

《せつ菜の靴》彼女は今日、いつものブーツから革靴に履き替えていた。

今回はここまで。次回、学級裁判です。


 学 級 裁 判 
  開   廷!

モノっちー「まずは学級裁判の簡単な説明を行いましょう」

モノっちー「学級裁判では“誰がクロか”を議論し、最終的に投票で全てを決定します」

モノっちー「正しいクロをオマエらの過半数が指摘出来れば、クロだけがオシオキ」

モノっちー「不正解だった場合は、クロは卒業、残ったシロは全員オシオキです!」

モノっちー「……あー、最初はしっかり説明しないといけないからめんどくさいネ。とっとと始めちゃって~」

エマ「ところで、モノっちーさんに一つ聞きたいのですが……あれは何でしょう。日本にはそういう文化があるのでしょうか?」

エマちゃんが指さした先。裁判場の席は18だが、そのうちの1つ……ルビィちゃんの席には、×印のついた遺影が飾ってある。

モノっちー「演出だよ演出。仲間なんだし一緒にいたいでしょ?」

歩夢「……悪趣味」

かすみ「とにかく、ちゃっちゃと始めちゃいましょうよ~。17……犯人を除いて16人の命が掛かってるんですよ?」

果林「あなたに言われるのは癪だけれど……仕方ないわね」

花丸「何から話すずら?」

かすみ「じゃあまずは──」

ダイヤ「あの……少し、待ってくれませんか?」

曜「どうしたの?」

ダイヤ「少し、根本的な話から始めたいのですが……」

【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
[|モノッちーファイル>
[|彼方の検死結果>
[|昨晩の事件>

【矛盾した発言】をコトダマで撃ち抜け!

せつ菜「根本的な話、とは何でしょう?」

ダイヤ「……被害者が誰なのか、についてです」

善子「被害者ぁ? そんなの、ルビィに決まってるじゃない」

ダイヤ「いいえ! もう一つ可能性があります。そうですよね、璃奈さん……いえ、ルビィ」

璃奈「え、私!?」

ダイヤ「【あの部屋で死んでいたのは、ルビィに変装した璃奈さんで】あなたが本物のルビィなのです」

愛「いやいや、確かにりなりーなら化けることくらい出来るだろうけどさあ」

かすみ「ちゃんと現実を見てくださいよ~」

かすみちゃんの言う通りだ。ダイヤさんには辛いけれど……受け入れて貰わないと!

[|モノっちーファイル>→【あの部屋で死んでいたのは、ルビィに変装した璃奈さんで】

歩夢「それは違うよ!」

break!

歩夢「ねえモノっちー。あのファイルに、ウソは書いてないんだよね?」

モノっちー「はい。議論を公平に進めるためにも、あのファイルに嘘は決して乗せません! 意図的に情報を隠すことはあるけどネ」

梨子「だったら、やっぱり死んだのはルビィちゃんなのね……」

ダイヤ「そんな……」

果南「……ねえダイヤ、追い打ちを掛けるようで悪いんだけどさ。ルビィが持ってたアレって、どう考えてもダイヤに関係あるよね」

アレ、ってもしかして……

【コトダマ一覧より選択しろ!】

→【被害者の握っていたトランプ】

歩夢「トランプ、♦のK……ダイイングメッセージだと言いたいんですよね」

千歌「♦のK……ダイヤ・Kurosawa……そのまんま!?」

彼方「安直に考えれば、ダイヤちゃんが犯人だってことを示してるよね~」

かすみ「だったら事件解決じゃないですか~。ダイヤさんに投票して、パパっと終わらせましょう」

しずく「そ、そんな簡単に決めちゃっていいんですか!?」

鞠莉「でもあのカードが示す人物、ダイヤ以外に心当たりがないけれど?」

果林「あら。たまたまスートが♦だっただけで、Kから始まる名前の人物だったって可能性は否定できないでしょう」

善子「すーと?」

花丸「トランプの記号のことをそう言うずら」

かすみ「あーもう、うるさいです! 名探偵かすみんがサクっと事件のあらましを説明してあげますから黙ってください!」

【ノンストップ議論開始!】
[|凶器について>
[|シャワールームの水>
[|シャワールームのタオル>

かすみ「昨日の夜、歩夢さんたちの見張りが終わる直前にダイヤさんは被害者の部屋に入りました」

かすみ「その後、私たちはインターホン越しに姉妹揃っての声を聞いてます。そうですよね、花丸さん」

花丸「う、うん。確かに聞いてる、けど……」

かすみ「まだその段階では生きている、そう印象付けた上でルビィさんを殺し【シャワールームで血を流して】……」

かすみ「わざと怪しまれるように【トランプを被害者に握らせる】! 怪しすぎて逆に犯人にはならない、って現象を逆に利用したんですよ~」

ダイヤ「……」

果南「ダイヤ。認めるか反論か、何か言った方がいいよ?」

あれ……? いま、明らかにおかしな部分があったような……。

[|シャワールームの水>→【シャワールームで血を流して】

歩夢「それは違うよ!」

break!

歩夢「待って。あのシャワーって、夜時間の間は水が出なかった筈だよ!」

かすみ「んー……あー、言われてみればそうですね」

エマ「じゃあ、シャワーを使わずに部屋を出たんじゃないでしょうか?」

曜「それはないと思うよ。シャワーの水は出しっぱなしだったんだから」

せつ菜「……では、朝に誰かがあの部屋に入っているということになるのでしょうか」

鞠莉「それなら、名乗り出た方がいいんじゃないかしら? 『私はルビィを殺していないけど、あの部屋のシャワーは使いました』って」

一同「「……」」

果林「誰も手を挙げないということは、シャワーを使った本人にとって知られると都合の悪い事柄のようね」

歩夢「だったら、やっぱりダイヤさんが犯人ってのは無理があるよ! 一度考えをまとめ直して──」

彼方「ここで彼方ちゃんの出番ですよ!」

反論!

歩夢「……えっ?」

彼方「歩夢ちゃんはどうしてもダイヤちゃんを犯人にしたくないみたいだけどさ~。私にはどうしてもそうは思えないんだよね」

彼方「というわけで、反論を展開させて貰うよ~」

【反論ショーダウン 開始!】
[|彼方の検死結果>
[|厨房の包丁セット>
[|かすみの証言>

彼方「確か歩夢ちゃんには伝えた筈なんだよね~。ルビィちゃんが死んだのは夜中だろうって」

彼方「ダイヤちゃんがあの子のお部屋に行ったのも夜中。だったら、ダイヤちゃんが最有力容疑者なのは変わらないと思うよ~?」


─発展─
でも、シャワーから水を出すこと自体は
  朝にならないと出来ないことなんだよ!?


彼方「そんなの、簡単に説明がつくことだよ~」

彼方「【朝まであの部屋に籠って】見張りが終わったあとで外に出ればいいのさ~」

彼方「こうすれば、誰にも見つからずに殺害を実行できると思うけど?」

いいや……その方法には無理がある。だって……

[|かすみの証言>→【朝まであの部屋に籠って】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

break!

歩夢「ダイヤさんに、朝までルビィちゃんの部屋に籠ることは出来ないよ」

彼方「んあ?」

歩夢「かすみちゃんと花丸ちゃんに聞きたいんだけど、2人が見張りを交代するとき、ダイヤさんはどこにいたっけ?」

花丸「えっと……ダイヤさん本人の個室だったずら」

かすみ「ええ。彼女は部屋に戻っていたので、彼方さんの推理は的外れです」

せつ菜「さっきまでダイヤさん犯人説を主張してた人が自信満々に言うことじゃありませんよね!?」

愛「迷探偵かすみん」ボソッ

璃奈「ブフッ!?(>v<)」

かすみ「何笑ってるんですか!」

彼方「んー……そういうことだったんだね~。ごめんごめん」

善子「でもこれで、議論が振り出しに戻っちゃったわね」

エマ「振り出しどころかグチャグチャです……」

しずく「でしたら、歩夢さんの言ってたあの話について議論してみるのはどうでしょう」

歩夢「えっ?」

千歌「そっか! もしかしたら、それが犯人の手掛かりに繋がるかも!」

せつ菜「……っ」

歩夢「それは……」

果林「どうしたの? 何か都合が悪いことでもあるの?」

歩夢「……」

歩夢(都合……都合、か)

せつ菜「大丈夫ですか、歩夢?」

歩夢「うん、大丈夫……。それよりさ、私のことは置いといて、凶器について話し合ってみない?」

千歌「うーん……それもそうだね」

かすみ「なにかキナ臭いですねえ。それこそ……って、本当に臭いますよ、善子さん」

善子「善子じゃなくてヨハネ! というか、いきなり人のことをクサいなんて言わないでよ!」

しずく「善子さん……昨日、シャワー浴びましたか?」

善子「あ、忘れてた」

愛「ゲゲェーッ!? てか、服も着替えてないでしょ!」

璃奈「不潔……(`∧´)」

果林「ともかく。歩夢ちゃんが言うのなら、ひとまず凶器の話をしましょうか」

歩夢「……うん」

歩夢(みんな、ごめん……。『あのこと』を言うのはもう少し待って……!)

【ノンストップ議論開始!】
[|凶器について>
[|かすみの証言>
[|愛の証言>

〈正しいと思う発言〉に同意しろ!

花丸「それで、凶器の何について話し合うずら?」

歩夢「包丁を、誰がいつ持ち出したのか、だよ」

エマ「えっと……〈犯人が持ち出した〉ワケではないのでしょうか?」

せつ菜「普通に考えるとそうなりますよね」

彼方「意外にも〈被害者自身が持ち出してましたー!〉なんて展開だったりして」

千歌「いや、だったらなんでルビィちゃんが死んでるの?」

曜「意外や意外、〈第三者がやりました〉なんてことは……」

鞠莉「流石に考えたくないわね……」

可能性があるとしたら……あれしかないよね。

[|愛の証言>→〈被害者自身が持ち出してましたー!〉

歩夢「そうかも知れない!」

break!

