【モバマス】「ライラさんとアイスとウサミンロボ」 (25)

 ライラさんはー、公園が好きですねー
 公園は、食べる物も楽しいこともいただけるのですねー

 ライラさんはー、今はひとりです。
 一緒に日本に来た子は今はいませんよー、でも、公園に来れば皆さんに会えるのです。

 楽しいですね。

 アイドルって何ですか?

 ふごふごさんは、アイドルですか。

 はー、アイドルは美味しいですか?
 楽しいですか?
 お家賃、払えますですか?

 うふふふ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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月末になると、ライラさんはプレミアムアイスクリームを一つ買います。
夏でも冬でも関係ありません。

そしてアイスクリームを一つとスプーンを二つ持って、ウサミンロボ秘密基地へ向かいます。

「ライラさんの約束ですよー」

うさ!

すると、一台のウサミンロボが姿を見せました。

次に、ライラさんはウサミンロボと一緒にモバPのオフィスへ向かいます。

「プロデューサー、ライラさんの約束ですよー」

「お、もう一か月経ったか」

モバPはウサミンロボの隣に並びました。

うさっ


「じゃあ今月も、ごちになろうかな」

「はい、ですよ」

ライラさんの差し出したアイスクリームを受け取ったモバPは、スプーンできれいに真ん中から二つに分けました。
半分は自分が、そして半分はウサミンロボが。

「うん、ライラのアイスは美味しいな」

うさっ!

 楽しくアイスを食べていると、大きな影と小さな影が一つずつ。

「アイス食べとうよ」

「あ、えーなー、アイス」

 着ぐるみの中で暑そうな上田鈴帆と、それに付き添う難波笑美でした。

「このアイスはライラから俺たちへの特別品だからな」

「なんやの、それ」

「んー、あれはそうだな……」

 モバPは語り始めました。

 
 
 
 それは、夏の終わりのある日のことでした。

 いつものようにパトロール兼新曲の宣伝行脚をしていたウサミンロボは、アイドルスカウトに向かうモバPと会いました。

「おう、ロボ。お前も宣伝中か」

 うさ

「みちるの知り合いがこの辺りにいるらしくてな。一度会ってみようかと」

 うさ?

「いい子らしいし、仕事も探しているらしい」

 うさ

「まだまだ暑いなぁ、なあ、団子の代わりにアイスクリームとか出せないのか」

 うさ

「駄目か」


 うさ

 ウサミンロボは背中のリュックから水筒を取り出しました。

「お、いいのか?」

 うさ

「それじゃあ、ありがたく」

 中身は、よく冷えたヘルシーリセッタでした。

「すまん、これはそのままでは飲めない」

 うーさー

「まあいいさ、その辺りに自販機でも……」

 モバPは、ん? と呟くと辺りを見回していた視線を固定します。

「あれは」


 女の子が走っているのが見えます。
 それだけなら、慌てる話ではありません。
 ですが、女の子の後ろから追いかけてくる男がいます。それも、複数でサングラス着用です。
 怪しさ大爆発です。
 遊んでいるようには見えません。

 うさ

「……あの子だよ。みちるがスマホで撮ってたから、顔は覚えてる」

 二人は女の子に向かって駆け出します。

「おいっ、何やってんだっ!」

 うさっ!

 女の子を背後に庇う位置で立ち止まると、モバPは言い放ちます。

「事情は知らんが、むくつけき男連中でか弱い女の子追いかけ回すってのは、ちょっと拙いんじゃないですかねぇ」
「しかも全員サングラスで人相隠して、てめーら内匠P軍団か!」


 その横で、ウサミンロボは仁王立ちです。

「君には関係ない、退いていたまえ」

 サングラス男が二人、ロボとモバPの前に立ちます。

「おいおい、まさか腕ずくで」

 殴られて、モバPはもんどりうって倒れました。

 うさ!?

 ウサミンロボは担がれました。そして、投げられました。

 うさーっ!?

 立ち上がるモバP、そして、くるりと回って着地すると元の位置に戻ってくるウサミンロボ。

「こいつら、強いぞ」

 うさ


「あの……」

 背後の女の子が言います。

「二人は逃げるといいです。ライラさんは平気です」

 サングラス男が言います。

「ライラ様、お戻りください。御当主様がお待ちです」

「嫌です」

「ライラ様。お戻りにならなければ、一緒に逃げた世話役がどうなりますか」

 サングラス達の後ろのほうから、一人の女性が姿を見せました。

「申し訳ありません、ライラ様」

 女性は手錠をかけられています。


「お逃げくだ……!!」

 猿ぐつわがかまされ、女性は何も言えなくなってしまいました。

 ぴくり、とモバPの眉が上がりました。

「手荒なことはしたくないのです。お戻りください、ライラ様」

 ライラ、と呼ばれた女の子は、手錠をかけられた女性を見た瞬間、表情が変わりました。
 
 さっきまでは気丈に振る舞おうとしていたのですが、今はその元気がなくなっています。

「むかついた」

 モバPは呟きました。

「事情はわからねえが、むかついた」

 うさ

 ウサミンロボも頷きました。


「おい、どう見ても悪役ロールじゃねえのか、てめえら」

「……まだいたのか。ライラ様のお言葉通りさっさと逃げろ」

「この状況で、はいそうですかって逃げられるわけねーだろ」

「女の前だからと言って格好をつけるなよ、不様に終わるだけだぞ」

「ははっ!」

 モバPは笑います。高らかに。挑戦的に。

「女の前で格好つけねえで、男がどこで格好つけるってんだよ!」

 うさっ!

