フレデリカ「ありすちゃんが人形をぎゅってしてる」 (19)

ありす「……」ギュッ

ありす「……」

ありす「……♪」ギューッ

フレデリカ「ありすちゃんとってもキュートだねー」

ありす「!?」

ありす「ふっ、フレデリカさんっ!?」

フレデリカ「そのとおり!」

フレデリカ「呼ばれて飛び出てじゃじゃーん!」

ありす「呼んでませんっ!」

フレデリカ「およ、つれない……」

ありす「そっ、それより……いつから見てたんですか!?」

フレデリカ「ついさっきだよー?」

ありす「そうですか……」

フレデリカ「大体一時間くらい前?」

ありす「さっきじゃないじゃないですか!」


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ありす「もうっ! 声くらいかけてください!」

フレデリカ「んー、でもありすちゃん忙しそうだったしー」

ありす「忙しそう……って」

フレデリカ「こう……ぎゅーって!」

ありす「!」

ありす「そっ、それも見てたんですか!?」

フレデリカ「一時間前にいたからねー」

ありす「……ずっと私を見てたんですね」

ありす「暇なんですか?」

フレデリカ「暇なんかじゃないよー?」

フレデリカ「フレちゃんも撮影で忙しかったし!」

ありす「撮影……あ、もしかして密着取材とか……」

フレデリカ「ううん。違うよー」

フレデリカ「フレちゃんの個人的な撮影なの」

ありす「……嫌な予感がするんですけど」

ありす「ちょっと携帯見せてもらってもいいですか?」

フレデリカ「やん♪ ありすちゃんは束縛するタイプー?」

ありす「そういうわけじゃありません!」

ふれでりか「じゃあ、なんで見たいのー?」

ありす「だって……」

ありす「……フレデリカさん、私のこと撮ってましたよね?」

フレデリカ「うん!」

ありす「ほら!」

ありす「消してください!」

フレデリカ「えー? こんなにキュートなのにー……」

フレデリカ「ほら、見てみてー♪」

『ー♪』ギューッ

ありす「再生しないでくださいっ!」

フレデリカ「ふふっ、こんなにぎゅーってしちゃって……ありすちゃんかわいいー♪」

ありす「ああもう、やめてください!」

フレデリカ「大丈夫大丈夫」

フレデリカ「アタシが個人で楽しむだけだから。みんなにばらしたりしないよー♪」

ありす「……」

ありす「……そっ、それでもダメです!」

フレデリカ「あれ、迷った?」

ありす「迷ってません!」

ありす「とにかく、消してください!」

ありす「消さないと――」

フレデリカ「消さないと?」

ありす「――もうフレデリカさんにだけ絶対おみやげ買ってきません」

フレデリカ「えー……」

ありす「嫌なら消してください」

フレデリカ「……はーい」

フレデリカ「名残惜しいけど……ホイッと」

フレデリカ「はい、消したよー♪」

ありす「……本当ですよね?」

フレデリカ「フレちゃんの目を見たらわかるよ?」

ありす「……目を閉じるってことは嘘って判断していいってことですよね」

フレデリカ「うふふっ、フレデリカジョーク♪」

フレデリカ「ほら、じー」

ありす「……」

フレデリカ「……」

ありす「……」

フレデリカ「……」

ありす「……いつまで見ればいいんですか?」

フレデリカ「ありすちゃんが目を逸らすまでかなー?」

ありす「……」

フレデリカ「……」

ありす「……」

フレデリカ「……えいっ」ムニ-

ありす「ふゃっ!?」

ありす「ふぁ、ふぁひふふんへふは!」

フレデリカ「あははっ、何言ってるかわかんなーい♪」

ありす「ふへへふぃははん!」

フレデリカ「ありすちゃん可愛いー♪ うふふっ♪」

ありす「うー……!」

ありす「ふぇいっ!」ムニー

フレデリカ「ひゃっ!」

ありす「ひふぁえひへふっ!」

ありす「ふぇいっ! ふぇいっ!」ムニムニ

フレデリカ「ひゃー!」

フレデリカ「ふゃあ、ふへふゃんほー!」


………………

