【モバマス】杏「雨かぁ…」 (24)

杏「いやだなぁ…ただでさえめんどくさいのに、更に意欲が減衰するよ…」

杏「部屋の中で音を聞いてる分にはいいけど、濡れちゃうのとか湿度が上がっちゃうのはちょっとだよねぇ…」

杏「お仕事、行きたくないなぁ…。しかも今出たら終わるのたぶん天辺だよ、天辺」

杏「せめて水が降ってくるんじゃなくて、飴が降ってくるなら外に出る気にもなるのになぁ」

杏「まぁ持てる分だけ持ったらすぐ部屋に戻るけども」

ピリリリリ ピリリリリリ

杏「ん、さすがに遅刻しちゃうか…」

杏「…しょうがない、行くか…」

杏「ん、しょっと…さすがに雑誌を枕にするのは、ちょっと堅かったかな…」


注意書き
・デレマス杏SSです
・キャラ崩壊注意
・デレてる杏ちゃんSS…のような気もします


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~電車の中~

ガタンゴトン ガタンゴトン

杏(そういえば最近ずっと雨だな…。誰かが空の上でおおべそかいてるのかな?)

杏(…今のはあんまり杏っぽくなかったな。こういうのは乃々とかがらしいや)

杏(杏なら、早く路面が冠水して出社できなくなればいいのになぁ…、ぐらいがそれっぽいや)

杏(うんうん、早く電車止まんないかなー)

車内アナウンス「次は、○○~、○○に止まります。△△線にお乗り換えの方は~…」

杏(そううまくはいかないか…)

杏(飴でも舐めよ…)ゴソゴソ

杏(よし、イチゴちゃん飴、君に決めた)

杏(んまー)コロコロ

杏(ちょっとはがんばろっかな、って気になるのも不思議なもんだよね)

杏(最初はプロデューサーに貰ってからだったっけなぁ…)

~回想~

モバP(以下P)「杏さん、頼む、この通りだ、お仕事に一緒に行ってくれ、頼む」

杏「え~?杏、あんまり動いたりしゃべったりするような疲れるお仕事は嫌なんだけどな~」

P「そこをなんとか、これからが肝心の、始めの仕事なんだ」

杏「そんなこと言われてもなぁ~、杏、楽に印税稼げるって聞いてアイドルになったわけだし…」

P「くっ、なんかないかなんかないか…」ガサゴソ

杏「杏に印税献納してくれるなら、考えなくもないよ?」

P「それをこれから稼ぐんだろーが!…、おっ、これは」

杏「んー?どれどれ」

P「飴ちゃんだ」

杏「イチゴ飴だー!」

P「これでなんとか頼む!」

杏「…えー?これっぽっちで?」

P「分かった。レモン味も付ける」スッ

杏「なかなか話の分かるプロデューサーじゃん。あむっ」コロコロ

杏「もらった分だけ、仕事はしようじゃないか」

P「よし、頼むぞ!」

~電車の中~

杏(あの時は正直ノリもあったけど、食べたらなんかやる気出たんだよねー)

杏(きっと杏にとっての必須成分が飴には含まれてるんだろうなぁ)

杏(ラーメンとかカレーとかも好きだけど、なんか飴だけ特別になっちゃったよね、そういうところ含めて)

杏(プロデューサーが事あるごとに杏に食べさせたからだな、きっと)

杏(飴さえあれば動くと思って…まったく)

杏(まぁあながち間違いでもないんだけど)

車内アナウンス「次は□□~□□~」

杏(あー、到着か、もうちょっとゆっくりしてたかったんだけどなぁ…)

杏(しょうがない、降りるか…)

プシュー トコトコトコ

~事務所へ向かう路上~

ザアアアアアアア

杏(タクシー、使えば良かったかな…)パシャ パシャ

杏(でも駅出るときはもう止むかってぐらいだったし、これは読めないや)

杏(雨が降ってる中での通り雨、って感じだな。もしくは誰かがおおべそかきながら走り回ってるに違いない)

杏(…ま、たまにはそういうことを考える気分の日もあるよね、うん)

杏(きっと歩き疲れてきたからそんな気分なんだ)フゥー

杏(飴ちゃん舐めよ。次はレモン味、君に決めた)ガサゴソ

杏(んまー)コロコロ

杏(飴舐めてる間は、甘いのが口の中に広がって、しあわせ~って感じだよね)

杏(飴ちゃんが幸せの魔法なんだよって言ったのもプロデューサーだったか…)