歩夢「愛ちゃん。昨日の昼、厨房にルビィちゃんが入って行ったんだよね」

愛「そうだよ? スイートポテトが食べたいからーって、食材を探しに行ったんだよ」

ダイヤ「ルビィの大好物、でしたわね……」

善子「うおっ、急に喋った!?」

しずく「さっきまで幽霊みたいでした……」

彼方「幽霊は成仏しろー」ナムナム

ダイヤ「……」

果林「それにしても、まさかあの時、ルビィちゃんが包丁を持ち出したっていうの?」

歩夢「うん、その可能性を示す根拠があるんだ。それは……」

【コトダマ一覧より選択しろ!】

→【厨房の包丁セット】

歩夢「包丁が1本、夕食の時には既に行方不明になっていた……そうだったよね、かすみちゃん」

かすみ「言いましたっけ、そんなこと」

花丸「確かに言ってるずら」

梨子「ちょっと待って。私も食事担当だったけど、その話まったく知らなかったわよ!?」

かすみ「梨子さんが知らなくて当然ですよ。言ったのは事件の後ですし」

梨子「そんなあっさりと……」

エマ「か、かすみさんは、それが事件の前触れだとは思っていなかったんですよね」

果南「あの動機ビデオの後で、随分と能天気なんだね」ハァ

鞠莉「故意か事故かはこの際置いておきましょう。厨房に入った人間が限られて来る以上、ルビィが持ち出した前提で話を進めるのがcleverだわ」

歩夢「護身用、だったのかも……。ルビィちゃん、かなり怯えてたから」

千歌「護身用なら、そのルビィちゃんが何で死んでるの?」

璃奈「部屋に入って来た犯人に、包丁を奪われた……(>_<。)」

曜「あまり考えたくないけど、ルビィちゃんが誰かを殺そうとして返り討ちって可能性も……」

ダイヤ「っ、ルビィに限ってそんなことはあり得ませんわ!」

善子「だから急に喋らないで! ビックリするのよ!」

花丸「観自在菩薩行深般若波羅蜜多……」ブツブツ

エマ「おお、本格的なお経……これが日本!」

果林「エマちゃん、般若心経は元々日本で生まれたものじゃないわよ……?」

果南「でもさ。もしそうだとしたら、犯人がルビィちゃんを殺したこと自体、計画性がないように見えるんだけど……」

彼方「しょーどーてきなはんこー、ってヤツだね」

花丸「でもルビィちゃんは怪我をしていたから、様子を見るって理由で部屋に行ってもおかしくはないずら」

歩夢「……うん。そこがどうしても引っ掛かってるんだよ」

果林「だったら話した方がいいと思うわよ、歩夢ちゃん。見張りに穴が出来たあのタイミングは、今回の事件と無関係とは思えないもの」

彼方「そーだそーだ。きちんと情報共有をしたまえ~」

歩夢「ええっと……」

愛「そうそう。さっき何か言ってたけど、何の話?」

歩夢「……」

そういえば、愛ちゃんのようにまだ知らない人もいるんだっけ……
でも、これを話すってことは……

【コトダマ一覧より選択しろ!】

→【昨晩の事件】

歩夢「……見張りを交代する少し前、相方だったせつ菜ちゃんがトイレに行ったんだよ」

歩夢「1人になったタイミングで、ダイヤさんがルビィちゃんの部屋に入っていくのが見えて。それで、声を掛けようとしたところで……」

梨子「誰かに首を絞められた」

歩夢「……うん。気づいたら朝になってて、食堂に向かった」

愛「説明サンキュー。でもさ、話を聞いてる限り……怪しいの、1人しかいなくない?」

千歌「えっと……ダイヤさんじゃないのは確かだよね」

果林「そうね、ダイヤちゃんに襲われたのならそう言う筈。でも歩夢ちゃんは、犯人が誰かを知らなかった」

エマ「つまり後ろから首を……それって」

歩夢「……」

分かってる。この話を出せば、彼女が疑われる。
でも、本当に彼女が……?

【怪しい人物を指名しろ!】

→【優木せつ菜】

歩夢「……せつ菜ちゃん。本当のことを言って欲しい」

せつ菜「な、何のことですか?」

歩夢「私を襲ったの、せつ菜ちゃんなんだよね……?」

しずく「トランプ同様に安直な考えですけど、真っ先に疑われますよね……」

せつ菜「ど、どうして私になるんですか! 確かに、一人でトイレに行ったり、歩夢は勝手に寝たのだと判断して見張りを交代しましたけど……」

せつ菜「だからと言ってどうして私なんですか、歩夢! まさか、根拠もなくそんなことを言ってるワケじゃ──」

歩夢「……あるよ、根拠」

せつ菜「なっ……!?」

歩夢「璃奈ちゃん、言ってたよね。私を絞めるのに使われたのは、細いヒモだろうって」

璃奈「うん。でも、どこを探しても首を絞められるヒモなんてなかったよ?」

歩夢「それが……あったんだよ。とても身近なところにね」

【閃きアナグラム 開始!】
ゆ ひ く ぶ も つ  正しい順番に並び替えろ!(ダミー有)

→くつひも

歩夢「みんなの足元にある凶器……靴紐だよ」

善子「別に私の足元にはないわよ? ほら」

愛「そりゃ、アンタが革靴なだけで……というか洗ってない足を向けないで!」

モノっちー「あー、制汗シートが必要ならあげようか? 使用済みだけど」

善子「別に要らない……って、私の話はいいでしょ! 今は歩夢の言ってることに集中しなさいよ!」

果南「話題を振ったのは善子じゃん……」

歩夢「と、とにかく! 靴紐なら『細いヒモ』には該当すると思うんだ」

せつ菜「歩夢、靴紐がないタイプの靴ならそれは成立しませんよ? ほら」

千歌「ほんとだ、革靴。しかも虹ヶ咲学園指定の」

歩夢「……違うよね、せつ菜ちゃん」

だって、せつ菜ちゃんは……
【昨日まではスニーカーだった】
【昨日まではブーツだった】
【昨日まではローファーだった】

正しい選択肢を選べ!

→【昨日まではブーツだった】

歩夢「昨日まで履いてたブーツは……どこへやったの?」

せつ菜「それは……」

かすみ「ちなみにせつ菜さんはロングソックスですから、意識していないとブーツから革靴に変わったことに気づけなかったでしょうね~」

花丸「……見張りを交代した時の言い訳ずら」

歩夢「昔からアイドルに憧れていたせつ菜ちゃんは、人一倍衣装へのこだわりが強かった。それこそ、普段の私服もステージ衣装と大差ないくらい」

エマ「では、せつ菜さんがそのこだわりを捨てたということは……」

歩夢「私がせつ菜ちゃんを疑うには、十分すぎるんだよ……!」

曜「歩夢ちゃんを襲って、ルビィちゃんの部屋に入って、殺した……」

果林「そう。歩夢ちゃんが気を失ったことで、隙のない筈だった見張りに穴があいた」

しずく「では、犯人はせつ菜さん……」

せつ菜「ちょ、ちょっと待ってください。まだ私と決まったワケじゃありませんよ!?」

かすみ「せつ菜さん、往生際が悪いですよ~?」

せつ菜「仮に私が歩夢を絞めたとして、歩夢が校舎まで運ばれた理由は何なのですか!?」

璃奈「歩夢ちゃん襲撃事件の早期発覚を防ぐため、とか(・v・)」

せつ菜「だったら尚更おかしいですよ! さっき『ルビィさんの殺害は衝動的な犯行によるもの』だと言ってましたよね!?」

梨子「……言われてみれば変よね。片や無計画、片や計画殺人」

果林「いえ。どちらも計画殺人だったけれど、『たまたま包丁があったから殺害方法をそっちに乗り換えた』可能性は捨てられないわ」

せつ菜「そんな!」

元々予定していた殺害方法、それは……
【絞殺】
【刺殺】
【毒殺】

正しい選択肢を選べ!

→【絞殺】

歩夢「絞殺。私を絞めた靴紐を、ルビィちゃん殺しに使いまわす……」

果林「ええ。ところが、ルビィちゃんの部屋にはもっとお手軽な凶器、包丁があった」

善子「確かに、絞殺より刺殺の方が時間が掛からずお手頃よね」

かすみ「まるで通り魔の連続殺人鬼ですね~。くわばらくわばら」

千歌「通り魔?」

かすみ「一時期ニュースで騒がれていましたよ。ご存じないんですか~?」

せつ菜「ご存じありませんし、何度も言ってますが私は犯人じゃありません!」

しずく「でしたら、みんなが納得出来る論理的な反論が欲しいです……」

せつ菜「ええあります、ありますとも!」

【ノンストップ議論開始!】
[|かすみの証言>
[|個室の違和感>
[|せつ菜の靴>

【矛盾した発言】を撃ち抜くか、〈正しいと思う発言〉に同意しろ!

鞠莉「それで、論理的な反論って?」

せつ菜「歩夢を校舎に運んだ後の行動ですよ!」

せつ菜「仮にそのあとルビィさんの部屋に行ったとしましょう」

せつ菜「ですが〈彼女の部屋にはダイヤさんがいた〉筈です!」

千歌「だったら【ダイヤさんが部屋を出た後でこっそり入る】とか……」

彼方「〈ダイヤちゃんと共犯関係だった〉可能性もあるよね~」

善子「その辺はどうなのよ、ダイヤ」

ダイヤ「……」

果南「あーもう、黙られたら話が進まないんだって!」

そうだ……これでせつ菜ちゃんの無実を証明出来るかも知れない!

[|かすみの証言>→〈彼女の部屋にはダイヤさんがいた〉

歩夢「それに賛成だよ!」 break!

歩夢「待って! ダイヤさんがルビィちゃんの部屋にいた時、ルビィちゃんはまだ生きてた筈だよ!」


かすみ『昨日の夜、歩夢さんたちの見張りが終わる直前にダイヤさんは被害者の部屋に入りました』

かすみ『その後、私たちはインターホン越しに姉妹揃っての声を聞いてます。そうですよね、花丸さん』

花丸『う、うん。確かに聞いてる、けど……』


歩夢「さらっと流しちゃったせいで意識していなかったけど……裁判中にも、その話題は確かに出ていた」

愛「ってことは、せっつんが歩夢を襲ったとしても、その後でルビィを殺すのは不可能じゃん!」

歩夢「それに、いま議論しなきゃいけないのは『誰がルビィちゃんを殺したか』だよ!」

モノっちー「はい。殺人未遂事件については、オマエらの中だけで勝手に片づけちゃってください!」

善子「というか、暗に歩夢を絞めたのを認めちゃってない?」

せつ菜「……認めますよ。私は歩夢を殺そうとして……出来なかった」

かすみ「悲しいヘタレですね~」プククク

鞠莉「その言葉を待っていたわ!」

歩夢「えっ……?」

鞠莉「悪いけど、せつ菜の疑いはまだ晴れないわ。私がもたらす“新情報”のお陰でね!」

千歌「新情報?」


鞠莉「ダイヤはね、ルビィの声真似が出来るのよ」


歩夢「……」

歩夢「ええー!?」

しずく「ど、どどどどういうことなんですか!?」

璃奈「あいでんてぃてぃ、取られた(?□!)」

ダイヤ「……」

鞠莉「一昨日の夜、私はダイヤと見張りのペアでね。そこで色々お喋りしたんだけど……」


鞠莉『えっ? ルビィの声真似が出来る?』

ダイヤ『ええ』オホン

ダイヤ『お姉ちゃん、見て! きょう家庭科で作って来たんだ~』

鞠莉『Wao! ソックリじゃないの!』


鞠莉「ちなみに、ルビィもダイヤの声を真似られるらしいけど……この事件には関係なさそうね」

モノっちー「うけけけけけ……声真似トリックなんて、どこかで聞いたことのある話だネ」

果林「でもそれが本当なら、話が根本から覆るわよ!?」

鞠莉「筋書はこうよ。歩夢を襲っだせつ菜は、彼女を校舎まで運んだ後で、ルビィを殺した」

鞠莉「その後ルビィの部屋を訪れたダイヤは、死体を発見。けれども妹の死を認められないダイヤは、思わずインターホン越しの会話で声真似」

鞠莉「この裁判の最初で『死んだのは璃奈じゃないか』なんて言い出すくらいの妹バカなんですもの。そこまでしてもおかしくないわ」

梨子「確かに、これならせつ菜ちゃんにも犯行が可能だね……」

せつ菜「違う……私はやってません……」

かすみ「でも歩夢さんを殺そうとしたのは、事実なんですよね~」

鞠莉「じゃあ、投票いっちゃってもいいかしら?」

モノっちー「おや、もう始めちゃっていいの?」

歩夢「待ってよ! まだ残ってる謎だってあるんだよ!?」

彼方「そこはほら、犯人が明らかになってから分かる真実、ってやつだよ~」


ダイヤ「もうやめてください!!!」

果南「……ダイヤ?」

ダイヤ「これ以上、せつ菜さんを責め立てるのはやめてください……」

花丸「でも、いまはせつ菜ちゃんが犯人だって流れになってるずらよ?」

ダイヤ「それが違うと言っているのです。だって……」

ダイヤ「ルビィを殺してしまったのは、私なんです」

歩夢「!?」

裁判場に、動揺が走る。

せつ菜ちゃん犯人説からは逸れそうだけど……ダイヤさんが犯人?

あのトランプは本物だった? まだ残っている謎も、説明がつくの?

歩夢「と、とにかく、詳しく話してください。ダイヤさん!」

本当の犯人は……一体誰なの?