…………

……

ありす「はぁ……はぁ……」

ありす「……なんかどっと疲れました」

フレデリカ「勝負は引き分けだねー」

ありす「もうそれでいいですよ……」

フレデリカ「で……何の話してたんだっけ?」

ありす「……さっき撮った動画を消したかどうかです」

フレデリカ「あー、それかー♪」

フレデリカ「ちゃんと消したよー。ほら」

ありす「……本当ですね」

ありす「はぁ……フレデリカさんが変なことをしなければこんなに疲れることもなかったのに」

ありす「子供ですか……まったく」

フレデリカ「ありすちゃんと同年代かもねー」

ありす「……」

フレデリカ「でも、ありすちゃんもフレちゃんのことずーっと見てたよねー」

ありす「う……」

フレデリカ「どうしてすぐ目を逸らさなかったのー?」

フレデリカ「目をそらせばすぐ終わったのに」

ありす「それは……」

ありす「……私が先に逸らすのってなんか悔し――」

ありす「――い、いえ。なんだっていいじゃないですか!」

フレデリカ「そうだねー♪」

フレデリカ「……ふふ♪」

ありす「な、なんですか?」

フレデリカ「やっぱりアタシとありすちゃんって同年代なのかもなー、って♪」

ありす「……」

フレデリカ「ところでありすちゃん。そのぬいぐるみはなーに?」

ありす「これですか?」

ありす「これはニシキアナゴのぬいぐるみです」

フレデリカ「アナゴかー」

フレデリカ「いもむしかと思ったー♪」

ありす「……フレデリカさんも知ってると思いますけど、今水族館を作ってるんです」

フレデリカ「知ってるよー」

フレデリカ「最近ありすちゃん忙しそうだもんねー」

ありす「えぇ……今度海釣りにも行くことになりましたし……」

ありす「……っと。まあその一環ですね、このぬいぐるみも」

フレデリカ「?」

ありす「売り出すグッズとして、私たちがプロデュースしたんです」

フレデリカ「わお、そうなんだー!」

ありす「はい」

ありす「……なので、断じて私が個人で楽しんでいたわけではありません!」

ありす「抱き心地を試してたんです!」

ありす「決して! 個人で楽しんでたわけじゃありません!」

フレデリカ「……そこまで否定すると逆に怪しんじゃうよ?」

ありす「あっ」

フレデリカ「うふふっ、そんなに楽しんでたんだねー♪」

ありす「……」

ありす「……い、いいじゃないですか」

ありす「抱き心地いいんですもん……」

フレデリカ「そんなにいいのー?」

ありす「……びっくりするくらいに」

ありす「フレデリカさんも……抱っこしますか?」

フレデリカ「えっ、いいの?」

ありす「はい」

ありす「……試作品ですから、色んな人に試してもらいたいですし」

ありす「なので、どうぞ」

フレデリカ「うふふっ、ありがとー♪」

フレデリカ「わっ、ふかふか……」

ありす「ふふん」

フレデリカ「わお、得意げー♪」

ありす「私たちがプロデュースしたものですから」

フレデリカ「そっかそっかー♪」

フレデリカ「んー、気持ちいいー♪」

ありす「ふふっ……たっくさん堪能してくださいね」

フレデリカ「~♪」

ありす「……」

ありす「……」

フレデリカ「ー♪」

ありす(……本当に幸せそうに抱っこしますね)

ありす(まあ、確かにすっごい気持ちいいですし)

ありす(……一日中抱っこできるくらい)

フレデリカ「ー♪」

ありす(しかしとろけてますね)

ありす(……私もあんな顔だったのでしょうか)

ありす(……)

ありす(……消してもらって良かった)

フレデリカ「ー♪」

ありす(……)

ありす(……いつまで堪能してるんでしょうか)

ありす(いえ、喜ぶことなんですけど)

ありす(……)

ありす(……私がいるのに)

フレデリカ「ー♪」

ありす(……そうだ!)

ありす(いつもの仕返しに、今度は私がフレデリカさんを撮ってやりましょう)

ありす(ふふっ、こんな自分の姿を見たらフレデリカさんはどうなるでしょうか?)