~回想~

P「ほれ、今日の分の飴ちゃんだぞー」ヒョイッ

杏「わーい、んまー」コロコロ

P「ほんとに飴舐めてる間は幸せそうだよな」

杏「んー、なんか飴舐めてるときはちょっとは頑張ろうかなー、って気になるんだよね。なんでだか」

P「きっと杏が生きていく上で必要な成分が入ってるんだな」

杏「アメノ酸とか?」

P「そうそう、必須アメノ酸13種類…多いな」

杏「きっと味の系統別で成分が違うんだね」

P「きらりからもらう飴はなんかすごい成分入ってそうだな」

杏「あーうん、あれはなんかすごい、ハピハピッてなる」

P「あれぐらいすごいと、もうハッピーな魔法でも詰まってるとしか思えないな」

杏「…なんかやばそうだけどね」

P「あのテンションのお前を見てて大丈夫だとは思えないけどな」

杏「でもおいしいんだよね。普通の飴のおいしさを凝縮した感じ」

P「じゃあ普通の飴にもハッピーな魔法が入ってるんだな。きらりのは凝縮されてるんだ」

杏「あー、そうなのかもね。そしたらプロデューサー、たくさん杏に飴を献上してよね」

P「はいはい、しょうがないなー」

~事務所へ向かう路上~

ザアアアアアアア

杏(しばらく忘れてたけど、そんなことも言ってたよなー)

杏(お、やっと事務所が見えてきたよ…)

杏(目的地に着くのはいいけど、同時に到着したくない気持ちにもなる…)

杏(うーん矛盾した気持ちを同時に抱えるなんて、人間は器用だ…)

杏(…、入るか…)

~事務所内~

杏「おはようございまーす…」

シーン

杏「あれ、誰もいないのか、珍しい…」

トコトコ

ボスッ

杏「あ˝~疲れた~、ソファの寝心地最高~」ゴロゴロ

杏「はふぅ、やっぱり寝てるのは幸せだなぁ…」

杏「もうこのまま寝ちゃいたいな…」

杏「…」ジー

杏(プロデューサーの机、きれいだな。もう書類も残ってないし)

杏(ほこり一つ落ちてないし、みんなちゃんと手入れしてるんだな)

杏(…もう使われないのに…)

杏「…」

杏「なんで…」

杏「…なんで急に死んじゃったりするのさ、プロデューサー」

杏「おかげで杏は自力で出社しなきゃいけないし、ほかの子もすごく落ち込んでるし」

杏「それでもみんな健気に仕事してるんだから、泣けてきちゃうよ、ほんと」

杏「ほんとさ…」グスッ

杏「なんでなのさぁ…」グスッ

杏「うわああああああああん!!!」

杏「あああああああああああ!!!」

杏「プロデューサーのこと、忘れたり、放り投げちゃったりなんて、できなかったよお!!!」

~扉の外~

ウワアアアアアアアン

ちひろ(杏ちゃん…)

ちひろ(アイドルの中でも落ち着いてる方ではいたけど、それでもやっぱり…)

アアアアアアア…

ちひろ(もう数日が経つけれど、ちょっとしたニュースには、なるぐらいですし…)

ちひろ(忘れたり、蓋をしたりなんて、なかなかできないわよね…)