 学 級 裁 判 
   中  断

~モノっちー劇場 番外編~

モノっちー「いや~。盛り上がってるネ」

ルビィ「うぅ……お姉ちゃん……」

モノっちー「うけけけけけ。黒澤ルビィさんは、誰が犯人だと思う?」

ルビィ「えぇっと……ルビィにそれを聞くんですか!?」

モノっちー「冗談だよ冗談、ここで正解を出されちゃったらツマラナイもの」

モノっちー「というわけで、被害者が余計なことを口走る前にこのコーナーは終わっちゃうよ!」

ルビィ(どこからツッコミを入れればいいんだろう……)

今回はここまで。


 学 級 裁 判 
   再  開

モノっちー「どうする? 刑事ドラマや探偵アニメから、犯人が自供するシーンのBGMでも持って来ようか?」

果林「結構よ。それよりダイヤちゃん、あなたがルビィちゃんを殺したというのは本当のことかしら」

ダイヤ「……ええ。ですから、せつ菜さんはルビィの事件に一切関与していないのです」

歩夢「どういう状況だったのか、教えて貰えますか」

ダイヤ「……昨晩のことです」


ダイヤ『ルビィ、入りますわ』 ガチャリ

ルビィ『お、お姉ちゃん!?』サッ

ダイヤ『……?』

ダイヤ『ルビィ、いま何を隠したの?』

ルビィ『な、なんでもないよ』

ダイヤ『……』

ダイヤ「普段の私なら、どうしていたでしょうね。わざと見逃したか、もう少し問い詰めたか」

ダイヤ「しかし、モノっちーによって皆さんの心が不安定な状況。加えて、ルビィは左手に大怪我を負っていました」

ダイヤ「きっと、患部を姉に見せたくなかったのだろうと思っていたのです」

ダイヤ「ですが、あの時──」


ダイヤ『大丈夫、あの映像は偽物。お母様たちはきっと無事』

ルビィ『……そう、なのかな』

ダイヤ『あなたは心配しなくていい。皆でここから脱出して、そうしたら……まずは近くの病院で診て貰いましょうか』

ダイヤ『今はとりあえず、彼方さんに言われた通り左手を冷やしておきなさい。おやすみなさい、ルビィ』

ルビィ『……』

ダイヤ『ルビィ?』

ルビィ『……うわああああああああああああっ!!!』

ダイヤ『!?』

曜「ルビィちゃんが、包丁を!?」

ダイヤ「驚きました。まだまだ未熟な妹ですが、私はルビィを心から信頼していましたから」

ダイヤ「そのルビィが……まさか私に刃を向けるなんて」

千歌「でも、ダイヤさんがこうして生きてるってことは……」

ダイヤ「……恐らく、いま皆さんが考えたであろう結果の通りです」

ダイヤ「グサリ、と私の手元に鈍い感覚が走りました。そうしたら……」


ダイヤ『ルビィ、こんなことをして……』

ルビィ『……』

ダイヤ『……ルビィ?』

ルビィ『ぉ、ね……ちゃ……』


ピンポーン


ダイヤ『!!!』

かすみ「あー。そこで私と花丸さんが出てきちゃったと」

ダイヤ「驚きました。ただ、この現場を見られるワケにはいかない……そのことだけで頭がいっぱいでした」

璃奈「じゃあ、ルビィちゃんの声真似をしたっていう鞠莉さんの推理は間違ってなかったんだね(>_<。)」

善子「じゃあ、トランプを握らせたのもダイヤなの?」

ダイヤ「それも……私です。シャワーを流したのも、私が」

愛「いや、わざわざ朝に戻って来る理由がよく分からないんだけど……」

かすみ「なんだか嘘が混じっているニオイがしますね~」

鞠莉「ちなみにダイヤは嘘をつく時、ホクロを掻くクセがあるのよ♪ ちょうど今みたいに」

ダイヤ「なっ……私は嘘なんてついていません!」

歩夢「だったら、もう一度きちんと話してあげてください。ルビィちゃんのために……そして、せつ菜ちゃんの疑いを晴らすために!」

【ノンストップ議論開始!】
[|昨晩の見張りの順番>
[|彼方の検死報告>
[|かすみの証言>

ダイヤ「ルビィの部屋を訪れた私は、帰り際にあの子から襲われて……」

エマ「それで、抵抗したんですね」

ダイヤ「ですが、グサリと手元に鈍い感触がしたと思ったら【気づいた時には目の前でルビィが倒れていて】……」

ダイヤ「そこにかすみさんたちが訪れ、慌てて【インターホン越しにルビィの声真似をした】のです」

ダイヤ「あとは【ルビィにトランプを握らせて】から部屋を出て、偽装工作のために朝、見張りの終わったあとで【シャワーのスイッチを入れました】」

鞠莉「ホクロを掻きながら言われてもね~」

せつ菜「本当のことをきちんと言ってください!」

ダイヤ「嘘なんてついていません。私がルビィを殺してしまった、それが真実です」

ダイヤ「忘れる筈もありません。大切な妹を【グサリと刺してしまった】あの感触は……ああ……」

確かに、ダイヤさんの発言には嘘があるのかも知れない。でもそれ以上に、気になるところが……。

[|彼方の検死報告>→【グサリと刺してしまった】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「ダイヤさん。2つ聞きたいことがあるんですけど」

ダイヤ「何でしょう」

歩夢「ルビィちゃんを刺したのは1回なんですね?」

ダイヤ「間違いありません。何度も言った筈です」

歩夢「ダイヤさんは、ルビィちゃんの死体の状況を詳しく知っていますか?」

ダイヤ「あの子を殺してしまったのは私が一番知っているのに、調べる理由なんてどこにあるのです。そんな戯言が質問なのですか?」

ダイヤ「もういいでしょう、歩夢さん。処刑される覚悟は出来ています、皆さん私に投票を──」

歩夢「だったら、やっぱりおかしいよ」

しずく「おかしいって……あっ!」

花丸「刺された数が合わない……!?」

ダイヤ「そんなっ……!? それは確かなのですか!?」

彼方「ルビィちゃんはね、身体の2か所を刺されてるんだよ~。1つはお腹、もう1つは右の肺にぐっさりと~」

せつ菜「致命傷になった方は後者、お腹の刺し傷は致命傷にはなりえないものだったそうです。言われてみれば変ですね……」

歩夢「数の合わない傷、嘘が混ざったダイヤさんの自白。そこから、1つの可能性が浮かんで来るんだ」

歩夢「1度刺されたルビィちゃんをもう1度刺した、“誰か”がいる」

ダイヤ「!!!」

果南「つまり、ルビィを殺したと思い込んでいたダイヤが、他の謎も全部背負い込もうとした……」

ダイヤ「……」

鞠莉「まったく、はた迷惑な姉だこと」

千歌「えーっと……じゃあ、今度こそせつ菜ちゃんが犯人なの?」

せつ菜「ま、またそのパターンですか……?」

梨子「決めつけるのは早いわ。ダイヤさんの一件があった時には、せつ菜ちゃんはもう部屋に戻っていた筈だから」

エマ「一旦、全てをリセットして考え直さないとダメですね……」

璃奈「決めつけ、ダメ、絶対(・v・)」

歩夢「うん。もう一度気になることについて話し合おう!」

せつ菜「……」ホッ

彼方「でもさ~。視野を広くするにせよ狭くするにせよ、1つだけ問題があるんだよね~」

果南「問題?」

彼方「ルビィちゃんの死んだ時間なんだよね~。ほら、検死結果について、歩夢ちゃんたちに話したでしょ?」

ルビィちゃんの死亡推定時刻、それは……
【見張りが始まる前】
【見張りの最中】
【見張りが終わった後】

正しい選択肢を選べ!

→【見張りの最中】

歩夢「夜中……見張りが行われていた、10時から7時の間に死んだ、ってことだよね」

彼方「そそ。死後硬直と死斑は全てを教えてくれるんだよね~」

果林「だとしたら、ダイヤちゃんの一撃による衰弱死……は、あり得ないのよね」

彼方「ないない」

鞠莉「じゃあ、夜中にダイヤ以外の何物が部屋を出入りしているってことになるわね」

善子「それこそが、哀れな仔羊を殺した罪人……」

愛「……あれ? じゃあ、結局シャワーは何だったの?」

千歌「どういうこと?」

愛「だってさ、夜に殺されたんだったら……犯人は夜と朝、2回部屋に出入りしてるってことじゃん」

愛「それとも、彼方が言ってたみたいに朝まで部屋に籠ってたワケ?」

かすみ「後者だとすれば、1人気になる人が居るんですよね~」

エマ「本当ですか?」

かすみ「というわけで、今度こそ名探偵かすみんの名推理です!」

【ノンストップ議論、開始!】
[|モノっちーファイル>
[|シャワールームのタオル>
[|昨晩の見張りの順番>

かすみ「怪しい人物、ずばりそれはしずくさんです!」

しずく「え、えぇぇぇ!?」

かすみ「【朝まで被害者の部屋に籠る】なら、9時の集合までに空白の時間を空けておくのが望ましい、というのは皆さんにも分かりますよね?」

歩夢「うん、それは分かるけど……」

かすみ「2日前の朝、【食堂への集合時間を変更してもらう】ようにお願いした人物。それがしずくさん」

善子「そうだっけ?」

果南「間違いないよ。その後、鞠莉と果林がくだらない言い争いをしてたのも覚えてるし」

しずく「で、でも、見張りが終わったのは7時、当初の集合時間は8時です! どっちみち【1時間の空き時間がある】じゃないですか!」

かすみ「念には念をってヤツですよ~。これが事件の全貌です!」

確かに一応のスジは通っている。でも、しずくちゃんにその計画は不可能な筈……

[|昨晩の見張りの順番>→【朝を待って部屋から出た】

歩夢「その矛盾、撃ち抜く!」

Break!

歩夢「かすみちゃん、忘れたの? それともわざとなの?」

歩夢「昨日、しずくちゃんの見張りは“かすみちゃんのすぐ後”だったじゃない!」

ダイヤ「しずくさんは、きっちり見張りをこなしていました。廊下を出歩く人間がいなかったことも保証します」

歩夢「そう。私が気を失っている間に部屋に入ることは出来たとしても、出るタイミングがどこにもないんだよ」

かすみ「……」

かすみ「ああ、そこまでは考えてませんでしたね~」ケロリ

善子「やっぱり迷探偵じゃない!」

果林「忘れないように言っておくけれど。私が担当した4時から6時、怪しい影はなかったわ」

エマ「朝方にもそれらしき人はいませんでした。7時手前に梨子さんと善子さんを見かけましたけど、梨子さんは朝食を作るため食堂に、善子さんはトイレに」

エマ「そのあとすぐに善子さんも食堂に来ましたし、2人は怪しい人にはならなさそうです……」

千歌「じゃあ、歩夢ちゃんより前の順番だった人の中に犯人が?」

曜「いやいや、ダイヤさんの件があったのはそのあとなんだよ!?」

千歌「でも、最初からシャワールームに隠れてた可能性だってあるじゃん!」

エマ「確かに、そこは盲点でしたね……」

愛「そこんところどうなのさ。えーと……歩夢とせっつんより前だった人!」

果林「善子ちゃん、璃奈ちゃん、果南ちゃん、曜ちゃんの4人ね」

善子「いやいや、そんなことなかったわよ!?」

璃奈「交代する時も、出入りはしっかり確認した(`∧´)」

果南「そうだね。その辺りも徹底した方がいいと思ったからさ」

曜「歩夢ちゃんとせつ菜ちゃんも、一応見てたしねー」

千歌「うーん、いい線行ってると思ったんだけどなー……」

しずく「いっそ、隠し通路でもあれば良かったんですけど……」

モノっちー「隠し通路? そんな都合のいいものあるワケないじゃん」

モノっちー「脱線しまくりなオマエらのシロウト議論っぷりにうんざりしてるから言っておくけれど、今回、隠し通路やその類は一切使われておりません!」

しずく「ですよねー」

善子「こうしてみると、本当に見張りの隙はなかったのね。強いて言えば、歩夢が襲われた1時前くらい……」

花丸「あ……」

エマ「花丸さん、どうかしたんですか?」

花丸「な、なんでもないずら! それより、シャワーに関して1つ思ったことがあるんだけど……」

歩夢「思ったこと?」

花丸「うん。そもそも、マルたちは根本的な勘違いをしてるんじゃないかって」

彼方「なになに~? 何に気付いたのかな~?」

花丸「ルビィちゃんの部屋にいなくても、シャワーの水を流す方法ずら」

せつ菜「そんなことが可能なんですか!?」

花丸「“夜は水が出ない”ってモノっちーは言っていたけれど、お手洗いはきちんと使えた筈ずら」

かすみ「確かにそうですけど、それがどう関係しているんですか~?」

花丸「ちょっと考え方を変えると、“夜に止まるのはシャワールームに向かう水だけで、水道自体は動いてる”ってこと」

花丸「それに、マルたちが部屋を調べた時にも、水が出しっぱなしになっていた。つまり、スイッチを切らない限りは、自動的に水が止まらない……」

果林「……なるほど。確かにその方法なら、夜中でも問題ないわね」

千歌「??? どういうこと?」

歩夢「大丈夫、分かりやすく説明してあげるよ」

花丸ちゃんの言いたいこと、それは多分……
【シャワールームとトイレの水道は繋がっている】
【シャワーのスイッチはタイマー仕掛けになっている】
【シャワーには何かしらの細工が施されている】

正しい選択肢を選べ!