ありす(……)

ありす(……あんまり変わらなそうですね)

ありす(……まあ、これはあくまで私の想像のフレデリカさんですし)

ありす(実際は顔を隠しちゃうくらい恥ずかしがるかもしれません)

ありす(……ふふ)

ありす(そうと決まれば早速――)

フレデリカ「――んー! 堪能っ!」

ありす「」ビクッ

フレデリカ「ほんと気持ちよかったー♪ ありがとね、ありすちゃ……あれ?」

フレデリカ「タブレット出してどうしたのー?」

ありす「い、いえ……別に?」

フレデリカ「んー? 何か隠してるなー?」

ありす「何も隠してません!」

ありす「ただ……ちょっと暇だっただけです」

フレデリカ「そっかー」

フレデリカ「……アナゴくんに妬いちゃった?」

ありす「妬いてません!」

フレデリカ「ごめんごめーん♪」ナデナデ

ありす「妬いてません!……ああもうっ、撫でないでください!」

ありす「はぁ……それで、どうでしたか。抱き心地は」

フレデリカ「1200点!」

ありす「わっ、ずいぶんと高評価ですね」

フレデリカ「2000点満点中だけどねー」

ありす「私の喜びを返してください」

ありす「……それにしても結構低いですね……」

ありす「ええっと、100点満点に直すと……」

フレデリカ「60点くらいだねー」

ありす「そうですか……」

ありす「満足していたように見えたんですけど……何が足りなかったんでしょうか」

フレデリカ「教えて欲しいー?」

ありす「……はい」

ありす「今後の参考にしたいので」

フレデリカ「じゃあ、教えてあげよう!」

フレデリカ「ありすちゃん、こっち来て?」

ありす「はぁ……」

フレデリカ「もっともっと!」

ありす「……そんなに近くじゃなきゃいけないんですか?」

フレデリカ「ダメ!」

ありす「……」

ありす「……しょうがない人ですね」

ありす「このくらいでいいですか?」

フレデリカ「もうちょっと!」

ありす「まだですか……もうだいぶ近づいたと思うんですけど」

フレデリカ「フレちゃんとありすちゃんの心の距離くらい近づいて欲しいなー」

ありす「……これで私が離れちゃったらどうするんですか……」

フレデリカ「ありすちゃん離れちゃうの?」

ありす「……」

ありす「……ずるい人ですね、フレデリカさんは」

フレデリカ「しってるー♪」

ありす「はぁ……」

ありす「……」

ありす「……こ、このくらいでいいですか?」

フレデリカ「うん、大丈夫!」

ありす「体が触れそうなくらい近いんですけど……」

フレデリカ「うふふっ♪」

ありす「……」

ありす「……で、何がダメだったんですか?」

フレデリカ「それはねー……」

フレデリカ「ありすちゃんがいなかったことっ!」

ありす「!」

フレデリカ「ぎゅーっ♪」

ありす「……」

フレデリカ「あれ、無反応?」

ありす「……どうせこんなことだろうと思ってましたから」

フレデリカ「おぉ……ありすちゃん名探偵だねー」

ありす「誰だってわかりますよ、もう……」

フレデリカ「でも逃げないんだねー」

ありす「……」

フレデリカ「ふふっ、ぎゅーっ♪」

ありす「……まったく」

ありす「なんで私がいないと点数がいっぱい下がるんですか……」

フレデリカ「だって、『抱っこしますか?』って言ったのに抱っこさせてくれなかったし……」

ありす「誰も私を抱っこさせるなんて言ってないじゃないですか!」

フレデリカ「でも私を抱っこさせないなんて言ってないよねー?」

ありす「それはっ……まあ、そうですけど……」

フレデリカ「論破です!」

ありす「……それは私の真似ですか?」

フレデリカ「似てたー?」

ありす「60点です」

フレデリカ「わお、思ったより高評価ー♪」

ありす「……で」

ありす「フレデリカさんの方は、これで何点になりましたか?」

フレデリカ「1200点かなー?」

ありす「変わってないじゃないですか!」

フレデリカ「変わってるよー?」

フレデリカ「なんてったって100点満点だからねー♪」

ありす「……ほんと、フレデリカさんはフレデリカさんですね」

フレデリカ「知ってるー♪」






おしまい

ありすちゃんとフレちゃんがいちゃいちゃしてるのが好きってノリと勢い。
水族館ありすちゃんほんと可愛くてめっちゃ好き

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。

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