~夢の中~

杏「プロデューサー、おどろーよー?」

P「え?杏が踊りたいだなんて、これは驚天動地の展開だぞ…!」

杏「いーのいーの、疲れないようなゆっくりしたテンポなら、杏だってそんな気分のこともあるんだよ」

P「無理するな。飴、いるか?」

杏「もー、…いる」

P「ほいほい、今日はぶどう味な」ヒョイッ

杏「んまー」コロコロ

P「んじゃ、踊るか」

杏「うん、ゆっくり、スローなテンポでね」

P「しかし、踊るって結構難しいよな」

杏「いいんだよ、好きなように踊れば」

P「好きなようにねぇ、ほっ、ほっ」

杏「そうそう、そんなのでいいんだよ。大体プロデューサーはいろんなアイドルのダンス見てるんだから、それを真似すればいいんだよ」

P「いや、そうはいうけどな、見るのとやるのじゃやっぱ違うわ、うん」

杏「今度からはプロシューサーも一緒にダンスレッスンするべきだね、うん」

P「俺は見てるだけでいいよ、やっぱり。体がついていかんわ」

杏「まったく、杏にはいつもあれだけ言うくせして」

P「俺の仕事は踊ることじゃなくてお前らを見守って、サポートすることだからいーの」

杏「サポートの質を上げるためにも」

P「はいはいはーい、この話題終了、踊りまーす」

杏「…もー」

P「機嫌直せよ、飴ちゃん追加でやるから」

杏「…杏はね」

P「ん?」

杏「飴がなくても、プロデューサーがいてくれればいいよ。プロデューサーがいてくれれば、飴がなくてもいいよ」

P「…杏」

杏「…なんちゃって」

P「…」

杏「な、なんちゃってだってば」

P「ごめんな」

杏「あ、謝らないでよ、なんか杏が心苦しいじゃん」

P「でも、ずっと一緒にいるから、お前がトップアイドルになるまで、見守ってるから」

杏「…死ぬまで?」

P「え?」

杏「杏が死ぬまで、見守って、最後は一緒に天国でも地獄でも行ってくれる?」

P「…あぁ、もちろんだ」

杏「じゃあ、しょうがないなー」ニコッ

P「悪いが、よろしく頼むぞ」ニコッ

杏「ま、のんびりやってくよー」

~事務所~

杏「ん…?」

ちひろ「あ、目が覚めました?まだほかの子は来てないですよ」

杏「ちひろさん、膝枕してくれたの?」

ちひろ「あ、ええ、まだ時間もあったので」

杏「ありがと…。雑誌じゃダメだったのになぁ」

ちひろ「え?」

杏「ううん、なんでもない。…あと、また膝借りてもいい?」

ちひろ「はい、いいですよ、時間が合えば、ですけども」

杏「ううん、ありがと。そろそろ仕事行かなきゃだね」

ちひろ「そうですね。車で送りましょうか?」

杏「だいじょぶ、元気貰ったから」

ちひろ「そう、ですか」

杏「うん、だから、行ってくるね」

ちひろ「はい、いってらっしゃい。あ、今は雨止んでますけど、また降ってくるかもしれませんから傘持ってくださいね」

杏「はーい」

~事務所前~

杏「うわー、きれいな星空…。夜に出勤ってどんな罰ゲームかと思ったけど、まぁ、悪くないね」

杏「お仕事、行くかぁ…」

杏「飴ちゃん舐めよ…」

杏「ぶどう味か、んまー」コロコロ

杏「…大切なプロデューサーと約束した、大切なアイドルだもんね」

杏「トップアイドル、目指して、ゆっくりがんばろー」

~その後~

杏「どうよプロデューサー、見たか」

P「見たよ、ばっちり。まったく立派にアイドルやりやがって」

杏「ふふん、杏が本気を出したらこんなもんですよ」

P「まったくもっと早くそうしてくれたらよかったのになぁ」

杏「まぁどうせゆっくりだったから、大して変わんなかったって」

P「あぁ、確かにそうかもな…」

杏「しかし空がきれいだねー」

P「そうだな、地面も草原で、寝心地が良さそうだ」

杏「よし、寝よう」

P「そのきれいなドレスが汚れちまうぞ?」

杏「じゃあ脱いどく」

P「おいおいおいちょっと待てって」

杏「じゃーん、必殺早着替えの術」

P「お?おう、ドレスが横に…」

杏「靴も脱いじゃおー、ぽいぽいっと」ポイポイッ

P「…もうちょい横になっとくか」

杏「うん」

杏「天国行きでしょ、これだけやったんだから」

P「まあ、そうだろうなあ」

杏「もちろんプロデューサーもだよ」

P「そうか?」

杏「こんなトップアイドルを生み出したんだから当たり前だよ」フフン

P「…あー、なるほど、…確かに、そうだな」フフッ

杏「分かったら不安そうな顔してないでー」

P「まったく、それに比べてお前は元気だよな…」

杏「ふふっ、まあね。プロデューサー、飴ちょうだいよ」

P「ん、おおう、ちょっと待てよ…確かこの辺に…あった!」

杏「うむうむ、早く献納するのだ」

P「ほらよ、飴ちゃんだ」ヒョイッ

杏「ん、んまんま」コロコロ

杏「それじゃ、そろそろ行こっか」

P「ん、おう」

杏「プロデューサー、手、つないで」

P「ほいっ」

杏「じゃ、これからもよろしくねっ」

P「こちらこそ、よろしく頼むな」




オワリ

駄文失礼いたしました。書き溜め投下完了にて終了です。

別に杏ちゃんを泣かせたかったわけじゃなかったんですが、思い付きで…。

元ネタとしては「スローライフファンタジー」に倉橋ヨエコの「今日も雨」を混ぜたらこんな感じになってしまいました。

プロデューサーが死んでも世界は普段通り回ってる、とか入れたかったけど忘れてました。
走りたければ走ろうという歌詞がありますが、走る場面など皆無です。それぐらい好きに生きているということで。
それでは。

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