→【シャワーのスイッチはタイマー仕掛けになっている】

歩夢「“夜のうちにシャワーのスイッチを入れておけば、朝になれば自動的に水が流れ出す”。夜に止まって朝に機能する水道を、タイマーのようにしたんだ」

花丸「多分、そういう仕組みになってると思うんだけど……」

モノっちー「はい、その通りでございます。悪用されると水道代がとんでもないことになっちゃうよネ、まったくもう」

果南「そんな仕様にしたのはそっち……いや、虹ヶ咲側がそういう設計にしたのかな」

せつ菜「でも、さっきから妙にアドバイスをくれますね……」

モノっちー「サービスだよサービス。こうでもしないと、脱線ばかりしているオマエらに飽きて、時間切れにしちゃいそうだからネ」

エマ「じ、時間切れなんてあるんですか!?」

歩夢「とにかく、犯人が朝にあの部屋を出入りする必要がないってことは分かったんだよ。逆に言えば──」

曜「私が航路を正してあげる!」

反論!

曜「……ごめん、黙っていたつもりも、歩夢ちゃんの推理を邪魔するつもりもないんだけどさ。私が知ってる手掛かりを踏まえると、どうしても納得出来ないんだ」

歩夢「曜ちゃんが知ってる、手掛かり……?」

曜「でも、みんなのためにも間違った推理には行かせない!」


【反論ショーダウン、開始!】
[|シャワールームのタオル>
[|床に描かれた血の跡>
[|個室の違和感>

曜「手掛かりっていうのはね、シャワールームのドアノブについた血なんだ」

曜「あの扉は外開きだったせいで、最初に開けた私と果南ちゃん以外は気づかなかったかも知れない。でも、ドアノブには“外側だけに血がついていた”んだよ!」

曜「それに、誰も意識していなかっただろうけれど“ルビィちゃんの部屋そのものの扉には、どこにも血が付いてなかった”んだ」

曜「やっぱり、犯人はあのシャワーで手を洗ってるんだよ!」


─発展─
そんなの血のついてない手で
    ドアノブを開ければいいことだし
        何かで血を拭くか血が乾くまで待てばいいことだよ!?


曜「確かにそうかも知れない。でも、歩夢ちゃんの推理通りに事が運んだ証拠だってないんだ!」

曜「あの部屋には死体周辺とシャワールームのドアノブ以外どこにも血の跡なんてなかった。それに、包丁の柄とドアノブ、ついてたのは左右別々の手形だったんだよ!」

曜「早く犯人を見つけたいのは分かるけど【他に手掛かりがない】以上、もっと慎重に議論しないと!」

手掛かりがない? ううん、そんな筈はない。それを切り返すんだ!

[|床に描かれた血の跡>→【他に手掛かりがない】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「いや、手掛かりはちゃんとあった。ルビィちゃんが血で描いた、2本の線だよ」

歩夢「それこそが、ルビィちゃんの残した本当のダイイングメッセージなんだ!」

曜「なんでそれがルビィちゃんのものだって分かるの?」

璃奈「♦Kを持たせたのがダイヤさんじゃない以上、あのカードは犯人の偽装(・v・)」

璃奈「だったら、その血も犯人が偽装したって考えられない(・v・)?」

せつ菜「いえ、それはきっとないと思います。ルビィさんの右手、人差し指の腹に血がついていましたから」

曜「うーん……何だかスッキリしないなあ。シャワーの謎は解けてないのに」

エマ「でも、一つの分からない謎にこだわるより、解けそうな謎から考えていくのはいい考えだと思います!」

果林「そうね。犯人が分かれば、残った謎が芋づる式に解けるかも知れない……」

ダイヤ「ところで……2本の線と言いましたが、具体的にルビィはどう書き残していたのでしょうか」

歩夢「横線が2本、並行になるように書かれていたんだ」

しずく「漢数字のニやカタカナのニ、イコールの記号なんかもそうですね!」

梨子「でも、それが何を意味するのかさっぱり分からないのよね……」

愛「ひーふーみよー、いつむー……」

かすみ「こんな時に何を数えてるんですか~?」

愛「じゅういちじゅうにじゅうさん……あ、分かった!」

彼方「なんですと!?」

愛「へっへーん。これが正解なら愛さんのお手柄だね」

歩夢「分かった、って、犯人が誰か分かったの!?」

愛「そうだよ。あのバイキングソーセージは“誰に向けたものだったのか”、それに気づいたら解けちゃったよ」

せつ菜「ダイイングメッセージです。こんな時に飯テロしないでください」

愛「ずばり。愛さんの推理が合っていれば、あのメッセージは私と歩夢、そしてマルっちに向けられたものだよ!」

花丸「ずら!?」ビクゥ

千歌「何もそんなに驚かなくても……」

果林「でも愛ちゃん、どうしてその3人なのかしら」

愛「3日前の夜、歩夢と愛さんが同じ見張りのペアだったのよね。その時、トイレに行くために部屋の外にいたマルっちとルビィ、2人とお喋りしたんだ」

愛「“ここにいる何人かは、名前を数字の語呂合わせに出来る”って、ちょっとした言葉遊びをね。ちなみに愛さんは3841、ミヤシ(タ)アイで3841」

しずく「タが行方不明ですよ!? あ、でもそうしたら花丸さんは870で、ルビィさんたち姉妹は9630……」

花丸「イコール13……」

歩夢「えっ……?」

花丸「トランプでKは、13を表した筈ずら。だとしたら、ルビィちゃんの残した2本線は『=』の記号なんじゃ……」

愛「そゆこと♪」

かすみ「でも、どうしてカードと組み合わせちゃったんでしょうね。ややこしい……」

彼方「犯人に刺された傷は致命傷にこそなったけれど、即死じゃなかったんだよ。でも意識は朦朧としていただろうし、カードを握らされた左手は動きそうにない」

花丸「仮に動いたとしても、♦Kに血がつくこと、姉であるダイヤさんに疑いが向くことは避けられない……」

彼方「だからルビィちゃんは考えたんじゃないかな。犯人の残した嘘のダイイングメッセージを利用して、逆にそれを“犯人を告発する本当のメッセージ”に仕立てる方法をね」

ダイヤ「勿体ぶらずに教えてください! 誰なのですか、その犯人は!」

千歌「そもそも、私たちの中に『13』が名前に入ってる人なんていたっけ?」

しずく「13……トミ……ヒトミ……うーん???」

愛「あれ、何でややこしくなってるの?」

ダイヤ「あなたが正解を言わず、格好つけた言い方を繰り返すせいです!」

歩夢「……」

歩夢「もしかして、合計の数字……?」

愛「そういうこと♪」

歩夢「イコール13……つまり、名前を数字に変換して、その合計が13になる人がこの中に……!」

それに該当するのは……あの人しかいない……よね

【怪しい人物を指名しろ!】

→津島善子

歩夢「ヨ、シ、コ……“4+4+5=13”。あなたのことだよね、津島善子ちゃん」

千歌「そんな、善子ちゃんが!?」

ダイヤ「どうなんですか、善子さん!」

善子「……それ、本気で言ってるの?」

歩夢「勿論、この推理が間違っているかも知れない。だから、違うなら違うって言って欲しい」

善子「クックックッ……この堕天使ヨハネが、これほどまでに愚弄されようとは……」

善子「違うに決まってるでしょ! 何よ、そんなデタラメ推理は! 大体私は善子じゃなくてヨハ──」

果林「電子生徒手帳を起動すると、真っ先に本名が表示されるわよ」

善子「だから、津島善子は地上で生活する時の仮の名前……じゃなくて!」

善子「アンタたち、ようやく犯人候補が1人あがってホッとしてるかも知れないけど、他に根拠なんてないでしょ!」

花丸「あるよ」

善子「は……?」

花丸「うん。その根拠を話す前に、みんなに謝らないといけないことがあるんだ」

しずく「謝らないといけないこと?」

花丸「マル、“昨日の見張りはちゃんと出来てなかった”んだ」

千歌「え、え???」

花丸「多分、善子ちゃ……犯人がルビィちゃんの部屋に入ったのは、マルが見張りをしている時」

エマ「えっと……昨日、花丸さんとペアだったのって確か……」

せつ菜「かすみさんです」

かすみ「~♪」ニコニコ

彼方「でもでも~。幾ら何でも、ここに来て“見張りに穴があった”なんて通用しないよ~?」

果南「見張りをサボった人がそれを言う?」

歩夢(いや……もしかしたら。2人の見張りが成立していなかったのだとしたら、考えられる理由は……)

【閃きアナグラム、開始!】
が の ば み か す か す な な な し  正しい順番に並び替えろ!(ダミー無)

→なかすかすみのながばなし

歩夢「かすみちゃん、1つ聞いていい?」

かすみ「なんですか~?」

歩夢「2日前の夜、私とペアになった時……。かすみちゃん、何かのスイッチが入ったみたいに、延々とトークを繰り広げたよね」

歩夢「話術こそ巧みだけれど、耳にタコが出来そうな長話……それって、見張りに隙を作るには十分すぎたんじゃないかな?」

曜「そうなの、花丸ちゃん?」

花丸「それずら! マルはそれに……」

かすみ「花丸さんが嘘をついてるだけかも知れませんよ~? 私が同じことをやったというなら、その根拠を示してください」

歩夢(根拠……。少し無理はあるかもしれないけど、今から思えば、あの証言には不確かな部分があった……)

【コトダマ一覧より選択しろ!】

→【かすみの証言】

歩夢「厨房で2人に話を聞いた時、こんなことを言ってたんだ」


かすみ『まあ、そのあとすぐにダイヤさんは部屋に戻ったんですけどね』

花丸『そうだっけ?』

かすみ『そうじゃないですか~。現に、見張りを交代する時にはダイヤさん本人の部屋から出てきましたし』

花丸『そういえばそうだったずら』


歩夢「普通なら『ダイヤさんが部屋に戻っていくのを見た』って言えばいいのに、かすみちゃんはあえてぼかした言い方をした」

歩夢「ねえ、2人は……いや、かすみちゃんは“自分の部屋に戻っていくダイヤさんの姿をちゃんと確認した”の?」

かすみ「どうでしょうね~♪ ……と、言いたいところですけど」

かすみ「白状しちゃいます! 歩夢さんの言う通り、私は“わざと”マシンガントークを使って見張りに隙を作ったんですよ」

曜「わざと……!?」

かすみ「だって、このまま殺し合いが起きないなんてつまらないじゃないですか。だから、私が犯人さんのお手伝いをしてあげたんですよ~」

かすみ「ま、これ以上議論をかく乱しちゃうと、私の命も危ういですからね。ここらが潮時です♪」

果南「何、それ……」

ダイヤ「では、あなたは善子さんがルビィの部屋に出入りしていたことも知っていたのですか!?」

かすみ「それはどうでしょう。どう答えても……まずは、善子さんを納得させる必要がありそうですよ?」

善子「当たり前よ。結局、花丸は何を言いたいのかしら?」

花丸「えっと、シャワーのトリックについて少し考えたんだけど……」

善子「またそれを蒸し返すの? 結局、本当に使われたのかどうかすら怪しい話だって保留になってた筈でしょ?」

花丸「けれども、もしあのトリックが使われていたんだとしたら、“犯人の目的”は何なんだろうってね」

エマ「犯人の目的……?」

花丸「アリバイの確保、ずら」

歩夢(シャワーの仕掛けがアリバイの確保になる? それってもしかして……)

【ロジカルダイブ、開始!】
Q1.シャワーから水が流れているのはいつ?
a.24時間いつでも
b.朝から夜時間に入るまで
c.夜時間の間

Q2.犯人が確保したかったアリバイはいつのもの?
a.夜時間の間
b.自分の見張りの番の間
c.朝から死体が発見されるまで

Q3.Q2の答えの間、津島善子はどこにいた?
a.食堂
b.本人の部屋
c.被害者の部屋

3つの連続した問いに答えろ!

