【参加型】アイドルと僕のNext Prologue【ミリオンライブ】 (8)

このスレは2016年5月から2017年4月までミリラジで行われていた、
キーワードに沿ったアイドルとの出会いのSSを投稿するコーナー『アイドルと僕のNext Prologue』に送ったけど採用されなかったものを供養するためのものです。
また、せっかくなので他のプロデューサーがどんなものを送っていたのか知りたいということもあり参加型という形を取らせてもらいました。

まずルールをご説明します。
SSを書き込む前に宣言をお願いします。
宣言が被った場合は、宣言の書き込みが早かった方が優先されます。
SSの始めには『アイドル名×キーワード』という形でタイトルをお願いします。
例:春日未来×サッカーボール
そして最後には必ず『終わり』と入れてください。
『終わり』と書いていないと次の方が書いて良いのかわからない為必ずお願いします。

また複数レスにまたがる場合は30分以内に続きのレスを書き込んでください。
30分経っても続きの書き込みが無い場合は次に書きたい方が宣言して構いません。

2週間誰の書き込みも無い場合はHTML化依頼を出します。

それでは、皆さんの書き込みをお待ちしております。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506012037

まずは私がひとつ投下します。

木下ひなた×サイボーグ



またスカウトに失敗した。

木枯らしが吹く寒空の下、足を止めてくれる子は少ない。

声をかけてくるのが、私のような左手がドリルのサイボーグならなおさらだ。

さっきの子は私に搭載されている『アイドル適正感知センサー』にすごい反応があったのに、残念でならない。


次の子を探そうと駅の出口辺りに目をむけると、キャリーケースをひいた小さな女の子が困ったように右往左往していた。

アイドルセンサーに反応は無いが、良心回路にしたがって声をかける。

別の出口に行きたいが迷ってしまったらしい。

少女の行きたい出口への経路を口頭で伝えるが、あまり理解できていない様子。

目的地まで同行することを提案すると快諾してくれた。

サイボーグへの忌避感が無いとは珍しい少女だ。

途中、少女が人波に流されてしまったので、許可を得て手をひく。

私の右手は人間とほぼ同じ形だが、表面は金属そのままなので今日のような日は非常に冷たくなる。

寒い思いをさせて申し訳ないと詫びると、

「手が冷たい人はねぇ、心があったかいんだよぉ」

そう言って、少女は笑ってくれた。

陽だまりのような笑顔だった。


少女と別れた後も、どうしてかその笑顔がメモリーに焼きついたようにフラッシュバックする。

記憶メモリーは五日前に交換したばかりなのに、動作不良だろうか。


その夜、夢を見た。

アンドロイドは電気羊の夢を見るというが、サイボーグはアイドルの夢を見るらしい。

ステージで輝く、陽だまりの笑顔の夢。


二日後、私は彼女を探して駅にきていた。

今日帰ると言っていたから、もしかしたら――。

「あれぇ?さいぼーぐのお兄さん?」

偶然だねぇ、と言う少女は、メモリーに焼きついているままの陽だまりのような笑顔で。

相変わらず、アイドルセンサーに反応は無い。

科学的根拠は全くないし、非論理的な決断だと解っている。

しかし、それでも。

少女の言葉に、心を感じた。

少女の笑顔に、夢を見た。

だから、『僕』は――。

「あの……アイドルに、なってくれませんか?」


これが、彼女と僕のネクストプロローグ。


終わり

誰もいないみたいなのでもうひとつ投下

高坂海美×洗濯物


道を歩いていると、頭にぽすっと何かが乗った感覚。

手にとって確認してみると、なにやら手触りのいい布だ。

どこから飛んで来たのかと辺りを窺うと、道路脇の住宅から女の子が出てきた。

洗濯物を取り込んでいる最中に風に飛ばされたのだと、少女はしきりに謝った。

ピンと伸びた背筋。すらっとした脚。風にふわりと舞う栗色の髪。耳まで赤くなっている顔。

私のプロデューサーとしての勘が告げている。

この子はとんでもない逸材だ。すごいアイドルになる、と。

さて、なんと声をかければこの子はアイドルになってくれるだろうか。

いつまでもこうしてはいられない。

早く何か言わなければ。早く、はやく――。


「このパンツを返して欲しければ、アイドルになってください」


これが、彼女と僕のネクストプロローグ。


終わり

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