 殴られたモバPはきりもみ回転しながら倒れました。
 ウサミンロボは担がれて放り投げられました。

「……あれ?」


 倒れたモバPの視界の隅には、さらに遠くに放り投げられたウサミンロボが写ります。

「さあ、ライラ様、こちらに」

「待てっつーの」

 それでもモバPは立ち上がります。
 鼻血まみれで。

 うさうさ

 ウサミンロボもあわててやってきます。

「いい加減にしろ。つぎは冗談じゃ済まんぞ」

 モバPはウサミンロボにひそひそ声で尋ねます。

「……ロボ、お前そんなに弱かったか?」

 うさ

「……あ、そっか」


 ウサミンロボはウサミン星の掟に縛られています。
 ウサミン星は地球人同士の争いに干渉してはならないのです。
 例外はアイドルを護るための戦いですが、ここにアイドルはいませんし、モバPは対象外です。

 つまり、今のウサミンロボはお役立ちロボですが、喧嘩には弱いのです。

 うさ

 だけど、サングラスの男達が悪いと言うことはわかります。
 もし、ライラさんを捕まえる正当な理由があるのなら、それをモバPたちに説明すればいいだけなのです。
 それをしないのですから、男達は怪しいのです。
 しかも女性に手錠と猿ぐつわです。そんなことが許されるのはモバPに対する時子様だけです。

 男達が近づいてきます。今度は一人じゃありません。多数で二人を囲もうとしています。

 モバPはライラさんを見ました。

「……なあ、ライラさん、だっけ?」

「はい」

「アイドルやらね?」


「はー?」

「みちるに聞いてるんだろ? 俺がアイツのプロデューサーだ」

「みち……る……」

「え?」

「みちる?」

「え、あの、パン食べる奴」

「ふごふごさんですか」

「アイツ自己紹介もしてねーのか……」

 うさ!

 モバPとライラさんの会話の時間を稼ぐため、ウサミンロボが突撃します。


 捕まって担がれて投げられました。

「お家賃払えるですか?」

「払える」

「でも、もう捕まるのです」

「そんなことは、どうでもいい」

 モバPへと男達の拳が向けられます。

 殴られました。倒れません。

「君が成りたいのか成りたくないのか、それだけだっ!!」

 殴られます。次々に殴られます。モバPは地面に倒れます。それでも叫びます。

「アイドルになりたいかっ!」

「はいっ!」


 男の一人の蹴りをモバPは左手で受け止め、立ち上がりながら力任せに投げ飛ばします。

 男達は下がります。さっきまで殴られ放題だったモバPの反撃に驚いています。

「貴様!」

 ついに男の一人が懐に手を伸ばすと、拳銃を取り出します。

 うさっ!

 投擲されたウサミン竹槍が拳銃を打ち砕きます。

 ウサミンロボがくるくる回りながら飛んできて、ライラさんの前に立ちました。


 うさっ!(問おう。貴方が、私のアイドルか)


 契約が成り立ちました。この瞬間から、ウサミンロボはライラさんをアイドルの一人だと認識した

のです。


 うさっ!

 モバPとウサミンロボが並びます。

「……いいか、アイドルを守るウサミンロボとプロデューサーは、無敵だっ!」
「行くぞっ、ロボッ!」

 うさっ!

 実際無敵でした。

 男達を退けた後にお礼を言うライラさんに、モバPは言ったのです。

「じゃあ、ギャラが入ったらアイスでも奢ってくれ」

 そして一週間……


「あの、プロデューサー」

「なんですか、ちひろさん」

「ライラちゃんをスカウトしたことに文句はありません」

「はい」

「……苦情の電話を通り越して脅迫の電話がくるんですけれど」

「……実家が訳ありって言ってたなぁ……」

「おい」

「一日様子見てくださいよ」

「……信じますよ?」

「はい」


 モバPはそのまま事務室を出ると、給湯室で立ち止まります。

(……あやめ)

(ニン)

 天井裏の気配とお話しています。

(頼むぞ)

(おまかせを、ニン)

 その翌日のことでした。

 ライラさんのお父さんが目を覚ますと、足元に馬の首のぬいぐるみが置いてありました。

 事務所への電話は、パタリと絶えたそうです。

 
 
 
  

 
 
 
  


「と、いうのが、ライラがウチに入ったときのエピソードでな」

 うさ

「……嘘やろ?」

「難波っち、プロデューサーはしらごつばつくばって……嘘ばつくけど、ロボは嘘つかんばい」

「それもそやな」

「おい、待て鈴帆」

「そしたら、ロボちゃん、この話マジなんか?」

 うーさー

「うむ、わからんけんね」

 ウサミンロボの言葉は、笑美と鈴帆にはわからないのでした。






 終われ


(……ニン)



ニンジャコワイ


以上お粗末様でした


上田鈴帆はもっと出したいのに、言葉がネック過ぎるんや………

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