【c→c→a】

歩夢「繋がったよ!」

COMPLETE!

歩夢「そうか……犯人が朝にルビィちゃんの部屋に行った、って思わせたいなら、死体が見つかるまでのアリバイが必要になる!」

歩夢「私が目を覚まして食堂に行った時には、もう善子ちゃんはそこにいた!」

鞠莉「ちなみに。さっきエマの言った通り、7時手前から死体が発見される9時半頃まで、善子はずっと食堂にいたわ」

歩夢「確か善子ちゃんって、夜型だから朝は苦手……だったよね?」

善子「フフ、フフフ……」

善子「ああ──もう。そんなことで疑われるなんて、私って本当に運が悪いのね」

善子「ちゃんとエマが証言してくれたでしょう? トイレに行きたくなって目が覚めた、それだけのことよ」

かすみ「でも、状況は段々あなたにとって不利になってますよ~?」

善子「まだよ……まだ反論はあるわ!」

【ノンストップ議論、開始!】
※【ウィークポイント】を記憶(キャプチャー)して、新しいコトダマにしろ!

善子「私を犯人にしたいようだけど、それは大間違いよ!」

ダイヤ「間違いならば……今までの根拠をひっくり返せるというのですね?」

善子「ええ! 何度も言われているけど、私は朝、【ルビィの部屋に行くことは出来なかった】」

花丸「うん。だから、あの【シャワーのトリック】が使われたって思ったずら」

善子「それなら説明して欲しいわね。私はどうやって部屋を出たのよ!」

曜「さっき私が言ってた【手形】のことだね?」

善子「そうね。【包丁は右手、シャワールームのドアノブは左手】」

善子「つまり、両手を使ったのは確かよ。だったら、部屋そのもののドアに【血をつけずに出る方法】がないじゃない!」

果南「それが説明出来ない限りは犯人じゃない……そう言いたいんだね?」

善子「どう? これを説明出来る人なんているの?」

やっぱり……犯人は善子ちゃんなんだね。もう、決定的だ。

[|手形>→【包丁は右手、シャワールームのドアノブは左手】

歩夢「……それは、違うよ」

Break!

歩夢「善子ちゃん。逆に聞きたいんだけど……今の発言はどういうことなの?」

善子「……は?」

歩夢「なんで善子ちゃんは、包丁とシャワールーム、それぞれの手形がどっちの手なのかを知っていたのか──」

善子「そ、それはほら、曜が言ってたでしょ!? ついてたのは左右別べつの、てがただっ……ッ」

せつ菜「曜さんは『どっちが右でどっちが左か』なんて一言も喋ってませんでしたね」

歩夢「それに、曜ちゃんはそのことについて『新しい手掛かり』だと言った。曜ちゃんと、実際に手形をつけた犯人以外は知ることの出来ない情報だったんだよ!」

善子「いやいや、普通に考えてみなさいよ! 人間という生き物は右利きが多いのよ!?」

善子「だったら、凶器を持つ手はより力のこもる右だって分からないの!?」

愛「でもそれって、ドアノブにも同じことが言えるよねー」

善子「フフフ……そうはいかないわ。右と左、どっちの手が開けやすいかなんて、ドアノブの位置で変わる」

善子「人間とは、無意識のうちにそういうことを判断してしまう、罪深き生き物なのよ。下界の民たちには分からないことでしょうけどね……」

曜「分かる筈がないよ。そもそも、嘘なんだから」

善子「……え?」

曜「善子ちゃんの話には、私も賛成。現にあのドアは、左手を使った方が開けやすいからね」

曜「でもね、手形が左右どちらのものかを判別することは……出来なかったんだ」

善子「な、ななななな……何よそれええええっ!?」

曜「犯人を捜す手掛かりに使えるかもと思って、ずっと取っておいたんだ。果南ちゃんにも黙ってもらった」

曜「まさか……本当に役に立つとは思ってなかったけどね」

璃奈「ブラフをかけた……(?□!)」

ダイヤ「では、本当に……あなたがルビィを殺したのですね?」

善子「まだ話は終わってないわ! 血をつけずに部屋を出た方法が謎のままよ」

善子「それが出てこない限り、私に犯行が可能だったって証明は出来ないわ!」

鞠莉「なるほど……つまり、“アレ”はここで使うものだったのね?」

鞠莉「その時が来たわ。じゃーん、これは何でしょう」ピラン

善子「!!」

しずく「破れたビニール袋……ですか?」

千歌「ただのゴミにしか見えないけど~……」

果林「ここで取り出すってことは、今回の事件に無関係ってことではなさそうね?」

鞠莉「イェース! 歩夢なら答えられる筈よ?」

私があのビニール袋を知っている……? もしかしたら……

【コトダマ一覧より選択しろ!】

→【個室の違和感】

歩夢「裁判が始まる直前、鞠莉さんが言ってた『あの部屋から消えた何か』ですよね?」

鞠莉「ええ。ゴミ箱から見つけた物……そしてこれが、ルビィの部屋から血をつけずに出た方法の答えになるわ」

善子「いい加減にしなさいよ、勝手に話を進めないで」

善子「ただのゴミが何? まさかそれを手につけてドアを開けた、なんて言わないでしょうね!?」

善子「だったらその袋の内側に血がべっとりついてる筈よ。ドアノブの謎とは関係ないじゃない」

歩夢「善子ちゃん……」

善子「今さら思い出したわ。歩夢……アンタ、私がゲーム配信をしてた時、たま~にコメントでヒントをくれたりした有能リスナーだったわね」

善子「でもね、これはゲームとは違うのよ。みんなの命がかかってるのよ、分かる!?」

歩夢「ううん……あのビニールが答え、その事実は変わらない」

善子「……」ハァ

善子「悪いけど、血が乾くまで待つことは不可能よ」

善子「かすみが長話をしていた時間は1時間にも満たないでしょうね。べっとり血をつけたなら、乾くのを待つ間に見張りは交代しちゃうわ」

善子「何かで拭くのも不可能。部屋には他に血痕は見つからなかったし、私は昨日から服を着替えていない」

善子「知っての通り、クローゼットには同じ服が2着用意されてない。全部1種類ずつしかないのよ」

善子「最初からドアを開けっぱなしなんてのは論外よ? かすみの行動がわざとだとしても、

善子「だから……どうしても私が犯人だって言いたいのなら……」

善子「何度も言ってるでしょう! どうやって部屋から出たのか説明してみなさいよ!」

歩夢(このままじゃ埒が明かない……)

歩夢(あのビニール袋の正体……ドアノブに血をつけずに部屋を出た方法を、善子ちゃんに認めさせるんだ!)

【理論武装、開始!】

善子「私を犯人にしたいようだけど、それは大きな間違いよ!」

善子「アンタたちの話は不確かな憶測ばっかり!」

善子「荒らしコメントはお断りよ!」

善子「どうせ犯人はダイヤかせつ菜に決まってるわ!」

善子「あんな血文字だけで犯人扱いされた身にもなってみなさい!」

善子「認めない認めない認めない認めない……」

善子「NGユーザーに登録してやるわよ!?」

善子「1回の失言で揚げ足を取られてたまるもんですか!」

善子「あの部屋から出る方法がない以上、私に犯行は不可能なのよ!」


善子「【そんなゴミが、一体なんだって言うの!?】」


〇…り  △…こお □…くろ ×…ぶ  正しい順番に並び替えろ!

→△〇×□  [|こおりぶくろ>

歩夢「これで……終わりだよっ!!!」

break!!!

歩夢「ビニール袋の正体は氷袋……そして、氷が溶けて作られた水で手についた血を洗い流したんだ!」

善子「ぐっ……!?」

梨子「氷袋?」

歩夢「ルビィちゃんは昨日、左手を骨折した。その対処として、彼方ちゃんのアドバイスもあって保健室から氷袋を持ってきたんだ」

歩夢「手を全部洗う必要はない。指先を洗えばドアは開けられるし、袋に血を残さない工夫は出来る」

歩夢「朝になって、トイレで手を洗う。朝のアリバイを完璧にするには、見張りがいる7時までに自分の部屋を出る必要があったからね」

善子「っ……」

せつ菜「本当に、善子さんが犯人なんですね……」

歩夢「最後にもう1度、事件を最初から振り返ろう。それで……この事件を終わらせる!」

【クライマックス推理】
ACT.1
事件の発端は午前1時前……ダイヤさんに声を掛けようとしたところで、私がせつ菜ちゃんに襲われたところから始まる。
せつ菜ちゃんが殺したと思い込んでいた私を保健室に運んでいる頃、ダイヤさんがルビィちゃんの部屋を訪れていた。
ダイヤさんに殺意はなかったけれど、そこで予想外のことが起きた。
ルビィちゃんが、前もって厨房から持ち出していた包丁で、ダイヤさんに襲い掛かったんだ。
でも、2人にとって更に予測出来なかったことが起こる。
もみ合いの末に、ダイヤさんが誤ってルビィちゃんを刺してしまったんだ!

ACT.2
そこに、インターホンを鳴らす人たちがいた……。
花丸ちゃんとかすみちゃん、2人が。ルビィちゃんの様子を見に来たんだ。
現場を見られるワケには行かないダイヤさんは、慌てて、ルビィちゃんの声を真似ることでその場を誤魔化した。
けれど、根本的な解決にはならなくて、少ししたあと結局部屋に帰って行った。
一方、ルビィちゃんはまだ生きていた。ダイヤさんの傷は致命傷にはならなかったんだ!

ACT.3
でも、彼女の未来が変わることはなかった。ダイヤさんの後に、部屋に入って来た人……真犯人がいたんだ。
犯人は、ルビィちゃんの身体から包丁を引き抜き、もう一度刺した。それが本当の致命傷になって、彼女は死ぬことになる。
犯人は、ダイヤさんの仕業であるように見せかけるため『♦K』のカードを左手に握らせた。
その数時間前、食堂で起きたトラブルでルビィちゃんが左手を骨折していたことを知らずにね。

ACT.4
更に犯人は、アリバイを強固にするための偽装を図った。
まずシャワールームに入り、スイッチを押す。
その上で、両手に血をべったりとつけ、血の手形を包丁の柄とシャワールームのドアノブに残す。
仕上げに氷袋を破いて、その中に溜まっていた水で手を洗った。もしかしたら、作業をやりやすくするために最初から破いておいたのかもね。
氷袋の残骸を捨て、一連の偽装工作を終えた犯人は被害者の部屋を後にした。本来、部屋に入った段階で見張りがその姿を目撃している筈だったんだけど……。
今回、かすみちゃんがわざと見張りに隙を作っていた。犯人はそれを利用して、今回の計画を実行したんだ。

ACT.5
ただ……犯人には一つ誤算があった。ルビィちゃんがダイイングメッセージを残していたことだよ。
一見理解出来ないメッセージは、ダイヤさんに罪を重ねたくない思いで、彼女が必死に考えたんだろうね。♦Kを握ったまま、犯人の名前を告発する方法を。
そして朝7時前、犯人はエマちゃんと鞠莉ちゃんに姿を見せ、一旦トイレに向かう。そこで今度こそ手を綺麗に洗い、食堂に姿を現したんだ。
7時……夜時間が終わって、被害者の部屋からシャワーが流れ出す。
『犯人は朝7時から死体の発見される9時半までアリバイがなかった人物』という図式を組み上げ、本人は何食わぬ顔で食堂にいたんだ。

歩夢「一連の犯行を行った人物……それは、あなたなんだね」

歩夢「超高校級の配信者、津島善子ちゃん!」


      COMPLETE!!!

善子「……ここまでね」

歩夢「いいの? まだ、言い逃れ出来る余地は残されてるけど」

善子「バカね。確かに私がやったっていう明確な物証はない、けど」

善子「何年も配信者やってると、どの辺が引き際かってのは分かるのよ」

善子「それに、モノっちーが提示したルールは多数決。過半数が私の自白を信じれば、それでいいんでしょ?」

モノっちー「おやおや、議論はもう終わったみたいですネ?」

善子「ええ。始めちゃって……いや、終わらせてちょうだい」

モノっちー「それでは皆さん、投票タイムです。お手元のスイッチを押してください!」

モノっちー「ああそうそう。ちゃんと誰かに投票してよネ。投票を放棄した人も、オシオキされることになるからさ」

歩夢(私たちの席には、18のスイッチと、その下にシールか何かで名前が貼ってあった)

歩夢(私は、ごめん、と呟きながら、津島善子と書かれたスイッチを押す……)

モノっちー「投票が終わったみたいですネ。さあ、クロとなるのは誰なのか、その答えは正解なのか不正解なのか!」


   VOTE

善子 善子 善子
   GUILTY


歩夢(モニターに映し出されるスロット画面)

歩夢(場違いなファンファーレは、それが正解だということを示していた)


 学 級 裁 判 
   閉  廷

モノっちー「なんと大正解! 《超高校級の妹》黒澤ルビィさんを殺した犯人は……」

モノっちー「《超高校級の配信者》くろs……津島善子さんでしたー!」

ダイヤ「……っ」

善子「……」

しずく「肝心なところでセリフを噛むんですか……」

モノっちー「噛んでないよ? 津島さんの本当の苗字が黒澤だっただけ」

歩夢「えっ……!?」

モノっちー「でもそういうのって、直接本人の口から語らせた方が面白いでしょ? ほら、ミステリー小説におけるお涙頂戴ってヤツだよ」

花丸「なんだか心外ずら」

千歌「でも、どういうこと? 善子ちゃんの苗字が黒澤って……」

善子「私ね、ルビィを殺すつもりなんてなかった」

善子「そもそも昨日は、本当にただトイレに行こうとしただけなのよ」

歩夢(その言葉を皮切りに……善子ちゃんは、ぽつぽつと語り始めた)

────昨晩、深夜1時過ぎ

善子(……あんな映像流石にそろそろ寝ないとね)

善子(その前にトイレだけ……ん?)

ダイヤ『……』ガチャリ

善子(今の、ダイヤ……ルビィの部屋から出て来た……?)

善子(顔、青ざめてるし……)

善子『……』

かすみ『──という仕組みなんですよ。どうです? 花丸さんさえ良ければ、明日作ってあげますけど……』

花丸『おお、是非お願いします、ずら!』

善子(アイツ、“また”やってるのね……仕方ない)

ガチャリ

善子『何かあったのかし……っ?』
───
──

梨子「また……?」

善子「3日前の夜、かすみとペアだったのよ。だからアイツのマシンガントークはよーく知ってたわ」

かすみ「~♪」

果南「それで、包丁の刺さったルビィを見つけたんだね」

善子「ええ。ダイヤがやったってことはすぐに分かったし、壁にもたれかかってたから、死んでるって勘違いしたのよ」

善子「で、ダイヤが犯人だって分かるように、トランプを握らせたのよ。たまたまケースの一番上にあったカードが♦Kだったし、すぐに思い浮かんだわ」

せつ菜「その時点で、花丸さんたちを呼べばよかったことなのでは……?」

善子「なんでかしらね。単純に『私があの部屋に入った』事実を誰かに知られると面倒くさそう……多分、最初はそう思ったのよ」

ダイヤ「でしたら……」

善子「?」

ダイヤ「でしたら何故、ルビィにトドメを刺したのですか! 皆さんの証言が確かなら、その時ルビィはまだ生きていた筈です!」

ダイヤ「それこそ、誰かを呼ぶべきではなかったのですか!? 彼方さんでなくても、誰かが止血をすれば、ルビィは助かったんじゃ……っ!」

曜「ダイヤさん、落ち着いて!」

善子「……むしろ。アイツが“生きてたせいで”迷いが生じたのよ」

善子「今ここでルビィにトドメを刺せば、犯人が私になる。ダイヤも犯人扱いになるかどうかは分からないけど、とにかく、私は犯人になれる」

モノっちー「ちなみに学級裁判において、議論する内容の終着点は“最後にトドメを刺した人物が誰か”になります」

モノっちー「たとえ殺意がなくとも、引き金を引いた人間がクロになってしまうのですよ」

善子「……じゃあ、私だけか。とにかく、ダイヤに罪をなすりつけて、私は外に出る」

善子「外に出れば、私の出生に関わる謎が分かる……そんな迷いが生じたのよ」

愛「出生の秘密……私には本当の家族がいた、とかそういうヤツ?」

果林「さっきモノっちーが言ってた“本当の苗字”の話ね」

善子「ええ。これを見てもらえばすぐに分かるわ」

歩夢(そう言って、善子ちゃんは自身の電子生徒手帳を起動させた)

歩夢(起動時、最初に『本名が表示される』仕様だったその電子生徒手帳には……)

彼方「黒澤……サファイア?」

善子「小学生の頃、お母さんに内緒でお母さんの部屋を覗いた時……ヘンな写真を見つけたのよ」

善子「幼少期の私と、両親とは違う大人の男女。それから、黒い髪と赤い髪の女の子……年は、その頃の私に近かったわ」

ダイヤ「まさか……」

善子「結局、そのあと帰って来たお母さんにこっぴどく叱られた。おまけに、あの写真については何も答えてくれないしね」

善子「中学生になって、えがお動画で配信をするようになった。雑談やゲーム配信……何万ものリスナーとお喋りしたし、数多のゲームに触れた」

善子「そのうちイヤでも分かったわ。ああ、私には何らかの“家庭の事情”があるんだなって」

善子「だからって、それをどうすることも出来ないまま……私は虹ヶ咲にやって来た」

鞠莉「じゃあ、視聴覚室であなたが見たムービーは……」

善子「黒服の男たちが、住んでた家……マンションだけど──に入って来て、お母さんに詰め寄る映像だった」

かすみ「《超高校級の配信者》津島善子、もとい黒澤サファイアさん。あなたのご家族の身に何かが起きたみたいですね」

歩夢「!」

かすみ「一体何が起きたでしょう……正解は卒業の後で! ……でしたっけ?」

善子「……見たのね」

かすみ「ええ。昨日、全員分の映像をこっそり見させて頂きました」

エマ「じゃあ……かすみさんには、誰かが事件を起こすって分かっていたのですか!?」

かすみ「当たり前じゃないですか。でなけりゃ、厨房から包丁が1本なくなっていたことを黙っていると思います?」

歩夢「あれもわざとだったの!?」

璃奈「……最初から、事件を起こす気満々だったんだね(`∧´)」

かすみ「だ~からそう言ってるじゃないですか~。あ、でも! ルビィさんの手を踏んでしまったことだけは事故ですよ」

かすみ「あの時、食堂にいた皆さんに出そうとした飲み物には、保健室から盗んできた睡眠薬を混ぜてましたから」

歩夢「なっ……!?」

かすみ「見張りシステムを機能停止させ、包丁を盗んだ人が誰かを殺しやすい状況を作る……こんな楽しいゲーム、乗らないワケにはいきませんよ」

曜「最っ低……」

花丸「でも……現に乗った人がいた」

かすみ「サファイアさんだけじゃありません。ルビィさんも、せつ菜さんも……どうやら、あの映像は皆さんに突き刺さったみたいですね」

せつ菜「……」

かすみ「ちなみに、ルビィさんもサファイアさんと同じ。実は、苗字が津島だったんですよね~♪」

ダイヤ「……ルビィ、が?」

モノっちー「黒澤家と津島家……両者の間には、表に出すことが憚られる事情がたくさんあったワケです」

モノっちー「その事情の結果、黒澤家とは血縁でないルビィさんが黒澤ダイヤさんの妹となったワケですが……」

モノっちー「不思議に思いませんか? そんな彼女が何故《超高校級の妹》などと呼ばれるようになったのか」

モノっちー「ぶっちゃけ、血の繋がっていない姉に対して実の妹のように接していたこと、その小動物のような性格、言動……」

モノっちー「誰の目から見ても『黒澤ルビィは妹だ』と思われる……ある意味、そんな彼女を皮肉った肩書だったワケですネ」

モノっちー「余談ですが、ルビィさんが誰かの殺害を計画したのも、あの動機ビデオが──」

ダイヤ「もういいです……聞きたくありません……」

歩夢(ダイヤさんの言う通りだ。これ以上、モノっちーにどうこう言われたくなかった)

歩夢(確かに、ルビィちゃんは『妹』を体現したような子だった。昨日、映像に怯える彼女を慰めた時、それを感じた)

歩夢(でも、彼女は立ち直ろうとしていた。気丈に振る舞い、みんなとUNOを楽しんでいた)

歩夢「あなたに……ルビィちゃんの何が分かるの!」

歩夢(……気づいたら、その言葉が口から飛び出していた)

モノっちー「うけけけけけ……」

歩夢(みんな……モノっちーを睨んでいた。ヘラヘラしているかすみちゃんと、うなだれる善子ちゃんを除いて)

善子「ねえ。私は……どうすればよかったのかしら」

善子「もし私が、昨日の夜、トイレに行かなかったら」

善子「もし私が、血まみれのルビィを見た時、誰かをすぐに呼んでいれば」

善子「もし私が……出生の秘密を知りたい、なんて欲に負けなければ」

善子「血が繋がってないとはいえ、妹を殺すことにはならなかったのかしらね……」

モノっちー「ところでさあ。しんみりムードのなか悪いんだけど……これから何が始まるか分かってる?」

千歌「何が……って」

果林「オシオキ……犯人への処刑、と言ってたわね」

善子「分かってるわ。デスゲームものにおいて、物語の中で誰かを殺した人は、たいてい物語が終わる前に死ぬ」

善子「最後に幾つか、堕天使ヨハネからの啓示よ。今後も誰かを殺める罪深き者が出るなら……あなたは、もっと計画性を練ることね」

善子「でないと、即興であらゆる仕掛けを考えざるを得なかった私のように、いずれ足元を掬われるだろう」

善子「そして、希望を捨てぬ者たちよ……。あなたたちが未来を掴みたいというのなら」

善子「必ず、この忌々しい檻、虹ヶ咲学園を取り巻く謎を陽の下に晒してみせなさい!」

善子「もっとも、議論のスキルが必要になるかも知れないから……それは留めておくことね」

善子「さあ、この堕天使ヨハネが、現世への未練を断ち切れなくなる前に……早く、終わらせてもらいましょうか」

歩夢(僅かに震えている声は、善子ちゃんの強がり……そう思えて仕方がなかった)

モノっちー「今回は《超高校級の配信者》津島善子さんのために、スペシャルなオシオキを用意しました!」

善子「はあ……これで終わりね……」

モノっちー「それでは、ワックワクでドッキドキの……」

善子「さよなら……お姉ちゃん」ボソッ

ダイヤ「っ、待っ──」

モノっちー「オシオキターーーーイム!!」

ダイヤ「サファイア!!!」


     GAME OVER
ツシマさんがクロにきまりました。
  おしおきをかいしします。

歩夢(善子ちゃんに駆け寄ろうとするダイヤさん)

歩夢(でも、その手は妹に届かなくて)

歩夢(善子ちゃんは、どこからともなく出てきた首輪に引きずられ、扉の向こうへと──)


津島善子がたどり着いたのは、広く、薄暗い部屋。

磔にされた彼女を、PCの画面越しに見ているモノっちー……。



      〈Hell Tube〉
《超高校級の配信者 津島善子処刑執行》

モノっちーは、一つの動画を見ているようでした。

カチリ。再生ボタンをクリックすると、画面の向こうで、金属が怪しげな音を響かせます。

磔にされた善子の周りを、数多の電動ノコギリが漂っていました。

モノっちーはマウスを握ったまま、じっと動画の成り行きを見守ります。

1回、2回、3回。電動ノコギリが何度も何度も、善子の身体を傷つけては離れ、傷つけては離れを繰り返します。

そのたびに善子は苦しむ様子を見せますが、強がっているのでしょうか、あまり表情を崩そうとしません。

怒ったモノっちーは、メニューバーの設定機能を使い、再生速度を倍速にしました。

ギュィィィィィィン!

するとどうでしょう。ノコギリが善子を狙う頻度が倍になりました。

20、30、40……致命傷にならない傷を幾つも作り、それでも善子は顔を変えませんでした。

動画のシークバーは終わりに差し掛かっています。このままなら、彼女は瀕死にはなるものの、オシオキを耐えて生き延びるでしょう。

ですが、モノっちーはそれを許しませんでした。シークバーをメチャクチャに弄り始めたのです。

70、80、90……メチャクチャな動きで善子を傷つけるノコギリ。

しぶといことに、彼女はまだ表情を崩しませんでした。

カチリ。モノっちーが再生停止ボタンをクリックすると、電動ノコギリも全て動作を停止します。

「…………ヨ……を……る、な……」

涙を堪え、何かを言っているようです。モノっちーは、音量バーのツマミを最大に上げました。

「だてんし、ヨハネを……なめる、な……」

少し黙った後……モノっちーは、1つのボタンをクリックしました。

ダン!!!

巨大なブーイングマークに、一瞬で押し潰される善子。

もはや、跡形も残されていないでしょう。

モノっちーが押したのは、動画につけられる『低評価』のマーク。

『この動画はユーザーの手によって削除されました』

その文字列を見ながら、呆れたように笑うモノっちーでした。

モノっちー「いやっほう! エクストリーーーームッ!」

ダイヤ「ぁ、っ……」

エマ「いやあああああああああ!?」

梨子「酷い……」

せつ菜「こんなのって……」

花丸「……」

かすみ「……♪」

璃奈「悪趣味……(>_<。)」

歩夢(私たちの目の前で……善子ちゃんは、死んだ)

歩夢(惨たらしく、尊厳を踏みにじられ……モノっちーの手で処刑された)

モノっちー「いやあ、最初のオシオキとしては物足りなさがあるけど……それでも凄いね! こう、脳汁がドバドバ出るっていうのかな!」

愛「いや、こんなのゲロしか出ないって……ちょっと、トイレ行って来ていい?」

モノっちー「いいよ~。裁判は終わったし、あとは自分の部屋に戻るなり、好きにしちゃってくださいな!」

愛「みんな、お先失礼するね……」ウェッ

モノっちー「それにしても、オマエら、クロにまで言われちゃったねえ。もう少し議論を上達させないと、学級裁判を生き残れないよ?」

歩夢「……ふざけないで」

モノっちー「うん?」

歩夢「ふざけないで。私たちはこれ以上、犠牲を増やさない。死んだ2人のためにも、生きて、ここから出るんだ!」

モノっちー「……」ハァ

モノっちー「うけけけけけ……威勢だけはいいよね、歩夢さんは」

歩夢「……?」

モノっちー「この学園の秘密が解き明かされた時……オマエが絶望する顔を見るのが楽しみだよ」

鞠莉「じゃあ、1ついいかしら」

モノっちー「どうかしたの? ボクはクレームを受け付けたりはしないよ」

鞠莉「モノっちーファイルを見ていた時、妙に引っ掛かったことがあったのよね」

彼方「引っ掛かったこと?」

鞠莉「生年月日よ」

曜「生年月日……?」

モノっちー「おっと、小原さん。早速ボクが仕掛けたヒントに気付いちゃったねえ」

鞠莉「あのファイルには被害者の生年月日も一緒に書かれていたワケだけど……2003年9月21日」

鞠莉「ヘンね。私は2001年6月13日生まれ、留年をした覚えはない……」

千歌「あれ……私は2002年生まれだよ?」

曜「うん、私も……」

しずく「私は2001年です……」

鞠莉「なのに私たちはあの日、『入学式』の名目で体育館に集められた……」

鞠莉「これって一体どういうことなのかしらね?」

モノっちー「うけけけけけ……そこから先はオマエらで考えてよ。じゃあ、ボクはそろそろ帰るネ」

歩夢(不快な笑い声をあげ、モノっちーは裁判場から姿を消した)

歩夢(後には、仲間を喪った悲しみと、湧き上がる疑問の処理に困る私たちが残されていた……)

────同日夜、せつ菜の部屋。

歩夢「入るよ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「歩夢……」

歩夢「大丈夫。せつ菜ちゃんを殺すとか、そんなことは考えてないから」

せつ菜「……怒って、ますか?」

歩夢「怒ってないよ」

せつ菜「ですが、私は歩夢を……」

歩夢「ううん、いいの。むしろ、せつ菜ちゃんの様子がおかしいことに気付いてあげられなかった私のせいなんだから」

せつ菜「でも!」

歩夢「……」ギュッ

せつ菜「っ……!」

歩夢「手、冷たいよ……? それに震えてる……」

せつ菜「歩夢の手は、温かいです……」

歩夢「昔、聞いたことがあるんだけど……こうやって、誰かの体温を感じると、リラックス出来るんだって」

歩夢「……どう、かな?」

せつ菜「ぅ、ぁ……」

せつ菜「ごめんなさい、ごめんなさい歩夢……」

歩夢「いいの。私はせつ菜ちゃんを、友達を責めるなんて、出来ないから……」

せつ菜「うぅ、うあぁぁぁぁぁ……」

歩夢(ひとしきり泣きわめくせつ菜ちゃんを、私はぎゅっと抱きしめた)

歩夢(きっとせつ菜ちゃんにも、大切な何かがあったのだろう)

歩夢(でも、モノっちーはその『大切な何か』への想いを踏みにじり、殺し合いを起こした)

歩夢(だから、ルビィちゃんや善子ちゃん、せつ菜ちゃんがそれに乗せられてしまった)

歩夢(大丈夫。きっと私がみんなを、この学園の外に、出してあげる……)

歩夢(そういえば、もうすぐ夜時間だけど……)

歩夢(『他人の個室で寝ること』は禁じられていなかったし……いいよね)



────同時刻、校舎1階。

(やっぱり……倉庫も入れるようになってるみたい)

(……ん?)

「あれは……?」

Chapter1 END

ttps://i.imgur.com/ZrqWeMr.png

To be continued……


プレゼント“黒い羽根”を獲得しました。

今回はここまで。

赤く、不透明な世界。

ただ、うめき声と叫び声だけが聞こえる。

何が起きたんだろう。あれらの声は誰のものなんだろう。

そんなことを想っているうちに、ぼやけていた視界が晴れてゆく。

けれども、視界を覆う赤は剥がれなくて──


歩夢「……っ」ガバッ

歩夢(そこで、私の目は覚めた)

────学園生活6日目

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『おはようございます、朝7時になりました』

モノっちー『さてさて、今日も1日頑張っていきましょう』

プツン

歩夢(何だったんだろう、今の夢……)

せつ菜「zzz……」

歩夢「……」

歩夢(いつものアナウンスで目を覚ます。あれから結局、せつ菜ちゃんの部屋で寝てしまっていた)

歩夢(モノっちーが何かを言ってくることもなかったし、個室であれば他人の部屋での就寝も問題ないらしい)

歩夢「はぁ……」

歩夢(ルビィちゃんが殺され、犯人だった善子ちゃんが処刑された)

歩夢(モノっちーは、みんなにまだまだ学園生活を強いるつもりでいる)

歩夢(18人だった私たちは、あっという間に16人に減ってしまった)

歩夢(もし、これからも殺人が起きたら? もし、またあの学級裁判が開かれたら?)

歩夢(……ここを出る頃には、私たちは何人になっているのだろう。そんな不安が頭をよぎった)

せつ菜「……おはようございます、歩夢」ムクリ

歩夢「うん、おはよう」

せつ菜「幼稚園以来でしょうか。こうして2人で寝るのは……」

歩夢「一応、この前の保健室はそうだったんじゃないかな?」

せつ菜「あ、あれはノーカウントです!」

歩夢「……そうだね」フフッ

せつ菜「何がおかしいんですか!」

歩夢(せめて、せつ菜ちゃんだけでも……そんな妥協と弱音が混ざった思考を振り払う)

歩夢(みんなで出るんだ、ここから。死んだ2人のためにも……!)



      Chapter2

Spiteful Trapper (非)日常編

────食堂

歩夢「おはようございます」

せつ菜「……あんまり人がいませんね」

果林「そうね。あんなことがあったばかりだし……」

歩夢(起きてこない人、起きているけれど部屋から出たがらない人……。食堂は、普段と比べて静かだった)

梨子「あの……一応、来てないみんなに朝食を届けて来ようと思うんだけど」

しずく「あ、手伝います!」

果林「私も食べ終えたら手伝うわ。結構な数だし」

梨子「あ、いいんですいいんです。まだ食べてる人に急かすような真似は……」

果林「そう? じゃあお言葉に甘えて。歩夢ちゃんたちも早くいらっしゃい、みそ汁が冷めるわよ」

せつ菜「みそ汁? パンじゃないんですね」

梨子「ええ。一応パンもあるけど、和食にしたの」

歩夢(なんで……訊ねる前に、不服そうな顔を浮かべる“彼女”の姿が目に入った)

かすみ「まったく、パン屋業界の危機ですよ」プンスカ

曜「危機だかWikiだか知らないけど、よく顔を出せたよね」モグモグ

かすみ「だってかすみん食事係ですし~? 果林先輩たちに外されましたけど」

歩夢(その場にいたみんなが、曜ちゃんみたいに冷たい視線を“彼女”へ向ける)

歩夢(中須かすみちゃん。殺し合いをゲームのように楽しみ、事件をわざと起こさせた張本人)

曜「誰かさんが余計なことをしなけりゃ、ルビィちゃんも善子ちゃんも死ななかったのにね。ごちそうさまでした」

かすみ「別に私が行動しなくたって……おっと失礼。ところで曜先輩、ご飯3杯は食べすぎじゃないですか?」

曜「誰かさんのせいでね。やけ食いになっちゃった」

果南「……私はあまり食欲湧かないんだけど」オハヨー

曜「梨子ちゃんしずくちゃん、私も運ぶよ。誰かさんと同じ部屋にいたくないし」

梨子「え、あ、うん……」

かすみ「さっきから誰かさん誰かさんって、誰のことなんでしょうね?」

せつ菜「あなた以外に誰がいるのですか……」ハァ

歩夢(結局。正午を過ぎても、何人かは食堂に姿を見せなかった)

果林「……まあ、仕方ないわね」

鞠莉「あんなことの後じゃあ、ねえ……」

しずく「ダイヤさんはしばらく1人でいたいそうですし、花丸さんも見張りの件で責任感じちゃってるみたいです……」

璃奈「彼方ちゃんもずっと部屋に引き籠ってた(>_<。)」

梨子「3人とも朝食に手をつけてないから、ちょっと心配ね……」

せつ菜「死んでは……いないんですよね?」

果南「大丈夫、生きてるよ」

愛「かっすんもいないけど……まあいいよね?」

千歌「かすみちゃんは……いたら、なんだかフインキ悪くなりそうだし」

エマ「あれ、フンイキじゃなかったっけ?」

果林「フンイキで合ってるわよ。それでエマちゃん、昨日何か見つけたって言ってたけど……」

エマ「あ、はい。実は昨日……」

────校舎1階、2階への階段前

歩夢(エマちゃんの発見は、この学園生活に大きな変化をもたらすものだった)

歩夢「本当だ……シャッター、上がってる」

千歌「上、行ってもいいんだよね?」

エマ「だと思うよ。校則には『この学園について調べるのは自由』って書いてたし……」

鞠莉「じゃあ、何組かに分かれて探索といきましょうか」

梨子「あ、私はお昼ご飯作って来ます。ダイヤさんたちの分も用意しないといけないし」

果林「じゃあ私も、誰か来てるかも知れないから一旦食堂に戻るわね。昼食のあと情報交換にしましょう」

愛「うぃっす、任せたよー」

せつ菜「行きましょうか、歩夢」

歩夢「うん」

歩夢(脱出への手掛かりが見つかる。そのことを願って──)

歩夢(私たちは、2階へと足を踏み入れた)

────校舎2階

せつ菜「見てください歩夢。電子生徒手帳のマップが……」

歩夢「そう、みたいだね」

歩夢(2階が開放されたからなのだろう。マップに新しく、2階のページが表示された)

ttps://i.imgur.com/zYTEWuk.jpg

歩夢「プールに図書室、理科室と教室か……」

せつ菜「男子用のもありますね……私たち、女子しかいませんが」

モノっちー「まあ、学校である以上は教職員用って必要だしネ」

歩夢「ひゃぁ!?」

モノっちー「そんなに驚かなくってもいいのに~。どう、2階は気に入ってくれたかな?」

せつ菜「気に入るも何も、まだ探索が済んでませんし……そもそも、私たちはここから出る手掛かりを探してるんです!」

モノっちー「うけけけけけ……まあ、精々頑張ることだネ」

歩夢「……行っちゃった」

────女子更衣室

鞠莉「Hi♪」

果南「やっほ、2人とも!」

歩夢「果南さん、その恰好は……」

せつ菜「ダイバースーツ……?」

果南「だってプールだよ!? 淡水だけど泳げるんだよ!? 潜れるんだよ!?」

鞠莉「奥にスクール水着とダイバースーツ一式があったわ。多分、みんなにあったサイズがあるんじゃないかしら」

果南「ここから出れば近くに海はあるっちゃあるけど……あそこは汚いしねえ」

モノっちー「まあ、お台場の海はとてもじゃないけど泳げたもんじゃないよネ。ボクも内浦にいた頃が懐かしいよ」

せつ菜「……また出た」

モノっちー「オマエらに一応、プールの説明をしておいた方がいいと思ってネ。とりあえず、電子生徒手帳の校則一覧を見て欲しいんだけどさ」

~校則~

10.夜時間のプールの遊泳は禁止とします。

モノっちー「水の管理とか色々あるからネ。更衣室やプールサイドに立ち入るのは自由だけど、水の中に入っちゃダメだよ?」

鞠莉「ナイトプールみたいなのはNGってことね。分かったわ」

モノっちー「あーそれと。更衣室は男女に分かれてるけど、ぶっちゃけこの学園に男子も女装男子も男の娘もいないから自由にしちゃって構わないよ」

せつ菜「男の娘……?」

モノっちー「それに、更衣室の出入りに電子生徒手帳が必要とかもないよ。とりあえず遊泳だけはダメ、覚えといてネ!」

果南「あー……なんかテンション削がれたけど。まあいいや、私はひと潜りしてくる!」

鞠莉「いってらっしゃい、私は他の探索を続けるわ。じゃあね~」

せつ菜「……歩夢、男の娘ってなんでしょう?」

歩夢「多分、せつ菜ちゃんは知らなくていいと思う……」

────理科室

かすみ「げっ」

せつ菜「……先に来てたんですね」

かすみ「ええ。2人も2階の探索ですか~?」

歩夢「……」

かすみ「しかしまあ、殺そうとした人と殺されかけた人。よく一緒にいれたものですね~」

かすみ「曜先輩はあんなこと言ってましたけど……私がいなくたって、殺し合いを起こそうとしてた人が目の前にいたんですよ?」クスクスクス

せつ菜「──ッ!」

歩夢「せつ菜ちゃん、落ち着いて!」

歩夢(思わずかすみちゃんに掴みかかろうとしたせつ菜ちゃんを、反射的に抑える)

歩夢(私を絞めたあの時とは違う……せつ菜ちゃんの行動に“迷い”が見えない。放っておいたら……悪い予感がした)

かすみ「じゃあ私はこれで失礼しますね。歩夢先輩、せつ菜セ・ン・パ・イ?」

タッタッタッ

せつ菜「……」

歩夢「人のことを悪くは言いたくないけど……かすみちゃんの話は真面目に聞いちゃダメ、だよ」

せつ菜「……」

せつ菜「そう、ですね……」

歩夢(昨日の学級裁判で、鞠莉さんが話した“生年月日”の話題……)

歩夢(あれ以来、かすみちゃんは年上の人に対して先輩呼びをするようになった)

歩夢(まだ生年が分からない人がいるけれど、きっとその人たちも年齢が判明すれば、かすみちゃんは先輩呼びするのだろう)

歩夢「……」ハァ

歩夢(特に手掛かりのなかった理科室を調べ終えて、私はため息をついた)

────図書室

愛「やっほー」

璃奈「……(・v・)」

せつ菜「本棚、多いですね……ぎっしり詰まってる」

愛「もしかしたらマルっちの書いた本が見つかるかもね。漫画はなさそうだけど……」

璃奈「図書室って、漫画はないと思うけど(・v・)」

愛「ほらこう……海賊王の冒険とか、願いを叶える七つのボールを集めるのとか、それ以外だとトラブルだらけの恋愛モノとか、真実はいつも一つな探偵とか……」

歩夢「こ、これ以上は危ない話になる気がするから一旦よそう!?」

せつ菜「見てください歩夢、こっちの棚にいっぱいライトノベルがあります! 可愛くないツンデレ妹モノやゼロから始める異世界転生モノ、ああ、魔法少女モノまで……」

歩夢「危ない話はよそうって言ったよね!?」

璃奈「……ところで。これ、何(・v・)?」

愛「ん、どしたのりなりー」

歩夢「ノートパソコン……?」

カチッ カチッ

せつ菜「……電源、つきませんね」

愛「あーこれ、バッテリーがついてないや」

璃奈「探さないといけないね(>_<。)」

歩夢「多分、この部屋にあると思うけ──」

バァン!

歩夢「──ど?」

せつ菜「……しずくさん?」

しずく「……っ」

ダッ!

愛「……隣の部屋から出て来たよね? というか、何か持ってなかった?」

────書庫

歩夢(図書室の奥にある小部屋は、図書室よりも本やファイルなんかの密度がびっしりで)

歩夢(その中央で、エマちゃんがあたふたしていた)

エマ「しずくちゃん、急に逃げるように……私、何か悪いことしちゃったのかな?」

エマ「うぅ……みんなと打ち解けようって、喋り方を変えたのがマズかったのでしょうか……」

愛「いや、言いながら戻さなくていいからね!?」

エマ「でも……」

せつ菜「この辺り、ファイルが落ちてますけど……しずくさんが持っていたのも、こんなものでしたよね?」

エマ「しずくちゃん、何か読んでたみたいで……」

璃奈「じゃあ、そのファイルの中に……何か、悪いものでも見ちゃったのかもね(>_<。)」

歩夢「悪いもの、って?」

璃奈「……人には人の秘密がある。多分、エマさんは悪くないよ(>_<。)」

エマ「だといいんだけど……仲直り、出来るかなあ」

愛「大丈夫大丈夫。今度、愛さんが仲直りのコツを教えて進ぜよう!」エヘン

エマ「あ……ありがとう、愛さん!」

愛「愛ちゃんでいいよ?」

エマ「でも、自分のことを愛さんって……」

璃奈「愛ちゃんは、呼ばれるなら愛ちゃんがいいらしい……私、何度も言われた(・v・)」

エマ「じゃあ、愛ちゃん」

愛「よろしい!」

せつ菜「……みんな、少しずつでも仲良くなる努力をしてるみたいですね」

歩夢「……うん」

歩夢(それにしても、一体なんのファイルだったんだろう)

歩夢(落ちてるファイルはどれも『未解決事件・ケース〇〇』と書かれたものばっかり……)

歩夢(……まさか、ね?)

────3階へ続く階段前

千歌「2階の窓も全部ダメ。こっちはシャッター閉まってるし、なんなの!」

歩夢「怒らなくても……」

千歌「たまにはお日様に当たりたいの! ずっとこの学園に閉じ込められたままだから、どうにかなっちゃいそうだよ!」

せつ菜「教室の窓も全部ダメだったのですか?」

千歌「そうだよ。手掛かりも全然見つからなかったし……」

千歌「あーもう、シャッター開けーーーー!!!!」

せつ菜「……開けゴマ、とはいきませんね」

千歌「ぐぬぬぬぬ……叫んだらお腹すいてきちゃった」

歩夢「とりあえず、一通り調べ終わったみたいだし……一旦戻ろっか」

せつ菜「それにしても、何階まであるのでしょうか……」

────夜、歩夢の部屋

キーンコーンカーンコーン

モノっちー『えー、夜10時になりました。ただいまより夜時間になります』

モノっちー『まもなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となります』

モノっちー『また、本日校則を一つ追加致しました。夜時間でのプールの遊泳も禁止となります』

モノっちー『それでは皆さん、おやすみなさい』

プツン

歩夢(結局、今日は彼方ちゃんたちが姿を見せることはなくて)

歩夢(それどころか、梨子ちゃんが何かを見つけたみたいで部屋に籠ってしまった)

歩夢(お陰で、せつ菜ちゃんが張り切って料理を作ってくれたけど……)

歩夢「せつ菜ちゃん、料理苦手だったんだ……」

歩夢(見た目はともかく、味の感想は……。梨子ちゃんの復帰が待たれる、としか言いようがない)

歩夢「明日には仕上げるから、って言ってたけど……何のことなんだろう」

歩夢「……」ハァ

歩夢(ここに来てから、一生分のため息をついた気がする)

歩夢(不安や疑念から来るそれは、まだまだ増えるような気がして……)

歩夢(もう一度、ため息をついた)

~モノっちー劇場~

お花見、海水浴、焼き芋、雪だるま……。

漫画やアニメ、小説に映画……それらに限ったことじゃないけど、季節ネタってどこにでもあるよネ。

お盆の時期にクリスマスの作品はどうしても場違いになるし、雪の季節に梅雨のネタなんて……って、違和感を覚えちゃうよネ。

でもそれは、季節の変化を感じられる世界だから使えるんだ。

窓の外の景色や気温で「ああ、季節が変わったんだな」と感じられる世界だからこそなんだ。

……つまり何が言いたいかって?

オマエら、よいお年を!

今回はここまで。

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